特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年6月4日、米国オレゴン州スプリングフィールドのセイクリッド ハート メディカル センター病院において、キャスリーン ヤン医師が行った腹式子宮摘出および両側卵管卵巣摘出の外科的処置において、シアゾン ケヴィンらが発明した電気手術システムが使用された
一般的に、組織を最適にシール又は溶解するように構成された電気手術ジェネレータと取外し可能に連結された電気手術器具とを含む電気手術システムを提供する。RFエネルギは、組織をシールするのに適切なRFエネルギを提供するように構成された電気手術ジェネレータによって供給される。様々な実施形態によるジェネレータは、特定的に接続された電気手術器具、器具に接触する特定の組織、及び/又は特定の外科手順のための適切なRFエネルギ及びRFエネルギを送出する適切な方式を決定する。作動的には、ジョー間の組織のRFシール又は溶解は、シール時間及び/又は熱拡散を低減するように提供される。
様々な実施形態により、電気手術システムは、RFエネルギスパイクを与えるために短い持続時間にわたって高電圧を有するRFエネルギを印加する。その後に、電気手術システムは、RFエネルギを印加し続けながら供給RFエネルギの電圧を低減する。電気手術システムはまた、短絡又は開条件を検出するために供給RFエネルギを継続的にモニタする。システムはまた、高電圧RFエネルギスパイクから低減電圧RFエネルギ供給へのシフトと、組織又は血管溶解又はシールの決定と、それによるRFエネルギの供給を停止又は終了とを決定する。
図1~図2を参照すると、電気手術ジェネレータ10と取外し可能に接続可能な電気手術器具20とを含む電気手術システムの例示的実施形態が示されている。電気手術器具20は、ジェネレータ上のツール又はデバイスポート12に至るケーブル式接続30を通じてジェネレータに電気的に接続することができる。電気手術器具20は、例えば、溶解又は切断作動の開始及び/又は終了のような器具の特定の予め決められたステータスをユーザに知らせる音声、触覚、及び/又は視覚インジケータを含むことができる。他の実施形態では、電気手術器具20は、別の外科手順のために再使用可能及び/又は別の電気手術ジェネレータに接続可能とすることができる。一部の実施形態では、ハンド又はフットスイッチのような手動コントローラは、溶解又は切断作動を開始するためのような器具の予め決められた選択的制御を可能にするためにジェネレータ及び/又は器具に接続可能とすることができる。
様々な実施形態により、電気手術ジェネレータ10は、無線周波数(RF)電気手術エネルギを発生するようにかつジェネレータに電気的に接続された電気手術器具20からデータ又は情報を受信するように構成される。ジェネレータ10は、一実施形態では、RFエネルギ(例えば、350kHzでの375VA、150V、5A)を出力し、かつ一実施形態では、RFエネルギの電流及び/又は電圧を測定するように及び/又はRFエネルギの起動又は供給中にRFエネルギの電力又はRF出力電圧とRF出力電流の間の位相角又は差を計算するように構成される。ジェネレータは、電圧、電流、及び/又は電力を調整し、かつRFエネルギ出力(例えば、電圧、電流、電力、及び/又は位相)をモニタする。一実施形態では、ジェネレータ10は、デバイススイッチがアサート停止される(例えば、溶解ボタンが解除される)、時間値が満足される、及び/又はアクティブ位相角、電流、電圧、又は電力、及び/又はその変化が停止値、閾値、又はそれに対する条件及び/又は変化よりも大きい、小さい、又はそれに等しい時のような予め定められた条件下でRFエネルギ出力を停止する。
電気手術ジェネレータ10は、少なくとも1つの改良型双極ツールポート12、標準双極ツールポート16、及び電力ポート14を含む。他の実施形態では、電気手術ユニットは、異なる数のポートを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、電気手術ジェネレータは、2よりも多いか又は少ない改良型双極ツールポート、より多い又は少ない標準双極ツールポート、及びより多い又は少ない電力ポートを含むことができる。一実施形態では、電気手術ジェネレータは、2つのみの改良型双極ツールポートを含む。
様々な実施形態により、各改良型双極ツールポート12は、取り付けられた又は一体化されたメモリモジュールを有する電気手術器具に連結されるように構成される。標準双極ツールポート16は、改良型双極ツールポート12に接続可能な改良型双極電気手術器具とは異なる非専用双極電気手術ツールを受け入れるように構成される。電力ポート14は、非専用双極電気手術ツール及び改良型電気手術器具とは異なる直流(DC)付属品デバイスを受け入れる又はそれに接続されるように構成される。電力ポート14は、直流電圧を供給するように構成される。例えば、一部の実施形態では、電力ポート14は、約12ボルトDCを提供することができる。電力ポート14は、人工呼吸器、ポンプ、ライト、又は別の手術付属品のような手術付属品に給電するように構成することができる。すなわち、標準又は非専用双極ツールのための電気手術ジェネレータを置換することに加えて、電気手術ジェネレータは、手術付属品電源を置換することもできる。一部の実施形態では、既存のジェネレータ及び電源を電気手術ジェネレータで置換することは、手術作業空間に必要とされる幹線電力コードの数でのストレージラックカード又は棚上で必要とされるストレージ空間の量を低減することができる。
様々な実施形態により、電気手術ジェネレータ10は、ディスプレイ15を含むことができる。ディスプレイは、他の情報の中でもとりわけ、1又は2以上の電気手術器具及び/又は付属品、コネクタ、又はそれへの接続のステータスを含む電気手術システムのステータスを示すように構成することができる。
様々な実施形態による電気手術ジェネレータは、複数のボタン17のようなユーザインタフェースを含むことができる。ボタンは、例えば、電気手術ジェネレータに連結された1又は2以上の器具に供給される電気エネルギの増加又は低減を要求することのような電気手術ジェネレータとのユーザ対話を可能にすることができる。他の実施形態では、ディスプレイ15は、タッチスクリーンディスプレイとすることができ、すなわち、データ表示及びユーザインタフェース機能性を統合する。一実施形態では、電気手術ツール又は器具20は、1又は2以上のメモリモジュールから更に構成することができる。一部の実施形態では、メモリは、器具及び/又は他の器具に関する作動データを含む。例えば、一部の実施形態では、作動データは、電極構成/再構成、器具使用、作動時間、電圧、電力、位相及び/又は電流設定値、及び/又は特定の作動状態、条件、スクリプト、処理、又は手順に関する情報を含む場合がある。一実施形態では、ジェネレータは、メモリモジュールを開始し、それを読み取り、及び/又はそれに書き込む。
様々な実施形態により、ジェネレータは、接続された電気手術器具を通してRFエネルギがアクティブである間に送られたRFエネルギの電圧と電流の間の位相差又は位相角を読み取る機能を提供する。組織が溶解されている間に、位相読取値は、溶解又はシール及び切断処理中の異なる状態を検出するのに使用される。
様々な実施形態によるジェネレータは、電流、電力、又はインピーダンスをモニタしない又は制御しない。ジェネレータは、電圧を調整し、かつ電圧を調節することができる。送出される電気手術電力は、印加された電圧、電流、及び組織インピーダンスの関数である。電圧の調整を通してジェネレータは、送出されている電気手術電力に影響を与えることができる。しかし、電圧を増加又は低減することにより、送出される電気手術電力が必ずしも増加又は低減されるわけではない。電力応答は、ジェネレータが電力を供給することによる以外にジェネレータによるいずれの制御もなしに組織又は組織の状態と相互作用する電力によって引き起こされる。
ジェネレータは、それが電気手術電力の送出を開始した状態で、障害が発生するまで又は特定のパラメータに到達するまで連続的に、例えば、150ms毎にそれを行う。一例では、電気手術器具のジョーは、開くことができ、すなわち、圧縮は、電気手術電力の印加前、印加中、及び印加後のいずれの時点でも緩和される。一実施形態でのジェネレータはまた、電気手術エネルギの終了を開始するのに特定の持続時間で休止しない又は予め決められた時間遅延で待機しない。
図3~図5を参照すると、様々な実施形態により、双極電気手術器具20を提供する。図示の実施形態では、器具20は、細長回転可能シャフト26に連結されたアクチュエータ24を含む。細長シャフト26は、近位端及び遠位端を有し、それらの間に中心長手軸線を定める。シャフト26の遠位端にジョー22があり、近位端にアクチュエータがある。一実施形態では、アクチュエータは、ピストルグリップ状のハンドルである。
アクチュエータ24は、可動ハンドル23と静止ハンドル又はハウジング28とを含み、可動ハンドル23は、静止ハウジングに連結されてそれに対して移動可能である。様々な実施形態により、可動ハンドル23は、静止ハウジングに摺動可能にかつピボット的に連結される。作動では、可動ハンドル23は、ジョーを作動させるために、例えば、ジョーを選択的に開く及び閉じるためにユーザ、例えば、外科医によって操作される。
様々な実施形態により、アクチュエータ24は、可動ハンドル23を静止ハウジング28に対して第2の位置に維持するラッチ機構を含む。様々な実施形態では、可動ハンドルは、可動ハンドルを第2の又は閉じた位置に保持するために静止ハンドル内に閉じ込められた整合ラッチに係合するラッチアームを含む。様々な実施形態でのアクチュエータはまた、単一シース内に閉じ込められた個々の絶縁電気ワイヤ又はリードを含むワイヤハーネスを含む。ワイヤハーネスは、静止ハウジングをその下面で出ることができ、かつケーブル式接続の一部を形成することができる。ハーネス内の電気ワイヤは、器具と電気手術ジェネレータ及び/又はその付属品との間の電気連通を提供することができる。
様々な実施形態では、スイッチは、ユーザ操作式起動ボタン29に接続され、かつ起動ボタンが押下された時に起動される。一態様では、起動された状態で、スイッチは、少なくとも2つのリードを互いに電気的に接続することによって回路を完成する。従って、RFエネルギを供給するために電気手術ジェネレータからアクチュエータまでの電気経路が次に確立される。様々な実施形態では、器具は、アクチュエータのブレードレバー又はトリガ25のようなブレードアクチュエータに連結することができる平行移動可能な機械式切断ブレードを含む。機械式切断ブレードは、ジョー間の組織を分割するためにブレードトリガ25によって作動される。
一実施形態では、アクチュエータは、細長シャフト26の外側カバーチューブ上に配置された回転ノブ27を含む回転シャフトアセンブリを含む。回転ノブ27は、外科医がアクチュエータを把持しながらデバイスのシャフトを回転させることを可能にする。様々な実施形態により、細長シャフト26は、ジョー22をアクチュエータと連結する作動チューブを含む。
細長シャフトの遠位端に取り付けられているのは、第1のジョー31及び第2のジョー33を含むジョー22である。一実施形態では、ジョーピボットピンが、第1及び第2のジョーをピボット的に連結し、かつ第1のジョーが可動であり、第2のジョーに対してピボット回転することを可能にする。様々な実施形態では、一方のジョーは、対向するジョーが開放位置と閉鎖位置の間で固定ジョーに対してピボット回転するように細長シャフトに対して固定される。他の実施形態では、両方のジョーが互いに対してピボット回転することができるように、両方のジョーは、細長シャフトにピボット的に連結することができる。
第1の即ち上側のジョー31は、電極プレート又はパッドを含む。同様に、第2の即ち下側のジョー33は電極を含む。上側ジョー31の電極及び下側ジョー33の電極は、電極間に把持された組織にRFエネルギを供給するためにワイヤ及びコネクタを通じて電気手術ジェネレータ10に電気的に接続される。電極は、従って、反対の極性を有するようにかつその間でRFエネルギを伝達するように配置される。様々な実施形態での上側ジョーはまた、上側ジョー支持体を含み、上側ジョー支持体と電極の間にアセンブリスペーサが位置決めされる。上側ジョーはまた、オーバーモールドを含む又はオーバーモールドされる。下側ジョーは、下側ジョー支持体及び電極を含む。図示の実施形態では、電極は、下側ジョー支持体に一体型されるか又は組み込まれ、従って、下側ジョー支持体及び電極は、モノリシック構造体及び電気接続部を形成する。ブレードチャネルが、上側ジョー、下側ジョー、又はその両方の長さに沿って長手方向に延び、それを通してブレードが作動的に移動する。ブレードチャネルの一部分を取り囲むのは、1又は2以上の導電ポストである。導電ポストは、ブレードチャネルを強化するのを支援し、かつ切断される組織を支持する。導電ポストはまた、導電ポストもジョー間に把持された組織へのRFエネルギの伝達に関与するので、ブレードチャネルに隣接又は近接して切断されている組織が溶解されることを保証するのを支援する。下側ジョーはまた、オーバーモールドを含む又はオーバーモールドされる。
様々な実施形態により、電極は、ジョー間に捕捉された組織に非外傷的に接触して圧縮するように配置されたほぼ平面のシール面を有する。様々な実施形態でのシール面は、ジョーの長さに沿って均一に離間した露頭部(例えば、4つの露頭部)を含み、露頭部の間に分枝が配置される。従って、シール面又は区域の全体フットプリントが低減され、それによって組織に印加される電流密度を増大し、全体としてRFエネルギの供給のための電流要件を低減する。組織のシールは、このようにして強化され、生体内及び生体外条件の両方で高い破裂圧力平均が引き起こされる。
電極シール面はまた、シール面とジョーの縁部との間及び露頭部の間に切り欠き又は空間34、35を提供し、組織が縮小する又は移動する空間を可能にし、シールサイクル中の組織の縮小又は収縮に起因する組織応力とジョーの縁部での組織の圧縮によって引き起こされる応力とを低減する。同様に、漸変的な間隔は、電極の縁部での電流密度ピークを除去する。
様々な実施形態では、露頭部は、導電ポストのための空間を残しながらシール幅32の一貫性を保ち、シール面の一貫したシール幅は、合計シール面積を制限する。様々な実施形態では、上側ジョーは、下側ジョープロファイルに適合する外側シール面プロファイルを含み、組織を通る非線形電流移送を防止する。従って、様々な実施形態での上側ジョーは、下側ジョーの露頭部に適合する露頭部を含む。同じく、上側ジョーの露頭部での追加の区域は、導電ストップ着地面の局所的強度を高める。同じく、上側ジョーの露頭部は、着地面の局所的強度を高める下側ジョーの導電ポストの相互作用のための着地面又は区域37を提供する。様々な実施形態では、露頭部は、導電性であり、かつシール面又は内面を含み、それを通してジョーにある組織が圧縮され、RFエネルギがジョー間の組織に供給される。
様々な実施形態での上顎及び下顎の電極は、シール面の幅が均一であり、複数の露頭部のパターンに沿って続くシール面を有する。従って、シール面は、細長部分を有し、湾曲した部分が、細長部分の間で間隔を空けて置かれ、シール面の幅は均一、一定、又は全体を通して不変のままである。上側及び下側ジョーのシール面は、最小にされ、従って、ジョーの所与の全体寸法が得られるように形成することができる全体表面積体に対して低減された表面積を有する。
様々な実施形態では、ジョーのうちの少なくとも1つのシール面は、痂皮、残骸、又は凝固血液を収集及び/又はクリアするように配置されたブレードポケット又は切り欠きを含む。従って、ブレードが戻る際にロック、不整合、又は阻止又は抑制されることが回避され、それによって初期の又は予め切断された位置へのブレードの戻りが高められる。様々な実施形態では、1又は2以上のブレードポケット又は切り欠き36、39は、シール面の遠位端に配置され、様々な実施形態では、ブレードチャネルの遠位端から延びる。様々な実施形態では、ブレードポケットは、細長くかつ均一であるブレードチャネルの端部での拡径球状開口部である。従って、ブレードポケットにより、ブレード作動が容易になり、痂皮がシール面上にかつジョーのブレードチャネル内に蓄積した時に自動的なブレード退避が保証される。様々な実施形態では、上側及び下側の両方のジョー上の遠位ブレードポケットにより、蓄積した痂皮を前方にかつブレードチャネルから押し出すことができる。ポケットはまた、新しい痂皮が器具の洗浄又はより効率的な洗浄を容易にするように、ジョーからより古い痂皮蓄積物を押し出すことを可能にする。
様々な実施形態では、ジョーは、ターゲット手術部位でのかつ外科手順中のジョーの視覚化及び移動性を改善するために湾曲している。ジョーは、直線に示されている又は直線に位置合わせしている近位細長部分、及び直線に接続された曲線を示す又は定める湾曲遠位部分を有する。様々な実施形態では、近位細長部分の最近位部分は、ジョー又は細長シャフトの最大外径に等しいか又は最大外径を超えない直径を有する又はその限界を定める。様々な実施形態では、ジョーは、ジョーの最近位部分及びジョーの最遠位部分が最大外径内に留まる最大外径を有する。湾曲遠位部分は、最大外径よりも小さい直径及び近位細長部分の最近位部分の直径を有する又はその限界を定める。様々な実施形態では、ジョーは、外側湾曲よりも深い内側湾曲切り欠きを有し、様々な実施形態では、ジョーの先端は、鈍的切開のために先細である。ジョーは、遠位湾曲チャネルまで湾曲する近位細長チャネルを有するブレードチャネルを含み、ブレードチャネルでは、近位細長チャネルは、平行であり、電気手術器具の細長シャフトの長手軸線に対してオフセットしている。従って、ジョーでの視認性及び移動性は、ジョー寸法を増大させることなく維持され又は高められ、これは、更に、外科手術のための作業区域を低減する又は患者の身体へのより大きいアクセスデバイス又は切開を必要とする場合がある。
一部の実施形態では、ジョーアセンブリの導電パッドの電極形状は、シール区域又は面が切断経路の遠位部分を完全に取り囲むことを保証する。様々な実施形態により、ジョー表面の寸法は、それが、力機構が生成することができる潜在力が得られるようにジョー間の組織に印加された最適圧力に関して適切に分配されるようなものである。その表面積も、組織に接触する表面積に対して電気的に有意である。組織の表面積及び厚みのこの割合は、組織の電気的な相対特性との関係に関して最適化されたものである。
様々な実施形態では、下側ジョー33及び関連の導電パッドは、組織と接触するように配置された上側外面を有する。この上面は、傾斜又は勾配付きであり、互いの鏡像であり、そのような位置決め又は向きにより、フォーカスされた電流密度及び組織の固定を容易にする。様々な実施形態では、下側ジョーは、ステンレス鋼で製造され、導電パッドと同じ程度剛性である又はそれよりも剛性である。様々な実施形態では、下顎は、非導電材料で製造された剛性絶縁体を含み、下側ジョー又は導電パッドと同じ程度剛性である又はそれよりも剛性である。様々な実施形態では、下顎及び導電パッドは、同じ材料で製造される。
様々な実施形態により、組織をシール又は溶解するRFエネルギ制御処理、スクリプト、又はシステムは、1又は2以上の制御セクションに分割される。図示の実施形態では、制御処理、スクリプト、又はシステムは、4つのセクション、すなわち、電圧スパイク、電圧低下及びランプ、ランプ停止、及びRF終了を含む。様々な実施形態では、制御処理、スクリプト、又はシステムは、1又は2以上のセクションをその様々な組合せ又は順序で含む。セクションから又はセクション間でエラー又は想定外の結果が発生した場合に、処理は終了する。様々な実施形態では、そのようなエラーは、短絡又は開の検出を含む。一実施形態では、短絡検出エラーは、ジェネレータによって供給されたRFエネルギの測定位相角が所定値、例えば、60°に等しいか又はそれを超えた時にジェネレータによって決定される。一実施形態では、開検出エラーは、供給RFエネルギの測定電流が所定値、例えば、2又は4Ampに等しいか又はそれを超えた時にジェネレータによって決定される。エラーのない制御処理の完了は、組織シール成功を示している。様々な実施形態では、組織シール成功は、組織シールが予め決められた範囲の破裂圧力又は特定の閾値圧力に耐えることができることとして認識される。
様々な実施形態により、組織シール形成は、約60℃で開始する血管系細胞外基質に存在する天然コラーゲンの変性及び架橋に依存することが識別されている。この基質の強度は、シール組織に存在する水の蒸発を通じたシール部位の乾燥に非常に依存するということも識別されている。更に、少なくとも80℃の温度になると、変性コラーゲンと他の生体組織間の接合を生成することができる。更に、コラーゲンは、露出のピーク温度よりもむしろ高温下で持続時間に応じて分解するということが識別されている。従って、組織を比較的短いシールサイクルの持続時間にわたって高温条件、例えば、100℃に露出してもコラーゲンの構造には影響がなく、水の蒸発が可能である。様々な実施形態により、組織をシールする総時間は、変性コラーゲンが架橋して組織に連結するように水を蒸留させるためにかつコラーゲンと水の水素結合を制限するために構造を高温、例えば、100℃まで加熱することに依存する。従って、シール時間を最適化するために、乾燥処理を開始するのにできるだけ迅速に把持された組織内に100℃を達成することが望ましいことが見出されている。
従って、様々な実施形態により、RFエネルギが開始された及び/又は様々なデバイス検査が実行された後に、ジェネレータは、供給RFエネルギを通して高い電圧スパイク又はパルスを使用する。様々な実施形態では、組織に印加されるRFエネルギの電位は、高い電力量がエネルギ移送を最大にするためにシールサイクルの開始時に印加されるようにかつプロキシ組織温度によってスパイクとして駆動される。
電気手術ジェネレータ及び取外し可能器具の様々な実施形態により、急速な加熱は、シール時間最適化のためにできるだけ迅速に潜在流体を蒸発させるのに望ましいが、あまりに迅速に起こる蒸発は、余分の蒸気がどうにか逃げようとする時にシール構造が破損する原因になる可能性があるということが識別されている。一部の事例でのそのような識別は、破裂圧力試験を通してのみ観察することができる場合がある。電圧スパイクが完了した状態で、システムは、電圧を予め決められたレベルまで低減し、供給RFエネルギの電圧をゆっくりと増加させる。様々な実施形態では、増加が発生する間に、乾燥に十分な温度を維持するために十分な電力が組織に印加される。それによってシール構造破損を引き起こさない速度で連続的な蒸発が可能であり、血管シール性能が高まる。
様々な実施形態では、高いピーク電圧は、より高いエネルギ移送に起因してより短い時間量でのシールを提供する。高圧レベルの印加は、シール組織をアクティブ電極に付着させる場合があることが実験的に示されている。従って、より低いピーク電圧での電圧ランプの終了及びその電圧出力を終了時に一定に保持することにより、組織付着の可能性を低減すると同時に連続したエネルギ印加が可能であることが見出されている。様々な実施形態により、いつこのランプを終了したらよいかの決定は、供給RFエネルギの位相及び電流をモニタすることによって行われる。組織が乾燥する時に、位相は容量性になり、引き込む電流は小さくなる。電流値が降下する時及び位相が容量性である時にランプを固定電流値で終了することにより、組織の乾燥レベルを分類することができる。この可変電圧設定値により、シールサイクルは、エネルギ印加をシールされている組織の電気的及び構造的な差に基づいて調節することができる。
様々な実施形態では、関連の組織効果を引き起こすのに適切な組織温度を達成するために、印加RFエネルギの位相角、電流、及び/又は電力は、測定され、計算され、及び/又はモニタされる。図6~図9は、様々な実施形態による例示的シールサイクルのグラフィック表現を示す図を示している。図示のように、電圧111aは、電力111b、インピーダンス111c、エネルギ111d、電流111f、及び位相111gのような他のRF出力読取値又はインジケータに対して示されている。これに加えて、図6~図9に示してはいるが、様々な実施形態では、ジェネレータは、作動及び電力コスト及び消費、及び/又はジェネレータの部品の数を低減するためにインジケータ又は読取値の1又は2以上、例えば、温度を測定又は計算しないように構成される。追加の情報又は読取値は、一般的に、状況に即した目的で供給される又は示めされる。更に、様々な実施形態では、不正確又は非実用的なインピーダンス又は温度読取値は、使用又は測定されない。
図示のように、RFエネルギ111aの電圧は、RFエネルギ122、122の電圧スパイクを発生させるために、シールサイクルにおいてシールサイクルの初期瞬間にかつ総シール時間と比較して比較的短い期間にわたって高い点まで増大される。この電圧スパイク又はパルス中に、印加RFエネルギの電力111b及び電流111fがシールサイクルにおいて最高点まで増加することによって例証されるように、エネルギ移送は最大にされる。その後に、RFエネルギ111aの電圧は、低減され123、電圧スパイクに対してゆっくりと増加される124,125。様々な実施形態では、システムによる緩やかな電圧ランプは、ジョー間の組織を100℃の近くに維持し、それによって組織内の水の沸騰速度を制御することを求めるものである。様々な実施形態により、組織をシールするのに適切な組織効果を達成するために、印加RFエネルギの位相角、電流、及び電力はモニタされる。印加RFエネルギの位相角がゼロと交差する又は負になり、及び/又は電流が60%未満になり、印加可能電流が例えば3000mA未満になり、これは、ジョー間の組織がより容量性になり、それによって水が沸騰するか又は他の方法でシールされている組織から蒸発するので引き込む電流が少なくなっている131、132ことを示している。RFエネルギの電圧は、その後に、組織付着の可能性を低減するために一定に保持される126、133。シール完了141時に、例えば、システムによる予め決められた時間フレーム又は期間内に、システムによって供給されるRFエネルギは終了され、又はRFエネルギ供給は、中断、中止、又は停止される。様々な実施形態では、システムは、供給RFエネルギの電力が最大電力の4%又は15ボルト-アンペアのような予め決められた電力閾値142よりも降下した時にシール完了を決定する。様々な実施形態では、RFエネルギのランプが終了され、システムによる予め決められた期間後に、システムによって供給されるRFエネルギが終了され、又はRFエネルギ供給が中断、中止、又は停止される。
様々な実施形態では、ジェネレータがRFエネルギの電圧スパイクを発生させる期間は、全体シールサイクル及び/又はジェネレータがRFエネルギの電圧を低減させてゆっくりと増大する期間よりも短い。様々な実施形態では、ジェネレータがRFエネルギの電圧を一定に保持する期間は、全体シールサイクルよりも短く、及び/又はジェネレータがRFエネルギの電圧スパイクを発生させる期間よりも長い。
様々な実施形態では、システムは、例えば、ジェネレータによって供給することができる最大電流又は電力を引き込む一部の組織バンドルに提供された想定外の電流引き込みを識別する。システムがそのような電流条件下にある間は、組織をシールするのに要求されるRFエネルギの供給は十分ではないか又はシステムによって効率的に供給されない場合がある。様々な実施形態では、そのような条件に対処するために、システムは、RFエネルギ出力の電流が許容最大電流の95%、例えば、4750mAよりも大きいか否かを決定する。そうである場合に、システムは、組織の十分な乾燥が発生したことを示す電流が十分に降下したことを保証するために待機する又は更に遅延する。そのような遅延後に、電流が十分に降下しなかった場合に、エラーが表示される及び/又は供給されているRFエネルギは中断される。様々な実施形態により、システムは、電流が最大値の90%、例えば、4500mAよりも降下した場合に電流が十分に降下したと決定又は確認する。従って、システムは、電流条件が終了した及び/又は組織が沸騰し始めたと決定する。
一実施形態では、図10に示すように、組織溶解又はシール処理のような電気手術処理は、スイッチを押下するか又はアクチュエータをツール(51)上で移動することで開始され、初期検査のポジティブな結果に基づいて、ジェネレータは、予め定められた電圧を有するRFエネルギをジェネレータから電気手術ツールに、最終的には組織(52)に供給する。RF電力がオンにされてジェネレータによって連続的に供給されている時から、ジェネレータは、供給RFエネルギ(53)をモニタする。予め定められた又は予め決められた時点、条件、又は閾値に到達する又は超えると又はその時に、RFエネルギの供給電圧及び予め定められた時点が調節され又は新たに選択され(55)、ジェネレータは、供給RFエネルギ(52)をモニタし続ける。仮に予め定められた条件が溶解又はシールサイクルの終了を示す場合、例えば、組織シールが完了し、そのような条件に到達している又は超えている場合に、ジェネレータは、RFエネルギ(57)の供給を終了又は中断する。様々な実施形態では、組織が溶解又はシールされたこと(又は、エラーが発生した(例えば、電極の短絡)、及び/又は想定外の条件が発生した(例えば、許容可能であるが想定外のスイッチ解除)こと)を示す音響及び/又は視覚信号が供給される。様々な実施形態により、予め定められた時点、条件、又は閾値、及び/又は初期化検査は、接続された電気手術ツール、手順、又は優先順位に関して提供されたツールアルゴリズム又はスクリプトに基づいて決定される。
図11をここで参照すると、一実施形態では、電気手術ジェネレータ10は、AC主入力に接続され、電源41は、ジェネレータの様々な回路に給電するためにAC主入力からのAC電圧をDC電圧に変換する。電源はまた、RFエネルギを発生するRF増幅器42にDC電圧を供給する。一実施形態では、RF増幅器42は、接続された電気手術器具を通して送出される350kHzの周波数での正弦波形に電源からの100VDCを変換する。RFセンサ回路43は、接続された電気手術器具20にRFエネルギが供給されるジェネレータの出力で電圧、電流、電力、及び位相を測定/計算する。測定/計算された情報は、コントローラ44に供給される。
一実施形態では、RFセンサは、RF増幅器から測定されたAC電圧及び電流を解析し、電力及び更に別の処理のためにコントローラに送られる電圧、電流、電力、及び位相を含む制御信号のためのDC信号を生成する。一実施形態では、RFセンサ43は、出力電圧及び電流を測定し、電圧及び電流の二乗平均平方根(RMS)、RF出力エネルギの皮相電力、及び接続された電気手術器具を通して供給されるRFエネルギの電圧と電流の間の位相角を計算する。特に、出力RFエネルギの電圧及び電流は、電圧及び電流の両方の実数成分及び虚数成分を生成するためにRFセンサのアナログ回路によって処理される。これらの信号は、AC信号、電圧と電流の間の位相シフト、及び電力のRMS測定を含む電圧及び電流に関連する異なる測定値を与えるためにフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって処理される。従って、一実施形態では、出力電圧及び電流は、アナログで測定され、デジタルに変換され、RMS電圧及び電流、皮相電力、及び電圧と電流の間の位相角を計算するためにFPGAによって処理され、その後に、コントローラのために変換されてアナログに戻される。
一実施形態では、コントローラ44は、出力RFエネルギに影響を与えるようにRF増幅器42を制御するか又はRF増幅器42に信号送信する。例えば、コントローラは、RFセンサ43によって供給された情報を利用してRFエネルギを出力、調節、又は終了する必要があるか否かを決定する。一実施形態では、コントローラは、いつRFエネルギの出力を終了したらよいかを決定するために、予め決められた電流、電力、及び/又は位相閾値に到達したか又はそれを超えたか又はそれはいつかを決定する。様々な実施形態では、コントローラは、本明細書でより詳細に説明する溶解又はシール処理を実行し、一部の実施形態では、コントローラは、シール処理を電気手術器具から送られたデータから実行するために命令及び設定又はスクリプトデータを受信する。従って、様々な実施形態では、コントローラは、RF増幅器を開始する、予め定められた電圧で及び/又は予め決められた期間にわたって及び/又は予め決められた閾値に基づいて保持する及び/又は終了することによってRFエネルギを引き起こすか、又は供給されているRFエネルギの電圧を調節する。
RF増幅器42は、接続された電気手術器具を通る及び一例では組織を溶解又はシールする電気手術器具を通過する高電力RFエネルギを発生する。様々な実施形態では、RF増幅器は、予め定められた第1の電圧で開始して予め決められた第1の期間内で予め定められた第2の電圧まで増加するRFエネルギを電気手術器具に又はそれを通して供給する。様々な実施形態では、RF増幅器は、接続された電気手術デバイスに送出される100VDC電源を350kHzの周波数を有する高電力正弦波形に変換するように構成される。RFセンサ43は、RF増幅器42からの測定AC電圧及び電流を解釈し、電圧、電流、電力、及び位相を含むDC制御信号を生成し、DC制御信号は、コントローラ44によって解釈される。
コントローラ及び/又はRFセンサを含むジェネレータは、供給されているRFエネルギが予想通りであるかをモニタ及び/又は測定する。様々な実施形態では、システム、例えば、コントローラ及び/又はRFセンサは、電圧及び電流が予め定められた閾値よりも上であることを保証するためにRFエネルギの電圧及び/又は電流をモニタする。システム、例えば、コントローラ及び/又はRFセンサはまた、供給RFエネルギの位相及び/又は電力をモニタ、測定、及び/又は計算する。システム、例えば、コントローラ及び/又はRFセンサは、供給RFエネルギの電圧、電流、位相、及び/又は電力が予め定められた電圧、電流、位相、及び/又は電力窓又は範囲内であることを保証する。一実施形態では、電圧、電流、位相、及び/又は電力窓は、予め定められた最大電圧、電流、位相、及び/又は電力、及び予め定められた最小電圧、電流、位相、及び/又は電力によってそれぞれ限界が予め定められている。RFエネルギの電圧、電流、位相、及び/又は電力がそのそれぞれの窓から外れた場合に、エラーが表示される。一実施形態では、それぞれの窓は、器具のジョー間の組織をシールするためにRFエネルギが供給された時にスライドする又はシステムによって調節される。それぞれの窓の調節は、供給RFエネルギが予想通りであることを保証するためのものである。様々な実施形態では、システムは、位相及び/又は電流が予め定められた位相及び/又は電流閾値に到達したか又はそれを超えたか否かを決定するために供給RFエネルギの位相及び/又は電流、又は位相及び/又は電流の速度をモニタし、位相及び/又は電流超過が発生した場合に、RFエネルギは、終了前に予め決められた期間にわたって供給される。
様々な実施形態により、コントローラ44の作動エンジンは、ジェネレータが異なるかつ多くの電気手術ツール、外科手順、及び優先順位を含むがこれらに限定されない異なる作動シナリオを受信するように構成可能であることを可能にする。作動エンジンは、データを外部ソースから受信して解釈し、受信データに基づいてジェネレータの作動を具体的に構成する。
作動エンジンは、電気手術器具のメモリデバイスから読み取られるデータベーススクリプトファイルから構成データを受信する。スクリプトは、ジェネレータによって使用される状態論理を定義する。決定された状態及びジェネレータによって行われた測定に基づいて、スクリプトは、出力レベル、並びにシャットオフ判断基準を定義又は設定することができる。一実施形態では、スクリプトは、例えば測定された位相が60°よりも大きい時の短絡条件、又は例えば測定電流が2Amp未満である時の開条件の表示を含むトリガ事象を含む。
様々な実施形態により組織を溶解又はシールする電気手術ジェネレータ及び関連の電気手術ツールのための例示的RFエネルギ制御処理、スクリプト、又はシステムが図12に示されている。様々な実施形態では、図12に示すように、例えば、RFエネルギは、ジェネレータがRFエネルギを発生させて電圧スパイク(72)を有するように供給RFエネルギの電圧を設定する接続された電気手術ツール(71)を通してジェネレータによって供給される。ジェネレータは、RFエネルギを供給し続けながら(72)予め決められた期間又はスパイク持続時間をモニタ又は待機する(73)。スパイク持続時間121が終了又は経過すると、ジェネレータは、供給RFエネルギの電圧を予め定められた最小値123に調節し、ジェネレータは、RFエネルギの電圧を予め定められた電圧レベル125に徐々に上昇させる又は増大させる124(74)。ジェネレータはまた、供給RFエネルギの少なくとも位相、電圧、電流、電力、及び/又はその変化/速度をモニタする(75)。位相及び電流条件に到達したか、又は予め決められた閾値又は値に等しいか、それを超えたか、又はそれよりも低くなった(75)場合に、電圧は一定に保持され126、及び/又はランプは終了される133(77)。様々な実施形態では、位相条件又は閾値に到達した、又は予め決められた位相閾値132を下回った、及び/又は電流条件又は値に到達した、又は予め決められた電流閾値131を下回った(75)場合に、ジェネレータは、供給RFエネルギの電圧を一定であるように調節する(77)。位相及び電流条件又は閾値に到達しないか又はそれを超えない場合に、ジェネレータは、予め決められた期間又はランプ持続時間をモニタするか、又はRFエネルギ(74)を供給し続けて位相及び電流条件(75)をモニタしながらこの期間又は持続時間を待機する。ランプ持続時間が終了又は経過した場合に、ジェネレータは、供給RFエネルギの電圧を一定であるように調節する(77)。RFエネルギが一定に保持された状態で、ジェネレータは、RFエネルギを供給し続けながら(77)予め決められた期間又は保持持続時間をモニタ又は待機する(78)。保持持続時間が終了又は経過すると、ジェネレータは、RFエネルギを供給し続けながら予め決められた期間又は終了持続時間をモニタ又は待機する(79)。終了持続時間が終了又は経過すると、処理が行われ、又は終了手順が開始され、及び/又はジェネレータによって供給されたRFエネルギが停止される(81)。終了持続時間が終了又は経過していない場合に、ジェネレータは、電力条件又は閾値に到達したか、又はそれが予め決められた電力閾値又は値142よりも小さいか否かを決定する(80)。電力条件又は閾値に到達したか又はそれを超えた場合に、処理が行われ、又は終了手順が開始され、及び/又はジェネレータによって供給されたRFエネルギが停止される(81)。電力条件又は閾値に到達しないか又はそれを超えない場合に、ジェネレータは、電力条件及び終了持続時間期間をモニタしながらRFエネルギを供給し続ける。
様々な実施形態では、処理の開始前に、接続された電気手術ツールに送出された低電圧測定信号を通して短絡又は開条件を決定するためにインピーダンスが測定される。一実施形態では、把持された組織が電気手術ツールの作動範囲(2~200Ω)にあるか否かを決定するためにパッシブインピーダンスが測定される。初期インピーダンス検査に通った場合に、RFエネルギは、電気手術ツールに供給される。その後に、インピーダンス/抵抗は、測定されないか又は無視される。
様々な実施形態では、RFエネルギの電圧は、グローバル電圧設定値の35~45%からから始めて最大で65~100%までのランプ様式(74)又は一実施形態ではユーザ選択レベルで印加される。様々な実施形態では、RFエネルギの電圧は、35~40ボルト、例えば、予め定められた第3の電圧から始めて65~90ボルト、例えば、予め定められた第4の電圧まで1.5~4秒、例えば、予め決められた第2の期間にわたってランプ様式で印加される。様々な実施形態では、電圧は、ランプ電圧の終了時に等しい及び/又はそれよりも低い予め定められた電圧よりも低い及び/又はそれに等しい電圧で及び/又は予め決められた期間にわたって一定に保持される。様々な実施形態では、この期間は、電圧スパイクに対する期間及び/又は電圧ランプに対して決められた期間よりも長い。様々な実施形態では、RFエネルギの電圧は、グローバル電圧設定の30~40%から始めて最大で75~100%までの電圧スパイク(72)として又はユーザ選択レベルで印加される。様々な実施形態では、RFエネルギの電圧は、35~40ボルト、例えば、予め定められた第1の電圧から始めて75~90ボルト、例えば、予め定められた第2の電圧までの電圧スパイクとして50~300ms、例えば、予め決められた第1の期間にわたって印加される。
様々な実施形態により、位相は、溶解(開又は短絡によって引き起こされた)の擬表示に到達したかを評価又は決定するために、RFエネルギが印加されている間に及び一実施形態では位相及び/又は位相変化停止又は終了点に到達した後で開及び短絡事象に関して電流と共にモニタされる。
様々な実施形態により、ジェネレータは、RFエネルギの出力、電圧、電流、電力、及び/又は位相に関連する様々なパラメータ又は機能の追加の調整を行うように構成され、作動エンジンは、様々なパラメータ又は機能を利用してRFエネルギの出力を調節するように構成される。一例示的実施形態では、制御回路は、電圧、電流、及び/又は電力出力が、作動エンジンによって提供される指定の位相調整設定値を満足するように調節されると考えられる位相の直接的な調整のための追加の調整制御を提供する。
様々な実施形態により、ジェネレータは、作動条件を認識する、作用する、又は実行するために電圧、電力、電流、及び/又は位相のモニタ、測定、及び/又は計算された値、例えば、制御インジケータを利用する。様々な実施形態では、RF出力調整回路に関連する測定値に基づく追加の測定又は計算は、他の測定値又は閾値に対する追加の測定又は計算に関連する又はそれによってトリガされる追加の又は異なる事象を認識してそれに対して作用するようにスクリプト又は作動エンジンによって提供される。一実施形態での追加の測定は、電圧、電流、及び/又は電力、又は他の類似の調整パラメータの出力を調整するのに使用されるパルス幅変調(PWM)負荷サイクルと組み合わせた誤差信号を含む。様々な実施形態では、識別及びトリガすることができる異なる又は追加の事象又はインジケータは、1つの調整制御から別の調整制御への(例えば、電流調整から電力調整への)移行とすることができる。様々な実施形態では、その後のインピーダンス又は温度検査又は測定は、不正確及び/又は非実用的であるので実行されない。
様々な実施形態では、ジェネレータは、位相、電流、又は電力値を識別するためにかつそれぞれ正又は負のトレンドに関して多くの状態、制御点、又は検査を利用する。ジェネレータが予想されたトレンドを識別しなかった場合に、エラーが信号通信される。多状態検査は、異なるタイプの組織にわたる予想されたRF出力トレンドを識別する際にジェネレータ分解能を増大する又は高める。
様々な実施形態では、ジェネレータはまた、位相又は電流及び/又は位相又は電流の速度をモニタして、接続された電気手術ツールが電気的開又は短絡条件を受けたか否かを決定する。一例では、ジェネレータは、印加又は供給RFエネルギの位相をモニタすることによって接続された電気手術器具の電気的短絡条件を識別し、モニタ位相が予め定められた最大位相値よりも大きい場合に、電気的短絡条件が識別される。同様に、一例では、ジェネレータは、印加又は供給RFエネルギの電流をモニタすることによって接続された電気手術器具の電気的開条件を識別し、モニタ電流が予め定められた最小電流よりも小さい場合に電気的開条件が識別される。いずれか又は両方の場合に、ジェネレータは、開及び/又は短絡条件を見出すとエラーを表示し、供給されているRFエネルギは中断される。
様々な実施形態では、本出願を通して説明するような予め定められた処理は、電気手術器具に至るプラグ及び/又はケーブル式接続に取外し可能に接続されたコネクタに埋め込まれたメモリモジュールの中に読み込まれる。様々な実施形態では、デバイススクリプト又は処理は、デバイスコネクタ内に閉じ込められたアダプタPCBAの上にプログラムされるか、又は製造/組立中にデバイスコネクタ内の回路に配線される。スクリプトソースファイルは、カスタムテキストベースの言語で書き込まれ、次に、ジェネレータによってのみ可読であるスクリプトデータベースファイルにスクリプトコンパイラによってコンパイルされる。スクリプトファイルは、ジェネレータを特定の電圧(例えば、100v(RMS))、電流(例えば、5000mA(RMS))、及び電力レベル(例えば、300VA)を出力するように構成するように特に選択されたパラメータを含む。様々な実施形態では、デバイスキープログラマーデバイスは、スクリプトデータベースファイルを読み取り、次に、それをアダプタPCBAのメモリの中にプログラムする。
ここで様々な実施形態による本明細書に説明する電気手術ツール又は器具の作動態様の一部に移ると、血管又は組織バンドルが溶解のために識別された状態で、第1及び第2のジョー31、33が組織の周りに置かれる。ハンドル21は、圧搾され、それによって実質的に組織を把持するためにジョーを互いにピボット回転させる。アクチュエータは、ジョー22が開放位置にある第1の又は初期の位置を有し、ハンドル23は、ハウジング28から離れて又は離間して位置決めされる。
外科医による溶解ボタン29の押下は、ジョー間の組織への無線周波数エネルギの印加を引き起こす。組織が溶解された状態で、アクチュエータは、ハンドルが解除されることによって再び開き、静止ハウジング28から離間させることができる。ジョー間の組織を切断するために、ユーザは、ブレードトリガ25を作動させることができる。ブレードトリガが近位に移動された時に、切断ブレードは、ジョー間の組織を分割するために遠位に移動する。外科医がブレードトリガを解除した時に、ブレードバネは、切断ブレードをその元の位置にリセットする。様々な実施形態により、アクチュエータは、ジョー22が閉鎖位置にある切断位置を有し、可動ハンドルは、閉鎖されてラッチされ、ブレードトリガは、既に押下されており、切断ブレードは、その最遠位位置まで前進する。
様々な実施形態では、ジョーが閉鎖又は近接位置にあるが、ハンドルがラッチ解除される中間又はラッチ解除位置が提供される。従って、ハンドルが解除された場合に、ハンドルは、その元の又は初期位置に戻ることになる。一実施形態では、ブレードトリガは、ジョー間の組織を切断するのに起動されない場合があり、溶解ボタン又はスイッチが起動されてジョー間の組織を溶解することができる。様々な実施形態では、ジョーが閉鎖又は近接位置にあり、ハンドルがラッチされるラッチ位置が提供される。従って、ハンドルが解除された場合に、ハンドルは、その元の又は初期位置に戻らない。一実施形態では、溶解ボタン又はスイッチを起動して閉鎖ジョー間の組織を溶解することができ、及び/又はブレードトリガを起動してジョー間の組織を切断することができる。
上述のように、様々な実施形態により、電気手術器具は、ジョーが互いから離間している第1の(開)状態を有し、従って、ハンドルも、静止ハウジングから離間している。従って、器具は、ジョー間に組織を把持するように位置決めされる。器具の第2の(中間)状態では、ジョーは、ジョー間に組織を把持するために互いに近接し、同様に、ハンドル及びハウジングは、互いの近くにある。外科医は、ジョーを開き、従って、組織又は他の組織を把持するために再びジョーを位置決めすることにより、第1の状態に戻ることができる。器具の第3の(閉)状態では、ハンドルは、静止ハウジングに更に近づけられて静止ハウジングにラッチする。第3の状態に移動すると、ジョー間に把持された組織は、ブレードレバーの起動を通して切断することができる。ハンドルがハウジングにラッチされる第3の状態への移動は、組織を偶発的に解除する可能性を低減する。同じく、組織の不注意な切断又は間違った組織線に沿った不注意な切断が回避される。更に、この状態により、RFエネルギの起動前、起動中、及び起動後のジョー間の組織上の一定かつ連続的な予め定められた圧縮の印加又は圧縮の範囲が可能であり、それによってジョー間の組織のシール又は溶解を高める。様々な実施形態により、RFエネルギの印加は、ハンドル及びジョーが少なくとも第2の状態になった状態でかつ溶解ボタンが外科医によって起動された状態で行うことができる。
様々な実施形態では、誤った読取値を回避するために、電気手術ジェネレータは、組織へのRFエネルギの供給中に組織の抵抗又はインピーダンスを測定しないことに注意されたい。様々な実施形態により、熱の拡散を低減し、かつRFエネルギの制御された効率的な供給を通して双極電気手術器具と接触する血管又は組織をシールする効率的な電力送出を提供する電気手術システムを提供する。
本出願の全体を通して上述したように、電気手術ジェネレータは、最終的に、接続された電気手術器具にRFエネルギを供給する。電気手術ジェネレータは、供給RFエネルギが指定のパラメータを超えないことを保証し、障害又はエラー条件を検出する。様々な実施形態では、電気手術器具は、RFエネルギを外科手順に対して適切に印加するのに使用される指令又は論理回路を提供する。例えば、電気手術器具は、器具の作動を電気手術ジェネレータに関連して指示する指令及びパラメータを有するメモリを含む。例えば、単純な場合に、ジェネレータは、RFエネルギを供給することができるが、エネルギがどの程度の量で又はどの程度長く印加されるかは接続された器具が決定する。しかし、ジェネレータは、たとえ接続された器具によって指示されたとしても、RFエネルギの供給が設定閾値よりも大きいことを可能にせず、それによって間違った器具指令に対する検査又は保証を提供する。
上記で全体的に説明し、かつ以下でより詳細に説明するように、電気手術器具、ツール、又はデバイスは、本明細書に説明する電気手術システムに使用することができる。例えば、本明細書に説明する態様のうちの1つ、一部、又は全てを組み込む電気手術把持具、はさみ、ピンセット、プローブ、ニードル、及び他の器具は、様々な利点を電気手術システムに提供することができる。様々な電気手術器具及びジェネレータの実施形態及びその組合せに関して本明細書を通して議論している。本明細書を通して全体的に説明した特徴の1つ、一部、又は全ては、本明細書に説明した器具、ジェネレータ、及びその組合せの実施形態のいずれにも含めることができるように考えられている。例えば、説明した器具の各々は、上述のようにジェネレータとの対話ためのメモリを含み、逆も同様であることを望ましいとすることができる。しかし、他の実施形態では、説明した器具及び/又はジェネレータは、器具メモリの対話がなくても標準的な双極無線周波数電力ソースと対話するように構成することができる。更に、様々な実施形態は、説明を容易にするためにモジュール及び/又はブロックの観点から説明することができるが、そのようなモジュール及び/又はブロックは、1又は2以上のハードウエア構成要素、例えば、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、レジスタ、及び/又はソフトウエア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理回路、及び/又はハードウエア及びソフトウエア構成要素の組合せによって実行することができる。同様に、そのようなソフトウエア構成要素は、ハードウエア構成要素又はその組合せと交換することができ、逆も同様である。
電気手術ユニット、器具、及びその間の接続、及び作動、及び/又はその機能性の更に別の例は、2009年4月1日出願の「電気手術システム」という名称の米国特許出願第12/416,668号明細書、2009年4月1日出願の「電気手術システム」という名称の米国特許出願第12/416,751号明細書、2009年4月1日出願の「電気手術システム」という名称の米国特許出願第12/416,695号明細書、2009年4月1日出願の「電気手術システム」という名称の米国特許出願第12/416,765号明細書、及び2009年3月31日出願の「電気手術システム」という名称の米国特許出願第12/416,128号明細書に説明されており、これらの開示全体は、これによりその全体が本明細書に組み込まれかのように引用によって組み込まれる。これらの電気手術ジェネレータ、ツール、及びシステムのある一定の態様は、本明細書で議論しており、様々な実施形態に関する追加の詳細及び例は、2014年5月16日出願の「電気手術溶解デバイス」という名称の米国仮特許出願第61/994,215号明細書、2014年5月16日出願の「同期検出器を有する電気手術ジェネレータ」という名称の米国仮特許出願第61/944,185号明細書、2014年5月16日出願の「電気手術システム」という名称の米国仮特許出願第61/994,415号明細書、及び2014年5月16日出願の「電気手術ジェネレータ」という名称の米国仮特許出願第61/994,192号明細書に説明されており、これらの開示全体は、これによりその全体が本明細書に組み込まれたかのように引用によって組み込まれる。
以上の説明は、あらゆる当業者が電気手術デバイス又はシステムを作って使用し、かつ本明細書に説明する方法を実行すること可能にするために提供したものであり、本発明を実施する本発明者によって考えられている最良のモードを列挙している。しかし、様々な修正は、当業者に依然として明らかであろう。これらの修正は、本発明の開示の範囲内であるように考えられている。これに加えて、そのような実施形態の異なる実施形態又は態様は、本明細書を通して様々な図に示して説明したものと考えられる。しかし、別々に図示又は説明しているが、各実施形態及びその態様は、明示的に特に断らない限り、他の実施形態及びその態様のうちの1又は2以上と組み合わせることができることに注意しなければならない。各組合せが明示的に説明されていないのは、単に本明細書の読み易さを容易するためである。同じく、本発明の実施形態は、全ての点で制限ではなく例示として考えるべきである。