JP2021166488A - 可動式バランスウエイト装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前記作業車両においては、車体後部に連結される作業装置によって前後重量配分が後方側に偏ることから、所定枚数のバランスエイトからなる重量物を車体前部に予め配置しておくことにより、車両全体としての前後重量配分が所定の配分となるように重量バランスを調整し、作業車両の安定した走行を実現することとしている(例えば、「特許文献1」を参照)。
なお、作業車両における上記の前後重量配分の「所定の配分」としては、一般的に、車体前部:車体後部≒3:7程度に設定されることが望ましい。
例えば、圃場内において所定の作業を施す場合、作業装置は所定の下限位置まで揺動させた状態で保持され、また、農道等を走行する場合、作業装置は所定の上限位置まで揺動させた状態で保持され、さらに圃場内において作業場所を移動する際の旋回時等には、作業装置は上限位置と下限位置との間の任意の位置まで揺動させた状態で保持される。
そして、作業車両に対する作業装置の相対位置が変位すると、これに追従して車両全体としての前後重量配分も変化することから、例えば圃場内や農道を走行する際に路面の凹凸や傾斜等によって車体前部が浮き上がり易くなり、特に、圃場の出入場所等では坂道となっている場合が多いため、車体前部が浮き上がる可能性が高くなる。
このようなことから、作業車両の車体前部に配置されるバランスウエイトの枚数は、上述した作業車両の使用状況に応じて、その都度設定しなおす必要があった。
従って、作業車両における車両全体としての前後重量配分は、各機種の作業装置の重量や長さの違いに応じて異なることから、作業車両の車体前部に配置されるバランスウエイトの枚数は、作業装置の機種に応じて設定する必要があった。
しかしながら、バランスウエイトは重量が嵩むことから、枚数の変更作業はオペレータにとって重労働であり、作業負担を軽減するための改善策が望まれていた。
従って、作業装置の機種や作業車両の使用状況によっては、車両全体としての前後重量配分が略均等になるように重量バランスをとる際に、十分な枚数のバランスウエイトを配置できない虞もあった。
このような構成を有することにより、例えば、作業装置の機種や、作業車両に対する作業装置の相対位置が変更された場合には、従来のようなオペレータによるバランスウエイトの枚数の変更作業を行うことなく、車両全体としての前後重量配分が所定の配分になるように、直ちに重量バランスを調整することができる。
また、比較的少ない枚数のバランスウエイトによって、車両全体としての前後重量配分が所定の配分になるように、十分に重量バランスを調整することができる。
本発明に係る可動式バランスウエイト装置によれば、作業装置が上下方向に揺動することにより変化する、車両全体としての前後重量配分に対して、所定の配分になるように確実に重量バランスを調整することができる。
このような構成を有することにより、例えば、路面上の泥濘に前輪または後輪が嵌まり込んだ場合、或いは急傾斜の上り坂や下り坂を走行する場合などにおいては、手動操作によってウエイト部を変位させて、車両全体としての前後重量配分を、前方側または後方側に故意的に偏らせることで、より安定した状態で作業車両を走行させることができる。
即ち、本発明に係る可動式バランスウエイト装置によれば、作業装置の機種や、作業車両に対する作業装置の相対位置ごとに、バランスウエイトの枚数を調整する必要が無く、また少ない枚数のバランスウエイトによって、車両全体としての前後重量配分が所定の配分になるように十分に調整することができる。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1〜図3中に示した矢印の方向によって、可動式バランスウエイト装置100・200、及び当該可動式バランスウエイト装置100・200を備えた作業車両1の上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
先ず、本発明を具現化する可動式バランスウエイト装置100を備えた作業車両1の全体構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態における作業車両1は、例えばトラクタに代表されるような農作業用の車両であって、圃場に対して所定の作業を施す作業装置2(例えば、本実施形態においてはロータリ耕耘機)を備え、当該作業装置2を牽引することにより、所定の農作業を実施する。
また、走行基体3の前部にはエンジン6が搭載されており、エンジン6は、走行基体3の前部上方に配置されるボンネット7によって覆われている。
また、ミッションケース34の内部には、油圧式の無段変速装置(図示せず)が配置されており、当該無段変速装置の出力軸は、図示せぬ駆動伝達シャフト等を介して、前輪4及び後輪5と各々連結される。
このような構成において、エンジン6の回転駆動力がミッションケース34に入力され、その後、前輪4及び後輪5に各々伝達されることにより、作業車両1は、前進方向または後退方向に走行する。
一方、作業装置2は、左右一対のロワーリンク21・21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して、ミッションケース34の後部に連結されている。
このような構成において、作業機用昇降機構20のリフトアーム20Aが上下方向に回動することにより、上記3点リンク機構(ロワーリンク21・21及びトップリンク22)を介して、作業装置2は上下方向に揺動される。
つまり、作業装置2は、作業車両1の後部において、上記3点リンク機構を介して上下揺動可能に連結されている。
キャビン8の側方下部には、オペレータが乗降するためのステップ9が垂設されている。
また、キャビン8の下方、且つステップ9に対して車体内側には、エンジン6に燃料を供給するための燃料タンク10が配置されている。
ステアリング82は、運転座席81の前方に位置する前側コラム83上に配置されており、前側コラム83の右側部には、エンジン6の回転速度を調節するためのスロットルレバー(図示せず)、及び走行基体3を制動操作するための左右ブレーキペダル(図示せず)などが設けられている。
また、前側コラム83の左側部には、クラッチペダル84等が設けられている。
また、運転座席81の左側コラム上には、作業車両1の走行速度を変速させるための走行変速レバー85が設けられ、運転座席81の左側コラムの前方にはデフロックペダル86が設けられている。
なお、可動式バランスウエイト機構100の構成の詳細については、後述する。
例えば図1(a)に示すように、目的地である圃場に向かって農道を走行するような場合、作業装置2は、所定の上限位置P1まで上方に揺動させた状態で保持される。また、例えば図1(b)に示すように、圃場内において所定の作業を施すような場合、作業装置2は、所定の下限位置P2まで下方に揺動させた状態で保持される。さらに、例えば圃場内において、作業場所を移動する際の旋回時等においては、作業装置2は、これらの上限位置P1と下限位置P2との間の任意の位置に揺動させた状態で保持される。
次に、可動式バランスウエイト装置100の構成について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、可動式バランスウエイト装置100は、主に、ウエイト部110、ウエイト変位機構部120、及び可動式バランスウエイト装置100の動作を制御する制御装置130などを有する。
ウエイト部110は、前後方向に移動可能なウエイトハンガー111、及びウエイトハンガー111によって着脱可能に掛止される複数枚のバランスウエイトW・W・・・などにより構成される。
ここで、本実施形態においては、後方に開口する平面視「コ」字状に屈曲形成された帯板部材によって掛止部111bが構成されるが、これに限定されることはなく、例えば、左右方向に延びる丸棒部材などのように、複数枚のバランスウエイトW・W・・・を、厚み方向に重畳させた状態で掛止させることが可能な構造であれば、何れのような構成であってもよい。
一方、上述した走行基体3のエンジンフレーム32において、前端の左右両端部には、前方に延びる一対のガイドシャフト112・112が設けられている。
これにより、ウエイトハンガー111は、ガイドシャフト112を介して、エンジンフレーム32の前部に片持ち梁の状態で支持されるとともに、ガイドシャフト112によって移動方向を案内されつつ、前後方向に移動可能な構成となっている。
ウエイト変位機構部120は、駆動源である油圧式のアクチュエータ121、及びアクチュエータ121の動作を制御する油圧回路122などにより構成される。
また、ピストンロッド121aの先端部(即ち、前端部)には、ウエイトハンガー111の移動フレーム111aが連結されている。
また、ピストンロッド121aが後退することにより、ウエイトハンガー111は当該ピストンロッド121aによって引戻され、ウエイト部110が後方へと移動される。
また、進退制御電磁弁122eは、配管部材等を介して、アクチュエータ121の出限側ポート121b及び戻限側ポート121cと各々連通されている。
また、コントローラ131からの電気信号によって上記切替弁が切替わり、油圧ポンプ122cから吐出された作動油が、進退制御電磁弁122eを介して、アクチュエータ121の戻限側ポート121cに供給されることにより、当該アクチュエータ121のピストンロッド121aは後方に後退し、ウエイト部110が後方へと移動される。
ここで、マップ情報131a2は、作業装置2の機種、及び作業車両1に対する作業装置2の相対位置に応じて予め設定された、ウエイト部110の移動量に関する電子情報によって構成されている。
具体的には、マップ情報131a2は、作業装置2の機種毎に予め設定された電子情報であって、当該作業装置2の上下揺動動作における到達位置(揺動角度)に応じた、ウエイト部110の前後方向における移動量についての電子情報によって構成されている。
このようなフラッシュメモリを適用することにより、例えば、マップ情報131a2の内容を適宜書換え、可動式バランスウエイト装置100の動作を、より精度よく制御することができる。
作業機種選択スイッチ132aは、例えば、複数の接点部を有するカムスイッチ等により構成され、コントローラ131と電気的に接続されている。
運転モード切替スイッチ132bは、例えば、2ノッチ式のセレクトスイッチ等により構成され、コントローラ131と電気的に接続されている。
手動操作スイッチ132cは、例えば、前進、停止、後退の3つの指令を割当てることが可能な、3ノッチ式のセレクトスイッチや、或いは、前進用、及び後退用として各々設けられる2個の押圧スイッチなどにより構成され、コントローラ131と電気的に接続されている。
第一位置検出センサ133aは、例えば、リフトアーム20Aの揺動角度を検出するエンコーダ等により構成され、コントローラ131と電気的に接続されている。
第二位置検出センサ133bは、例えば、アクチュエータ121によるウエイトハンガー111の移動距離を検出するリニアセンサ等により構成され、コントローラ131と電気的に接続されている。
すると、コントローラ131は、作業機種選択スイッチ132a及び運転モード切替スイッチ132bから入力された電気信号に基づき、ROM131aに格納されているプログラム131a1の該当箇所、及びロータリ耕耘機に関するマップ情報131a2を一時的に読出し、CPU131cにおいて演算処理を開始する。
また、第二位置検出センサ133bは、直ちに作業車両1に対するウエイト部110の相対位置を検出し、電気信号としてコントローラ131に送信する。
また、ウエイト部110の目標位置情報L1と実測位置情報L2との減算処理の結果が0未満となる場合(L1−L2<0)、CPU131cは、ウエイト部110が予め設定された所定の位置を超えていると判断し、進退制御電磁弁122eに電気信号を送信して切替弁を他方側に切替え、ウエイト部110を後方に向かって所定の移動距離、即ち目標位置情報L1と実測位置情報L2との差分(L1−L2)だけ移動させる。
さらに、ウエイト部110の目標位置情報L1と実測位置情報L2との減算処理の結果が0となる場合(L1−L2=0)、CPU131cは、ウエイト部110が予め設定された所定の位置に到達していると判断し、進退制御電磁弁122eに電気信号を送信することなく切替弁を中立位置に復帰させることとなり、ウエイト部110の移動は行わない。
その結果、作業車両1の重心Gから作業装置2の重心g1までの前後方向における離間距離X1と、ウエイト部110の重量M2との積(X1×M2)は、当該重心Gからウエイト部110の重心g2までの前後方向における離間距離Y1と、作業装置2の重量M1との積(Y1×M1)と略釣り合う状態となり、作業車両1の前後重量配分が所定の配分(例えば、本実施形態においては、車体前部:車体後部≒3:7)となるように、当該作業車両1の重量バランスが調整される。
次に、別実施形態における可動式バランスウエイト装置200の構成について、図3を用いて詳細に説明する。
別実施形態における可動式バランスウエイト装置200は、前述した可動式バランスウエイト装置100と略同等な構成を有する一方、ウエイト変位機構部220の構成について、可動式バランスウエイト装置100と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した可動式バランスウエイト装置100との相違点について記載し、当該可動式バランスウエイト装置100と同等な構成についての記載は省略する。
なお、ウエイト部210は、前述した可動式バランスウエイト装置100におけるウエイト部110と同等の構成からなるため、説明は省略する。
ウエイト変位機構部220は、駆動源である駆動モータ221、及びカップリング等を介して駆動モータ221の出力軸(図示せず)と連結するボールねじ222などにより構成される。
また、ボールねじ222は、ウエイト部210の移動方向(本実施形態においては前後方向)に沿って延びるねじ軸222a、及びねじ軸222aと同軸上に配置されるナット(図示せず)などにより構成される。
また、ボールねじ222において、ねじ軸222aは、ウエイト部210のウエイトハンガー211に貫通し、上記ナットを介して当該ウエイトハンガー211と連結されている。
また、コントローラ231からの電気信号に基づき、駆動モータ221の出力軸が逆転方向に向かって回転駆動されることにより、ねじ軸222aが軸回り方向に逆転し、ウエイト部210は、上記ナットを介して後方に向かって移動される。
なお、コントローラ231及び操作スイッチ群232は、前述した可動式バランスウエイト装置100におけるコントローラ131及び操作スイッチ群132と同等の構成からなるため、説明は省略する。
なお、第三位置検出センサ233aは、前述した可動式バランスウエイト装置100における第一位置検出センサ133aと同等の構成からなるため、説明は省略する。
第四位置検出センサ233bは、例えば、駆動モータ221によるウエイトハンガー211の移動距離を検出するリニアセンサ等により構成され、コントローラ231と電気的に接続されている。
なお、第四位置検出センサ233bの構成については、リニアセンサに限定されることはなく、例えば、駆動モータ221の出力軸の回転回数を検出するエンコーダ等であってもよい。
よって、以下の説明においては、主に前述した可動式バランスウエイト装置100における、制御装置130によるウエイト変位機構部120の動作の制御手順との相違点について記載し、当該可動式バランスウエイト装置100の場合の制御手順と同等な手順についての記載は省略する。
また、ウエイト部210の目標位置情報L1と実測位置情報L2との減算処理の結果が0未満となる場合(L1−L2<0)、CPU231cは、ウエイト部210が予め設定された所定の位置を超えていると判断し、駆動モータ221に電気信号を送信してねじ軸222aを軸回り方向に逆転させ、ウエイト部210を後方に向かって所定の移動距離、即ち目標位置情報L1と実測位置情報L2との差分(L1−L2)だけ移動させる。
さらに、ウエイト部210の目標位置情報L1と実測位置情報L2との減算処理の結果が0となる場合(L1−L2=0)、CPU231cは、ウエイト部210が予め設定された所定の位置に到達していると判断し、駆動モータ221への電気信号の送信を行わず、ウエイト部210の移動は行わない。
以上のように、本実施形態における可動式バランスウエイト装置100(200)は、圃場に対して所定の作業を施す作業装置2が上下揺動可能に連結される作業車両1の、作業装置1側(本実施形態においては、後側)とは反対側(本実施形態においては、前側)に備えられる可動式バランスウエイト装置100(200)であって、作業装置2との重量バランスをとるためのウエイト部110(210)と、作業装置2に対する近接方向(本実施形態においては、後方向)、及び離間方向(本実施形態においては、前方向)にウエイト部110(210)を変位させるウエイト変位機構部120(220)とを有することを特徴とする。
また、例えば複数枚のバランスウエイトW・W・・・によってウエイト部110(210)が構成されており、作業車両1に配置可能な最大枚数のバランスウエイトW・W・・・を配置しても、車両全体としての前後重量配分が所定の配分となるように重量バランスを調整することが困難な場合には、ウエイト変位機構部120(120)によって、作業装置2との離間方向(前方向)に向かってウエイト部110(210)を移動させることで、容易に重量バランスを調整することができる。つまり、本実施形態における可動式バランスウエイト装置100(200)によれば、比較的少ない枚数のバランスウエイトW・W・・・によって、車両全体としての前後重量配分が所定の配分となるように、十分に重量バランスを調整することができる。
本実施形態における可動式バランスウエイト装置100(200)によれば、このような作業車両1に対する作業装置2の相対位置の変位に追従して、作業装置2との近接方向(後方向)、または離間方向(前方向)に向かってウエイト部110(210)を移動させることにより、車両全体としての前後重量配分が所定の配分となるように、確実に重量バランスを調整することができる。
2 作業装置
100、200 可動式バランスウエイト装置
110、210 ウエイト部
120、220 ウエイト変位機構部
132c、232c 手動操作スイッチ(操作スイッチ)
133a 第一位置検出センサ(角度センサ)
233a 第三位置検出センサ(角度センサ)
Claims (3)
- 圃場に対して所定の作業を施す作業装置が上下揺動可能に連結される作業車両の、前記作業装置側とは反対側に備えられる可動式バランスウエイト装置であって、
前記作業装置との重量バランスをとるためのウエイト部と、
前記作業装置に対する近接方向及び離間方向に前記ウエイト部を変位させるウエイト変位機構部とを有する、
ことを特徴とする可動式バランスウエイト装置。 - 前記作業装置の揺動角度を検出する角度センサをさらに有し、
前記角度センサの検出結果に応じて、
前記ウエイト変位機構部は、前記ウエイト部を変位させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の可動式バランスウエイト装置。 - 手動操作によって、前記ウエイト変位機構部の動作を制御する操作スイッチをさらに有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の可動式バランスウエイト装置。
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