JP2021191867A - ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、光学積層体 - Google Patents
ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、光学積層体 Download PDFInfo
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Abstract
Description
しかしながら、このようなプラスチック基材を用いると、かかるプラスチック基材から発生するガスや水分によりプラスチック基材と粘着剤層との間に発泡や剥離が生じ、視認性の低下をまねくという問題があった。
このような耐ブリスター性を改善するために、例えば特許文献2では、アクリル系ポリマー、及び架橋剤を含む粘着剤であって、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートモノマー由来の構成単位を30〜77質量%、脂環式基含有(メタ)アクリレートモノマー由来の構成単位を20〜60質量%、及び(メタ)アクリル酸由来の構成単位を0.1〜10.0質量%含む粘着剤が提案されている。
更に、本発明においては、ポリエステル系粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、光学積層体にも関するものである。
なお、本発明において、「カルボン酸」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)は、ガラス転移温度が−10℃以下であることを特徴とするものであり、好ましくは−80〜−10℃、特に好ましくは−70〜−15℃、更に好ましくは−70〜−20℃である。
かかるガラス転移温度が上限値を超えると柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で充分な粘着力が発揮しにくくなり、作業性が悪化して、本発明の目的を達成することができない。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定される値である。
なお、測定温度範囲は−90℃から100℃で、温度上昇速度は、10℃/分である。
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A1)としては、例えば、
テレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等の二価カルボン酸があげられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かかる三価以上の多価カルボン酸の含有割合としては、粘着剤の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸成分(A1)全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1〜5モル%であり、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化が生じやすい傾向がある。
本発明で用いられるポリオール成分(A2)としては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4′−チオジフェノール、4,4′−メチレンジフェノール、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−及びp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、p−キシレンジオール及びそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール;
等の二価アルコールが挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かかる三価以上の多価アルコールの含有割合としては、ポリオール成分(A2)全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1〜5モル%であり、かかる含有割合が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造が困難となる傾向がある。
重縮合反応の反応条件としては、上記のエステル化反応で用いるものと同様の触媒をさらに同程度の量配合し、反応温度を好ましくは220〜280℃(特に好ましくは230〜270℃)として、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましい。
かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進行しにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。
かかる数平均分子量が低すぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、耐熱性や機械的強度が低下しやすい傾向があり、数平均分子量を上げすぎると、柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮しにくい傾向がある。
なお、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価はJIS K0070に基づき中和滴定により求められるものである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、前記ポリエステル系樹脂(A)と共に、加水分解抑制剤(B)を含有するものであり、前記加水分解抑制剤(B)を含有することにより、所望の特性を有する粘着剤層を得ることができ、特に高温高湿下での耐久性の向上が期待できる。
(a)に対する(b)の含有割合が高すぎと、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、粘着力、凝集力、耐久性能が低下する傾向があり、(a)に対する(b)の含有割合が低くなると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、上記ポリエステル系樹脂(A)および加水分解抑制剤(B)含むものであるが、通常はポリエステル系樹脂(A)を架橋剤(C)を用いて架橋させることにより凝集力に優れたものとなり、粘着剤としての性能を発揮する。 かかる架橋剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物など、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基と反応する官能基を有する化合物があげられる。これらの中でも初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、特に好ましくはポリイソシアネート化合物である。
かかる架橋剤(C)に含まれる反応性基の当量数が小さすぎると凝集力が低下し、充分な耐熱性が得られない傾向があり、大きすぎると柔軟性が低下し、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で充分な接着力を発揮できなくなる傾向がある。
なお、上記ポリエステル系粘着剤の酸価は、上記ポリスエテル系樹脂(A)の酸価と同様の方法で求めることができる。
なお、上記粘着付与剤については、耐久性と透明性の点から実質的に含有しないことが好ましい。
また、透明性に優れ、構成する厚みに対しての粘着力が高い点で、支持基材を有しない基材レス両面粘着シートとすることも好ましい。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味として記載するものである。
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法に従って製造することができ、例えば、基材シート上に、上記ポリエステル系樹脂(A)、加水分解抑制剤(B)、好ましくはさらに架橋剤(C)を含有するポリエステル系粘着剤組成物を塗工、乾燥し、必要により養生することで基材上に本発明ポリエステル系粘着剤からなる粘着剤層を有する本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼合する。
これらのなかでも特にポリエチレンフタレート、ポリイミドからなる基材シートが好ましく、特には粘着剤との密着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましく、更には金属薄膜層を有したポリエチレンテレフタレートであることが、基材と接着剤との密着性に優れ、なおかつ金属薄膜層を腐食せずに基材を安定的に保つことができ、本発明のポリエステル系粘着剤の効果を顕著に発揮できる点で好ましい。
なお、本発明においては、ITO電極膜がPET基材上に薄膜形成されているフィルムのPET側に粘着剤層を有し、粘着剤層を介してPET基材とポリカーボネート系フィルムが積層され、更にアクリル系フィルムが積層されてなる光学積層体とすることが最も好ましい(層構成:ITO電極膜/PET基材/粘着剤層/PC系フィルム/アクリル系フィルム)。
また、下記実施例中におけるポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。ポリエステル系樹脂(A)の酸価については、ポリエステル系樹脂0.5gを7/3(重量比)(トルエン/メタノール)の混合溶媒に溶解し、JIS K0070に基づき中和滴定により測定した。
〔製造例1:ポリエステル系樹脂(A−1)の製造〕
温度計、攪拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分(A1)としてイソフタル酸9.6部(0.2モル)およびセバシン酸46.8部(0.8モル)、ポリオール成分(A2)としてネオペンチルグリコール27.1部(0.9モル)、1,4−ブタンジオール13部(0.5モル)、1,6−ヘキサンジオール3部(0.09モル)およびトリメチロールプロパン0.5部(0.01モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.01部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.01部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−1)を製造した。得られたポリエステル樹脂(A−1)の数平均分子量は25,000、ガラス転移温度は−50℃、酸価は0.4(mgKOH/g)であった。
温度計、攪拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分(A1)としてイソフタル酸9.2部(0.2モル)、セバシン酸22.3部(0.4モル)、アゼライン酸20.7部(0.4モル)、ポリオール成分(A2)としてエチレングリコール8.9部(0.52モル)、シクロヘキサンジメタノール38.9部(0.98モル)、触媒として二酸化ゲルマニウム0.02部仕込み、内温250℃まで除々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温270℃まで上げ1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重縮合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−2)を製造した。得られたポリエステル樹脂(A−2)の数平均分子量は30,000、ガラス転移温度は−25℃、酸価は0.7(mgKOH/g)であった。
温度計、攪拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分(A1)としてテレフタル酸21部(0.33モル)、イソフタル酸16.6部(0.26モル)、アジピン酸23部(0.41モル)、ポリオール成分(A2)としてエチレングリコール18.4部(0.78モル)、ネオペンチルグリコール21部(0.53モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.02部仕込み、内温250℃まで除々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.02部仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重縮合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A'−1)を製造した。得られたポリエステル樹脂(A'−1)の数平均分子量は20,000、ガラス転移温度は11℃であった。酸価は0.6(mgKOH/g)であった。
加水分解抑制剤(B)として以下のものを用意した。
・(B−1)カルボジイミド基含有加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製;商品名「カルボジライトV−07」)
・(B−2)カルボジイミド基含有加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製;商品名「カルボジライトV−05」)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)を酢酸エチルで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A−1)溶液100部(固形分)に対し、加水分解抑制剤(B−1)2部、及び架橋剤(C)としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業社製;製品名「コロネートL55E」)6部を配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤を得た。
実施例1において、加水分解抑制剤(B−1)2部を、加水分解抑制剤(B−2)2.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例1において、ポリステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A−2)に、加水分解抑制剤(B−1)を1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A'−1)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例1において、加水分解抑制剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例1〜3、比較例1及び2で得られたポリエステル系粘着剤をそれぞれ厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥し、粘着剤層の厚さが25μmの粘着シートを得た。次いで、得られた粘着剤層表面を離型処理されたPETフィルム(離型フィルム)で覆い、40℃で5日間エージング処理を行い、離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを得た。
上記で得られた離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを23℃、50%RHの環境下で25×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をSUS板に2kgローラーを往復させ加圧貼付けし、同雰囲気下で10秒間放置した後に、オートグラフ(島津製作所社製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○: 1N/25mm以上
×: 1N/25mm未満
下記の通り、通常時粘着力(湿熱試験前粘着力)と高温高湿下に長時間曝された後の粘着力(湿熱試験後粘着力)測定し、(湿熱試験後粘着力/湿熱試験前粘着力)×100(%)の値(粘着力変化)を計算し、以下の基準で耐久性を評価した。
(評価基準)
○・・・50%以上
×・・・50%未満
上記で得られた離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを23℃、50%RHの環境下で25×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をSUS板に2kgローラーを往復させ加圧貼付けし、同雰囲気下で30分間放置した後に、オートグラフ(島津製作所社製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離度(N/25mm)を測定した。
上記で得られた離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを23℃、50%RHの環境下で25×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をSUS板に2kgローラーを往復させ加圧貼付けし、温度:85℃、相対湿度85%の環境下に500時間放置した。室温に戻して24時間放置した後、温度:23℃、相対湿度50%の環境下で、オートグラフ(島津製作所社製「オートグラフGS−H 500N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
粘着剤層付きPETフィルムを80℃環境下、5日間放置した。その後室温に戻して色差計にて黄色度b*を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・1未満
×・・・1以上
一方、ガラス転移温度が本願請求項1で特定する範囲よりも高いポリエステル系樹脂を用いた比較例1のポリエステル系粘着剤は、初期粘着力が低く、指圧程度の圧力で十分な粘着力が得られていないものであることがわかる。
また、加水分解抑制剤を配合していない比較例2のポリエステル系粘着剤は、高温高湿下に晒された後、粘着剤の加水分解が生じ凝集力が低下してしまい、充分な粘着力が得られていないものであることがわかる。
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)を酢酸エチルで固形分濃度50重量%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A−1)溶液100部(固形分)に対し、加水分解抑制剤(B−1)1部、及び架橋剤(C)としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業社製;製品名「コロネートL55E」)3部を配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤を得た。
実施例4において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A−2)に変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例4において、加水分解抑制剤(B−1)を配合しなかった以外は、実施例4と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例5において、加水分解抑制剤(B−1)を配合しなかった以外は、実施例4と同様にしてポリエステル系粘着剤を得た。
実施例4、5及び比較例3,4で得られたポリエステル系粘着剤をそれぞれ厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(離型フィルム)上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥し、粘着剤層の厚さが50μmの粘着シートを得た。次いで、得られた粘着剤組成物層表面を離型処理されたPETフィルムで覆い、40℃で5日間エージング処理を行い、両面離型フィルム付き基材レス両面粘着シートを得た。
得られた離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを用いて、耐ブリスター性を評価した。結果を表2に示す。
上記で得られた離型フィルム付き粘着剤層付きPETフィルムを、幅50mm×長さ40mmに裁断し、離型フィルムを剥離して、粘着剤層側をポリカーボネート板に23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、0.5MPa×50℃で20分間オートクレープ処理を行った後、温度:85℃、相対湿度85%の条件下で放置し、3時間後目視で気泡発生を確認した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
○…φ0.2mmを超える気泡がなかった
△…φ0.2mmを超える気泡が貼付面全体の1/3未満に発生した
×…φ0.2mmを超える気泡が貼付面全体の1/3以上に発生した、または粘着剤層が溶けて溶出した
一方、ガラス転移温度が所望の範囲内であるポリエステル系樹脂を用いたものの、加水分解抑制剤を含有しないポリエステル系粘着剤を用いた比較例3,4では、高温高湿条件下に曝されると、発泡が発生し、さらに粘着層が溶出してしまい、耐ブリスター性を満足しないものであることがわかる。
特に、本発明のポリエステル系粘着剤は、耐久性(高温・高湿下)が求められる条件下で、粘着物性(粘着力)と透明性との両方に優れ、かつ耐ブリスター性にも非常に優れるものであるため、光学部材の貼り合せ用途に好適に用いることができ、特には、プラスチック材料からなる光学部材の貼り合せに好適に用いることができるものである。
Claims (11)
- ポリエステル系樹脂(A)、加水分解抑制剤(B)を含有するポリエステル系粘着剤であって、ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が−10℃以下であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
- ポリエステル系樹脂(A)の構成原料である多価カルボン酸成分(A1)が、イソフタル酸を含有することを特徴とする請求項1記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 加水分解抑制剤(B)が、カルボジイミド系加水分解抑制剤であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 加水分解抑制剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- さらに架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 実質的に粘着付与剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載のポリエステル系粘着剤組成物が、架橋剤(C)により架橋されてなることを特徴とするポリエステル系粘着剤。
- 請求項7記載のポリエステル系粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする光学部材用粘着シート。
- 請求項7記載のポリエステル系粘着剤からなる粘着剤層の両面に離型シートを有することを特徴とする光学部材用基材レス両面粘着シート。
- 請求項7記載のポリエステル系粘着剤からなる粘着剤層および光学部材を積層してなることを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
- 請求項7記載のポリエステル系粘着剤からなる粘着剤層の少なくとも一方の面に金属酸化物薄膜層を有することを特徴とする光学積層体。
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