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JP2020196833A - 自己粘着発泡シート - Google Patents

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JP2020196833A
JP2020196833A JP2019104851A JP2019104851A JP2020196833A JP 2020196833 A JP2020196833 A JP 2020196833A JP 2019104851 A JP2019104851 A JP 2019104851A JP 2019104851 A JP2019104851 A JP 2019104851A JP 2020196833 A JP2020196833 A JP 2020196833A
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拓也 永澤
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Ryusuke Ikui
隆介 幾井
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Abstract

【課題】0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、繰り返し使用が可能な自己粘着性発泡シートを提供する。【解決手段】エマルジョンと、起泡剤と、粘着付与剤を含むエマルジョン組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化してなる自己粘着性発泡シートであって、前記自己粘着性発泡シートの厚みが、0.05〜0.5mmであり、前記エマルジョンのガラス転移温度が、−35〜−25℃であり、前記粘着付与剤の配合量が、前記エマルジョンの配合量を100質量部とした場合に、3〜40質量部であることを特徴とする、自己粘着性発泡シート。【選択図】なし

Description

本発明は、自己粘着発泡シートに関する。
従来、発泡体に粘着性・接着性を付与するためには、粘着・接着層を積層させたり、ホットメルト接着剤を塗布したり、粘着剤に含浸させるなどそれぞれの用途に適した粘着加工を施すことが多い。粘着・接着テープを積層させたり、ホットメルト接着剤を塗布したり、粘着剤に含浸させるなどそれぞれの用途に適した粘着加工を施すための別途工程が必要であるため、発泡体自体が粘着性を有する自己粘着発泡体が提案されている(例えば、特許文献1)。
自己粘着性発泡体として、被着体に貼り付けたあと、剥離し、再び、貼り付けること(繰り返し使用)が可能であるものも存在している。
特開2002−37829号公報
自己粘着性発泡体を吸着床材として住宅や商業施設にて使用する場合、段差が生じると、つまずいたり、段差面が損傷したりする等の懸念があるため、薄い自己粘着性発泡体(シート)が求められている。これに対し、特許文献1の自己粘着性発泡体は、段落0061から分かるように、自己粘着性発泡体の厚みは3mmであり、薄さが必要な用途で用いる場合を想定していない。即ち、特許文献1の自己粘着性発泡体は、発泡体としての柔軟性による、段差の吸収などの効果を求めているため、ある程度の厚さが必要であり、薄化することを考慮していない。
従って、特許文献1の自己粘着性発泡体をミリオーダー以下の薄さにした場合には、粘着強度や粘着保持力が低下したり、繰り返し使用する際に材料破壊(層間破壊)が生じたり、高密度化して柔軟性が失われたりするおそれがあった。
そこで、本発明は、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、高い粘着強度、粘着保持力及び層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、繰り返し使用が可能な自己粘着性発泡体シートを提供すること、を目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の成分を含み、特定の特性を有する自己粘着性発泡シートが、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
エマルジョンと、起泡剤と、粘着付与剤を含むエマルジョン組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化してなる自己粘着性発泡シートであって、
前記自己粘着性発泡シートの厚みが、0.05〜0.5mmであり、
前記エマルジョンのガラス転移温度が、−35〜−25℃であり、
前記粘着付与剤の配合量が、前記エマルジョンの配合量を100質量部とした場合に、3〜40質量部であることを特徴とする、自己粘着性発泡シートである。
本発明(2)は、
前記自己粘着性発泡シートは、JIS K7222:2005に準じて測定した見かけの密度が、300〜800kg/mであることを特徴とする、前記発明(1)の自己粘着性発泡シートである。
本発明(3)は、
前記エマルジョンは、アクリルエマルジョンと、エチレン酢酸ビニルエマルジョンと、を含み、
前記アクリルエマルジョンの配合量は、全てのエマルジョンの質量を100質量%とした場合に、40〜80質量%であり、
前記エチレン酢酸ビニルエマルジョンの配合量は、全てのエマルジョンの質量を100質量%とした場合に、20〜60質量%であることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の自己粘着性発泡シートである。
本発明(4)は、
前記自己粘着性発泡シートは、自己粘着性発泡シートの両面に、各厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせて積層し、T字剥離試験を行った場合の、前記自己粘着性発泡シートの層間剥離強度が3.0N/12mm以上であることを特徴とする、
前記発明(1)〜(3)のいずれかの自己粘着性発泡シートである。
本発明(5)は、
前記自己粘着性発泡シートは、被着体をSUS304のBA仕上板とし、JIS Z0237に準拠して測定した粘着強度が、1.5〜3.5N/24mmであることを特徴とする前記発明(1)〜(4)のいずれかの自己粘着性発泡シートである。
本発明(6)は、
前記自己粘着性発泡シートは、被着体をSUS304のBA仕上板とし、前記SUS304のBA仕上板を鉛直方向に対し45°傾け、その下面に、長さ50mm×幅24mmに加工した前記自己粘着性発泡シートを貼り合わせ、200gの錘を吊るした場合に、自己粘着性発泡シートが落下するまでの時間が、60sec.以上であることを特徴とする、前記発明(1)〜(6)のいずれかの自己粘着性発泡シートである。
本発明によれば、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、優れた粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、繰り返し使用が可能な自己粘着性発泡体シートを提供することができる。
本発明の自己粘着発泡シートの粘着保持力を測定する方法を示した説明図である。
ここで、本発明において、「自己粘着性」とは、粘着剤を塗布すること(粘着層を設けることも含む)や含浸することなく、その素材の性質から、押え付けると被着体に粘着するが、剥離すると被着体に移行せず接合部から剥がすことができる性質をいう。
また、「半連続気泡構造」とは、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造であり、JIS L1096のA法に準拠し、フラジール型通気性試験機を用いて測定した値が2[ml/cm/s]以上、80[ml/cm/s]未満となる構造をいう。
また、本発明において、「層間剥離強度」とは、本発明にかかるシートの材料強度の一つの指標であり、T字剥離した場合における引裂き時の応力をいう。具体的には、後述する試験方法によりその強度を測定することができるものとする。
1.自己粘着性発泡シート
本発明の自己粘着性発泡シートは、エマルジョンと、起泡剤と、粘着付与剤を含むエマルジョン組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化してなることを特徴としている。
また、本発明の自己粘着性発泡シートは、その厚みが、0.05〜0.5mmであることを特徴としている。自己粘着性発泡シートはその用途等によって厚みを変えることができる。自己粘着性発泡シートの厚みは、薄くなるほど、見かけの密度が高くなる傾向があり、層間破壊強度が高くなるが、粘着強度と粘着保持力が弱くなる傾向にある。なお、厚さと密度の関係は、自己粘着性発泡シートに用いる材質によって異なり、メカニカルフロス法の空気混入量やドクターナイフ・ドクターロール等の設定を変えることで調整することができる。
また、本発明の自己粘着性発泡シートは、自己粘着性発泡シートに用いられるエマルジョンのガラス転移温度が、−35〜−25℃であることを特徴としている。
ガラス転移温度の測定方法は、後述する。
また、本発明の自己粘着性発泡シートは、自己粘着性発泡シートに用いられる粘着付与剤の配合量が、全エマルジョンの配合量を100質量部とした場合に、3〜40質量部であることを特徴としている。自己粘着性発泡シートに用いられる粘着付与剤の配合量がかかる範囲にある場合には、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、高い粘着強度、粘着保持力及び層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、繰り返し使用が可能な自己粘着性発泡体シートを得ることができる。
本発明の自己粘着性発泡シートの構造は、特に限定されず、独立気泡構造、半連続気泡構造、連続気泡構造のいずれを含むことができる。これは、単独で、又は、組み合わせて用いることができる。これらのうち、半連続気泡が、好ましい。半連続気泡構造を有する場合には、吸盤効果によって、被着体に粘着する効果も加わることとなり、粘着強度や、粘着保持力を高くすることができる。
本発明の自己粘着性発泡シートの断面の気泡の平均セル径の上限及び下限は、特に限定されないが、平均セル径の上限としては、例えば、100μm以下とすることができ、50μm以下が好ましい。また、平均セル径の下限としては、例えば、0.1μm以上とすることができ、10μm以上が好ましい。自己粘着性発泡シートの断面の気泡の平均セル径がかかる範囲にある場合には、自己粘着性発泡シートの吸着表面積を広くすることが可能となり、粘着強度や、粘着保持力を高くすることができる。
平均セル径の測定方法としては、以下の方法に従うものとする。まず、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、多孔質フォーム層110の断面の写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、各気泡(セル)径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストで気泡(セル)を認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理で起泡(セル)の形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各気泡(セル)径を算出する。
本発明の自己粘着性発泡シートの見掛けの密度は、特に限定されないが、例えば、300〜800kg/mとすることができ、400〜600kg/mが好ましい。見掛けの密度がかかる範囲にあることで、厚みの効果と相まって、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状でありながら、高い粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、自己粘着性発泡シートを得ることが可能となる。
本発明において、見かけの密度は、JIS K7222:2005『発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方』に準拠して、測定する。
本発明の自己粘着性発泡シートは、フィルム状の基材や、剥離加工された樹脂フィルムと積層してもよい。
以下に、本発明の自己粘着性発泡シートを詳述する。
1−1.エマルジョン
本発明にかかるエマルジョンは、ガラス転移温度が−35〜−25℃である。
エマルジョンとしては、例えば、アクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、エポキシエマルジョン等が挙げられる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
また、これらのうち、粘着強度、軽量性、断熱性に優れているという点でアクリルエマルジョンを含むことが好ましい。さらに、このアクリルエマルジョンとエチレン酢酸ビニルエマルジョンとを組み合わせることが、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、優れた粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、自己粘着性発泡シートを得ることができるため、より好ましい。
アクリルエマルジョンの製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、さらに必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。
アクリルエマルジョンの調製に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
アクリルエマルジョンの調製時に乳化剤を使用する場合には、公知の乳化剤を使用することができる。
エチレン酢酸ビニルエマルジョンの製法としては、例えばポリビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性剤等を乳化分散剤として併用し、エチレンと酢酸ビニルモノマーとを乳化重合法により共重合して得ることができる。
エチレン酢酸ビニルエマルジョンは、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸基、メチロール基、アルコキシ基等の官能基を有するビニルモノマーがさらに共重合されたものであってもよい。
アクリルエマルジョンとエチレン酢酸ビニルエマルジョンとを組み合わせる場合の配合量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。アクリルエマルジョンとエチレン酢酸ビニルエマルジョンとを組み合わせる場合の配合量としては、例えば、全エマルジョンの質量を100質量%とした場合に、アクリルエマルジョンとして、40〜80質量%であり、エチレン酢酸ビニルエマルジョンとして、20〜60質量%とすることができる。
また、アクリルエマルジョンの配合量と、エチレン酢酸ビニルエマルジョンの配合量と、の比(アクリルエマルジョンの配合量/エチレン酢酸ビニルエマルジョンの配合量)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10.0とすることができ、0.67〜4.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。アクリルエマルジョンの配合量と、エチレン酢酸ビニルエマルジョンの配合量と、の比がかかる範囲にあることで、0.05mm〜0.5mmの薄いシート状であり、優れた粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、自己粘着性発泡シートを得ることができる。
本発明において、エマルジョン組成物の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
本発明に用いられるエマルジョンの内、好適な態様であるアクリルエマルジョン及びエチレン酢酸ビニルエマルジョンの物性について以下説明する。
・粘度(mPa・s)
粘度は、ブルックフィールド粘度計(25℃)によって測定する。
アクリルエマルジョンの粘度としては、5,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。8,000〜15,000mPa・sであることがより好ましい。粘度が5,000mPa・s以上であれば、成形時の泡保持力が十分となり、より微細なセルが成形でき、粘着強度がより強くなる傾向にある為である。逆に粘度が20,000mPa・s以下であれば、成形時に原料へのせん断力を低減できるため、歪な形のセルが成形することを防げるため、より十分な粘着強度が得られるからである。
前記のエチレン酢酸ビニルエマルジョンの粘度としては、2,000〜4,000mPa・sであることが好ましく、2,000〜3,000mPa・sであることがより好ましい。この粘度範囲であれば、上記アクリルエマルジョンと組み合わせた際、撹拌効率が増加し、均一に酢酸ビニルが配置され、より強力な粘着強度・材料強度を発揮することができると考えられる。
より詳細には、撹拌効率は、メカニカルフロス法で製造する際の泡の形成において、重要なファクターの一つであると考えられる。撹拌効率の増加は、原料中に入り込んだ泡をより微細、且つ、均一に成形することを可能とする。これにより被着体に対しての接着面積が上がることで、被着体に対する粘着強度が向上するものと考えられる。また、このことは微細セルがもたらす強い吸盤効果にも影響していると推定される。
・ガラス転移温度
ガラス転移温度は、動的粘弾性装置DMA(Anton Paar社製 型式MCR302)にて、JIS K7198に準拠した手順で−80℃〜150℃、5℃/minで昇温、1Hzの条件で測定した際のtanδのピーク値をガラス転移温度とする。
また、アクリルエマルジョンのガラス転移温度とエチレン酢酸ビニルエマルジョンのガラス転移温度が、いずれも−10℃以下であることが好ましい。低温化での使用時にアクリル樹脂及びエチレン酢酸ビニルが高硬度化したり、減粘着化したりする傾向があるためである。
・その他
アクリル系エマルジョンに関しては、フィラーレスであるものの方が好適である。この理由としては、フィラーレスによる低硬度化(柔軟性の付与)が実現でき、より被着体に対する追従性が向上する為であると推定される。
1−2.起泡剤
本発明にかかるエマルジョン組成物は、起泡剤を含む。本発明にかかる起泡剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。気泡剤としては、例えば、カゼイン、にかわ、アルブミンなどの動物蛋白系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。これらのうち、アニオン性界面活性剤を含むことが、低泡性であるため好ましく、気泡が微細かつ均一化するためアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤とを含むことがより好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本形態に用いられるアニオン性界面活性剤は、エマルジョン組成物に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適であり、30以上であることが特に好適である。
・HLB
なお、本発明において、HLB値とは、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLBの求め方は、「新・界面活性剤入門」第195〜196頁及び1957年3月20日槙書店発行 小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492〜502頁に記載されており、HLB=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
(両性界面活性剤)
本発明にかかるエマルジョン組成物は、アニオン性界面活性材に加えて、さらに両性界面活性剤を用いることにより、気泡が微細かつ均一化する。
特にアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用した場合、アニオン系界面活性剤の分子同士の親水基の電荷が反発し、アニオン系界面活性剤の分子同士がある程度の距離を保っている間に、電気的に中性である両面活性剤がアニオン系界面活性剤の分子の間に入り込むことによって、気泡をより安定化し、気泡のサイズを小さくすることができる。このため、層間剥離強度を向上させることができる。よって、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用することが好ましい。
本発明にかかる両性界面活性剤としては、特に制限されるものではなく、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキシド型等の両性界面活性剤を使用することができる。ベタイン型の両性界面活性剤は、前述の効果がより高いことから、好適である。さらに、アニオン系界面活性剤の分子の間への入り込み易さの点から、C10〜12のものが好ましい。
アミノ酸型の両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸又はその塩等が挙げられる。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基又はアルケニル基が結合し、さらに1つ又は2つの「−R−COOH」(式中、Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1〜2であることが好ましい。)で表される基が結合した構造を有する。「−R−COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子にはさらに水素原子が結合している。「−R−COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。本発明にかかる両性界面活性剤としては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。具体的には、アミノ酸型の両性界面活性剤として、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、トリメチルグリシンナトリウム、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン等が挙げられる。
ベタイン型の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタイン、アミドカルボベタイン、アミドベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、ホスホベタイン等がある。具体的には、ベタイン型の両性界面活性剤として、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
アミンオキシド型の両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミン−N−オキシド、オレイルジメチルアミン−N−オキシド等が挙げられる。
上述した両性界面活性剤のうち、本発明にかかるエマルジョン組成物の製造方法には、ベタイン型の両性界面活性剤を使用することが好ましく、ベタイン型の中でも、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタインが特に好ましい。本発明で使用可能なアルキルベタインとしては、ステアリルベタイン、ラウリルベタイン等が例示され、イミダゾリニウムベタインとしては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が例示される。
1−3.粘着付与剤
本発明にかかるエマルジョン組成物は、粘着付与剤を含む。粘着付与剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然樹脂;石油樹脂、水素添加(水添)石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主成分とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。(水添)石油樹脂としては、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5/C9系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。上記スチレン系樹脂としては、ポリαメチルスチレン、αメチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/αメチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/スチレン系モノマー以外の芳香族系モノマー共重合体等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、組み合せて用いることができる。これらのうち、ロジン系樹脂が、エマルジョンとの相溶性が良好であるため好ましい。ロジン系樹脂は、特に、好適なエマルジョンであるアクリルエマルジョンやエチレン酢酸ビニルエマルジョンとの相溶性が良好である。
本発明にかかる粘着付与剤の軟化温度は、特に限定されない。粘着付与剤の軟化温度としては、例えば、25〜200℃とすることができ、25〜160℃が好ましい。粘着付与剤の軟化温度が、かかる範囲にある場合には、優れた粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、自己粘着性発泡シートを得ることができる。自己粘着性発泡シートの層間剥離強度の観点では、軟化温度が80〜160℃のものが好ましい。
軟化温度の測定は、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて、測定する。軟化温度の測定は、昇温速度を20℃/分として25℃〜230℃に昇温したのち、降温速度を5℃/分として230℃〜25℃に降温して、測定した温度曲線の降温曲線のピークトップの温度を軟化温度とする。
粘着付与剤の配合量は、全エマルジョンの配合量を100質量部とした場合に、3〜40質量部とすることができ、5〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。粘着付与剤の配合量が、かかる範囲にある場合には、優れた粘着強度、粘着保持力、層間剥離強度を有し、かつ、柔軟性をも兼ね備える、自己粘着性発泡シートを得ることができる。
1−4.その他成分
本発明にかかるエマルジョン組成物は、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、気泡安定剤、整泡剤、架橋剤(硬化剤)、触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
架橋剤(硬化剤)を用いることで、本発明の自己粘着性発泡シートの層間強度を向上させることが可能となる。
架橋剤としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、用途等に応じて、必要量添加すればよい。
架橋剤による架橋手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。架橋剤としては、公知の架橋剤を使用可能でありエポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などを、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。粘着強度、タック強度及び層間剥離強度を向上させるため、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系及びエポキシ系架橋剤は、材料強度を上げることにより、被着体及び自己粘着性発泡シートの材料破壊を防ぐことができる。中でも脂肪族イソシアネートがより好ましい。これらは、単独で、又は複数を組み合せて、用いることができる。
2.自己粘着性発泡シートの製造方法
本発明にかかる自己粘着性発泡シートの製造方法は、原料調製工程と、発泡・硬化工程(エマルジョンと起泡剤とを少なくとも含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程)と、を含む。前記エマルジョン組成物が、架橋剤をさらに含有し、前記工程において、エネルギーを印加して前記エマルジョンを構成する樹脂を、前記架橋剤を介して架橋させることにより、前記発泡体を硬化させてもよい。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
2−1.原料調製工程
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、発泡体の原料混合物であるエマルジョン組成物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
2−2.発泡・硬化工程
発泡・硬化工程では、上記原料調製工程で得られたエマルジョン組成物に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させてエマルジョン組成物中に気泡が多数存在する状態(発泡エマルジョン組成物)にする。この発泡・硬化工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の自己粘着性発泡シートの原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
・発泡用気体
攪拌・発泡工程でエマルジョン組成物に混合される発泡用気体は、発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる発泡体の発泡倍率及び密度が決まる。自己粘着性発泡シートの密度を調整するためには、所望の自己粘着性発泡シートの密度と、自己粘着性発泡シートの原料の体積(例えば、自己粘着性発泡シートの原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な自己粘着性発泡シートの原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
・発泡方法、発泡条件
本発明にかかる発泡体の調製方法で使用される発泡方法としては、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用する。メカニカルフロス法は、エマルジョン組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をエマルジョン組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、エマルジョン組成物と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の自己粘着性発泡シートを得ることができる。その他の発泡方法を併用することも可能であるが、化学発泡剤を用いた発泡方法を併用すると、独立泡の割合が高くなることで、密度が大きくなり、自己粘着性発泡シートの柔軟性が失われるため、好ましくない。
エマルジョン組成物と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1〜10分、好ましくは2〜6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
・発泡体の形成
以上のようにして発泡したエマルジョン組成物(発泡エマルジョン組成物)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の厚みに合わせたシート状等の発泡体に形成される。
・硬化
発泡体の硬化方法としては、公知の方法を用いることができる。本形態にかかる発泡体は自己架橋をさせることもできるが、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を、架橋剤を介して架橋させることにより、発泡体を硬化させてもよい。エネルギーを印加する工程としては特に限定されないが、例えば、加熱工程(熱架橋)が挙げられる。
加熱工程では、成形された発泡エマルジョン組成物中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡エマルジョン組成物中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、自己粘着性発泡シートの内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態にかかる発泡体では、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、自己粘着性発泡シート中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、攪拌・発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた自己粘着性発泡シート中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた自己粘着性発泡シート中では連続気泡となる。
架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した架橋剤により原料同士が架橋され、硬化した自己粘着性発泡シートが形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80〜150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
3.自己粘着性発泡シートの特性
・層間剥離強度(材料強度)
層間剥離強度(材料強度)は、サンプルをT字剥離した場合の応力を測定することにより、評価するものである。具体的には、自己粘着性発泡シートを幅12mm×長さ150mmに加工し、自己粘着性発泡シートの両面に両面テープ(日東電工社製、品番5000NS)を貼り、その両面に幅12mm×長さ200mmのバッキングフィルム(PETフィルム:東レ社製、品番S38、厚さ38μm)を貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ85℃の炉に24時間放置する。その後、室温(23±5℃、60±20%RH)に1時間以上放置し、オートグラフ(島津製作所社製、型番AG−X)を用いて、室温(23±5℃、60±20%RH)の環境下で、1000mm/min速度でバッキングフィルムを引っ張ったT字剥離試験力を測定し、層間剥離強度(N/12mm)とすることによって評価する。層間剥離強度は、3.0N/12mm以上であることが好ましく、4.0N/12mm以上であることがより好ましく、7.0N/12mm以上であることがさらに好ましい。層間剥離強度が、かかる範囲にある場合には、自己粘着性発泡シートを対象物から引き剥がす際に、材料破壊(層間破壊)を起こさない自己粘着性発泡シートを得ることができる。自己粘着性発泡シートを、材料破壊(層間破壊)を起こさずに、その対象物面から剥離することができる結果、繰り返しの使用が可能となるからである。
・粘着強度(90°剥離強度)
粘着強度(90°剥離強度)は、JIS Z0237に準拠し、自己粘着性発泡シートを幅24mm×長さ150mmに加工し、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを止めた自己粘着性発泡シートを幅30mm×長さ200mm×厚さ3mmのSUS304のBA仕上板に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ、室温(23±5℃、60±20%RH)で24時間放置する。その後、オートグラフを用いて、室温(23±5℃、60±20%RH)の環境下で、300mm/min速度で引き上げる(90°剥離)試験力を測定し、粘着強度(90°剥離強度)(N/24mm)とすることによって評価する。粘着強度は、0.4〜2.5N/24mmであることが好ましく、0.9〜2.5N/24mmであることがより好ましく、1.1〜2.5N/24mmであることがさらに好ましい。粘着強度が、かかる範囲にある場合には、十分な粘着強度を有し、自己粘着性発泡シートを対象物から引き剥がす際に、材料破壊(層間破壊)を起こさない自己粘着性発泡シートを得ることができる。自己粘着性発泡シートを、材料破壊(層間破壊)を起こさずに、その対象物面から剥離することができる結果、繰り返しの使用が可能となるからである。
・粘着保持力
粘着保持力は、図1に示した装置を用いて、下記の方法によって測定する。自己粘着性発泡シートを24mm幅×長さ50mmに打ち抜き、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを留めた自己粘着性発泡シートを幅300mm×長さ300mm×厚さ5mmのSUS304のBA仕上板に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ試験片とし、室温(23±5℃、60±20%RH)に24時間放置する。その後、SUS304のBA仕上板を図1の様に鉛直方向に対して、45°傾斜させ、その下面に自己粘着性発泡シートに200gの錘を吊るし、試験片の落下までの時間を測定し、粘着保持力を評価する。保持時間は、60sec.以上とすることができ、180sec.以上が好ましい。なお保持時間に上限はない。
4.自己粘着性発泡シートの用途
本発明の自己粘着性発泡シートは、自動車、建材、エレクトロニクスなどの厚みに制限を受ける、即ち、薄さが要求される箇所に用いられ、繰り返し脱着が可能な接合部材として用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、特別な記載がない限り、含有量を表す「%」は質量%を意味する。
≪発泡体原料≫
まず、本実施例においては、発泡体の原料として下記の原料を使用した。
<エマルジョン>
・アクリルエマルジョン:固形分濃度54%、Tg −20℃、粘度15,000mPa・s
・エチレン酢酸ビニルエマルジョン(S3950):固形分濃度60%、Tg −60℃、粘度3,000mPa・s
<粘着付与剤>
・粘着付与剤1:ロジン系粘着付与剤、軟化温度 25℃
・粘着付与剤2:ロジン系粘着付与剤、軟化温度 80℃
・粘着付与剤3:ロジン系粘着付与剤、軟化温度 100℃
・粘着付与剤4:ロジン系粘着付与剤、軟化温度 160℃
<起泡剤>
・アニオン系起泡剤1:アルキルスルホコハク酸ナトリウム、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン系起泡剤2:アルキルベタイン、脂肪酸アルカミノールアミド、ジエタノールアミン、アニオン系界面活性剤混合系、pH7、固形分40%
・両性起泡剤:アルキルベタイン、pH10、固形分40%
<その他成分>
・架橋剤:HDIイソシアヌレート(官能基数3.5) 固形分100%
[発泡体原料]
実施例1の発泡体原料として、アクリルエマルジョンとエチレン酢酸ビニルエマルジョンを主剤として使用し、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする)として、各60(アクリルエマルジョン):40(エチレン酢酸ビニルエマルジョン)重量部に対し、5重量部の粘着付与剤4、3重量部のアニオン性起泡剤1、3重量部のアニオン性起泡剤2、1重量部の両性起泡剤、2重量部の架橋剤を混合して発泡体原料とした。
実施例2〜13及び比較例1〜7の発泡体原料として、表1に示す割合で原料を配合した以外は、実施例1の発泡体原料と同様にして各発泡体原料を調製した。
[シートの形成]
各実施例及び各比較例の発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、メカニカルフロス法により(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させ、PET製剥離ライナー上にキャスティングした後、加熱処理(オーブン又は乾燥炉)して各実施例及び各比較例の自己粘着性発泡シートを得た。各実施例及び各比較例の密度は、エアー又は窒素ガス等の不活性ガスの注入量やミキサーの回転数、乾燥条件を変更することで調整した。また各実施例及び比較例の自己粘着性発泡シートの厚さを表1に記載の厚さとした。
[評価試験]
次に、実施例1〜13及び比較例1〜7の測定及び評価を表1に示す。
・厚さ
厚さをシックネスゲージによって測定した。
・見掛けの密度
見掛けの密度は、JIS K7222:2005『発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方』に準拠して測定した。
・層間剥離強度(材料強度)
各実施例と比較例の自己粘着性発泡シートを幅12mm×長さ150mmに打ち抜き発泡体の両面に両面テープ(日東電工社製、品番5000NS)を貼り、その両面に幅12mm×長さ200mmのバッキングフィルム(PETフィルム:東レ社製、品番S38)を貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ85℃の炉に24時間放置した。その後、室温(23±5℃、60±20%RH)に1時間以上放置し、オートグラフ(島津製作所社製、型番AG−X)を用いて、室温(23±5℃、60±20%RH)の環境下で、1000mm/min速度でバッキングフィルムを引っ張った(T字剥離)試験力を測定した。評価基準は下記とした。結果を表1に示した。
評価基準
◎:4.0N/12mm以上
○:3.0N/12mm以上4.0N/12mm未満
×:3.0N/12mm未満
・粘着強度(90°剥離強度)
各実施例及比較例の自己粘着性発泡シートを、JIS Z0237に準拠し、自己粘着性発泡シートを幅24mm×長さ150mmに打ち抜き、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを止めた自己粘着性発泡シートを幅30mm×長さ200mm×厚さ3mmのSUS304のBA仕上板に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ、室温(23±5℃、60±20%RH)で24時間放置した。その後、オートグラフを用いて、室温(23±5℃、60±20%RH)の環境下で、300mm/min速度で引き上げる(90°剥離)試験力を測定した。評価基準は下記とし、結果を表1に示した。
評価結果
○:1.5N/12mm以上
×:1.5N/12mm未満
・粘着保持力
各実施例及び比較例の粘着保持力は、図1に示した装置を用いて、下記の方法によって測定した。各実施例及び比較例の自己粘着性発泡シートを24mm幅×長さ50mmに打ち抜き、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを留めた自己粘着性発泡シートを幅300mm×長さ300mm×厚さ5mmのSUS304のBA仕上板に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ試験片とし、室温(23±5℃、60±20%RH)に24時間放置した。その後、SUS304のBA仕上板を図1の様に、鉛直方向に対して、45°傾斜させ、その下面に自己粘着性発泡シートに200gの錘を吊るし、試験片の落下までの時間を測定し、粘着保持力を評価した。評価基準は下記とし、評価結果を表1に示した。
評価結果
◎:200sec.以上
○:60sec.以上200sec.未満
×:60sec.未満
・総合評価
◎:上記評価結果で、×がなく、◎が2つ以上のもの
○:上記評価結果で、×がなく、◎が2つ未満のもの
×:上記評価結果で、×があるもの
Figure 2020196833
1 粘着保持力測定装置
10 SUS304BA仕上板
20 片面粘着テープ
30 自己粘着性発泡シート
40 錘

Claims (6)

  1. エマルジョンと、起泡剤と、粘着付与剤を含むエマルジョン組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化してなる自己粘着性発泡シートであって、
    前記自己粘着性発泡シートの厚みが、0.05〜0.5mmであり、
    前記エマルジョンのガラス転移温度が、−35〜−25℃であり、
    前記粘着付与剤の配合量が、前記エマルジョンの配合量を100質量部とした場合に、3〜40質量部であることを特徴とする、自己粘着性発泡シート。
  2. 前記自己粘着性発泡シートは、JIS K7222:2005に準じて測定した見かけの密度が、300〜800kg/mであることを特徴とする、請求項1の自己粘着性発泡シート。
  3. 前記エマルジョンは、アクリルエマルジョンと、エチレン酢酸ビニルエマルジョンと、を含み、
    前記アクリルエマルジョンの配合量は、全てのエマルジョンの質量を100質量%とした場合に、40〜80質量%であり、
    前記エチレン酢酸ビニルエマルジョンの配合量は、全てのエマルジョンの質量を100質量%とした場合に、20〜60質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自己粘着性発泡シート。
  4. 前記自己粘着性発泡シートは、自己粘着性発泡シートの両面に、各厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせて積層し、T字剥離試験を行った場合の、前記自己粘着性発泡シートの層間剥離強度が3.0N/12mm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自己粘着性発泡シート。
  5. 前記自己粘着性発泡シートは、被着体をSUS304のBA仕上板とし、JIS Z0237に準拠して測定した粘着強度が、1.5〜3.5N/24mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自己粘着性発泡シート。
  6. 前記自己粘着性発泡シートは、被着体をSUS304のBA仕上板とし、前記SUS304のBA仕上板を鉛直方向に対し45°傾け、その下面に、長さ50mm×幅24mmに加工した前記自己粘着性発泡シートを貼り合わせ、200gの錘を吊るした場合に、自己粘着性発泡シートが落下するまでの時間が、60sec.以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自己粘着性発泡シート。
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