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JP2021170467A - 扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネス - Google Patents

扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な配策経路に対応することができ、しかも優れた放熱性を有する扁平電線およびその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の扁平電線1は、複数の線状導体21〜27を並列配置した導体群1と、導体群2の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部3とを備え、複数の線状導体21〜27が並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分28を有し、導体束部分28における複数の線状導体21〜27は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部4をなす。導体束部分28は、複数の方向への屈曲変形可能な横断面形状を有することが好ましい。また、導体束部分28を構成する複数の線状導体21〜27は、屈曲変形する方向に対して直交する方向に積層配置することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネスに関し、より詳しくは、様々な配策経路に対応することができ、優れた放熱性を有する扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネスに関する。
自動車等の車両は、ハイブリッド自動車や電気自動車等に代表される電動化や、自動運転システムやコネクテッドカー等に代表される多機能化または高機能化が急速に進んでいる。このため、このような車両に用いるワイヤーハーネスは、複雑な配策経路に対応することができ、しかも優れた放熱性を有する必要がある。
ワイヤーハーネスなどには、放熱性を高めるべく表面積を大きくすることができる薄い帯状の扁平電線が用いられている。例えば特許文献1には、複数の芯線同士を互いに接触させて併設し、これらの芯線を絶縁樹脂からなる被覆材で被覆している扁平電線が開示されている。また、このような扁平電線では、芯線の併設方向に芯線が積層しているために、芯線の併設方向やその近傍の方向への屈曲が困難である場合があるが、それでは車両などの複雑な配策経路に対応することはできない。そこで、特許文献1では、長さ方向の所要領域で被覆材を剥離して、芯線の長さ方向の中央部で断面円形状に束ねた上で、露出させた芯線全体に絶縁樹脂テープやシートを巻き付けて絶縁被覆し、扁平電線の三次元的な屈曲を達成することも開示されている。このような特許文献1の扁平電線によれば、屈曲の観点で言えば、車両などの複雑な配策経路に対応することは可能である。
特開2011−245898号公報
しかしながら、上述したように、扁平電線は、表面積を大きくして放熱性を高めているところ、本発明者らの検討により、芯線を断面円形状に束ねると、表面積が小さくなりその部分から大きな発熱や、樹脂テープの劣化、発火などが起こることが分かった。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、複雑な配策経路に対応することができ、優れた放熱性を有する扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
本発明者らは、複数の線状導体を並列配置した導体群と、導体群の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線であって、扁平電線は、複数の線状導体が並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分を有し、導体束部分における複数の線状導体は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部をなすことにより、複雑な配策経路に対応することができ、しかも優れた放熱性を有する扁平電線およびその製造方法、端子付き扁平電線ならびにワイヤーハーネスを提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)複数の線状導体を並列配置した導体群と、前記導体群の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線であって、
前記扁平電線は、前記複数の線状導体が前記並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分を有し、
前記導体束部分における前記複数の線状導体は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが前記第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部をなす扁平電線。
(2)前記導体束部分は、複数の方向への屈曲変形可能な横断面形状を有する、上記(1)に記載の扁平電線。
(3)前記導体束部分を構成する前記複数の線状導体は、屈曲変形する方向に対して直交する方向に積層配置したものである、上記(1)または(2)に記載の扁平電線。
(4)前記導体束部分を構成する前記複数の線状導体は、略円形の横断面形状に積層配置したものである、上記(1)、(2)または(3)に記載の扁平電線。
(5)前記導体束部分を構成する複数の線状導体の配置は、前記導体束部分の横断面で見て、前記導体群を構成する前記複数の線状導体を並列配置した方向に対して直交する方向に2層以上積み重なった積層配置である上記(1)または(2)に記載の扁平電線。
(6)前記第2の絶縁樹脂被覆部の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料をさらに有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の扁平電線。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の扁平電線と、前記扁平電線の端部に取り付けられた端子部と、を備えることを特徴とする端子付き扁平電線。
(8)前記端子部は、前記扁平電線の前記導体群に、溶接または圧縮により電気的に接続されていることを特徴とする上記(7)に記載の端子付き扁平電線。
(9)上記(7)または(8)に記載の端子付き扁平電線が、単独または他の電線などと組み合わされ車両に組付け可能に形成されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
(10)複数の線状導体を並列配置した導体群と、前記導体群の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線を製造する工程と、
前記扁平電線の長さ方向のいずれかの部分において、前記第1の絶縁樹脂被覆部を皮剥ぎして前記導体束部分を露出させる工程と、
露出した前記導体束部分を、前記並列配置とは異なる配置に形状変化させる工程と、
形状変化させた前記導体束部分の周囲に、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが前記第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆して、第2の絶縁樹脂被覆部を形成する工程と
を備える扁平電線の製造方法。
(11)前記第2の絶縁樹脂が被覆された導体側部分を、前記扁平電線の厚さ方向以外の方向に屈曲変形させる工程をさらに含む、上記(10)に記載の扁平電線の製造方法。
(12)屈曲変形させる工程の後に、前記第2の絶縁樹脂被覆部の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料を被覆する工程をさらに含む、請求項11に記載の扁平電線の製造方法。
本発明によれば、複雑な配策経路に対応することができ、優れた放熱性を発揮することができる。
第1の実施形態の扁平電線の概略模式図である。 第1の実施形態の扁平電線の再被覆部のA−A線上の概略断面図である。 複数の素線で形成される線状導体の概略模式図である。 単線で形成される線状導体の概略模式図である。 第2の実施形態の扁平電線の概略模式図である。 第2の実施形態の扁平電線の再被覆部のA−A線上の概略断面図である。 第3の実施形態の扁平電線の概略模式図である。 本実施形態の扁平電線の製造方法を説明するための概略図である。 本発明の一の実施形態に係る扁平電線に端子を接続した車載用の端子付き扁平電線の要部の概略斜視図である。 図7に示す端子付き扁平電線を、ワイヤーハーネスとして車両の内部に配策したときの例を示す概略模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
1.扁平電線
本実施形態の扁平電線は、複数の線状導体を並列配置した導体群と、導体群の周囲を被覆する絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線である。そして、この扁平電線においては、複数の線状導体が並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分を有し、導体束部分における複数の線状導体は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部をなすものである。
ここで、ISO 19642−4:2019(E)のTemperature classは、Class A〜Fに分けられており、Class F、Class E、Class D、Class C、Class B、Class Aの順にTemperature classが高いものである。したがって、例えば、第2の樹脂がClass Fで、第1の樹脂がClass Eである場合、第2の樹脂は、第1の樹脂よりクラスが高いものとする。そして、このTemperature classが高いほど、耐熱性に優れる。
なお、Classの区分は、実際に扁平電線を構成し、その扁平電線について、第1の絶縁樹脂被覆部及び第2の絶縁樹脂被覆部をそれぞれ評価する。
図1は、第1の実施形態の扁平電線の概略模式図である。この扁平電線1は、7本の線状導体21〜27を並列配置した導体群2と、導体群2の周囲を被覆する絶縁樹脂被覆部3とを備える。そして、この扁平電線1においては、7本の線状導体21〜27が並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分28を有する。この導体束部分28における複数の線状導体21〜27は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部4をなす。なお、以下においては、導体束部分と第2の絶縁被覆を合わせた箇所を、「再被覆部」ということがある。
図2は、第1の実施形態の扁平電線の再被覆部5のA−A線上の概略断面図である。図2は、図1の紙面手前側を紙面上側に表した図である。
まず、再被覆部5を、方向Dへの屈曲変形する場合を考える。再被覆部5の導体束部分28を構成する複数の線状導体21〜27は、屈曲変形する方向Dに対して直交する方向(すなわち、紙面の上下方向)に積層配置されている。具体的に、図2の紙面上から、第1の層として線状導体25、第2の層として線状導体21,26、第3の層として線状導体24、第4の層として線状導体22,27、第5の層として線状導体23がそれぞれ配置されている。導体束部分28は、屈曲変形する方向Dに対して直交する方向に積層配置されていることにより、再被覆部5が屈曲しやすくなる。導体束部分28が、屈曲変形する方向Dと平行な方向に一直線上に7本の線状導体が配置されていると、それら7本の線状導体が配置される方向への屈曲(いわゆるエッジワイズ曲げ)は困難である。
以上のように、再被覆部5の導体束部分28は、複数の方向への屈曲変形可能な横断面形状を有する。これによって、扁平電線1をワイヤーハーネスに応用する場合、所望の方向に屈曲しやすくなるため、車両の複雑な配策経路に対応することができるものとなる。
この実施形態や、後述する第2の実施形態(図5、6も参照)のように、導体束部分を構成する複数の線状導体の配置は、導体束部分(28,28A)の横断面で見て、導体群(2,2A)を構成する複数の線状導体(21〜27,21A〜27A)を並列配置した方向に対して直交する方向に2層以上積み重なった積層配置であることが好ましい。このようにして線状導体が積層配置されることにより、再被覆部5以外の箇所に比べて屈曲しやすくなる。
一方で、扁平電線1において、複数の線状導体21〜27を並列配置するのは、上述したとおり表面積を高めて放熱性を高めるものである。そうすると、再被覆部5以外の導体群2の導体部分の横断面形状(線状導体21〜27の円形断面が一直線上に並列配置した形状)とは異なる横断面形状に形状変化させて、図2に示すような形状で導体群2を形成すると必然的に、再被覆部5以外の導体群2に比べて表面積が小さくなり放熱しにくくなり、この部分が大きく発熱し、この周囲に被覆した樹脂が劣化しやすくなったり、発火したりするおそれもある。
そこで、本実施形態の扁平電線1においては、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により導体束部分28を被覆する。ここで、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが高いことは、第2の絶縁樹脂被覆部4を構成する第2の樹脂が、第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも耐熱性に優れることを意味する。第2の絶縁樹脂被覆部4を構成する第2の樹脂としてこのような性質の樹脂を用いることにより、導体側部分24に生じる発熱で樹脂が劣化し、また発火することを抑制することができる。
なお、第1の実施形態の扁平電線1における導体側部分28は、後述する第2の実施形態の扁平電線1Aにおける導体側部分28Aに比べてより扁平に近い形状であり、表面積がより大きく、したがって、より発熱がしにくい。
導体群2を構成するそれぞれの線状導体21〜27は、例えば銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの材料で形成することができる。本実施形態では、線状導体21〜27は、軽量化と柔軟性を重視して不純物の少ないアルミニウム(JIS規格のA1000番台。ここではJIS A1070を使用)で形成している。
線状導体21〜27は、それぞれ断面が略円形である。図3は、複数の素線で形成される線状導体21の概略模式図である。図3に示される線状導体21は、それぞれ複数の素線21aを撚り合わせた撚線で形成されている。図3では、線状導体21として、19本の素線21aを撚り合わせた撚線を例示しているが、素線21の本数は特に限定されず、適宜変更することができる。本実施形態では、線状導体21として、19本の素線21aを撚り合わせ、断面積0.75sq(外径1mm)とした撚線を用いている。
なお、線状導体21〜27は、単線で形成されてもよい。図4は、単線で形成される線状導体21Aの概略模式図である。ここで、線状導体は、撚線で形成された方が柔軟性などの点で利点がある。
また、それぞれの線状導体21〜27は、一部が撚線で形成され、その余が単線で形成されてもよい。このように撚線と単線とを組み合わせても、柔軟性などの点で利点がある。
第1の絶縁樹脂被覆部3は、導体群2の周囲を被覆するものである。本実施形態の扁平電線1において、第1の絶縁樹脂被覆部3は、1層で形成されても、複数の層で形成されてもよい。第1の絶縁樹脂被覆部3の形状は特に限定されないが、断面が矩形筒形状であれば、図1および図2に示すように、角部が丸みを持った形状でもよい。また、短辺や長辺が直線状ではなく、弧状を成していてもよい。第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する材料は、絶縁性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・四フッ化エチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂材料や、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料、ゴム弾性を有する樹脂材料(エラストマー)など、柔軟性を有する樹脂材料を例示することができる。本実施形態の扁平電線1では、絶縁性能などの観点からポリ塩化ビニルを用いている。このように、第1の絶縁樹脂被覆部3をポリ塩化ビニルで構成することにより、扁平電線1の可撓性が向上し、ワイヤーハーネスとしての配策時の取扱い性が向上する。
第1の絶縁樹脂被覆部3を、複数の層で形成する場合、例えば内側(線状導体21〜27側)にポリイミドやポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性樹脂材料を、外側に上述したポリ塩化ビニルなどの樹脂材料をそれぞれ配置した構成とすることもできる。このように耐熱性樹脂材料を内側の線状導体21〜27と接触する側に配置することにより、線状導体21〜27からの放熱による樹脂材料の損傷を抑制することができる。
再被覆部5は、扁平電線1の厚さ方向以外の少なくとも一方向への屈曲変形が可能である一方、再被覆部5以外の部分、すなわち、第1の絶縁樹脂被覆部3が被覆されている部分も、可撓性を有することが好ましい。このように、第1の絶縁樹脂被覆部3が被覆されている部分も、可撓性を有することにより、折り曲げることまでは必要でないとしても、多少の曲げや捻りなどによって、再被覆部5とともに所定の形状を容易に実現でき、ワイヤーハーネスとしての配策時の取扱い性を高めることができる。
第2の絶縁樹脂被覆部4は、導体束部分28の周囲を被覆するものである。本実施形態の扁平電線1において、第2の耐熱樹脂被覆部4は、1層で形成されても、複数の層で形成されてもよい。ただし、第2の耐熱樹脂被覆部4の形状は特に限定されない。第2の耐熱樹脂被覆部4を構成する第2の樹脂は、第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが高い樹脂であれば特に限定されるものではないが、架橋性難燃ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂系など、柔軟性を有する樹脂材料を例示することができる。本実施形態の扁平電線1では、絶縁性能および耐熱性などの観点から架橋性難燃ポリエチレン樹脂を用いている。
なお、上述したとおり、第1の絶縁樹脂被覆部3および第2の絶縁樹脂被覆部4は、それぞれ1層で形成されても、複数の層で形成されてもよいが、第1の絶縁樹脂被覆部3および第2の耐熱樹脂被覆部4の少なくともいずれかが複数の層で構成される場合、第2の樹脂被覆部4を構成する全ての樹脂のTemperature classが、絶縁樹脂被覆部3を構成するいずれかの樹脂のTemperature classよりも高いものとする。
次に、第2の実施形態の扁平電線について説明する。図5は、第2の実施形態の扁平電線の概略模式図である。また、図6は、第2の実施形態の扁平電線の再被覆部5AのA−A線上の概略断面図である。図6は、図5の紙面手前側を紙面上側に表した図である。
なお、第2の実施形態の扁平電線1Aと、第1の実施形態の扁平電線1とは、導体束部分を構成する複数の線状導体の配置のみが異なるものである。また、図5および図6に付した第2の実施形態の扁平電線における各部の符号は、図1および図2に付した第1の実施形態の扁平電線における各部の符号に「A」を加えたものであり、数字が同じものであれば、同じ部位を意味するものとする。
このような扁平電線1Aにおいて、導体束部分28Aを構成する複数の線状導体21A〜27Aは、略円形の横断面形状に積層配置されている。すなわち、再被覆部5Aの導体束部分28Aは、全ての曲げ方向に対して直交する方向に積層配置されている。具体的に、図5の紙面上から、第1の層として線状導体23A,25A、第2の層として線状導体21A,24A,27A、第3の層として線状導体22A,26Aがそれぞれ配置されている。
さらに、第3の実施形態の扁平電線について説明する。図7は、第2の実施形態の扁平電線の概略模式図である。図7に示される第3の実施形態の扁平電線は、再被覆部5において屈曲されている形状を示している。より具体的に、再被覆部5が、高耐熱樹脂被覆部4の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料6をさらに有するものである。
このように、第3の実施形態の扁平電線1Bにおいては、形状維持材料6を用いることにより、屈曲変形後の形状を維持され、形状が戻ることを防止して、安定的に車両用ワイヤーハーネスとして用いることができる。
なお、形状維持材料6としては、可撓性を有しない材料であればよく、例えば各種金属(アルミニウムなど)、合金、セラミックス、樹脂(ポリプロピレンなど)などを特に限定されず用いることができる。
なお、上述した各部の長さなどの寸法は、これを適用する用途などに応じて適宜設計することができる。
2.扁平電線の製造方法
以下、上述した第1の実施形態の扁平電線1と、第3の実施形態のこの扁平電線1Bの製造方法について説明する。図8(a)〜(e)は、本実施形態の扁平電線の製造方法を説明するための概略図である。具体的に、これらの扁平電線の製造方法は、複数の線状導体21〜27を並列配置した導体群2と、導体群2の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部3とを備える扁平電線を製造する工程(図8(a))と、扁平電線の長さ方向のいずれかの部分において、第1の絶縁樹脂被覆部3を皮剥ぎして導体束部分28を露出させる工程(図8(b))と、露出した導体束部分28を、並列配置とは異なる配置に形状変化させる工程(図8(c))と、形状変化させた導体束部分28の周囲に、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが第1の絶縁樹脂被覆部3を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆して、第2の絶縁樹脂被覆部4を形成する工程とを備える。
以上の工程により、第1の実施形態の扁平電線1が得られる。
本実施形態の扁平電線の製造方法は、次いで、第2の絶縁樹脂が被覆された導体側部分28(再被覆部5)を、扁平電線1の厚さ方向以外の方向に屈曲変形させる工程(図8(e))をさらに含んでもよい。
また、本実施形態の扁平電線の製造方法は、その屈曲変形させる工程の後に、第2の樹脂被覆部4の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料6を被覆する工程(図8(f))をさらに含んでもよい。
3.端子付き扁平電線およびワイヤーハーネス
図9は、本実施形態に係る扁平電線1の端部に端子を接続した車載用の端子付き扁平電線7を模式的に示す概略斜視図である。また、図8は、図7に示す端子付き扁平電線18をワイヤーハーネスとして車両24に用いた構成例を示す概略模式図である。
図7に示すように、端子付き電線7は、扁平電線1と、その扁平電線1の端部に端子部71を取り付けた端子部と、を備えるものである。端子部71は、扁平電線1の導体群2と電気的に接続された金属端子である。端子部71は、扁平電線1の導体群2に、溶接または圧縮により電気的に接続されていることが好ましい。より具体的に、端子部71と扁平電線1の導体群2との接続方法としては、例えば超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接技術、圧着等の圧縮技術などが挙げられる。また、端子部71と扁平電線1の集合導体2との接続部は、保護部材72(本実施形態では熱収縮チューブ)で覆われていてもよい。
図10に示すように、端子付き電線7は、ワイヤーハーネスとして、単独または他の電線等と組み合わされ、車両に組み付け可能に形成されている。図10では単独で車両に組付けられた例を示している。例えば自動車などの車両8の各所に用いられ、車両8の複雑な形状に応じて適宜曲げや捻り(繰り返しの曲げやねじりを含む)を形成した状態で配策され、それぞれの端子部71が所定の端子台やECU、バッテリ装置などに接続されている。特に、電線曲げ部分9には、扁平電線1の再被覆部5が配置されている。
このように、本実施形態に係る扁平電線10は、可撓性を有し、配策時の取扱い性や放熱性が高く、図10に示すように、端子付き扁平電線1を用いた車載用のワイヤーハーネスとして特に好適に利用することができる。本実施形態の扁平電線1は、導体群2が1層構造のため、導体群2の厚さを必要最低限にでき、車載用のワイヤーハーネスとして一層有用である。
なお、扁平電線1は、車載用のワイヤーハーネス以外の用途に利用してもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において自由に変更することができる。
1,1A,1B 扁平電線または扁平電線
2,2A 導体群
21,22,23,24,25,26,27,21A,22A,23A,24A,25A,26A,27A 線状導体
28,28A 導体束部分
3,3A 第1の絶縁樹脂被覆部
4,4A 第2の絶縁樹脂被覆部
5,5A 再被覆部
6 形状維持材料
7 端子付き扁平電線
71 端子部
72 保護部材
8 車両
9 電線曲げ部分

Claims (12)

  1. 複数の線状導体を並列配置した導体群と、前記導体群の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線であって、
    前記扁平電線は、前記複数の線状導体が前記並列配置とは異なる配置で構成される部分である導体束部分を有し、
    前記導体束部分における前記複数の線状導体は、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが前記第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆されて第2の絶縁樹脂被覆部をなす扁平電線。
  2. 前記導体束部分は、複数の方向への屈曲変形可能な横断面形状を有する、請求項1に記載の扁平電線。
  3. 前記導体束部分を構成する前記複数の線状導体は、屈曲変形する方向に対して直交する方向に積層配置したものである、請求項1または2に記載の扁平電線。
  4. 前記導体束部分を構成する前記複数の線状導体は、略円形の横断面形状に積層配置したものである、請求項1、2または3に記載の扁平電線。
  5. 前記導体束部分を構成する複数の線状導体の配置は、前記導体束部分の横断面で見て、前記導体群を構成する前記複数の線状導体を並列配置した方向に対して直交する方向に2層以上積み重なった積層配置である請求項1または2に記載の扁平電線。
  6. 前記第2の絶縁樹脂被覆部の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料をさらに有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の扁平電線。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の扁平電線と、前記扁平電線の端部に取り付けられた端子部と、を備える端子付き扁平電線。
  8. 前記端子部は、前記扁平電線の前記導体群に、溶接または圧縮により電気的に接続されている請求項7に記載の端子付き扁平電線。
  9. 請求項7または8に記載の端子付き扁平電線が、単独または他の電線などと組み合わされ車両に組付け可能に形成されているワイヤーハーネス。
  10. 複数の線状導体を並列配置した導体群と、前記導体群の周囲を被覆する第1の絶縁樹脂被覆部とを備える扁平電線を製造する工程と、
    前記扁平電線の長さ方向のいずれかの部分において、前記第1の絶縁樹脂被覆部を皮剥ぎして前記導体束部分を露出させる工程と、
    露出した前記導体束部分を、前記並列配置とは異なる配置に形状変化させる工程と、
    形状変化させた前記導体束部分の周囲に、ISO 19642−4:2019(E)に準拠して区分されるTemperature classが前記第1の絶縁樹脂被覆部を構成する第1の樹脂よりも高い第2の樹脂により被覆して、第2の絶縁樹脂被覆部を形成する工程と
    を備える扁平電線の製造方法。
  11. 前記第2の絶縁樹脂が被覆された導体側部分を、前記扁平電線の厚さ方向以外の方向に屈曲変形させる工程をさらに含む、請求項10に記載の扁平電線の製造方法。
  12. 屈曲変形させる工程の後に、前記第2の絶縁樹脂被覆部の周囲に、屈曲変形後の形状を維持する形状維持材料を被覆する工程をさらに含む、請求項11に記載の扁平電線の製造方法。
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