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JP2020518573A - 2−([1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の製造 - Google Patents

2−([1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の製造 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)の特定の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の製造方法に、式(IK)の当該2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体のカリウム塩の特定の結晶形に、当該式(I)の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の特定の結晶形に、そして、(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノン等の医薬の製造におけるそれらの使用に関する。【化1】【選択図】 なし

Description

本発明は、式(I)の特定の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の製造方法に、式(I)の当該2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体のカリウム塩の特定の結晶形に、当該式(I)の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の特定の結晶形に、そして、医薬、特に(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノン等の特定のオレキシン受容体アンタゴニストの製造におけるそれらの使用に関する。
2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸部分を含むオレキシン受容体アンタゴニストは、例えば、WO2008/020405;WO2008/038251;WO2008/081399;WO2008/139416、WO2008/150364、WO2011/050200、WO2012/148553、WO2013/068935、WO2013/169610、WO2013/182972、WO2014/057435、WO2104/141065、WO2015/083071、WO2015/083070、WO2015/083094、WO2016/020403、J.Med.Chem.2010、53、5320-5332、Current Topics in Medicinal Chemistry、2011、11、696−725から知られている。
2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の製造の通常の条件は、高温/マイクロ波条件下において、高沸点溶媒(DMF)中で、CsCO及びヨウ化銅(I)(CuI)の存在下、対応する2−ヨード−安息香酸誘導体の1H−[1,2,3]トリアゾールとのカップリング反応を行う工程を有する。精製法は、一般的に、i) 酸性化した反応混合物からの位置異性体の混合物の抽出、及び、ii) EtOAc中におけるスラリー化若しくはEtOAcからの結晶化による、及び/又は、フラッシュクロマトグラフィー/分取用HPLCによる、望ましくない位置異性体の除去のシークエンス、すなわち、大規模な工業的生産には一般的には適さない条件を使用する。
例えば、WO2015/083071、WO2015/083070及びWO2015/083094は、5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−安息香酸:
が、フラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを用いることなく得られることを開示するが、6%のトリアゾールN1−位置異性体を不純物として含んでいる。
WO2011/050200は、位置異性化合物である4−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−安息香酸(中間体49)の合成に対するアプローチを開示しており:
上記アプローチによれば、対応する2−ブロモ−安息香酸誘導体:2−ブロモ−4−メトキシ−安息香酸を出発物質として、ジオキサン中100℃にて、CsCO/CuI/(1R,2R)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミンを用いる。精製は前記の通常の条件と同様であった。WO2011/050200は、位置異性化合物である5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−安息香酸(中間体61)及び化合物、5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−安息香酸(中間体59)も開示しており、これらは対応するヨード−安息香酸から、上記の通常の条件を用いて製造された。
WO2013/068935は、化合物、4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−安息香酸(中間体E−4):
を含む数種の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の、対応するヨード−安息香酸誘導体を出発物質とする合成を開示する。
上記の参照文献の幾つかに開示されるメディシナルケミストリー的製法に加え、大規模な工業的生産に適する特定の製法が開示されている。例えば、WO2013/169610及びC.A.Baxterら(Organic Process Research & Development 2011、15、367−375)は、スボレキサント(suvorexant)(MK−4305)の大規模な製法を開示する。2−([1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体5は、対応するヨウ化物19を出発物質として製造される。
THF/DMF中65℃にて、CuI/KCOを用いた最適化条件下において、位置異性体5/20が81:19の比率で生成した。Baxterらは、「本化合物は5に比べて溶解性が低いことから、結晶化により位置異性体20を排除する試みは多くの条件下において成功しなかった。そのため、塩の形成を介する精製を探求した。セシウム及びカリウム塩については顕著な改良は得られなかった;しかしながら、溶媒の体積を調整してTHF中でナトリウム塩を形成することにより、望ましくない異性体が排除されたが、約15%の所望の異性体が代償となった。」と述べている。
詳細な精製方法は、i) 酸性化した反応混合物からの位置異性体の混合物の抽出、ii) ナトリウムtert.−ブトキシドを用いたTHF中におけるナトリウム塩の形成、結晶化及びろ過、iii) 塩解離(salt breaking)及び結晶化、並びにiv) 再結晶化して、174−176℃の融点(WO2013/169610では167.5℃)を有する5を60%の収率で得る(Baxterら)、というシークエンスを使用する。
本発明は、対応するヨード−誘導体よりも一般的に低コストで、従って入手が容易な各ブロモ−安息香酸前駆体からの式(I)の特定の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の新規な製造方法を提供する。本方法は、例えば式(I)の各2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩を反応混合物から沈殿させることによる直接固液分離を使用するため、位置異性体が富化された結晶性の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩を得る短縮化された方法となる。結晶性カリウム塩は新規であり、塩解離(salt break)の後、式(I)の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の新規な結晶形となり、これは位置異性体として本質的に純粋であり、特定のオレキシン受容体アンタゴニストの合成における重要な中間体となり得る。従って、本方法は、結晶性の及び位置異性体として本質的に純粋な結晶性の式(I)の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体を得るために必要な工程数を減らし、薬学的に活性な化合物の効率的な大規模合成に適するであろう。
図1は、実施例1.1の化合物である結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):6.7°(100%)、7.4°(24%)、8.7°(10%)、15.4°(43%)、16.4°(16%)、20.2°(10%)、21.7°(10%)、23.3°(18%)、24.4°(9%)、27.0°(87%)、28.1°(15%)、31.4°(85%)。 図2は、実施例1.2から得られるような結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定した粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):5.7°(66%)、11.5°(66%)、16.0°(24%)、16.1°(20%)、16.3°(19%)、17.2°(100%)、18.9°(29%)、19.7°(25%)、21.3°(37%)、23.7°(19%)、25.0°(75%)、27.0°(12%)、27.9°(14%)。 図3は、実施例1.3の化合物である結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):6.7°(15%)、8.4°(19%)、10.8°(100%)、12.3°(15%)、15.1°(33%)、16.4°(11%)、17.5°(12%)、20.6°(10%)、21.8°(24%)、24.7°(14%)、25.0°(25%)、25.9°(35%)、27.1°(63%)、27.9°(12%)、28.8°(29%)。図3はさらに、12.1°(6%)、24.1°(5%)、30.1°(36%)、31.3°(52%)、31.8°(11%)、34.1°(23%)において、KHCO不純物に起因する可能性があるピークを示す。 図4は、実施例2.1の化合物である結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):5.4°(100%)、8.8°(1%)、10.7°(56%)、12.0°(1%)、16.1°(60%)、21.6°(5%)、23.3°(4%)、24.2°(3%)、27.0°(21%)、32.6°(8%)。 図5は、実施例2.2から得られるような結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定した粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):6.2°(11%)、11.3°(2%)、12.5°(100%)、13.3°(2%)、15.1°(7%)、17.0°(4%)、17.8°(3%)、18.8°(15%)、22.6°(4%)、25.2°(8%)。 図6は、参照実施例3.1の化合物である結晶性5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸ナトリウム塩の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定した粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):6.5°(100%)、7.7°(91%)、11.9°(18%)、12.9°(5%)、13.9°(3%)、15.3°(47%)、17.5°(20%)、18.6°(6%)、19.0°(13%)、19.2°(9%)、20.1°(28%)、21.7°(7%)、23.2°(24%)、23.6°(38%)、24.5°(5%)、25.6°(17%)。 図7は、参照実施例3.2の化合物である結晶性5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定した粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):10.4°(3%)、11.8°(10%)、13.0°(100%)、13.9°(44%)、15.8°(8%)、16.6°(74%)、17.5°(5%)、18.1°(13%)、21.1°(41%)、21.3°(10%)、21.6°(12%)、21.9°(58%)、23.3°(62%)、23.8°(37%)、24.1°(16%)、24.6°(1%)、25.6°(6%)、26.6°(71%)、28.0°(32%)、29.4°(3%)、30.0°(2%)、30.5°(11%)。 図8は、参照実施例1から得られるような結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の粉末X線回折ダイアグラムを示す。方法2により測定した粉末X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3−40°の範囲の2シータからの選択したピークを報告する。):11.4°(28%)、12.3°(44%)、14.6°(21%)、14.7°(10%)、15.5°(15%)、18.7°(11%)、20.8°(14%),21.3°(76%)、23.1°(10%)、23.6°(100%)、24.8°(16%)、25.6°(16%)、29.9°(11%)。
いかなる疑義をも避けるために、上記のピークは、上記の図に示す粉末X線回折の実験結果を記述する。上記のピークのリストとは対照的に、本発明の各結晶形の各化合物/化合物の塩を完全に及び明確に特徴づけるためには、選択された特徴的なピークのみが必要であることが理解されるべきである。
X線回折ダイアグラムにおいては、屈折角2シータ(2θ)を横軸に、数値を縦軸にプロットする。
本発明の詳細な記述
1) 本発明の第1の側面は、式(I)の結晶性化合物である2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の結晶性カリウム塩の合成方法に関し:
(式中、
− Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表すか;又は、
− Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表す。);
当該方法は、式(II)の化合物:
と[1,2,3]トリアゾール:
をカップリングする工程を有し;
当該工程は、
− ヨウ化銅(I)(CuI);
− 無機カリウム塩基(特にKCO);及び
− 溶媒又は溶媒混合物であって、
−− 水混和性エーテル溶媒(特に、THF、2−メチル−THF、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン);若しくは、
−− 極性非プロトン性溶媒(特に、DMF、ジメチルアセタミド、NMP);
又は、これらの任意の混合物;
である溶媒又は溶媒混合物;
の存在下で行われ;
当該溶媒又は溶媒混合物は、式(II)の化合物に対して約5〜100vol(特に約10〜50vol、とりわけ約20〜40vol)の量で存在し;
式(II)の化合物と[1,2,3]トリアゾールの当該カップリングは、約60℃より高い温度(特に約60℃〜120℃、とりわけ約80℃〜120℃、さらには約90℃〜110℃)にて行われ;
当該式(I)の結晶性化合物は固液分離により反応混合物から単離される。
[1,2,3]トリアゾールはその互変異性型1H−[1,2,3]トリアゾール及び2H−[1,2,3]トリアゾールの形態で存在し得ることはよく理解されており、[1,2,3]トリアゾールの名称は両互変異性型を包含する。
態様1)に従う方法に使用される溶媒又は溶媒混合物は、特に、
− 水混和性エーテル溶媒、とりわけ1,4−ジオキサン;又は、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(2−Me−THF)若しくは4−メチルテトラヒドロピラン(4−Me−THP)等の、特に少なくとも60℃の沸点を有する水混和性エーテル溶媒;又は、
− 極性非プロトン性溶媒、とりわけジメチルホルムアミド(DMF);又は、ジメチルアセタミド、N−メチルピロリジン−2−オン(NMP)若しくはジメチルスルホキシド(DMSO)等の、特に極性非プロトン性アミド含有溶媒;又は、
− 1種を超える水混和性エーテル溶媒の混合物;又は、
− 1種又は2種以上の水混和性エーテル溶媒の1種又は2種以上の極性非プロトン性溶媒との混合物;
から本質的になるものと定義してもよく;
当該溶媒又は溶媒混合物は、式(II)の化合物に対して約5〜100vol(特に約10〜50vol、とりわけ約20〜40vol)の量で存在する。
そのような溶媒又は溶媒混合物の好ましい例は、水混和性エーテル溶媒である1,4−ジオキサン(ジオキサン)である。
「エーテル溶媒」という用語は、飽和直鎖若しくは分岐非環式炭化水素基、又は、1個の直鎖若しくは分岐非環式炭化水素基で任意に置換された飽和環式炭化水素基であって、2箇所で結合した(bivalently bound)少なくとも1個の酸素原子を有する、当該非環式炭化水素基又は当該環式炭化水素基からなる溶媒を意味する。「水混和性エーテル溶媒」という用語は、部分的に水混和性であるエーテル溶媒を包含する。部分的に水混和性のエーテル溶媒は、各エーテル溶媒中に溶解した水の少なくとも1%wt/wtと混和性であるエーテル溶媒と定義してもよい(そのような溶媒が部分的に混和性である場合、その溶媒はいかなる比率においても水と完全には混和性ではないものとする。)。好ましい水混和性エーテル溶媒は少なくとも60℃の沸点を有する。そのようなエーテル溶媒の例は、水混和性エーテル溶媒である1,4−ジオキサン及び1,2−ジメトキシエタン、並びに部分的に混和性のエーテル溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(2−Me−THF)及び4−メチルテトラヒドロピラン(4−Me−THP)である。
「極性非プロトン性溶媒」という用語は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド及びN−メチルピロリジン−2−オン(NMP)等の極性非プロトン性アミド含有溶媒を特に意味する。「1種又は2種以上の水混和性エーテル溶媒の1種又は2種以上の極性非プロトン性溶媒との混合物」の例は、例えば約4:1〜10:1のv/v比率の、特に約5:1のv/v比率の、THFとDMFの混合物である。すべての溶媒は、さらに乾燥を行うことなく、購入した状態で使用することができる。
態様1)の方法のカップリング反応は、前記各溶媒に加えて、式(II)の化合物に対して一定量、例えば約0.05〜2vol(特に約0.1〜1vol)の水を含有する反応混合物中で行うことが好ましい。前記各溶媒が水混和性エーテル溶媒である場合には、水混和性エーテル溶媒の水に対する比率(v/v)は、10:1(v/v)より大きく、特に約20:1〜100:1(v/v)であり、とりわけ約30:1〜80:1(v/v)である。いかなる疑義をも避けるために、反応混合物に存在するそのようなさらなる水は、本明細書の前記部分で定義したように、「溶媒」又は「溶媒混合物」の部分とは考えないものとする。
態様1)の当該方法は、無機カリウム塩基の存在下で行われる。例は、特にKCO、並びにKPO及びKHCOである。
態様1)の当該方法はリガンドの存在下で行ってもよい。例は、8−ヒドロキシキノリン、N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン及びN,N−ジメチル−エチレン−ジアミンである。極性非プロトン性溶媒(特に、とりわけジメチルホルムアミド(DMF)等の極性非プロトン性アミド含有溶媒)又はそのような溶媒を含有する混合物を使用する場合には、態様1)の当該方法は、好ましくは、前記リガンドの存在下で行われる。
態様1)の当該方法により、単離前の反応混合物中で測定した場合、位置異性体が富化された形態の式(I)の化合物が形成される(特に、70:30より大きな位置異性体比率)。態様1)に従う、反応混合物からの式(I)の結晶性化合物の固液分離による単離により、(特に、約80:20より大きい(とりわけ約85:15より大きい、さらには約90:10より大きい)位置異性体比率の)、位置異性体がさらに富化された形態の結晶性カリウム塩が得られ、位置異性体として本質的に純粋な形態の結晶性カリウム塩が得られるかもしれない。
2) 従って、別の態様は、当該固液分離から得られる式(I)の結晶性化合物の位置異性体比率;すなわち、[式(I)の化合物]:[式(IR−K)の化合物]の比率:
が、約80:20より大きい(とりわけ約85:15より大きい、さらには約90:10より大きい)態様1)に従う方法に関する。
3) 別の態様は、当該方法がヨウ化銅(I)(CuI)の存在下で行われ;ヨウ化銅(I)が、式(II)の化合物に対して約0.01eq.〜0.5eq.(特に約0.0
1eq.〜0.1eq.;とりわけ約0.05eq.)の量で存在する、態様1)又は2)に従う方法に関する。
4) 別の態様は、当該無機カリウム塩基がKCOであり;KCOが、式(II)の化合物に対して約1eq.〜10eq.(特に約1.5eq.〜5eq.;とりわけ約2eq.〜2.5eq.)の量で存在する、態様1)〜3)のいずれか1つに従う方法に関する。
5) 別の態様は、1H−1,2,3−トリアゾールが、式(II)の化合物に対して約1eq.〜10eq.(特に約1.5eq.〜5eq.;とりわけ約2eq.)の量で存在する、態様1)〜4)のいずれか1つに従う方法に関する。
6) 別の態様は、当該方法が、8−ヒドロキシキノリン、N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン及びN,N−ジメチル−エチレン−ジアミンから選択されるリガンドの存在下で行われ;当該リガンドが、式(II)の化合物に対して約0.01eq.〜0.5eq.(特に約0.05eq.〜0.2eq.;とりわけ約0.1eq.)の量で存在する、態様1)〜5)のいずれか1つに従う方法に関する。
7) 別の態様は、当該方法がリガンドの非存在下で行われる、態様1)〜5)のいずれか1つに従う方法に関する。
8) 別の態様は、当該方法が、
− 式(II)の化合物に対して約5〜100vol(特に約10〜50vol、とりわけ約20〜40vol)の量で存在する、水混和性エーテル溶媒である溶媒(特にジオキサン);及び
− 式(II)の化合物に対して特に約0.05〜2vol(とりわけ約0.1〜1vol)の量の水;
の存在下で行われ;
好ましくは、水混和性エーテル溶媒の水に対する比率が、約10:1(v/v)より大きく;特に約10:1〜200:1(v/v)であり;とりわけ約20:1〜100:1(v/v)であり;さらには約30:1〜80:1(v/v)である;
態様1)〜7)のいずれか1つに従う方法に関する。
9) 別の態様は、反応混合物からの固液分離による式(I)の結晶性化合物の単離の前に、反応混合物中の水の量を減少させ;特に、反応混合物の総体積を、(例えば、減圧下における蒸発により、又は、大気圧下における蒸留により)元の体積の約50%〜80%(特に約80%〜90%)の体積に減少させる、態様8)に従う方法に関する。
10) 別の態様は、反応混合物からの固液分離による式(I)の結晶性化合物の単離の前に、かつ、態様9)の工程に続いて、さらなる水混和性エーテル溶媒を反応混合物に添加する(特に、反応混合物の前記蒸発体積をほぼ同体積の当該水混和性エーテル溶媒で置き換える)、態様9)に従う方法に関する。
11) 別の態様は、反応混合物からの固液分離による式(I)の結晶性化合物の単離の前に、反応混合物を約50℃未満の温度に、特に約20℃〜40℃に冷却する、態様1)〜10)のいずれか1つに従う方法に関する。
12) 別の態様は、反応混合物の当該冷却を、約2時間又はそれより短い時間内に、特に約1時間又はそれより短い時間内に行う、態様11)に従う方法に関する。
態様1)の方法の範囲には包含されないが、態様1)〜12)の方法は、同様に、そして無機カリウム塩基の代わりに無機ナトリウム塩基(特にNaCO)を用いることにより、結晶性かつ位置異性体として本質的に純粋な5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸ナトリウム塩の製造にも適用することができる。
13) 本発明の第2の側面は、式(I)の化合物の結晶形であって;
− Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表し(すなわち、そのような式(I)の化合物は結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩である。);
a) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.7°、7.4°、15.4°、23.3°、27.0°におけるピークの存在;若しくは、
b) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.8°、15.1°、25.0°、25.9°、27.1°におけるピークの存在;
により特徴づけられるか:又は、
− Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表し(すなわち、そのような式(I)の化合物は、結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩である。);
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.4°、10.7°、16.1°、21.6°、27.0°におけるピークの存在;
により特徴づけられる:
式(I)の化合物の結晶形に関する。
態様13)に従う結晶形は、それぞれの2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の結晶性カリウム塩、すなわちそれぞれの式(I)の結晶性化合物を包含するものとする。さらに、当該結晶形は非配位及び/又は配位溶媒を有するかもしれない。配位溶媒は、本明細書において、結晶性溶媒和物についての用語として使用される。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理補足溶媒についての用語として使用される(Polymorphism in the Pharmaceutical Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Chapter 8:U.J.Griesser:The Importance of Solvatesによる定義)。態様13)に従う結晶形は、特に配位水を含有しないが、非配位水を含有してもよい。
14) 別の態様は、
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.7°、7.4°、8.
7°、15.4°、16.4°、20.2°、23.3°、24.4°、27.0°、28.1°におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:8.4°、10.8°、12.3°、15.1°、17.5°、25.0°、25.9°、27.1°、27.9°、28.8°におけるピークの存在;により特徴づけられる:
態様13)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩に関する。
15) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.8°、15.1°、25.0°、25.9°、27.1°における(特に、8.4°、10.8°、12.3°、15.1°、17.5°、25.0°、25.9°、27.1°、27.9°、28.8°における)ピークの存在;により特徴づけられ;約280℃の融点を有し、溶融が、(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される発熱分解(exothermic degradation)と同時に起こる;
態様13)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩に関する。
16) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.4°、8.8°、10.7°、12.0°、16.1°、21.6°、23.3°、24.2°、27.0°、32.6°におけるピークの存在;により特徴づけられる;態様13)に従う結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩に関する。
17) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.4°、10.7°、16.1°、21.6°、27.0°における(特に、5.4°、8.8°、10.7°、12.0°、16.1°、21.6°、23.3°、24.2°、27.0°、32.6°における)ピークの存在;により特徴づけられ;約277℃の融点を有し、溶融が、(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される発熱分解と同時に起こる;態様16)に従う結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸カリウム塩に関する。
さらに、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.5°、7.7°、11.9°、15.3°、17.5°、19.0°、20.1°、21.7°、23.6°、25.6°におけるピークの存在;により特徴づけられる;5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸ナトリウム塩の結晶形が開示される。
18) 本発明の第3の側面は、当該単離した式(I)の結晶性化合物:
(式中、
− Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表すか;又は、
− Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表す。);
を、それぞれの結晶性2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体である式(I)の化合物:
[式(I)の化合物において、R及びRは、式(I)の化合物について前記部分で定義した通りであるものとする。]にさらに変換する、態様1)〜12)のいずれか1つに従う方法に関し、
当該方法は酸性水性媒体からの結晶化工程を有する。
19) 別の態様は、下記の工程:
(i) 特に当該単離した式(I)の結晶性化合物を水性媒体中に溶解することにより、式(I)の化合物を含有する塩基性水溶液を調製する工程[そのような水性媒体は、水又は(アルカリ金属水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩の水溶液等の)塩基性水性媒体であってよいものとする。];
(ii) 当該式(I)の化合物を含有する塩基性水溶液を酸性化することにより当該式(I)の化合物を結晶化する工程;及び
(iii) 当該式(I)の結晶性化合物を固液分離により単離する工程;
を有する;態様18)に従う方法に関する。
従って、態様18)及び19)の当該方法は水性媒体中における塩解離を伴い、(特に、98:2より大きい位置異性体比率の、とりわけ位置異性体として純粋な形態の)位置異性体として本質的に純粋な形態の式(I)の化合物の結晶化工程を有する。
20) 従って、別の態様は、単離した式(I)の結晶性化合物の位置異性体比率;すなわち、[式(I)の化合物]:[式(I)の化合物]の比率:
が、少なくとも約98:2であり;特に式(I)の結晶性化合物が位置異性体として純粋な形態で得られる、態様18)又は19)に従う方法に関する。
21) 別の態様は、[態様19)の工程(ii)に対応する]当該結晶化工程を、約30℃〜60℃の温度で;好ましくは、約40℃〜55℃の温度で;特に約40℃〜50℃で行う;態様18)〜20)のいずれか1つに従う方法に関する。
22) 別の態様は、当該式(I)の結晶性化合物を[態様19)の工程(iii)に対応する]固液分離により単離し;当該固液分離を、約10℃〜50℃の温度で;好ましくは、約20℃〜45℃の温度で、特に約30℃〜40℃の温度で行う;態様18)〜21)のいずれか1つに従う方法に関する。
23) 別の態様は、[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程の前に、[例えば、態様19)の工程(i)に従って、当該式(I)の化合物を水性媒体中に溶解することにより得られる]当該式(I)の化合物の水溶液を:
a) (例えば、標準的なろ過技術;又は、標準的なろ過技術及び活性炭を通したさらなるろ過を用いる)ろ過工程;及び/又は
b) 式(I)の化合物をまず有機性非水混和性溶媒中に抽出し;次いで、当該有機性非水混和性溶媒から塩基性水溶液中に抽出する少なくとも2種の液−液分離のシークエンスを有する洗浄工程であって;次いで、当該塩基性水溶液を、態様18)〜21)のいずれか1つに従う方法の[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程に使用する、洗浄工程;
に付す、態様18)〜22)のいずれか1つに従う方法に関する。
態様23)の変形b)に従う液−液分離のシークエンスを有するそのような洗浄工程は、例えば下記の工程を意味する:
(b1) 例えば、態様19)の工程(i)に従って得られる式(I)の化合物を含有する塩基性水溶液を酸性化し;式(I)の化合物を(特にtert.−ブチル−メチルエーテル(TBME)等の)有機性非水混和性溶媒中へ抽出する工程;
(b2) 工程(b1)において得られた有機相を(無機酸水溶液、特に硫酸又は塩酸水溶液等の)酸性水溶液で洗浄する任意の工程;及び
(b3) 工程(b1)又は(b2)において得られた有機相から、式(I)の化合物を(アルカリ金属水酸化物又は炭酸塩溶液、特に水酸化ナトリウム又は水酸カリウム水溶液
等の)塩基性水性媒体中に抽出する工程であって;次いで、当該塩基性水溶液を、態様18)〜21)のいずれか1つに従う[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程に使用する、工程。
24) 別の態様は、[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程において、無機酸水溶液を用いて当該塩基性水溶液[そのような無機酸水溶液は、特に、硫酸水溶液(とりわけ約10%〜30%の硫酸水溶液;さらには約20%の硫酸水溶液);又は塩酸水溶液(特に、約10%〜32%の塩酸水溶液;さらには約32%の塩酸水溶液)である。]を酸性化する、態様18)〜23)のいずれか1つに従う方法に関する。
25) 別の態様は、[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程において、当該酸性水溶液が、約4未満、特に約3未満、さらには約1〜3の間のpHを有する、態様18)〜24)のいずれか1つに従う方法に関する。
26) 別の態様は、[態様19)の工程(ii)に対応する]結晶化工程の間に、シードクリスタルを水性混合物に添加し;当該シードクリスタルを添加する時に、当該混合物のpHが約6又はそれ未満、特に約4〜3である、態様18)〜25)のいずれか1つに従う方法に関する。
態様18)の方法の範囲には包含されないが、態様18)〜26)の方法は、同様に、そして式(I)の化合物よりもむしろ結晶性かつ位置異性体として本質的に純粋な5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸ナトリウム塩を出発物質として用いることにより、結晶性かつ位置異性体として本質的に純粋な5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の製造にも適用することができる。
27) 本発明の第4の側面は、式(I)の化合物の結晶形であって;
− Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表し(すなわち、そのような式(I)の化合物は結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸である。);
a) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、17.2°、21.3°、25.0°におけるピークの存在により特徴づけられ;若しくは、
b) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:11.4°、12.3°、15.5°、21.3°、23.6°におけるピークの存在により特徴づけられるか;
又は、
− Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表し(すなわち、そのような式(I)の化合物は、結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸である。);
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.2°、12.5°、15.1°、18.8°、25.2°におけるピークの存在により特徴づけられる;
式(I)の化合物の結晶形に関する。
態様27)に従う結晶形は、それぞれの結晶性2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体、すなわちそれぞれの式(I)の結晶性化合物を包含するものとする。さらに、当該結晶形は非配位及び/又は配位溶媒を有するかもしれない。配位溶媒は、本明細書において、結晶性溶媒和物についての用語として使用される。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理補足溶媒についての用語として使用される(Polymorphism in the Pharmaceutical
Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Chapter 8:U.J.Griesser:The Importance of Solvatesによる定義)。態様27)に従う結晶形は、特に配位水を含有しないが、例えば非配位水を含有してもよい。
28) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、16.0°、17.2°、18.9°、19.7°、21.3°、23.7°、25.0°、27.9°におけるピークの存在;により特徴づけられる;態様27)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
29) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、17.2°、21.3°、25.0°における(特に、5.7°、11.5°、16.0°、17.2°、18.9°、19.7°、21.3°、23.7°、25.0°、27.9°における)ピークの存在;により特徴づけられ;(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される約80℃の融点を有する;態様27)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
30) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:11.4°、12.3°、14.6°、15.5°、21.3°、23.1°、23.6°、24.8°、25.6°、29.9°におけるピークの存在;により特徴づけられる;態様27)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
31) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、17.2°、21.3°、25.0°における(特に、11.4°、12.3°、14.6°、15.5°、21.3°、23.1°、23.6°、24.8°、25.6°、29.9°における)ピークの存在;により特徴づけられ;(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される約130〜131℃の融点を有する;態様27)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
32) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.2°、11.3°、12.5°、13.3°、15.1°、17.0°、17.8°、18.8°、22.6°、25.2°におけるピークの存在;により特徴づけられる;態様27
)に従う結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
33) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.2°、12.5°、15.1°、18.8°、25.2°における(特に、6.2°、11.3°、12.5°、13.3°、15.1°、17.0°、17.8°、18.8°、22.6°、25.2°における)ピークの存在;により特徴づけられ;(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される約125℃の融点を有する;態様27)に従う結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸に関する。
さらに、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:11.8°、13.0°、13.9°、16.6°、21.1°、21.9°、23.3°、23.8°、26.6°、28.0°におけるピークの存在;により特徴づけられる;5−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の結晶形が開示される。当該結晶形は、(例えば、本明細書に記載の方法を用いることにより)示差走査熱量測定により測定される約173℃の融点を有する。
34) 本発明のさらなる側面は、本特定の場合において、結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸;特に態様28)又は29)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸である式(I)の結晶性化合物;が、化合物、(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノン;又はその薬学的に許容される塩にさらに変換される、態様18)〜26)のいずれか1つに従う方法に関する。同様に、本発明は、(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノンの;又はその薬学的に許容される塩の製造における、結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の;特に態様28)又は29)に従う結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸の使用に関する。
態様34)に従うそのような変換は、特にWO2013/182972、WO2015/083071、WO2015/083070及びWO2015/083094中に記載されており、これらの参照文献はその全体が本明細書に取り込まれる:特に、当該結晶性5−メトキシ−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸は、(例えば、標準的なアミドカップリング条件下で)(S)−5−クロロ−4−メチル−2−(2−メチルピロリジン−2−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールとカップリングし、オレキシン受容体アンタゴニストである(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノンを生成する。
あるいは、そのような多工程変換は、5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸を、標準的アミドカップリング条件下でメチル (S)−2−メチルピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩とカップリングして、メチル (S)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル)−2−メチルピロリジン−2−カルボキシレートを生成し、それを、実験の項に開示する方法と同様に、(S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダ
ゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル)(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノン又はその塩酸塩にさらに変換する工程を有してもよい(当該さらなる変換は、加水分解、カルボン酸の4−クロロ−3−メチルベンゼン−1,2−ジアミン塩酸塩とのカップリング及び環化のシークエンスを有する。)。
いかなる疑義をも避けるために、ベンゾイミダゾール基の置換基は、橋頭原子に対してオルト位に(すなわち、4及び/又は7位に結合)及び/又は橋頭原子に対してメタ位に(すなわち、5及び/又は6位に結合)結合してもよい。2つのオルト位及び、それぞれ2つのメタ位は等価であると考えるものとする。例えば、基、5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルは、6−クロロ−7−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−2−イルと同じ基を表すものとし、その互変異性型である5−クロロ−4−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−2−イル/6−クロロ−7−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルを包含する。
35) 本発明のさらなる側面は、本特定の場合において、結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸;特に態様32)又は33)に従う結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸である式(I)の結晶性化合物;が、化合物、(4−メチル−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−フェニル)−[(R)−3−(3−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−ベンジル)−モルホリン−4−イル]−メタノンにさらに変換される、態様18)〜26)のいずれか1つに従う方法に関する。
態様35)に従うそのような多工程変換は、特にWO2013/068935中に記載されており、これらの参照文献はその全体が本明細書に取り込まれる:
特に、当該結晶性4−メチル−2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸は、(例えば、標準的なアミドカップリング条件下で)(R)−3−(3−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジル)モルホリン(WO2013/068935の中間体A15)とカップリングし、オレキシン受容体アンタゴニストである(4−メチル−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−フェニル)−[(R)−3−(3−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−ベンジル)−モルホリン−4−イル]−メタノンを生成する。
化合物、塩、医薬組成物、疾患等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、塩等をも意味することが意図されている。
いかなる疑義をも避けるために、上記態様の1つが、「粉末X線回折ダイアグラムにおける、以下の屈折角2θにおけるピーク」に言及する場合は常に、当該粉末X線回折ダイアグラムは、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射(combined Cu Kα1 and Kα2 radiation)を用いて得られ;そして本明細書で提供される2θ値の精度は+/−0.1〜0.2°の範囲内であることが理解されるべきである。特に、本発明の態様及び請求項中でピークに対する屈折角2シータ(2θ)を特定する場合、記載された当該2θ値は、当該値−0.2°から当該値+0.2°(2θ+/−0.2°)の間;そして好ましくは当該値−0.1°から当該値+0.1°(2θ+/−0.1°)の間と理解されるべきである。
ここに記載される定義は、式(I)及び(I)の化合物並びに態様1)〜35)のいずれか1つに定義される方法に対して一律に適用されることが意図されており、特段の定義によってより広い又はより狭い定義が与えられない限り本明細書及び請求項を通じて準用される。当然ながら、ある用語の定義又は好ましい定義が、ここに定義されるいずれか
又は他のすべての用語のいずれか又は好ましい定義におけるそれぞれの用語を、独立して(及びそれらと共に)定義し置き換えるものであってよい。
「固液分離」という用語は、当業者に周知のルーティンの固液分離技術を意味する(例えば、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、7th edition、Perry、R.H.;Green、D.W.McGraw−Hill 1997を見よ。)。特に、この用語は、ろ過、遠心分離及び重力沈降;特に、ろ過等の技術を含む。
「液−液抽出」という用語は、当業者に周知のルーティンの液−液抽出又は洗浄技術を意味する(例えば、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、7th edition、Perry、R.H.;Green、D.W.McGraw−Hill 1997を見よ。)。特に、この用語は、セトラー、サイクロン、遠心分離機、ミキサーセトラー、あらゆる種類の連続接触装置(continuous
contact equipment);蒸留:バッチ及び連続蒸留;並びに超臨界流体分離技術を用いた洗浄又は抽出技術を含む。
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X−Xの10%からX+Xの10%の間、好ましくはX−Xの5%からX+Xの5%の間を表す(当然ながら、0%未満の値及び100%より大きな値は適用されない。)。約という用語を範囲の前に置く場合は、それぞれの間隔を、上記範囲の両数値に適用するものとする。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」という用語は、この出願において、Y−10℃からY+10℃の間を表し;そして好ましくは、温度が少なくとも30℃の場合には、Y−5℃からY+5℃の間を表し;又は、温度が30℃未満の場合には、Y−2℃からY+2℃の間を表す。
「の間」又は「から(〜)」の語が数値範囲を記載するために用いられる場合は常に、示される範囲の末端の値が、明示的にその範囲に含まれることが理解されるべきである。例えば、温度の範囲が40oCと80oCの間(又は40oCから(〜)80oC)であると記載されている場合には、末端の値である40oC及び80oCがその範囲に含まれることを意味し、又は、可変的数値が1と4の間(又は1から(〜)4)の整数と定義されている場合には、その可変的数値が1、2、3又は4の整数であることを意味する。
%w/wという表現は、考慮している組成物の総重量に対する重量百分率を意味する。明示的に示されていない場合、%値は%w/wであるものとする。比率に関する表現(wt/wt)は、考慮している2種の成分の重量比を意味する。同様に、v/vという表現は、考慮している2種の成分の体積比を意味する。同様に、%a/aという表現は、好ましくはUV吸収を測定するクロマトグラムにおける、曲線下の面積(すなわち積分)に関連する純度を意味する。「vol」という表現は、(例えば反応物のkgで表した)重量当たりの(例えば溶媒のLで表した)体積を意味する。例えば、10volは、(反応物の)kg当たりの10リットル(の溶媒)を意味する。
「富化された(enriched)」という用語は、例えば、位置異性体/エナンチオマー又はジアステレオ異性体に関連して使用される場合、本発明に関しては特に、それぞれの位置異性体/エナンチオマー/ジアステレオ異性体が、それぞれ他の位置異性体/エナンチオマー/ジアステレオ異性体に対して、明示的に特定した比率(純度に準用)で;通常、少なくとも70:30、特に、少なくとも80:20、とりわけ少なくとも90:10の比率(70%/80%/90%の純度に準用)で存在することを意味するものと理解される。好ましくは、この用語は、本質的に純粋な位置異性体/エナンチオマー/ジアステレオ異性体をそれぞれ意味する。
「本質的に」という用語は、例えば「本質的に純粋な」等の用語中で使用される場合、本発明に関しては特に、それぞれの立体異性体/組成物/化合物等の少なくとも90、特に、少なくとも95、そしてとりわけ少なくとも98重量パーセントの量が、それぞれ、純粋な位置異性体/立体異性体/組成物/化合物等であることを意味するものと理解される。「純粋な」という用語は、特定の位置異性体/エナンチオマー又はジアステレオ異性体について使用される場合、本発明に関しては、それぞれ他の位置異性体/エナンチオマー/ジアステレオ異性体が、特にHPLC/LC−MS(この場合、%はHPLC/LC−MSにより測定されるa/a%を意味するものと理解される。)等の通常の分析手段による測定において1%未満である(特に、検出不可能である)ことを意味するものと理解される。
「から本質的になる」という用語は、本発明に関しては特に、それぞれの組成物が、各態様に明示的に記載される量のそれぞれの組成物の少なくとも90重量パーセント、特に少なくとも95重量パーセント、とりわけ少なくとも98重量パーセントの量で、そして好ましくは100重量パーセントの量で(すなわち、「からなる」の意味で)存在することを意味するものと理解される。
本発明によれば、式(I)及び(I)の化合物は、前記態様1)〜12)及び18)〜26)又は下記の実験の項に記載した方法によって、又は類似の方法によって製造してもよい。下記の実施例は本発明をさらに説明するために提供される。これらの実施例は、いかなる意味においても本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
実験の項
市販の出発物質は、さらに精製を行うことなく、入手した状態で使用した。記載された温度はすべて内部温度であり、℃で示す。化合物は、H−NMR(400MHz)又は13C−NMR(100MHz)によって(Bruker;化学シフトは、使用する溶媒に対するppmで示してある;多重度:s=一重項、d=二重項、t=三重項、p=五重項、hex=六重項、hep=七重項、m=多重項、br=広域;結合定数はHzで示してある。);定量NMRの内部標準は1,4−ジメトキシベンゼンであった;又はLC−MSによって特徴を明らかにしてもよい。tは分で表す。
粉末X線回折分析
粉末X線回折パターンは、反射モード(結合2シータ/シータ)においてCuKα−照射で作動するLynxeye検出器を備えたBruker D8 AdvanceX線回折計上で収集した。典型的には、X−線チューブを40kV/40mAで走査させた。3〜50°の2θの走査範囲にわたって、0.02°(2θ)のステップサイズ及び76.8秒のステップタイムを適用した。発散スリットは固定的に0.3に設定した。粉末を、0.5mmの深さのシリコン単結晶サンプルホルダー内にわずかにプレスし、測定の間、サンプルをそれ自体のプレイン中で回転させた。回折データは、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射を用いてレポートされる。これまでに記録された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/−0.1〜0.2°の範囲内である。
示差走査熱量測定
DSCデータは、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo STARe System(DSC822eモジュール、セラミックセンサー付きの測定用セル及びSTAR ソフトウェア version 13)上で収集した。装置は、インジウム標品を用いてエネルギー及び温度について平衡化した。測定の間、サンプル上で窒素パージを20ml/minで維持した。
塩については、典型的には、1−5mgのサンプルを、自動的に削孔されるMettler Toledo 40マイクロリットルアルミニウムパン内に秤量し、炉内に置いた。20℃〜500℃の範囲において4℃/minの加熱速度を適用した。
酸については、典型的には、1−5mgのサンプルを、密封されたTuev Sued(スイス)M20高圧パン内に秤量し、炉内に置いた。20℃〜400℃の範囲において4℃/minの加熱速度を適用した。
融点はピーク温度として報告する。
(この項において、又は明細書のこれまでの部分において使用される)略語
aq. 水溶液
atm 雰囲気
eq. 当量
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
Ex. 実施例
Fig 図
GC−MS ガスクロマトグラフィー−質量分析
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPC インプロセス制御
iPrMgCl イソプロピルマグネシウムクロリド
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
M (LC−MSに対して使用するような)精密質量
min 分
MHz メガヘルツ
min 分
MP 融点
MS 質量分析
N 規定度
NMR 核磁気共鳴
H−NMR プロトン核磁気共鳴
org. 有機
RT 室温
TBME tert.−ブチルメチルエーテル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
保持時間
sat. 飽和
soln. 溶液
UV 紫外線
%a/a 面積%(面積%による純度)
実施例
参照実施例1
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸の合成
4,5−ジブロモ−2−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール
4−フルオロ−3−ニトロアニソール(3.44g、1eq.)、4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール(4.56g、1eq.)、KCO(2.78g、1eq.)及びDMF(30mL)を、110℃に32h加熱する。反応混合物を22℃に冷却し、水(70mL)で処理する。得られた懸濁液をろ過し、水(15mL)で洗浄する。生成物をイソプロパノール(40mL)中でスラリー化し、ろ過し、減圧下で乾燥して、白色の固体を得る。収量:6.42g、84%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、CDCl) δ:7.71(d、J=8.9Hz、1H)、7.47(d、J=2.8Hz、1H)、7.25(dd、J=2.8Hz、J=8.9Hz、1H)、3.97(s、3H)。
X.Wang、L.Zhang、D.Krishnamurthy、C.H.Senanayake、P.Wipf Organic Letters 2010 12(2
0)、4632−4635。
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン
4,5−ジブロモ−2−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(2g、1eq.)、酢酸ナトリウム(1.3g、3eq.)及び10%Pd/C 50%含水(0.3g)を、EtOAc(10mL)中に懸濁する。混合物を50℃に加熱し、変換が完結するまで水素下に置く。反応混合物をCelite上でろ過する。ろ液を、1N NaOH(10mL)及び水(15mL)で洗浄する。有機層を減圧下で濃縮して、オイルを得る。収量:0.95g、94%。純度:96%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.05(s、2H)、7.53(d、J=8.9Hz、1H)、6.49(d、J=2.7Hz、1H)、6.30(dd、J=2.7Hz、J=8.9Hz、1H)、5.94(s、2H)、3.74(s、3H)。
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン一硫酸塩5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン(455g、1eq)をイソプロパノール(3L)中に溶解する。この溶液に濃HSO(235g、1eq.)を40℃未満で添加する。懸濁液を20℃に冷却し、ろ過する。ケークをイソプロパノール(700mL)及びTBME(1.5L)で洗浄する。生成物を乾燥して、白色の固体を得る。収量:627g、91%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。
2−(2−ヨード−4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン一硫酸塩(200g、1eq.)を2M HSO水溶液(1.4L)中に溶解し、−5℃に冷却する。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(62g、1.3eq.)を水(600mL)に溶解した溶液を−5〜0℃にて添加する。混合物を0℃にて30min撹拌し、次いで、KI(161g、1.4eq.)を水(700mL)中に混合した予熱した混合物に65℃にて添加する。得られた溶液を60℃にて20min撹拌し、20℃に冷却し、スルファミン酸(27g、0.4eq.)を水(120mL)中に溶解した溶液で処理する。混合物を酢酸イソプロピル(2L)で抽出する。有機層を、2N NaOH(500mL)と40% NaHSO溶液(100mL)の混合物及び1N HCl(50mL)と水(500mL)の混合物で洗浄する。有機層を濃縮乾固する。残渣をイソプロパノール(700mL)中に溶解し、0℃に冷却する。得られた懸濁液をろ過する。固体を減圧下で乾燥する。収量:164g、79%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.08(s、2H)、7.57(d、J=2.8Hz、1H)、7.43(d、J=8.8Hz、1H)、7.13(dd、J=2.8Hz、J=8.8Hz、1H)、3.85(s、3H)。
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
2−(2−ヨード−4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(200g、1eq.)をTHF(2L)中に溶解し、0℃に冷却する。2M iPrMgClのTHF中の溶液(350mL、1.05eq.)を0℃にて添加する。混合物を−20℃に冷却し、CO(気体)を、発熱が止むまで30minにわたって溶液に通気する。混合物に、2N HCl(600mL)を8℃にて添加し、減圧下で濃縮して、2.4Lの溶媒を除去する。残渣をTBME(1.6L)で抽出する。有機層を1N HCl(200mL)で洗浄し、1N NaOH(600mL及び200mL)で抽出する。水層をチャコール(15g)上でろ過し、水(200mL)で希釈し、32%HCl(160mL)で処理する。得られた懸濁液をろ過し、水(200mL)で洗浄する。収量:127g、87%。純度:100%a/a(LC−MS法2);MP:130℃(DSC、ゴール
ドパン)。得られた生成物をトルエン(MP:130.9℃)又は水(MP:130℃)から再結晶化してもよい。
参照実施例2
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸の合成
4,5−ジブロモ−2−(5−メチル−2−ニトロフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール
3−フルオロ−4−ニトロトルエン(1367g、1eq.)、4,5−ジブロモ−2H−1,2,3−トリアゾール(1999g、1eq.)、KCO(1340g、1.1eq.)及びDMF(11L)を、75℃に15h加熱した。反応混合物を22℃に冷却し、水(18L)で処理する。得られた懸濁液をろ過し、水(4L)で洗浄する。生成物をイソプロパノール(5L)で洗浄し、減圧下で乾燥して、白色の固体を得る。収量:2811g、88%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.10(d、J=8.3Hz、1H)、7.86(d、J=1.0Hz、1H)、7.66(dd、J1=0.9Hz、J2=8.3Hz、1H)、2.51(s、3H)。
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン
4,5−ジブロモ−2−(5−メチル−2−ニトロフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(205g、1eq.)、酢酸ナトリウム(149g、3.2eq.)及び5%Pd/C 50%含水(37.8g)をEtOAc(0.8L)中に懸濁する。混合物を40−50℃に加熱し、変換が完結するまで水素下(2bar)に置く。反応混合物をCelite上でろ過する。ろ液を、水(300mL)、2N NaOH(300mL+250mL)及び水(300mL)で洗浄する。有機層を減圧下で濃縮して、黄色のオイルを得る。収量:132g、90%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.09(s、2H)、7.48(d、J=1.3Hz、1H)、6.98(dd、J1=1.8Hz、J2=8.3Hz、1H)、6.85(d、J=8.2Hz、1H)、5.79(s、2H)、2.23(s、3H)。
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン一硫酸塩
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン(199g、1eq)をイソプロパノール(1.7L)中に溶解する。この溶液に、濃HSO(118g、1.05eq.)を40℃未満で添加する。懸濁液を20℃に冷却し、ろ過する。ケークをイソプロパノール(500mL)で洗浄する。生成物を乾燥して、白色の固体を得る。収量:278g、89%。純度:100%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.21(s、2H)、7.70(s、1H)、7.23(s、2H)、2.35(s、3H)。
2−(2−ヨード−5−メチルフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アニリン一硫酸塩(1553g、1eq.)を1M HSO水溶液(11L)中に溶解し、−5℃に冷却す
る。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(433g、1.1eq.)を水(4L)中に溶解した溶液を−5〜0℃にて添加する。混合物を0℃にて30min撹拌し、次いで、ヨウ化カリウム(1325g、1.4eq.)を水(4L)中に混合した予熱した混合物に55−70℃にて添加する。得られた溶液を60℃にて20min撹拌し、20℃に冷却し、スルファミン酸(220g、0.4eq.)を水(900mL)中に溶解した溶液で処理する。混合物を酢酸イソプロピル(13L)で抽出する。有機層を、2N NaOH(3.5L)と40%NaHSO溶液(330g)の混合物及び1N HCl(280mL)と水(3.5L)の混合物で洗浄する。有機層を濃縮乾固する。収量:1580g、97%。純度:91%a/a(LC−MS法2)。H NMR(400MHz、CDCl3) δ:7.90(s、2H)、7.87(d、J=8.1Hz、1H)、7.34(d、J=1.6Hz、1H)、7.03−7.06(m、1H)、2.40(s、3H)。
粗生成物を、第2バッチ(1411g)と共に、120℃のジャケット温度(jacket temperature)、フィードタンク(feeding tank)(70℃)、冷却フィンガー(cooling finger)(20℃)及び0.004mbarの圧にて、短工程蒸留装置(short path distillation equipment)での蒸留により精製する。収量:2544g(78%)、純度:100%a/a()LC−MS法2)。
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
2−(2−ヨード−5−メチルフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(1250g、1eq.)をTHF(13L)中に溶解し、0℃に冷却する。THF中の2M iPrMgClの溶液(2.2L、1eq.)を0℃にて添加する。混合物を−25℃に冷却し、CO(気体)を、発熱が止むまで60minにわたって溶液に通気する。混合物に、2N HCl(5L)を4℃にて添加し、減圧下で濃縮して、14.5Lの溶媒を除去する。残渣をTBME(10L)で抽出する。有機層を1N NaOH(6L及び3L)で抽出する。水層をチャコール(15g)上でろ過し、水(200mL)で希釈し、32%HCl(1.23L)で処理する。得られた懸濁液をろ過し、水(5L)で洗浄する。収量:796g、89%。純度:100%a/a(LC−MS法2);MP:125℃(DSC、ゴールドパン)。
下記の実施例により本発明を説明する。
実施例1:
実施例1.1: 結晶性5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩(カリウム 5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾエート)
2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸(21.5g、0.093mol、1eq.)、ヨウ化銅(I)(0.886g、0.05eq.)及びKCO粉末(32.2g、2.5eq.)を、ジオキサン(600mL)及び水(8.4mL)中に懸濁した。混合物に、1H−1,2,3−トリアゾール(10.8mL、2eq.)及びトランス−N,N−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.32g、0.1eq.)を添加した。混合物を還流下3.5h加熱した。IPCは完全な変換を示した。位置異性体であるN(1)異性体に対する所望のN(2)の比率は84:16であった。混合物を40℃に冷却し、ろ過した。ケークをジオキサン(100mL)で洗浄した。固体を乾燥して、50.6gの青色の固体を得た。N(1)異性体に対するN(2)の比率は98.6:1.4であった。
実施例1.2: 結晶性5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
実施例1.1の固体を水(300mL)中に溶解した。TBME(200mL)及び32% aq.HCl(35mL)を添加した。水層を分離し、廃棄した。有機層を、2N aq.HCl(100mL)と32% aq.HCl(20mL)の混合物で洗浄した。有機層を1N aq.HCl(50mL)で洗浄した。有機層を1N aq.NaOH(200mL)で抽出した。水層を45℃に加熱し、微量のTBMEを減圧下で除去した。水層に、45℃にて、32% aq.HCl(20mL)を添加した。pH6にて、任意でシードクリスタルを添加した。得られた懸濁液を40℃にてろ過した。ケークを水(30mL)で洗浄した。生成物を60℃及び5mbarで乾燥した。収量:12.4g、61%。純度:100%a/a、t0.63min。シードクリスタルは、上記の手順に従って注意深く結晶化することによって得てもよい。MP:80℃(DSC)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:3.87(s、3H)、7.26(m、2H)、7.64(d、J=8.7Hz、1H)、8.02(s、2H)、13.01−13.22(br、1H)。
実施例1.3: 結晶性5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩
例えば参照実施例1の手順に従って得られた5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(5g、0.0228mol)とKHCO(1.61g、0.7eq)を、ジオキサン(100mL)及び水(1mL)中に懸濁した。混合物を還流下で40min加熱した。混合物を20℃に冷却し、ろ過した。収量:2.56g、44%。H NMR(400MHz、D2O) δ:3.80(s、3H)、7.04(m、2H)、7.46(d、J=8.7Hz、1H)、7.82(s、2H)。MP:279.5℃(さらに、DSCは、約153℃〜203℃において、吸熱的脱溶媒和によると思われる広域の吸熱イベントを示す;溶融後速やかに発熱分解が起こる。)。
実施例1.4: 結晶性5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩
代替の製法において、2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸(20g、0.086mol、1eq.)、ヨウ化銅(I)(0.824g、0.05eq.)及びKCO粉末(26.9g、2.25eq.)を、ジオキサン(494mL)中に懸濁した。混合物に、1H−1,2,3−トリアゾール(12g、2eq.)を添加した。混合物を還流下で1h加熱した。混合物に、水(12.5g、8eq.)を添加した。混合物を還流下で2h加熱した。溶媒(100mL)を蒸留により除いた。残渣を8minで45℃に冷却し、ろ過し、ジオキサン(50mL)で洗浄した。XRPDは結晶形1に対応する(図1参照、実施例1.1)。
実施例1.5: 結晶性5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
実施例1.4の固体を水(200mL)中に溶解した。混合物を50℃に加熱し、20%
aq.HSO(40mL)を添加して、pHを5に調整した。混合物をCelite上でろ過した。ろ液を45℃にて20% aq.HSO(40mL)で処理した。pH3で、(例えば、参照実施例1の手順を用いて得られた)シードを添加した。懸濁液を45℃にて撹拌し、ろ過した。生成物を水(20mL)で洗浄し、60℃及び10mbarで乾燥して、白色の固体を得た。収量:10.8g、57%。純度:100%a/a、t 0.63min。
実施例1.5に従って得られた5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸の定性分析:
XRPDは結晶形1に対応する(図2参照、実施例1.2)。
実施例2:
実施例2.1: 結晶性4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩(カリウム 4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾエート)
2−ブロモ−4−メチル安息香酸(20g、0.093mol、1eq.)、ヨウ化銅(I)(0.886g、0.05eq.)及びKCO粉末(32.2g、2.5eq.)を、ジオキサン(300mL)及び水(10.1mL)中に懸濁した。混合物に、1H−1,2,3−トリアゾール(10.8mL、2eq.)とトランス−N,N−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.32g、0.1eq.)を添加した。混合物を還流下で4h加熱した。IPCは98.5%の変換を示した。位置異性体であるN(1)異性体に対する所望のN(2)の比率は75:25であった。混合物を常圧及び130℃の外部温度で濃縮した。溶媒(100mL)を除いた。残渣にジオキサン(100mL)を添加し、混合物を45℃に冷却し、ろ過した。ケークをジオキサン(80mL)で洗浄した。固体を乾燥して、48.8gの青色の固体を得た。N(1)異性体に対するN(2)の比率は98.7:1.3であった。
実施例2.2: 結晶性4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
実施例2.1の固体を水(300mL)中に溶解し、ろ過した。ろ液に、TBME(200mL)と32% aq.HCl(30mL)を添加した。水層を分離し、廃棄した。有機層を、2N aq.HCl(100mL)と32% aq.HCl(10mL)の混合物で洗浄した。有機層を1N aq.HCl(50mL)で洗浄した。有機層を1N aq.NaOH(200mL)で抽出した。水層を45℃に加熱し、微量のTBMEを減圧下で除去した。水層に、45℃にて、32% aq.HCl(20mL)を添加した。pH6にて、(例えば、参照実施例2の手順を用いて得られた)シードクリスタルを添加した。得られた懸濁液を40℃でろ過した。ケークを水(30mL)で洗浄した。生成物を60℃及び5mbarで乾燥した。収量:11.7g、62%。純度:100%a/a。t 0.66min。MP:125℃(DSC)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:2.44(s、3H)、7.41(d、J=7.9Hz、1H)、7.56(s、1H)、7.68(d、J=7.9Hz、1H)、8.06(s、2H)、12.53−13.26(br、1H)。
実施例2.3: 結晶性4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩
4−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(5g、0.0246mol)とKHCO(1.74g、0.7eq)を、ジオキサン(100mL)及び水(1mL)中に懸濁した。混合物を還流下で40min加熱した。混合物を20℃に冷却し、ろ過した。収量:2.47g、42%。MP:277℃(DSC、アルパン(Alupan)) H NMR(400MHz、D2O) δ:2.32(s、3H)、7.28(d、J=7.9Hz、1H)、7.39(m、2H)、7.84(s、2H)。
MP:276.8℃(さらに、DSCは、約140℃〜208℃において、吸熱的脱溶媒和によると思われる広域の吸熱イベントを示す;溶融後速やかに発熱分解が起こる。)。
XRPDは結晶形1に対応する(図4参照、実施例2.1)。
参照実施例3:
参照実施例3.1: 結晶性5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸ナトリウム塩(ナトリウム 5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾエート)
2−ブロモ−5−メチル安息香酸(20g、0.093mol、1eq.)、ヨウ化銅(I)(0.886g、0.05eq.)、NaCO粉末(24.6g、2.5eq.)を、ジオキサン(300mL)及び水(10.1mL)中に懸濁した。混合物に、1H−1,2,3−トリアゾール(10.8mL、2eq.)と8−ヒドロキシキノリン(1.35g、0.1eq.)を添加した。混合物を還流下で5h加熱した。IPCは>99%の変換を示した。位置異性体であるN(1)異性体に対する所望のN(2)の比率は78:22であった。混合物を常圧及び135℃の外部温度で濃縮した。溶媒(100mL)を除いた。残渣に、ジオキサン(100mL)を添加し、混合物を45℃に冷却し、ろ過した。ケークをジオキサン(80mL)で洗浄した。固体を乾燥して、36.2gの黄色の固体を得た。N(1)異性体に対するN(2)の比率は99:1であった。
参照実施例3.2: 結晶性5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸
参照実施例3.1で得られた固体を水(300mL)中に溶解し、ろ過した。ろ液に、TBME(200mL)と32% aq.HCl(30mL)を添加した。水層を分離し、廃棄した。有機層を1N aq.HCl(100mL)で洗浄した。有機層を1N aq.HCl(50mL)で洗浄した。有機層を1N aq.NaOH(200mL)で抽出した。水層を45℃に加熱し、微量のTBMEを減圧下で除去した。水層に、45℃にて、32% aq.HCl(20mL)を添加した。pH6にて、(例えば、参照実施例2の手順を用いて得られた)シードクリスタルを添加した。得られた懸濁液を40℃にてろ過した。ケークを水(30mL)で洗浄した。生成物を60℃及び5mbarで乾燥した。収量:12.1g、64%。純度:100%a/a。t 0.67min。MP:173℃(DSC)
H NMR(400MHz、DMSO) δ:2.42(s、3H)、7.50−7.52(m、1H)、7.58(s、1H)、7.63(m、1H)、8.05(s、2H)、13.01(s、1H)。
参照実施例3.3: 結晶性5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2
−イル)安息香酸ナトリウム塩
5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(5g、0.0246mol)とNaCO(1.05g、0.4eq)を、ジオキサン(100mL)及び水(1mL)中に懸濁した。混合物を還流下で40min加熱した。混合物を20℃に冷却し、ろ過した。収量:2.79g、50%。MP:341℃(DSC、アルパン) H NMR(400MHz、D2O) δ:2.32(s、3H)、7.30(m、2H)、7.43(m、1H)、7.83(s、2H)。
XRPDは結晶形1に対応する(図6参照、参照実施例3.1)。
参照実施例3.4: 5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸カリウム塩
2−ブロモ−5−メチル安息香酸(20g、0.093mol、1eq.)、ヨウ化銅(I)(0.886g、0.05eq.)及びKCO粉末(32.1g、2.5eq.)を、ジオキサン(600mL)中に懸濁した。混合物に、1H−1,2,3−トリアゾール(10.8mL、2eq.)と8−ヒドロキシキノリン(1.35g、0.1eq.)を添加した。混合物を還流下で4h加熱した。IPCは>94%の変換を示した。位置異性体であるN(1)異性体に対する所望のN(2)の比率は78:22であった。混合物を35℃に冷却し、ろ過した。ケークをジオキサン(100mL)で洗浄した。生成物を水中に溶解し、LC−MSを記録した。N(1)異性体に対するN(2)の比率は83:17であった。
参照実施例4.1: メチル (S)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル) ベンゾイル)−2−メチルピロリジン−2−カルボキシレート
5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(100g、0.46mol)を、DCM(650mL)及びDMF(10mL)中に20℃にて溶解した。この懸濁液に、塩化オキサリル(51mL、0.59mol)を30minにわたって添加した。LC−MSは、酸塩化物中間体への60%の変換を示した。塩化オキサリル(17.6mL、0.45eq.)を滴下した。LC−MSは、酸塩化物中間体への完全な変換を示した。
メチル (S)−2−メチルピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩(84g、0.47mol)を、第2のフラスコ内で、DCM(800mL)中に懸濁した。懸濁液を10℃に冷却した。トリエチルアミン(200mL、1.41mol)を15minにわたって添加した。酸塩化物溶液を、反応混合物に、10−20℃にて少なくとも15minにわたって添加した。反応混合物を1M HCl(500mL)、1N NaOH(500mL)及び水(500mL)で洗浄した。有機層を濃縮乾固して、明黄色の固体を生成物として得た。収量:157g、100%、99%a/a(LC−MS)、M+1=345。
H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.06(s、2H)、7.79(d、J=8.9Hz、1H)、7.21(dd、J1=2.9Hz、J2=8.9Hz、1H)、6.85(d、J=1.9Hz、1H)、3.89(s、3H)、3.66(s、3H)、3.29(m、1H)、3.03(m、1H)、2.08(m、1H)、1.82(m、3H)、1.50(s、3H)。
参照実施例4.2: (S)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル) ベンゾイル)−2−メチルピロリジン−2−カルボン酸
メチル (S)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イ
ル)ベンゾイル)−2−メチルピロリジン−2−カルボキシレート(157g、0.46mol)をMeOH(750mL)中に20℃にて添加した。この溶液に、16%NaOH(300mL)を添加した。得られた溶液を80℃まで加熱し、60min撹拌した。溶媒を減圧下で溜去した(850mL)。残渣を20℃にてDCM(1500mL)及び水(450mL)中に取った。32%HCl(200mL)を添加した。層を分離し、有機層を水(450mL)で洗浄した。有機層を、減圧下で最小撹拌体積に濃縮した。トルエン(750mL)を添加し、溶媒を真空下でさらに蒸留した(150mLを蒸留した)。混合物を20℃に冷却し、15min撹拌した。懸濁液を20℃にてろ過した。ケークをトルエン(150mL)でリンスし、次いで減圧下で50℃にて乾燥して、白色の固体を生成物として得た。収量:128g、85%、94%a/a(LC−MS)、M+1=331。融点:178℃(DSC)。H NMR(400MHz、DMSO)。δ:12.3(s、1H)、8.04(s、2H)、7.79(d、1H)、7.20(dd、J1=2.8Hz、J2=8.9Hz、1H)、6.84(m、1H)、3.88(s、3H)、3.29(m、1H)、2.99(m、1H)、2.11(m、1H)、1.81(m、3H)、1.47(s、3H)。
参照実施例4.3: (S)−N−(2−アミノ−4−クロロ−3−メチルフェニル)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル) ベンゾイル)−2 メチルピロリジン−2−カルボキサミド
(S)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル)−2−メチルピロリジン−2−カルボン酸(128g、0.39mol)を、DCM(850mL)及びDMF(6mL)中に20℃にて懸濁した。この懸濁液に、塩化オキサリル(39mL、0.45mol)を30minにわたって添加した。4−クロロ−3−メチルベンゼン−1,2−ジアミン塩酸塩(75g、0.39mol)を、第2のフラスコ内で、DCM(1300mL)中に懸濁した。懸濁液を10℃に冷却した。トリエチルアミン(180mL、1.27mol)を添加した。酸塩化物溶液を、反応混合物に、10−20℃にて少なくとも15minにわたって添加した。反応混合物に水(650mL)を添加した。層を分離し、有機相を減圧下で濃縮した(1900mLを溜去した。)。TBME(1000mL)を添加し、溶媒を減圧下でさらに蒸留した(400mLを蒸留した)。最後に混合物を20℃に冷却し、15min撹拌した。得られた懸濁液を20℃にてろ過した。ケークをTBME(250mL)でリンスし、次いで50℃にて減圧下で乾燥して、白色の固体を生成物として得た。収量:145g、80%、97%a/a(LC−MS)、M+1=469。融点:185℃(DSC)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:9.10−9.14(m、1H)、7.88−8.12(m、2H)、7.81−7.82(m、1H)、7.38−7.44(m、1H)、7.21(dd、J1=2.7Hz、J2=8.9Hz、1H)、6.84(d、J=7.8Hz、1H)、6.64(d、J=8.3Hz、1H)、5.01(brs、2H)、3.88(s、3H)、3.61−3.73(m、1H)、3.14−3.26(m、1H)、2.25−2.30(m、1H)、2.13(s、3H)、1.97(m、3H)、1.47−1.61(m、3H)。
参照実施例4.4: (S)−(2−(5−クロロ−4−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルピロリジン−1−イル) (5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)メタノン塩酸塩
(S)−N−(2−アミノ−4−クロロ−3−メチルフェニル)−1−(5−メトキシ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル) ベンゾイル)−2 メチルピロリジン−2−カルボキサミド(145g、0.31mol)をイソプロパノール(870mL)中に20℃にて溶解した。この溶液に、HClの5−6Nイソプロパノール溶液(260mL)を10minにわたって注意深く添加した。次いで、反応混合物を90℃まで加熱し、4時間撹拌した。水(28mL)を添加し、反応混合物をさらに1時間撹拌した
。反応混合物を20℃に冷却した。明茶色の懸濁液が得られ、それをろ過した。ケークをイソプロパノール(220mL)でリンスした。最後に固体を減圧下60℃で乾燥して、ベージュ色の固体を得た。収量:133g、88%、100%a/a(LC−MS)、M+1=451。融点:277℃(DSC)。H NMR(400MHz、DMSO) δ:8.06(s、2H)、7.76(d、J=8.9Hz、1H)、7.63(d、J=8.8Hz、2H)、7.55(m、1H)、7.16(dd、J1=2.7Hz、J2=8.9Hz、1H)、3.98(m、1H)、3.90(s、3H)、3.33(m、2H)、3.32(m、1H)、2.74(s、3H)、2.55(m、1H)、2.23(m、1H)、2.10(m、2H)、1.95(s、3H)。

Claims (15)

  1. 式(I)の2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体の結晶性カリウム塩の合成方法であって:
    (式中、
    − Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表すか;又は、
    − Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表す。);
    式(II)の化合物:
    と[1,2,3]トリアゾール:
    をカップリングする工程を有し;
    当該工程は、
    − ヨウ化銅(I)(CuI);
    − 無機カリウム塩基;及び
    − 溶媒又は溶媒混合物であって、
    −− 水混和性エーテル溶媒;若しくは、
    −− 極性非プロトン性溶媒;
    又はこれらの任意の混合物;
    である溶媒又は溶媒混合物;
    の存在下で行われ;
    当該溶媒又は溶媒混合物は、式(II)の化合物に対して約5〜100volの量で存在し;
    式(II)の化合物と[1,2,3]トリアゾールの当該カップリングは、約60℃より高い温度にて行われ;
    当該式(I)の結晶性化合物は固液分離により反応混合物から単離される;
    方法。
  2. ヨウ化銅(I)の存在下で行われ;ヨウ化銅(I)が、式(II)の化合物に対して約0.01eq.〜0.5eq.の量で存在する、請求項1に記載の方法。
  3. 当該無機カリウム塩基がKCOであり;KCOが、式(II)の化合物に対して約1eq.〜10eq.の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 1H−1,2,3−トリアゾールが、式(II)の化合物に対して約1eq.〜10eq.の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. − 式(II)の化合物に対して約5〜100volの量で存在する、水混和性エーテル溶媒である溶媒;及び
    − 式(II)の化合物に対して約0.05〜2volの量の水;
    の存在下で行われ;
    水に対する水混和性エーテル溶媒の比率が、約10:1(v/v)より大きい;
    、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 反応混合物からの固液分離による式(I)の結晶性化合物の単離の前に、当該反応混合物を約50℃未満の温度に冷却し;上記反応混合物の当該冷却を、約2時間又はそれより短い時間内に行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 当該単離した式(I)の結晶性化合物:
    (式中、
    − Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表すか;又は、
    − Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表す。);
    を、式(I)のそれぞれの結晶性2−(2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル)−安息香酸誘導体:
    にさらに変換し;
    酸性水性媒体からの結晶化工程を有する;
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 酸性水性媒体からの当該結晶化工程を約30℃〜60℃の温度で行い;当該式(I)の結晶性化合物を固液分離により単離し;当該固液分離を、約10℃〜50℃の温度で行う;請求項7に記載の方法。
  9. 酸性水性媒体からの前記結晶化工程において、当該酸性水溶液が約4未満のpHを有する;請求項8に記載の方法。
  10. 式(I)の化合物の結晶形であって;
    − Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表し;
    a) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.7°、7.4°、15.4°、23.3°、27.0°におけるピークの存在;若しくは、
    b) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.8°、15.1°、25.0°、25.9°、27.1°におけるピークの存在;
    により特徴づけられるか;又は、
    − Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表し;
    粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.4°、10.7°、16.1°、21.6°、27.0°におけるピークの存在;
    により特徴づけられ;
    当該粉末X線回折ダイアグラムが、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射を用いて得られ;上記2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である;
    式(I)の化合物の結晶形。
  11. 式(I)の化合物の結晶形であって;
    − Rはメトキシを表し、かつ、Rは水素を表し;
    a) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、17.2°、21.3°、25.0°におけるピークの存在により特徴づけられ;若しくは、
    b) 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:11.4°、12.3°、15.5°、21.3°、23.6°におけるピークの存在により特徴づけられるか;
    又は、
    − Rは水素を表し、かつ、Rはメチルを表し;
    粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.2°、12.5°、15.1°、18.8°、25.2°におけるピークの存在により特徴づけられ;
    当該粉末X線回折ダイアグラムが、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射を用いて得られ;上記2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である;
    式(I)の化合物の結晶形。
  12. がメトキシを表し、かつ、Rが水素を表し;粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、11.5°、16.0°、17.2°、18.9°、19.7°、21.3°、23.7°、25.0°、27.9°におけるピークの存在により特徴づけられ;当該粉末X線回折ダイアグラムが、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射を用いて得られ;上記2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である;請求項11に記載の式(I)の化合物の結晶形。
  13. 示差走査熱量測定により測定される約80℃の融点を有する;請求項12に記載の式(I)の化合物の結晶形。
  14. が水素を表し、かつ、Rがメチルを表し;粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:6.2°、11.3°、12.5°、13.3°、15.1°、17.0°、17.8°、18.8°、22.6°、25.2°におけるピークの存在により特徴づけられ;当該粉末X線回折ダイアグラムが、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射を用いて得られ;上記2θ値の精度が2θ+/−0.2°の範囲内である;請求項11に記載の式(I)の化合物の結晶形。
  15. 示差走査熱量測定により測定される約125℃の融点を有する;請求項14に記載の式(
    I)の化合物の結晶形。
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