JP2022049667A - エッチング方法及びプラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜に形成される開口の垂直性とマスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性を高める技術を提供する。【解決手段】開示されるエッチング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程(a)を含む。プラズマは、チャンバ内で下部電極を有する基板支持器上に基板が載置されている状態で生成される。基板は、膜とマスクを有する。マスクは、膜の上に設けられている。エッチング方法は、負の直流電圧のパルスを周期的に下部電極に印加してプラズマからのイオンを基板に供給することにより膜をエッチングする工程(b)を更に含む。工程(b)において、基板の負の電位の絶対値が膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するようにパルスの電圧のレベルが少なくとも一回変更される。【選択図】図1
Description
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
プラズマ処理装置が基板に対するプラズマ処理において用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板保持電極を備える。基板保持電極は、チャンバ内に設けられている。基板保持電極は、その主面上に載置された基板を保持する。このようなプラズマ処理装置の一種は、特開2009-187975号公報(以下、「特許文献1」という)に記載されている。
特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、高周波発生装置及びDC負パルス発生装置を更に備えている。高周波発生装置は、基板保持電極に対して高周波電圧を印加する。高周波発生装置は、高周波電圧のオンとオフを交互に切り替える。DC負パルス発生装置は、高周波電圧のオンとオフのタイミングに応じて基板保持電極にDC負パルス電圧を印加する。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置では、基板に供給されるイオンのエネルギーは、DC負パルス電圧が基板保持電極に印加されているときに最大となる。基板に供給されるイオンのエネルギーは、DC負パルス電圧が基板に印加されていないときに最小となる。
本開示は、膜に形成される開口の垂直性とマスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性を高める技術を提供する。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を載置する工程を含む。基基板は、膜とマスクを有する。マスクは、膜の上に設けられている。エッチング方法は、基板支持器上に載置された基板の膜をエッチングする工程を更に含む。エッチングする工程は、チャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程(a)を含む。エッチングする工程は、電圧のパルスを周期的に基板支持器内の下部電極に印加してプラズマからのイオンを基板に供給することにより膜をエッチングする工程(b)を更に含む。工程(b)において、基板の負の電位の絶対値が膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、パルスの電圧のレベルが少なくとも一回変更される。
一つの例示的実施形態によれば、膜に形成される開口の垂直性とマスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性が高められる。
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を載置する工程を含む。基基板は、膜とマスクを有する。マスクは、膜の上に設けられている。エッチング方法は、基板支持器上に載置された基板の膜をエッチングする工程を更に含む。エッチングする工程は、チャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程(a)を含む。エッチングする工程は、電圧のパルスを周期的に基板支持器内の下部電極に印加してプラズマからのイオンを基板に供給することにより膜をエッチングする工程(b)を更に含む。工程(b)において、基板の負の電位の絶対値が膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、パルスの電圧のレベルが少なくとも一回変更される。
上記実施形態では、基板の膜に形成されている開口の深さが浅いときには、基板の負の電位の絶対値は比較的小さいので、膜は比較的低いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。また、基板の膜に形成されている開口の深さが深いときには、基板の負の電位の絶対値は比較的大きいので、膜は比較的高いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。開口の深さが浅いときに用いられる比較的低いエネルギーを有するイオンは、マスクのエッチンを抑制するので、マスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性を高める。また、開口の深さが浅いときに用いられる比較的低いエネルギーを有するイオンは、膜に形成される開口の垂直性の劣化を抑制し得る。また、開口の深さが深いときに用いられる比較的高いエネルギーを有するイオンは、膜のエッチングレートを高めることにより、マスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性を高める。また、開口の深さが深いときに用いられる比較的高いエネルギーを有するイオンは、膜に形成される開口の垂直性を高める。したがって、上記実施形態によれば、膜に形成される開口の垂直性とマスクのエッチングに対する膜のエッチングの選択性が高められる。
一つの例示的実施形態において、パルスは、負の電圧のパルスであるか、負の直流電圧のパルスであってもよい。工程(b)において、パルスの電圧の絶対値が膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するようにパルスの電圧の絶対値が少なくとも一回増加されてもよい。
上記実施形態では、基板の膜に形成されている開口の深さが浅いときには、比較的低い絶対値を有する負の電圧のパルスが下部電極に供給され、膜は比較的低いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。また、基板の膜に形成されている開口の深さが深いときには、比較的高い絶対値を有する負の電圧のパルスが下部電極に供給され、膜は比較的高いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。
一つの例示的実施形態では、工程(b)において、パルスのデューティー比が20%以下に設定されてもよい。
一つの例示的実施形態では、工程(b)において、パルスのデューティー比が、膜のエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように少なくとも一回減少されてもよい。一つの例示的実施形態では、工程(b)において、パルスのデューティー比が、15%以上、20%以下の比を有するように、減少されてもよい。この実施形態によれば、膜のエッチングレートの低下を抑制しつつ、マスクのエッチングを更に抑制することが可能となる。
一つの例示的実施形態では、工程(b)において、パルスのデューティー比が、段階的に又は徐々に減少されてもよい。
一つの例示的実施形態では、工程(b)において、パルスの電圧の絶対値が、段階的に又は徐々に増加されてもよい。
別の例示的実施形態に係るエッチング方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を載置する工程を含む。基板は、膜とマスクを有する。マスクは、膜の上に設けられている。エッチング方法は、基板支持器上に載置された基板の膜をエッチングする工程を更に含む。エッチングする工程は、プラズマ処理装置のチャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程(a)を含む。エッチングする工程は、電圧のパルスを周期的に基板支持器内の下部電極に印加してプラズマからのイオンを基板に供給することにより膜をエッチングする工程(b)を更に含む。工程(b)において、パルスのデューティー比が、膜のエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように少なくとも一回減少される。一つの例示的実施形態において、パルスは、負の電圧のパルスであるか、負の直流電圧のパルスであってもよい。
一つの例示的実施形態において、膜は、シリコン含有膜を含んでいてもよい。膜は、シリコン含有誘電体膜を含んでいてもよい。膜は、シリコン酸化膜を含んでいてもよい。膜は、シリコン窒化膜を更に含んでいてもよい。マスクは、多結晶シリコンから形成されていてもよい。
更に別の例示的実施形態においては、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、ガス供給部、プラズマ生成部、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極を有し、チャンバ内に設けられている。ガス供給部は、チャンバ内に処理ガスを供給するように構成されている。プラズマ生成部は、チャンバ内でガスからプラズマを生成するように構成されている。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されており、電圧のパルスを周期的に発生するように構成されている。制御部は、(a)チャンバ内で処理ガスのプラズマを生成するよう、ガス供給部及びプラズマ生成部を制御する。制御部は、(b)プラズマからのイオンを基板支持器上の基板に供給して該基板の膜をエッチングするために、パルスを周期的に下部電極に印加するよう、バイアス電源を制御する。制御部は、(b)の制御において、基板の負の電位の絶対値が膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するようにパルスの電圧のレベルを少なくとも1回変更させるよう、バイアス電源を制御する。一つの例示的実施形態において、バイアス電源は、パルスとして、負の電圧のパルス又は負の直流電圧のパルスを発生するように構成されていてもよい。
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。図1に示すエッチング方法(以下、「方法MT」という)は、基板の膜をエッチングするために行われる。
図2は、図1に示すエッチング方法が適用される一例の基板の部分拡大断面図である。図2に示す基板Wは、膜EF及びマスクMKを有している。膜EFは、方法MTにおいてエッチングされる。膜EFは、シリコン含有膜及び/又はシリコン含有誘電体膜を含んでいてもよい。膜EFは、シリコン酸化膜及び/又はシリコン窒化膜を含んでいてもよい。マスクMKは、膜EF上に設けられている。マスクMKは、膜EFに転写されるパターンを有している。マスクMKは、膜EFがマスクMKに対して選択的にエッチングされる限り、任意の材料から形成され得る。膜EFがシリコン酸化膜及び/又はシリコン窒化膜を含む場合には、マスクMKは、多結晶シリコンから形成されていてもよい。
膜EFは、単層の膜であってもよく、或いは、多層膜であってもよい。一実施形態において、膜EFは、膜FA及び膜FBを含んでいてもよい。膜FBは膜FA上に設けられており、マスクMKは膜FB上に設けられている。膜FAはシリコン酸化膜であってもよく、膜FBは窒化シリコン膜であってもよい。一実施形態において、基板Wは、下地領域URを更に有していてもよい。膜EFは、下地領域UR上に設けられていてもよい。
方法MTでは、プラズマ処理装置が基板の膜のエッチングのために用いられる。図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。方法MTでは、図3に示すプラズマ処理装置1が用いられ得る。プラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。チャンバ10の中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。
一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいてもよい。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は、電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。
チャンバ本体12の側壁は、通路12pを提供している。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉可能となっている。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備えている。基板支持器16は、チャンバ10内で基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有し得る。基板支持器16は、支持体15によって支持されていてもよい。支持体15は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持体15は、略円筒形状を有している。支持体15は、石英といった絶縁材料から形成されている。
基板支持器16は、下部電極18を含んでいる。基板支持器16は、静電チャック20を更に含んでいてもよい。基板支持器16は、電極プレート19を更に含んでいてもよい。電極プレート19は、アルミニウムといった導電性材料から形成されている。電極プレート19は、略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。下部電極18は、電極プレート19上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されている。下部電極18は、略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。下部電極18は、電極プレート19に電気的に接続されている。
下部電極18は、その中に流路18fを提供している。流路18fは、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)に接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fは、供給装置から配管23aを介して供給される熱交換媒体を受ける。熱交換媒体は、流路18fを流れて、配管23bを介して供給装置に戻される。供給装置は、プラズマ処理装置1の温度調整機構を構成する。
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、静電チャック20の上面の上に載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。本体は、誘電体から形成されている。静電チャック20及びその本体の各々は、略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。電極は、導電性を有する膜であり、本体内に設けられている。電極は、スイッチを介して直流電源に接続されている。直流電源からの電圧が電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
基板支持器16は、その周縁部上に搭載されるエッジリングERを支持してもよい。エッジリングERは、シリコン、炭化シリコン、又は石英から形成され得る。基板Wは、静電チャック20上且つエッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備えていてもよい。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
プラズマ処理装置1は、筒状部28及び絶縁部29を更に備えていてもよい。筒状部28は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。筒状部28は、支持体15の外周に沿って延在している。筒状部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。筒状部28は、電気的に接地されている。絶縁部29は、筒状部28上に設けられている。絶縁部29は、絶縁性を有する材料から形成されている。絶縁部29は、例えば石英といったセラミックから形成されている。絶縁部29は、略円筒形状を有している。絶縁部29は、電極プレート19の外周、下部電極18の外周、及び静電チャック20の外周に沿って延在している。
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する材料から形成されている。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成している。天板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。一実施形態において、天板34は、シリコンから形成されている。天板34は、複数のガス吐出孔34aを提供している。複数のガス吐出孔34aは、天板34をその板厚方向に貫通している。
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムといった導電性材料から形成される。支持体36は、その中にガス拡散室36aを提供している。支持体36は、複数のガス孔36bを更に提供している。複数のガス孔36bは、ガス拡散室36aから下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36は、ガス導入口36cを更に提供している。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して、接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部GSを構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースは、複数のガスのソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数の開閉バルブを含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応の開閉バルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
プラズマ処理装置1は、バッフル部材48を更に備えていてもよい。バッフル部材48は、筒状部28とチャンバ本体12の側壁との間に設けられている。バッフル部材48は、板状の部材であり得る。バッフル部材48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面上に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。バッフル部材48は、複数の貫通孔を提供している。チャンバ本体12の底部は、バッフル部材48の下方で排気口12eを提供している。排気口12eには、排気装置50が排気管52を介して接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプといった真空ポンプを有している。
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、プラズマ生成用の高周波電力HFを発生する電源である。高周波電力HFは、第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27~100MHzの範囲内の周波数である。一例において、第1の周波数は、40MHzである。高周波電源61は、高周波電力HFを下部電極18に供給するために、整合器61m及び電極プレート19を介して下部電極18に接続されている。整合器61mは、整合回路を有している。整合器61mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器61mの整合回路のインピーダンスは、高周波電源61の負荷からの反射を低減させるように調整される。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合器61mを介して上部電極30に接続されていてもよい。高周波電源61は、一実施形態のプラズマ生成部を構成している。
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備えている。バイアス電源62は、電極プレート19を介して下部電極18に接続されている。バイアス電源62は、電圧のパルスNPを周期的に発生するように構成されている。パルスNPの電圧の極性は、パルスNPが下部電極18に印加されることにより設定される基板Wの電位が負の電位である限り、負又は正の何れであってもよい。一実施形態においては、バイアス電源62は、電圧のパルスNPとして、負の電圧のパルス又は負の直流電圧のパルスを発生する。パルスNPの周期、即ちパルスNPが発生される時間間隔は、第2の周波数の逆数の時間長を有する。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば、1kHz~27MHzの範囲内の周波数である。一例において、第2の周波数は400kHzである。一周期の時間長においてパルスNPが下部電極18に印加される時間が占める割合、即ちデューティー比は、20%以下であってもよい。
一実施形態において、バイアス電源62は、フィルタ62fを介して下部電極18に接続されていてもよい。フィルタ62fは、ローパスフィルタであり、バイアス電源62に流入し得る高周波電力HFを低減させる。
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、分析器72を更に備えていてもよい。分析器72は、チャンバ10内で生成されたプラズマの分光分析を実行する。例えば、分析器72は、チャンバ本体12の側壁に設けられた窓74を介して、プラズマの発光を観察する。窓74は、石英等の光学的に透明な部材から構成されている。
プラズマ処理装置1は、制御部80を更に備える。制御部80は、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部80は、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部80は、例えば、ガス供給部GS、排気装置50、高周波電源61、バイアス電源62等を制御する。制御部80による制御により、レシピデータによって指定されたプロセス、例えば方法MTがプラズマ処理装置1において実行される。
以下、図1を再び参照して、方法MTについて説明する。以下の説明では、プラズマ処理装置1を用いてそれが図2に示す基板Wに適用される場合を例にとって、方法MTについて説明する。なお、方法MTが適用される基板は、図2に示す基板とは異なる基板であってもよい。また、方法MTでは、プラズマ処理装置1とは異なるプラズマ処理装置が用いられてもよい。
図1に示すように方法MTは、工程STp及び工程STeを含む。工程STpでは、基板Wが基板支持器16上に載置される。工程STeは、基板Wが基板支持器16に載置されている状態で実行される。工程STeでは、膜EFがエッチングされる。工程STeは、工程ST1及び工程ST2を含む。工程ST1及び工程ST2は、基板Wがチャンバ10内で基板支持器16上に載置された状態で実行される。
工程ST1では、プラズマ処理装置のチャンバ内で処理ガスのプラズマが生成される。処理ガスは、エッチングされるべき膜EFの膜種に応じて選択される。膜EFがシリコン酸化膜及び/又はシリコン窒化膜を含む場合には、処理ガスはフルオロカーボンガスを含み得る。処理ガスは、アルゴンガスのような希ガス、O2ガスのような酸素ガス、及び他のフッ素含有ガスのうち少なくとも一つを含んでいてもよい。工程ST1では、処理ガスは、プラズマ生成部によって与えられるエネルギーによりチャンバ内で励起される。その結果、チャンバ内でプラズマが生成される。
プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部80は、工程ST1において、処理ガスをチャンバ10内に供給するよう、ガス供給部GSを制御する。また、制御部80は、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、排気装置50を制御する。また、制御部80は、高周波電力HFを供給するよう、高周波電源61を制御する。制御部80の制御により、プラズマがチャンバ10内で処理ガスから生成される。なお、工程STeの実行中の高周波電力HFの周波数は、一定であってもよい。工程STeの実行中の高周波電力HFの周波数は、例えば40MHzであってもよい。
工程ST2は、工程ST1において生成されたプラズマがチャンバ内に存在するときに行われる。工程ST2は、工程ST1におけるプラズマの生成と同時に行われ得る。工程ST2は、工程ST21を含む。工程ST21では、パルスNPが、基板支持器の下部電極に印加される。工程ST21は、周期的に繰り返される。即ち、工程ST2では、パルスNPが、基板支持器の下部電極に周期的に印加される。工程ST2では、プラズマからのイオンが基板に供給されることにより、膜EFがエッチングされる。
プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部80は、工程ST2においてパルスNPを下部電極18に周期的に印加するよう、バイアス電源62を制御する。パルスNPが下部電極18に印加される周期、即ち時間間隔は、第2の周波数の逆数の時間長を有する。第2の周波数は、上述したように、例えば1kHz~27MHzの範囲内の周波数である。一例において、第2の周波数は400kHzである。一周期の時間長においてパルスNPが下部電極18に印加される時間が占める割合、即ちデューティー比は、20%以下であってもよい。
工程ST2では、パルスNPの一つ以上のパラメータの各々が、膜EFのエッチングの進行に応じて変更される。パルスNPの一つ以上のパラメータの各々は、工程ST21の繰り返し中に、少なくとも一回変更される。パルスNPの一つ以上のパラメータの各々は、工程ST21の繰り返し中に、段階的に又は徐々に変更されてもよい。パルスNPの一つ以上のパラメータは、パルスNPの電圧のレベル及びパルスNPのデューティー比のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
パルスNPの電圧のレベルは、工程ST2において、基板Wの負の電位の絶対値が膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、少なくとも一回変更され得る。パルスNPの電圧のレベルは、工程ST2において、基板Wの負の電位の絶対値が膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、段階的に又は徐々に変更されてもよい。
図4の(a)~図4の(d)の各々は、電圧のパルスの時間変化の例を示す図である。図4の(a)においては、パルスNPの電圧のレベルの段階的な変更が示されている。図4の(a)に示すように、工程ST2において、パルスNPの電圧のレベルは、二つ以上の周期毎に変更されてもよい。図4の(b)においては、パルスNPの電圧のレベルの徐々の変化が示されている。図4の(b)に示すように、工程ST2において、パルスNPの電圧のレベルは、一周期毎に変更されてもよい。
一実施形態では、工程ST2において、パルスNPの負の電圧又は負の直流電圧の絶対値が、膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、少なくとも一回増加されてもよい。工程ST2において、パルスNPの負の電圧又は負の直流電圧の絶対値は、膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、段階的に又は徐々に増加されてもよい。
パルスNPのデューティー比は、工程ST2において、膜EFのエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように、少なくとも一回減少され得る。パルスNPのデューティー比は、工程ST2において、膜EFのエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように、段階的に又は徐々に減少されてもよい。図4の(c)においては、パルスNPのデューティー比の段階的な減少が示されている。図4の(c)に示すように、工程ST2において、パルスNPのデューティー比は、二つ以上の周期毎に減少されてもよい。図4の(d)においては、パルスNPのデューティー比の徐々の変化が示されている。図4の(d)に示すように、工程ST2において、パルスNPのデューティー比は、一周期毎に減少されてもよい。
一実施形態において、パルスNPのデューティー比は、工程ST2において、15%以上、20%以下の範囲内の比を有するように、減少されてもよい。なお、工程ST2の実行中に、パルスNPの電圧の絶対値及びパルスNPのデューティー比は、同時に変更されてもよく、異なるタイミングで変更されてもよい。
工程ST2において、制御部80は、膜EFのエッチングの進行に応じてパルスNPの一つ以上のパラメータの各々を少なくとも一回変更するよう、バイアス電源62を制御する。工程ST2において、制御部80は、基板Wの負の電位の絶対値が膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、パルスNPの電圧のレベルを少なくとも一回変更させるよう、バイアス電源62を制御し得る。パルスNPの電圧が負の極性を有する場合には、工程ST2において、制御部80は、パルスNPの電圧の絶対値が膜EFのエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、パルスNPの電圧の絶対値を少なくとも一回増加させるよう、バイアス電源62を制御してもよい。工程ST2において、制御部80は、パルスNPのデューティー比が膜EFのエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように、パルスNPのデューティー比を少なくとも一回減少させるよう、バイアス電源62を制御してもよい。
一実施形態において、工程ST2は、工程ST21に加えて、工程ST22を含んでいてもよい。工程ST2は、工程ST2a及び工程ST2bを更に含んでいてもよい。工程ST2aでは、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、例えば工程ST21の繰り返し回数が所定回数に達している場合に満たされるものと判定される。所定回数は、レシピデータの一部として指定されていてもよい。工程ST2aにおいて停止条件が満たされないものと判定されると、次いで工程ST2bの判定が行われる。
工程ST2bでは、パルスNPの一つ以上のパラメータの何れかが変更されるべきか否かが判定される。パルスNPの一つ以上のパラメータの各々の変更のタイミングは、レシピデータの一部として規定されていてもよい。工程ST2bにおいてパルスNPの一つ以上のパラメータの何れもが変更されるべきでないと判定される場合には、処理は、工程ST21に進む。
一方、工程ST2bにおいてパルスNPの一つ以上のパラメータの何れかが変更されるべきと判定される場合には、処理は、工程ST22に進む。一例では、同じレベルのパルスNPが続けて出力された回数(即ち、同じレベルのパルスNPが出力された連続する周期の数)が所定回数に達している場合に、処理は、工程ST22に進む。別の例では、分析器72によって取得される複数の波長の光それぞれの発光強度から、エッチングされている膜の種類が切り替わっているものと判断される場合に、処理は工程ST22に進む。例えば、膜EFがシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層を含むである場合には、シリコン酸化膜がエッチングされているときには483nmの波長の発光強度が大きく、シリコン窒化膜がエッチングされているときには387nmの波長の発光強度が大きくなる。膜EFがシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層を含む場合には、これらの波長の光の発光強度を観察することにより、エッチングされている膜の種類が切り替わるタイミングが特定され、かかるタイミングで工程ST22が行われる。
工程ST22においては、変更されるべきパルスNPのパラメータが変更される。パルスNPの電圧のレベルが変更されるべきパラメータである場合には、工程ST22において当該レベルが変更される。例えば、パルスNPの電圧が負の極性を有する場合には、工程ST22においてパルスNPの電圧の絶対値が増加される。パルスNPのデューティー比が変更されるべきパラメータである場合には、工程ST22において当該デューティー比が減少される。なお、パルスNPの変更されるべきパラメータの変更値は、レシピデータの一部として規定されていてもよい。工程ST22の後に、処理は、工程ST21に進む。
工程ST21が周期的に繰り返された後に工程ST2aにおいて停止条件が満たされるものと判定されると、工程ST2が終了し、方法MTが終了する。図5は、図1に示すエッチング方法が適用された一例の基板の部分拡大断面図である。工程ST2では、膜EFはそれにマスクMKのパターンを転写するようにエッチングされる。その結果、開口が膜EFに形成される。工程ST2では、図5に示すように、膜EFは、下地領域URを部分的に露出させるようにエッチングされてもよい。
方法MTでは、基板Wの膜EFに形成されている開口の深さが浅いときには、基板Wの負の電位の絶対値は比較的小さいので、膜EFは比較的低いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。また、基板Wの膜EFに形成されている開口の深さが深いときには、基板Wの負の電位の絶対値は比較的大きいので、膜EFは比較的高いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。開口の深さが浅いときに用いられる比較的低いエネルギーを有するイオンは、マスクMKのエッチンを抑制するので、マスクMKのエッチングに対する膜EFのエッチングの選択性を高める。また、開口の深さが浅いときに用いられる比較的低いエネルギーを有するイオンは、膜EFに形成される開口の垂直性の劣化を抑制し得る。また、開口の深さが深いときに用いられる比較的高いエネルギーを有するイオンは、膜EFのエッチングレートを高めることにより、マスクMKのエッチングに対する膜EFのエッチングの選択性を高める。また、開口の深さが深いときに用いられる比較的高いエネルギーを有するイオンは、膜EFに形成される開口の垂直性を高める。したがって、方法MTによれば、膜EFに形成される開口の垂直性とマスクMKのエッチングに対する膜EFのエッチングの選択性が高められる。
一実施形態においては、周期的に印加されるパルスNPの電圧は、負の極性を有する。周期的に印加されるパルスNPの電圧の絶対値が増加傾向を有する場合には、基板Wの膜EFに形成されている開口の深さが浅いときに、比較的低い絶対値を有する負の電圧のパルスNPが下部電極18に供給される。したがって、膜EFは比較的低いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。また、膜EFに形成されている開口の深さが深いときには、比較的高い絶対値を有する負の電圧のパルスNPが下部電極18に供給され、膜EFは比較的高いエネルギーを有するイオンを用いてエッチングされる。
周期的に印加されるパルスNPのデューティー比が減少傾向を有する場合には、膜EFのエッチングの進行につれてマスクMKのエッチングレートが低下する。したがって、マスクMKのエッチングに対する膜EFのエッチングの選択性が高められる。また、パルスNPのデューティー比が、15%以上、20%以下の比を有するように減少される場合には、膜EFのエッチングレートの低下を抑制しつつ、マスクMKのエッチングを更に抑制することが可能となる。
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
例えば、第1の期間と第2の期間が交互に繰り返され、第2の期間における高周波電力HFの電力レベルが第1の期間にける高周波電力HFの電力レベルよりも低くなるように、設定されてもよい。第2の期間において高周波電力HFの電力レベルはゼロに設定されてもよい。即ち、第2の期間において高周波電力HFの供給が停止されてもよい。また、第2の期間において周期的に印加されるパルスNPの電圧の絶対値が、第1の期間において周期的に印加されるパルスNPの電圧の絶対値よりも低くなるように設定されてもよい。第2の期間においてパルスNPの印加は停止されてもよい。なお、方法MTにおいてエッチングされる膜がシリコン酸化膜である場合には、第1の期間と第2の期間を含む一周期の時間長の逆数、即ちパルス周波数は、2kHzであってもよい。方法MTにおいてエッチングされる膜がシリコン窒化膜である場合には、パルス周波数は、5kHz以上、10kHz以下であってもよい。
また、方法MTでは、基板支持器の下部電極に対して周期的に印加されるパルスNPの一つ以上のパラメータを変更することができる限り、任意のプラズマ処理装置が用いられてもよい。そのようなプラズマ処理装置としては、誘導結合型のプラズマ処理装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置が例示される。
以下、方法MTの評価のために行った種々の実験について説明する。本開示は、これらの実験によって限定されるものではない。
(第1の実験)
第1の実験では、プラズマ処理装置1を用いて図2に示す基板Wと同じ複数のサンプル基板に方法MTを適用した。サンプル基板の各々において、マスクMKは、多結晶シリコン膜から形成されマスクであった。膜FAは、シリコン酸化膜であり、膜FBは、シリコン窒化膜であった。第1の実験では、エッチングの時間(工程ST2の時間長)及びパルスNPの負の直流電圧の絶対値の互いに異なる条件の下で、複数のサンプル基板の膜EFをエッチングした。以下、工程ST1及び工程ST2の他の条件を示す。
<工程ST1及び工程ST2の条件>
高周波電力HF:40MHz、1500W
パルスNPの第2の周波数:400kHz
パルスNPのデューティー比:15%
処理ガス:フルオロカーボンガス、O2ガス、アルゴンガスを含む混合ガス
<工程ST1及び工程ST2の条件>
高周波電力HF:40MHz、1500W
パルスNPの第2の周波数:400kHz
パルスNPのデューティー比:15%
処理ガス:フルオロカーボンガス、O2ガス、アルゴンガスを含む混合ガス
第1の実験では、各サンプル基板の膜EFのエッチング結果から、エッチングの開始からの四つの時間の区間における選択比を求めた。四つの時間の区間は、エッチングの開始時点を基準として、0秒~60秒、60秒~120秒、120秒~180秒、180秒~240秒であった。選択比は、膜EFのエッチングレートをマスクMKのエッチングレートで除すことにより求めた。四つの時間の区間と選択比との関係を図6に示す。図6に示すように、エッチングの開始からの経過時間が短いとき、即ち膜EFに形成されている開口が浅いときには、小さい絶対値を有する負の直流電圧のパルスNPを用いることにより、高い選択比が得られることが確認された。また、エッチングの開始からの経過時間が長いとき、即ち膜EFに形成されている開口が深いときには、大きい絶対値を有する負の直流電圧のパルスNPを用いることにより、高い選択比が得られることが確認された。このことから、工程ST2においてパルスNPの電圧の絶対値が増加傾向を有するようにパルスNPの電圧の絶対値を少なくとも一回増加させることにより、高い選択比が得られることが確認された。
また、第1の実験では、各サンプル基板の膜EFのエッチング結果から、膜EFに形成された開口の深さと膜FAにおける開口の最大幅(Bowing CD)及び膜FBにおける開口の最大幅(Bowing CD)の各々との関係を求めた。図7は、膜EFに形成された開口の深さと膜FBにおける開口の最大幅(Bowing CD)との関係を示すグラフである。図8は、膜EFに形成された開口の深さと膜FAにおける開口の最大幅(Bowing CD)との関係を示すグラフである。図7及び図8に示すように、膜EFに形成された開口の深さが浅いときには、パルスNPの電圧の絶対値に対する膜FA及び膜FBの各々のBowing CDの依存性は小さかった。膜EFに形成された開口の深さが深いときには、パルスNPの電圧の絶対値が大きいほど、膜FA及び膜FBの各々のBowing CDは小さくなっていた。このことから、工程ST2においてパルスNPの電圧の絶対値が増加傾向を有するようにパルスNPの電圧の絶対値を少なくとも一回増加させることにより、高い選択比と共に膜EFの開口の高い垂直性を得られることが確認された。
(第2の実験)
第2の実験では、プラズマ処理装置1を用いて複数のサンプル基板に方法MTを適用した。第2の実験で用いた複数のサンプル基板の各々は、第1の実験で用いたサンプル基板と同じ構成を有するものであった。第2の実験では、パルスNPの電圧の絶対値及びデューティー比の異なる条件の下で、複数のサンプル基板の膜EFをエッチングした。以下、工程ST1及び工程ST2の他の条件を示す。
<工程ST1及び工程ST2の条件>
高周波電力HF:40MHz、1500W
パルスNPの第2の周波数:400kHz
処理ガス:フルオロカーボンガス、O2ガス、アルゴンガスを含む混合ガス
<工程ST1及び工程ST2の条件>
高周波電力HF:40MHz、1500W
パルスNPの第2の周波数:400kHz
処理ガス:フルオロカーボンガス、O2ガス、アルゴンガスを含む混合ガス
第2の実験では、複数のサンプル基板のエッチング結果から、パルスNPのデューティー比と膜FAのエッチングレート及びマスクMKのエッチグレートの各々との関係を求めた。図9に、パルスNPのデューティー比と膜FAのエッチングレートとの関係を示す。図10に、パルスNPのデューティー比とマスクMKのエッチングレートとの関係を示す。図10に示すように、マスクMKのエッチングレートは、パルスNPのデューティー比の減少に応じて低下していた。図9に示すように、パルスNPのデューティー比の減少に応じた膜FAのエッチングレートの低下は、パルスNPのデューティー比が20%から15%の範囲内で減少される限りにおいては、小さかった。したがって、周期的に印加されるパルスNPのデューティー比が減少傾向を有する場合には、選択性が高められることが確認された。また、パルスNPのデューティー比が、20%以上、15%以下の比を有するように減少される場合には、膜EFのエッチングレートの低下を抑制しつつ、マスクMKのエッチングを更に抑制することが可能となることが確認された。
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、61…高周波電源、62…バイアス電源。
Claims (16)
- プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を載置する工程であり、該基板は、膜と該膜上に設けられたマスクを有する、該工程と、
前記基板支持器上に載置された前記基板の前記膜をエッチングする工程であり、
(a)前記チャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程と、
(b)電圧のパルスを周期的に前記基板支持器内の下部電極に印加して前記プラズマからのイオンを前記基板に供給することにより前記膜をエッチングする工程と、
を含み、
前記(b)において、前記基板の負の電位の絶対値が前記膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように、前記パルスの電圧のレベルが少なくとも一回変更される、エッチング方法。 - 前記パルスは、負の電圧のパルスであるか、負の直流電圧のパルスであり、
前記(b)において、前記パルスの電圧の絶対値が前記膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように前記パルスの電圧の絶対値が少なくとも一回増加される、請求項1に記載のエッチング方法。 - 前記(b)において、前記パルスのデューティー比が20%以下に設定される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
- 前記(b)において、前記パルスのデューティー比が、前記膜のエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように少なくとも一回減少される、請求項1~3の何れか一項に記載のエッチング方法。
- 前記(b)において、前記パルスの前記デューティー比が、15%以上、20%以下の比を有するように減少される、請求項4に記載のエッチング方法。
- 前記(b)において、前記パルスの前記デューティー比が、段階的に又は徐々に減少される、請求項4又は5に記載のエッチング方法。
- 前記(b)において、前記パルスの前記電圧の前記レベルが、段階的に又は徐々に変更される、請求項1~6の何れか一項に記載のエッチング方法。
- プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器上に基板を載置する工程であり、該基板は、膜と該膜上に設けられたマスクを有する、該工程と、
前記基板支持器上に載置された前記基板の前記膜をエッチングする工程であり、
(a)プラズマ処理装置のチャンバ内で処理ガスのプラズマを生成する工程と、
(b)電圧のパルスを周期的に前記基板支持器内の下部電極に印加して前記プラズマからのイオンを前記基板に供給することにより前記膜をエッチングする工程と、
を含み、
前記(b)において、前記パルスのデューティー比が、前記膜のエッチングの進行に応じた減少傾向を有するように少なくとも一回減少される、エッチング方法。 - 前記パルスは、負の電圧のパルスであるか、負の直流電圧のパルスである、請求項8に記載のエッチング方法。
- 前記膜は、シリコン含有膜を含む、請求項1~9の何れか一項に記載のエッチング方法。
- 前記膜は、シリコン含有誘電体膜を含む、請求項1~9の何れか一項に記載のエッチング方法。
- 前記膜は、シリコン酸化膜を含む、請求項1~9の何れか一項に記載のエッチング方法。
- 前記膜は、シリコン窒化膜を更に含む、請求項12に記載のエッチング方法。
- 前記マスクは、多結晶シリコンから形成されている、請求項12又は13に記載のエッチング方法。
- チャンバと、
下部電極を有し、前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
前記チャンバ内に処理ガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記チャンバ内でガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
前記下部電極に電気的に接続されており、電圧のパルスを周期的に発生するように構成されたバイアス電源と、
前記ガス供給部、前記プラズマ生成部、及び前記バイアス電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記チャンバ内で前記処理ガスのプラズマを生成するよう、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御し、
(b)前記プラズマからのイオンを前記基板支持器上の基板に供給して該基板の膜をエッチングするために、前記パルスを周期的に前記下部電極に印加するよう、前記バイアス電源を制御し、
前記(b)の制御において、前記基板の負の電位の絶対値が前記膜のエッチングの進行に応じた増加傾向を有するように前記パルスの電圧のレベルを少なくとも1回変更させるよう、前記バイアス電源を制御する、
プラズマ処理装置。 - 前記バイアス電源は、前記パルスとして、負の電圧のパルス又は負の直流電圧のパルスを発生するように構成されている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
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