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JP2020106073A - すぐり入りブッシュの設計方法 - Google Patents

すぐり入りブッシュの設計方法 Download PDF

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JP2020106073A
JP2020106073A JP2018244133A JP2018244133A JP2020106073A JP 2020106073 A JP2020106073 A JP 2020106073A JP 2018244133 A JP2018244133 A JP 2018244133A JP 2018244133 A JP2018244133 A JP 2018244133A JP 2020106073 A JP2020106073 A JP 2020106073A
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JP2018244133A
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晃一 澤本
Koichi Sawamoto
晃一 澤本
山田 隆亮
Takaaki Yamada
隆亮 山田
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Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】特定の径方向(例えば車両前後方向)に高い減衰係数を得ると共に他の径方向(例えば上下方向)に低い動ばね定数を得ることを可能にするすぐり入りブッシュの設計方法を提供する。【解決手段】周方向で隣り合う一対のすぐり部94,95に亘り且つトレーリングアームブッシュ9の軸心に沿う方向における中実部98の断面での矩形率を式S=Ln/TLで定義し、トレーリングアームブッシュ9における車両前後方向でのゴム弾性体93の動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定してゴム弾性体93を設計する。これにより、車両前後方向および上下方向それぞれにおいて所望の動ばね定数を、矩形率を適宜規定することによって得ることが可能になる。【選択図】図3

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に適用され且つすぐり部を有するすぐり入りブッシュの設計方法に係る。
従来、自動車のサスペンション装置にあっては各種のアームと車体とを防振連結するためのサスペンションブッシュが使用されている。
このサスペンションブッシュは、一般に、防振連結すべき二つの部材の一方(例えば車体側)に固定される軸部材と、その軸部材の外側に所定距離を隔てて同軸状に配置されて防振連結すべき二つの部材の他方(例えばトレーリングアーム等)に固定される外筒部材と、これら軸部材と外筒部材との間に介在されて両者を一体的に連結する略円筒状のゴム弾性体とを備えて構成されている。
そして、コンプライアンスブッシュとして採用されるサスペンションブッシュのゴム弾性体には、該ゴム弾性体の軸方向と該軸方向に直交する方向との動ばね定数を調整するために、軸部材を挟んで対向する軸対称位置において軸方向に貫通する一対のすぐり部が設けられている(例えば特許文献1)。つまり、ゴム弾性体は、すぐり部を挟んでその内周側に内筒ゴムが外周側に外筒ゴムがそれぞれ配設されている。この種のすぐり部が設けられたサスペンションブッシュは一般にすぐり入りブッシュと呼ばれている。
特開2008−169914号公報
ところで、前記すぐり入りブッシュをサスペンション装置のトレーリングアームブッシュとして適用した場合、車両走行中のハーシュネスショックを吸収することを目的とし、各すぐり部の配設位置としては、前記軸部材に対して車両前後方向の前側と後側とにそれぞれ設定されることになる。つまり、軸部材に対して上側および下側はそれぞれすぐり部が設けられない中実部となる。
このように構成されたすぐり入りブッシュに要求される特性としては、車両前後方向にあっては、サスペンション装置のばね下前後振動を早期に減衰させて車両の乗り心地を良好に得るために、高い減衰係数を有していることが求められる。一方、上下方向にあっては、ロードノイズの低減を図るために、低い動ばね定数を有していることが求められる。このように、すぐり入りブッシュには、車両前後方向と上下方向とで相反する特性が要求されている。
この要求を満たす構成として、車両前後方向と上下方向とで異なるゴム材を、軸部材と外筒部材との間に充填する所謂2色成形法が知られているが、この場合、成形型の構成が複雑になり、また、特性が安定し難いことや、コストの高騰に繋がることから実用性に乏しいものであった。
一般的な手法として、減衰係数の高いゴム材を採用することで前記要求をある程度は満たすことが可能であるが、ゴム材には以下の式(2)の関係が存在するため、車両前後方向の減衰係数を高くするゴム材を選定した場合には、上下方向の動ばね定数も高くなってしまうため、良好な乗り心地とロードノイズの低減とを両立することは未だ実現できていない。
tanδ=2π・f・C/Kd …(2)
但し、δは位相差、fは振動周波数、Cはゴム材の減衰係数、Kdはゴム材の動ばね定数である。
なお、このように、すぐり入りブッシュにおいて車両前後方向と上下方向とで相反する特性を実現することの要求は、軸部材に対して車両前後方向の前側と後側とにそれぞれすぐり部を設けた構成に限らず、軸部材に対して上側と下側とにそれぞれすぐり部を設けた構成においても存在するものである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特定の径方向(例えば車両前後方向)に高い減衰係数を得ると共に他の径方向(例えば上下方向)に低い動ばね定数を得ることを可能にするすぐり入りブッシュの設計方法を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、車両のサスペンション装置に適用されると共にゴム弾性体の周方向に亘ってすぐり部および中実部が交互に設けられて成るすぐり入りブッシュの設計方法を対象とする。そして、このすぐり入りブッシュの設計方法は、周方向で隣り合う一対のすぐり部に亘り且つ前記すぐり入りブッシュの軸心に沿う方向における前記中実部の断面での矩形率を下記式(1)で定義し、前記すぐり入りブッシュにおける特定の径方向に沿う方向での前記ゴム弾性体の動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定して前記ゴム弾性体を設計することを特徴とする。
S=Ln/TL …(1)
但し、Sは前記断面での矩形率、Lnは前記断面における前記特定の径方向に直交する方向での前記ゴム弾性体の最大厚さ寸法に1未満の所定の係数を乗算した値の寸法となる位置における前記特定の径方向に沿う方向での長さ、TLは前記断面での前記特定の径方向に沿う方向での最大長さである。
なお、ここでいう「特定の径方向」とは、例えば高い動ばね定数(減衰係数)が要求される方向である。
本発明の発明者らは、前記中実部の断面(周方向で隣り合う一対のすぐり部に亘り且つすぐり入りブッシュの軸心に沿う方向における中実部の断面)での矩形率と、すぐり入りブッシュにおける特定の径方向に沿う方向での動ばね定数との間に相関があることを新たな知見として見出した。そして、この中実部の断面での矩形率を変化させることによって、前記特定の径方向に沿う方向での動ばね定数と、他の径方向に沿う方向での動ばね定数との相関を変化させることができることに着目した。つまり、例えば他の径方向に沿う方向での動ばね定数を変化させることなく、前記特定の径方向に沿う方向での動ばね定数を変化させることが可能であることを見出した。本解決手段では、このことを利用し、前記中実部の断面での矩形率を前記式(1)で定義し、すぐり入りブッシュにおける特定の径方向に沿う方向での動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定してゴム弾性体を設計するようにしている。これにより、特定の径方向および他の径方向それぞれにおいて所望の動ばね定数を、前記矩形率を適宜規定することによって得ることが可能になる。つまり、この矩形率を適宜規定することにより、特定の径方向に高い減衰係数を得ると共に他の径方向に低い動ばね定数を得る等といった各径方向それぞれに対する減衰係数および動ばね定数の設定の自由度を高めることが可能になる。
本発明では、すぐり入りブッシュに対し、周方向で隣り合う一対のすぐり部に亘り且つすぐり入りブッシュの軸心に沿う方向における中実部の断面での矩形率を規定することにより、すぐり入りブッシュにおける特定の径方向に沿う方向での動ばね定数を設定してゴム弾性体を設計するようにしている。このため、特定の径方向および他の径方向それぞれにおいて所望の動ばね定数を、前記矩形率を適宜規定することによって得ることが可能になる。つまり、この矩形率を適宜規定することにより、特定の径方向に高い減衰係数を得ると共に他の径方向に低い動ばね定数を得る等といった各径方向それぞれに対する減衰係数および動ばね定数の設定の自由度を高めることが可能になる。
実施形態に係るサスペンション装置を示す斜視図である。 実施形態に係るサスペンション装置の平面図である。 トレーリングアームブッシュの側面図である。 図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。 図4で示した断面における角部を拡大して示す図である。 中実部の角部を図4に一点鎖線で示す角部Aとした場合のトレーリングアームブッシュの一部を示す斜視図である。 中実部の角部を図4に破線で示す角部Bとした場合のトレーリングアームブッシュの一部を示す斜視図である。 中実部の角部を図4に実線で示す角部Cとした場合のトレーリングアームブッシュの一部を示す斜視図である。 角部A〜Cそれぞれにおける上下方向(H方向)の静ばね定数と車両前後方向(L方向)の静ばね定数との関係を示すシミュレーション結果の図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係るすぐり入りブッシュを、トレーリングウィッシュボーンサスペンション装置のトレーリングアームに適用した場合について説明する。
−サスペンション装置の概略構成−
すぐり入りブッシュについて説明する前に、該すぐり入りブッシュ(以下、トレーリングアームブッシュという)を備えたサスペンション装置(トレーリングウィッシュボーンサスペンション装置)の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るサスペンション装置1を示す斜視図である。この図1は、サスペンション装置1を車両内側の斜め前方向から見た斜視図である。また、図2は、サスペンション装置1の平面図である。これら図1および図2は、車両の右側後輪8(以下、単に車輪8という)を支持する構成、即ちリヤサスペンション装置1の一部を示している。車両の左側後輪のリヤサスペンション装置も同様の構成となっている。また、各図における矢印FRは車両の前方向、矢印RHは車両の右方向、矢印UPは上方向をそれぞれ示している。
図1および図2に示すように、サスペンション装置1は、略円環状に形成されたキャリア2と、該キャリア2に連結され揺動可能なトレーリングアーム3と、キャリア2に連結され揺動可能なロアアーム4およびアッパアーム5と、一端がキャリア2に連結され伸縮可能なショックアブソーバ6とを備えている。
キャリア2は、車輪(後輪)8を回転可能に支持する車輪支持部材である。車輪8は、ホイール81と該ホイール81の外周に取り付けられたタイヤ82等により構成されている。そして、車輪8は、キャリア2の内部を挿通して連結されるドライブシャフト(車軸)7により回転駆動される。本実施形態では、車輪(後輪)8にドライブシャフト7を経て走行駆動力が伝達されるものとしたが、これに限定されることはない。
トレーリングアーム3は、車両前後方向に沿って延在し、前端がトレーリングアームブッシュ9を介して車両本体(車体)に連結されている。トレーリングアーム3の後端は、キャリア2の前側部分に連結されている。この構成により、トレーリングアーム3およびキャリア2は、トレーリングアーム3の前端を中心に車両上下方向へ揺動可能となっている。
ロアアーム4は、車幅方向に沿って延在し、車両前側に配設される前側ロアアーム41と、車両後側に配設される後側ロアアーム42とを備えている。前側ロアアーム41および後側ロアアーム42の車両内側端は、ロアアームブッシュ43を介して、ボルトB1およびナットN1により車両本体に連結されている。一方、前側ロアアーム41および後側ロアアーム42の車両外側端は、ボールジョイント44を介して、ボルトB2およびナットN2によりキャリア2の下側部分に連結されている。この構成により、前側ロアアーム41および後側ロアアーム42の車両外側端45は、車両内側端46を中心に車両上下方向へ揺動可能となっている。
アッパアーム5は、車幅方向に沿って延在している。該アッパアーム5の車両内側端は、ゴム弾性体を備えたブッシュ51を介して、ボルトB3およびナットN3により車両本体に連結されている。一方、アッパアーム5の車両外側端は、ボールジョイント53を介して、ボルトB4およびナットN4によりキャリア2の上側部分に連結されている。この構成により、アッパアーム5は、車両内側端を中心に車両上下方向へ揺動可能となっている。
なお、本実施形態におけるアッパアーム5は、車両外側端がキャリア2に対して、その前側部分(ドライブシャフト7よりも前側部分)の位置で連結されている。
ショックアブソーバ6は、鉛直方向に対して車両前後方向の前側に所定角度だけ傾斜して配置されている。例えば、鉛直方向に対して30°だけ前側に傾斜して配置されている。このショックアブソーバ6の傾斜角度としては、この値に限定されるものではなく、任意に設定可能である。
ショックアブソーバ6は、その上端が、ゴム弾性体を備えたブッシュ61を介して、ボルトB5およびナットN5により車両本体に連結されている。また、ショックアブソーバ6の下端は、ゴム弾性体を備えたブッシュ62を介して、ボルトB6およびナットN6によりキャリア2の下側部分に設けられたブラケット21に連結されている。この構成により、ショックアブソーバ6は、その長手方向に沿って伸縮可能であり、キャリア2を介して伝達される車輪8の振動を減衰させ且つ吸収する。
前述したようにショックアブソーバ6は鉛直方向に対して車両前後方向の前側に所定角度だけ傾斜して配置されているため、その下端は、前側ロアアーム41と後側ロアアーム42との間に位置しているのに対し、その上端は、アッパアーム5よりも前側に位置している。
前記キャリア2には、ディスクブレーキ装置22が取り付けられている。このディスクブレーキ装置22は、車輪8の制動を行う装置である。なお、本実施形態におけるディスクブレーキ装置22は、図2に示すように、キャリア2の車両後方(ドライブシャフト7よりも車両後方)の位置に取り付けられている。
このディスクブレーキ装置22に液体圧を供給するためのブレーキホース23は、ディスクブレーキ装置22と車両本体との間に配置されるゴム等により形成されたホースである。このブレーキホース23は、一端がディスクブレーキ装置22側の取付部24に接続され、複数箇所がブラケット25,26,27によって車両本体に支持されている。
−トレーリングアームブッシュの構成−
次に、本実施形態の特徴であるトレーリングアームブッシュ9の構成について説明する。
図3はトレーリングアームブッシュ9の側面図(車幅方向の右側のサスペンション装置1におけるトレーリングアームブッシュ9を車幅方向の内側から見た側面図)である。この図3に示すように、トレーリングアームブッシュ9は、軸部材91、外筒部材92、ゴム弾性体93を備えている。
軸部材91は、金属製であって車両本体に固定されている。また、外筒部材92は、金属製であって前記軸部材91の外側に所定距離を隔てて同軸状に配置されてトレーリングアーム3に連結されている。ゴム弾性体93は、前記軸部材91と外筒部材92との間に介在されて両者91,92を一体的に連結する略円筒状のゴムで構成されている。
また、このゴム弾性体93には、該ゴム弾性体93の軸方向と該軸方向に直交する方向との動ばね定数を調整するために、軸部材91を挟んで車両前後方向で対向する軸対称位置において軸方向に貫通する一対のすぐり部94,95が設けられている。つまり、すぐり部94,95は、車両前後方向の前側(軸部材91よりも前側)に位置する前側すぐり部94と、車両前後方向の後側(軸部材91よりも後側)に位置する後側すぐり部95とを備えている。このように各すぐり部94,95が備えられていることにより、ゴム弾性体93は、すぐり部94,95を挟んでその内周側に内筒ゴム96が、外周側に外筒ゴム97がそれぞれ配設されている。各すぐり部94,95は、ゴム弾性体93を加硫成形する際に、各すぐり部94,95に対応した中子を成形型内に配設しておくことで成形される。また、加硫成形後のゴム弾性体93にくり抜き加工を施すことで各すぐり部94,95を成形するようにしてもよい。
このようにして前側すぐり部94および後側すぐり部95が備えられているため、軸部材91に対して上側および下側はそれぞれすぐり部が設けられない中実部98,99となる。つまり、上側(軸部材91よりも上側)に位置する上側中実部98と、下側(軸部材91よりも下側)に位置する下側中実部99とが備えられている。
ゴム弾性体93の周方向における各すぐり部94,95および各中実部98,99の成形範囲として、各すぐり部94,95それぞれは、トレーリングアームブッシュ9の中心に対する中心角として110°の範囲に亘って成形され、各中実部98,99それぞれは、トレーリングアームブッシュ9の中心に対する中心角として70°の範囲に亘って成形されている。これらの値はこれに限定されるものではなく任意に設定可能である。
前記すぐり部94,95の具体的な形状としては、トレーリングアームブッシュ9の周方向に亘って、内筒ゴム96の外周面と外筒ゴム97の内周面との間に所定間隔の隙間を形成するように延在する中央すぐり部94a,95aと、該中央すぐり部94a,95aの延在方向の両端に連続し、内筒ゴム96の外周面と外筒ゴム97の内周面との間に前記所定間隔(中央すぐり部94a,95aによって成形されている所定間隔)の隙間よりも大きな隙間を形成する拡大すぐり部94b,94c,95b,95cとを有している。つまり、これら拡大すぐり部94b,94c,95b,95cの外側端(中央すぐり部94a,95aとは反対側の外側端)が、各中実部98,99との境界部となっている。
そして、これら拡大すぐり部94b,94c,95b,95cの外側端の表面9A,9A,…はそれぞれ車幅方向に沿って延在しており、これら表面9A,9A,…は、後述する連結面(曲面で構成される連結面)9C,9C,…によって中実部98,99の表面(略車両前後方向に沿って延在する表面)9B,9Bに滑らかに連続する形状となっている。以下では、拡大すぐり部94b,94c,95b,95cの外側端の表面9A,9A,…をすぐり部側表面9A,9A,…と呼び、中実部98,99の表面(略車両前後方向に沿って延在する表面)9B,9Bを中実部側表面9B,9Bと呼ぶこととする。
このように構成されたトレーリングアームブッシュ(すぐり入りブッシュ)9に要求される特性としては、車両前後方向にあっては、サスペンション装置1のばね下前後振動を早期に減衰させて車両の乗り心地を良好に得るために、高い減衰係数を有していることが求められる。一方、上下方向にあっては、ロードノイズの低減を図るために、低い動ばね定数を有していることが求められる。このように、トレーリングアームブッシュ9には、車両前後方向と上下方向とで相反する特性が要求されている。
この要求を満たす構成として、車両前後方向と上下方向とで異なるゴム材を軸部材と外筒部材との間に充填する所謂2色成形法が知られているが、この場合、成形型の構成が複雑になり、また、特性が安定し難いことや、コストの高騰に繋がることから実用性に乏しいものであった。
また、減衰係数の高いゴム材を採用することで前記要求をある程度は満たすことが可能であるが、車両前後方向の減衰係数を高くするゴム材を選定した場合には、上下方向の動ばね定数も高くなってしまうため、良好な乗り心地とロードノイズの低減とを両立することは未だ実現できていなかった。
本実施形態では、この点に鑑み、車両前後方向に高い減衰係数を得ると共に上下方向に低い動ばね定数を得ることを可能にする設計方法によってトレーリングアームブッシュ9を構成している。以下、このトレーリングアームブッシュ9の設計方法について説明する。
図4は、図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。つまり、一方の中実部(上側中実部)98の水平方向における断面図である。なお、この図4では断面の外縁形状のみを示している(断面を表すハッチングを省略している)。また、図5は、図4で示した断面における角部(図4における左上側の角部)を拡大して示す図である。
これらの図に示すように、上側中実部98の前記断面の外縁を構成する各面としては、車幅方向の内側に位置して略車両前後方向に沿って延在する前記中実部側表面9Bとしての中実部内側面9B1、および、車幅方向の外側に位置して略車両前後方向に沿って延在する前記中実部側表面9Bとしての中実部外側面9B2を備えている。これら中実部内側面9B1および中実部外側面9B2は、それぞれ車幅方向に僅かに膨出する湾曲面で成形されている。
また、前記上側中実部98の前記断面の外縁を構成する各面としては、前記拡大すぐり部94b,95bの外側端(中央すぐり部94a,95aとは反対側の外側端)の表面である前記すぐり部側表面9Aを備えている。なお、下側中実部99の断面形状も同様となっている。
そして、これら中実部内側面9B1とすぐり部側表面9Aとの間、および、中実部外側面9B2とすぐり部側表面9Aとの間のそれぞれが、前記曲面で構成される連結面9Cによって滑らかに連続している。
ここで、前記連結面9Cの形状として3タイプについて説明する。この連結面9Cの形状は、図4に示した断面(上側中実部98の断面)における後述する矩形率を決定するものである。ここでは、図4および図5に一点鎖線で示した形状の連結面9C1を有する角部を角部Aとする。また、図4および図5に破線で示した形状の連結面9C2を有する角部を角部Bとする。また、図4および図5に実線で示した形状の連結面9C3を有する角部を角部Cとする。角部Aを構成する連結面9C1に対して、角部Bを構成する連結面9C2の方が、この断面における曲率が大きくなっている。また、角部Bを構成する連結面9C2に対して、角部Cを構成する連結面9C3の方が、この断面における曲率が大きくなっている。つまり、角部Aを有して形成される前記断面の形状よりも、角部Bを有して形成される前記断面の形状の方が矩形状に近く矩形率が高くなっている。また、角部Bを有して形成される前記断面の形状よりも、角部Cを有して形成される前記断面の形状の方が矩形状に近く矩形率が高くなっている。
図6〜図8は、それぞれトレーリングアームブッシュ9の一部(拡大すぐり部95bの周辺部)を示す斜視図である。具体的に、図6は、連結面9Cの形状を前記連結面9C1とした場合のトレーリングアームブッシュ9の一部を示す斜視図である。図7は、連結面9Cの形状を前記連結面9C2とした場合のトレーリングアームブッシュ9の一部を示す斜視図である。図8は、連結面9Cの形状を前記連結面9C3とした場合のトレーリングアームブッシュ9の一部を示す斜視図である。
以下、前記矩形率の定義について説明する。本実施形態では、上側中実部98の前記断面における矩形率は下記式(1)によって定義している。
S=Ln/TL …(1)
ここで、Sは上側中実部98の前記断面での矩形率である。
また、Lnは前記断面における車幅方向(本発明でいう特定の径方向に直交する方向)でのゴム弾性体93の最大厚さ寸法に1未満の所定の係数を乗算した値の寸法となる位置における車両前後方向(本発明でいう特定の径方向に沿う方向)での長さである。
この長さLnについて説明する。図4に示すように、前記断面における車幅方向でのゴム弾性体93の最大厚さ寸法は図中のTWである。そして、前記所定の係数を「0.8」とした場合、前記「1未満の所定の係数を乗算した値の寸法」は、TW×0.8となる。そして、ゴム弾性体93の厚さ寸法としてTW×0.8となっている位置における車両前後方向での長さとしては、角部Aを有して形成される前記断面にあってはL3であり、角部Bを有して形成される前記断面にあってはL2であり、角部Cを有して形成される前記断面にあってはL1である。言い替えると、前記寸法TW×0.8を規定する直線(図4における破線LA)と、各角部A〜Cそれぞれを形成している連結面9C1〜9C3との交点同士の間隔寸法として、角部Aを有するものにあってはその寸法がL3であり、角部Bを有するものにあってはその寸法がL2であり、角部Cを有するものにあってはその寸法がL1である。
また、TLは、前記断面での車両前後方向(本発明でいう特定の径方向に沿う方向)での最大長さである。つまり、前記断面におけるすぐり部側表面9A,9A同士の間の間隔寸法である。
本実施形態にあっては、寸法TLに対する寸法L1の比率は95%である。また、寸法TLに対する寸法L2の比率は85%である。また、寸法TLに対する寸法L3の比率は75%である。なお、これら比率は任意のものが選択可能である。
以上のことから、角部Aを有して形成される前記断面における矩形率は「L3/TL」であり、角部Bを有して形成される前記断面における矩形率は「L2/TL」であり、角部Cを有して形成される前記断面における矩形率は「L1/TL」である。そして、前述したように、角部Aを有して形成される前記断面の形状よりも、角部Bを有して形成される前記断面の形状の方が矩形状に近く矩形率が高くなっている。また、角部Bを有して形成される前記断面の形状よりも、角部Cを有して形成される前記断面の形状の方が矩形状に近く矩形率が高くなっている。
本実施形態では、トレーリングアームブッシュ9における車両前後方向でのゴム弾性体93の動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定してトレーリングアームブッシュ9を設計している。以下、具体的に説明する。
前記中実部98,99の前記断面での矩形率と、トレーリングアームブッシュ9における車両前後方向での動ばね定数との間には相関があることが新たな知見として見出された。これにより、この中実部98,99の前記断面での矩形率を変化させることによって、前記車両前後方向での動ばね定数と、上下方向での動ばね定数との相関を変化させることが可能になった。つまり、例えば上下方向での動ばね定数を変化させることなく、車両前後方向での動ばね定数を変化させることが可能となる。
本実施形態では、このことを利用し、前記中実部98,99の前記断面での矩形率を前記式(1)で定義し、トレーリングアームブッシュ9における車両前後方向での動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定してゴム弾性体93を設計するようにしている。これにより、車両前後方向および上下方向それぞれにおいて所望の動ばね定数を、前記矩形率を適宜規定することによって得ることが可能になる。つまり、この矩形率を適宜規定することにより、車両前後方向に高い減衰係数(動ばね定数)を得ると共に上下方向に低い動ばね定数を得る等といった各方向それぞれに対する減衰係数および動ばね定数の設定の自由度を高めることが可能になる。例えば、車両前後方向に高い減衰係数を得ると共に上下方向に低い動ばね定数を得るようにすれば、良好な乗り心地とロードノイズの低減とを両立することが可能になる。
図9は、前記角部A〜Cそれぞれにおける上下方向の静ばね定数と車両前後方向の静ばね定数との関係を示すシミュレーション結果の図である。この図9から明らかなように、矩形率をS3(=L3/TL)、S2(=L2/TL)、S1(=L1/TL)の順で変化させていくに従い、上下方向(H方向)での静ばね定数を変化させることなく、車両前後方向(L方向)での静ばね定数を変化させることが可能となっている。なお、一般に動ばね定数は静ばね定数に比例するものであるため、矩形率をS3、S2、S1の順で変化させていくに従い、実際の振動吸収時においても上下方向(H方向)での動ばね定数を変化させることなく、車両前後方向(L方向)での動ばね定数を変化させることが可能となる。
例えば、上下方向(H方向)で所望の動ばね定数が得られるようにゴム弾性体93のゴム材を選定しておき、車両前後方向(L方向)で所望の動ばね定数が得られるように前記式(1)で定義される矩形率を規定することにより、車両前後方向に所望の高い減衰係数を得ると共に上下方向に所望の低い動ばね定数を得ることができ、良好な乗り心地とロードノイズの低減とを両立することが可能になる。
本実施形態において例示した前記3タイプのトレーリングアームブッシュ9における、上下方向(H方向)での静ばね定数に対する車両前後方向(L方向)での静ばね定数の比としては、角部Aを有して形成される前記断面のもの(図6に示したもの)にあっては「0.256」となっており、角部Bを有して形成される前記断面のもの(図7に示したもの)にあっては「0.259」となっており、角部Cを有して形成される前記断面のもの(図8に示したもの)にあっては「0.263」となっていた。
−他の実施形態−
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態では、本発明に係るすぐり入りブッシュの設計方法を、トレーリングウィッシュボーンサスペンション装置1のトレーリングアーム3に備えられるトレーリングアームブッシュ9に適用した場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、その他の種類のサスペンション装置のアームに備えられるすぐり入りブッシュの設計方法として適用することも可能である。
また、前記実施形態では、車両前後方向の前側(軸部材91よりも前側)に前側すぐり部94を、車両前後方向の後側(軸部材91よりも後側)に後側すぐり部95をそれぞれ備えたトレーリングアームブッシュ9の設計について説明した。本発明はこれに限らず、上下方向の上側(軸部材91よりも上側)に上側すぐり部を、上下方向の下側(軸部材91よりも下側)に下側すぐり部をそれぞれ備えたトレーリングアームブッシュの設計に適用することも可能である。この場合、例えば車両前後方向での動ばね定数を変化させることなく、上下方向での動ばね定数を変化させることが可能になる。また、すぐり部の配設位置としては、車両前後方向における両側(軸部材91に対して前側および後側)、上下方向における両側(軸部材91に対して上側および下側)には限定されず、軸部材91に対して斜め上方および斜め下方にすぐり部が備えられたトレーリングアームブッシュに対しても本発明は適用が可能である。
本発明は、車両のサスペンション装置に適用され且つすぐり部を有するトレーリングアームブッシュの設計に適用可能である。
1 サスペンション装置
9 トレーリングアームブッシュ
93 ゴム弾性体
94 前側すぐり部
95 後側すぐり部
98 上側中実部
99 下側中実部

Claims (1)

  1. 車両のサスペンション装置に適用されると共にゴム弾性体の周方向に亘ってすぐり部および中実部が交互に設けられて成るすぐり入りブッシュの設計方法であって、
    周方向で隣り合う一対のすぐり部に亘り且つ前記すぐり入りブッシュの軸心に沿う方向における前記中実部の断面での矩形率を下記式(1)で定義し、前記すぐり入りブッシュにおける特定の径方向に沿う方向での前記ゴム弾性体の動ばね定数を、この式(1)で定義された矩形率を規定することにより設定して前記ゴム弾性体を設計することを特徴とするすぐり入りブッシュの設計方法。
    S=Ln/TL …(1)
    但し、Sは前記断面での矩形率、Lnは前記断面における前記特定の径方向に直交する方向での前記ゴム弾性体の最大厚さ寸法に1未満の所定の係数を乗算した値の寸法となる位置における前記特定の径方向に沿う方向での長さ、TLは前記断面での前記特定の径方向に沿う方向での最大長さである。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022147151A (ja) * 2021-03-23 2022-10-06 本田技研工業株式会社 サスペンション構造

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