[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の充電コネクタは、次の通りである。
(1)車両に搭載され、前記車両の外部電源に接続される外部充電コネクタと篏合し、前記車両に備えられるバッテリの充電に用いられる充電コネクタであって、前記バッテリへの電力供給に用いられる第1及び第2のパワー端子と、前記第1及び第2のパワー端子より板厚が薄く形成されて、前記車両の外部と前記車両の制御部との間の信号を送る複数のシグナル端子と、前記第1及び第2のパワー端子及び前記複数のシグナル端子を保持し、前記外部充電コネクタの挿抜方向に沿った前端部において前記外部充電コネクタと篏合するハウジングと、前記ハウジングの後端部と合体して、前記ハウジングと共に前記第1及び第2のパワー端子及び前記複数のシグナル端子を保持するリテーナと、を備え、前記複数のシグナル端子のそれぞれは、先端側に設けられて前記外部充電コネクタの端子が挿入される筒部を有し、前記筒部の先端部には、前記筒部の周方向に沿った一部を他の一部と分けるスリットが形成され、前記スリットの先端の幅は、前記ハウジングの前記後端部が前記挿抜方向から観察されたときに前記ハウジングの前記後端部に現れる壁の幅より小さい、充電コネクタである。筒部のスリットの幅は、ハウジングの壁の幅より小さいため、シグナル端子がハウジングにうまく挿入されなかったときなどに、スリットにハウジングの壁が入り込むことが抑制される。これにより、ハウジングへの端子の取付け作業が容易となる。
(2)(1)の充電コネクタにおいて、前記複数のシグナル端子のそれぞれは、後端側に設けられて信号線が電気的接続にされた電線接続部と、前記筒部と前記電線接続部との間に設けられた中間部とをさらに有し、前記中間部は、前記挿抜方向に交差する方向に前記筒部よりも突出した突出部を有し、前記リテーナは、前記電線接続部に沿って延び、前記突出部を前記ハウジングに向けて押える端子押え部を有してもよい。これにより、突出部を用いてシグナル端子の抜け止めが図られる。突出部はハウジング及びリテーナによって挟まれて抜け止めが図られるため、ハウジングへの端子の挿入時に突出部を変形させたりする必要がない。
(3)(2)の充電コネクタにおいて、前記リテーナには、前記挿抜方向に沿って前記リテーナを貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の周縁に前記端子押え部が形成され、前記貫通孔は、前記シグナル端子の前記中間部における最大の幅寸法より大きくてもよい。これにより、シグナル端子が信号線に接続された後にシグナル端子が貫通孔を通じてリテーナを通過できると共に、貫通孔を通過したシグナル端子がハウジングに収容された後に端子押え部が突出部に係止することができる。これにより、リテーナに通された後の信号線に端子を接続する必要がなくなり、コネクタの組立作業が容易となる。
(4)(3)の充電コネクタにおいて、前記端子押え部は、前記突出部よりも前記電線接続部側で前記シグナル端子の周囲を囲う筒状に形成された突出筒部を有し、前記貫通孔は、前記突出筒部の中空部分と、前記突出筒部の外側に位置する端子挿通用孔と、前記突出筒部に形成されて前記中空部分と前記端子挿通用孔とを連通する端子押え部側スリットとを有し、前記シグナル端子の前記突出部より前記電気接続部側の最小の幅寸法又は前記シグナル端子と接続される信号線の直径は、前記端子押え部側スリットの幅寸法と同じかそれより小さく、前記中間部における最大の幅寸法は、前記端子押え部側スリットの幅寸法よりも大きくてもよい。これにより、貫通孔を通じて信号線付きのシグナル端子がハウジングに収まった後に、端子押え部側スリットを通じて、突出筒部の中空部分にシグナル端子の後端部分又は信号線が挿入されることができる。また、中空部分にシグナル端子の後端部分又は信号線が収まった後、リテーナが信号線付きのシグナル端子に沿って移動して、ハウジングに取付けられることによって、突出筒部内にシグナル端子が収まりつつ突出筒部の先端部が突出部に係止することができる。
(5)(4)の充電コネクタにおいて、前記貫通孔として、1つの前記端子挿通用孔が、第1の前記端子押え部側スリットを介して第1の前記突出筒部の前記中空部分に連通すると共に、第2の前記端子押え部側スリットを介して第2の前記突出筒部の前記中空部分とも連通する共有貫通孔が設けられ、前記共有貫通孔において、前記第1の端子押え部側スリットと前記第2の端子押え部側スリットとを直線で結んだ部分に絶縁壁が設けられてもよい。これにより、共有貫通孔を介してハウジングに挿入される複数のシグナル端子の絶縁距離が確保できる。
(6)(3)から(5)のいずれか1つの充電コネクタにおいて、前記パワー端子に取付けられているサーミスタと、前記サーミスタに取付けられている電線と、をさらに備え、前記サーミスタは、前記パワー端子と共に前記ハウジングに収容され、前記サーミスタの前記電線は、前記貫通孔を通って前記リテーナを貫通していてもよい。これにより、サーミスタがパワー端子と共にハウジングに収容されても、サーミスタの電線が車内側に向けて延びることができる。またパワー端子のうち相手側端子との接続部に近い位置にサーミスタが配置されることができ、サーミスタによるパワー端子の温度の検出精度が高まる。
(7)(1)から(6)のいずれか1つの充電コネクタにおいて、前記筒部は、筒部本体と、前記筒部本体の先端部から突出する複数の弾性片とを有し、前記複数の弾性片は、前記筒部本体の周方向に沿って互いに離れた位置から突出し、前記周方向に並ぶ前記複数の弾性片の間が前記スリットとされ、前記筒部本体には、前記筒部本体の軸方向の一端から他端まで延びる本体側スリットが形成されてもよい。これにより、挿抜時に径方向に筒部が変形する余地がある。
(8)(7)の充電コネクタにおいて、前記複数の弾性片の後端部の幅寸法は、前記複数の弾性片の先端部の幅寸法よりも小さく、前記スリットの後端部の幅は、前記スリットの前記先端部の幅よりも大きくてもよい。これにより、挿抜時に径方向に複数の弾性片が変形しやすい。
(9)(7)又は(8)の充電コネクタにおいて、前記複数の弾性片の先端部における前記筒部の径は、前記複数の弾性片の後端部における前記筒部の径よりも小さくてもよいい。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の充電コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる充電コネクタについて説明する。
<車両について>
まず、充電コネクタが組込まれる車両について説明する。
充電コネクタが組込まれる車両は、蓄電装置及びモータを備える電動車両である。車両は、蓄電装置の電力によってモータが駆動されることによって走行する。車両は、駆動源としてモータのみを備える電気自動車であってもよいし、モータとエンジンとを備えるハイブリッド自動車であってもよい。車両における蓄電装置は、外部の電源から供給される電力によって充電される。充電コネクタは、外部充電コネクタが挿し込まれて電気的に接続されることが可能に構成される。外部充電コネクタは、外部電源から延びる充電ケーブルのコネクタである。
車両における蓄電装置の充電態様として、一般に、普通充電及び急速充電がある。急速充電は、普通充電よりも大きな電流を流すことによって、普通充電よりも短時間での充電を可能にする。普通充電は、家庭用電源又はそれと同等の外部電源が用いられることが想定される。急速充電では、例えば充電スタンドなどの専用の電源が用いられることが想定される。本開示の充電コネクタは、急速充電に対応した充電コネクタであるものとして説明される。
<車両における充電コネクタ>
図1を参照しつつ、車両における充電コネクタの組付態様について説明する。図1は実施形態1にかかる充電コネクタ10及びその組付態様を示す平面図である。
充電コネクタ10は、例えば、車両におけるボディの外面に設けられた取付部100に取付けられる。図1には、取付部100の一例が示されている。取付部100は、例えば、ボディをなすパネルの一部が車両の内側に凹む凹状に形成される。取付部100のうち底部のパネル102には貫通孔104が形成される。
充電コネクタ10の正面側には、外部充電コネクタとの接続部分が設けられる。接続部分は、外部充電コネクタが挿し込まれて電気的に接続される部分を含む。充電コネクタ10における接続部分を含む一部は、貫通孔104を貫通してパネル102の外側に露出する。充電コネクタ10の他の一部は、パネル102よりも車両の内側に配置される。通常、取付部100には、車体側カバー106が設けられる。車体側カバー106は、ヒンジ等によって開閉可能に取付けられる。車体側カバー106が閉じた状態で、車体側カバー106がパネル102の開口部を覆う。車体側カバー106が開いた状態で、充電コネクタ10が露出し、外部から充電コネクタ10へのアクセスが可能となる。
本開示において、図1に示されるように、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のうち、X方向が、充電コネクタ10がパネル102の貫通孔104を貫通する方向に平行な方向とされる。充電コネクタ10と外部充電コネクタとは、X方向に接続される。Z方向は、例えば、鉛直方向である。例えば、充電コネクタ10が車両の側面に設けられる場合、Y方向は車両の前後方向となる。例えば、充電コネクタ10が車両の前面又は後面に設けられる場合、Y方向は車両の幅方向となる。以下、取付状態にない部材についても、取付状態とされた場合のX方向、Y方向及びZ方向に対応する方向に準ずる説明がなされる。
<全体構成>
図1に加えて、図2から図7を参照しつつ、充電コネクタ10の全体構成について説明する。図2は実施形態1にかかる充電コネクタ10を示す斜視図である。図3は実施形態1にかかる充電コネクタ10を示す分解斜視図である。図4は実施形態1にかかる充電コネクタ10を示す正面図である。図5は図4のV-V線に沿った断面図である。図6は端子付き電線38及びその収容位置を説明する図である。図7は充電コネクタ10における電線30経路を説明する図である。なお、図3において電線30は省略されている。また、図6では、一部の端子付き電線38が省略されている。
充電コネクタ10は、端子20と電線30とサーミスタユニット40とハウジング50とリテーナ60と電線カバー70とリッドユニット80とグロメット90とを備える。
<端子>
端子20は、コネクタ端子21と、中継端子28とを含む。コネクタ端子21は、ハウジング50に収容される。コネクタ端子21は、相手側コネクタの端子と接続される。コネクタ端子21の数、種類は、充電コネクタ10の規格などによって適宜設定される。本実施形態の例では、コネクタ端子21として、2つのパワー端子22、6つのシグナル端子24、1つのグランド端子26が設けられる。中継端子28は、パワー端子22と電線30との間に介在する。中継端子28は、パワー端子22と同数(ここでは2つ)設けられる。2つのパワー端子22は、第1及び第2のパワー端子の一例である。なお2つのパワー端子22のうち第1のパワー端子とされる方はどちらでもよい。
パワー端子22は、相手側接続部23a、端子固定部23b及び突出部23cを有する。パワー端子22は、サーミスタ取付部23dをさらに有する。シグナル端子24は、相手側接続部25a、電線接続部25b及び突出部25cを有する。グランド端子26は、相手側接続部27a、電線接続部27b及び突出部27cを有する。中継端子28は、端子固定部29a及び電線接続部29bを有する。
相手側接続部23a、25a、27aは、外部充電コネクタのコネクタ端子と電気的に接続される部分である。端子固定部23b、29aには、ねじSを挿通可能な孔が形成されている。パワー端子22と中継端子28とは、端子固定部23b、29aにおいて、ねじSによって固定されることによって、電気的に接続されつつ固定される。電線接続部25b、27b、29bは、バレルを有する圧着部である。シグナル端子24、グランド端子26及び中継端子28は、電線接続部25b、27b、29bにおけるバレルが、それぞれ対応する電線30の端部に圧着される。これにより、シグナル端子24、グランド端子26及び中継端子28が、それぞれ対応する電線30と電気的に接続されつつ固定される。突出部23c、25c、27cは、各コネクタ端子21の中間部に設けられる。突出部23c、25c、27cは、リテーナ60によって押えられる部分である。サーミスタ取付部23dは、サーミスタユニット40が取付けられる部分である。
各端子20は、金属板をプレス加工(曲げ加工)して形成される。各端子20の板厚は、許容電流値などに応じて設定されてもよい。板厚が大きいほど導体断面積が大きくなり、許容電流値が大きくなる。本例では、シグナル端子24の板厚は、パワー端子22の板厚及びグランド端子26の板厚よりも薄い。またグランド端子26の板厚は、パワー端子22の板厚よりも薄い。中継端子28の板厚は、パワー端子22の板厚と同じである。
シグナル端子24はパワー端子22及びグランド端子26よりも細く、グランド端子26はパワー端子22よりも細い。パワー端子22、シグナル端子24及びグランド端子26の相手側接続部23a、25a、27aは円筒状に形成されている。シグナル端子24の相手側接続部25aは、パワー端子22及びグランド端子26の相手側接続部23a、27aよりも小径であり、グランド端子26の相手側接続部27aは、パワー端子22の相手側接続部23aよりも小径である。
<電線>
各電線30の一端部は、端子20に接続される。各電線30の他端部は、グロメット90から外部に延び出る。充電コネクタ10が車両に搭載された状態で、各電線30の他端部は、車両に搭載された別の機器に接続される。かかる機器は、電線30の種類などに応じて適宜設定され、例えば、バッテリ、電子制御ユニット(ECU)などが想定される。電線30の数及び種類は、コネクタ端子21の数及び種類に対応する。本実施形態の例では、電線30は、2本の電力線32、6本の信号線34、及び1本のグランド線36を含む。電力線32の一端部は、中継端子28に接続される。電力線32は、中継端子28を介してパワー端子22と接続される。信号線34の一端部は、シグナル端子24に接続される。グランド線36の一端部は、グランド端子26に接続される。サーミスタ用電線44の一端部は、サーミスタ42に接続される。
各電線30は、被覆電線である。被覆電線は、芯線31aと芯線31aを覆う被覆31bとを有する。芯線31aは、例えば、金属製の複数の素線が撚られて形成される。被覆31bは、例えば、絶縁性を有する樹脂が芯線31aの周りに押出成形されて形成される。複数の電線30として、互いに太さが異なる複数種類の電線30が用いられている。電線30の太さは、許容電流値などに応じて設定される。通常、許容電流値を大きくするには、導体断面積を大きくする必要があり、その分、電線30の太さが太くなる。また電線30の太さは、通常、電線30の曲りにくさと相関関係にあり、電線30が太くなるにつれて、電線30が曲りにくくなる。例えば、曲りやすい電線と曲りにくい電線とが同じ角度分曲げられたときに、曲りにくい電線の曲率半径は、曲りやすい電線の曲率半径よりも大きくなり、その分、大きな配置スペースが必要となる。
本例では、電力線32は、グランド線36及び信号線34よりも太い。このため、電力線32は、グランド線36及び信号線34よりも曲がりにくい。また、グランド線36は、信号線34よりも太い。このため、グランド線36は、信号線34よりも曲がりにくい。パワー端子22、中継端子28及び電力線32は、バッテリへの電力供給に用いられる。シグナル端子24及び信号線34は、車両の外部と車両の制御部との間の信号を送る。グランド端子26及びグランド線36は、接地に用いられる。
<端子付き電線>
端子20と電線30とは、充電コネクタ10を製造する途中の段階で、圧着によって互いに電気的に接続されつつ固定されて一体化される。このように電線30と端子20とが一体化したものは、端子付き電線38と呼ばれることがある。本例では、電力線32と中継端子28とが一体化した端子付き電線38、信号線34とシグナル端子24とが一体化した端子付き電線38、グランド線36とグランド端子26とが一体化した端子付き電線38とが設けられる。
図5に示すように、端子付き電線38には、収縮チューブ39が被せられて止水部が形成されていてもよい。収縮チューブ39は電線30と端子20との接続部分を覆う。これにより、電線30と端子20との接続部に水がかかること、及び、被覆内に水が浸入することなどが抑制される。電線30と端子20との接続部分は、電線接続部25b、27b、29bにおけるバレルと、信号線34、グランド線36及び電力線32の芯線との圧着部である。
収縮チューブ39は、例えば、端子20のうち電線30が接続される部分よりも前方の部分から、電線30のうち被覆がある部分までを覆う。収縮チューブ39は、加熱によって収縮する熱収縮チューブ39である。熱収縮チューブ39は、加熱される前の大径の状態で端子付き電線38に被せられる。その後、熱収縮チューブ39は、加熱されて収縮する際、接続部分の形状に応じた形状になることによって、接続部分に密着することができる。例えば、熱収縮チューブ39の内面に、ホットメルト接着剤が設けられていてもよい。これにより、ホットメルト接着剤が、熱収縮チューブ39と端子20との隙間、及び、熱収縮チューブ39と電線30との隙間を埋めることができ、収縮チューブ39による防水性が高まる。熱収縮チューブ39の内面に、ホットメルト接着剤が設けられていなくてもよい。
端子付き電線38において、止水部が収縮チューブ39でなくともよい。例えば、収縮チューブ39に代えて、接着剤などの樹脂が設けられていてもよい。また、端子付き電線38において、圧着部に止水部が設けられずに、露出していてもよい。端子付き電線38は、ゴム栓などによって、止水されていてもよい。
<サーミスタユニット>
サーミスタユニット40は、電源回路の温度を測定する。急速充電用の充電コネクタ10において、バッテリを充電するための電源回路には大電流が流れるため、その分、電源回路の温度上昇も大きくなる。サーミスタユニット40を用いて電源回路の温度が監視されることによって、電源回路の温度が高くなりすぎることを抑制することができる。サーミスタユニット40は、サーミスタ42とサーミスタ用電線44とを有する。本例では、一対のパワー端子22のそれぞれにサーミスタ42が取付けられて、一対のパワー端子22それぞれの温度が測定される。サーミスタ用電線44の一端部は、サーミスタ42に接続される。サーミスタ用電線44の他端部は、電線30の他端部と同様にグロメット90から外部に延び出る。充電コネクタ10が車両に搭載された状態で、サーミスタ用電線44の他端部は、例えば、ECUなどに接続される。サーミスタ用電線44は、電力線32及びグランド線36よりも細い。このため、サーミスタ用電線44は、電力線32及びグランド線36よりも曲がりやすい。
<ハウジング>
ハウジング50は、コネクタ端子21を所定の位置(外部充電コネクタのコネクタ端子21と接続可能な位置)に保持する。ハウジング50は、外部充電コネクタの挿抜方向に沿った前端部において外部充電コネクタと篏合する。ハウジング50は、ハウジング本体51と、車両取付部54と、電線押え部57とを含む。
ハウジング本体51にコネクタ端子21が収容される。ハウジング本体51は、複数の端子収容部53と外枠部52とを有する。複数の端子収容部53のそれぞれは、対応するコネクタ端子21を収容可能な筒状に形成される。外枠部52は、複数の端子収容部53の周りを囲う筒状に形成される。端子収容部53の中間部において、複数の端子収容部53及び外枠部52が平板状の連結部によってつながっている。ハウジング本体51の前方にリッドユニット80が取付けられる。ハウジング本体51の後方にリテーナ60が取付けられる。
車両取付部54は、充電コネクタ10を取付部100に取付けるための部分である。車両取付部54は、ハウジング本体51の中間部において、外枠部52の周囲に突出する板状に形成されている。車両取付部54は、取付部100に対して、例えばねじSなどによって取付けられる。
電線押え部57は、端子20から延びる電線30の中間部を押える。これにより、電線30のうち電線押え部57に押えられている部分よりも他端部側に生じる振動が、端子20に伝わりにくくなり、端子20とハウジング本体51とが擦れることが抑制される。ハウジング本体51の後方において、外枠部52からY方向にブロック状のアーム56が突出する。アーム56のうちハウジング本体51からの突出方向に沿った先端部に電線押え部57が設けられる。電線押え部57は、3つ設けられる。3つの電線押え部57のうち2つの電線押え部57が2本の電力線32を押え、残りの1つの電線押え部57が1本のグランド線36を押える。
<リテーナ>
リテーナ60は、ハウジング50からの端子20の抜けを抑制する。リテーナ60は、ハウジング50の後端部と合体して、ハウジング50と共に端子20を保持する。リテーナ60は、端子押え部61と、リブ69a、69bとを含む。
端子押え部61は、ハウジング50に収容されたコネクタ端子21の後方を押える。これにより、コネクタ端子21がハウジング50から後方に抜けることを抑制する。端子押え部61は、後方カバー部62と、複数の突出筒部63とを含む。突出筒部63はシグナル端子24を押える。端子押え部61は、2つのパワー端子押え部63Pとグランド端子押え部63Gとをさらに含む。パワー端子22はパワー端子押え部63Pによって押えられ、グランド端子26はグランド端子押え部63Gによって押えられる。
後方カバー部62は、外枠部52の後方の開口部を塞ぐ。複数の突出筒部63は、後方カバー部62から前方(ハウジング50側)に向けて突出する。各突出筒部63は、筒状に形成される。6つのシグナル端子24の端子収容部53それぞれに対応する位置に、突出筒部63が形成されている。突出筒部63は、端子収容部53に挿入されている。各突出筒部63は、突出部25cよりも電線接続部25b側でシグナル端子24の周囲を囲う。各突出筒部63は、リテーナ60の前方及び後方にそれぞれ開口する。突出筒部63が、端子収容部53に挿入されると、当該端子収容部53に収容されたコネクタ端子21の後端部が、突出筒部63の前方開口から突出筒部63内に収容される。各突出筒部63が、端子収容部53に挿入されると、各突出筒部63は、収容するシグナル端子24の電線接続部25bに沿って延びる。各突出筒部63の先端が、対応するシグナル端子24の突出部25cをハウジング50に向けて後方から押える。信号線34は、対応する突出筒部63の後方の開口から引き出されている。
2つのパワー端子押え部63P及び1つのグランド端子押え部63Gは、後方カバー部62から前方(ハウジング50側)に向けて突出する。パワー端子押え部63Pは、突出筒部63と同様に筒状に形成される。グランド端子押え部63Gは、Y方向に延びる板状に形成されている。各パワー端子押え部63Pは、対応するパワー端子22の突出部23cをハウジング50に向けて後方から押える。グランド端子押え部63Gはグランド端子26の突出部27cをハウジング50に向けて後方から押える。パワー端子押え部63Pの後方の開口を通じて、パワー端子22及び中継端子28が接触しつつねじ止めされている。中継端子28は、後方カバー部62の背面上に配置される。パワー端子押え部63Pの後方の開口は、中継端子28によって塞がれている。グランド線36は、グランド端子押え部63Gの下方の孔から引き出されている。
リブ69a、69bは、後方カバー部62から後方に向けて突出する。リブ69a、69bは、中継端子28同士を仕切る。また、リブ69a、69bは、中継端子28とシグナル端子24とを仕切る。リブ69a、69bは、中継端子28の位置決めもしている。中継端子28のうちパワー端子22と接続される部分は、リブ69a、69bに沿うように配置される。リブ69a、69bは、グロメット90の内部において端子20収容空間と排水空間とを仕切る。排水口93から排水空間に侵入した埃等が、端子20収容空間に達することが抑制される。これにより、埃等が端子20に付着することが抑制される。
ハウジング50及びリテーナ60には、係止部が設けられている。本例では、係止部として、ハウジング50に形成された係止突起とリテーナ60に形成された係止片とが設けられている。係止片が係止突起に係止することによって、ハウジング50及びリテーナ60が、互いに取付けられた状態に維持される。
<電線カバー>
電線カバー70は、電線押え部57に取付けられる。電線カバー70は電線30が電線押え部57から抜けることを抑制する。電線カバー70及び電線押え部57によって、電線30の周囲全体が覆われる。本実施形態では、2つの電線カバー70が設けられる。2つの電線カバー70のうち一方の電線カバー70は、2本の電力線32を押える。2つの電線カバー70のうち他方の電線カバー70は、1本のグランド線36を押える。
<リッドユニット>
リッドユニット80は、ハウジング本体51の前方に開閉可能に設けられる。リッドユニット80が開くことによって、ハウジング本体51の接続口が露出する。これにより、当該充電コネクタ10に外部充電コネクタを接続することができる。リッドユニット80が閉じることによって、ハウジング本体51の接続口がリッドユニット80によって閉鎖される。リッドユニット80は、リッド82と、ヒンジユニット84と、ロックユニット86とを有する。リッド82は、ヒンジユニット84を介してハウジング本体51に開閉可能に取り付けられる。ロックユニット86は、リッド82を閉じた状態に維持する。充電作業時に、作業者は、ロックユニット86を操作して、リッド82を開くことができる。
<グロメット>
グロメット90は、ハウジング50の後端部から電力線32及び信号線34の中間部までを一括して覆う外装部材の一例である。外装部材としてグロメット90が設けられることは必須の構成ではない。例えば、外装部材として、プロテクタが設けられていてもよい。グロメット90は、ハウジング50及びリテーナ60を覆う。グロメット90は、第1保護部91と、第2保護部94とを含む。第1保護部91は、ハウジング本体51の後端部とリテーナ60とを覆う。第2保護部94は、電線押え部57を覆う。グロメット90は、例えば、EPDMなどのエラストマ製である。
第1保護部91には、ハウジング引出口92及び排水口93が形成されている。ハウジング引出口92を通じてハウジング本体51の前端部がグロメット90の外部に延び出る。排水口93は、充電コネクタ10の内部に浸入する水を外部に排水するための開口部である。かかる水は、例えば、リッドユニット80が開いたときに、ハウジング本体51の開口部から浸入することなどが想定される。ハウジング引出口92の外面には、結束バンド98が取付けられている。グロメット90は、結束バンド98によってハウジング50に取付けられている。
第2保護部94には、電線引出口95が形成されている。電線引出口95を通じて電線30の他端部がグロメット90の外部に延び出る。1つのグロメット90に3つの電線引出口95が設けられている。3つの電線引出口95のうち2つの電線引出口95は、2つの電力線32用に設けられる。2つの電線引出口95それぞれに1本の電力線32が通されている。3つの電線引出口95のうち残りの1つの電線引出口95に、信号線34、グランド線36、サーミスタ用電線44がまとめて通されている。
<充電コネクタにおける電線の経路>
電力線32は、中継端子28と接続される一端部から他端部に向けて、グロメット90内を一直線に延び、電線引出口95を通じてグロメット90の外部に延び出ている。従って、電力線32の一端部は、リテーナ60の貫通孔64内に挿入されない。
2つの電力線32は、Z方向に並んでグロメット90内を延びる。2つのパワー端子22は、Y方向に並んでハウジング本体51に収容される。2つの電力線32が並ぶ方向と、2つのパワー端子22が並ぶ方向の違いは、中継端子28によって吸収されている。より詳細には、2つの中継端子28はそれぞれ後方カバー部62上に配置される。2つの中継端子28は、挿抜方向と交差する方向に延びる。2つの中継端子28のうち中継端子28Aは、電線引出口95に近いパワー端子22に接続され、中継端子28Bは、電線引出口95から遠いパワー端子22に接続される。中継端子28A及び中継端子28Bは、パワー端子22と接続される部分においてY方向に並び、電線30と接続される部分においてZ方向に並ぶ。中継端子28Aは、パワー端子22と接続される部分と、電力線32と接続される部分との間で、後方カバー部62に沿って一直線に延びている。中継端子28Bは、パワー端子22と接続される部分から電力線32と接続される部分に向かう途中で、後方カバー部62から離れるように折り曲がっている。中継端子28Bは、パワー端子22と接続される部分と電力線32と接続される部分との間で主面の向きを変えている。
信号線34の一端部は、端子収容部53内に挿入される。信号線34の他端部は、リテーナ60の貫通孔64から延び出て、グロメット90内で曲がりつつ、グロメット90の電線引出口95に向かう。複数の信号線34のうち信号線34Aは、パワー端子22よりも上方に位置するシグナル端子24と接続され、信号線34Bは、パワー端子22よりも下方に位置するシグナル端子24と接続される。信号線34Aは、貫通孔64から延び出た後、一対の電力線32の間を通りつつ、信号線34Bと合流して、Y方向に延びる。
グランド線36の一端部は、端子収容部53内に挿入される。グランド線36は、一端部から他端部に向けて、リテーナ60の貫通孔64から延び出て、グロメット90内で曲がりつつ、信号線34と共にグロメット90の電線引出口95に向かう。上記のように、グランド線36は信号線34よりも曲がりにくいため、信号線34及びグランド線36がX方向からY方向に向けて曲がる部分において、信号線34の曲率半径よりもグランド線36の曲率半径が大きくなりやすい。グランド線36の他端部をハウジング50の電線押え部57及び電線カバー70によって押えることによって、グランド線36がグロメット90内で膨らみすぎることを抑制している。
サーミスタ42は、パワー端子22と共にハウジング本体51に収容される。従って、サーミスタ用電線44の一端部もハウジング本体51に収容される。サーミスタ用電線44の他端部は、リテーナ60の貫通孔64を通じて、後方カバー部62の外側に延び出て、グロメット90内で曲がりつつ、グロメット90の引出口に向かう。サーミスタ用電線44は、貫通孔64のうち端子付き電線38の挿入に用いられる部分を通る。サーミスタ用電線44は、一対の電力線32の間を通りつつ、信号線34と共にY方向に延びる。
<ハウジング本体とシグナル端子との関係について>
図8から図10をさらに参照しつつ、ハウジング本体51とシグナル端子24との関係について説明する。図8はシグナル端子24の違いを示す図である。図9はハウジング本体51の後端部を示す背面図である。図9において、コネクタ端子21が端子収容部53の並びと同じ並びで記載されている。ハウジング本体51の後端部を示す背面図である。図10はハウジング本体51とシグナル端子24との関係を説明する図である。図10において、シグナル端子24は図8の部分拡大図であり、ハウジング本体51は図9の部分拡大図である。
図8に示すように、本例では、複数のシグナル端子24は、3種類のシグナル端子24A、24B、24Cを有する。ここでは、1本のシグナル端子24Aと、3本のシグナル端子24Bと、2本のシグナル端子24Cとが設けられる。シグナル端子24Aは、端子収容部53Aに収容され、シグナル端子24Bは、端子収容部53Bに収容される。端子収容部53A、53Bは、2つのパワー端子22の端子収容部53の中心を結ぶ線よりもZ方向上方に位置する。端子収容部53Aは、3つの端子収容部53Bに囲まれる。Y方向において、端子収容部53Aの両隣にそれぞれ端子収容部53Bが位置する。Z方向において、端子収容部53Aの下側の隣に、1つの端子収容部53Bが位置する。端子収容部53Aとその下側の端子収容部53Bとは、Y方向において、2つのパワー端子22の端子収容部53の中央に位置する。
3種類のシグナル端子24A、24B、24Cは、互いに異なる形状を有する。3種類のシグナル端子24A、24B、24Cにおいて、各突出部25cの形状が互いに異なっている。各シグナル端子24A、24B、24Cにおいて、第1及び第2の突出部25cが互いに逆向きに延びる。各シグナル端子24の中間部のうち、相手側接続部25aと、電線接続部25bとを連結する連結部分は、半筒状に形成される。第1の突出部25cは、半筒状の連結部分の一端部から連結部分から離れる向きに延びる。第2の突出部25cは、半筒状の連結部分の他端部から連結部分から離れる向きに延びる。半筒状の連結部分からの第1の突出部25cの先端と、第2の突出部25cの先端との間隔が、シグナル端子24における最大の幅寸法である。
図8に示す例において、紙面上下方向が外部充電コネクタの挿抜方向に平行な方向である。シグナル端子24の突出部25cにおいて、挿抜方向に沿った寸法は、突出部25cの幅寸法である。図8に示す例において、幅寸法W1A、W1B、W1Cが、各シグナル端子24A、24B、24Cの突出部25cの幅寸法である。図8に示すように、シグナル端子24A、24Cの突出部25cの幅寸法W1A、W1Cは、シグナル端子24Bの突出部25cの幅寸法W1Bよりも小さい。また、シグナル端子24Aの突出部25cの幅寸法W1Aと、シグナル端子24Cの突出部25cの幅寸法W1Cとは、同じである。
図8に示す例において、紙面左右方向が、半筒状の連結部分から突出部25cが延びる方向に平行な方向である。シグナル端子24の突出部25cにおいて、第1及び第2の突出部25cが延びる方向に沿った寸法は、シグナル端子24の幅寸法である。図8に示す例において、幅寸法W2A、W2B、W2Cが、シグナル端子24A、24B、24Cそれぞれの幅寸法である。図8に示すように、シグナル端子24Aの幅寸法W2Aは、シグナル端子24B、24Cの幅寸法W2B、W2Cよりも小さい。また、シグナル端子24Bの幅寸法W2Bは、シグナル端子24Cの幅寸法W2Cよりも小さい。
また、各シグナル端子24は、相手側接続部25aとして筒部25aを有する。筒部25aは、シグナル端子24の先端側に設けられる。筒部25aには、外部充電コネクタの端子が挿入される。筒部25aは、筒部本体25d及び複数の弾性片25eを有する。複数の弾性片25eは、筒部本体25dの先端部から先端側に突出する。複数の弾性片25eは、シグナル端子24の先端部をなす。筒部本体25dの後端部から後端側に半筒状の連結部分が突出する。
図8に示す例において、長さ寸法LA、LB、LCが、挿抜方向における各シグナル端子24A、24B、24Cの筒部本体25dの寸法である。シグナル端子24Aの筒部本体25dの長さ寸法LAは、シグナル端子24B、24Cの筒部本体25dの長さ寸法LB、LCよりも長い。シグナル端子24Bの筒部本体25dの長さ寸法LBと、シグナル端子24Cの筒部本体25dの長さ寸法LCとは同じである。
シグナル端子24用の端子収容部53は、第1収容部53dと第2収容部53eとを有する。第1収容部53dは、シグナル端子24のうち突出部25cよりも先端部を収容する。第1収容部53dは、筒部本体25dと同じかそれよりも若干小さく形成されている。第2収容部53eは、シグナル端子24のうち突出部25c及び突出部25cよりも後端部を収容する。第2収容部53eは、突出筒部63が入ることができる大きさとされる。挿抜方向と交差する方向において、第2収容部53eは、第1収容部53dよりも大きく、第1収容部53dと第2収容部53eとの間には、段差が生じている。このため、図9に示すように、第1収容部53dの後端面が第2収容部53eを通じて後端側に現れる。シグナル端子24が、挿抜方向において所定の位置よりも端子収容部53の先端側に移動しようとしたときに、突出部25cが第1収容部53dの後端面に引っ掛かり、それ以上の移動が規制される。
各第1収容部53dには、2つの凹部53fが形成されている。2つの凹部53fは、第1収容部53dの内面において、周方向に離れている。2つの凹部53fは第1収容部53dのうち筒部本体25d及びそれよりも後端部を収容する部分に形成されている。2つの凹部53fの間が凸部53gとされる。2つの凹部53f及び凸部53gは第1収容部53dの後端部から中間部まで延びる。2つの凹部53fは、第1収容部53dの内面のうちZ方向における最も下方部分の両隣に設けられる。凸部53gは第1収容部53dの内面のうちZ方向における最も下方部分に設けられる。2つの凹部53fはZ方向に沿って下方に凹む。凹部53fの後端部は、凹部53fの先端部よりもZ方向に凹む量が大きい。第1収容部53dの後端面において、凹部53f及び凸部53gは、X方向における凹凸形状をなしている。
一部の端子収容部53B、53Cの第2収容部53eには、突出部25cが嵌る溝53hが形成されている。端子収容部53B、53Cの第2収容部53eには、第1及び第2の突出部25cがそれぞれ嵌る第1及び第2の溝53hが形成されている。第1及び第2の溝53hは、第2収容部53eの内面において、互いに180度離れた位置に形成されている。各溝53hは、収容する突出部25cに応じた大きさとされる。また各溝53hは、第2収容部53eの内面からシグナル端子24の向きに応じた向きに凹む。シグナル端子24Bは、第1及び第2の突出部25cがY方向に延びるように端子収容部53Bに収容される。端子収容部53Bにおける第1及び第2の溝53hは、第2収容部53eの内面からY方向に凹む。シグナル端子24Cは第1及び第2の突出部25cがY方向及びZ方向に交差する方向に延びるように端子収容部53Cに収容される。端子収容部53Cにおける第1及び第2の溝53hは、第2収容部53eの内面からY方向及びZ方向と交差する方向に凹む。シグナル端子24B、24Cの第1及び第2の突出部25cが、端子収容部53B、53Cの第1及び第2の溝53hに収まる。これにより、シグナル端子24B、24Cの挿抜方向に沿った軸回りの回転が抑制される。
一部の端子収容部53Aの第2収容部53eには、溝53hが形成されていない。端子収容部53Aの第2収容部53eは、突出部25cが収まる大きさに形成されている。端子収容部53Aの第2収容部53eには、回転抑制凸部53iが形成されている。回転抑制凸部53iは、第2収容部53eの内面の一部から第2収容部53eの内側に突出する。回転抑制凸部53iは、シグナル端子24Aが挿抜方向に沿った軸回りに回転したときの突出部25cの軌跡上に位置する。回転抑制凸部53iは、図9に示すように、X方向から見て、凹部53f及び凸部53gとは別の位置に設けられている。
筒部25aの先端部には、スリット25fが形成されている。スリット25fは、筒部25aの周方向に沿った一部を他の一部と分ける。ここでは複数の弾性片25eの間がスリット25fとされる。複数の弾性片25eは、筒部本体25dの周方向に沿って互いに離れた位置から突出する。周方向に並ぶ複数の弾性片25eの間がそれぞれスリット25fとされる。本例では、1つのシグナル端子24において、3つの弾性片25eが周方向に並ぶ。このため、1つのシグナル端子24において、3つのスリット25fが形成されている。
図10に示す例において、幅寸法W3は、シグナル端子24Cにおけるスリット25fの先端の幅である。また、図10に示す例において、幅寸法W4は、シグナル端子24Cの端子収容部53における凸部53gの幅寸法である。幅寸法W4は、ハウジング50の後端部が挿抜方向から観察されたときにハウジング50の後端部に現れる壁の幅である。スリット25fの幅寸法W3は、壁としての凸部53gの幅寸法W4より小さい。このため、シグナル端子24Cが端子収容部53に挿入される際、凸部53gがスリット25fに入ることが抑制され、端子挿入が容易となる。
なお、シグナル端子24A、24Bにおけるスリット25fの先端の幅寸法は、シグナル端子24Cにおけるスリット25fの先端の幅寸法と同じである。また、シグナル端子24A、24Bの端子収容部53における凸部53gの幅寸法は、シグナル端子24Cの端子収容部53における凸部53gの幅寸法と同じである。このため、シグナル端子24A、24Bが、端子収容部53に挿入される際も、凸部53gがスリット25fに入ることが抑制され、端子挿入が容易となる。
さらに図10に示す例において、幅寸法W5は、グランド端子26の端子収容部53における凸部53gの幅寸法である。グランド端子26の端子収容部53における凸部53gは、ハウジング50の後端部が挿抜方向から観察されたときにハウジング50の後端部に現れる壁の中で、最も幅の小さい壁である。ここではスリット25fの幅寸法W3は、壁の幅寸法W5よりも小さい。これにより、各シグナル端子24が、端子収容部53に挿入される際、ハウジング50の後端部におけるどの壁もスリット25fに入ることが抑制され、端子挿入が容易となる。
スリット25fは筒部25aの先端から後方に延びる。端子収容部53の凸部53gは第1収容部53dの後端から前方に延びる。ハウジング50の後端部が挿抜方向から観察されたときに凸部53gの後端が露出する。
図10に示す例において、幅寸法W6は、スリット25fの後端部の幅寸法である。スリット25fの後端部の幅寸法W6は、スリット25fの先端部の幅寸法W3よりも大きい。
複数の弾性片25eは、複数の弾性片25eの先端部が複数の弾性片25eの後端部よりも径方向中心側に位置するように中間部で曲がっている。これにより、複数の弾性片25eの先端部における筒部25aの径は、複数の弾性片25eの後端部における筒部25aの径よりも小さい。これにより、弾性片25eの先端部において隣り合う弾性片25eの間隔が、弾性片25eの後端部において隣り合う弾性片25eの間隔よりも小さくなる。
また、ここでは、各弾性片25eにおいて、後端部の板幅は、先端部の板幅よりも小さい。これにより、弾性片25eの先端部において隣り合う弾性片25eの間隔が、弾性片25eの後端部において隣り合う弾性片25eの間隔よりも小さくなる。
また筒部本体25dには、本体側スリット25gが形成されている。本体側スリット25gは、筒部本体25dの軸方向の一端から他端まで延びる。上記のようにシグナル端子24は金属板が曲げ加工されて形成される。筒部本体25dにおける金属板の周長が、筒部本体25dの直径に対応する円の周長よりも若干短い。周方向における金属板の一端部と他端部とが、径方向に重なっておらず、周方向に離れている。これにより、周方向における金属板の一端部と他端部との間が、本体側スリット25gとされる。
<リテーナと端子との関係について>
図11から図13をさらに参照しつつ、リテーナ60とコネクタ端子21との関係について説明する。図11はリテーナ60を示す背面図である。図12はリテーナ60を示す斜視図である。図13はリテーナ60がコネクタ端子21を後ろから押える様子を説明する図である。
リテーナ60には複数の貫通孔64が形成されている。各貫通孔64は、挿抜方向に沿ってリテーナ60を貫通する。貫通孔64は、端子収容部53に対応する位置に形成されている。貫通孔64の周縁に突出筒部63が形成されている。各突出筒部63は、突出筒部本体63aを有する。シグナル端子24Bを押える突出筒部63は、突出部押え凸部63bをさらに有する。突出部押え凸部63bは突出筒部本体63aの外面から外周側に突出する。突出部押え凸部63bは、溝53hに入って突出部25cを押える。シグナル端子24A、24Cを押える突出筒部63は、突出部押え凸部63bを有していない。本例では、1つのリテーナ60において、6つのシグナル端子24の端子収容部53に対応して、4つの貫通孔64が形成されている。
4つの貫通孔64のそれぞれは、突出筒部63の中空部分65と、端子挿通用孔66と、端子押え部側スリット67を有する。突出筒部63の中空部分65は、突出筒部63の前方の開口部と後方の開口部とを結ぶ部分である。端子挿通用孔66は、挿抜方向と交差す方向において、突出筒部63の外側に位置する。端子押え部側スリット67は、挿抜方向において、突出筒部63の全長にわたって形成されている。端子押え部側スリット67は、中空部分65と、端子挿通用孔66とを連通している。
4つの貫通孔64のうち2つの貫通孔64A、64Bにおいて、1つの端子挿通用孔66が1つの突出筒部63の中空部分65と連通している。貫通孔64A、64Bにおける突出筒部63の中空部分65は、他の突出筒部63の中空部分65と仕切られている。
4つの貫通孔64のうち2つの貫通孔64C、64Dにおいて、1つの端子挿通用孔66が2つの突出筒部63の中空部分65と連通している。この2つの貫通孔64C、64Dは、共有貫通孔64C、64Dである。共有貫通孔64Cにおいて、1つの端子挿通用孔66Cが、1つの端子押え部側スリット67C1を介して1つの中空部分65C1に連通すると共に、別の端子押え部側スリット67C2を介して別の中空部分65C2とも連通する。共有貫通孔64Dにおいて、1つの端子挿通用孔66Dが、1つの端子押え部側スリット67D1を介して1つの中空部分65D1に連通すると共に、別の端子押え部側スリット67D2を介して別の中空部分65D2とも連通する。
6つのシグナル端子24は、信号線34と接続されて端子付き電線38とされた後に、4つの貫通孔64のうち自身が収まる端子収容部53に対応する貫通孔64を通じてリテーナ60を貫通する。具体的には、シグナル端子24Aと、3つのシグナル端子24Bのうちシグナル端子24Aの左隣のシグナル端子24Bとが、貫通孔64Cを通じてリテーナ60を貫通する。3つのシグナル端子24Bのうちシグナル端子24Aの右隣のシグナル端子24Bは、貫通孔64Aを通じてリテーナ60を貫通する。3つのシグナル端子24Bのうちシグナル端子24Aの下隣のシグナル端子24Bは、貫通孔64Bを通じてリテーナ60を貫通する。2つのシグナル端子24Cは、貫通孔64Dを通じてリテーナ60を貫通する。
4つの貫通孔64のそれぞれは、対応するシグナル端子24が通過可能な大きさに形成されている。4つの貫通孔64のそれぞれは、通過するシグナル端子24の中間部における最大の幅寸法より大きい。シグナル端子24の中間部における最大の幅寸法は、突出部25cにおける幅寸法である。具体的には、貫通孔64A、64Bは、シグナル端子24Bの突出部25cにおける幅寸法W1Bよりも大きい。貫通孔64Cは、シグナル端子24Aの突出部25cにおける幅寸法W1A及びシグナル端子24Bの突出部25cにおける幅寸法W1Bよりも大きい。貫通孔64Dは、シグナル端子24Cの突出部25cにおける幅寸法W1Cよりも大きい。
シグナル端子24の中間部における最大の幅寸法は、端子押え部側スリット67の幅寸法よりも大きい。シグナル端子24の中間部は、端子押え部側スリット67を通過不可とされる。
シグナル端子24の突出部25cより電線接続部25b側の最小の幅寸法又はシグナル端子24と接続される信号線34の直径は、端子押え部側スリット67の幅寸法と同じかそれより小さい。これにより、突出部25cが貫通孔64を通過した後に、シグナル端子24又は信号線34が端子押え部側スリット67を通じて、突出筒部63の中空部分65に移動することができる。ここでは、信号線34の直径は、端子押え部側スリット67の幅寸法より小さい。信号線34は、端子押え部側スリット67を通過可能とされる。
共有貫通孔64Cにおいて、端子押え部側スリット67C1と端子押え部側スリット67C2とを直線で結んだ部分に絶縁壁68Cが設けられる。絶縁壁68Cは、突出筒部63の一部である。絶縁壁68Cによって、共有貫通孔64Cを通過する2つのシグナル端子24A、24Bとの絶縁距離が確保されている。
共有貫通孔64Dにおいて、端子押え部側スリット67D1と端子押え部側スリット67D2とを直線で結んだ部分に絶縁壁68D1、68D2が設けられる。絶縁壁68D1は、突出筒部63の一部である。絶縁壁68D2は、突出筒部63とは別に設けられた壁である。絶縁壁68D2は、絶縁壁68D1の端部からZ方向下方に延びる。なお4つの貫通孔64の間は、リテーナ60の後方カバー部62で仕切られている。絶縁壁68D1、68D2によって、共有貫通孔64Cを通過する2つのシグナル端子24Cとグランド端子26との絶縁距離が確保されている。
筒状のパワー端子押え部63Pの後方の開口は、中継端子28によって塞がれる。このため、サーミスタ用電線44は、パワー端子押え部63Pの後方の開口を通じて引き出されることができない。サーミスタ用電線44は、4つの貫通孔64のいずれかを通ってリテーナ60を貫通している。例えば、一方のパワー端子22に接続されるサーミスタ42のサーミスタ用電線44は、貫通孔64Aを通じてリテーナ60を貫通する。他方のパワー端子22に接続されるサーミスタ42のサーミスタ用電線44は、貫通孔64Cを通じてリテーナ60を貫通する。
<シグナル端子の誤組防止について>
図14から図17をさらに参照しつつ、3種類のシグナル端子24A、24B、24Cの誤組防止について説明する。図14は3種類のシグナル端子24A、24B、24Cが正規の端子収容部53A、53B、53Cに収まった状態を示す概略断面図である。図15は1つの種類のシグナル端子24Aが3種類の端子収容部53A、53B、53Cに収まった状態を示す概略断面図である。図16は別の種類のシグナル端子24Bが3種類の端子収容部53A、53B、53Cに収まった状態を示す概略断面図である。図17はさらに別の種類のシグナル端子24Cが3種類の端子収容部53A、53B、53Cに収まった状態を示す概略断面図である。
3種類のシグナル端子24A、24B、24Cにおいて、上記のように、突出部25cの寸法が互いに異なっている。さらにシグナル端子24Aの筒部25aが、シグナル端子24B、24Cの筒部25aよりも長い。これらより、各シグナル端子24A、24B、24Cは、対応する端子収容部53A、53B、53C以外の端子収容部53には正規の状態で収まることが不可とされている。ここで、シグナル端子24が端子収容部53に正規の状態で収まることができないとは、シグナル端子24が端子収容部53に挿入できない場合のほか、シグナル端子24が端子収容部53に挿入された場合にリテーナ60がハウジング50に取付けられない場合も含む。
図14に示すように、各シグナル端子24A、24B、24Cが対応する端子収容部53A、53B、53Cに収まった状態で、ハウジング50にリテーナ60が取付けられると、各突出筒部63が各端子収容部53の第2収容部53eに所定の位置まで挿入される。これにより、ハウジング50及びリテーナ60が係止部において係止でき、ハウジング50及びリテーナ60が取付けられる。
図15に示すように、シグナル端子24Aは、端子収容部53B、53Cに挿入されうる。これは、シグナル端子24Aにおける最大の幅寸法が、シグナル端子24B、24Cにおける最大の幅寸法及びこれに対応する端子収容部53B、53Cの幅寸法よりも小さいためである。しかしながら、シグナル端子24Aにおける筒部25aの長さ寸法が、シグナル端子24B、24Cにおける筒部25aの長さ寸法よりも長い。このため、シグナル端子24Aは、端子収容部53B、53Cに挿入された状態で、シグナル端子24Aにおける突出部25cが突出部25cの正規の位置よりも後方側に位置する。このため、シグナル端子24Aが端子収容部53B、53Cに挿入された状態で、ハウジング50にリテーナ60が取付けられると、シグナル端子24Aが収まる端子収容部53B、53Cに対して、突出筒部63が正規の位置まで挿入できない。これにより、ハウジング50及びリテーナ60が係止部において係止できず、ハウジング50及びリテーナ60が取付けられない。このため、シグナル端子24Aの端子収容部53B、53Cへの誤組が抑制される。
図16に示すように、シグナル端子24Bは、端子収容部53Aに挿入できない。これは、シグナル端子24Bにおける最大の幅寸法が、シグナル端子24Aにおける最大の幅寸法及びこれに対応する端子収容部53Aの幅寸法よりも大きいためである。このため、シグナル端子24Bの端子収容部53Aへの誤組が抑制される。
また、シグナル端子24Bは、端子収容部53Cに挿入されうる。これは、シグナル端子24Bにおける最大の幅寸法が、シグナル端子24Cにおける最大の幅寸法及びこれに対応する端子収容部53Cの幅寸法よりも小さいためである。しかしながら、シグナル端子24Bにおける突出部25cの幅寸法が、シグナル端子24Cにおける突出部25cの幅寸法よりも大きい。このため、シグナル端子24Bが端子収容部53Cに挿入された状態で、シグナル端子24Bにおける突出部25cの後端部が、正規の位置よりも後方側に位置する。このため、シグナル端子24Bが端子収容部53Cに挿入された状態で、ハウジング50にリテーナ60が取付けられると、シグナル端子24Bが収まる端子収容部53Cに対して、突出筒部63が正規の位置まで挿入できない。これにより、ハウジング50及びリテーナ60が係止部において係止できず、ハウジング50及びリテーナ60が取付けられない。このため、シグナル端子24Bの端子収容部53Cへの誤組が抑制される。
図17に示すように、シグナル端子24Cは、端子収容部53A、53Bに挿入できない。これは、シグナル端子24Cにおける最大の幅寸法が、シグナル端子24A、24Bにおける最大の幅寸法及びこれに対応する端子収容部53A、53Bの幅寸法よりも大きいためである。このため、シグナル端子24Cの端子収容部53A、53Bへの誤組が抑制される。
上記例において、挿抜方向において、シグナル端子24Bの突出部25cの寸法が、シグナル端子24A、24Cの突出部25cの寸法より大きい。従って、挿抜方向において、第1シグナル端子24の突出部25cの寸法が、第2シグナル端子24の突出部25cの寸法より大きいとの第1の条件を満たすシグナル端子24の組合せは、シグナル端子24B、24Cの組合せ、及び、シグナル端子24A、24Cの組合せである。
また、上記例において、突出部25cの延びる方向において、シグナル端子24Cの突出部25cの寸法が、シグナル端子24A、24Bの突出部25cの寸法より大きく、シグナル端子24Bの突出部25cの寸法が、シグナル端子24Aの突出部25cの寸法より大きい。従って、突出部25cの延びる方向において、第2シグナル端子24の突出部25cの寸法が、第1シグナル端子24の突出部25cの寸法より大きいとの第2の条件を満たすシグナル端子24の組合せは、シグナル端子24A、24Bの組合せ、シグナル端子24B、24Cの組合せ、及び、シグナル端子24A、24Cの組合せである。
また上記例において、シグナル端子24A、24Bは、2つのパワー端子22を挟んで、シグナル端子24Cと逆側に配置されている。従って、第1シグナル端子24は、2つのパワー端子22を挟んで、第2シグナル端子24と逆側に配置されているとの第3の条件を満たすシグナル端子24の組合せは、シグナル端子24A、24Cの組合せ、及び、シグナル端子24B、24Cの組合せである。
上記例において、第1、第2及び第3の条件をすべて満たすシグナル端子24の組合せは、シグナル端子24B、24Cの組合せである。すなわち、挿抜方向において、シグナル端子24Bの突出部25cの寸法が、シグナル端子24Cの突出部25cの寸法より大きい。また、突出部25cの延びる方向において、シグナル端子24Cの突出部25cの寸法が、シグナル端子24Bの突出部25cの寸法より大きい。また、シグナル端子24Bは、2つのパワー端子22を挟んで、シグナル端子24Cと逆側に配置されている。
<シグナル端子の保持状態について>
図18をさらに参照しつつ、シグナル端子24の保持状態について説明する。図18は2種類のシグナル端子24A、24Bが正規の端子収容部53A、53Bに収まった状態を示す概略背面図である。
シグナル端子24Aが、端子収容部53Aに収まった状態で、挿抜方向において突出部25cの位置には、回転抑制凸部53iが設けられている。このため、シグナル端子24Aが挿抜方向に沿った軸回りに回転しようとしたとき、図18に示すように、いずれの回転方向においても、突出部25cが回転抑制凸部53iと接触し、それ以上の回転が抑制される。これにより、シグナル端子24Aの挿抜方向に沿った軸回りの回転が一回転未満に抑制される。これにより、シグナル端子24Aと接続される信号線34のねじれ量が大きくなることが抑制される。
また、回転抑制凸部53iは、端子収容部53Aにおける後端部まで連続している。そして、回転抑制凸部53iは、突出部25cよりも後端側において、シグナル端子24Aを押える突出筒部63における端子押え部側スリット67に収まる。端子押え部側スリット67が回転抑制凸部53iによって閉じられている。シグナル端子24Aは、挿抜方向に沿った軸回りに一回転未満での回転は可能とされる。この場合でも、端子押え部側スリット67が回転抑制凸部53iによって閉じられていることによって、シグナル端子24Aが挿抜方向に沿った軸回りに回転したときに、シグナル端子24A又はこれに接続される信号線34が端子押え部側スリット67に嵌ることが抑制される。
シグナル端子24Bが、端子収容部53Bに収まった状態で、図18に示すように、第1及び第2の突出部25cが、第1及び第2の溝53hにそれぞれ収容されている。これにより、シグナル端子24Bが挿抜方向に沿った軸回りに回転しようとしたときに、突出部25cが溝53hの内面に接触することによって、それ以上の回転が抑制される。シグナル端子24bの挿抜方向に沿った軸回りの回転量はわずかであり、シグナル端子24Aの挿抜方向に沿った軸回りの回転量と比べて少ない。
シグナル端子24Cについても、シグナル端子24Bと同様に、第1及び第2の突出部25cが、第1及び第2の溝53hにそれぞれ収容されることによって、挿抜方向に沿った軸回りの回転が抑制される。
シグナル端子24Aの筒部本体25dは、シグナル端子24B、24Cの筒部本体25dと比べて、挿抜方向に長い。このため、シグナル端子24Aは、筒部本体25dにおいて、シグナル端子24B、24Cよりも挿抜方向に沿った長い距離が端子収容部53に支持される。これにより、シグナル端子24Aは、挿抜方向と交差する軸回り(例えば、Y軸回り又はZ軸回り)に回転しにくい。
シグナル端子24B、24Cの筒部本体25dは、シグナル端子24Aの筒部本体25dと比べて、挿抜方向に短い。この場合でも、シグナル端子24B、24Cの突出部25cが溝53hの内面に支持される。これにより、シグナル端子24B、24Cも、挿抜方向と交差する方向に延びる軸回り(例えば、Y軸回り又はZ軸回り)に回転しにくい。
<グランド端子、ハウジング及びリテーナの関係について>
グランド端子26の相手側接続部27a及び電線接続部27bは、グランド端子側筒部及びグランド端子側電線接続部の一例である。グランド端子26は、相手側接続部27a及び電線接続部27bの間に設けられたグランド端子側中間部を有する。突出部27cは、挿抜方向に交差する方向にグランド端子側筒部よりも突出したグランド端子側の一例である。リテーナ60のグランド端子押え部63Gは、電線接続部27bに沿って延び、突出部27cをハウジング50に向けて押える。
第1及び第2の突出部27cは、第1及び第2の突出部25cとは異なり、互いに同じ向き(ここではZ方向正の側)に延びる。グランド端子押え部63Gは後方カバー部62の前面のうち、端子挿通用孔66Dの上方の周縁部に形成されている。グランド端子押え部63GはY方向に延びる平板状に形成されて、第1及び第2の突出部27cの先端部を押える。
本例では、グランド端子26も端子付き電線38とされた状態でリテーナ60を貫通可能である。図11に示すように、貫通孔64Dは、グランド端子26の端子付き電線38が挿通可能な大きさに形成されている。
<効果等>
以上のように構成された充電コネクタ10によると、筒部25aのスリット25fの幅は、ハウジング50の凸部53gなどの壁の幅より小さい。このため、シグナル端子24がハウジング50にうまく挿入されなかったときなどに、スリット25fにハウジング50の凸部53gなどの壁が入り込むことが抑制される。これにより、ハウジング50へのシグナル端子24の取付け作業が容易となる。また、シグナル端子24の板厚は、パワー端子22の板厚よりも薄い。このため、シグナル端子24は、パワー端子22よりも小さい外力で変形しやすい。この場合でも、スリット25fにハウジング50の凸部53gなどの壁が入り込むことが抑制されるため、ハウジング50の凸部53gなどの壁がスリット25fに入り込んで筒部25aを変形させることが抑制される。
また、突出部25c及び端子押え部61を用いてシグナル端子24の抜け止めがなされる。突出部25cはハウジング50及びリテーナ60によって挟まれて抜け止めがなされるため、ハウジング50へのシグナル端子24の挿入時に突出部25cを変形させたりする必要がない。
また、シグナル端子24が信号線34に接続された後にシグナル端子24付きの端子付き電線38が貫通孔64を通じてリテーナ60を通過できると共に、貫通孔64を通過したシグナル端子24がハウジング50に収容された後に端子押え部61が突出部25cに係止することができる。これにより、リテーナ60に通された後の信号線34にシグナル端子24を接続する必要がなくなり、充電コネクタ10の組立作業が容易となる。
また、貫通孔64を通じて信号線34付きのシグナル端子24がハウジング50に収まった後に、端子押え部側スリット67を通じて、突出筒部63の中空部分65にシグナル端子24の後端部分又は信号線34が挿入されることができる。また、中空部分65にシグナル端子24の後端部分又は信号線34が収まった後、リテーナ60が信号線34付きのシグナル端子24に沿って移動して、ハウジング50に取付けられることによって、突出筒部63内にシグナル端子24が収まりつつ突出筒部63の先端部が突出部25cに係止することができる。
また、共有貫通孔64Cにおいて、第1の端子押え部側スリット67C1と第2の端子押え部側スリット67C2とを直線で結んだ部分に絶縁壁68Cが設けられる。これにより、共有貫通孔64Cを介してハウジング50に挿入される複数のシグナル端子24A、24Bの絶縁距離が確保できる。共有貫通孔64Dにおいて、第1の端子押え部側スリット67D1と第2の端子押え部側スリット67D2とを直線で結んだ部分に絶縁壁68D1、68D2が設けられる。これにより、共有貫通孔64Dを介してハウジング50に挿入される複数のシグナル端子24C及びグランド端子26の絶縁距離が確保できる。
また、サーミスタ42の電線44は、貫通孔64を通ってリテーナ60を貫通している。これにより、サーミスタ42がパワー端子22と共にハウジング50に収容されても、サーミスタ42の電線44が車内側に向けて延びることができる。またパワー端子22のうち相手側接続部23aに近い位置にサーミスタ42が配置されることができ、サーミスタ42によるパワー端子22の温度の検出精度が高まる。
また、筒部本体25dには、筒部本体25dの軸方向の一端から他端まで延びる本体側スリット25gが形成されている。これにより、挿抜時に径方向に筒部25aが変形する余地がある。また、筒部25aのスリット25fの幅は、隣接する弾性片25e同士の間の幅寸法である。
また、複数の弾性片25eの後端部の幅寸法は、複数の弾性片25eの先端部の幅寸法よりも小さく、スリット25fの後端部の幅は、スリット25fの先端部の幅よりも大きい。これにより、弾性片25eと筒部本体25dとの連結部分が小さくなり、挿抜時に径方向に複数の弾性片25eが変形しやすい。
また、複数の弾性片25eの先端部における筒部25aの径は、複数の弾性片25eの後端部における筒部25aの径よりも小さい。これにより、挿抜時に複数の弾性片25eが相手側端子と接触しやすい。
[実施形態2]
実施形態2にかかる充電コネクタについて説明する。図19は第2実施形態にかかる充電コネクタ110を示す背面図である。図19において信号線34が省略されている。図20は充電コネクタ110におけるシグナル端子124を示す斜視図である。図21は充電コネクタ110におけるリテーナ160を示す背面図である。図22はシグナル端子124が端子収容部153に収まった状態を示す概略断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
充電コネクタ110において、グランド端子26及びグランド線36が省略されている。これにより、ハウジング150及びリテーナ160において、グランド端子26及びグランド線36にかかる構成が省略されている。また、充電コネクタ110において、8つのシグナル端子124が設けられている。8つのシグナル端子124は、パワー端子22を挟んで4つずつ分かれて収容される。図19の背面視において、4つのシグナル端子124の配置は、正方形の4つの頂点に対応する配置とされる。当該正方形は、1つの対角線がZ方向に沿うように45度傾いている。なお本例では、8つのシグナル端子124は、すべて同じ形状とされている。
シグナル端子124においても、弾性片125eの間にスリット25fが形成されている。また、ハウジング150においても凸部53gなどの壁が後端部に現れる。本例においても、当該スリット25fの幅寸法は、壁の幅寸法よりも小さいことによって、シグナル端子124がハウジング150に挿入される際、スリット25fに凸部53gなどの壁が嵌ることが抑制される。
図20に示すように、シグナル端子124においても、スリット25fの先端部の幅寸法は、スリット25fの後端部の幅寸法よりも小さい。また、シグナル端子124においても、弾性片125eの先端部における筒部125aの径が、弾性片125eの後端部における筒部125aの径よりも小さい。弾性片125eにおいて、先端部の幅寸法が後端部の幅寸法よりも小さい。シグナル端子124の弾性片125eにおいて、図20に示すように、先端部の幅寸法が後端部の幅寸法よりも小さい。弾性片125eの先端部における筒部125aの径が、弾性片25eの先端部における筒部25aの径よりも小さい。
シグナル端子124の突出部125cの形状は、シグナル端子24の突出部25cの形状とは異なる。シグナル端子124において、第1及び第2の突出部125cは、上記パワー端子22の突出部23c及びグランド端子26の突出部27cと同様に、互いに同じ向きに延びる。突出筒部163は、上記突出筒部63と同様に円筒状に形成されている。突出筒部163の先端部が、第1及び第2の突出部125cをハウジング150に向けて押える。図22に示すように、第1及び第2の突出部125cの先端部が突出筒部163に押えられている。
シグナル端子124も、シグナル端子24と同様に端子付き電線38とされた後にリテーナ160の貫通孔164を貫通する。第1及び第2の突出部125cは互いに同じ向きに延びるため、シグナル端子124の最大の幅寸法は、シグナル端子24の最大の幅寸法よりも小さい。このため、リテーナ160における貫通孔164も、リテーナ60の貫通孔64よりも小さい。またリテーナ160には、共有貫通孔64C、64Dは設けられず、8つのシグナル端子124に対応するように、8つの貫通孔164が形成されている。
端子収容部153において、突出部125cを収める溝53hは形成されていない。代わりに、8つの端子収容部153すべてに、端子収容部53Aと同様に回転抑制凸部53iが設けられている。突出部125cよりも後端側において、上記と同様に、回転抑制凸部53iが突出筒部163の端子押え部側スリット167に収まっている。なお、シグナル端子124の距離が近く、スペースが限られているため、8つの貫通孔164のうちY方向の中間に位置する3つの貫通孔164Aの端子押え部側スリット167Aが、他の5つの貫通孔164Bの端子押え部側スリット167Bよりも幅寸法が大きい。このため、端子押え部側スリット167Aに収まる回転抑制凸部53iは、端子押え部側スリット167Bに収まる回転抑制凸部53iよりも幅寸法が大きい。端子押え部側スリット167Aに収まる回転抑制凸部53iにおいて、小さい凸部が周方向に離れて2つ設けられることによって、当該回転抑制凸部53iの幅寸法が大きくされている。
[付記]
これまで、突出部25c及び端子押え部61によって、シグナル端子24がハウジング50から抜けることが抑制されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。突出部25c及び端子押え部61とは別に、シグナル端子24がハウジング50から抜けることを抑制する構成が設けられてもよい。例えば、シグナル端子24とハウジング50とがランス及び凹部などによって係止するように構成されていてもよい。
また、これまでシグナル端子24が信号線34に接続されて、端子付き電線38とされた後にリテーナ60の貫通孔64を通じてリテーナ60を貫通するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。信号線34がリテーナ60を貫通後に、シグナル端子24と接続されてもよい。この場合、突出筒部63に前後の開口が形成されていれば、端子挿通用孔66及び端子押え部側スリット67は省略されていてもよい。
またこれまで、共有貫通孔64C、64Dにおいて絶縁壁68C、68D1、68D2が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。共有貫通孔64C、64Dにおいて、絶縁壁68C、68D1、68D2が省略されてもよい。この場合、シグナル端子24間が遠くなるなどして絶縁壁68C、68D1、68D2がなくともシグナル端子24間の絶縁距離が確保できていてもよい。
またこれまで、サーミスタ42の電線44が貫通孔64を通ってリテーナ60を貫通するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。サーミスタ42の電線44が貫通孔64以外を通ってリテーナ60を貫通してもよい。またサーミスタ42が後方カバー部62よりも後端側に取付けられるなどして、サーミスタ42の電線44がリテーナ60を貫通する必要がないように構成されてもよい。
またこれまで、筒部本体25dに本体側スリット25gが形成されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。筒部本体25dにおいて、本体側スリット25gが形成されていなくてもよい。例えば、周方向一端部と他端部とが径方向に重なるなどして、本体側スリット25gが形成されていなくてもよい。
またこれまで、スリット25fの後端部の幅は、スリット25fの先端部の幅よりも大きいものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、スリット25fの幅は、先端部から後端部まで一定であってもよい。また例えば、スリット25fの先端部の幅は、スリット25fの後端部の幅よりも大きくてもよい。
また、複数の弾性片25eの先端部における筒部25aの径は、複数の弾性片25eの後端部における筒部25aの径よりも小さいものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、複数の弾性片25eにおける筒部25aの径は、先端部から後端部まで一定であってもよい。
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。