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JP2023009803A - ポリエステル系積層フィルム、これを用いた積層体、蓋材、容器、包装袋及び包装体 - Google Patents

ポリエステル系積層フィルム、これを用いた積層体、蓋材、容器、包装袋及び包装体 Download PDF

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JP2023009803A JP2021113389A JP2021113389A JP2023009803A JP 2023009803 A JP2023009803 A JP 2023009803A JP 2021113389 A JP2021113389 A JP 2021113389A JP 2021113389 A JP2021113389 A JP 2021113389A JP 2023009803 A JP2023009803 A JP 2023009803A
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Yohei Kageyama
智哉 香川
Tomoya Kagawa
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Hosokawa Yoko KK
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Abstract

【課題】容器本体を変形しない温度や圧力等でヒートシール可能なヒートシール性を備え、必要なシール強度を有しつつ易開封を安定して発揮できる易はく離性を有し、開封後のはく離面外観特性が優れる、ポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体を提供すること。【解決手段】結晶融解ピーク温度が190℃以上270℃以下のポリエチレンテレフタレート系樹脂を40.0質量%以上70.0質量%以下、結晶融解ピーク温度が90℃以上180℃以下の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂を5.0質量%以上30.0質量%以下、及びポリオレフィン系樹脂を20.0質量%以上30.0質量%以下含有するシール層と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を90.0質量%以上含有するサポート層と、を有する、ポリエステル系積層フィルム。【選択図】図2

Description

本発明はポリエステル系積層フィルム、これを用いた積層体、蓋材、容器、包装袋及び包装体に関するものである。
食品、医薬品などの容器包装の分野では、カップ又はトレー形状の容器本体の開封を容易にする易はく離性の蓋材を備える容器や包装体が広く利用されている。特に、食品や医薬品の容器では、容器本体及び蓋材の素材として、香味や薬効成分を吸着しにくくリサイクルして再生利用することが比較的容易な、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系等のポリエステル系樹脂が使用されている。これらポリエステル系樹脂のうち、特にポリエチレンテレフタレート系の容器としては、実質的に非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂で構成されるA-PET容器が広く使用されつつある。そして、このA-PET容器用の蓋材の開封を容易にする易はく離性の各種のフィルムが開発、製品化されている。
特許文献1には、低結晶性ポリエステル樹脂と、該ポリエステル樹脂に対して相溶性の低い樹脂との混合物からなるシール層と、ポリエステル系樹脂からなる基材層とからなる共押出フィルムを延伸してなるフィルムが記載されている。
特許文献2には、全ジカルボン酸成分及び/又は全ジオール成分中の6~40モル%が共重合成分であるポリエチレンテレフタレート系重合体と、全ジカルボン酸成分及び/又は全ジオール成分中の0.5~5モル%が共重合成分であるポリエチレンテレフタレート系重合体とを積層した、積層ポリエステルフィルムが開示されている。
特開平6―143408号公報 特開平3-47752号公報
フィルムを用いた容器や包装袋の開封を容易にしうる易はく離フィルムには、容器本体を変形しない温度や圧力等でヒートシール可能であるというヒートシール性や、必要なシール強度を有しつつ易はく離を安定して発揮できる通常4~20N/15mm幅のはく離強度となる易はく離性を有することが求められている。さらに、開封後のはく離面が均一に白化することや、容器本体のはく離面に蓋材が不均一に残存する「膜残り」や「糸引き」がなく、ヒートシール面に熱変形が発生しない、良好なはく離面の外観特性が求められている。
しかし、特許文献1に記載されているフィルムは、凝集はく離方式で易開封を達成するものであり、容器のはく離面には残った蓋材の微細な糸引き等が生じ、直接に口を当てて使用する容器の場合、口触りが悪く改良が求められていた。
また、特許文献2に記載されているフィルムは、少なくとも、必要なシール強度を有しつつ易開封性を安定して発揮できる易はく離性を有し、かつ開封後のはく離面外観特性が糸引き等のないような優れるものではなかった。
かかる状況に鑑みて、本発明の解決しようとする課題は、容器本体や包装袋を変形しない温度や圧力等でヒートシール可能なヒートシール性を備え、必要なシール強度を有しつつ易開封を安定して発揮できる易はく離性を有し、開封後のはく離面外観特性が優れる、ポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなるポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下に示されるポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体に関する。
項1: 結晶融解ピーク温度が190℃以上270℃以下のポリエチレンテレフタレート系樹脂を40.0質量%以上70.0質量%以下、結晶融解ピーク温度が90℃以上180℃以下の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂を5.0質量%以上30.0質量%以下、及びポリオレフィン系樹脂を20.0質量%以上30.0質量%以下含有するシール層と、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を90.0質量%以上含有するサポート層と、
を有する、ポリエステル系積層フィルム。
項2:前記シール層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂をさらに含有する、項1に記載のポリエステル系積層フィルム。
項3:前記熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の結晶融解ピーク温度が100℃以上135℃以下である、項1又は2に記載のポリエステル系積層フィルム。
項4:前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂を含有する、項1~3のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム。
項5:項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルムを含む積層体。
項6:項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム又は項5に記載の積層体を用いて構成された蓋材。
項7:項6に記載の蓋材を備える容器。
項8:項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム又は項5に記載の積層体を用いて構成された包装袋。
項9:項7の容器又は項8の包装袋のいずれかに内容物を充填した包装体。
本発明により、容器本体を変形しない温度や圧力等でヒートシール可能なヒートシール性を備え、必要なシール強度を有しつつ易開封を安定して発揮できる易はく離性を有し、開封後のはく離面外観特性が優れる、ポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体を提供することができる。
本発明のポリエステル系積層フィルムを用いて構成された蓋材を備える容器の一実施形態に係る概略図。 本発明のポリエステル系積層フィルムを用いて構成された蓋材を備える容器から、蓋材をはく離し開封した際の一実施形態に係る概略図。 本願明細書中の比較例に係るポリエステル系積層フィルムを用いて構成された蓋材を備える容器から、蓋材をはく離し開封した際の一実施形態に係る概略図。
以下、本発明に係るポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体を詳細に説明する。
<ポリエステル系積層フィルム>
(シール層)
本発明のポリエステル系積層フィルムにおけるシール層は、結晶融解ピーク温度が190℃以上270℃以下のポリエチレンテレフタレート系樹脂を40.0質量%以上70.0質量%以下、結晶融解ピーク温度が90℃以上180℃以下の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂を5.0質量%以上30.0質量%以下、及びポリオレフィン系樹脂を20.0質量%以上30.0質量%以下含有する。シール層に含まれる樹脂は、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}
結晶融解ピーク温度が190~270℃のポリエチレンテレフタレート系樹脂は、ポリカルボン酸成分中の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がテレフタル酸成分であるポリカルボン酸成分と、ポリオール成分中の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレングリコールであるポリオール成分とを縮重合して得られる、結晶融解ピーク温度が190~270℃の樹脂である。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカルボン酸成分は、遊離の酸、ハロゲン化物、アルキル基の炭素数が1~4であるアルキルエステル化物、アルカリ金属塩、無水物等の誘導体であってもよい。
テレフタル酸成分以外のポリカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体;マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸又はその誘導体;トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の3官能以上のカルボン酸;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
エチレングリコール成分以外のポリオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロール、2,5-ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸などの芳香族ジオール;2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキシド付加物、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール成分のアルキレンオキシド付加物;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上のポリオール;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
また、ポリカルボン酸成分及びポリオール成分以外の共重合成分として、例えば、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、没食子酸等のヒドロキシカルボン酸又はアルコキシカルボン酸;ステアリルアルコール、ヘンエイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコ―ル;ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t-ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;等からなる1種以上を用いてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の結晶融解ピーク温度は、190~270℃であり、好ましくは200℃以上、より好ましくは240℃以上であり、好ましくは265℃以下である。
結晶融解ピーク温度は、JIS K 7121に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)測定を行った際に、昇温速度10℃/分で行う第二昇温の昇温過程で検出される最大強度の吸熱ピークの温度であるか、市販品の場合はカタログ値である。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度は、特に限定されない。例えば0.50dl/g以上、好ましくは0.60dl/g以上、より好ましくは0.70dl/g以上であり、例えば0.95dl/g以下、好ましくは0.92dl/g以下、より好ましくは0.90dl/g以下である。
固有粘度は、フェノール:テトラクロロエタン=1:1の混合溶媒にポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶解させ、25℃にてウベローデ型粘度計で測定したものである。
固有粘度が0.70dl/g未満では、製膜工程での溶融粘度の低下傾向が強くなり、例えば、インフレーション製膜時等において、径が安定したチューブ状のバブルを形成し難くなるおそれがあり、キャスト製膜時に、ドローダウンやネックインが発生し易くなるおそれがある。固有粘度が0.90dl/gを超えると、溶融粘度が高くなり、例えば、フィードブロックを装備する多層キャスト製膜機による製膜時に、粘度が高くなりすぎてダイス幅方向の端部まで拡がらないおそれがある。
シール層におけるポリエチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、シール層全体に対して、例えば40.0質量%以上、好ましくは43.0質量%以上、より好ましくは47.0質量%以上であり、例えば70.0質量%以下、好ましくは65.0質量%以下、より好ましくは60.0質量%以下である。40.0質量%未満の場合、シール層のはく離強度が著しく低下し、実用上の密封が保証できなくなるおそれがある。一方、70質量%を超えると、はく離強度が過剰に高くなるため好ましくない。
{熱可塑性共重合ポリエステル樹脂}
結晶融解ピーク温度が90~180℃の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸成分と、ポリオール成分とを、縮重合して得られる、結晶融解ピーク温度が90~180℃の樹脂である。熱可塑性共重合ポリエステル樹脂は、結晶融解ピーク温度の点で、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリブチレンテレフタレート系樹脂と区別することができる。熱可塑性共重合ポリエステル樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の重縮合に際して用いられるポリカルボン酸成分は、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}において記載したポリカルボン酸成分から選ばれる1種以上が挙げられる。また、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の重縮合に際して用いられるポリオール成分は、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}において記載したポリオール成分から選ばれる1種以上が挙げられる。これらのポリカルボン酸成分及びポリオール成分は、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の結晶融解ピーク温度が90~180℃となるように選ばれる。
熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の結晶融解ピーク温度は、90~180℃であり、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下である。結晶融解ピーク温度が90℃未満であると、ヒートシール時の耐衝撃性が低下するおそれがあり、180℃を超えると、低温ヒートシール性が悪化するおそれがある。熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の結晶融解ピーク温度が150℃以下の場合、ヒートシール性が良好であり、容器又は包装袋に内容物を充填密封する工程をハイサイクル化でき、包装体の生産効率を上げることができる。
結晶融解ピーク温度が90~180℃の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の市販品としては、東洋紡社製のバイロン(登録商標)シリーズ、イーストマンケミカル社製のPETG(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
ここで、結晶融解ピーク温度は、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}において記載した方法により得られるものである。
シール層における熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の含有量は、シール層全体に対して、例えば5.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上であり、例えば30.0質量%以下、好ましくは27.0質量%以下、より好ましくは25.0質量%以下である。5.0質量%未満の場合、ヒートシール強度及びはく離強度が低すぎて好ましくない。一方、30質量%を超えるとはく離強度が過剰となり、また、フィルムがブロッキング(互着)しやすくなり加工工程でロールとして取り扱うことが困難になるおそれがある。
{ポリオレフィン系樹脂}
ポリオレフィン系樹脂は、炭素数2~20のα-オレフィンの1種以上を重合して得られる樹脂である。例えば、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、ポリエチレン系樹脂、特に、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体であり、線状低密度ポリエチレンとも呼ばれるエチレン-αオレフィン共重合体が好ましい。α-オレフィン側鎖同士が絡み合うため衝撃印加時の弾性に優れるからである。
炭素数3~20のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンからなる群より選ばれる1種以上である。エチレンと炭素数3~20のαオレフィンとの共重合体を製造する際に用いられる触媒は、特に限定されない。例えば、チグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。本発明においては、分子量分布が狭い線状低密度ポリエチレンが容易に得られ、耐衝撃性に優れることから、メタロセン触媒を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されない。例えば0.900g/cm以上、好ましくは0.913g/cm以上であり、例えば0.968g/cm以下、好ましくは0.920g/cm以下、より好ましくは0.917g/cm以下である。密度が0.900g/cm未満であると、ポリエステル系積層フィルムがブロッキングしやすくなる傾向がある。密度が0.920g/cmを超えると、シール層の透明性が低下して包装体の内容物視認性が低下するとともに剛性が増し、はく離時の感触が重く感じられる場合が生じるおそれがある。また、主としてエチレンからなる低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び高密度ポリエチレン樹脂においては、それぞれ0.900g/cm以上~0.930g/cm未満、0.930g/cm以上~0.942g/cm未満及び0.942g/cm3以上~0.968g/cm以下であり、ポリプロピレン樹脂においては、0.90以上~0.91g/cm未満である。本発明においては、いわゆる、線状低密度ポリエチレンと称されるものが好適である。なお、密度はJIS K 7112における密度勾配管法に従って測定した値であるか、市販品の場合はカタログ値である。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)は、特に限定されない。例えば0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、20.0g/10分以下、好ましくは15.0g/10分以下である。MFRが1.5g/10分未満又は20.0g/10分を超える場合には、シール層形成時の溶融混練時に、ポリオレフィン系樹脂が均一に混合しないおそれがある。
シール層におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、シール層全体に対して、例えば20.0質量%以上、好ましくは22.0質量%以上、より好ましくは24.0質量%以上であり、例えば30.0質量%以下、好ましくは28.0質量%以下、より好ましくは26.0質量%以下である。20.0質量%未満の場合、包装体から蓋材や包装袋をはく離した際に、シール層のはく離様態が脆性的となり、はく離や開封途中でポリエステル系積層フィルムが破断したり部分的な膜残りが生じたりするおそれがある。一方、30.0質量%を超える場合、実用上で十分なシール強度が得られないばかりか、はく離や開封時に糸引きが生じるおそれがある。
{ポリブチレンテレフタレート系樹脂}
本発明のポリエステル系積層フィルムにおけるシール層には、さらにポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有していてもよい。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ポリカルボン酸成分中の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がテレフタル酸成分であるポリカルボン酸成分と、ポリオール成分中の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がテトラメチレングリコール(別名1,4-ブタンジオール)であるポリオール成分とを縮重合して得られる樹脂である。ポリカルボン酸成分は、遊離の酸、ハロゲン化物、アルキル基の炭素数が1~4であるアルキルエステル化物、アルカリ金属塩、無水物等の誘導体であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂の縮重合に用いられる、テレフタル酸成分及びテトラメチレングリコール成分以外の、ポリカルボン酸成分及びポリオール成分としては、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}に記載したポリカルボン酸成分及びポリオール成分が挙げられる。
シール層にポリブチレンテレフタレート系樹脂が含有されている場合、シール層の耐ピンホール性及び耐候性が向上する。また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりも加水分解性が低いことから、シール層の製膜工程における予備乾燥等の処理が容易になる。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂の結晶融解ピーク温度は、特に限定されず、例えば215~230℃である。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度は、特に限定されず、例えば0.85~1.20dl/gである。固有粘度が0.85dl/g未満又は1.20dl/gを超える場合には、シール層の製膜工程における高温溶融混練時に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂との溶融粘度差が不適当となり、両者の混練均一性が低下するおそれがある。
ここで、結晶融解ピーク温度及び固有粘度は、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}において記載した方法により得られるものである。
シール層におけるポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は、シール層全体に対して、例えば0質量%以上、好ましくは3.0質量%以上であり、例えば10.0質量%以下、好ましくは7.0質量%以下である。ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が0~10.0質量%の範囲の場合、シール層の耐ピンホール性、低温ヒートシール性、はく離強度のバランスが優れるものなる。10.0質量%を超える場合、はく離強度が著しく低下し実用上の密封が保証できず好ましくない。
{その他の成分}
シール層には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤(シリカ、ゼオライト、タルク等の無機粒子、シリコーン樹脂や(メタ)アクリル樹脂等の有機樹脂粒子等)、防曇剤、着色剤(有機顔料、無機顔料等)、紫外線吸収剤、分散剤ならびに充填剤(タルク、炭酸カルシウム等)等が挙げられる。
(サポート層)
本発明のポリエステル系積層フィルムにおけるサポート層は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を90質量%以上含有する。サポート層に用いられるポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、{ポリエチレンテレフタレート系樹脂}において記載したものと同様のものが挙げられる。サポート層に含有されるポリエチレンテレフタレート系樹脂と、ヒートシール層に含有されるポリエチレンテレフタレート系樹脂は、互いに同一であっても異なっていてもよい。本発明においては、製造コストの低減やリサイクル性の観点から、サポート層及びヒートシール層に含有されるポリエチレンテレフタレート系樹脂が同じであることが好ましい。
サポート層には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の樹脂や添加剤が10質量%未満含まれていてもよい。
樹脂としては、90質量%以上含有されるポリエチレンテレフタレート系樹脂以外の樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
添加剤としては、特に限定されず、例えば、<シール層>において記載した各種添加剤の1種以上が挙げられる。
(ポリエステル系積層フィルムの構成)
本発明のポリエステル系積層フィルムの層構成は、特に限定されない。例えば、(1-1)~(1-4):
(1-1)シール層/サポート層
(1-2)シール層/サポート層/その他の層
(1-3)シール層/中間層/サポート層
(1-4)シール層/サポート層/中間層/その他の層
等の層構成とできる。
その他の層は、耐熱性樹脂層(例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂層)とすることができ、共押出製膜等の手段で形成することができる。この場合、ポリエステル系積層フィルムをそのまま用いて容器や包装袋を形成した場合、ヒートシール装置と接する層が耐熱性樹脂層となることから、容器や包装袋製造時におけるヒートシール温度の選択範囲を広くできる。なおシール層/サポート層の構成が、後述の好ましい厚みに制御しやすく、かつ後述の製造方法において工数を少なくできるので好ましい。
中間層は、印刷層、接着層、プライマー層、蒸着層等からなる群より選ばれる1種以上の層とすることができる。
本発明のポリエステル系積層フィルムの厚さは、特に限定されない。
ポリエステル系積層フィルムの厚さは、例えば5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、例えば200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。厚さが5μm以上200μm以下の範囲の場合、柔軟性と剛性の調和がとれたフィルムとすることができ、実用的なヒートシール性を有し、包装体から蓋材や包装袋を容易にはく離できる易はく離性に優れたものとできる。
本発明のポリエステル系積層フィルムにおいて、ポリエステル系積層フィルムの全厚を100%とした場合の、シール層とサポート層の厚さの割合は、特に限定されない。シール層の厚さは、例えば5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、例えば50%以下、好ましくは40%以下である。また、サポート層の厚さは、例えば40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であり、例えば95%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。
シール層が5%未満と薄い場合、例えば、製膜時にシール層が均一に吐出されないおそれがあり、その場合は、サポート層と容器本体等との直接溶着となる部分が発生し得ることから溶着強度が強くなりすぎて易はく離できなくなるおそれがある。
シール層が40%を超えて厚い場合、例えば、蓋材として使用した際、はく離時に本来起こるべきシールエッジでのシール層とサポート層の層間はく離が開始した後、シール層の容器本体内壁側のエッジでの破断が起きずにシール層とサポート層の層間はく離が続き、シール層の一部が薄皮のように残り、中身が取り出せないおそれが生じる。これは図2のようにならず、シール層1が容器本体3の側に残ってしまう状態の事である。
なお、サポート層厚さの割合が大きい方が、ポリエステル系積層フィルムを安定的に製膜でき、その後の巻き取り等のハンドリング性も良好である。
<積層体>
本発明の積層体は、ポリエステル系積層フィルムを含むものである。例えば、ポリエステル系積層フィルムのサポート層におけるシール層が形成されてない面に、基材層を設けたものが挙げられる。基材層は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の無延伸、1軸延伸又は2軸延伸フィルム;それらのフィルムに、アルミニウム、シリカ、アルミナ等を蒸着したガスバリアフィルム;紙;アルミニウム箔等の金属;等からなる1種以上の層を含んでいてもよい。また、基材層は、必要に応じて、互いに同一又は異なる基材層を2層以上有していてもよい。これらの基材層には、着色、印刷等の加工を施すことができ、意匠性、ガスバリア性、遮光性、耐ピンホール性、耐カール性等に優れた包装袋が提供できる。とりわけ、後述するモノマテリアル化の観点から、基材層は、ポリエステル系樹脂のフィルムが好ましい。
ポリエステル系積層フィルムと基材層の間や複数の基材層の間に中間層を設けてもよい。ここで、中間層は、印刷層、接着層、プライマー層、蒸着層等からなる群より選ばれる1種以上の層とすることができる。
本発明の積層体の層構成は特に限定されない。例えば、(2-1)~(2-4):
(2-1)ポリエステル系積層フィルム/基材層
(2-2)ポリエステル系積層フィルム/中間層/基材層
(2-3)ポリエステル系積層フィルム/中間層/中間層/基材層
(2-4)ポリエステル系積層フィルム/基材層/中間層/基材層
等の層構成とできる。
<ポリエステル系積層フィルム及び積層体の製造方法>
ポリエステル系積層フィルム及び積層体の製造方法は、特に限定されない。
ポリエステル系積層フィルム及び積層体の各層を構成する樹脂又は樹脂組成物の調製に際しては、構成成分を同時にあるいは逐次的に混合することで行われる。例えば、各構成成分を、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合後、製膜機に直接投入する方法、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合後、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダ等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
ポリエステル系積層フィルムの製造方法としては、例えば、シール層及びサポート層を構成する各樹脂成分を、多層のTダイ成形機や多層のインフレーション成形機に投入して共押出する共押出法、サポート層の少なくとも一方の面に、シール層を構成する樹脂成分等を溶融押出ラミネートする溶融押出ラミネート法、シール層及びサポート層をそれぞれ形成した後にドライラミネーションするドライラミネーション法等が挙げられる。なかでも多層Tダイ又は多層インフレーション成形機による共押出法は、工数が少なく簡便で層間の接着強度が十分に高くできるので好ましい。
積層体の製造方法としては、例えば、ポリエステル系積層フィルムに、ドライラミネーション法で基材層を積層する方法、溶融ポリエチレン等を介し、サンドイッチラミネーションにより基材層を積層する方法、ポリエステル系積層フィルムを、基材層上に多層押出ラミネートして積層する方法、積層体を構成する全層を共押出する方法等が挙げられる。なかでもドライラミネーション法は、薄い接着剤を介してこれら基材層等を積層することができるので、高いモノマテリアル率(同系統の材料の構成率;本発明においては積層体に含まれるポリエチレンテレフタレート系樹脂及び熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の合計の質量%)を達成するためにはとても好ましい。
<蓋材、容器及び包装体>
本発明の蓋材は、ポリエステル系積層フィルム又はポリエステル系積層フィルムを積層した積層体を用いて構成される。また、本発明の容器は、例えば、本発明の蓋材と、蓋材と密着可能な形状のフランジ等の溶着部及び食品等の内容物を収容する収容部を有する容器本体とから構成される。容器本体の形状は特に限定されない。例えば、カップ状、トレー状等の任意の形状とすることができる。また、容器に設けられる溶着部の位置は特に限定されない。例えば、容器本体の天面に設けることができる。
蓋材と容器本体とは、収容部に内容物を収容した後に、蓋材のシール層側と、容器本体の溶着部とが接する状態でヒートシールされる。なお、開封時のはく離開始部として、蓋材の一部を容器本体の溶着部から突出させる、あるいは未シール部分を設けることで、ヒートシールしていない「タブ」とよばれる把持部を設けておくことが実用上好ましい。
容器本体を形成する材料としては特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、これらの樹脂の複合体等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。これらのうち、ポリエステル系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。本発明のポリエステル系積層フィルム又は積層体を蓋材に適用する際、リサイクル性の観点から、同一素材であるポリエステル系樹脂、特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂から形成される容器本体を用いることが好ましい。
本発明の包装体の一態様は、内容物を容器本体の収容部に充填又は収容した後、容器本体の接着部にシール層が接触するように蓋材を設置して容器本体の開口部を覆い、蓋材と容器本体とを熱板、高周波誘電加熱、超音波加熱などを用いてヒートシールして密封することにより形成することができる。
このような容器の例を図1に示す。図1では、シール層1とサポート層2からなるポリエステル系積層フィルムをそのまま蓋材として用いているものであり、容器本体3とシールされている状態を表している。また開封の際、蓋材を指で把持するためのタブ4を設けている。
本発明の包装体は、容器から蓋材をはく離して開封した場合、蓋材のシール層とサポート層の界面ではく離が生じ、蓋材をはく離した後の容器本体の溶着はく離面にシール層が白化して均一に残存される所謂“層間はく離”の様態を示し、はく離面が好ましく白化する。このような均一なはく離は、蓋材のはく離前には容器本体と蓋材とが確実にシールされていたことの証明となるとともに、開封されたことの証明ともなる。このようにはく離痕からシール状態を確認できる改ざん防止性は、食品包装や医療包装分野において非常に有用である。
図2に示すように、容器は、開封する場合においてシール層1とサポート層2との層間ではく離して開封される。シール層2は容器本体3とシールされていることから、容器本体3側に残るためこのようになる。またシールのエッジでシール層2は破断するので、適切に開封できる。こうしてできたAで示す界面はく離面は、糸引き等がなく口触りがよい状態となる。一方、図3で示す従来例であり比較例でもある蓋材の場合は、Bで示す凝集はく離面に糸引き等が発生する場合があり、容器から直接内容物を食する場合に口触りがよくない状態となる。
また、本発明のポリエステル系積層フィルムは、蓋材として用いることは勿論のこと、容器本体の内壁や、容器本体の溶着部として使用することもできる。その場合の蓋材のシール面は反対に、一般的なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムで構わないし、本発明のポリエステル系積層フィルムでも構わない。一般的なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのほうが、シールした箇所における厚み方向のはく離層間が1つである分、層間移動の余地がないため外観が好ましくなりやすい。
<包装袋及び包装体>
本発明の包装袋は、ポリエステル系積層フィルム又はポリエステル系積層フィルムを積層した積層体のシール層同士をヒートシールして形成されたもので、ヒートシールしたシール層側のシール部を容易にはく離することができる。
包装袋の形態は、特に限定されず、三方袋、合掌袋、ガセット袋、底を配した自立袋やスパウトや口栓を有する袋等が挙げられる。三方袋等のスパウトや口栓が無い袋の場合、開封時のはく離開始部には、ヒートシールしていない「タブ」とよばれる把持部を設けておくことが実用上好ましい。
また、ポリエステル系積層フィルムを基材の表裏に配し積層した積層体を作製し、それを筒状にして重なり合った表裏をヒートシールして得られる包装袋や、ポリエステル系積層フィルムの端部を重ねて表裏でヒートシールして得られる包装袋等の、所謂“封筒貼り状”の包装袋としてもよい。この形態は、合掌袋の包装体のヒートシール部のように剛直な突起状にならず、使用時に手を傷つける危険が少ないばかりか、包装袋用材料の使用面積を少なくでき環境負荷を低減できる。
また、本発明のポリエステル系積層フィルムは、シール層が熱可塑性共重合ポリエステル樹脂及びポリオレフィン系樹脂を含有していることで、包装袋を形成した際に、包装袋の易開封性や耐衝撃性を向上させることが可能となる。
本発明の包装体の他の態様は、包装袋に内容物を充填し、包装袋の開口部をヒートシールすることにより形成される。また、包装袋の開口部にスパウトを載置してヒートシールし、スパウトを介して内容物を充填して包装体としてもよい。
<用途>
本発明のポリエステル系積層フィルム、積層体、蓋材、容器、包装袋、及び包装体は、優れた易はく離性又は易開封性を有するとともに、密封性と保香性に優れている。このため、易開封性、密封性及び保香性が求められる用途、例えば、茶、コーヒー、調味料、香辛料、香料、ハム、燻製、豆腐、プリン、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、お菓子等の食品;防虫剤、芳香剤、入浴剤、香水、化粧水等の化成品;薬、輸液、血液製剤等の医薬品等を被包内容物とした包装用フィルム、蓋材、容器、包装袋、包装体として好適である。また、本発明のポリエステル系積層フィルムはシーラントフィルムとしても好適に使用できる。
特に、易はく離性を有しながら、はく離面の表面が平滑となるため、はく離面外観が良好で指触りや舌触りが良好となる。さらに、内容物を密封するヒートシール温度を、通常の包装用フィルムに用いられるポリエチレン素材のものと同程度の低い温度領域に設定できる。
また、本発明のポリエステル系積層フィルムと基材層とを含む積層体において、透明な基材層を用いた場合、内容物の視認が容易である。また、基材層に印刷、着色、蒸着等を施して、意匠性、バリア性、遮光性、耐ピンホール性、耐カール性等を付与することができるので、多種の用途に好適に用いることができる。特に、基材層としてポリエステル系フィルムを用いると、実用的な易はく離性、易開封性、ヒートシール性及び保香性を有しつつ、単一素材性が高くリサイクルによる再生利用が可能な蓋材、容器、包装袋及び包装体を提供できる。
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これらに限定されない。
<樹脂・樹脂フィルム>
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET):
「CR8816」(華潤社製、固有粘度=0.810dl/g、結晶融解ピーク温度=247℃)
・熱可塑性共重合ポリエステル樹脂(coPET):
「バイロン(登録商標) GM913」(東洋紡社製、結晶融解ピーク温度=126℃)
・ポリブチレンテレフタレート系樹脂(PBT):
「500FP」(ポリプラスチック社製、固有粘度=0.875dl/g、結晶融解ピーク温度=225℃)
・ポリオレフィン系樹脂:
エチレン-αオレフィン共重合体(LLD)であるエチレン-ヘキセン共重合体、「エボリュー(登録商標) SP1510」(プライムポリマー社製、密度=0.915g/cm、MFR=1.0g/10分)
・2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET):
「東洋紡エステル(登録商標)フィルム E5100」(東洋紡社製、厚み12μm)
[実施例1~4、比較例1~6]
<ポリエステル系積層フィルム及び積層体の作製>
実施例1~4及び比較例1~5として、各種樹脂を表1に示した組成でヘンシェルミキサーにて混合し、シール層形成成分及びサポート層形成成分を調製した。これらを2層のTダイ成形機のホッパーに投入し、ダイス温度285℃で製膜して、表1に示した構成のシール層及びサポート層を有するポリエステル系積層フィルムを得た。なお、厚みはシール層が15μm、サポート層が45μm、総厚みは60μmであった。該フィルムのシール層と反対側、すなわちサポート層の表面にコロナ処理を施し、基材層として厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製:T4102)を用意し、これにウレタン系接着剤(ロックペイント社製:RU-40)を固形分平均3.1g/mになるように塗布し、乾燥させた後、圧力3.5kgf/cmの圧力でニップしてドライラミネートし、40℃、3日間のエージングを行って積層体を形成し、蓋材及び包装体作製用のサンプルとした。
なお、比較例6として、PET70質量%とLLD30質量%のみでシール層を調整したが、製膜時に膜割れが生じて積層フィルムを作製することができなかった。
Figure 2023009803000002
<ポリエステル系積層フィルムの蓋材としての評価>
実施例1~4及び比較例1~5のポリエステル系積層フィルムを、それぞれ20mm幅に切断した。切断した各ポリエステル系積層フィルムと、容器本体として想定する20mm幅に切断したA-PETシート(厚さ300μm、帝人社製、「テイジンテトロンシート」)を、ポリエステル系積層フィルムのシール層がA-PETシートに接するように重ね合わせた。
シール圧力を0.2MPa、シール時間を1秒、シール温度を160℃、180℃又は200℃として、熱板によるポリエステル系積層フィルムのサポート層側からの片面加熱でヒートシールを行って蓋材としての評価用サンプルを得た。
得られた蓋材としての評価用サンプルについて、以下の方法により、はく離強度及びはく離面外観を評価した。結果を表2に示す。
(はく離強度)
各蓋材としての評価用サンプルについて、ヒートシールした20mm幅のサンプルの両端を切断し、15mm幅のはく離強度測定用試験片を得た。この試験片を温度23℃、相対湿度50%環境下で24時間以上静置し、状態調節を行った。状態調節後にJIS Z 0238に準じて引張試験機を用いて、はく離速度300mm/分で90°はく離を行い、15mm幅あたりのはく離強度を測定した。
(はく離面外観)
はく離強度の測定に使用した試験片のはく離面を目視観察し、次の2段階で評価した。糸引きがある状態が、概ね図3で示したはく離の状況である。
○:はく離面の白化が均一であり、糸引き、膜残り、A-PETフィルムやサポート層の熱変形がない。
×:はく離面の白化が不均一である、糸引きがある、膜残りがある、及びサンプルが熱変形する、の1つ以上が発生している。
Figure 2023009803000003
<ポリエステル系積層フィルムの包装袋としての評価>
実施例1~4及び比較例1~5のポリエステル系積層フィルムを、20mm幅に切断したものを2枚ずつ用意した。切断した各ポリエステル系積層フィルムのシール層同士が接するように重ね合わせた。
シール圧力を0.2MPa、シール時間を1秒、シール温度を140℃、160℃又は180℃として、熱板による片面加熱でヒートシールを行って包装袋としての評価用サンプルを得た。
得られた包装袋としての評価用サンプルについて、以下の方法により、はく離強度及びはく離面外観を評価した。結果を表3に示す。
(はく離強度)
各包装袋としての評価用サンプルについて、ヒートシールした20mm幅のサンプルの両端を切断し、15mm幅のはく離強度測定用試験片を得た。この試験片を温度23℃、相対湿度50%環境下で24時間以上静置し、状態調節を行った。状態調節後にJIS Z 0238に準じて引張試験機を用いて、はく離速度300mm/分で90°はく離を行い、15mm幅あたりのはく離強度を測定した。
(はく離面外観)
はく離強度の測定に使用した試験片のはく離面を目視観察し、次の2段階で評価した。
○:はく離面の白化が均一であり、糸引き、膜残り、A-PETフィルムやサポート層の熱変形がない。
×:はく離面の白化が不均一である、糸引きがある、膜残りがある、及びサンプルが熱変形する、の1つ以上が発生している。
Figure 2023009803000004
表2及び表3から明らかなように、実施例1~4に係る本発明のポリエステル系積層フィルムは、蓋材の場合には160~200℃でのヒートシールで、包装袋の場合には140~180℃でのヒートシールで、ヒートシール適正温度が広い範囲で、易はく離性を有しながら実用上十分なはく離強度(4~20N/15mm)とすることができる。さらに、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を90.0質量%以上含有するサポート層やA-PETシートを変形させることがなかった。そして、容易にはく離可能であり、ポリエステル系積層フィルムのサポート層とシール層との間での糸引き、膜残りがなく、外観が良好であった。
比較例1~5に係るポリエステル系積層フィルムを蓋材とした場合、表2の比較例の3の160℃、比較例の4の160℃以外ははく離面外観に問題が発生した。なお外観に問題が生じなかったものは、そもそも十分にシールがされず、結果としてポリエステル系積層フィルムとA-PETの界面ではく離したからである。さらに、表2の比較例1~2(シール層のエチレン-αオレフィン共重合体含有割合が10質量%以下)では、はく離強度が著しく増加し、実用上の易はく離性に問題が生じ、はく離面に糸引きが散見された。また、比較例4では、必要なシール強度を有しつつ易はく離を安定して発揮できるという強度とはならなかった。
比較例1~5に係るポリエステル系積層フィルムを包装袋とした場合、表3の比較例の2の140℃以外ははく離面外観に問題が発生した。さらに、表3の比較例4では、はく離面に糸引きが散見された。
以上のように本発明のポリエステル系積層フィルム、それを用いた積層体、蓋材、容器、包装袋及び包装体は優れた易開封性を有する。また積層体を構成する基材層や中間層にポリエステル系の樹脂を適用した場合には、国連が掲げたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に準じ、「モノマテリアル」と呼ばれるリサイクル適性の高い単一素材を主成分とする包装材とすることができる。
1 シール層
2 サポート層
3 容器本体
4 タブ
A 界面はく離面
B 凝集はく離面

Claims (9)

  1. 結晶融解ピーク温度が190℃以上270℃以下のポリエチレンテレフタレート系樹脂を40.0質量%以上70.0質量%以下、結晶融解ピーク温度が90℃以上180℃以下の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂を5.0質量%以上30.0質量%以下、及びポリオレフィン系樹脂を20.0質量%以上30.0質量%以下含有するシール層と、
    ポリエチレンテレフタレート系樹脂を90.0質量%以上含有するサポート層と、
    を有する、ポリエステル系積層フィルム。
  2. 前記シール層は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂をさらに含有する、請求項1に記載のポリエステル系積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の結晶融解ピーク温度が100℃以上135℃以下である、請求項1又は2に記載のポリエステル系積層フィルム。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルムを含む積層体。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム又は請求項5に記載の積層体を用いて構成された蓋材。
  7. 請求項6に記載の蓋材を備える容器。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル系積層フィルム又は請求項5に記載の積層体を用いて構成された包装袋。
  9. 請求項7の容器又は請求項8の包装袋のいずれかに内容物を充填した包装体。
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