JP2022140342A - マイクロ波照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制する。【解決手段】マイクロ波照射装置1は、被照射物90を搬送方向91に搬送する搬送装置60と、発振器10と導通するように構成された給電器具20と、給電器具20を介した導通による給電によって照射面42内の照射源44からマイクロ波を照射するように構成されている指向性のアンテナ40を複数有し、複数のアンテナ40が搬送方向91に沿って配置されているアンテナ群30とを備える。【選択図】図1A
Description
本発明は、マイクロ波照射装置に関する。
一般に、被照射物にマイクロ波を照射することで被照射物を誘電加熱する加熱装置が知られている。誘電加熱では、種々の理由により均等に被照射物が加熱されないことがある。そこで均等な加熱のための工夫が様々行われている。
例えば特許文献1には、導電性格納容器内に、被照射物が入れられるマイクロ波反応容器が配置され、マイクロ波反応容器を囲むように複数のダイポールアンテナが均等に配置されたマイクロ波加熱装置について開示されている。このマイクロ波加熱装置では、各アンテナと導電性格納庫の内壁との距離が、マイクロ波反応容器から各ダイポールアンテナを見る方向では、照射されるマイクロ波の波長のほぼ1/4となるように、各部が配置されている。このような配置によって、ダイポールアンテナから放射されるマイクロ波がマイクロ波反応容器の方向を指向する。その結果、マイクロ波反応容器内の被照射物が、均等に加熱される。
上記は一例であり、誘電加熱における加熱むらの抑制方法は種々あり得る。本発明は、マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制することを目的とする。
本発明の一態様によれば、マイクロ波照射装置は、被照射物を搬送方向に搬送する搬送装置と、発振器と導通するように構成された給電器具と、前記給電器具を介した導通による給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成されている指向性のアンテナを複数有し、前記複数のアンテナが前記搬送方向に沿って配置されているアンテナ群とを備える。
本発明によれば、マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制できる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、マイクロ波照射装置に関する。本実施形態のマイクロ波照射装置は、被照射物に対してマイクロ波を照射して、被照射物を内部加熱するように構成されている。被照射物は、これに限らないが、例えば食品である。したがって、このマイクロ波照射装置やそれを用いたマイクロ波の照射方法は、例えば包装食品を含む食品の製造に用いられ得る。マイクロ波照射装置は、搬送装置を有し、複数の被照射物が次々と搬送されて、次々と加熱される。マイクロ波を放射する複数の指向性のアンテナが、搬送方向に沿って並べられている。
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、マイクロ波照射装置に関する。本実施形態のマイクロ波照射装置は、被照射物に対してマイクロ波を照射して、被照射物を内部加熱するように構成されている。被照射物は、これに限らないが、例えば食品である。したがって、このマイクロ波照射装置やそれを用いたマイクロ波の照射方法は、例えば包装食品を含む食品の製造に用いられ得る。マイクロ波照射装置は、搬送装置を有し、複数の被照射物が次々と搬送されて、次々と加熱される。マイクロ波を放射する複数の指向性のアンテナが、搬送方向に沿って並べられている。
〈装置構成〉
図1Aは、本実施形態に係るマイクロ波照射装置1の構成例の概略を模式的に示す正面図であり、図1Bは、本実施形態に係るマイクロ波照射装置1の構成例の概略を模式的に示す平面図である。これら図に示すように、マイクロ波照射装置1は、加熱対象物であってマイクロ波が照射される被照射物90を搬送する搬送装置60を備える。搬送装置60は、例えば、ベルト61とローラ62とを備える。ベルト61は、ローラ62に掛けられている。ローラ62は、図示しないモータによって回転し、ベルト61を長手軸方向に移動させる。被照射物90は、ベルト61に載せられて、ベルト61の移動によって搬送方向91に搬送される。搬送装置60の搬送方向91上流側には、被照射物90をベルト61の上に次々と供給する供給装置84が設けられている。搬送装置60の搬送方向91下流側には、搬送された被照射物90をベルト61から搬出する搬出装置86が設けられている。
図1Aは、本実施形態に係るマイクロ波照射装置1の構成例の概略を模式的に示す正面図であり、図1Bは、本実施形態に係るマイクロ波照射装置1の構成例の概略を模式的に示す平面図である。これら図に示すように、マイクロ波照射装置1は、加熱対象物であってマイクロ波が照射される被照射物90を搬送する搬送装置60を備える。搬送装置60は、例えば、ベルト61とローラ62とを備える。ベルト61は、ローラ62に掛けられている。ローラ62は、図示しないモータによって回転し、ベルト61を長手軸方向に移動させる。被照射物90は、ベルト61に載せられて、ベルト61の移動によって搬送方向91に搬送される。搬送装置60の搬送方向91上流側には、被照射物90をベルト61の上に次々と供給する供給装置84が設けられている。搬送装置60の搬送方向91下流側には、搬送された被照射物90をベルト61から搬出する搬出装置86が設けられている。
マイクロ波照射装置1は、搬送装置60によって搬送される被照射物90にマイクロ波を照射するように構成された複数のアンテナ40を有するアンテナ群30を備える。複数のアンテナ40は、搬送方向91に沿って配置されている。各々のアンテナ40は、例えば、ループアンテナ、パッチアンテナ等といった指向性のアンテナである。すなわち、各々のアンテナ40は、照射面42を有し、照射面42内の照射源44から指向性照射軸45の方向にマイクロ波を照射するように構成されている。各々のアンテナ40の指向性照射軸45の方向は、搬送装置60によって搬送される被照射物90に向けられている。各々のアンテナ40は、例えば同軸ケーブルといった給電器具20を介して導通した発振器10から給電される。
アンテナ群30の周囲は、マイクロ波の遮蔽のため、金属で覆われている。すなわち、搬送装置60は、金属筐体82を通り抜けるように又は金属筐体82内に設けられており、アンテナ群30は、金属筐体82内に配置されている。
アンテナ40について、ループアンテナを一例として説明する。図2は、ループアンテナ51の構成例の概略を示す模式図である。ループアンテナ51は、例えば、照射するマイクロ波の一波長分の長さを有して円環形状に形成された導線52を備える。導線52の両端は、給電点53となっている。給電点53には、給電器具20としての例えば同軸ケーブル21が接続されている。同軸ケーブル21は、発振器10とループアンテナ51とを接続して導通させる。発振器10は、同軸ケーブル21を介して高周波電力をループアンテナ51に供給する。給電されると、エレメントとしての導線52に電流が生じ、ループアンテナ51は電波を放射して電界を形成する。
円環形状のループアンテナ51では、導線52によって形成された開口面54が照射面42となり、開口面54の中心が照射源44となる。照射源44を通り、開口面54に垂直な方向に指向性照射軸45が形成され、指向性照射軸45に沿って両方向にマイクロ波が放射される。なお、導線52が形成する形状は、円環に限らず、四角形など他の形の環状でもよい。
アンテナ40の向きについて、さらに説明する。図3A及び図3Bは、アンテナ40の向きについて説明するための模式図である。本実施形態では、アンテナ40は、例えば図3Aに示すように、指向性照射軸45が、被照射物90が載せられる搬送装置60のベルト61の面と平行になるように配置される。あるいは、少なくとも図3Bに示すように、指向性照射軸45が、搬送装置60を構成する構造物のうちマイクロ波を反射する構造物と交差しないように、アンテナ40は配置されている。
指向性のアンテナ40から照射されるマイクロ波は、図3A及び図3Bに拡散照射軸46として示すように、ある程度広がるものの、その照射角は比較的狭く、指向性照射軸45に沿って強度が最も強くなっている電界が形成される。指向性照射軸45が、マイクロ波を反射する構造物と交差しないことで、強い反射波が生じない。その結果、入射波と反射波とが干渉することによって生じ得る定在波が発生しない。仮に強い入射波と反射波とが干渉することで定在波が発生すると、特に定在波の腹の位置と節の位置とで電界強度が大きく異なり、被照射物90における加熱むらが生じ得る。本実施形態のマイクロ波照射装置1では、このような定在波が発生しないために、被照射物90において加熱むらが生じることが防止されている。
なお、上述のマイクロ波を反射する構造物とは、上述の加熱むらが生じるほどの定在波が発生する程度にマイクロ波を反射する構造物を意味する。
〈動作〉
本実施形態のマイクロ波照射装置1の動作について説明する。発振器10は、マイクロ波の周波数に応じた高周波電力を出力する。その周波数は、これに限らないが、例えば、2.45GHz又は915MHzといったものや、450MHzといったものである。この発振器10から出力された高周波電力は、給電器具20を介してアンテナ40に供給される。アンテナ40は、この給電に基づいて、マイクロ波を指向性照射軸45の方向に照射する。
本実施形態のマイクロ波照射装置1の動作について説明する。発振器10は、マイクロ波の周波数に応じた高周波電力を出力する。その周波数は、これに限らないが、例えば、2.45GHz又は915MHzといったものや、450MHzといったものである。この発振器10から出力された高周波電力は、給電器具20を介してアンテナ40に供給される。アンテナ40は、この給電に基づいて、マイクロ波を指向性照射軸45の方向に照射する。
搬送装置60は、ローラ62の回転により、ベルト61を回転させる。供給装置84は、搬送装置60のベルト61上に、例えば一定間隔で、被照射物90を供給する。搬送装置60は、供給された被照射物90を搬送方向91に搬送し、金属筐体82内の複数のアンテナ40の前を通過させる。アンテナ40の前を通過する被照射物90には、アンテナ40からマイクロ波が照射される。このマイクロ波によって、被照射物90は、誘電加熱される。加熱された被照射物90は、搬送装置60によって金属筐体82の外部まで搬送される。搬出装置86は、加熱された被照射物90を搬送装置60から搬出する。
上述の通り、本実施形態では、アンテナ群30に指向性のアンテナ40が用いられ、指向性照射軸45が搬送装置60のマイクロ波を反射する構造物と交差しないように設計されている。このため、照射されるマイクロ波について、反射波に由来する定在波が発生しない。その結果、被照射物90は、均一に加熱される。
誘電加熱による加熱装置として、例えば、金属筐体内でマイクロ波を反射させて被加熱物を加熱するマルチモードの加熱装置が知られている。また、マイクロ波を搬送する導波管内に被加熱物を配置するシングルモードの加熱装置が知られている。このような装置では、マイクロ波の反射が意図的に利用されている。すなわち、反射による定在波が意図的に作り出され、この定在波によって誘電加熱が行われる。しかしながら、このような定在波では、腹位置と節位置とで顕著であるように場所により電界強度に差が生じる。この電界強度のむらは、被加熱物の加熱むらを生じさせる。本実施形態のマイクロ波照射装置1では、定在波が生じないように調整されているので、均一な加熱が実現され得る。
また、導波管を用いる加熱装置は、特に周波数が低い場合に導波管が大型化するなど、装置が大型化しやすい。また、均一加熱のために、複数種類の加熱装置を組み合わせる等する場合には、装置全体が大型化しやすい。これに対して、本実施形態のマイクロ波照射装置1は、導波管を用いることなく、複数種類の装置を組み合わせる必要もないので、装置の小型化も容易である。また、導波管を用いないので、比較的低い周波数のマイクロ波を使用することも容易である。周波数を低くすることで、電力半減深度を深くすることもできる。
なお、上述の実施形態では、マイクロ波の照射時に被照射物90は搬送装置60のベルト61の上に載置される場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。被照射物90は、停止した載置台に載置されるように構成されていてもよい。この場合も、アンテナ40は、指向性照射軸45が載置台を構成する構造物と交差しないように設けられているとよい。この場合も、反射波による定在波の発生が抑制され、誘電加熱による加熱むらが抑制される。
本実施形態に係るマイクロ波照射装置1は、種々の用途の処理装置に組み込まれたり、適切な態様で構成されたりし得る。例えば、密封包装された食品の加熱殺菌のために用いられる場合には、マイクロ波照射装置1は、密封包装された食品である被照射物90が加圧されたり、殺菌のために必要な時間保温されたりするように構成された装置内に組み込まれることになる。あるいは、材料の反応処理等に用いられるためには、処理対象物である被照射物90は、適当な反応容器に収容されてもよいし、搬送装置60を処理対象物が流れる管などとして構成してもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4は、第2の実施形態のマイクロ波照射装置2の構成例の概略を模式的に示す平面図である。この図において、発振器10及び給電器具20などの図示は省略されている。図1Bに示す第1の実施形態のマイクロ波照射装置1では搬送装置60の片側にアンテナ40が配置されているのに対して、図4に示す第2の実施形態のマイクロ波照射装置2では搬送装置60の両側にアンテナ40が配置されている。したがって、図1Bに示す第1の実施形態のマイクロ波照射装置1では片側から被照射物90にマイクロ波が照射されるのに対して、図4に示す第2の実施形態のマイクロ波照射装置2では両側から被照射物90にマイクロ波が照射される。特に、第2の実施形態のマイクロ波照射装置2では、アンテナ40が搬送装置60を挟んで対向して設けられており、対向するアンテナ40の各々の指向性照射軸45が重なり合っている。
図5は、対向して設けられたアンテナ40の指向性照射軸45に沿った位置に応じた電界実効値の大きさを示す模式図である。第1の位置P1と第2の位置P2とに対向するアンテナ40の各々が配置されている。したがって、第1の位置P1と第2の位置P2との間を搬送装置60が通り抜けており、被照射物90が通過することになる。図5に示すように、本実施形態のマイクロ波照射装置2は、第1の位置P1と第2の位置P2との間で、電界実効値がほぼ一定となるように構成されている。
本実施形態によれば、搬送方向91を横断する方向について両側から、マイクロ波が照射されるので、搬送方向91を横断する方向の被照射物90の大きさがある程度大きくても、両側から加熱されて、均一な加熱が実現され得る。なお、このような効果は、被照射物90に対して両側からマイクロ波が照射されていれば得られるので、アンテナ40とアンテナ40とが必ずしも対向していなくてもよい。
本実施形態では、さらに、アンテナ40とアンテナ40とが対向しており、搬送方向91を横断する方向についてマイクロ波による電界強度がほぼ一定となるように、マイクロ波照射装置2は構成されている。このような構成によって、被照射物90の加熱がより均一に行われ得る。対向するアンテナ40とアンテナ40との間の電界強度が一定とは、被照射物90の加熱の均一さに関する要求が満たされる程度に、電界強度が一定であることを意味する。本実施形態によれば、被照射物90の加熱がより均一に行われ得る。
〈加熱方法の変形例〉
本実施形態のマイクロ波照射装置2を用いて、対向する2つのアンテナ40によって両側から被照射物90に均等にマイクロ波を照射して、被照射物90を加熱する例について上述したが、加熱方法はこれに限らない。
本実施形態のマイクロ波照射装置2を用いて、対向する2つのアンテナ40によって両側から被照射物90に均等にマイクロ波を照射して、被照射物90を加熱する例について上述したが、加熱方法はこれに限らない。
実験により、被照射物90の両側に配置されたアンテナ40を同時に用いて被照射物90の両側に均等にマイクロ波を照射すると、特に被照射物90の中心部が加熱されることがあり、被照射物90の片側に不均等にマイクロ波を照射すると、特に被照射物90の外周部が加熱されることがあることが見出された。そこで、両側からの均等な照射と片側からの不均等な照射とを組み合わせて、被照射物90の中心部と外周部とのそれぞれが加熱されて、被照射物90の全体が均一に加熱されてもよいし、あるいは意図的に不均一に加熱されてもよい。
例えば、第1の照射として、均等なマイクロ波の照射が行われ、第2の照射及び第3の照射として、不均等なマイクロ波の照射が行われてもよい。すなわち、一対のアンテナ40の間の2つのアンテナ40から等距離の位置に被照射物90がある状態で、以下の照射が行われ得る。第1の照射では、2つのアンテナ40から照射強度が等しいマイクロ波が被照射物90に照射され得る。第2の照射では、一方のアンテナ40からマイクロ波が被照射物90に照射され得る。第3の照射では、他方のアンテナ40からマイクロ波が被照射物90に照射され得る。これら第1の照射、第2の照射及び第3の照射の組み合わせによって、被照射物90が均一に加熱され得る。あるいは、第1の照射及び第2の照射のみが行われてもよい。
第1の照射、第2の照射及び第3の照射は、上述のように同一の一対のアンテナ40によって行われてもよいし、複数対のアンテナ40によって行われてもよい。複数対のアンテナ40によって行われる場合、例えば、搬送装置60の両側に並ぶ複数対のアンテナ40のうち、一部では、対向する2つのアンテナ40から照射強度が等しいマイクロ波が照射され、一部では、片側のアンテナ40からマイクロ波が照射され、一部では、反対側のアンテナ40からマイクロ波が照射され得る。この場合、搬送装置60によって被照射物90がこれらアンテナ40の間を搬送されることで、第1の照射、第2の照射及び第3の照射が行われ得る。また、この場合、第1の照射が行われる部分では、一対のアンテナ40が対向して設けられている一方で、第2の照射及び第3の照射が行われる部分では、第1の実施形態のマイクロ波照射装置1のように、アンテナ40が片側にのみ設けられていてもよい。
さらに、第2の照射及び第3の照射では、不均等なマイクロ波の照射が行われればよいので、対向する一対のアンテナ40のうち一方と他方とで照射強度が異なっていてもよい。あるいは、照射強度が等しい又は等しくない一対のアンテナ40の間で、被照射物90が一方に近づけられたり他方に近づけられたりしてもよい。
被照射物90とアンテナ40との距離を変化させるために、搬送装置60は、搬送方向と直交する方向にも被照射物90を移動させるように構成されていてもよい。あるいは、アンテナ40毎に、搬送装置60とアンテナ40との距離が異なるようにこれらが配置されていてもよい。
ここで説明した加熱方法の変形例は、第2の実施形態のマイクロ波照射装置2とは異なる照射装置を用いて行われてもよい。例えば、アンテナは、搬送装置に沿って配置されていなくてもよい。例えば、照射装置は、2つの対向するアンテナのみを有し、搬送装置が設けられていなくてもよい。また、搬送装置が、2つの対向するアンテナ間で被照射物を移動させるように構成されていてもよい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、第3の実施形態のマイクロ波照射装置3の構成例の概略を模式的に示す平面図である。この図において、発振器10及び給電器具20などの図示は省略されている。本実施形態のマイクロ波照射装置3では、アンテナ群30を構成するアンテナ40としてループアンテナ51が用いられている。上述の通り、ループアンテナ51では、開口面54の表裏両側が照射面42となり、指向性照射軸45に沿って両方向にマイクロ波が照射される。第3の実施形態のマイクロ波照射装置3では、複数並べられたループアンテナ51の両側に、第1の実施形態の搬送装置60に相当する第1の搬送装置71と第2の搬送装置72とが設けられ、搬送装置群70が形成されている。
本実施形態によれば、一つのループアンテナ51から両側に放射されるマイクロ波が、それぞれ第1の搬送装置71によって搬送される被照射物90と第2の搬送装置72によって搬送される被照射物90とに照射されるので、単純な構成であってもマイクロ波照射装置3のエネルギー効率がよい。
また、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、搬送装置の両側にアンテナを設けてもよい。搬送装置の両側にループアンテナ51を設けて、搬送装置を平行に多数並べてもよい。
[実験例1]
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱の均一性を、加熱対象物を容器詰めされたポテトサラダとして評価した。
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱の均一性を、加熱対象物を容器詰めされたポテトサラダとして評価した。
〈方法〉
評価に用いた試験装置100の構成例の概略を図7に示す。試験装置100は、発振器110と、金属筐体182内に配置された2つのループアンテナ140及び食品保持台166とを有する。
評価に用いた試験装置100の構成例の概略を図7に示す。試験装置100は、発振器110と、金属筐体182内に配置された2つのループアンテナ140及び食品保持台166とを有する。
発振器110の発振周波数は450 MHzとした。ループアンテナ140には、アルミニウム製であり、周長が1波長(λ = 666 mm)に相当する方形のループアンテナを用いた。2つのループアンテナ140を、互いの開口面が対向し、かつ、指向性照射軸145が食品保持台166と平行になるように配置した。2つのループアンテナ140の間隔は、λ/4 = 166.5 mmとした。ループアンテナ140への給電は、同相給電とした。食品保持台166には、厚さ5 mmのポリエチレン(PE)製の板を用いた。食品保持台166を、2つのループアンテナ140を貫通するように配置した。
加熱対象物190は、長さ115 mm、幅80 mm、深さ20 mmのポリプロピレン(PP)製のトレーに、150 gのポテトサラダを盛りつけたものとした。加熱対象物190を、食品保持台166上の2つのループアンテナ140間の中央に配置した。加熱対象物190の配置は、トレーの長さ方向が指向性照射軸145に対して垂直になるような配置(縦置)と、トレーの長さ方向が指向性照射軸145に対して平行になるような配置(横置)との2通りとした。温度計測は、複数のサーモラベル(登録商標)をポテトサラダ表面に貼付することで行った。温度計測は、出力150 Wで5分間加熱した後に行った。
また、2つのループアンテナ140間に形成される電界強度の数値解析を行った。
〈結果〉
電界強度の数値シミュレーションの結果、2つのループアンテナ140間では、図5に示したような均一な電界が得られた。
電界強度の数値シミュレーションの結果、2つのループアンテナ140間では、図5に示したような均一な電界が得られた。
加熱対象物190を縦置して加熱した試験結果を図8に示す。指向性照射軸145に沿って、すなわち、トレーの2つの長辺の中点を結ぶ線に沿って並べて配置したサーモラベル(a)、(b)、(c)は、何れも90℃を示した。一方、指向性照射軸145から離れた位置、すなわち、トレーの短辺中央近くに配置したサーモラベル(d)、(e)は、何れも50℃未満を示した。
加熱対象物190を横置して加熱した試験結果を図9に示す。指向性照射軸145に沿って、すなわち、トレーの2つの短辺の中点を結ぶ線に沿って並べて配置したサーモラベル(f)、(g)、(h)は、何れも100℃を示した。一方、指向性照射軸145から離れた位置、すなわち、トレーの長辺中央近くに配置したサーモラベル(i)、(j)は、何れも80℃を示した。
図8及び図9に示した何れの結果からも、指向性照射軸145に沿っては短時間で均一に加熱可能であることが明らかになった。何れの場合も指向性照射軸145から離れるに従い温度が低下するような温度勾配が生じており、指向性照射軸145上では拡散照射軸上よりも加熱効率は高かった。加熱効率の高い指向性照射軸145を食品保持台166(上述の実施形態の搬送装置60に対応)等の構造物と交差しないように配置することによって、マイクロ波の反射による定在波の発生や吸収によるエネルギー損失を抑えた加熱が可能であることが明らかになった。
[実験例2]
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱特性を、加熱対象物を食品モデルとしての熱インジケータゲルとして、さらに評価した。
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱特性を、加熱対象物を食品モデルとしての熱インジケータゲルとして、さらに評価した。
〈方法〉
図10は、評価に用いた試験装置200の構成例の概略を示す。この試験装置200は、図4を参照して説明した第2の実施形態のマイクロ波照射装置2における対向する一対のアンテナ40を含む部分の構成に相当する。試験装置200の構成は、以下のとおりとした。
図10は、評価に用いた試験装置200の構成例の概略を示す。この試験装置200は、図4を参照して説明した第2の実施形態のマイクロ波照射装置2における対向する一対のアンテナ40を含む部分の構成に相当する。試験装置200の構成は、以下のとおりとした。
試験装置200は、電磁波を遮蔽する金属筐体282を備える。金属筐体282は、アルミニウム材で形成し、その寸法は、幅500 mm、長さ350 mm、高さ400 mmとした。金属筐体282内には、載置台266を水平に設けた。載置台266は、ガラスエポキシ製であり、その寸法は、幅331 mm、厚さ5 mmとした。載置台266の幅方向一端には、第1のブラケット249aを介して第1のループアンテナ240aを設け、載置台266の幅方向他端には、第2のブラケット249bを介して第2のループアンテナ240bを設けた。第1のブラケット249a及び第2のブラケット249bは、それぞれポリエチレン(PE)製とした。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bは、それぞれアルミニウム材で角形に形成し、その外寸は、長さ214 mm、高さ111 mm、厚み2 mmとした。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bは、互いに対向するように配置し、放射されるマイクロ波の指向性照射軸が載置台266に対して平行となるように設置した。第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの間隔は、333 mmとした。
なお、金属筐体282の材料は、アルミニウムに限らず、鉄、ステンレスなどの他の金属素材であってもよい。また、載置台266、第1のブラケット249a及び第2のブラケット249bの材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等といった樹脂素材など、他の低誘電率、低損失な素材であってもよい。
図示しないマイクロ波発振器を、図示しない同軸ケーブルを介して金属筐体282に設けられた第1の給電ポート223a及び第2の給電ポート223bに接続した。この同軸ケーブルは、途中で分岐しており、発振器から出力された電力は、第1の給電ポート223a及び第2の給電ポート223bに並列に給電される。第1の給電ポート223aは、第1のループアンテナ240aの第1の給電点253aに接続されている。第2の給電ポート223bは、第2のループアンテナ240bの第2の給電点253bに接続されている。一つの発振器から途中分岐し、並列に各アンテナに給電することによって、一方のアンテナからの出力を他方のアンテナが反射として誤認識することなく同時照射が可能である。
マイクロ波発振器の出力電力の周波数を450 MHzとした。マイクロ波発振器から出力されたマイクロ波電力は、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bへ、同相で給電される。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bからは、マイクロ波が放射される。ここで、第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの間隔は、上述のとおり333 mmであり、これは出力波長λ = 666 mmの1/2波長分である。
食品モデル290として、熱インジケータゲルを用いた。この熱インジケータゲルは、キシロースとグリシンを含み、それらによるメイラード反応によって、おおよそ70℃以上になったときに褐色に変色するように構成されている。熱インジケータゲルの誘電率、導電率などの電気特性は、添加する油、塩分等の濃度を調整することで、概して市販のポテトサラダの電気特性と等しくなるように調整した。食品モデル290は、150 gの熱インジケータゲルを、ポリプロピレン(PP)製のカップに充填して作製した。なお、充填後にシールはしていない。
この食品モデル290を、載置台266上の第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置した。すなわち、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bから、食品モデル290の中心までの距離は、166.5 mmとした。出力150 Wとして、食品モデル290を加熱した。
また、比較実験として、食品モデル290を業務用電子レンジ(パナソニック社製、出力250 W)で加熱した。
〈結果〉
図11は、試験装置200を用いて出力150 Wとして加熱した後の食品モデル290の写真を示す。図11において、上段は加熱時間が4分の場合であり、下段は加熱時間が6分の場合である。図11において、左列は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向である。図11において、右列は、左列の一点鎖線で示す線で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。
図11は、試験装置200を用いて出力150 Wとして加熱した後の食品モデル290の写真を示す。図11において、上段は加熱時間が4分の場合であり、下段は加熱時間が6分の場合である。図11において、左列は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向である。図11において、右列は、左列の一点鎖線で示す線で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。
図11に示すように、食品モデル290の中央部分が均一に褐色に変色しており、中央部分が均一に加熱されたことがわかる。
図12は、比較実験として、業務用電子レンジを用いて出力250 Wで加熱した後の食品モデル290の写真を示す。図12において、上段は加熱時間が3分の場合であり、下段は加熱時間が5分の場合である。図12において、左列は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。図12において、右列は、左列の一点鎖線で示す線で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。
業務用電子レンジを用いた場合、食品モデル290の外周部が濃い褐色に変色しており、外周部で過加熱が生じたことがわかった。マイクロ波は、庫内で多重反射しながら食品モデル290の外周部に照射され続けたと考えられる。さらに、食品モデル290の外周部で生じた発熱は、容器周上に沿って等しいわけではなく、図において丸299で囲った部分において発熱していない発熱欠損が生じていた。これは、マイクロ波の金属筐体における反射によって形成された定在波分布に均一性が無いことを示している。このことから、加熱の再現性がないことが示唆された。
これに対して、本実施形態に係る試験装置200を用いた場合、定在波を抑制した照射方式により、食品中心部を選択的に加熱可能であることが確認された。
[実験例3]
上述の実験例2では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bから等距離の位置における加熱状況について検討した。本実験例では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの何れか一方側に偏った位置における加熱状況について検討した。
上述の実験例2では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bから等距離の位置における加熱状況について検討した。本実験例では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの何れか一方側に偏った位置における加熱状況について検討した。
〈方法〉
図13は、本実験例の実施状況の概略を示す図である。本実験例では、図10に示した試験装置200を用いた。食品モデル290を、第1のループアンテナ240aから食品モデル290の中心までの距離が56.5 mmになる位置に配置した。試験装置200の出力を150 Wとし、5分間加熱した。
図13は、本実験例の実施状況の概略を示す図である。本実験例では、図10に示した試験装置200を用いた。食品モデル290を、第1のループアンテナ240aから食品モデル290の中心までの距離が56.5 mmになる位置に配置した。試験装置200の出力を150 Wとし、5分間加熱した。
〈結果〉
図14は、加熱後の食品モデル290の写真を示す。図12において、左の写真は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向であり、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。図12において、右の写真は、左の写真に示した一点鎖線の位置で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。同様に、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。
図14は、加熱後の食品モデル290の写真を示す。図12において、左の写真は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向であり、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。図12において、右の写真は、左の写真に示した一点鎖線の位置で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。同様に、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。
図14より、この場合、食品モデル290の外周部が発熱していることがわかった。また、アンテナ近傍側の発熱範囲はアンテナ遠方側の発熱範囲より広く、発熱の程度も大きいことがわかった。加熱対象物を一対の対向するアンテナのうち一方側に寄せて一対のアンテナに対して非対称に配置して、それぞれのアンテナからの距離を異ならせて加熱対象物にマイクロ波を照射することによって、加熱対象物の外周部への電界の回り込みが増加し、発熱欠損を生じることなく外周部を効率よく加熱することができることが見出された。
[実験例4]
上述の実験例2の状況について、数値シミュレーションによる解析を行った。
上述の実験例2の状況について、数値シミュレーションによる解析を行った。
〈方法〉
解析には、熱連成解析ソフトであるCST STUDIO SUITE(ダッソー・システムズ社製)を用い、熱と電磁界の連成解析を行った。図10に示した試験装置200の解析モデルを構築した。加熱対象物は、ポリプロピレン(PP)製のカップに詰めた市販のポテトサラダ150 gを模擬したものとした。加熱対象物の電気特性は、市販のポテトサラダの実測値に基づいて、比誘電率εr = 51、導電率ρ = 1.2 s/m、誘電正接tanδ = 0.95とした。
解析には、熱連成解析ソフトであるCST STUDIO SUITE(ダッソー・システムズ社製)を用い、熱と電磁界の連成解析を行った。図10に示した試験装置200の解析モデルを構築した。加熱対象物は、ポリプロピレン(PP)製のカップに詰めた市販のポテトサラダ150 gを模擬したものとした。加熱対象物の電気特性は、市販のポテトサラダの実測値に基づいて、比誘電率εr = 51、導電率ρ = 1.2 s/m、誘電正接tanδ = 0.95とした。
解析結果を示す図15Aに示されるように、この加熱対象物390を、互いに対向する第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bの中間位置に配置した。すなわち、加熱対象物390の中心からそれぞれのアンテナまでの距離は166.5 mmとした。
本解析実験例では、都合により加熱対象物390が配置される載置台366は、第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bを貫通するように配置されている。しかしながら、載置台366の物性値は低誘電率、低損失な樹脂を模して設定されているため、実質的にこのモデルは、図10に示した試験装置200の装置構成を再現していると考えることができる。
上記のモデルを用いて、出力を150 Wとし、5分間加熱した場合の温度分布を解析した。
〈結果〉
図15A及び図15Bは、熱連成解析結果を示す。図15Aは、解析結果を斜視図で示し、図15Bは、加熱対象物390の中心を通り第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bの指向性照射軸に対して垂直な断面を示す。図11に示した実験例2の結果と同様に、加熱対象物390の中心部が強く発熱して高温になった。本数値解析の結果は、実験結果とよく一致した。この数値解析には信頼性があることが確認された。
図15A及び図15Bは、熱連成解析結果を示す。図15Aは、解析結果を斜視図で示し、図15Bは、加熱対象物390の中心を通り第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bの指向性照射軸に対して垂直な断面を示す。図11に示した実験例2の結果と同様に、加熱対象物390の中心部が強く発熱して高温になった。本数値解析の結果は、実験結果とよく一致した。この数値解析には信頼性があることが確認された。
[実験例5]
図1Bを参照して説明した第1の実施形態の装置構成における、数値シミュレーションによる解析を行った。
図1Bを参照して説明した第1の実施形態の装置構成における、数値シミュレーションによる解析を行った。
〈方法〉
実験例4と同様の解析を行った。解析結果を示す図16Aに示されるように、図1Bを参照して説明した第1の実施形態のマイクロ波照射装置1における1つのアンテナ40を含む部分のモデルを構築して解析を行った。すなわち、このモデルでは、載置台466上に配置した加熱対象物490の片側のみにループアンテナ440を配置した。加熱対象物490は、実験例4の加熱対象物390と同様とした。
実験例4と同様の解析を行った。解析結果を示す図16Aに示されるように、図1Bを参照して説明した第1の実施形態のマイクロ波照射装置1における1つのアンテナ40を含む部分のモデルを構築して解析を行った。すなわち、このモデルでは、載置台466上に配置した加熱対象物490の片側のみにループアンテナ440を配置した。加熱対象物490は、実験例4の加熱対象物390と同様とした。
図16Aに結果が示されている解析では、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を166.5 mmとした。図16Bに結果が示されている解析では、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を56.5 mmとした。出力を150 Wとし、5分間加熱した場合の温度分布をそれぞれ解析した。
〈結果〉
図16A及び図16Bは、熱連成解析結果を示す。図16Aに示すように、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離が166.5 mmであるとき、加熱対象物490の外周部のうち、特にループアンテナ440に近い側が発熱することがわかった。加熱対象物に対してアンテナを片側のみに配置し、加熱対象物に対して非対称にマイクロ波を照射することによって、アンテナ側の加熱対象物の外周部を選択的に加熱可能であることが明らかになった。
図16A及び図16Bは、熱連成解析結果を示す。図16Aに示すように、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離が166.5 mmであるとき、加熱対象物490の外周部のうち、特にループアンテナ440に近い側が発熱することがわかった。加熱対象物に対してアンテナを片側のみに配置し、加熱対象物に対して非対称にマイクロ波を照射することによって、アンテナ側の加熱対象物の外周部を選択的に加熱可能であることが明らかになった。
図16Aの場合よりも加熱対象物490とループアンテナ440との距離を縮めて、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を56.5 mmとした場合の結果を図16Bに示す。加熱対象物490とループアンテナ440との距離を縮めることで、加熱対象物490の外周部のうち図16Aの場合よりも広い範囲の温度が上昇した。この結果は、図14に示した実験例3の結果と一致した。
マイクロ波を非対称に照射し、さらに、加熱対象物とアンテナとの距離を調整することで、加熱対象物において発熱させる領域を調整可能であることが明らかになった。
[実験例6]
加熱方法を検討する実験を行った。
加熱方法を検討する実験を行った。
〈方法〉
図10に示した試験装置200を用いて、ポリプロピレン(PP)製のカップに市販のポテトサラダ140 gを充填して充填後シールしない試料を加熱対象物として、実験を行った。加熱条件を以下のようにした。まず、加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。加熱後、インターバルとして1.5分間放置した。続いて、加熱対象物を第1のループアンテナ240aから加熱対象物の中心までの距離が56.5 mmとなる位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。この間の加熱対象物の温度を、光ファイバー温度計を用いて測定した。
図10に示した試験装置200を用いて、ポリプロピレン(PP)製のカップに市販のポテトサラダ140 gを充填して充填後シールしない試料を加熱対象物として、実験を行った。加熱条件を以下のようにした。まず、加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。加熱後、インターバルとして1.5分間放置した。続いて、加熱対象物を第1のループアンテナ240aから加熱対象物の中心までの距離が56.5 mmとなる位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。この間の加熱対象物の温度を、光ファイバー温度計を用いて測定した。
〈結果〉
図17は、加熱対象物の中心部(実線)と外周部(破線)との温度測定の結果を示す。加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置した場合、加熱対象物の中心部が外周部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で70℃、外周部で45℃となった。1.5分間のインターバル期間での温度低下はあまりなく、インターバル期間終了時の温度は、中心部で67℃、外周部で45℃となった。その後、加熱対象物を第1のループアンテナ240a側に寄せて加熱したところ、加熱対象物の外周部が中心部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で73℃、外周部で100℃となった。
図17は、加熱対象物の中心部(実線)と外周部(破線)との温度測定の結果を示す。加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置した場合、加熱対象物の中心部が外周部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で70℃、外周部で45℃となった。1.5分間のインターバル期間での温度低下はあまりなく、インターバル期間終了時の温度は、中心部で67℃、外周部で45℃となった。その後、加熱対象物を第1のループアンテナ240a側に寄せて加熱したところ、加熱対象物の外周部が中心部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で73℃、外周部で100℃となった。
加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置して両アンテナから均等にマイクロ波を照射することと、加熱対象物を第1のループアンテナ240aに寄せて配置して両アンテナから不均等にマイクロ波を照射することとを組み合わせることによって、中心部と外周部とをそれぞれ加熱することができ、加熱対象物の全体をまんべんなく加熱できることが明らかになった。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
1,2,3 マイクロ波照射装置
10 発振器
20 給電器具
21 同軸ケーブル
30 アンテナ群
40 アンテナ
42 照射面
44 照射源
45 指向性照射軸
46 拡散照射軸
51 ループアンテナ
52 導線
53 給電点
54 開口面
60 搬送装置
61 ベルト
62 ローラ
70 搬送装置群
71 第1の搬送装置
72 第2の搬送装置
82 金属筐体
84 供給装置
86 搬出装置
90 被照射物
91 搬送方向
100 試験装置
110 発振器
140 ループアンテナ
145 指向性照射軸
166 食品保持台
182 金属筐体
190 加熱対象物
200 試験装置
223a 第1の給電ポート
223b 第2の給電ポート
240a 第1のループアンテナ
240b 第2のループアンテナ
249a 第1のブラケット
249b 第2のブラケット
253a 第1の給電点
253b 第2の給電点
266 載置台
282 金属筐体
290 食品モデル
340a 第1のループアンテナ
340b 第2のループアンテナ
366 載置台
390 加熱対象物
440 ループアンテナ
466 載置台
490 加熱対象物
10 発振器
20 給電器具
21 同軸ケーブル
30 アンテナ群
40 アンテナ
42 照射面
44 照射源
45 指向性照射軸
46 拡散照射軸
51 ループアンテナ
52 導線
53 給電点
54 開口面
60 搬送装置
61 ベルト
62 ローラ
70 搬送装置群
71 第1の搬送装置
72 第2の搬送装置
82 金属筐体
84 供給装置
86 搬出装置
90 被照射物
91 搬送方向
100 試験装置
110 発振器
140 ループアンテナ
145 指向性照射軸
166 食品保持台
182 金属筐体
190 加熱対象物
200 試験装置
223a 第1の給電ポート
223b 第2の給電ポート
240a 第1のループアンテナ
240b 第2のループアンテナ
249a 第1のブラケット
249b 第2のブラケット
253a 第1の給電点
253b 第2の給電点
266 載置台
282 金属筐体
290 食品モデル
340a 第1のループアンテナ
340b 第2のループアンテナ
366 載置台
390 加熱対象物
440 ループアンテナ
466 載置台
490 加熱対象物
Claims (14)
- 被照射物を搬送方向に搬送する搬送装置と、
発振器と導通するように構成された給電器具と、
前記給電器具を介した導通による給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成されている指向性のアンテナを複数有し、前記複数のアンテナが前記搬送方向に沿って配置されているアンテナ群と
を備えるマイクロ波照射装置。 - 前記アンテナは、前記照射源から照射されるマイクロ波の指向性照射軸が、前記搬送装置を構成するマイクロ波を反射する構造物と交差しないように配置されている、請求項1に記載のマイクロ波照射装置。
- 前記アンテナ群は、前記搬送装置を挟んで両側に配置された前記複数のアンテナを有する、請求項1又は2に記載のマイクロ波照射装置。
- 前記アンテナは、前記照射面が開口面であるループアンテナである、請求項1乃至3の何れかに記載のマイクロ波照射装置。
- 前記ループアンテナの前記開口面の両側に配置された複数の前記搬送装置を有する搬送装置群を備える、請求項4に記載のマイクロ波照射装置。
- 給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された指向性のアンテナによって被照射物にマイクロ波を照射するマイクロ波の照射方法であって、
前記被照射物の両側に配置された複数の前記アンテナに一つの発振器から並列に給電して当該複数のアンテナから同時に均等にマイクロ波を照射することを含む、照射方法。 - 給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された指向性のアンテナによって被照射物にマイクロ波を照射する照射方法であって、
前記被照射物の両側に配置された前記アンテナから同時に均等にマイクロ波を照射することと、
前記被照射物の両側又は片側に配置された前記アンテナから不均等にマイクロ波を照射することと
を含む照射方法。 - 前記均等にマイクロ波を照射することは、前記被照射物から等距離に対向して配置された一対の前記アンテナから照射強度が等しいマイクロ波を前記被照射物に照射することを含む、請求項7に記載の照射方法。
- 前記不均等にマイクロ波を照射することは、
前記一対のアンテナの一方からマイクロ波を前記被照射物に照射することと、
前記一対のアンテナの他方からマイクロ波を前記被照射物に照射することと
を含む、請求項8に記載の照射方法。 - 前記不均等にマイクロ波を照射することは、照射強度が等しいマイクロ波を照射している前記一対のアンテナの一方に前記被照射物を近づけることを含む、請求項8に記載の照射方法。
- 搬送装置によって前記被照射物を搬送方向に搬送することをさらに含み、
前記搬送装置における第1の位置において第1の位置から等距離に対向して一対の前記アンテナが配置されており、前記均等にマイクロ波を照射することは、前記第1の位置にある前記被照射物に対して、前記一対のアンテナの各々から照射強度が等しいマイクロ波を照射することを含み、
前記搬送装置における第2の位置において第2の位置の少なくとも片側に前記アンテナが配置されており、前記不均等にマイクロ波を照射することは、前記第2の位置にある前記被照射物に対して、前記片側の前記アンテナからマイクロ波を照射することを含む、
請求項7に記載の照射方法。 - マイクロ波を照射して食品を加熱することを含む食品の製造方法であって、
前記マイクロ波の照射は、給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された指向性のアンテナによって行われ、前記食品の両側に配置された複数の前記アンテナに一つの発振器から並列に給電して当該複数のアンテナから同時に均等にマイクロ波を照射することを含む、食品の製造方法。 - 前記食品の両側又は片側に配置された前記アンテナから不均等にマイクロ波を照射することをさらに含む、請求項12に記載の食品の製造方法。
- 前記食品が包装食品である、請求項12又は13に記載の食品の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023224084A1 (ja) | 2022-05-19 | 2023-11-23 | 東ソー株式会社 | 金属スパッタリングターゲット及びその製造方法、並びに、金属材料及びその製造方法 |
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