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JP2021178742A - ジオポリマーの製造方法 - Google Patents

ジオポリマーの製造方法 Download PDF

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JP2021178742A JP2020083406A JP2020083406A JP2021178742A JP 2021178742 A JP2021178742 A JP 2021178742A JP 2020083406 A JP2020083406 A JP 2020083406A JP 2020083406 A JP2020083406 A JP 2020083406A JP 2021178742 A JP2021178742 A JP 2021178742A
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Abstract

【課題】常温で凝固すると共に、瞬結が抑制されるジオポリマーの製造方法を提供する。【解決手段】酸化物粒子と、SiO2含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上5.5以下である粉体化スラグと、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかを含んでpHが11.0以上12.3未満であるアルカリ溶液と、を混合してモルタルを作製し、少なくとも前記モルタルを含む混合物を養生して、ジオポリマーを形成する、ジオポリマーの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ジオポリマーの製造方法に関する。
従来、一般的なセメント又はコンクリートに代替する材料として、ジオポリマーが注目されている。ジオポリマーは、ケイ素やアルミニウムを含む非晶質物質(以下、フィラーという。)と、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)や水酸化ナトリウムを含むケイ酸アルカリ溶液との反応によって得られる、非晶質の縮重合体であるとされている。フィラーから溶出する多価金属イオン(カチオン)が、ケイ酸イオン間を架橋してポリマー化することで、原料の粒子同士が凝結し、ジオポリマー硬化体が生成すると考えられている。フィラーとして、石炭火力発電所で排出されるフライアッシュや、高炉水砕スラグ粉砕粉(エスメントともいう)等の産業副産物を用いることができる。また、ジオポリマー製造時の二酸化炭素排出量は少ない。
例えば、特許文献1には、「フィラーとアルカリ活性剤と骨材を原料としたことを特徴とするジオポリマー組成物。」が開示されている。また、特許文献1には、「フィラーは、少なくともフライアッシュ、高炉スラグ、下水焼却汚泥のいずれかを含むこと」、および「アルカリ活性剤は、少なくとも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムのいずれかを含むこと」が開示されている。
また、特許文献2には、「ケイ素を含む第1基材と、ケイ素およびアルミニウムを含み第1基材よりもアルミニウムが多い第2基材と、アルカリ材とを原料として用いてジオポリマーを製造するジオポリマー製造装置」が開示されている。
特開2008−239446号公報 特開2019−156671号公報
ジオポリマーの施工性を改善し、ジオポリマーの利用可能性を向上することが希求されている。例えば、ジオポリマーを既存のセメントの代替物とする(2次コンクリート製品を製造する場合も含む)には、配合や打設に30分〜1時間かかることから、凝固反応が短時間に生じては、取り扱えない。現場打ちできず、既存のセメント又はコンクリートの代替物にはなり得ない。そのため、凝固速度をある程度緩やかにする必要がある。つまり、ジオポリマーの瞬結を抑制する必要がある。適切な凝固速度を実現する以外にも、常温で凝固しうることが、ジオポリマーの利用可能性を向上するという観点からは、望ましい。
しかしながら、上記特許文献1〜2に記載の製造方法をはじめ、従来、これらの要求を満たすようにジオポリマーを生成することは困難であった。
そこで、本発明の課題は、常温で凝固すると共に、瞬結が抑制されるジオポリマーの製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段は、次の態様を含む。
[1]
酸化物粒子と、SiO含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上5.5以下である粉体化スラグと、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかを含んでpHが11.0以上12.3未満であるアルカリ溶液と、を混合してモルタルを作製し、
少なくとも前記モルタルを含む混合物を養生して、ジオポリマーを形成する、
ジオポリマーの製造方法。
[2]
前記モルタルの作製において、前記アルカリ溶液と前記酸化物粒子を混合し、ケイ酸スラリーを製造し、前記ケイ酸スラリーに、前記粉体化スラグを混合して前記モルタルを作製する[1]に記載のジオポリマーの製造方法。
[3]
前記ケイ酸スラリーに、高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上のカチオン緩速供給材と前記粉体化スラグを混合して、前記モルタルを作製する[2]に記載のジオポリマーの製造方法。
[4]
前記ケイ酸スラリーの粘度が100〜600mPa・Sである[2]又は[3]に記載のジオポリマーの製造方法。
[5]
前記SiO含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上、5.5以下である粉体化スラグを、水により100g/Lのスラグスラリーとした際の水相のpHが12.3以上である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
[6]
前記粉体化スラグの粒径が、5mm以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
[7]
前記アルカリ溶液のSiO濃度が30〜350g/Lである[1]〜[6]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
[8]
前記酸化物粒子が、フライアッシュ、れんが粉、砂、高炉水砕スラグ、および高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上である[1]〜[7]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
[9]
前記フライアッシュ中のカーボン濃度が3質量%未満である[8]に記載のジオポリマーの製造方法。
[10]
前記モルタルに骨材を混合し、この混合物を養生する、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
[11]
前記骨材がスラグである[10]に記載のジオポリマーの製造方法。
[12]
前記養生を常温で行う[1]〜[11]のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
本発明によれば、常温で凝固すると共に、瞬結が抑制されるジオポリマーの製造方法を提供できる。
本実施形態に係るジオポリマーの製造工程の概要を示す工程図である。 高炉水砕スラグ(比表面積:1,100cm/g)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 高炉水砕スラグ粉砕粉(比表面積:1,900cm/g)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 高炉スラグ粉砕粉(比表面積:4,200cm/g)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 フライアッシュとアルカリ溶液のpHとの凝固域との関係を示すグラフである。 製鋼スラグ(粒径<0.5mm)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 製鋼スラグ(粒径=0.5〜1.0mm)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 製鋼スラグ(粒径=1〜2mm)とアルカリ溶液のpHとの凝固域の関係を示すグラフである。 カチオン供給粒子の表面からの距離とカチオン濃度との関係を示す。 粒子表層濃度が凝固開始濃度より大きく、かつ、「表面からの溶出速度>液相内の拡散速度」であるときの、カチオン供給粒子の表面からの距離とカチオン濃度との関係を示す。 粒子表層濃度が凝固開始濃度より大きく、かつ、「表面からの溶出速度<液相内の拡散速度」であるときの、カチオン供給粒子の表面からの距離とカチオン濃度との関係を示す。 粉体原料とアルカリ溶液とを配合した直後の混合物の状態を示す模式図である。 粉体原料とアルカリ溶液とを配合した直後の混合物の状態を示す模式図である。 粉体原料とアルカリ溶液とを配合してから1日経過後の混合物の状態を示す模式図である。 粉体原料とアルカリ溶液とを配合してから長時間経過後の混合物の状態を示す模式図である。 粉体化スラグの成分から計算されるCaO/SiO質量比と、粉体化スラグを水に分散(スラグスラリー濃度:100g/L)させた際のスラグスラリーのpHとの関係を示すグラフである。 アルカリ溶液(水及び3号水ガラス)と酸化物粒子とカチオン緩速供給材との混合物(ケイ酸スラリー)の混合率と粘度との関係を示す関係図である。 フロー試験を説明するための模式図である。 スランプ試験を説明するための模式図である。 実施例の配合率決定フローを説明するための工程図である。 粒子間隙中のSiO濃度(つまりアルカリ溶液のSiO濃度)とジオポリマーの圧縮強度との関係を示すグラフである。 カチオン緩速供給材量及びアルカリ溶液中のSiO量の比(W/W)と、ジオポリマーの圧縮強度との関係を示すグラフである。 養成温度とジオポリマーの圧縮強度との関係を示すグラフである。 カチオン緩速供給材の比表面積と、ジオポリマーの圧縮強度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、特に指定しない限り、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。よって、例えば、0.65〜1.50%は0.65%以上1.50%以下の範囲を意味する。
本実施形態に係るジオポリマーの製造方法は、酸化物粒子と、SiO含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上、5.5以下である粉体化スラグと、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかを含んでpHが11.0以上、12.3未満であるアルカリ溶液と、を混合してモルタルを作製する。そして、少なくともモルタルを含む混合物を養生して、ジオポリマーを形成する。
本実施形態に係るジオポリマーの製造方法は、常温で凝固すると共に、瞬結が抑制される。本実施形態に係るジオポリマーの製造方法は、次の知見により見出された。
本発明者は、ジオポリマーの生成反応を、イオンの浸出過程と凝固過程(固化過程)とからなる反応として考えることができることに着目した。浸出過程は、モルタル中の粒子からイオンが溶出し、粒子間の間隙の液相へと浸出する過程である。なお、本明細書中で、粒子とは、粒状の物質だけでなく、微粉状の物質を含む。
凝固過程は、ケイ酸イオン(SiO 4−)とカチオン(Al3+、Ca2+等)とが反応し、重合することで固化が進行する過程である。すなわち、粒子間の間隙の液相中で、ケイ酸イオン及びカチオンの濃度が上昇すると、イオンの飽和領域となり、Al−Si結合やCa−Si結合が進む。すなわち、液相の凝固が進行し、それに伴って粒子同士の凝結も進行することで、固化が進行する。液相の凝固にイオンが用いられることで、残存する液相内はイオンの不飽和状態となる。
これにより、粒子からのイオンの浸出がさらに進む。間隙の液相がすべて凝固し、液相領域が消失するまで、浸出過程と凝固過程が進行する。
なお、液相の凝固が進行すれば、粒子同士の凝結も進行するため、本明細書中では、凝固又は凝結を固化と同意義の語としても用い、凝固過程又は凝固反応を固化過程と同意義の語としても用いる。
このようにジオポリマーの生成反応を分解して考えた場合、個々の過程を制御することで、全体の一連の生成反応を適切に制御しやすくなる。例えば、浸出過程を律速反応とすることで、全体の「浸出−凝固」反応の速度を制御できる。凝固速度を緩やかにするためには、粒子からのイオンの浸出をゆっくり進ませればよい。
よって、ケイ酸イオンとカチオンの濃度を飽和領域としつつ、イオンの浸出速度を適切に制御すれば、常温でも、イオンを安定的に供給しつつ、適切な凝固速度で、ジオポリマーの瞬結を抑制可能となる、と考えられる。
次に、本発明者は、以上のような着目点に基づき、常温でも、イオンを安定的に供給しつつ、適切な凝固速度で凝固可能であり、かつジオポリマーの瞬結を抑制可能となる適切な製造の諸条件について検討した。
具体的には、凝固テストにより、アルカリ溶液のpHと各材料との凝固域の関係の調査を実施した。その結果を図2〜図8に示す。
なお、「凝固テスト」とは、以下の手順で、凝固の発生の有無を判定するテストである。すなわち、ケイ酸イオンを含み、pH調整を行ったアルカリ溶液50mlを、直径25mmの円柱型の密閉容器に入れる。これを25℃等の所定温度に保持し、上記アルカリ溶液の温度が所定温度になったのを確認した後、上記容器内に、上記容器の底を5〜10mm覆うように、固化対象の材料(具体的には5〜20g)を入れる。その後、所定温度で養生し、所定時間経過後に、基準以上の凝固が発生しているか否かを判定する。凝固の発生の有無は、直径5mm程度のフッ素樹脂製の棒で、固化対象の材料の表面を軽く触り、変形しない場合に凝固が発生した(固化した)と判断した。ここで、固化対象の材料が半分程度に固化していれば、「固化した(凝固が発生した)」と判断した。
図2に示すように、高炉水砕スラグは(比表面積:1,100cm/g)、常温ではpH12.7以上の領域にならないと凝固反応が進まない。40℃以上に加温して養成すると、調査pH領域(pH12.1〜13.3)の全ての領域で凝固する。
図3に示すように、高炉水砕スラグ粉砕粉(比表面積:1,900cm/g)は、常温ではpH12.7以上の領域にならないと凝固反応が進まない。40℃以上に加温して養成すると、調査pH領域(pH11.1〜13.3)の全ての領域で凝固する。
図4に示すように、高炉水砕スラグ粉砕粉(エスメントともいう、比表面積:4,200cm/g)は、常温ではpH12.4以上の領域にならないと凝固反応が進まない。40℃以上に加温して養成すると、調査pH領域(pH11.3〜13.3)の全ての領域で凝固する。
図5に示すように、フライアッシュは、常温では、調査pH領域(pH11.3〜13.3)の全ての領域で凝固しなかった。40℃以上に加温して養成すると、pH12.3以上のpH領域で6hr以上養生すると、凝固する。
図6に示すように、製鋼スラグ(粒径<0.5mm)は、25℃では、pH12.3以下で0.5hr以内に凝固する。40℃ではpH12.3以下で0.5hr以内に凝固し、60℃以上では調査pH領域すべてにおいて0.5hr以内に凝固する。
図7に示すように、製鋼スラグ(粒径=0.5〜1.0mm)は、25℃〜80℃において、pH11.6以下で0.5hr以内に凝固する。
図8に示すように、製鋼スラグ(粒径=1〜2mm)は、25℃では、0.5hr以内ではpH11.3以下の領域のみで凝固し、pH12.3以下で72hr以上経過すると凝固するといえる。温度が高いと凝固時間は短くなるが、0.5hr以内ではpH11.3以下でのみ凝固し、pHが大きくなると、凝固時間は長くなる。
図2〜図5に示すように、高炉水砕スラグ、高炉水砕スラグ粉砕粉、フライアッシュは、常温、アルカリ溶液のpH12.3未満では、凝固しない。
それに対して、図6〜図8に示すように、粉体化スラグの一例である製鋼スラグでは、粒子径によって、アルカリ溶液の凝固状況が変化している。これは、製鋼スラグの表面において、アルカリ溶液が製鋼スラグから浸出するカルシウムイオンと反応し製鋼スラグ表層にゲル状物質を析出させ、やがて固化する。製鋼スラグの粒子径が大きいほど、粒子間隔が大きくなるため、全体的に固化するまでに時間を要することを示している。
一方、製鋼スラグは、篩分けで粒度分布をコントロールすることは可能であるが、目開きが小さいほど、分級速度が低下することから、通常、粒径5mm以下と、粒径5〜25mmなど、目開きが大きい篩で分級している。粒径5mm以下の製鋼スラグを用いる場合には、pH12.3未満の領域で0.5hr以内に凝固する粒径1mm以下の製鋼スラグを20〜50質量%含む。そのため、粒径5mm以下の製鋼スラグを用いると、常温で、固化する。
このように、粉体化スラグはカチオン急速供給材として機能し、粉体化スラグと、pHが11.0以上、12.3未満であるアルカリ溶液と、を混合すると瞬結するため、瞬結対策が必要となる。
次に、本発明者は、カチオン供給材の表面からの距離と、粒子同士の間隙にある液相中のカチオン濃度との関係(図9〜図11参照)を検討した。
図9に示すように、粒子の表面から溶出したカチオンは、粒子間の液相中に拡散する。
液相中のカチオン濃度は徐々に上昇し、粒子の表層におけるカチオン濃度(粒子表層濃度)まで上昇したところで、カチオンの溶出は停止する。その際に、カチオン濃度が凝固開始濃度を上回っていれば、凝固する。
粒子表層濃度が凝固開始濃度より大きく、かつ、「表面からの溶出速度>液相内の拡散速度」であるとき、図10に示すように、粒子表層近辺に高濃度のカチオンが瞬時に供給されるため、透水係数が低いゲル状物質が粒子表層に形成され、さらに液相内へのカチオンの拡散は抑制される。ゲル状物質が形成される領域をGとして、図10に示す。
粒子表層濃度が凝固開始濃度より大きく、かつ、「表面からの溶出速度<液相内の拡散速度」であるとき、図11に示すように、粒子表層近辺にカチオンがゆっくりと供給され、カチオンは液相内を十分拡散できるため、液相内のカチオン濃度は徐々に上昇し、粒子表層から、ゆっくりとゲル相が形成される。そして、間隙に占めるゲルの密度が上昇し、凝結していく。
次に、本発明者は、上記のような、粒子間隙中の液相への、粉体化スラグのカチオンの供給を考慮して、粉体化スラグによるジオポリマーの反応を想定し、液相における凝固過程のモデル(凝固モデル)を考えた。
図12〜図15を用いて凝固モデルを説明する。なお、凝固モデルは、アルカリ溶液10に、粉体原料として、粉体化スラグ12、酸化物粒子14、カチオン緩速供給材16、及び骨材18を含む系で説明する。ただし、カチオン緩速供給材16、及び骨材18は、任意成分である。
図12に示すように、配合直後、粉体原料としての、粉体化スラグ12、酸化物粒子14、カチオン緩速供給材16、及び骨材18は均等に分布している。
図13に示すように、配合直後、粉体化スラグ12の周辺が瞬時に凝固する。すなわち、粉体化スラグ12の粒子の表層にゲル状物質12Aが形成され、この粉体化スラグ12が、隣接する酸化物粒子14等と一体化しうる。
しかし、粉体化スラグ12に他の粉体化スラグ12が隣接することがなければ、粉体化スラグ12同士が一体化することはなく、酸化物粒子14がスペーサーの役目をし、流動性が維持される。
図14に示すように、1日経過すると、カチオン緩速供給材16の周辺が、粉体化スラグ12の周辺と同様に凝固し、流動性がかなり失われる。
図15に示すように、長期経過後は、カチオン緩速供給材16からのカチオン溶出が進み、徐々に全体的に凝固していく。これによりジオポリマーが生成される。
これら凝固モデルによれば、アルカリ溶液に、粉体化スラグと共に酸化物粒子を配合することで、酸化物粒子がスペーサー機能を発揮し、瞬結が抑制できることがわかる。
また、さらに、アルカリ溶液に、カチオン緩速供給材を配合することで、凝固速度をコントロールできることがわかる。
以上の知見から、本実施形態に係るジオポリマーの製造方法は、常温で凝固すると共に、瞬結が抑制されることが見出された。
ここで、本実施形態に係るジオポリマーの製造方法において、アルカリ溶液に、高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上のカチオン緩速供給材を配合すると、瞬結を抑制しつつ、凝固速度を速め、十分な圧縮強度のジオリマーを製造することもできる。
粉体化スラグの粒子径が大きいと、瞬結こそしないが、粉体化スラグの表層はケイ酸Caのゲルで覆われており、ゲルで覆われた粉体化スラグからはカルシウムイオンが浸出し難くなっており(図13参照)、粒子間隙に存在するケイ酸イオンを凝固させるカチオンイオンの供給はかなり抑制された状態になっている。
そこで、混練直後は、凝固せずにかつ表層もゲルで覆われないカチオン緩速供給材を配合する。図2〜図4で示すように、カチオン緩速供給材としての高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉の凝固領域のpHは、pHが11.0以上12.3未満であるアルカリ溶液のpH(pH=11.0以上12.3未満)よりも高い。そのため、混練後、しばらくして、凝固領域にpHがシフトすることで、カチオン緩速供給材からカチオンが溶出され、凝固速度が増加する。
ただし、高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉を緩速カチオン供給材として使用するには、常温では、粉体化スラグをpH11.0以上12.3未満のアルカリ溶液と混ぜ、粉体化スラグをスラリー化したとき、スラリーのpHが12.3以上の粉体化スラグが必要となる。粉体化スラグをスラリー化した際のpHが12.3以上になる粉体化スラグとしては、図16より、粉体のCaO/SiO質量比が1.5以上になる製鋼スラグを用いる。
一方、カチオン緩速供給材を配合しない場合、凝固速度が遅くなり、粒子間隙のアルカリ溶液中の水分が乾燥し、空隙が生じるため、圧縮強度が低いが、透液性及び液体保持力に優れたジオポリマーが製造できる。
以下、本実施形態に係るジオポリマーの製造方法の詳細について説明する。
本実施形態に係るジオポリマーの製造方法では、図1に示すように、まず、ステップS1で、例えば、酸化物粒子と、アルカリ溶液と、カチオン緩速供給材を混合してケイ酸スラリーを作成する。一般的なセメントコンクリートの製造時と同様、粒子や粉体を投入して空練りしたり、アルカリ溶液を投入して練混ぜたりする。カチオン緩速供給材は、配合しない場合もありうる。
次に、ステップS2で、粉体化スラグ、又は粉体スラグ及び骨材を配合し、GPモルタルまたはGPコンクリートを作成する。
次に、ステップS3で、GPモルタルまたはGPコンクリートを養生し、GPモルタルまたはGPコンクリートを凝固させることで、ジオポリマーを形成する(養生工程)。
養生の温度は、例えば0℃超40℃未満が好ましく、常温が好ましい。本明細書において、常温とは、5℃以上35℃以下の温度範囲を意味する。
なお、以下、アルカリ溶液、粉体化スラグ、及び酸化物粒子を含むモルタル、又は、アルカリ溶液、粉体化スラグ、酸化物粒子、及びカチオン緩速供給材を含むモルタルを「GPモルタル」とも称する。
また、GPモルタルと骨材との混合物を「GPコンクリート」とも称する。
(アルカリ溶液)
アルカリ溶液は、ケイ酸イオン供給源として、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかを含んでpHが11.0以上12.3未満である溶液を適用する。
アルカリ溶液は、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかと水とを配合して得られるアルカリ溶液であってよい。
ケイ酸イオン供給源としてアルカリ溶液を適用することで、多量のNaOH又はKOHを配合することは必須でなくなり、例えば、既成のケイ酸ナトリウム水溶液(NaO・nSiO水溶液)すなわち水ガラスのうちnが1.5以上のものを主成分として用いることができる。このため、より安価にケイ酸イオンを供給できる。また、常温でケイ酸イオンを液相中に安定的に供給し、ケイ酸イオンの濃度を所定濃度領域に安定して保つことが可能となる。なお、このような観点からは、水ガラスの中でも、ケイ酸含有率が高く、ケイ酸量当たりのコストが低い水ガラス(例えば3号水ガラス)を配合することが好ましい。
アルカリ溶液におけるケイ酸イオン及びカチオンの溶解度は、溶液のpHに応じて変化する。そこで、アルカリ溶液中に十分なケイ酸イオンが存在できるよう、pHを所定値以上に設定する。また、粉体化スラグからカチオンが浸出する速度が適切な範囲となり、かつ当該カチオンとケイ酸イオンとが反応して凝固反応が進行しうるよう、pHを所定領域に設定する。カチオンの種類に応じて、粉体化原料の配合に応じた適切なpH領域を設定できる。例えば、粉体化スラグからカチオンとしてCa2+、Mg2+、Al3+がともに溶出しうる配合である場合、優先的にCa−Si結合による凝固反応を生じさせるようなpH領域を設定することが可能である。このように、pHにより浸出過程及び凝固過程を制御することで、常温で、緩やかに凝固が進行する。
具体的には、アルカリ溶液のpHを11.0以上とする。これにより、液相中に十分なケイ酸イオンが存在できるようになるため、凝固反応が円滑に生じ、ジオポリマーを生成させることができる。好ましくは、アルカリ溶液のpHを11.2以上とする。これにより、既成の水ガラス(例えば3号、4号水ガラス)を用いることができる。これ以上pHを下げようとして塩酸等の酸を加えると、添加した部分において局所的にpHが低下し、ケイ酸のゲルが発生してしまうおそれがある。
特に、pHを11.2以上とすることで、既成の水ガラスを利用しつつ、酸を加える必要がないため、製造コストを抑制し、ゲルの発生を回避できる。よって、ジオポリマーの生産性を向上できる。
また、アルカリ溶液のpHを12.3未満とする。これにより、粉体化スラグからカチオンとしてCa2+等が浸出しうる場合、カチオンの浸出速度が過大となることを抑制しつつ、優先的にCa−Si結合による凝固反応を生じさせることができる。
よって、例えば、常温で、ジオポリマーを製造することができる。好ましくは、アルカリ溶液のpHを12.0以下とする。
ここで、アルカリ溶液のpHは、液温20℃で、ガラスpH電極を用いて測定する値である。
アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくともいずれかを含んでもよい。アルカリ溶液として既成のケイ酸アルカリ溶液(例えば水ガラス)を用いる場合、そのpHは、ケイ酸アルカリ溶液の既成の種類(1号〜4号等)若しくはその配合を変えることにより、又はケイ酸アルカリ溶液を水で希釈することにより、調整可能である。しかし、既成のケイ酸アルカリ溶液のみではpHの調整が難しいときもありうる。このようなとき、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくともいずれかをケイ酸アルカリ溶液に添加して、好ましくは加温し、溶解させることをで、よりpHの高いアルカリ溶液を得ることができる。
(粉体化スラグ)
粉体化スラグは、カチオン急速供給材として機能する。
粉体化スラグは、ケイ酸イオンを含み、pHが11.0以上、12.3未満であるアルカリ溶液を用い、上記「凝固テスト」により、常温で30分以内に固化する材料である。
−CaO/SiO比−
粉体化スラグは、SiO含有率に対するCaO含有率の質量比(以下「CaO/SiO比」とも称する)が1.5以上5.5以下であるスラグを適用する。
ここで、アルカリ溶液として、pHが11.7のケイ酸イオン水溶液を用い、25℃で、粉体化スラブとアルカリ溶液を含むGPモルタルを養生する、上記「凝固テスト」を行った。その結果、粉体化スラグとして、CaO/SiO比が0.8〜1.2である高炉水砕スラグ粉砕粉(エスメント)を用いた場合、凝固が生じなかった。一方、粉体化スラグとして、CaO/SiO比が3.4である製鋼スラグ又はCaO/SiO比が2.65である製鋼スラグを用いた場合、凝固が生じた。よって、製鉄工程から発生する粉体化スラグを、そのCaO/SiO比に応じて、カチオン供給源として用いることが好ましいものとそうでないものとに分類することができる。すなわち、少なくとも上記凝固テストの条件下では、高炉水砕スラグ粉砕粉(エスメント)は、Ca2+又はAl3+イオン等のカチオンイオンをケイ酸イオン水溶液に供給することが困難であると考えられる。これに対し、上記製鋼スラグは、Ca2+等のカチオンイオンを供給するカチオン供給材として機能しうると考えられる。
さらに、CaO/SiO比が小さすぎると、カチオンとしてのCa2+の供給量が少なく、凝固に至らないことがある。一方、CaO/SiO比が大きくても、粉体化スラグの表層をゲル状物質で覆われてしまうため、カチオンイオン(主にCa2+)の供給速度は抑制される。酸化物粒子を配合することにより、流動性は維持することができる。CaO/SiO比が5.5より大きくなると、粉体化スラグ中のfree−CaO成分が多くなり、崩壊しやすくなり、作成したジオポリマーの圧縮強度は低下することがある。
よって、CaO/SiO比が所定範囲内である粉体化スラグを用いることで、適切な速度で凝固を進行させ、ジオポリマーを生成しやすくなる。
具体的には、CaO/SiO比が1.5以上である粉体化スラグを用いることで、より確実に凝固を進行させることができる。また、CaO/SiO比が5.5以下である粉体化スラグを用いることで、過剰なFree−CaOを抑制し、ジオポリマーの圧縮強度を抑制することができる。
そのため、粉体化スラグのCaO/SiO比は、1.5以上5.5以下とし、好ましくは2.0以上5.0以下とする。
なお、粉体化スラグ中のCaO成分及びSiO成分の含有率[質量%]は、蛍光X線分析法により測定可能である。例えば、CaOの含有率は、ガラスビード法による蛍光X線分析装置(XRF)により定量分析が可能である。具体的には、CaOの含有率が既知である粉体化スラグのサンプルを、含有率を変えて複数準備する。蛍光X線分析装置により、準備した上記サンプルのCa由来の蛍光X線強度を測定する。得られたCa由来の蛍光X線強度と、上記既知のCaOの含有率とを用いて、CaOの含有率と蛍光X線強度との間の関係を示す検量線を予め作成しておく。その後、着目するCaOの含有率が未知であるサンプルについて、蛍光X線分析装置によりCaOの蛍光X線強度を測定する。得られた蛍光X線強度と、上記検量線とを用いて、当該サンプルのCaOの含有率を特定することができる。このようにして、粉体化スラグ中のCaO成分の含有率を求めることができる。
同様に、SiOの含有率は、ガラスビード法による蛍光X線分析装置(XRF)により定量分析が可能である。具体的には、SiOの含有率が既知である粉体化スラグのサンプルを、含有率を変えて複数準備する。蛍光X線分析装置により、準備した上記サンプルのSi由来の蛍光X線強度を測定する。得られたSi由来の蛍光X線強度と、上記既知のSiOの含有率とを用いて、SiOの含有率と蛍光X線強度との間の関係を示す検量線を予め作成しておく。その後、着目するSiOの含有率が未知であるサンプルについて、蛍光X線分析装置によりSi由来の蛍光X線強度を測定する。得られた蛍光X線強度と、上記検量線とを用いて、当該サンプルのSiOの含有率を特定することができる。このようにして、粉体化スラグ中のSiO成分の含有率を求めることができる。
−粉体化スラグの粒径−
粉体化スラグは、スラグ粒子の微細化に伴い、これら粒子間の間隙に対する粉体化スラグの比表面積が増加する。このため、粉体化スラグがカチオンを供給する機能を向上し、カチオンを間隙へ十分に供給できるようになる。または、間隙への十分なOHイオンを供給できるようになり、間隙中のアルカリ溶液のpHの上昇がより生じやすくなる。すなわち、粉体化スラグの粒径が小さければ、粉体化スラグから比較的多くのカチオンを供給でき、又は、間隙中のアルカリ溶液のpHを上昇させることができるため、適切な速度で凝固を進行させ、十分な圧縮強度のジオポリマーを安定的に得ることができる。この微細化の効果は、カチオン急速供給材として機能する粉体化スラグにおいて、特に有効である。
具体的には、粉体化スラグの粒径は、5mm以下が好ましい。粒径が5mm以下で、微細粒子を多く含む粉体化スラグを用いることで、適切な速度で凝固を進行させ、十分な圧縮強度のジオポリマーを安定的に得ることができる。粉体化スラグの粒径は、2mm以下がより好ましい。
なお、本明細書において、「粒径」とは、粒度を表し、例えば、粒径5mm以下とは、最大粒径が5mm(つまり、目開き5mmの篩を通過する粒径)であることを表す。また、粒径5mm以上とは、最小粒径が5mm(つまり、目開き5mmの篩を通過しない粒径)であることを表す。
−粉体化スラグのpH−
粉体化スラグを、水により100g/Lのスラグスラリーとした際の水相のpHは、12.3以上であることが好ましい。
粉体化スラグの成分から計算されるCaO/SiO質量比と、粉体化スラグを水に分散(スラグスラリー濃度:100g/L)させた際のスラグスラリーのpHとの関係を図16に示す。これより、粉体化スラリーのCaO/SiO質量比が大きいほど、pHが高いことがいえる。
そして、アルカリ溶液のpHより、スラグスラリーのpHが高い粉体化スラグを配合すると、アルカリ溶液のpHが徐々に上昇させることができる。これにより、カチオン緩速供給材としての高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉とアルカリ溶液との凝固領域を、凝固しない領域から凝固する領域にシフトさせることができる(図1〜図3参照)。
スラグスラリーのpHは、12.5〜13.0がより好ましい。
ここで、スラグスラリーのpHは、液温20℃で、ガラスpH電極を用いて測定する値である。
(酸化物粒子)
酸化物粒子は、常温ではカチオン供給材とならない粒子である。
酸化物粒子は、ケイ酸イオンを含み、pHが11.0以上、12.3未満であるアルカリ溶液を用い、上記「凝固テスト」により、常温で、30分以内に固化しない材料である。
酸化物粒子としては、フライアッシュ(FA)、れんが粉、砂、高炉水砕スラグ、および高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上が挙げられる。
フライアッシュは、酸化物粒子からなる灰分中に、燃え残った炭素成分である未燃カーボンを含んでいる。酸化物粒子に混在するカーボン(炭素粒子)濃度は、ジオポリマーの圧縮強度等に影響を及ぼす。
フライアッシュ中のカーボン(炭素粒子)濃度が変動すると、GPモルタルにおける適切な水分の配合率が変動し、圧縮強度が安定しない。また、フライアッシュ中のカーボンは多孔質であり脆く、かつ、酸化物粒子と比較して比重が小さく、偏析しやすく、圧縮強度が低下する傾向にある。
また、上記炭素粒子の細孔内に水が入り込むことで、凝固に必要な水分の適切な配合率が変動すると考えられる。炭素粒子の見掛け比重は酸化物粒子よりも小さいため、フライアッシュ中のカーボン(炭素粒子)濃度が増えると、GPモルタル中に占める炭素粒子の体積割合が過剰に大きくなり、凝固が一層妨げられる。
そのため、フライアッシュ中のカーボン(炭素粒子)濃度は、3質量%以下が好ましい。ライアッシュ中のカーボン濃度を3質量%以下にすることで、ジオポリマー製造時における水分の適切な配合率を安定化させるとともに、フィライアッシュ中のカーボンが凝固に対して与える悪影響を抑制し、強度の高いジオポリマーを安定的に製造できる。
フライアッシュ中のカーボン濃度は、1質量%未満が好ましい。
なお、フライアッシュ中のカーボン濃度は、フライアッシュの強熱減量率により測定した値である。強熱減量率は、105℃で乾燥したサンプルを、975℃にセットした大気雰囲気下の炉内で15分以上保持した際の質量の減少率である。この強熱減量率の値をカーボン濃度の測定値とする。
−酸化物粒子の粒径−
酸化物粒子が小さすぎると、粉体化スラグの粒子間のスペーサーとしての機能が低下し、瞬結抑制効果が低くなる。一方、酸化物粒子の粒径が大きすぎると、GPモルタル中の粉体化スラグの粒子間隙が大きくなりすぎて、凝固速度が低くなりすぎる。
そのため、酸化物粒子の粒径は、0.1〜3,000μmが好ましく、1〜500μmがより好ましい。
(カチオン緩速供給材)
カチオン緩速供給材は、ケイ酸イオンを含み、pHが11.0以上、12.3未満であるアルカリ溶液を用い、上記「凝固テスト」により、常温で30分以内に固化せず、かつ、ケイ酸イオンを含み、pHが12.3以上であるアルカリ溶液を用い、上記「凝固テスト」により、常温で144hr以内に固化する材料である。
カチオン緩速供給材としては、高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上が挙げられる。
高炉水砕スラグは、高炉から生成する溶融スラグを水で急冷した砂状のスラグである。
高炉スラグ粉砕粉は、高炉から生成する溶融スラグを水で急冷したのちに粉砕し、粒度を調整したスラグであり、粉砕の程度によって比表面積は異なる。
カチオン緩速供給材の比表面積は、ジオポリマーの圧縮強度向上の観点から、1,000〜15,000cm/gが好ましく、1,000〜6,000cm/gがより好ましい。
カチオン緩速供給材の比表面積は、流動式比表面積測定装置(例えば、島津製作所社製:FlowSorb II 2300)を用いて、ガス吸着法により、比表面積(単位:m/g)を測定することができる。ガス吸着法では、ヘリウムと窒素の混合ガス(体積比7:3)を用い、BETの式を用いてガスの単分子吸着量と比表面積を算出することができる。
カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比(W/W)は、ジオポリマーの圧縮強度向上の観点から、0.5〜6.0が好ましく、1.8〜5.5がより好ましい。
(骨材)
骨材は、砂、礫、砂利等であってよく、細骨材、粗骨材のいずれでもよい。
骨材は高炉水砕スラグまたは高炉徐冷スラグであってもよい。このようにスラグ(粉体化したスラグ又はしていないスラグ)を、細骨材及び粗骨材の一方又は双方として利用することで、製造コストを抑制でき、ジオポリマーの利用可能性を向上することができる。例えば、粒径が5mm超え25mm以下と大きく(言い換えると、粒子間の間隙の液相に対する比表面積が小さく)、カチオンを供給する機能が低いスラグであっても、これを骨材として利用できる。
また、製鋼スラグは、遊離石灰の水和反応による膨張特性を抑える目的で、エージング処理されたスラグであることがよい。
(混合の順番)
本実施形態に係るジオポリマーの製造方法では、GPモルタルの作製において、アルカリ溶液と酸化物粒子を混合し、ケイ酸スラリーを製造し、ケイ酸スラリーに、粉体化スラグを混合してGPモルタルを作製することが好ましい。
粉体化スラグとアルカリ溶液とを直接混合すると瞬結するため、予め、アルカリ溶液と酸化物粒子を混合したケイ酸スラリーを形成し、ケイ酸スラリーと粉体化スラグとを混合することで、酸化物粒子の介在により粉体化スラグ紛同士の固着を防ぎ、瞬結が抑制できる。
カチオン緩速供給材を使用する場合、ケイ酸スラリーにカチオン緩速供給材と粉体化スラグを混合して、GPモルタルを作製することが好ましい。
カチオン緩速供給材を混合直後のGPモルタルのpHは、凝固しないpH領域であるため、GPモルタルは凝固しない。そのため、混合当初のGPモルタルは全体的に流動性を確保することができる。時間が経過すると、ケイ酸Caで覆われた粉体化スラグから徐々に、アルカリ成分が浸出し、GPモルタルのpHを徐々に上昇させる。pH上昇に伴い、カチオン緩速供給材から、カチオンイオン(主にCaイオン、Alイオン)が浸出し、主にケイ酸Ca、ケイ酸Alを析出させ、粒子同士を固着していく。この結果、生成されるジオポリマーの圧縮強度は上昇する。
なお、酸化物粒子及びカチオン緩速供給材は、予め、アルカリ溶液および粉体化スラグのどちらに配合してもよい。
ただし、粒子間隙中のケイ酸イオン濃度が一定の場合、カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中に含まれるケイ酸量との質量比と、圧縮強度が正の相関があることから、予め、カチオン緩速供給材をアルカリ溶液と混合する方(具体的には、カチオン緩速供給材をケイ酸スラリーと混合する方)が、性能が一定となるため、好ましい。
(粒度分布にばらつきがある場合でも適正に混合する方法)
本実施形態に係るジオポリマーの製造方法において、使用する粒子の粒度分布にばらつきがある場合でも適正に混練する方法について説明する。
まず、粒子の粒度分布が変化すると、ケイ酸スラリーの粘度が変化する。一般的に粒子径が小さくなるほど、同じケイ酸スラリー濃度でも粘度は大きくなる。
ここで、図17に示すように、アルカリ溶液(水及び3号水ガラス)と酸化物粒子(フライアッシュ)とカチオン緩速供給材(高炉水砕スラグ粉砕粉(比表面積:4,200cm/g))との混合率と、混合物(ケイ酸スラリー)の粘度との関係の一例を示す。なお、酸化物粒子とフライアッシュの配合率は質量比1:1で配合した混合粉である。
粒子間のケイ酸イオン濃度は、水/水ガラス比で決定される。カチオンイオンが十分供給できれば、ケイ酸イオン濃度が高いほど、生成されるジオポリマーの圧縮強度は高くなる。
そして、図17に示すように、アルカリ溶液(水と水ガラス混合液)に、酸化物粒子とカチオン緩速供給材の混合物(質量で50%ずつ配合)を添加していくと、ケイ酸スラリーの粘度が100mPa・S以上になると粘度が急激に上昇し、ケイ酸スラリーの600mPa・Sを超えると、わずかに混合物を添加しても、ケイ酸スラリーはスラリー状態ではなくなる。
酸化物粒子とカチオン緩速供給材の混合物には、粉体化スラグとアルカリ溶液との瞬結が抑制させながらも、GPモルタルの流動性を維持する働きがあることから、混合物を多く配合する必要がある。そのため、ケイ酸スラリーの粘度は高いほうがよい。
アルカリ溶液のSiO濃度が大きくなると、例えば、SiO濃度が350g/Lを超過すると、ケイ酸スラリーの粘度が上昇し、混合物の配合率を上昇させるとすぐに、ケイ酸スラリーの粘度が600mPa・Sを超過してしまう。
そのため、ジオポリマーの圧縮強度向上の観点から、アルカリ溶液のSiO濃度は350g/L以下が好ましい。
以上より、アルカリ溶液のSiO濃度は、30〜350g/Lが好ましく、150〜350g/Lがより好ましく、250〜350g/Lがさらに好ましい。
また、ケイ酸スラリーの粘度は、100〜600mPa・Sが好ましく、250〜400mPa・Sがより好ましい。
ここで、アルカリ溶液のSiO濃度の測定方法は、次の通りである。水ガラス製造メーカー提示のSiO含有率と比重により、SiO濃度を換算する。または、アルカリ溶液を純水で希釈した後、硫酸で酸性にし、ICPにてSi濃度を測定し、Si濃度と希釈率よりアルカリ溶液中のSiO濃度を計算する。
また、ケイ酸スラリーの粘度は、常温での粘度であり、粘度計(東機産業、DVL−B)を用い測定する。
(GPモルタル、及びGPコンクリートの各粉体原料配合率)
GPモルタルにおいて、酸化物粒子の配合率は、ケイ酸スラリーの粘度で決定することがよい。例えば、酸化物粒子の配合率は、ケイ酸スラリーの粘度が250〜400mPa・Sとなるように調整する。
GPモルタルにおいて、カチオン緩速供給材の配合率は、カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比で決定することがよい。例えば、カチオン緩速供給材の配合率は、カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比が0.5〜6.0となるように調整する。
GPモルタルにおいて、粉体スラグの配合率は、フロー試験で決定することがよい。例えば、粉体スラグの配合率は、フロー試験で、フロー値が11〜15cmになるように調整する。
そして、GPコンクリートは、フロー試験で決定した粉体化スラグの配合率で、粉体化スラグを含むGPモルタルに骨材を配合する。骨材の配合率は、スランプ試験で決定することがよい。例えば、骨材の配合率は、スランプ試験で、スランプ値が15〜21cmとなるように調整する。GPコンクリートでは、骨材がGPモルタルと分離しないことがよい。
ここで、フロー試験は、次の通り実施する。
図18に示すように、開口径(内径)71mm、高さ32mmの円筒体を準備する。
次に、円筒体の内部にGPモルタルを充填した状態で、円筒体の開口部を上方に向けた状態で、円筒体を土台に置く。
次に、その状態から、円筒体だけを上方に引き上げる。
そして、円筒体を引き上げた後、土台上に広がるGPモルタルの最大径と、最大径を測定した軸と直行する軸方向でのモルタルの径の平均径を、フロー値として測定する。
なお、図18中、20は円筒体、22は土台、FRはフロー値、GPMはGPモルタルを示す。
一方、スランプ試験は、次の通り実施する。
図19に示すように、小径側の開口径(内径)10cm、大径側の開口径(内径)20cm、高さ30cmの裁頭円錐筒体を準備する。
次に、裁頭円錐筒体の内部にGPコンクリートを充填した状態で、裁頭円錐筒体の小径側の開口部を上方に向けた状態で、裁頭円錐筒体を土台に置く。
そして、裁頭円錐筒体を引き上げた後、土台上に崩れたGPコンクリートの最大高さを測定し、裁頭円錐筒体の高さとの差分を、スランプ値として算出する。
なお、図19中、30は裁頭円錐筒体、32は土台、SLはスランプ値、GPCはGPコンクリートを示す。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
表1および表2に従った配合で、GPモルタル又はGPコンクリートを作製した。
そして、得られたGPモルタル又はGPコンクリートを養成し、得られたジオポリマーの圧縮強度を測定した。具体的には、次の通りである。
なお、圧縮強度は、JIS A 1108(2018年) コンクリートの圧縮強度試験方法に基づき測定した。使用した圧縮試験機は、万能圧縮試験機(マルイ、MIS−225−1−26型)である。
比較例1−1〜比較例1−2においては、粒子間隙中のSiO濃度(つまり、アルカリ溶液のSiO濃度)が258g/Lになるように水と水ガラスを配合してアルカリ溶液Aを作製し、アルカリ溶液Aと同質量の粉体化スラグを配合した。配合したとたんに瞬結が起こり、次に予定した供試体作成用のモールド内に投入することはできなかった。
比較例1−3〜比較例1−4、実施例1−5〜実施例1−8、比較例1−9においては、粒子間隙中のSiO濃度が258g/Lになるように、水と水ガラスを配合しアルカリ溶液Bを作成した。
次に、アルカリ溶液Bに酸化物粒子の1つであるフライアッシュ(FA)を添加しながら、粘度を測定し、粘度が250〜400mPa・SとなるFAの配合率を決定した。決定した配合率で、水、水ガラス、FAを混合し、ケイ酸スラリーCを作成した。
次に、ケイ酸スラリーCに粉体化スラグを添加し、フロー試験にてフロー値を測定し、フロー値が11〜15cmとなる粉体化スラグの配合率を決定した。決定した配合率で、ケイ酸スラリーCに、粉体化スラグを混合し、GPモルタルDを作成した。
GPモルタルDを供試体作成用のモールド内に投入し、20℃で28日間養生した。その後、モールドから固化した供試体を取り出し、圧縮強度を測定した。
GPモルタルDをモールド内に充填する際には凝固しておらず、充填することができ、比較例1−1と比較例1−2と比べ、瞬結を抑制できることを確認した。
また、比較例1−4、実施例1−5〜実施例1−8、比較例1−9では、配合した粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)の影響を調べた。粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)が1.2(比較例1−4)および粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)が6.0(比較例1−9)では、圧縮強度がそれぞれ0.6N/mm、0.9N/mmとなり、実施例1−5〜実施例1−8(粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)は、1.6〜5.4)と比較して、小さい値となった。これより、粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)は1.5〜5.5が好ましいといえる。
実施例1−10〜実施例1−19〜比較例1−20、実施例1−21〜実施例1−30においては、図20に示す配合率決定フローに基づき配合率を決定した。そして、図1に示す配合フローに基づき、各成分の配合を行った。具体的には、所定の粒子間隙中のSiO濃度、および所定のカチオン緩速供給材量/SiO量比(W/W:カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比)より、水、水ガラス、カチオン緩速供給材の配合率を決定した。決定した配合率で、水、水ガラス、カチオン緩速供給材を混合し、ケイ酸スラリーEを作成した。
次に、ケイ酸スラリーEに、酸化物粒子であるFA、れんが粉、砂のいずれかを添加しながら、粘度を測定し、ケイ酸スラリー粘度が250〜400mPa・Sとなる酸化物粒子の配合率を決定した。決定した配合率で、水、水ガラス、カチオン緩速供給材、酸化物粒子を混合し、ケイ酸スラリーFを作成した。
次に、ケイ酸スラリーFに粉体化スラグを添加し、フロー試験にてフロー値を測定し、フロー値が11〜15cmとなる粉体化スラグの配合率を決定した。決定した配合率で、ケイ酸スラリーFに、粉体化スラグを混合し、GPモルタルGを作成した。
GPモルタルGを供試体作成用のモールド内に投入し、所定温度で28日間養生した。その後、モールドから固化した供試体を取り出し、圧縮強度を測定した。GPモルタルGをモールド内に充填する際には凝固しておらず、充填することができ、瞬結を抑制できることを確認した。
なお、実施例1−17は、粒子間隙中のSiO濃度が400g/Lと高濃度であり、ケイ酸スラリーFの粘度が510mPa・Sとなったため、酸化物粒子はほとんど配合せずに、カチオン緩速供給材を配合した。
実施例1−13〜実施例1−18を比較し、粒子間隙中のSiO濃度(つまり、アルカリ溶液のSiO濃度)の影響を調べた。図21に、粒子間隙中のSiO濃度とジオポリマーの圧縮強度との関係を示す。
これより、粒子間隙中のSiO濃度(つまり、アルカリ溶液のSiO濃度)が30〜350g/Lで、ジオポリマーの圧縮強度が上昇することがわかる。
実施例1−7、実施例1−11、実施例1−18、実施例1−22〜実施例1−25を比較し、カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比(W/W)の影響を調べた。図22に、カチオン緩速供給材量/SiO量(W/W)とジオポリマーの圧縮強度との関係を示す。
これより、カチオン緩速供給材量/SiO量(W/W)が3の時、ジオポリマーの圧縮強度は最大値を示し、カチオン緩速供給材量/SiO量(W/W)が3を超えると、ジオポリマーの圧縮強度は低下した。これは、カチオン緩速供給材の添加量が、アルカリ溶液に対し大きくしたことにより、アルカリ溶液のケイ酸イオンとの反応速度が増加し、モールド添加時には凝固が始まり、供試体中の余剰空気が抜けなくなったため、ジオポリマーの圧縮強度は低下した。
カチオン緩速供給材の比表面積を小さくすることにより、カチオン緩速供給材量/SiO量(W/W)が3より大きくなっても、圧縮強度は低下しないと考えられる。
実施例1−18、実施例1−26〜実施例1−28を比較し、養生温度の影響を調べた。図23に、養成温度とジオポリマーの圧縮強度との関係を示す。
これより、養生温度が5℃〜50℃の領域において、ジオポリマーの圧縮強度は32N/mm超となるといえ、5〜50℃の領域において、十分に、ジオポリマーの圧縮強度が高いことがいえる。つまり、常温でも、十分に、ジオポリマーの圧縮強度が高いことがいえる。
実施例1−10、実施例1−12、実施例1−18を比較し、カチオン緩速供給材の比表面積の影響を調べた。図24に、カチオン緩速供給材の比表面積と、ジオポリマーの圧縮強度との関係を示す。
これより、カチオン緩速供給材の比表面積が1,100mm/g以上あれば、ジオポリマーの圧縮強度は向上するといえ、カチオン緩速供給材の比表面積が大きいほど、ジオポリマーの圧縮強度は大きくなるといえる。これは、カチオン緩速供給材の比表面積が小さいと、養生時の凝固時間が長くなり、凝固する前に粒子間隙中の水分が緩やかに蒸発してしまい、微細な空隙が多数存在するようになり、ジオポリマーの圧縮強度は低下するためである。
実施例1−18、実施例1−29、実施例1−30を比較し、酸化物粒子の種類の影響を調べた。いずれの場合も圧縮強度は37〜40N/mmの範囲であり、十分大きいことが判明した。
実施例1−18、比較例1−20、比較例1−21を比較し、配合した粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)の影響を調べた。粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)が1.2、6.0の時、圧縮強度はそれぞれ3.4、5.6N/mmとなった。一方、粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)が3.0の時、圧縮強度は38.5N/mmとなった。これより、粉体化スラグのCaO/SiO(W/W)は1.5〜5.5が好ましいといえる。
実施例1−18、実施例1−19を比較し、アルカリ溶液が3号水ガラス(ケイ酸ソーダ)又はケイ酸カリウムである場合を比較した。実施例1−18、実施例1−19とも、圧縮強度は37〜39N/mmとなり、十分大きな圧縮強度であった。
実施例1−31〜実施例1−33においては、図20に示す配合率決定フローに基づき配合率を決定し、図1に示す配合フローに基づき、各成分の配合を行った。
具体的には、粒子間隙中のSiO濃度が258g/Lおよびカチオン緩速供給材量/SiO量(W/W:カチオン緩速供給材量とアルカリ溶液中のSiO量との質量比)が2.25となるように、水と水ガラスとカチオン緩速供給材の配合率を決定した。決定した配合率で、水と水ガラスとカチオン緩速供給材を混合し、ケイ酸スラリーHを作成した。
次に、ケイ酸スラリーHに酸化物粒子を添加しながら粘度を測定し、粘度が250〜400mPa・Sとなる酸化物粒子の配合率を決定した。決定した配合率で、水、水ガラス、カチオン緩速供給材、酸化物粒子を混合し、ケイ酸スラリーIを作成した。
次に、ケイ酸スラリーIに粉体化スラグを添加し、フロー試験にてフロー値を測定し、フロー値が11〜15cmとなる粉体化スラグの配合率を決定した。決定した配合率で、ケイ酸スラリーIに粉体化スラグを混合し、GPモルタルJを作成した。
次に、GPモルタルJに骨材を添加し、スランプ試験にてスランプ値が15〜21cmとなるように骨材添配合率を決定した。決定した配合率で、水、水ガラス、カチオン緩速供給材、酸化物粒子を混合したケイ酸スラリーを作製し、ケイ酸スラリーに粉体化スラグ、骨材を混合し、GPコンクリートKを作成した。
GPコンクリートKを供試体作成用のモールド内に投入し、20℃で28日間養生した。その後、モールドから固化した供試体を取り出し、圧縮強度を測定した。モールド内に充填する際には凝固しておらず、充填することができ、瞬結を抑制できることを確認した。ジオポリマーの圧縮強度は、43〜46N/mmとなり、十分大きいことが判明した。
Figure 2021178742
Figure 2021178742
以下、使用した粉体原料の詳細について記載する。
−ケイ酸ソーダおよびケイ酸カリウム溶液−
・1号水ガラス(ケイ酸ソーダ):SiO=35〜38wt%、NaO=17.0〜19.00wt%、比重=1.67〜1.71
・3号水ガラス(ケイ酸ソーダ):SiO=28〜30wt%、NaO=9.0〜10.0wt%、比重=1.39〜1.42
・2号ケイ酸カリウム溶液:SiO=19.5〜21.5wt%、KO=8.5〜9.5wt%、比重=1.26〜1.28
−酸化物粒子−
・FA(フライアッシュ):カーボン濃度=0.6質量%、平均粒子径(体積基準)=13μm
・れんが紛:平均粒子径(体積基準)=35μm
・砂:平均粒子径(体積基準)=118μm
−カチオン緩速供給材−
・高炉水砕スラグ粉砕紛:比表面積4,200cm/g、平均粒子径(体積基準)=19μm
・高炉水砕スラグ粉砕粉: 比表面積1,900cm/g、平均粒子径(体積基準)=648μm
・高炉水砕スラグ: 比表面積1,100cm/g、平均粒子径(体積基準)=821μm
−粉体化スラグ−
・粉体化スラグ1:CaO/SiO=6.0(w/w)、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=12.8
・粉体化スラグ2:CaO/SiO=5.4(w/w)、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=12.7
・粉体化スラグ3:CaO/SiO=3(w/w)、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=12.6
・粉体化スラグ4:CaO/SiO:2.4(W/W)、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=12.5
・粉体化スラグ5:CaO/SiO=1.6(w/w)、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=12.3
・粉体化スラグ6:CaO/SiO:1.2(W/W))、粒径=5mm以下、スラグスラリーの液相のpH=10.3

Claims (12)

  1. 酸化物粒子と、SiO含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上5.5以下である粉体化スラグと、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかを含んでpHが11.0以上12.3未満であるアルカリ溶液と、を混合してモルタルを作製し、
    少なくとも前記モルタルを含む混合物を養生して、ジオポリマーを形成する、
    ジオポリマーの製造方法。
  2. 前記モルタルの作製において、前記アルカリ溶液と前記酸化物粒子を混合し、ケイ酸スラリーを製造し、前記ケイ酸スラリーに、前記粉体化スラグを混合して前記モルタルを作製する請求項1に記載のジオポリマーの製造方法。
  3. 前記ケイ酸スラリーに、高炉水砕スラグおよび高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上のカチオン緩速供給材と前記粉体化スラグを混合して、前記モルタルを作製する請求項2に記載のジオポリマーの製造方法。
  4. 前記ケイ酸スラリーの粘度が100〜600mPa・Sである請求項2又は請求項3に記載のジオポリマーの製造方法。
  5. 前記SiO含有率に対するCaO含有率の質量比が1.5以上、5.5以下である粉体化スラグを、水により100g/Lのスラグスラリーとした際の水相のpHが12.3以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
  6. 前記粉体化スラグの粒径が、5mm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
  7. 前記アルカリ溶液のSiO濃度が30〜350g/Lである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
  8. 前記酸化物粒子が、フライアッシュ、れんが粉、砂、高炉水砕スラグ、および高炉水砕スラグ粉砕粉のいずれか1つ以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
  9. 前記フライアッシュ中のカーボン濃度が3質量%未満である請求項8に記載のジオポリマーの製造方法。
  10. 前記モルタルに骨材を混合し、この混合物を養生する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
  11. 前記骨材がスラグである請求項10に記載のジオポリマーの製造方法。
  12. 前記養生を常温で行う請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のジオポリマーの製造方法。
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