一般に、業務や商業を用途とするオフィスビル等の建物では、保健空調として対象の空間の温度(室温)や湿度を快適に保つための空調システムが設置されるが、こうした空調システムの方式として、変風量単一ダクト方式が採用されることが多い。
変風量単一ダクト方式は、空調機から供給される空調空気の給気温度を一定に設定し(尚、後述するロードリセットが働く場合は除く)、室内側の熱負荷変動には給気風量を可変にして対応する方式である。室内における設定温度や熱負荷に応じ、給気風量をゾーン別に制御することで、ゾーン毎の熱負荷変動に対応するようにしている。基本的には風量のみを変化させることで比例的に熱量処理を制御できるので、ゾーン毎に異なる熱処理が必要であっても、簡単な装置構成で緻密に対応できるという点で優れている。このような変風量単一ダクト方式の空調システムは、定風量単一ダクト方式と比較して室温追従性能が高く、また、対象ゾーンの熱負荷に応じて送風量が絞られるため、空調空気の搬送に係るエネルギーの面でも有利である。また、この変風量単一ダクト方式では中央空調機の給気温度を一定に設定できるので、中央空調機が外気も処理したり、還気に大きな室内潜熱負荷が乗ってきたりしても、中央空調機の冷却コイル列数が予め対応していれば除湿してほぼ露点温度である給気温度にすることが可能となり、湿度も制御が比較的易しい。
図8、図9は従来における一般的な変風量単一ダクト方式の空調システムの一例を示しており、オフィスビルの部屋等である対象区域Aへ、対象区域A外の空調機1から給気ダクト2を通して空調空気3が導かれるようになっている。空調機1は、還気を吸い込んで空調空気3として送り出す空調機内蔵ファン1bと、インバータなど空調機内蔵ファン1bの回転数を変えて送風量を変化させる空調機ファン風量可変機構1cと、空調機1に内蔵され、熱媒である水と間接的に還気と熱交換し空調空気3として温調する冷水コイルまたは温水コイルまたは冷温水コイルであるコイル1dと、空調機1の還気吸込口直後にあるフィルタ1eとを備えている。給気ダクト2は、空調機1から延びるメインダクト4と、該メインダクト4から対象区域Aに向かって分岐する分岐ダクト5と、該分岐ダクト5から対象区域Aに面して設置された吹出口6へ分岐する末端ダクト7とを備えて構成されている。
分岐ダクト5における末端ダクト7への分岐点より上流側の位置には変風量装置8が設置されている。変風量装置8は、VAV(Variable Air Volume)等と称され、内部を通過する空気の風量を調節するダンパと、風量を計測する風速センサを備えたダンパユニット(変風量ユニット)である。この変風量ユニット8により、メインダクト4から分岐ダクト5より下流側へ流れる空調空気3の量を調整できるようになっている。こうして、メインダクト4を流通する空調空気3は、分岐ダクト5の変風量ユニット8にて風量を調整されたうえで、末端ダクト7の終端にあたる吹出口6に供給される。
風量制御の観点からは、対象区域Aに設置された吹出口6を、分岐ダクト5ないし変風量ユニット8毎に区分することができる。図8、図9に示す例では、空調機1の受け持つ対象区域A全体に計18の吹出口6を設置しており、これらの吹出口6のうち、図中左側の6個における空調空気3の風量を分岐ダクト5aに設置された変風量ユニット8aが、中央の6個における風量を分岐ダクト5bに設置された変風量ユニット8bが、右側の6個における風量を分岐ダクト5cに設置された変風量ユニット8cが、それぞれ制御するようになっている。
すなわち、対象区域Aのうち、左側の6個の吹出口6が設置された領域を制御領域A1、中央の6個の設置された領域を制御領域A2、右側の6個の設置された領域を制御領域A3と称するとすれば、制御領域A1が分岐ダクト5aの受け持ちゾーン、制御領域A2が分岐ダクト5bの受け持ちゾーン、制御領域A3が分岐ダクト5cの受け持ちゾーンである。そして、変風量ユニット8aが制御領域A1の風量制御を、変風量ユニット8bが制御領域A2の風量制御を、変風量ユニット8cが制御領域A3の風量制御を、それぞれ担当している。
図9に示す如く、対象区域Aに隣接する空間(ここでは天井裏)は還気チャンバCとして設定されている。還気チャンバCの所定の箇所には還気口9が設けられており、天井10に設置された吹出口6から供給された空調空気3は、天井10における吹出口6とは別の位置に開口した吸込口11を通って還気チャンバCに抜ける。そして空調機1の空調機内蔵ファン1bの吸込力により還気チャンバC内が陰圧になっていることから、還気チャンバC内の対象区域Aから吸った空気は還気口9に集められ、還気口9から還気ダクト12を通って還気13として空調機1へ戻されるようになっている。
制御領域A1〜A3に対応する適宜位置(ここでは、平面視で各制御領域A1,A2,A3の中央部に位置する吸込口11)にはそれぞれ域内温度センサ14,15,16が備えられており、各々の位置で制御領域A1,A2,A3それぞれの熱負荷を処理した後の空気温度(還気13の温度)を計測するようになっている。各域内温度センサ14,15,16の計測値は、温度信号14a,15a,16aとして制御装置17に入力される。
制御装置17は、計測した温度信号14a,15a,16aと、各制御領域で設定されているA1、A2、A3領域の設定温度値との偏差に基づいて設定風量比率を演算し、該設定風量比率を各変風量ユニット8a,8b,8cに対し制御信号8dとして入力することで、各変風量ユニット8a,8b,8cの受け持ちゾーン(制御領域A1〜A3)の温度を調整する(尚、ここでは図示の都合上、各変風量ユニット8a,8b,8cへの制御信号8dをまとめて表示しているが、実際には各変風量ユニット8a,8b,8cへは互いに異なる信号レベルにてそれぞれ別々に制御信号8dが出力される)。風量の調整にあたっては、各受け持ちゾーンにおける設定温度と計測温度との偏差に基づいて制御装置17にて各変風量ユニット8a,8b,8cにおける設定風量比率が算出され、該設定風量比率が各変風量ユニット8a,8b,8cに対し入力される。
各変風量ユニット8a,8b,8cへ制御信号8dを出力する回路(温度調整回路)は、制御装置17に各変風量ユニット8a,8b,8c毎に設けられており、それぞれが各変風量ユニット8a,8b,8cを個別に制御する。こうして、各変風量ユニット8a,8b,8cは、各分岐ダクト5a,5b,5cの受け持ちゾーンに一対一で対応し、各分岐ダクト5の受け持ちゾーン(制御領域A1,A2,A3のそれぞれ)毎に、変動する熱負荷が処理される。具体的には、制御領域A1〜A3のいずれも熱負荷が小さくなった場合、各変風量ユニット8a,8b,8cの設定風量比率が小さくなることとなり、またメインダクト4を流れる空調機内蔵ファン1bが搬送する空調空気3自体が少なくて済むこととなり、その制御信号に基づいて空調機内蔵ファン1bの送風量を絞るように空調機ファン風量可変機構1cを制御するようになる。
制御装置17は、このように各変風量ユニット8の風量を制御して温度の調整を行うほか、ロードリセットと呼ばれる制御を行う。
ロードリセット制御について、冷房を行う場合を例に説明する。冷房の場合、通常の場合と同じく、変風量ユニット8は、制御領域A1〜A3のいずれかの室内温度である当該制御領域の還気13の温度が低いほど変風量ユニット8のダンパ開度を小さくして供給風量を少なくし、制御領域A1〜A3のいずれかの室内温度である当該制御領域の還気13の温度が高いほど変風量ユニット8のダンパ開度を大きくして供給風量を大きくする、といった形で実行される。
しかしながら、対象区域A内における制御領域A1〜A3の間に熱負荷の偏り等がある場合には、熱負荷のない制御領域では、前記温度調整回路において変風量ユニット8のダンパ開度を最小に絞るような制御を行っているにもかかわらず、当該制御領域の還気13の温度が過剰に冷える、つまり同じ制御領域の室内も過剰に冷える場合がある。一方、変風量ユニット8を作動させるにあたっては、当該制御領域の必要最低還気回数など換気やその他の目的のため、常時必要最小限の風量は必要である。つまり、仮にある一部の制御領域の還気13の温度が設定温度に対して過剰に冷たくなっていても、変風量ユニット8のダンパ開度をある程度以上に保っておかなくてはならない。
そこで、制御装置17では、一部の制御領域の還気13の温度が設定温度に対して過剰に冷却されつづけている場合(その状態では当該制御領域の変風量装置8は絞られて風量も絞られている。)に、空調機1における給気の設定温度を変更(リセット)する制御を行う。つまり、冷房時において一部の制御領域の還気13が冷え過ぎている場合、空調機1における給気の設定温度を上げる。空調空気3の給気温度が上がれば当該制御領域の還気13の温度も上昇し冷えすぎが解消され、他の制御領域も前記温度調整回路の働きにより他の制御領域の変風量ユニット8のダンパ開度が開き勝手になり風量が増加され熱付加の処理に影響はない。こうした制御を行う回路(ロードリセット制御回路)を、前記温度調整回路による制御とは別に備え、制御領域A1,A2,A3毎の風量調整とは別に必要に応じて給気の設定温度をリセットすることにより、変風量ユニット8において常に運転に必要な最小限の供給風量を確保することができる。
このように、空調機1の熱負荷処理能力(冷却冷媒の流量制御)や空調機内蔵ファン1bの処理風量、変風量ユニット8を通過する空調空気3の風量は、制御装置17から入力される制御信号1a,8dにより制御されるようになっている。
尚、この種の変風量単一ダクト方式の空調システムに関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明の実施による空調システムの形態の一例を示しており、図中、図8、図9と同一の符号を付した部分は同一物を表している。尚、図1、図2は本実施例の空調システムの構成をあくまで模式的に表した図であって、各機器等の実際の配置や寸法を正確に反映してはおらず、また、図1と図2が必ずしも互いに正確に対応してはいない。
本実施例の基本的な構成は図8、図9に示す従来例と共通しており、図1、図2に示す如く、空調機1から送り出される空調空気3が給気ダクト2を通して対象区域Aへ送り込まれた後、天井10に備えた吸込口11から還気13として隣接する天井裏の空間(還気チャンバC)へ導かれ、還気ダクト12から再度空調機1へ戻されるようになっている。ただし、本実施例の場合、給気ダクト2における変風量装置(変風量ユニット)8よりも下流側の位置にそれぞれファン19を備えると共に、該ファン19の上流側且つ変風量ユニット8の下流側の位置に、周囲の空気(ここでは、還気13)を吸い込む取込口20を備えた点が従来例とは異なっている。
ここに示した例では、給気ダクト2のうち、末端部(末端ダクト7の出口)にファン19を備えた吹出口ユニット21が配置され、さらに、吹出口ユニット21を取り囲むように混気ボックス22が配置され、該混気ボックス22に取込口20が設けられている。混気ボックス22には末端ダクト7の下流側端部が接続され、末端ダクト7から供給される空調空気3は、混気ボックス22の内部を通過して吹出口ユニット21のファン19から対象区域Aに送り出される。このように、本実施例では、上流側から順に、給気ダクト2(メインダクト4、分岐ダクト5、末端ダクト7)および混気ボックス22、吹出口ユニット21が空調空気3の流路を構成しており、該流路のうち、下流側にあたる一部(分岐ダクト5の変風量ユニット8より下流側の部分および末端ダクト7、混気ボックス22、吹出口ユニット21)が、還気チャンバC内に位置している(尚、ここでは空調空気3の流路のうち一部が還気チャンバC内にある場合を例示したが、各機器の配置によっては、空調空気の流通する流路の全部が還気チャンバC内に位置する場合や、空調機1が天吊空調機で還気チャンバCの天井内にある場合もあり得る)。そして、この流路を空調空気3が流通する途中、混気ボックス22にて取込口20を通じて周囲の空気(空調機1の空調機内蔵ファン1bの吸込力により陰圧になっている還気チャンバC内にあって、対象区域Aのうち当該制御領域の吸込口11から吸った還気13からなる空気)が取り込まれ、後述するように空調空気3と還気13とが混合されて対象区域Aに供給されるようになっている。
吹出口ユニット21、混気ボックス22、およびこれらを備えた天井10の構成について説明する。
天井10は、例えば図3に示す如く、グリッド式のシステム天井として構成することができる。天井10には、野縁である天井構造材10aを縦横に組んでグリッド10bが形成されており、該グリッド10b毎に、パネル10cやその他の天井設備機器を嵌め込むように設置できるようになっている。天井構造材10aは、例えばTバー等の名称でシステム天井用の部材として販売されている建築材であり、吊具10dにより上方から吊り下げられて天井下地を構成し、グリッド10bに設置されたパネル10cやその他の器具類ごと天井10全体を支持するようになっている。尚、グリッド10bにパネル10c以外の器具類を設置する場合、該器具類の重量が十分に小さければ該器具類を天井構造材10aごと吊具10dにより支持すれば良いが、前記器具類の重量がある程度以上大きければ、該器具類を支持するため、該器具類を直接吊り下げる図示しない吊具等を別途備える必要がある。
吹出口ユニット21は、吹出部21aの上流側(ここでは、上方)にファン19を備えており、ファン19の動作により、周囲の空気(本実施例の場合、混気ボックス22内の空調空気3および還気13。図2および図4参照)を吹出部21aから対象区域Aに送り出すようになっている。
吹出口ユニット21は、各々が一個のグリッド10b内に設置可能に構成されており、吹出部21aの上方にファン19を備えた吹出口ユニット21の全体を天井構造材10aに支持できるようになっている。具体的には、図3、図4に示す如く、箱型の筐体21bの上下に開口を設け、上部の開口にファン19を設置すると共に、対象区域Aに面する下部の開口には気流の整流機能を有する吹出部21aを備えている。吹出部21aは、例えばアネモスタット(登録商標)やディフューザー等と呼称される複数枚の羽根を備えた配風用の部材で構成された制気口であり、後述するように、空気(空調空気3および還気13)をファン19により筐体21bの内部の空間に導入し、吹出部21aから下方の対象区域Aへ送り出すようになっている。
本実施例では、吹出口ユニット21をその他の天井設備機器である一対の照明器具10eと共にグリッド10b内に設置するようにしている。照明器具10eは、長辺の寸法がグリッド10bの一辺に合致しており、一対の照明器具10eが、一個のグリッド10bの向かい合う二辺にそれぞれ沿うように配置される。各照明器具10eは、吹出口ユニット21に接する辺以外の三辺を、グリッド10bを構成する天井構造材10aに支持される。
一方、吹出口ユニット21は、下面の短辺の寸法がグリッド10bの一辺と、照明器具10eの短辺の2倍との差に合致するように設計されており、一個のグリッド10b内に支持された一対の照明器具10eの間に吹出口ユニット21を配置することができる。ここで、照明器具10eの吹出口ユニット21に接する辺には、下面に吹出口ユニット21側へ張り出す板状の張出部10fを備えている。張出部10fは、吹出口ユニット21の長辺に沿い、該長辺に直交する2本の天井構造材10a同士の間に張り渡すように配置される。2台の照明器具10eに挟まれた吹出口ユニット21は、下面の2つの長辺を両側の照明器具10eの張出部10fに載置される形で、グリッド10b内に支持される。
吹出口ユニット21の寸法は、要求される吹出し風量に応じて設計される。ここに示した例では、吹出口ユニット21の下面は、長辺の寸法がグリッド10bの一辺より小さくなっており、このため、グリッド10bに照明器具10eと吹出口ユニット21を設置すると吹出口ユニット21の両脇に隙間が生じる。このような隙間は、例えば図3に示す如き設備パネル10gを嵌め込んで埋めることができる。尚、吹出口ユニット21をグリッド10bに設置するにあたり、採用し得る構成はここで説明した例に限定されない。例えば、吹出口ユニット21の割り当て吹出し風量によっては、吹出口ユニット21の下面を長辺の寸法がグリッド10bの一辺と一致する設計とする場合があるが、その場合、設備パネル10gは省略することができる。また、照明器具10eを介さず、吹出口ユニット21を直接天井構造材10aに支持するようにしても良い。また、照明器具10eの代わりに別の天井設備機器や、設備パネルを設置しても良い。吹出口ユニット21をグリッド10bに好適に支持することができれば、吹出口ユニット21やその周辺の構成は適宜変更し得る。
筐体21bは、例えばグラスウールやロックウールといった軽量の部材により構成することができる。このようにすると、吹出口ユニット21に関し別途吊具等を設けなくとも、天井構造材10aを支える吊具10dだけで十分に吹出口ユニット21を天井構造材10aごと支持することができる。
混気ボックス22は、例えば図3、図4に示す如く、吹出口ユニット21の全体を上方から覆うように取り囲む形で設置される。混気ボックス22は下面を開口として構成された直方体状の部材であり、4つの側面が吹出口ユニット21の筐体21bを取り囲むことができるようになっている。ここに示した例では、混気ボックス22の4つの側面のうち、対向する一対の側面22a,22aがそれぞれ筐体21bと両側の照明器具10eとの間に配置され、別の一対の側面22b,22bがそれぞれ天井構造材10a上に配置されるよう、寸法を設定されている。各側面22a,22bの高さは吹出口ユニット21の高さよりも高く設定され、図4に示す如く、混気ボックス22を吹出口ユニット21の全体を覆うように設置した状態で、混気ボックス22の側面22a,22a(および側面22b,22b)、および上面22cにより、吹出口ユニット21の上部のファン19の上流側に空間が形成されるようになっている。
側面22a,22aには、それぞれスリット状の取込口20が水平方向に沿って開口している。取込口20は、図4に示す如く混気ボックス22を吹出口ユニット21に対して配置した状態で、吹出口ユニット21の側面の上端よりも高い位置に設けられる。後述する還気13の取り込みがスムーズに行われるようにするためである(ここに示した例では側面22a,22aが筐体21bの側面と近接しているので、取込口20を筐体21bの側面の上端より低い位置に設けると、還気13の取り込みにあたって抵抗が大きくなる)。また、取込口20には、内側へ向かって上り勾配をなすように整流板20aが設けられている。
尚、取込口20は、例えば図3に破線で示す如く側面22b,22bに設けても良い。ここに示した例では、側面22b,22bは筐体21bの側面と近接してはいないため、側面22b,22bに取込口20を設ける場合、図3に破線で示す如く、側面22b,22bの下方に形成された凹部として取込口20を形成しても、還気13の取り込みに支障はない。あるいは、取込口20は側面22a,22aと側面22b,22bの両方に設けても良いし、その他、還気13の取り込みをスムーズに行い得る限り、取込口20はどのような構成としても良い。尚、その際、空気抵抗等を勘案して後述する空調空気3との混和が適当な割合で行われるよう、取込口20の配置や形状、寸法等は適宜調整すべきである。
混気ボックス22の上面22cには接続口22dが開口し、ここに末端ダクト7の下流側端が接続され、混気ボックス22の内部へ空調空気3が供給される。尚、混気ボックス22における接続口21dの位置はここに示した例に限らず、混気ボックス22と末端ダクト7の位置関係等に応じて変更することができ、例えば側面22aや側面22bに接続口を設けても良い。
末端ダクト7を接続した混気ボックス22を、図4に示すように吹出口ユニット21に対して適当な位置に支持するにあたっては、例えば末端ダクト7や混気ボックス22のいずれか、あるいは両方に図示しない吊具等を取り付けて上方から吊り下げることができる。あるいは、末端ダクト7を接続した混気ボックス22が十分に軽量であり、吹出口ユニット21等をも含めて天井構造材10a上に載置するだけで支持できれば、混気ボックス22や末端ダクト7に対する吊具等の設置は省略しても良い。
以上の如き構成の吹出口ユニット21を用いることで、空調空気3の流路の末端部に、簡便な構成でファン19を配置することができる。さらに、吹出口ユニット21を取り囲むように混気ボックス22を備えれば、空調空気3の流路の途中に取込口20を設けるにあたって好適であり、ファン19に対して簡便且つコンパクトな形で混気ボックス22を設置することができる。しかも、混気ボックス22の形成する空間をファン19に隣接するように設置することで、後述する取込口20からの還気13の取り込みを極力少ない抵抗で行うことができるという点でも好適である。
図1に示す如く、対象区域Aに隣接する天井裏の空間は還気チャンバCとして設定されている。天井10の吹出口ユニット21から供給された空調空気3は、天井10に開口した吸込口11を通って還気13として還気チャンバCに吸い込まれ、還気口9から還気ダクト12を通って空調機1へ戻される。
空調機1の受け持つ対象区域Aには、吹出口として計18の吹出口ユニット21が設置されている。上記従来例(図8、図9参照)における吹出口6の配置分担と同様、これらの吹出口ユニット21のうち、図中左側の6個における空調空気3の供給風量を分岐ダクト5aに設置された変風量ユニット8aが、中央の6個における供給風量を分岐ダクト5bに設置された変風量ユニット8bが、右側の6個における供給風量を分岐ダクト5cに設置された変風量ユニット8cが、それぞれ制御するようになっている。すなわち、対象区域Aのうち、左側の6個の吹出口ユニット21に対応する領域が分岐ダクト5aの受け持ちゾーンである制御領域A1、中央の6個の吹出口ユニット21に対応する領域が分岐ダクト5bの受け持ちゾーンである制御領域A2、右側の6個の吹出口ユニット21に対応する領域が分岐ダクト5cの受け持ちゾーンである制御領域A3である。
制御領域A1〜A3に対応する適宜位置(ここでは、平面視で各制御領域A1,A2,A3の中央部に位置する吸込口11)にはそれぞれ域内温度センサ14,15,16が備えられ、それぞれの位置で還気13の温度を計測し、温度信号14a,15a,16aとして制御装置17に入力するようになっている。
制御装置17には、温度信号14a,15a,16aと、各制御領域で設定されているA1、A2、A3領域の設定温度値との偏差に基づいて設定風量比率を演算し、該設定風量比率を各変風量ユニット8a,8b,8cに対しての制御信号8dとして入力し、分岐ダクト5a,5b,5c毎に風量を制御することで制御領域A1〜A3それぞれの温度を調整する。
制御装置17は、このように各変風量ユニット8a,8b,8cの風量を制御する回路(温度調整回路)を各変風量ユニット8a,8b,8c毎に設けているほか、給気温度リセット制御を行う回路(ロードリセット制御回路)を備えている。該ロードリセット制御回路は、各変風量ユニット8a,8b,8cのダンパ開度等の情報を処理し、ダンパ開度が最小となっている変風量ユニットがある場合には、給気温度を最適値にするように制御を行っている。このため、還気13の温度が設定温度に対して過剰に冷却(冷房時)あるいは加温(暖房時)されている場合は、変風量ユニットのダンパ開度が最小となるため給気温度リセット制御を行い、空調機1における給気の設定温度を最適値にする制御を行う。つまり、冷房時において還気13が冷え過ぎている場合は給気の設定温度を上げて、還気13が設定温度に近づくようにすることができ、暖房時において還気13が熱過ぎる場合は給気の設定温度を下げて、還気13が設定温度に近づくようにすることができる。
また、変風量ユニット8の下流に備えられたファン19には、該ファン19のオンオフや回転数等を制御する制御信号19aが制御装置17から入力されるようになっている。
尚、図1では制御装置17として1つのブロックを図示しているが、実際の空調システムにおいては、制御装置17を例えば空調機1の制御を行う制御装置と、変風量ユニット8の制御を行う制御装置と、ファン19の制御を行う制御装置とに分けて備えても良く、制御装置17の配置や構成等は空調システムの仕様に合わせて適宜設計して良い。
以上の如き構成による本実施例の空調システムでは、対象区域A内の制御領域A1,A2,A3領域のいずれかの室内熱負荷が低い場合であっても、対象区域A内の熱負荷の小さな制御領域に対する供給風量を十分に確保し、また、空調機1からの空調空気3の給気温度を極力変更しないような運転を行うことができる。以下、冷房を行う場合を例に説明する。
空調機1から送り出される空調空気3は、給気ダクト2(メインダクト4、分岐ダクト5、末端ダクト7)を通り、途中の変風量ユニット8で各制御領域A1,A2,A3毎に風量を調整されたうえで吹出口ユニット21からファン19を通じて供給される。その際、上述の如く、ファン19の上流側にあたる混気ボックス22において取込口20から取り込まれた還気13が空調空気3と混合し、空調空気3と還気13とが共に吹出口ユニット21から対象区域Aへ供給される。
ここで、一台の変風量ユニット8と、その受け持ちゾーンにあたる下流側の吹出口ユニット21に設けられたファン19との間では、変風量ユニット8から下流側への空調空気3の供給風量が、その下流のファン19における風量の合計を超えないように運転を行う(尚、ここでは一台の変風量ユニット8の下流側に各6台のファン19を備えた例を図示しているが、場合によっては、ある一台の変風量ユニットの下流側にファンが一台のみ配置されることもあり得る。その場合、前記変風量ユニットの下流側におけるファンの風量の合計とは、前記ファンの一台分の風量である)。このようにすると、各混気ボックス22において、ファン19から吹き出される空気の量が、末端ダクト7から供給される空調空気3の量以上となり、両者の差の分だけ、取込口20から還気13が取り込まれる(図4参照)。つまり、一個の混気ボックス22ないし吹出口ユニット21において、末端ダクト7から供給される風量をQ1、ファン19から送り出される風量をQ2、取込口20から取り込まれる還気13の量をQ3とすると、Q3=Q2−Q1である。尚、このような運転状態を確実に保つために、変風量ユニット8の定格風量は、その下流に設置されるファン19の定格風量の合計を上回らないように設計すると良い。
各変風量ユニット8では、上述の如くそれぞれの受け持ちゾーン(制御領域A1,A2,A3)の熱負荷に応じて空調空気3の風量の調整を行う。つまり、熱負荷が高い場合は、変風量ユニット8から下流へ供給される空調空気3の量を多くし、熱負荷が低い場合は少なくする。一方、吹出口ユニット21のファン19は、例えば一定の風量(例えば、一台あたり200[m3/h]の吹出風量)で動作させる。
ファン19で定速運転を行うと、対象区域A内の負荷の大小にかかわらず、吹出口ユニット21から対象区域Aに供給される風量(Q2)は概ね一定である。ただし、対象区域Aへの供給風量Q2が仮に同じであっても、そこに占める空調空気3の風量Q1、および還気13の風量Q3は変動し、負荷が低い場合には風量Q1が減って風量Q3が増え、負荷が高い場合には風量Q1が増えて風量Q3が減ることになる。
このようにすると、対象区域A内の負荷が低い場合、その低負荷に合わせて変風量ユニット8における空調空気3の供給量を少なくしても、その分だけ還気13を補った十分な風量の空気(空調空気3と還気13の混合空気)が吹出口ユニット21から送り出される(ただし、吹出口ユニット21における吹出温度は、還気13が混ざる分だけ空調空気3の温度よりも高くなる)。図8、図9に示す如き従来の変風量単一ダクト方式の空調システムでは、吹出温度は一定としながら吹出風量を調整することで負荷の変動に対応していたが、本実施例では、空調空気3の供給風量は変動させつつ還気13を補って吹出風量は一定とし、吹出温度を調整するのである。対象区域A内の人にとっては、負荷が低く、空調空気3の供給量が少ない条件下であっても十分な気流感が得られ、快適である。従来例の空調システムでは、低負荷の場合は空調空気3の吹出風量の減少に伴い、対象区域A内に空気が滞留し、気流感がなくなることで不快感が生じる可能性があったが、風量の変更によることなく対象区域A内の温度を調整する本実施例の如き空調システムによれば、このような問題を生じなくすることができる。また、風量は十分であっても、熱負荷の低いゾーンでは吹出温度が室温に近くなるので、当該ゾーン内の空気が過剰に冷やされるようなことはなく、各ゾーン(制御領域A1〜A3)における空調は良好に保たれる。
尚、ファン19は常に定速運転を保つ必要はない。変風量ユニット8の運転自体を停止している場合や、対象区域Aの制御領域A1〜A3のうち、特に熱負荷の低い制御領域で変風量ユニット8のダンパを全閉とし、空調空気3の供給を停止するような運転を行う場合には、ファン19の動作をオフにする制御を行っても良い。
また、熱負荷の低下に従って吹出風量を減少させる従来例では、上述の如く、当該制御領域の必要最低還気回数など換気等を目的として空調機1における給気温度をリセットする制御(ロードリセット)が行われる場合があるが、本実施例では、このロードリセット制御の実行頻度を大きく下げることができる。ロードリセットは、冷房の場合、例えば対象区域Aに対する空調空気3の供給風量が所定以下であり、且つ各変風量ユニット8a、8b、8cの何れかのダンパ開度が最小であることを条件に実行され、空調機1における給気温度がリセット(再設定)される。従来の空調システム(図8、図9参照)では、上述の通り、冷房時にロードリセットが働くと、給気温度が高く設定されて空調機1における除湿能力が下がり、空調空気3の湿度が上がる結果、対象区域A内の人に不快感を生じてしまう場合があった。
ところが、本実施例の空調システムの場合、熱負荷によらず一定の速度でファン19を運転させることで、低負荷であってもファン19が動作して対象区域Aに空気が送り出されるようになっている。ファン19がある程度以上の風量で動作していれば、換気等のためにロードリセットを行う必要はないし、また、ファン19による供給風量の低下が実行の条件に設定されていれば、ファン19による空気の供給がなされている限りロードリセットは実行されない。すなわち、空調機1における給気温度の変更が必要とされ、また実行する機会が、従来例と比較して少ない。したがって、空調機1においては給気温度の設定値が低く保たれ、空調機1内の冷水コイルの列数が有効に利用されて設計除湿性能が発揮され除湿能力が低下しないので、熱負荷が低い条件であっても好適に除湿された空調空気3を供給することができる。
無論、熱負荷が著しく低く、還気13の温度が空調空気3に近いような場合などには、変風量ユニット8からの供給風量がゼロになると共に下流のファン19の動作も停止し、ロードリセットが実行される可能性はあるが、そのような条件が生じることは稀であり、ロードリセットの実行頻度は著しく低く抑えられる。
尚、上ではファン19を定速にて運転する場合を説明したが、変風量ユニット8からの空調空気3の供給量の変動に応じてファン19の回転数を変動させるような運転を行っても良い。図5のグラフは、ある吹出口ユニット21および混気ボックス22において、ファン19を一定の回転数で運転した場合における還気13の取り込み量(Q3)と、変風量ユニット8からの空調空気3の供給風量(Q1)と、ファン19からの供給風量(Q2)の関係の一例を示しており、横軸にファン19からの供給風量Q2に対する還気13の取り込み量Q3の割合[%]、縦軸にファン19からの供給風量Q2[CMH]、および供給風量Q2に対する空調空気3の供給風量Q1の割合[%]を取っている。変風量ユニット8からの供給風量Q1(一点鎖線で示す)の減少に従い、還気13の割合(横軸)は増加するが、このとき、取込口20の形状や寸法は不変であるので、還気13の通過量が増加すれば、それに伴い還気13が取込口20を通過するにあたっての摩擦等の抵抗が大きくなる。結果として、ファン19を一定の回転数にて動作させる場合、図5中に実線にて示す如く、変風量ユニット8からの供給風量Q1が減少すると、ファン19からの供給風量Q2は少しずつ減ることが考えられる。そこで、ファン19から対象区域Aへの供給風量Q2を厳密に一定にしたい場合には、変風量ユニット8からの供給風量Q1の減少に応じて、ファン19の回転数を上げるような制御を行っても良い。
尚、温度の異なる空気を混合し、適温の空調空気を対象区域へ送り出す空調システムとしては、ペアダクト方式の空調システムが従来、知られているところである。しかしながら、本発明の空調システムの場合、それぞれ温度を調整した2種類の空調空気を混合するのではなく、空調空気3に対し、流路の周囲(本実施例の場合、吹出口ユニット21の上流側に隣接して設けた混気ボックス22の周囲)から空気(還気13)を末端ファンの静圧を用いて取り込んで混合するという点で異なっており、空調空気の送給に要するダクトを大幅に少なくできる点で優れている。
各変風量ユニット8や各ファン19に対し、制御装置17から制御信号8d,19aを入力するにあたっては、通信方式として例えばModbusやTCPといった汎用的な方式を採用することができる。よって、本実施例の如き空調システムは、例えば既存の変風量単一ダクト方式の空調システムを改修する形でも容易に実施することができる。すなわち、例えば図8、図9に示す従来例の空調システムに対しては、吹出口6の代わりにファン19を備えた吹出口ユニット21を設置すると共に混気ボックス22を設置し、各ファン19を制御装置17からの制御信号19aにより制御するように設定するのである。上述の如く、ファン19のオンオフや回転速度等は上流側の変風量ユニット8の動作と連動するが、各変風量ユニット8と、その下流側のファン19とは、制御装置17側の設定によって紐付けできる。
また、変風量ユニット8とファン19との紐付けの設定は、制御装置17側で自由に変更できるので、例えば対象区域A側で機器や設備、人員配置等のレイアウトに変更があり、それに合わせて吹出口ユニット21の配置を変更する場合等にも柔軟に対応することができる。例えば、それまでは変風量ユニット8bの下流に配置され、該変風量ユニット8bと連動していたファン19を、レイアウトの変更に伴って変風量ユニット8aの下流に繋ぎ変えた場合、変風量ユニット8bではなく変風量ユニット8aと連動するように設定を変更することも容易である。各ファン19のアドレス番号を各制御領域A1,A2,A3毎にグループ分けして管理し、ファン19の配置に変更があった場合には、該当のファン19のアドレスを別のグループに振り替えれば良いのである。
以上のように、上記本実施例の対象区域Aに隣接する天井裏の空間を還気チャンバCとして設定し、対象区域Aに面する天井10には、対象区域A内の空気を還気13として吸い込む吸込口11を設けると共に、前記還気チャンバCには、該還気チャンバC内の空気を前記空調機1へ戻す還気ダクト9を備える変風量単一ダクト方式の空調システムであって、空調機1から送り出される空調空気3を対象区域Aへ導く流路(給気ダクト2、混気ボックス22、吹出口ユニット21)の途中に設けられ、下流側に流れる空調空気3の量を調整する変風量装置(変風量ユニット)8と、前記流路における変風量装置8の下流側の位置に設けられるファン19と、前記流路における変風量装置8の下流側且つファン19の上流側の位置で前記流路における前記還気チャンバC内にあたる位置に設けられ、周囲の還気チャンバC内の空気(還気)13を取り込む取込口20とを備えている。このようにすると、ファン19から対象区域Aに対し、空調空気3と、前記流路の周囲の空気(還気)13を混合して供給することにより、風量の変更によることなく対象区域A内の温度を調整することができる。よって、対象区域Aが低負荷の状況であっても対象区域Aに対する供給風量を十分に確保することができる。また、空調機1における給気温度の変更を必要とする機会が少なくなるので、冷房を行う場合には、対象区域Aが低負荷の状況であっても空調機1における除湿能力を保つことができる。
尚、空調システムの従来例には、空調機から吹出口までの流路上に変風量ユニットあるいはダンパにあたる構成がなく、室内から誘引した空気と空調空気の混合比率を変更するようなことができない。このため、従来例において、本発明と同様に制御領域毎に空調空気の温度を変えようとすれば、制御領域毎に空調機を備えなくてはならない。
本実施例においては、変風量装置8から下流側への空調空気3の供給風量は、変風量装置8の下流側に備えられたファン19における風量の合計を超えないように設定されている。このようにすると、各混気ボックス22において、ファン19から抜き出される空気の量が、末端ダクト7から供給される空調空気3の量以上となるので、取込口20から周囲の空気(還気)13を必要に応じて確実に取り込むことができる。
本実施例は、前記流路の末端部に、対象区域Aに面する吹出部21aと、該吹出部21aの上流側に設けられたファン19と、該ファン19により周囲から空気(空調空気3、還気13)を導入し、吹出部21aから対象区域Aへ送り出す空間を形成する筐体21bとを備えた吹出口ユニット21を備えて構成されているので、簡便な構成により前記流路にファン19を設けることができる。
本実施例は、取込口20を備えると共に、前記流路を構成するダクト(末端ダクト)7を接続され、取込口20から周囲の空気(還気)13を取り込むと共に、ダクト7から空調空気3を供給される空間をファン19の上流側に形成する混気ボックス22を備えて構成されているので、簡便な構成により吹出口ユニット21の上流側に混気ボックス22を設けることができる。
本実施例において、前記流路におけるファン19の上流側の位置に、取込口20を備え、該取込口20から周囲の空気(還気)13を取り込む空間を形成する混気ボックス22を備えて構成されているので、簡便な構成により前記流路に混気ボックス22を設けることができ、取込口20からの空気(還気)13の取り込みを極力少ない抵抗で行うことができる。
本実施例において、混気ボックス22は、吹出口ユニット21を取り囲むように設置されているので、ファン19および混気ボックス22をいっそうコンパクト且つ簡便に前記流路に設置することができる。
本発明の空調システムでは、対象区域Aの冷房を行うことができる。
したがって、上記本実施例によれば、低負荷時にも対象区域への供給風量を確保しながら、対象区域における空調を好適に実施し得る。
図6は吹出口ユニットや混気ボックスの形態の別の例を示している。ここに示した例では、図3、図4における吹出口ユニット21に相当する機能と、混気ボックス22に相当する機能の両方を一体に持たせた吹出口ユニット兼混気ボックス23を吹出口に備えている。
吹出口ユニット兼混気ボックス23は、筐体23aの下部に吹出部23bを備えた点は図3、図4に示した吹出口ユニット21と同様であるが、筐体23a内の空間の上下方向中間部にファン19を備えており、該ファン19の上側の空間が混気ボックスとして機能するようになっている。
すなわち、筐体23aの側面23cにおけるファン19の上側の空間に面した位置に取込口20が設けられており、該取込口20から周囲の還気13が取り込まれるようになっている。筐体23aの上面23dには接続口23eが開口し、ここへ末端ダクト7の下流側端が接続される。そして、末端ダクト7を通じて筐体23a内のファン19の上側の空間へ空調空気3が送り込まれると共に、取込口20から還気13が取り込まれ、空調空気3と還気13が混合され、ファン19を通じて下部の吹出部23bから対象区域A(図1、図2参照)へ送り出される。
また、図7は混気ボックスおよび吹出口ユニットの形態のさらに別の一例を示している。ここに示した例の場合、天井10がシステム天井ではない在来天井として構成されている。在来天井である天井10の吹出口には、図3、図4に示したものと同様の吹出口ユニット21が設置され、該吹出口ユニット21の周囲を上方から取り囲むように、混気ボックス24が設けられている。混気ボックス24の側面24aには取込口20が開口しており、上面24bの接続口24cに接続された末端ダクト7から供給される空調空気3は、取込口20から取り込まれた還気13と混気ボックス24内で混合され、吹出口ユニット21に備えられたファン19から対象区域A(図1、図2参照)へ送り出される。本例の場合、混気ボックス24の上面24bには吊具24dが取り付けられ、上方から混気ボックス24が吊り下げて支持されるようになっている。
あるいは、図示は省略するが、混気ボックスを吹出口ユニットあるいはファンに隣接させず、ファンより上流側の流路の途中に配置することも、原理的には可能である(ただし、図1〜図6に示した各例のように、混気ボックスにより形成される空間をファンと隣接させる方が、機器の構成面やスペース面で簡単である)。
このように、吹出口ユニットおよび混気ボックスの構成や形状、寸法等は、本発明の実施にあたり、天井の仕様やその他の条件によって適当な設計を選択し得る。空調空気の流路における変風量ユニットの下流側にファンを配置し、且つ該ファンの上流側且つ変風量ユニットの下流側の位置に取込口を設けて周囲の空気を取り込み、空調空気と混合してファンから吹出口を通して供給するという構成および作用が本発明の根幹であり、この点を好適に満たす限りにおいて、吹出口ユニットや混気ボックスは適宜設計することができる。
その他、本発明の空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではない。例えば冷房時だけでなく暖房時にも同様の作用効果にて空調を行い得ること等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。