JP2021162210A - 微生物を制御する室の空調システム - Google Patents
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Abstract
Description
HEPAフィルタは、固形物である微生物以外の塵埃も除去することからHEPAフィルタ吹出し直後の空気の清浄度で管理すると、微生物のろ過が可能となる。
図5では、室1aは内部への微生物持ち込みも、室内から室外への微生物漏出もできない室なので、給気側にも排気側にもHEPAフィルタが設置される。
室1bは室1cへの微生物の移動は許される仕様であり、室1bから室1cへの空気の流れは、例えばドアガラリなどから可能となっている。
しかし、室1cからの排気はHEPAフィルタにて微生物漏洩が防止されるのである。
これらの微生物を制御する室では全外気空調を必要とする場合が多い。図5でも、空調機12は外気を取り込んで空調空気に温調し、主給気ダクト4から分岐ダクト7を介して給気ユニット3へ給気し、室の排気はHEPAフィルタを介して排気ファンにより排気ガラリから屋外へ排気している。
前記ガイドラインに適合させるため、例えば、フィルタでろ過した空気を天井に設けられた給気口から室内に大量に供給し、微生物を同伴した塵埃を該クリーンルームの壁面下部に設けられた吸込口からHEPAフィルタを介して排気することにより、室内への微生物の空気同伴による他室への持ち込みを防止している。
そして、前記微生物を制御する室1には、室内に供給された空調空気を室外に排気するための排気口Hが側壁や天井に設けられている。前記バイオセーフティ施設などにおいては必要に応じて排気口にもHEPAフィルタ5を備える。
前記構成の微生物を制御する室1では、その給気の中に、単独あるいは埃に付着して同伴される微生物の持ち込み防止を維持するため、微生物の外形寸法の固体にも完全に近い捕捉能力を備えたHEPAフィルタを用いて濾過した空調空気を大風量供給して、室内で発生する可能性のある微生物も含む空気をいち早く排気することで微生物の室の目的である各操作への悪影響を除去する。
特に、医薬品工場、再生医療等製品工場、遣伝子組み換えや感染牲病原体を扱うバイオセーフティ施設、動物飼育施設等に使用する微生物を制御する室1は、前記施設の特性上、全外気空調を必要とするものが多いため、末端HEPAフィルタの目詰まりが早くなり、末端HEPAフィルタ5の交換換までの寿命が短くなっている。
そのため、末端HEPAフィルタを交換する場合は、微生物を制御する室1をクリーンルームとして微生物学的にも一旦ブレーク(無菌状態にされた室内装や什器に対し、必ず無菌状態にされた空気や無菌状態にした操作器具などの持ち込みしか許していない状態を中断すること)し、手動で給気口3のフェースを外し室内側から末端HEPAを下へずらし外すことでHEPA上流側を暴露したのち、末端HEPAフィルタ5を交換した後に復旧はできるものの、HEPA上流側が暴露されて微生物がばらまかれた可能性があるので、微生物を制御する室1内の除染や滅菌を行い、バリデーションで決められた確認手順後に微生物を制御する室1を再稼働させるという大掛かりな工程が必要となる。
そのため、年1回の定期修繕の停止時期にバリデーションとあわせての末端HEPAフィルタ5の検査及び交換を行うことが一般的に行われている。
このように、末端HEPAフィルタ5の交換には、多大な工程を消費するばかりか微生物を制御する室1の稼働率を低下させることになる。
このため、従来のバイオクリーンルームにおいては、図7に示すように、1次HEPAフィルタ13でろ過された空調空気を末端HEPAフィルタ5に通すように1次HEPAフィルタ13とHEPAフィルタ5を配置するHEPAフィルタ直列配置方式で構成し、機械室等に設置する空調機(全外気空調の場合は外調機)内もしくは空調機に接続された出ロダクト系に1次HEPAフィルタ13を設け、その交換により末端HEPAフィルタ5の目詰まりを抑制し、年1回の定期修繕の停止時期までの末端HEPAフィルタ5の交換期間の延長を図っている。
また、空調機内に1次HEPAフィルタ給気セクションを設けることから、当該空調機が前記1次HEPAフィルタの定格面速からの断面拡大と点検スペースの奥行を持つセクションの分大きくなるため機械室の納まりにも影響する。
さらに、1次HEPAフィルタを直列にして末端HEPAフィルタの延命を行ったとしても、近年のGMP(医薬品製造/品質管理規範)ではフィルタ構成材料の劣化しない期間での末端HEPAフィルタの交換が望ましいとされてきて、空調機ファンが搬送する空気の送風抵抗が上がってランニングコストを上げても、さらに末端HEPAフィルタも塵埃の目詰まり以外の交換理由による交換が発生しコストがさらに上がってしまうという問題もある。
本発明は、末端HEPAフィルタの交換期間を1段にもかかわらず延ばすことで上記従来技術の問題点を解決し、バイオクリーンルームの稼働率向上を図ることを目的とする。
〈1〉天井より下の室内が密閉された複数の室に対し、前記天井には空調機(12)から送られる空調空気を各室内に供給する給気口(3)が設けられ、前記給気口(3)が位置する天井裏に設けられた給気ユニット(6)へ前記空調機(12)から主給気ダクト(4)及び主給気ダクト(4)から分岐する分岐ダクト(7)を介して空調空気が送られ、前記給気ユニット(6)を経て前記給気口(3)から室内に前記空調空気を供給する微生物を制御する室の空調システムにおいて、 前記給気ユニット(6)は、下面が解放された直方体の筐体から構成され、前記給気ユニット(6)の筐体内には、上流側を仕切る仕切りと、該仕切りごとに並列配置された複数の末端HEPAフィルタ(5a、5b・・)とが設けられ、 前記分岐ダクト(7)から給気される空調空気を前記末端HEPAフィルタごとに分けて末端ダクト(11)を介して給気するにあたり、複数の前記末端HEPAフィルタのうちの一つに切り替える前記末端ダクト(11)に設けられた切替手段(9a、9b・・)が備わることを特徴とする微生物を制御する室の空調システム。
前記給気ユニット(6)は、前記筐体の下面には、天井下から取り付けられる全面にわたり多数の小孔が設けられた吹出フェイス(8)が設けられることを特徴とする〈1〉に記載の微生物を制御する室の空調システム。
(1)空調機から送られる空調空気をクリーンルーム内に供給する給気ユニット(6)に複数の末端HEPAフィルタが並列配置され、クリーンルームに空調空気を供給する末端HEPAフィルタを切り替えて使うことができるので、末端HEPAフィルタの交換時期を延ばすことができバイオクリーンルーム施設の長時間稼働が可能となる。
また、空調機内もしくは前記空調機に接続されたダクトに1次HEPAフィルタ設ける必要がないので、HEPAフィルタ直列方式のように空調機を大きくしたり、送風抵抗が大きくならず、省エネ化が可能となると共に空調機を小さくしたりできるので機械室内の設置納まりが改善される。
(2)定風量装置が各給気ユニット(6)の給気を送る分岐ダクトごとに設けられているので、並列配置されているが、目詰まり状況が違う複数の末端HEPAフィルタ間では通風抵抗が違うところ、これらを切り替えても定風量装置により所定風量に自動的に調整されるので微生物を制御する室の清浄度などが不変である。
(3)前記吹き出しフェイスの上面に多数の小孔が設けられたパンチング板を配設し、さらにその上方にシルクスクリーン等の均圧化部材を載置することができるので、切り替え運転され、給気ユニット6内の端末HEPAフィルタのいずれか一方から吹き出される空調空気は、前記シルクスクリーンにより均圧化することにより吹き出しフェイスから均等にバイオクリーンルーム内に吹き出されることから、空調空気を供給する端末HEPAフィルタの切り替え時において、バイオクリーンルーム内の環境変化は生じず、作業を継続実施することできる。
図1は本発明の微生物を制御する室の空調システムの構成系統図、図2は本発明の給気ユニットの概念図、図3は本発明の給気ユニットの下部から見た斜視図、図4は本発明の給気ユニット廻りのダクト構成を示す斜視図である。
そして、図5は従来のバイオセーフティ施設の横断面図、図6は従来のバイオクリーンルームの横断面図、図7は従来のバイオクリーンルームの空調システムの構成系統図、図8は従来の給気ユニットの概念図、図9は従来の給気ユニット廻りのダクト構成を示す斜視図である。
なお、図1〜図4に表示された部材が、図5〜図9に示された部材と名称、機能が同じものについては図5〜図9に付された符号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。
このように本発明にかかる微生物を制御する室の空調システムでは、複数のHEPAフィルタ(5a、5b)を並列配置するため、図2、図3の給気ユニット6のように、筐体60を2分割して、それぞれにHEPAフィルタ(5a、5b)を配置したり、複数の給気HEPAユニット(6a、6b)を並列に配置したりして構成される。
なお、図4においては2基の給気HEPAユニット(6a、6b)が、僅かな間隔を設けて並列設置されて給気ユニット6を構成している。
そして前記吹き出しフェイス8の上面には、パンチングプレスにより形成された多数の小孔が設けられたパンチング板14とその上にシルクスクリーン15を重ねて筐体内に並列に配置された2基の端末HEPAフィルタ5a、5bの相対位置によって室内に供給される空気の偏り流れへの影響を防ぎ、濾過された清浄空気がバイオクリーンルーム1内に均一に供給されるよう考慮されている。
前記定風量装置10は、内部に風量を可変にするダンパ機構と、通過風速を計測したり、通過風の抵抗を検知したりする風量検知機構と、風量検知機構による電気的あるいはリンク動作によりダンパ機構を稼働させる稼働機構とを有している。前記定風量装置10により、主給気ダクト4から分岐ダクト7と、該分岐ダクト7から対象クリーンルームに設置された給気ユニット6より下流側に流れる空調空気の量を、所定の風量に自動で調整できるようになっている。
このように、主給気ダクト4を流通する空調空気は、分岐ダクト7の定風量装置10にて風量を調整されたうえで、端末ダクト11の終端にある給気ユニット6からクリーンルーム内に供給される。
また、端末ダクト11には、端末ダクト11から下流にある給気ユニット6に流れる空調空気を切り替えるための切替手段として、切替モータダンパ9a、9bが設けられているが、それ以外の同様の機能を備えた切替手段を採用することもできる。
一方、本発明にかかるバイオを微生物を制御する室の空調システムでは、微生物を制御する室1への空調空気の給気における末端HEPAフィルタへの捕捉塵埃量が、並列される複数の末端HEPAフィルタを切り替えることにより、時間差で2つ以上のろ過面積に割り振られることとなる。これにより、微生物を制御する室1を微生物学的に一旦ブレークし、手動で給気口3のフェースを外し室内側から末端HEPAを下へ外すことでHEPA上流側を暴露したのち、末端HEPAフィルタ5を交換した後に復旧するのに、微生物を制御する室1内の除染や滅菌を行い、バリデーションで決められた確認手順後に微生物を制御する室1を再稼働させるという大掛かりな工程について、一次HEPAフィルタがなくても、1年の周期で行えるのである。またHEPAフィルタを2段で設置する必要はなく、その分ファンの出力を低下でき省エネも図れるものとなっている。
端末HEPAフィルタの交換時期については、幾つか考えられる。
例えば、年1回の定期修繕の停止時期にバリデーションとあわせて端末HEPAフィルタの検査及び端末HEPAフィルタの交換を行う場合や、端末ダクトに圧力計を設け、前記圧力計により端末HEPAフィルタの圧力損失を監視し、前記圧力損失が所定の値となったことをもって、端末HEPAフィルタの交換をする場合等が考えられる。
前記切替モータダンパ9aを選択したときは、前記切替モータダンパ9bは閉じられている。
そして、半年経過した時に、手動又は制御装置により切替手段の前記切替モータダンパ9bを選択しダンパを開き、空調機12から主給気ダクト4に送られる給気を給気ユニット6bから末端HEPAフィルタ5bを通して微生物を制御する室1内に供給し、前記切替モータダンパ9aを閉じる。
そして、さらに半年経過すると定期修繕の停止時期となるので、そのタイミングですべての端末HEPAフィルタの検査及びすべての端末HEPAフィルタの交換を行う。
したがって、端末HEPAフィルタの交換のためだけに、微生物を制御する室の稼働を停止する必要がなくなり、微生物を制御する室の稼働率を低下させることなく、空調設備を維持することができる。
なお、本実施の形態においては、バックアップ用を含め2基の給気HEPAユニットを並列配置しているが、保塵量と大気塵量によっては、並列配置する給気HEPAユニットの数を増やすことで、端末HEPAフィルタの交換時期を延ばすことができる。
例えば、端末HEPAフィルタのフィルタ最終圧までの期間が4ヶ月の場合、バックアップ用2基を含む3基の給気HAPAユニットを並列配置することでそれぞれを切替手段により切替えながら、年1回の定期修繕の停止時期まで施設の連続稼働を可能とすることができる。
しかし、本発明にかかる微生物を制御する室の空調システムによれば、図1に示すように、空調機12から微生物を制御する室1a、1b、1cに空調空気を送る場合は、空調機12を止める必要が無く、1つのバイオクリーンルーム、例えば1bだけの端末HEPAフィルタ5a、5bの交換にも対応することができる。
1a、1b、1c:微生物を制御する室
2:微生物を制御する室の天井
3:給気口
4:主給気ダクト
5:末端HEPAフィルタ
5a、5b:末端HEPAフィルタ
6:給気ユニット
6a、6b:給気HEPAユニット
60:筐体
60a:仕切り
7:分岐ダクト
8:吹出フェイス
9a、9b:切替モータダンパ
10:定風量装置
11:端末ダクト
12:空調機
13:1次HEPAフィルタ
14:パンチング板
15:シルクスクリーン
H:排気口
Claims (3)
- 天井より下の室内が密閉された複数の室に対し、前記天井には空調機(12)から送られる空調空気を各室内に供給する給気口(3)が設けられ、前記給気口(3)が位置する天井裏に設けられた給気ユニット(6)へ前記空調機(12)から主給気ダクト(4)及び主給気ダクト(4)から分岐する分岐ダクト(7)を介して空調空気が送られ、前記給気ユニット(6)を経て前記給気口(3)から室内に前記空調空気を供給するバイオロジカルクリーン施設やバイオセーフティ施設といった微生物を制御する室の空調システムにおいて、
前記給気ユニット(6)は、下面が解放された直方体の筐体から構成され、
前記給気ユニット(6)の筐体内には、上流側を仕切る仕切りと、該仕切りごとに並列配置された複数の末端HEPAフィルタ(5a、5b・・)とが設けられ、
前記分岐ダクト(7)から給気される空調空気を前記末端HEPAフィルタごとに分けて末端ダクト(11)を介して給気するにあたり、複数の前記末端HEPAフィルタのうちの一つに切り替える前記末端ダクト(11)に設けられた切替手段(9a、9b・・)が備わることを特徴とする微生物を制御する室の空調システム。 - 前記分岐ダクト(7)には定風量装置(10)が設けられ、
前記給気ユニット(6)は、前記筐体の下面には、天井下から取り付けられる全面にわたり多数の小孔が設けられた吹出フェイス(8)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の微生物を制御する室の空調システム。 - 前記給気ユニット(6)に設けられた吹出フェイス(8)としてのパンチングプレスにより形成された多数の円形形状の小孔が設けられたパンチング部材や、同パンチング部材に掛かる静圧を均等化するためのシルクスクリーン等の部材を載置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物を制御する室の空調システム。
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