以下の説明においては、各図に適宜示すZ軸と平行な方向を上下方向とする。Z軸の正の側を上側とし、Z軸の負の側を下側とする。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
本実施形態において、下側は、軸方向一方側に相当し、上側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、モータ部センサ71と、出力部センサ72と、仕切部材80と、を備える。
モータ部40の中心軸は、中心軸J1である。モータ部40は、ロータ40aと、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ステータ43と、マグネットホルダ46と、モータ部用センサマグネット45と、ナット48と、を有する。ロータ40aは、軸方向に延びる中心軸J1を中心として回転可能である。ロータ40aは、モータシャフト41と、ロータ本体42と、を有する。
モータシャフト41は、軸方向に延びている。モータシャフト41は、中心軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト41は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部41aを有する。本実施形態において偏心軸部41aは、モータシャフト41の下側部分の一部である。偏心軸部41aには、第3ベアリング44cが固定されている。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。偏心軸部41aは、偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41に固定されている。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持している。
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されている。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されたロータコアと、ロータコアの外周部に固定されたロータマグネットと、を有する。
ステータ43は、ロータ40aの径方向外側に位置する。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置されている。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコア43aと、インシュレータ43bと、複数のコイル43cと、を有する。各々のコイル43cは、インシュレータ43bを介してステータコア43aのティースに装着されている。
マグネットホルダ46は、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定されている。本実施形態においてマグネットホルダ46は、モータシャフト41の上端部に締め込まれたナット48によって、モータシャフト41に固定されている。
モータ部用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円環板状である。モータ部用センサマグネット45の板面は、例えば、軸方向と直交している。モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定されている。これにより、モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられている。本実施形態において、モータ部用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して軸方向に対向している。
減速機構50は、モータ部40に連結されている。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結されている。すなわち、減速機構50は、ロータ40aの下側に連結されている。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置されている。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、複数の突出部54と、を有する。
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。図2に示すように、外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部51bが設けられている。外歯ギア51の歯車部51bは、外歯ギア51の外周に沿って並ぶ複数の歯部51cを有する。
図1に示すように、外歯ギア51は、モータシャフト41に連結されている。より詳細には、外歯ギア51は、モータシャフト41の偏心軸部41aに第3ベアリング44cを介して連結されている。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結されている。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング44cは、モータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
本実施形態において外歯ギア51は、複数の穴部51aを有する。本実施形態において穴部51aは、外歯ギア51を軸方向に貫通している。図2に示すように、複数の穴部51aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部51aは、軸方向に見て円形状である。穴部51aは、内径が突出部54の外径よりも大きい。なお、穴部51aは、底部を有する穴であってもよい。
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側に位置し、外歯ギア51を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52は、ハウジング11に固定されている。内歯ギア52は、外歯ギア51と噛み合っている。内歯ギア52は、基部52aと、歯車部52bと、凸部52dと、を有する。基部52aは、外歯ギア51を囲む円環状の部分である。
歯車部52bは、基部52aの内周面に全周に亘って設けられている。歯車部52bは、内歯ギア52の内周に沿って並ぶ複数の歯部52cを有する。すなわち、内歯ギア52は、複数の歯部52cを有する。複数の歯部52cは、基部52aから径方向内側に突出している。歯車部52bは、外歯ギア51の歯車部51bと噛み合っている。本実施形態において歯車部52bは、周方向の一部のみにおいて外歯ギア51の歯車部51bと噛み合っている。図2の例では、歯車部52bは、右側の部分において外歯ギア51の歯車部51bと噛み合っている。
凸部52dは、基部52aの外周面から径方向外側に突出している。すなわち、本実施形態において凸部52dは、内歯ギア52の外周面に設けられている。凸部52dの径方向外側面は、径方向外側に凸となる形状に湾曲する曲面である。凸部52dは、後述する凹部14gに挿入されている。本実施形態において凸部52dは、凹部14gに嵌め合わされている。
図1に示すように、出力ギア53は、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置されている。すなわち、出力ギア53は、軸方向に見て外歯ギア51と重なって配置されている。出力ギア53は、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続されている。図3に示すように、出力ギア53は、例えば、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする円環状である。出力ギア53の径方向外側面には、歯車部53bが設けられている。出力ギア53の歯車部53bは、出力ギア53の外周に沿って並ぶ複数の歯部53aを有する。出力ギア53は、後述する駆動ギア62と噛み合っている。
図1に示すように、出力ギア53の内周縁部は、第4ベアリング44dの外輪に取り付けられた止め輪49の下側に対向して配置されている。止め輪49は、第4ベアリング44dよりも径方向外側に突出している。止め輪49によって、出力ギア53が第4ベアリング44dに対して上側に移動することが抑制されている。
複数の突出部54は、出力ギア53から外歯ギア51に向かって軸方向に突出している。複数の突出部54は、出力ギア53の下面から下側に突出する円柱状である。本実施形態において複数の突出部54は、出力ギア53と一体成形されている。図2に示すように、複数の突出部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
突出部54の外径は、穴部51aの内径よりも小さい。複数の突出部54は、複数の穴部51aのそれぞれに上側から挿入されている。突出部54の外周面は、穴部51aの内側面と内接している。複数の突出部54は、穴部51aの内側面を介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持している。上述したように、本実施形態において出力ギア53は止め輪49によって上側への移動が抑制されているため、出力ギア53に設けられた突出部54が穴部51aから上側に抜け出ることが抑制されている。
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図1に示すように、出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置されている。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、滑り軸受65と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、滑り軸受65と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を備える。
出力シャフト61は、モータシャフト41の軸方向に延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びているため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結されている。本実施形態において出力シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。
出力中心軸J3は、出力シャフト61の中心軸である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置されている。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、軸方向と直交する方向に互いに離れて配置されている。言い換えれば、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に互いに離れて配置されている。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化できる。図1において出力中心軸J3は、例えば、中心軸J1の右側に位置する。なお、出力中心軸J3を中心とする径方向を「出力径方向」と呼ぶ。出力径方向は、出力シャフト61の径方向である。
出力シャフト61は、下側に開口している。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置されている。出力シャフト61の下側部分には、シャフトフランジ部61bが設けられている。シャフトフランジ部61bは、出力径方向の外側に突出している。シャフトフランジ部61bは、出力中心軸J3を中心とする円環状である。
出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトDSを出力中心軸J3回りに回転させる。
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定されている。図3に示すように、駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びている。駆動ギア62は、出力ギア53と噛み合っている。駆動ギア62は、例えば、軸方向に見て、略扇形形状である。出力中心軸J3を中心とする周方向における駆動ギア62の寸法は、出力径方向の外側に向かうに従って大きくなっている。駆動ギア62は、出力径方向の外端部に歯車部62bを有する。歯車部62bは、出力中心軸J3を中心とする周方向に沿って並ぶ複数の歯部62aを有する。歯車部62bは、出力ギア53の歯車部53bと噛み合っている。これにより、駆動ギア62は、減速機構50に接続されている。駆動ギア62には、減速機構50を介してモータ部40の回転が伝達される。
図1に示すように、マグネットホルダ64は、出力中心軸J3を中心として軸方向に延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、軸方向両側に開口している。マグネットホルダ64は、出力シャフト61の上部に固定されている。本実施形態においてマグネットホルダ64は、モータ部40の第2ベアリング44bの径方向外側に配置されている。マグネットホルダ64は、軸方向に見て、回路基板70と部分的に重なっている。マグネットホルダ64は、回路基板70よりも下側に配置されている。出力シャフト61は、マグネットホルダ64の内側に圧入されている。
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64の上端部に嵌め合わされている。出力部用センサマグネット63は、例えば、接着剤によってマグネットホルダ64と固定されている。出力シャフト61にマグネットホルダ64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64を介して出力シャフト61に固定されている。出力部用センサマグネット63の一部は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向している。
出力シャフト61の上側の端部は、マグネットホルダ64の上側の端部よりも下側に位置する。出力シャフト61の上側の端部には、工具を嵌合可能な操作部66が設けられている。操作部66は、例えば、出力シャフト61の上側の端部から下方に窪む穴部である。操作部66の形状は、例えば、軸方向に見て、出力中心軸J3を中心とする正方形または正六角形である。
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、穴部51aの内周面と突出部54の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
ここで、本実施形態では、内歯ギア52はハウジング11に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、穴部51aと突出部54とを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力シャフト61には、減速機構50を介してモータ部40の回転が伝達される。このような減速機構50の構成によれば、モータシャフト41の回転に対して、出力シャフト61の回転を比較的大きく減速できる。そのため、出力シャフト61の回転トルクを比較的大きくできる。したがって、電動アクチュエータ10を小型化しつつ、電動アクチュエータ10の出力を確保しやすい。本実施形態の電動アクチュエータ10において出力シャフト61は、1周しない範囲内で双方向に回転させられる。
図1に示すように、ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力シャフト61を含む出力部60、回路基板70、バスバーユニット90、および仕切部材80を収容している。ハウジング11は、上側に開口するハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定された第1蓋部13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定された第2蓋部14と、を有する。
本実施形態においてハウジング本体12は、金属製である。図示は省略するが、ハウジング本体12は、例えば、軸方向に見て、多角形状である。ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられたモータケース部32および出力シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、出力シャフト保持部33と、を有する。
図示は省略するが、本実施形態において外壁部30は、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁38が設けられている。筒状壁38に囲まれた開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。
モータケース部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられている。モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持している。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定されている。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
区画壁32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面に、第2ベアリング44bが保持されている。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
出力シャフト保持部33は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力シャフト保持部33は、底壁部31よりも下側に突出している。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向に貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状の滑り軸受65が嵌め合わされている。
第1蓋部13は、下側に開口する凹部13bを有する容器状の部材である。本実施形態において第1蓋部13は、金属製である。第1蓋部13とハウジング本体12とは、第1蓋部13を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。図示は省略するが、凹部13bには、回路基板70の上面に実装された電子部品が収容されている。凹部13bには、例えば、回路基板70に実装されたキャパシタ、トランジスタなどが収容されている。第1蓋部13は、出力シャフト61を上側から覆っている。
第1蓋部13は、出力シャフト61の上側に位置する貫通孔13cを有する。貫通孔13cは、軸方向に見て操作部66と重なっている。貫通孔13cには、取り外し可能な栓部材15が取り付けられている。栓部材15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が貫通孔13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、貫通孔13cに着脱可能に取り付けられている。これにより、貫通孔13cは、着脱可能に取り付けられた栓部材15によって開放可能に閉塞されている。したがって、電動アクチュエータ10の内部に貫通孔13cから異物が侵入することを抑制できる。
一方、栓部材15を取り外すことにより、貫通孔13cを介して、電動アクチュエータ10の外部から操作部66に多角柱状のレンチ等の工具を挿入することが可能となる。これにより、工具を出力シャフト61に連結することができる。工具が出力シャフト61に連結された状態において、工具を出力中心軸J3回りに回転させることで、出力シャフト61を回転させることが可能である。
第2蓋部14は、減速機構50を下側から覆っている。本実施形態において第2蓋部14は、金属製である。第2蓋部14は、例えば、ダイカストによって成形されている。第2蓋部14は、保持筒部14aと、底壁部14fと、円筒部14bと、フランジ部14cと、を有する。
保持筒部14aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。保持筒部14aは、上側に開口し、下側に底部14dを有する。保持筒部14aは、円筒部14bよりも内径が小さく、円筒部14bよりも下側に位置する。保持筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持されている。第1ベアリング44aと底部14dとの軸方向の間には、予圧部材47が配置されている。予圧部材47は、例えば、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触している。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加えている。
底壁部14fは、保持筒部14aの上側の端部から径方向外側に広がっている。底壁部14fは、中心軸J1を中心とする円環状である。円筒部14bは、底壁部14fの外周縁部から上側に延びている。円筒部14bは、保持筒部14aよりも径方向外側に位置する。円筒部14bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。円筒部14bは、上側に開口している。円筒部14bの内部には、内歯ギア52が嵌め合わされている。本実施形態において円筒部14bの内部には、内歯ギア52が圧入されている。
図2に示すように、円筒部14bの内周面には、径方向外側に窪む凹部14gが設けられている。凹部14gには、凸部52dが挿入されている。これにより、凸部52dが凹部14gに対して周方向に引っ掛かり、内歯ギア52がハウジング11に対して周方向に相対回転することが抑制されている。本実施形態において凹部14gには、凸部52dが嵌め合わされている。
図1に示すように、フランジ部14cは、第2蓋部14の上端部に設けられている。フランジ部14cは、径方向外側に広がっている。フランジ部14cの上面は、筒状壁38の下端面と接触している。フランジ部14cは、例えば、筒状壁38とネジで固定されている。これにより、第2蓋部14がハウジング本体12に固定されている。
第2蓋部14は、出力部60と軸方向に重なる開口部14eを有する。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部14の開口部14eを通じて下側に露出している。第2蓋部14は、シャフトフランジ部61bを下側から支持している。
バスバーユニット90は、区画壁32aの上面に配置されている。バスバーユニット90は、円環板状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持された複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられている。本実施形態においてバスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られている。バスバーホルダ91は、例えば、複数のボルト95によって、モータケース部32の区画壁32aに固定されている。ボルト95は、例えば、3つ設けられている。
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出している。本実施形態においてバスバー92の一方側の端部92aは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイル43cから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイル43cと接続されている。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続されている。
本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に配置されている。回路基板70は、板面が軸方向と直交する板状である。回路基板70には、モータ部センサ71および出力部センサ72が取り付けられている。図示は省略するが、回路基板70の軸方向に見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイル43cと電気的に接続されている。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続されている。本実施形態において回路基板70は、ハウジング本体12における開口部12aの内側に収容されている。回路基板70は、第1蓋部13によって上側から覆われている。回路基板70は、例えば、複数のボルト96によって、モータケース部32の区画壁32aに固定されている。ボルト96は、例えば、3つ設けられている。
モータ部センサ71は、回路基板70の下面に固定されている。より詳細には、モータ部センサ71は、回路基板70の下側の面のうちモータ部用センサマグネット45と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出可能である。モータ部センサ71は、例えば、ホールIC等のホール素子である。図示は省略するが、モータ部センサ71は、例えば、周方向に沿って3つ設けられている。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ部用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
出力部センサ72は、回路基板70の下面に固定されている。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
仕切部材80は、ステータ43と減速機構50との軸方向の間に位置する。図3に示すように、仕切部材80は、中心軸J1を囲む板状部材である。仕切部材80を構成する材料は、特に限定されない。仕切部材80は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。仕切部材80は、本体部81と、周縁壁部82と、を有する。本体部81は、中心軸J1を囲んでいる。本体部81は、中心軸J1を中心とする径方向に広がっている。本体部81は、板面が軸方向を向く板状である。本体部81の板面は、例えば、軸方向と直交している。本体部81は、中心軸J1を中心とする略円環状である。
本体部81の内径は、出力ギア53の内径よりも大きい。本体部81の外径は、出力ギア53の外径よりも大きい。図4に示すように、本体部81の外径は、ステータコア43aの外径よりも大きい。本体部81の内周縁部は、インシュレータ43bよりも径方向内側に位置する。本体部81は、インシュレータ43bおよびコイル43cの下側に隙間を介して対向して配置されている。
本体部81の径方向内側には、例えば、第4ベアリング44dが位置する。本体部81は、ステータ43と駆動ギア62および出力ギア53との軸方向の間に位置する。本体部81は、ステータ43を下側から覆っている。本体部81は、軸方向に見て、外歯ギア51と内歯ギア52とが噛み合っている部分と重なっている。図3に示すように、本体部81は、駆動ギア62と出力ギア53とが噛み合っている部分を上側から覆っている。本実施形態において本体部81は、出力ギア53の歯車部53bのほぼ全体を上側から覆っている。
本体部81は、本体部81を中心軸J1回りの周方向に分断するスリット81aを有する。スリット81aは、径方向に直線状に延びている。スリット81aが設けられることで、本体部81は、軸方向に見て、C字状となっている。本実施形態においてスリット81aは、軸方向に見て、出力シャフト61との間でモータシャフト41を径方向に挟む位置に設けられている。
周縁壁部82は、本体部81の外周縁部から上側に突出している。本実施形態において周縁壁部82は、中心軸J1回りの周方向に延びている。周縁壁部82は、例えば、中心軸J1を中心とする円弧状である。周縁壁部82は、例えば、中心角が180°以上の円弧状である。周縁壁部82は、軸方向に見て、中心軸J1を基準としてスリット81aが位置する側に開口するC字状である。周縁壁部82の周方向両端部は、スリット81aよりも周方向両側に離れて配置されている。これにより、本体部81のうちスリット81aの周方向両側に位置する部分における外周縁部には、周縁壁部82が設けられていない。すなわち、本実施形態において周縁壁部82は、本体部81の外周縁部の一部のみに設けられている。周縁壁部82の一部は、駆動ギア62の上側に位置する。
図4に示すように、周縁壁部82は、モータケース部32の内周面に接触している。より詳細には、周縁壁部82の外周面が、モータケース部32の内周面のうちステータコア43aが固定された部分よりも下側に位置する部分に接触している。周縁壁部82の外周面は、例えば、モータケース部32の内周面の下端部に接触している。モータケース部32の内周面のうち周縁壁部82が接触する部分の内径は、モータケース部32の内周面のうちステータコア43aが固定された部分の内径よりも大きい。モータケース部32の内周面は、筒状部32bの内周面である。
本実施形態において周縁壁部82は、モータケース部32の内側に嵌め合わされている。周縁壁部82は、軸方向に見て、モータシャフト41と出力シャフト61との径方向の間に位置する部分を有する。周縁壁部82は、モータケース部32の内周面に固定されている。これにより、仕切部材80は、ハウジング11に固定されている。周縁壁部82をモータケース部32に固定する方法は、特に限定されない。周縁壁部82は、例えば、接着剤によりモータケース部32に固定されている。
本実施形態によれば、ステータ43と減速機構50との軸方向の間に位置する仕切部材80が設けられている。そのため、仕切部材80によって、減速機構50で生じた金属粉等の異物がステータ43に移動することを抑制できる。これにより、モータ部40に異物が侵入することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、仕切部材80は、本体部81の外周縁部から上側に突出する周縁壁部82を有する。周縁壁部82は、モータケース部32の内周面に接触している。そのため、モータケース部32の内周面と周縁壁部82の外周面との間を好適に封止することができる。これにより、モータケース部32の内周面と周縁壁部82の外周面との間から異物がステータ43に移動することを好適に抑制できる。したがって、モータ部40に異物が侵入することをより抑制できる。また、本実施形態のように、周縁壁部82のうちモータケース部32の内周面に接触している部分を、モータケース部32の内周面に固定する構成を採用できる。そのため、仕切部材80を固定するための部分を別途設けることなく、仕切部材80をハウジング11に容易に固定できる。また、周縁壁部82が設けられていることで、仕切部材80の剛性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、周縁壁部82は、中心軸J1回りの周方向に延びている。そのため、周方向の広範囲に亘ってモータケース部32の内周面と周縁壁部82の外周面との間を封止しやすい。これにより、異物がステータ43に移動することをより抑制できる。したがって、モータ部40に異物が侵入することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、本体部81は、駆動ギア62と出力ギア53とが噛み合っている部分を覆っている。そのため、互いに噛み合う駆動ギア62と出力ギア53とが擦れ合って金属粉が生じる場合であっても、生じた金属粉を本体部81によって遮ることができる。これにより、駆動ギア62と出力ギア53とが擦れ合って生じた金属粉がステータ43に移動することを抑制できる。したがって、モータ部40に異物が侵入することをより抑制できる。
特に、減速機構50から出力部60へと回転トルクが伝達される際においては、互いに噛み合うギア同士に大きな負荷が掛かりやすい。そのため、互いに噛み合う駆動ギア62と出力ギア53とには、減速機構50における他のギアに比べて負荷が掛かりやすい。これにより、駆動ギア62と出力ギア53とが噛み合う部分においては、減速機構50における他のギア同士が噛み合っている部分に比べて、ギア同士が強く擦れやすく金属粉が生じやすい。そのため、駆動ギア62と出力ギア53とが擦れ合って生じた金属粉がステータ43に移動することを本体部81によって抑制できることで、モータ部40に異物が侵入することを好適に抑制できる。
また、本実施形態によれば、周縁壁部82は、モータシャフト41の軸方向に見て、モータシャフト41と出力シャフト61との径方向の間に位置する部分を有する。そのため、モータケース部32の内周面のうち駆動ギア62に比較的近い部分に対して、周縁壁部82を接触させることができる。これにより、駆動ギア62と出力ギア53とが擦れ合って生じた金属粉がステータ43に移動することをより好適に抑制できる。したがって、モータ部40に異物が侵入することをより好適に抑制できる。
また、本実施形態によれば、本体部81は、本体部81を中心軸J1回りの周方向に分断するスリット81aを有する。そのため、例えば、モータケース部32の内径に対して周縁壁部82の外径が大きい等の寸法誤差が生じても、周縁壁部82をモータケース部32の内側に嵌め合わせた際に、スリット81aによって当該寸法誤差を吸収できる。これにより、本体部81が撓むことを抑制できる。
また、本実施形態によれば、スリット81aは、モータシャフト41の軸方向に見て、出力シャフト61との間でモータシャフト41を径方向に挟む位置に設けられている。そのため、スリット81aが配置される位置は、モータシャフト41よりも出力シャフト61から離れた位置となる。これにより、スリット81aを出力シャフト61から比較的遠い位置に配置することができる。したがって、スリット81aを、駆動ギア62と出力ギア53とが噛み合う部分から比較的遠くに離して配置しやすい。そのため、駆動ギア62と出力ギア53とが擦れ合って生じた金属粉がスリット81aを介してステータ43へと移動することを抑制できる。これにより、モータ部40に異物が侵入することをより好適に抑制できる。
また、本実施形態によれば、周縁壁部82は、本体部81の外周縁部のうちの一部のみに設けられている。そのため、本体部81のうち外周縁部に周縁壁部82が設けられていない部分にスリット81aを設けやすい。また、本体部81のうち外周縁部の全体に周縁壁部82が設けられる場合に比べて、周縁壁部82を周方向に短くできるため、仕切部材80を作製するために必要な材料を少なくできる。したがって、仕切部材80の製造コストを低減できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。周縁壁部は、本体部の外周縁部から軸方向他方側に突出して、モータケース部の内周面に接触するならば、どのような形状であってもよい。周縁壁部は、周方向に延びていなくてもよい。周縁壁部は、仕切部材における本体部の外周縁部の全体に設けられていてもよい。周縁壁部は、中心軸回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられていてもよい。周縁壁部は、モータシャフトの軸方向に見て、モータシャフトと出力シャフトとの径方向の間に位置する部分を有しなくてもよい。周縁壁部は、モータケース部に固定されていなくてもよい。
仕切部材の本体部は、板状でなくてもよい。スリットは、仕切部材の本体部のいずれの箇所に設けられてもよい。仕切部材の本体部は、スリットを有しなくてもよい。この場合、本体部および周縁壁部は、円環状であってもよい。仕切部材の本体部は、駆動ギアと出力ギアとが噛み合っている部分を軸方向他方側から覆っていなくてもよい。
減速機構の構造は、特に限定されない。減速機構の突出部は外歯ギアに設けられ、減速機構の穴部は出力ギアに設けられてもよい。この場合、突出部は、外歯ギアから出力ギアに向かって突出し、穴部に挿入される。上述した実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。この場合、仕切部材80は、ステータ43の上側において、ステータ43と減速機構50との間に配置される。また、この場合、周縁壁部82は、本体部81から下側に突出する。
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。