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JP2021157936A - 負極活物質、負極及び二次電池 - Google Patents

負極活物質、負極及び二次電池 Download PDF

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JP2021157936A JP2020056288A JP2020056288A JP2021157936A JP 2021157936 A JP2021157936 A JP 2021157936A JP 2020056288 A JP2020056288 A JP 2020056288A JP 2020056288 A JP2020056288 A JP 2020056288A JP 2021157936 A JP2021157936 A JP 2021157936A
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Masanari Oda
将成 織田
誠之 廣岡
Masayuki Hirooka
誠之 廣岡
栄二 關
Eiji Seki
栄二 關
由磨 五行
Yuma Gogyo
由磨 五行
雅規 北川
Masaki Kitagawa
雅規 北川
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Abstract

【課題】可逆容量を、無置換材であるLixFeNb11O29に比べて向上させた負極活物質を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の負極活物質は、一般組成式:Fe1−xNb11−yO29−z−aAx+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10であり、AはAl、Si、B、P、C、Ge及びBiからなる群より選択される一種以上である)で表され、表面の一部又は全部がAにより被覆されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、負極活物質、負極及び二次電池に関する。
従来、負極活物質として一般的に用いられてきた黒鉛は、理論容量が約372mAh/gである。負極活物質として黒鉛を用いた二次電池では、複数サイクル後や、保存後に容量が低下し、結果的に電池寿命が低下する課題があった。容量の低下は、電池動作時にLi金属基準で電位が0.1V程度まで下がるため、負極における黒鉛の周囲に有機被膜であるSolid Electrolyte Interface(以下、SEI)が形成されることに起因する。有機被膜であるSEIの形成電位はリチウム金属基準で0.7Vであるため、0.7Vを上回る電位の負極活物質に注目が集まっている。
このような0.7Vを上回る負極活物質として、特許文献1には、一般式LiM1M2(0≦x≦5)で表される斜方晶系酸化物を含む電池用活物質が開示されている。ここで、M1はFe及びMnからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、M2はNb、Ta及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種である。さらに、特許文献2には、少なくとも1つの三価金属を含み、2より大きいNb/Tiのモル比を有する、リチウムフリーの混合チタンニオブ酸化物であって、以下の式(I)の材料及び式(II)の材料を含む群から選択されるリチウムフリーの混合チタンニオブ酸化物が開示されている。
Ti1−2xNb2+x7±δ (I): 0<x≦0.20、−0.3≦δ≦0.3
MxTi2−2xNb10+x29±δ (II): 0<x≦0.40、−0.3≦δ≦0.3
これに対して近年、上記化合物とは異なる結晶構造を有し、0.7Vを上回る電位である、LiFeNb1129という材料系の負極活物質が報告されている。本負極活物質の課題は、可逆容量が理論容量より低く現れることである。具体的には、非特許文献1に示されるように粒子形状や焼成雰囲気を調整することで可逆容量の増加に関する報告がなされたものの、非特許文献1では270mAh/gが最大であり、理論容量である380mAh/gに比べて低い。そこで、LiFeNb1129の可逆容量を向上させるための技術が必要である。
特開2014−112536号公報 特表2016−510304号公報
X.Lou et al., ChemElectroChem 4(2017)3171-3180
負極活物質としてLiFeNb1129を元素置換することなく用いた場合、初回のLi挿入時の反応である放電反応の後に、初回のLi脱離時の反応である充電反応をさせた際に生じる容量である可逆容量が、理論容量である380mAh/gと比べて低いという課題があった。この場合、電池のエネルギー密度が低下する課題がある。
そこで本発明は、可逆容量を、無置換材であるLiFeNb1129に比べて向上させた負極活物質を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下のとおりである。
一般組成式:Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10であり、AはAl、Si、B、P、C、Ge及びBiからなる群より選択される一種以上である)で表される負極活物質。
本発明により、二次電池の可逆容量を向上させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
二次電池が備える電極体の斜視図である。 実施例1〜3及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例4〜5及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例6〜7及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例8〜10及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例11〜13及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例14及び比較例1における負極活物質のXRD測定結果である。 比較例1〜6における負極活物質のXRD測定結果である。 実施例における負極活物質のSEM及びEDXの測定結果である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更及び修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本明細書に記載される「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として有する意味で使用する。上限値又は下限値が0の場合は、上限値又は下限値を含まない。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的に記載されている上限値又は下限値に置き換えても良い。本明細書に記載される数値範囲の上限値又は下限値は、実施例中に示されている値に置き換えても良い。
本明細書において、二次電池としてリチウムイオン二次電池を例にとり、実施形態についての説明を行う。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンの電極への吸蔵と電極からの放出によって電極間に電位差を生じさせ、それによる電気エネルギーを貯蔵する、あるいは、利用可能とする電気化学デバイスである。
本発明の対象としては、リチウムイオン二次電池とは別の名称で呼ばれる二次電池、例えば、リチウムイオン電池、非水電解質二次電池、非水電解液二次電池等も含まれる。本発明の技術的思想は、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池、亜鉛二次電池、アルミニウムイオン二次電池等に対しても適用することができる。
以下の説明で例示した材料群から材料を選択して用いる場合、本明細書で開示されている内容と矛盾しない範囲で、その材料を単独で用いても良く、複数の材料を組み合わせて用いても良い。また、本明細書で開示されている内容と矛盾しない範囲で、以下の説明で例示した材料群以外の材料を用いても良い。
<二次電池>
図1は、二次電池が備える電極体400の斜視図である。この二次電池は、正極100と、負極200と、セパレータ300と、外装体(図示なし)とを備えている。図1の二次電池は、積層型のラミネート電池である。二次電池は、積層型のラミネート電池に代えて、円筒形、角形、ボタン形等の電池としても良い。
図1に示すように、正極100は、正極合剤層110と、正極集電体120と、正極タブ130とを有している。図示した正極100において、正極合剤層110は、平板状の正極集電体120の両面に形成されている。正極タブ130は、正極集電体120の端部に、平板状の突片として設けられている。
負極200は、負極合剤層210と、負極集電体220と、負極タブ230とを有している。図示した負極200において、負極合剤層210は、平板状の負極集電体220の両面に形成されている。負極タブ230は、負極集電体220の端部に、平板状の突片として設けられている。
図1に示すように、正極100、セパレータ300、及び負極200は、この順に積層されて、一つの電極体400を構成する。二次電池において、外装体には、複数の電極体400を積層して内蔵することができる。電極体400同士は、セパレータ300を挟んで積層されることにより、互いに電気的に絶縁される。
これらの集電体、電極タブ等は、スポット溶接、超音波接合等の各種の方法で互いに接合することができる。外装体に内蔵される電極体400同士は、電気的に並列に接続しても良いし、複数の電極体400のうち、一部又は全部を、電気的に直列に接続しても良い。
外装体は、電極体400が内蔵される内空に電解液が注入される。外装体に収容された電極体400は、電解液に浸漬された状態で保持される。電極体400や電解液は、外装体等によって封止されて、水分、空気等との接触が阻止される。
外装体として、例えば袋状のラミネート容器が挙げられる。ラミネート容器は、多層フィルムをヒートシール、接着剤等で貼合して形成することができる。多層フィルムは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、アルミニウム箔等の各種のフィルムを積層して形成することができる。
外装体は、ラミネート容器に代えて、金属缶として設けることもできる。金属缶は、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等を用いて形成することができる。二次電池は、電極体400を積み重ねた積層型としても良いし、帯状の電極体を螺旋状に巻回した巻回型としても良い。
<正極>
正極100の正極合剤層110は、正極活物質を有する正極合剤を用いて形成される。正極合剤層110は、正極活物質と共に、炭素材、バインダ等を含んでいても良い。また、正極合剤層110は、固体電解質を含んでいても良い。正極合剤層110にイオン伝導率が高い固体電解質を用いると、正極中におけるイオン伝導性を向上させることができる。
正極活物質としては、例えば、LiCo系複合酸化物、LiNi系複合酸化物、LiMn系複合酸化物、LiCoNiMn系複合酸化物、LiFePO系複合酸化物、LiMnPO系複合酸化物等の各種の活物質を用いることができる。複合酸化物の具体例としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3等や、これらの遷移金属をCo、Ni、Mn、Al、Ti等の各種の異種元素で置換した複合酸化物が挙げられる。
炭素材としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノファイバ、導電性高分子等を用いることができる。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンナノファイバとしては、ピッチ系カーボンナノチューブ、PAN系カーボンナノチューブ等が挙げられる。導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアセン等が挙げられる。
正極合剤層110を形成するバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等を用いることができる。
正極集電体120としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等を材料とする金属箔、穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等を用いることができる。正極集電体120の厚さは、機械的強度とエネルギー密度とを両立する観点から、好ましくは10nm〜1mm、より好ましくは1〜100μmとする。正極タブ130は、正極集電体120と同様の材料で形成することができる。
<負極>
負極200の負極合剤層210は、負極活物質を有する負極合剤を用いて形成される。負極合剤層210は、負極活物質と共に、炭素材、バインダ等を含んでいても良い。また、負極合剤層210は、固体電解質を含んでいても良い。負極合剤層210にイオン伝導率が高い固体電解質を用いると、負極中におけるイオン伝導性を向上させることができる。
負極活物質としては、後記するように、コンバージョン系の金属酸化物を用いる。コンバージョン系の金属酸化物とは、コンバージョン反応を生じて金属を還元生成する金属酸化物を意味する。金属酸化物とリチウムイオンとのコンバージョン反応では、金属酸化物の還元による単体金属と、リチウムの酸化による酸化リチウムとが生成する。
コンバージョン系の金属酸化物によると、コンバージョン反応と、その逆反応を可逆的に生じさせることにより、二次電池の放電時にはリチウムイオンを吸蔵し、充電時にはリチウムイオンを放出させることができる。コンバージョン系の金属酸化物によると、このような酸化還元反応や、付随する合金化反応等により、電極間に充放電に必要な電位差を発生させることができる。
負極合剤層210を形成するバインダとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等を用いることができる。バインダとしては、カルボキシメチルセルロース等の増粘性の樹脂を併用しても良い。
負極合剤層210には、正極合剤層110と同様に、カーボンブラック、カーボンナノファイバ、導電性高分子等の炭素材を用いることができる。
負極集電体220としては、例えば、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等を材料とする金属箔、穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等を用いることができる。負極集電体220の厚さは、機械的強度とエネルギー密度とを両立する観点から、好ましくは10nm〜1mm、より好ましくは1〜100μmとする。負極タブ230は、負極集電体220と同様の材料で形成することができる。
<合剤層形成法>
正極合剤層110や負極合剤層210は、活物質と、バインダ、炭素材等とを、溶媒中で混練して合剤を調製し、調製した合剤を集電体に塗工し、塗工した合剤を乾燥させることによって形成することができる。集電体上に形成した合剤層は、活物質等が所定の密度となるようにプレス成形する。合剤層を成形した集電体に、必要に応じて、打ち抜き加工、切断加工等を施して、電極とすることができる。
合剤の混合及び混練は、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、バタフライミキサ、二軸混練機、ボールミル、ビーズミル等の各種の装置を用いて行うことができる。原料や合剤を分散させる溶媒としては、電極に応じて、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水、γ−ブチロラクトン等の各種の溶媒を用いることができる。合剤を塗工する方法としては、ロールコート法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディッピング法、スプレー法等の各種の方法を用いることができる。
<セパレータ>
セパレータ300は、主として電極間の短絡を防止するために備えられる。セパレータ300としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂や、ガラス繊維等を材料とする微多孔質膜、不織布等を用いることができる。セパレータ300としては、固体電解質を用いても良い。高いイオン伝導率と低い導電率を示す固体電解質を用いると、電極体400同士を電気的に直列に接続したり、二次電池を全固体電池化したりすることができる。
固体電解質としては、例えば、Li10GePS12、LiS−P等の硫化物系固体電解質や、LiLaZr12等のガーネット型固体電解質や、La2/3−xLi3xTiO等のペロブスカイト型固体電解質や、NASICON型固体電解質や、イオン液体を樹脂や無機粒子に担持させた半固体電解質や、高分子ゲルによるゲル電解質等の各種の固体電解質を用いることができる。
セパレータ300は、材料に応じて、シート状に形成して電極間に配置しても良いし、電極上に塗布等によって形成しても良い。セパレータ300の厚さは、電子の絶縁性とエネルギー密度とを両立する観点から、好ましくは数nm〜数mmとする。
<電解液>
電解液は、電荷のキャリアとなる電解質と、電解質を分散・溶解させる溶媒とを有する組成とされる。電解液は、二次電池のサイクル特性や安定性、電解液の難燃性等を向上させる目的で、各種の添加剤が添加されていても良い。ただし、セパレータ300として固体電解質を用いる場合は、電解液を用いなくても良い。正極100、負極200等を電解液に浸漬させる代わりに、これらの電極間に固体電解質を充填しても良い。
電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド等のリチウムイミド塩や、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)等を用いることができる。電解質としては、LiPFが特に好ましい。
溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン等の各種の溶媒を用いることができる。
<負極活物質>
負極活物質としては、空間群Ammaを持つFeNb1129に対し、一般組成式、Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10)となるような13族、14族、15族に属する元素Aが添加されることを特徴とする。上記組成式中、aは、酸素欠損や過剰に導入された酸素量を意味し、通常、aの範囲は−5から5の間である。また、x+y+zは0ではない。添加されたAの総量が必ずしも活物質へ元素置換される必要はなく、材料表面に析出し、活物質の一部あるいは全部を被覆していても良い。具体的にAとしてはAl、Si、B、P、C、Ge及びBiからなる群より選択される一種以上を用いることができる。元素置換ではなくAがFeNb1129の表面に析出したり、Aにより被覆される場合、そのAの構造としては例えばアモルファス的なAであったり、Aの酸化物であったり、Aの単結晶であっても良い。なお、Aが添加される負極活物質の母物質としては、FeNb1129のFeサイト及びNbサイトの一方、あるいは両方のサイトに対して、それぞれ任意の金属元素を元素置換した活物質を用いても良い。
合成方法は限定されないが、例えば以下の方法を用いることが好ましい。すなわち、添加元素Aの元素源として、13族、14族、15族の元素Aを含む酸化物、オキソ酸、有機化合物とともに、Fe及びNbが所望の化学量論比となるようにFe及びNbを秤量しボールミルにより混合した後、エタノール中で室温でボールミルした後、N雰囲気下で焼結することで得ることができる。この際、焼結温度及び焼結時間は、空間群Ammaを持つFeNb1129が合成できれば任意の温度及び時間を設定することができ、表面に析出、被覆されるAの構造を制御するため焼結温度や時間を調整することができる。
このようにして作製した負極活物質の可逆容量は、FeNb1129の可逆容量に比べて増加する。元素Aが添加されたFeNb1129において可逆容量の上昇が得られる理由は、必ずしも明らかではないが、以下の原因の組み合わせが考えられる。つまり、添加元素Aの存在により、活物質のオストワルト成長が抑制され、微粒子化が進むこと、電子伝導性の低いFeNb1129の導電性が、酸素サイトへの一部元素置換により向上すること、導電性の良い析出物としてAが存在することで電極としてのFeNb1129負極の電子伝導性が確保できること、添加元素により充放電時のLiの拡散性が向上することである。
本実施形態に係る負極活物質は、FeNb1129で示される空間群Ammaを基にした結晶構造を保ちつつ、元素Aを添加することで一般組成式、Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10)となれば良く、添加されたAの総量が必ずしも活物質へ元素置換される必要はなく、材料表面に析出していたり、活物質表面の一部あるいは全部がAにより被覆されていても良い。所望の活物質が合成されたか確認する方法としては例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、材料合成した後に得た粉末について粉末X線回折測定(X-ray diffraction、以下、XRD)を実施し、得られたピークの中の主相が、空間群Ammaに相当することを確認する。加えて元素置換されているかどうか、またどの程度の化学量論比が活物質中に含まれているかを確認する場合には、高周波誘導結合プラズマ(Inductivity coupled plasma optical emission spectrometer、以下、ICP)発光分光分析法を用いれば良い。具体的には、主相となっている酸化物を酸溶液等に溶解させた後に、ICP発光分光分析法を用い、溶液サンプルをプラズマに導入することで元素置換されている各元素から生じる固有のスペクトルから元素の存在を確かめ、スペクトルの強度から元素の濃度を求め、化学量論比を算出することにより確認することができる。
負極活物質の大きさとしては特に限定されるものではないが、負極活物質の一次粒子は、電子顕微鏡像上で円形近似して計測される円相当径が、好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であり、良好な結晶性が確保できれば0.5μm以下の一次粒子径であっても良い。粒子は中実構造であっても良いし、一部の一次粒子が中空構造であっても良いし、実質的に略全部の一次粒子が中空構造であっても良い。また、一次粒子は、開気孔のみを有していても良いし、開気孔と閉気孔とを有していても良い。負極活物質の形状や構造は、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いた観察によって確認することができる。
導電性を確保するため、電極中に活物質とともに導入される炭素材としては後述する材料を用いることができる。
添加される元素Aの元素源として用いられる酸化物、オキソ酸、有機化合物としては、例えば、シリコン酸化物、酸化ホウ素、ホウ酸、リン酸、リン酸鉄、スクロース、ラクトース、でんぷん、アミロース、セルロース、マンナン、ゲルマニウム酸化物、ビスマス酸化物等を用いることができる。添加される元素Aの元素源として、上記のうち、複数種の原料を用いても良い。用いる金属酸化物の具体例としては、Al、SiO、HBO、B、HPO、FePO・2(HO)、GeO、Bi等が挙げられる。
<炭素材>
また導電性を確保するため、活物質中に導入される炭素材としては、人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化炭素類、気相法炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノファイバ、フラーレン、グラフェン等を用いることができる。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンナノファイバとしては、ピッチ系カーボンナノチューブ、PAN系カーボンナノチューブ等が挙げられる。
この中でも特に金属酸化物との親和性の良い粒径の炭素材を用いることでより良好な炭素材のネットワークが形成可能になる。親和性を上げるためには具体的に、炭素材の一次粒子の粒子径が、金属酸化物の粒子径と同程度であるか、それ以下の粒径である炭素材を用いることが好ましい。この中でもケッチェンブラックは一次粒子の粒径が小さく、導電性を確保する上では好ましい。また、これらの炭素材を極性溶媒中で加熱加圧した材料を炭素材として用いても良い。
<負極活物質の製造方法>
負極活物質である一般組成式、Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10)を合成する手法としては、例えば一般的な固相反応法を用いて合成することができる。以下、負極活物質としてFeNb11Si29−xを合成する方法を例にとり説明する。負極活物質は、原料粉の混合工程と、焼結工程とを有する製造方法によって製造することができる。
まず、混合工程では負極活物質の原料を混合する。原料としては、Fe、SiO、及びNbを用いることができる。これらの原料粉の大きさは特に限定されるものではないが、合成後のFeNb11Si29−zよりも小粒径の原料を用いることが好ましい。これは焼結工程においてオストワルト成長するため、合成後の物質は原料粉に比べて大粒径化しやすいためである。混合工程での材料混合にはボールミル等の粉砕機等を用いても良い。湿式・乾式双方が有効であるが、均一に混合するためには湿式を用いることが好ましい。湿式にするための溶媒としては例えば、水、エタノール等が挙げられる。原料粉を水、エタノール等の溶媒中に分散させた後、適切なボールを用いて300rpmで1時間以上混合することにより、溶媒に分散された懸濁液が得られる。この、懸濁液より溶媒を分離することで、原料が略均一に混合された混合粉末を得ることができる。溶媒を分離する方法としては、遠心分離やエバポレータを用いた溶媒の減圧蒸留、ろ過等を用いることができる。
次に、焼結工程では、混合工程により得られた混合粉末を、所定の温度及び雰囲気下で焼結する。具体的には混合粉末を焼結容器に入れた後、電気炉の中に入れて焼結する工程である。焼結温度としては600℃〜1450℃、好ましくは800℃〜1350℃、最も好ましくは900℃〜1250℃が挙げられる。焼結温度を高温にし過ぎると、結晶構造がAmma構造から変態する。一方で低温で焼結し過ぎると所望のAmma構造を得ることができない。さらに、1250℃以上の高温にすると、粒子径が粗大化する傾向がある。焼結時間としては2時間以上、より好ましくは4時間以上が挙げられる。より均一に材料を焼結させるという観点から2時間以上の焼結時間は必要である。一方で、長時間、高温で焼結する場合、粒子径が粗大化する傾向がある。焼結時の雰囲気としては、酸素雰囲気下、大気雰囲気下等の酸化雰囲気下での合成でも良いし、N雰囲気や、Ar雰囲気、CO雰囲気等の還元雰囲気下での合成でも良い。酸化雰囲気下での合成ではFeNb1129−aであらわされるaの量が小さくなる傾向があり、還元雰囲気下ではxの量が大きくなる傾向がある。ただし、どちらの雰囲気下でも主相の結晶構造がAmma構造を持つ結晶を得ることができる。なお、炭素源を焼結する場合の雰囲気は、N雰囲気、Ar雰囲気、CO雰囲気等の還元雰囲気下での合成が好ましい。これは酸化雰囲気下では、炭素源が燃焼によりCO等の気体となり、元素置換や被覆のために使用される炭素の量が減少するためである。C添加については、原料粉とともに混ぜて900〜1250℃の温度で焼結することで得ても良いし、FeNb1129を合成した後にFeNb1129の粉末とともに炭素源をボールミル等で混合した後、再度600〜800℃の温度、より好ましくは650℃〜750℃で焼結することで一般組成式、Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10)を合成しても良い。
これらの材料はこの後、より低温、例えば300℃〜600℃程度の温度で、酸化雰囲気下でポストアニールを実施することによりx量を減少させても良い。
通常、固相反応法によって合成された本発明における一次粒子は、必要に応じて分級しても良い。また、分級した一次粒子を互いに異なる粒度群同士で組み合わせて負極活物質を得ても良い。
以上の製造方法によって得られる負極活物質は、負極200の材料として用いることができる。負極活物質は、バインダ、炭素材等と、溶媒中で混練して負極合剤を調製することができる。調製した負極合剤を負極集電体220に塗工し、塗工した負極合剤を乾燥させることによって、図1に示すような負極合剤層210を形成することができる。
また、以上の製造方法によって得られる負極活物質は、図1に示すような負極合剤層210を形成することにより、正極100と、負極200と、セパレータ300とを備える二次電池とすることができる。このような二次電池は、例えば、携帯電話、携帯用パソコン等の移動体用電源や、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道車両、ハイブリッド鉄道車両、船舶等の電源や、電力貯蔵用の定置電源等の各種の用途に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
<負極活物質の作製>
負極活物質は、固相反応法を用いて、次の手順で合成した。はじめに、Fe及びNb及びBの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、RuOと、HBOを秤量し、合計2gになるように粉末の量を調整した。その後、直径3mmのジルコニウムのボールを40g入れたボールミルポットの中に投入した。その後、6gのエタノールをミルポットの中に入れた後、300rpmの速度で1時間ボールミルをした。その後、エバポレータを用いて懸濁液からエタノールを分離した後、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で1250℃、Air下で焼結することで目的物を得た。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図2にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極200は、次の手順で合成した。合成した負極活物質と、炭素材と、バインダとを、N−メチルー2−ピロリドン:NMPを加えて混合・混練して、スラリー状の負極合剤を調製した。炭素材にはケッチェンブラックを用いた。バインダとしては、アクリル系バインダを用いた。混合比は、固形分比で考えて負極活物質:ケッチェンブラック:バインダ=80wt%:10wt%:10wt%とした。調製した負極合剤を集電箔上に塗工し、乾燥させて負極合剤層を形成した後に、負極合剤層を所定の密度となるようにプレスして負極を得た。
<可逆容量の測定>
作製した負極と、対極としての金属リチウムとを用いて、リチウムイオン二次電池である単極セルを作製した。負極活物質の容量を380mAh/gと仮定し、電極中の負極活物質重量を計算し、380mAh/gを乗じた際に算出される電流値を1Cと設定した。単極セルを0.2Cの定電流で終止電圧0.8Vまで放電してLiを挿入した後、0.2Cの定電流で終止電圧3Vまで充電した。この放電過程及び充電過程の組み合わせを1サイクルとして測定した。可逆容量は、放電してLiを挿入した後、3Vまで充電する際に生じる容量とした。測定の結果、可逆容量は270.6mAh/gとなることが明らかとなった。
<実施例2>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びBの化学両論比が1:11:1.0となるようにFeと、RuOと、HBOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例1と同様にして作製した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図2にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は260.1mAh/gとなった。
<実施例3>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びAl及びNb及びBの化学両論比が0.5:0.5:11:0.25となるようにFeと、Alと、Nbと、HBOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例1と同様にして作製した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図2にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は268.9mAh/gとなった。
<比較例1>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は次のように作製した。まず、Fe及びNbの化学両論比が1:11となるようにFeと、Nbを秤量し、合計2gになるように粉末の量を調整した。その後、直径3mmのジルコニウムのボールを40g入れたボールミルポットの中に投入した。その後、6gのエタノールをミルポットの中に入れた後、300rpmの速度で1時間ボールミルをした。その後、遠心分離により懸濁液からエタノールを分離した後、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で1250℃、Air下で焼結することで目的物を得た。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属するFeNb1129−xの結晶相が得られた。図2にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は249.8mAh/gとなった。
<実施例4>
<負極活物質の作製>
負極活物質は、固相反応法を用いて、次の手順で合成した。はじめに、Fe及びNb及びSiの化学両論比が1:11:0.25となるようにFeと、Alと、SiOを秤量し、合計2gになるように粉末の量を調整した。その後、直径3mmのジルコニウムのボールを40g入れたボールミルポットの中に投入した。その後、6gのエタノールをミルポットの中に入れた後、300rpmの速度で1時間ボールミルをした。その後、遠心分離により懸濁液からエタノールを分離した後、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で1250℃、Air下で焼結することで目的物を得た。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図3にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は269.6mAh/gとなった。
<実施例5>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びSiの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、RuOと、SiOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図3にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は270.7mAh/gとなった。
<実施例6>
<負極活物質の作製>
負極活物質は、固相反応法を用いて、次の手順で合成した。はじめに、Fe及びNb及びPの化学両論比が1:11:0.25となるようにFeと、FePO・2(HO)と、Nbを秤量した以外は実施例4と同様にした。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図4にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は255.6mAh/gとなった。
<実施例7>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びPの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、FePO・2(HO)と、Nbを秤量した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図4にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は253.6mAh/gとなった。
<実施例8>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNbの化学両論比が1:11となるようにFeと、Nbを秤量して、混合工程を実施した。その後、Air下で1250℃で4hの焼結過程を実施し、元素置換していないFeNb1129を得た。その後、FeNb1129及びCのモル比が1:0.025となるように、重量比では約100:7wt%となるようにFeNb1129及びスクロース(C122211)を秤量した後、直径3mmのジルコニウムのボールを40g入れたボールミルポットの中に投入した。その後、6gのエタノールをミルポットの中に入れ、300rpmの速度で1時間ボールミルをした。その後、エバポレータを用いて懸濁液からエタノールを分離し、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で730℃、Ar下で焼結することで目的物を得た。この際、一部の炭素はFNOへの元素置換と同時に、活物質の表面に被覆層として残留するものと考えられる。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図5にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は241.2mAh/gとなった。可逆容量は比較例1に比べ減少したものの、仕込みの炭素源の添加量を用いて、FeNb1129自体の可逆容量を計算すると、258.1mAh/gと試算でき、負極活物質の可逆容量は向上したものと考えられる。焼結後に残存している炭素の残存量は仕込み量である7wt%より少ない。
<実施例9>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びCの化学両論比が1:11:0.025となるようにFeと、Nbと、スクロースを秤量して、混合工程を実施した。その後、エバポレータを用いて懸濁液からエタノールを分離し、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で900℃、N下で焼結することで目的物を得た。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図5にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は257.7mAh/gとなった。
<実施例10>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びCの化学両論比が1:11:0.025となるようにFeと、Nbと、スクロースを秤量して、混合工程を実施した。その後、エバポレータを用いて懸濁液からエタノールを分離した後、60℃で10時間以上真空乾燥した。その後、焼結皿の上に材料を乗せ、電気炉の中で1050℃、N下で焼結することで目的物を得た。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図5にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は262.0mAh/gとなった。
<実施例11>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びGeの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、Nbと、GeOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図6にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は255.3mAh/gとなった。
<実施例12>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びGeの化学両論比が0.5:11:0.5となるようにFeと、Nbと、GeOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図6にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は254.1mAh/gとなった。
<実施例13>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びGeの化学両論比が0.5:11:1.0となるようにFeと、Nbと、GeOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図6にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は254.1mAh/gとなった。
<実施例14>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びBiの化学両論比が0.5:11:0.5となるようにFeと、Nbと、Biを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図7にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は265.0mAh/gとなった。
<比較例2>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びMgの化学両論比が1:11:0.25となるようにFeと、Nbと、MgOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図8にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は249.2mAh/gとなった。
<比較例3>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びMgの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、Nbと、MgOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図8にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は236.2mAh/gとなった。
<比較例4>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びCaの化学両論比が1:11:0.5となるようにFeと、Nbと、CaCOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図8にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は234.6mAh/gとなった。
<比較例5>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びCaの化学両論比が1:11:1.0となるようにFeと、Nbと、CaCOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属する結晶相が得られた。図8にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は212.1mAh/gとなった。
<比較例6>
<負極活物質の作製>
本実施例における負極活物質は、Fe及びNb及びLiの化学両論比が1:11:10となるようにFeと、Nbと、LiCOを秤量して混合工程を実施した以外は実施例4と同様にして合成した。
<結晶相の同定>
XRDを用いて結晶相を同定したところ、主相が、空間群Ammaに属さない結晶相が得られた。図8にXRD結果を示す。
<負極200の作製>
負極の作製方法は実施例1と同様にした。
<可逆容量の測定>
可逆容量の測定方法は実施例1と同様にした。その結果、可逆容量は83.5mAh/gとなった。
<計測結果>
表1に、実施例及び比較例のパラメータ及び計測結果を示す。なお、この中で特にCを添加した試料では、実施例でも示したように、C源がCOやCO等として無くならないようにN雰囲気下で焼結しているが、実施例8では、900℃以下の温度で焼結した場合、Ammaの結晶構造が得られにくいため、一旦1250℃でFeNb1129を合成した後に、炭素源を混合することで本発明における活物質を得た。
Figure 2021157936
<考察>
実施例1〜14と比較例1の結果から、13族〜15族に属する元素で元素置換を行うか、あるいは表面に析出させることでFeNb1129の一部を被覆した材料は、無置換である比較例1に比べて可逆容量が向上することが明らかとなった。加えて、実施例3より、可逆容量上昇の効果はAlとBの同時置換材料でも現れ、比較例1の性能を上回ることが分かり、他の元素置換との同時適用も可逆容量向上に効果があることが分かった。以上から、13〜15族に属する元素を用いた元素置換を試みた場合、無置換材料に比べて性能向上が得られることが分かった。この原因については明らかではないが、以下の原因の組み合わせと考えられる。つまり、添加元素Aの存在により、活物質のオストワルト成長が抑制され、微粒子化が進むこと、電子伝導性の低いFeNb1129の導電性が、酸素サイトへの一部元素置換により向上すること、導電性の良い析出物としてAが存在することで電極としてのFeNb1129負極の電子伝導性が確保できること、添加元素により充放電時のLiの拡散性が向上することである。
図9に、B、Si、P、Cを添加した材料のSEM−EDX測定結果を無添加の試料と比較して示す。図9から、材料の一次粒子表面及び内部にSiやPやCが均一に分散していることが分かるとともに、これらの元素を添加しない場合に比べて粒子径が小さく、結晶成長が抑制されていることが明らかとなった。このため可逆容量が向上した可能性がある。加えて、B、Si、P、Cは、凝集することなく分散していることが分かる。そのため、活物質において一部置換されるか、あるいは活物質の表面に析出することで、活物質の一部あるいは活物質の全部を被覆しているものと考えることができる。
一方で、比較例で示すように、2族の元素であるMg及びCa置換では可逆容量が大きく低下した。これらの原因としては、1族及び2族の元素置換ではLiサイトへの元素置換が進み、Liイオンが収蔵できるサイトが異種元素で占有された結果、可逆容量が低下するものと考えられる。
また、Liを元素置換した比較例6では可逆容量の低下が大きく、さらに図8に示すように主相が空間群Ammaとならず、図中で▽とした、FeNb1129由来以外の不純物ピークが主相となった。これは、固相反応が進む温度ではAmmaに由来するFeNb1129の構造が安定相ではないことを意味しており、固相反応法で元素置換を進めるのは不適切であることを意味する。
15族、14族の重元素であるBiやGeでも、置換による可逆容量の上昇が見られたことから、13〜15族の元素は元素数によらず可逆容量向上が見込めるものと考えられた。以上から、13族〜15族に属する元素を添加することで可逆容量が向上する傾向が現れることが明らかとなった。
100 正極
110 正極合剤層
120 正極集電体
130 正極タブ
200 負極
210 負極合剤層
220 負極集電体
230 負極タブ
300 セパレータ
400 電極体

Claims (4)

  1. 一般組成式:Fe1−xNb11−y29−z−ax+y+z(0≦x≦1、0≦y≦11、−10≦z≦10であり、AはAl、Si、B、P、C、Ge及びBiからなる群より選択される一種以上である)で表される負極活物質。
  2. 表面の一部又は全部が前記Aにより被覆されている請求項1に記載の負極活物質。
  3. 請求項1に記載の負極活物質を有する負極。
  4. 正極と、請求項3に記載の負極と、セパレータと、を備える二次電池。
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