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JP2020165895A - 周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置 - Google Patents

周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置 Download PDF

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恭平 本田
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Abstract

【課題】簡便な方法によりタイヤに形成された周方向主溝の位置を検出可能な周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置を提供する。【解決手段】タイヤのトレッド面の3Dデータからタイヤの周方向主溝の位置をコンピュータにより検出する周方向主溝検出方法であって、タイヤ周方向に対して傾斜する一方向に沿ったトレッド表面の断面データを、タイヤ周方向の複数箇所において抽出する断面データ抽出ステップと、断面データをそれぞれ、一方向に沿って複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域内における相対的な凹凸を評価する評価ステップと、タイヤ周方向で同一位置にある分割領域の評価結果を重ね合わせ、タイヤの周方向主溝の位置を特定する周方向主溝特定ステップとを含む態様とした。【選択図】図7

Description

本発明は、周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置に関し、特に、タイヤの円周方向に沿って形成された主溝を検出する周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置に関する。
従来、タイヤの摩耗状態等を検査するための方法として、特許文献1に示すものが知られている。特許文献1では、まず、検査対象のタイヤからトレッド部の外形形状を3次元の点群データとして取得し、その点群データを円筒座標上にプロットした後に、タイヤのカーブに合わせた曲面に適合させ、曲面に適合させたデータをタイヤの周方向の一か所に纏めて重ね合わせることにより、タイヤ表面の凹凸形状を取得し、この凹凸形状に基づいてタイヤにおいて円周方向に延長する主溝(以下周方向主溝という)の位置を取得し、溝深さ等のタイヤの摩耗状態を検出している。
米国特許第9,805,697号明細書
しかしながら、引用文献1では、トレッド部のタイヤ一周分の3次元の点群データを取得、タイヤに設定された回転中心軸が円筒座標の座標軸に一致するものと仮定して円筒座標上へのプロット、円筒座標上にプロットされた点群データをタイヤのカーブに合わせた曲面に適合させる等の複数の処理を要するため、タイヤにおける周方向主溝の検出、溝深さの検出までに複雑な計算が必要となる。また、得られた溝深さは平均化された凹凸形状に基づいて算出されているため、特定箇所における実際の溝深さを得ることができないという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡便な方法によりタイヤに形成された周方向主溝の位置を検出可能な周方向主溝検出方法及び周方向主溝検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための周方向主溝検出方法の態様として、タイヤのトレッド面の3Dデータからタイヤの周方向主溝の位置をコンピュータにより検出する周方向主溝検出方法であって、タイヤ周方向に対して傾斜する一方向に沿ったトレッド表面の断面データを、タイヤ周方向の複数箇所において抽出する断面データ抽出ステップと、断面データをそれぞれ、一方向に沿って複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域内における相対的な凹凸を評価する評価ステップと、タイヤ周方向で同一位置にある分割領域の評価結果を重ね合わせ、タイヤの周方向主溝の位置を特定する周方向主溝特定ステップとを含む態様とした。
本態様によれば、簡便にタイヤにおける周方向主溝の位置を検出することができる。
また、周方向主溝検出方法の他の態様として、断面データ抽出ステップにおいて、周方向に異なる位置の3箇所以上から断面データを抽出したり、断面データを周方向に異なる間隔で抽出すると良い。また、評価ステップにおいて、凹凸を数値により評価したり、周方向主溝特定ステップにおいて、前記評価ステップにより各領域に設定された数値の合算値によりタイヤの周方向主溝の位置を特定すると良い。また、周方向主溝特定ステップにおいて周方向主溝として特定された領域に隣接し、周方向主溝以外として特定された領域を用いて周方向主溝の溝深さを算出する溝深さ算出ステップを含むようにしても良い。
また、上記課題を解決するための周方向主溝検査装置の構成として、タイヤのトレッド面の3Dデータからタイヤの周方向主溝の位置を検出する周方向主溝検出装置であって、タイヤ周方向に対して傾斜する一方向に沿ったトレッド表面の断面データを、タイヤ周方向の複数箇所において抽出する断面データ抽出手段と、前記断面データをそれぞれ、一方向に沿って複数の領域に分割する領域分割手段と、領域内における相対的な凹凸を評価し、評価値を設定する凹凸状態評価手段と、タイヤ周方向で同一位置にある分割領域の評価結果を重ね合わせ、タイヤの周方向主溝の位置を特定する周方向主溝検出手段とを備える構成とした。
周方向主溝検出装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。 トレッド表面の3Dデータ及び断面データの概念図である。 トレッド表面の3Dデータの取得の様子を示す図である 領域分割手段による断面データの領域分割の概念図である。 凹凸状態評価手段の処理を示す図である。 溝深さ算出手段における溝深さの算出処理を示す概念図である。 周方向主溝検出装置の処理を示すフローチャートである。
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
図1は、本実施形態に係る周方向主溝検出方法を実行する周方向主溝検出装置1のハードウェアの構成図、及びブロック図である。図1(a)に示すように、周方向主溝検出装置1は、所謂コンピュータであって、ハードウェア資源として設けられたROM,RAM等の記憶手段10、CPU等の演算処理手段12、外部との情報の授受を可能にするインターフェースとして機能する入出力手段14、表示手段16、入力手段18等を備える。
記憶手段10には、例えば、タイヤTのトレッド表面Tsの3次元形状を示す3DデータG(図2(a)参照)や、3DデータGに基づいて周方向主溝の位置を検出したり、溝深さを算出したりするためのプログラム等が記憶される。周方向主溝とは、タイヤ円周方向に沿うように設けられ、トレッド部に設けられた溝のうち最も深い溝であり、タイヤTの使用限界を示すウェアインジケータが設けられる溝を言う。検査対象となるタイヤTは、新品、使用済み等その状態は問わない。
演算処理手段12は、記憶手段10に記憶されたプログラムを実行し、処理することにより、後述の各手段として周方向主溝検出装置1を機能させる。
入出力手段14は、記憶手段10に記憶される3DデータG等が入力されるインターフェースとして機能する。
表示手段16は、所謂モニター等であって、演算処理手段12によるプログラムの実行により得られた処理結果等を表示する所謂モニター等であって、作業者に演算処理手段12の動作により得られた周方向主溝Mの位置や溝深さD等を視認可能に設けられる。
入力手段18は、キーボード、マウス等であって、周方向主溝の検出処理において必要な入力を作業者が操作可能に設けられる。
図1(b)に示すように、周方向主溝検出装置1は、断面データ抽出手段20と、領域分割手段22、凹凸状態評価手段24、溝位置検出手段26、溝深さ算出手段28、溝位置判定手段30等を備える。
図2は、トレッド表面の3Dデータの概念図、及び3Dデータから抽出された断面データの模式図である。図3は、トレッド表面の3Dデータの取得の様子を示す図である。
図2(a)に示すように、トレッド表面の3DデータGは、例えば、非接触式の3Dスキャナ等の形状取得手段4により取得することができる。
図3に示すように、3DデータGは、タイヤTのトレッド表面Tsに対して周方向主溝Mの溝底が撮像されるように3Dスキャナを所定の範囲内で正対させ、タイヤTの左右側面が視野内に収まるようにしてタイヤ円周方向に3Dスキャナを移動させることで取得される。なお、3DデータGは、必ずしもタイヤ一周分が取得されたものである必要はなく、図2(a)に示すように、トレッド表面の一部を取得したものであっても良い。
このようにして取得された3DデータGは、複数の点群によりトレッド表面の形状が形成される。点群を構成する各点には、互いの相対的な位置を特定可能な3次元の位置情報が紐づけされている。
図2(b)に示すように、断面データ抽出手段20は、記憶手段10に記憶された3DデータGに基づいて、断面データFを抽出するための処理を実行する。以下、断面データ抽出手段20の処理の一例を説明する。
断面データ抽出手段20は、例えば、記憶手段10に記憶された3DデータGを表示手段16上に表示し、入力手段18を操作して表示手段16に表示された3DデータGの画像から作業者が抽出位置p1,p2,p3を指定する促す処理を実行する。そして、作業者が入力手段18を操作して抽出位置p1,p2,p3を指定することで、指定された各抽出位置p1,p2,p3に基づいて、断面データF(f1,f2,f3)を抽出する。
断面データFとは、3DデータGにおけるタイヤ一側面側から他側面側に切断したときの切断面のトレッド表面側の輪郭形状であって、複数の点群により形成される。本実施形態では、断面データFは、タイヤ幅方向に切断した切断面として説明するが、これに限定されず、タイヤ一側面側から他側面側に切断した断面であれば、タイヤ幅方向に傾斜していても良い。ここで言うタイヤ幅方向とは、3DデータGにおけるタイヤの回転軸に沿う方向である。つまり、断面データFは、タイヤTの回転中心軸を含み、抽出位置p1〜p3を通る平面と、3DデータGとが交差する点群で構成される。
なお、断面データ抽出手段20により抽出される断面データFの数は、図3(a)〜(c)に例示するように、3つに限定されない。断面データFは、1つ以上あれば良く、好ましくは、3つ以上とすると良い。断面データFを3つ以上抽出することにより、後段の処理において、断面データFから周方向主溝Mを検出するときの検出精度や、検出された周方向主溝Mの溝深さDの算出精度を向上させることができる。
上述の抽出位置p1〜p3は、表示手段16に表示された3DデータGのタイヤ円周方向に異なる位置から指定すると良い。より好ましくは、タイヤ円周方向の間隔が異なるように抽出位置p1〜p3を指定すると良い。タイヤ円周方向の間隔が異なるように抽出位置p1〜p3を指定することにより、後段の周方向主溝Mの位置を特定する処理において、抽出した断面データFの全てに同じ形状の横溝が存在したときに、その部分を周方向主溝Mとして誤検出することを防ぐことができる。
図4は、領域分割手段による断面データの領域分割の概念図である。図4に示すように、領域分割手段22は、所定の分割数Nで、各断面データf1〜f3をタイヤ幅方向に沿って均等に分割する。分割数Nは、あらかじめ記憶手段10に記憶させておいても良く、また領域分割手段22の処理において作業者に分割数Nの入力を促し、作業者が入力手段18を操作することにより入力させるようにしても良い。分割数Nは、適宜設定すれば良く、例えば、トレッドパターンに応じて設定すると良い。なお、本実施形態では、分割数Nを8として説明する。
領域分割手段22により各断面データf1〜f3に設定された複数の領域(以下分割領域という)は、例えば、r(pi,j)等とし、3DデータGから抽出された位置(p1〜p3)とともに、タイヤ幅方向一端側から他端側(紙面向かって左側から右側)まで、順に1から番号付けされて記憶手段10に記憶される。ここで、iは、断面データの数である1〜3、jは、分割された領域の数である1〜8が設定される。なお、r(pi,j)を一般化して示す場合には、単に分割領域rとして省略して示す。
凹凸状態評価手段24は、各断面データf1〜f3から周方向主溝Mを検出するための指標としての評価値を各断面データf1〜f3における各分割領域rの凹凸状態に応じて設定する。本実施形態では、評価値として0,1の2つの数値を用い、各分割領域rの凹凸状態を2値化して評価し、凹部に相当する範囲には0を、凸部に相当する範囲には1を設定した。
評価値は、各分割領域rに含まれる点群の相対的な位置関係に基づいて設定される。例えば、各分割領域rに含まれる点群についてタイヤ幅方向の一側面側から他側面側に走査し、各点の半径方向の位置の変化に応じた点群の集合(以下、集合群という)毎に評価値を設定すれば良い。
即ち、分割領域rに含まれる点群のうちタイヤ幅方向の一側面側の端にある点を起点とし、この点に紐付けされた半径方向の位置情報と、この点に他側面側で隣接する点に紐付けされた半径方向の位置情報とを比較する。そして、その差が所定の範囲(閾値)β内である場合には、同一形状を構成する部分の集合群を形成するものとして判定する。この処理を他側面側に向けて順に繰り返す。その途中において、例えば、その差が閾値βを超えた場合には形状に変化有りとして判定する。
そして、その差がタイヤ半径方向内側であるときには、変化有りと判定される前の部分は凸部の領域を示す集合群であると判定する。また、その差がタイヤ半径方向外側であるときには、変化有りと判定される前の部分は凹部の領域を示す集合群であると判定する。 判定により形成された集合群は、分割領域rにおける小領域として分割領域rに紐づけされ、凹部と判定された小領域には評価値0、凸部と判定された小領域には評価値1が設定され、記憶手段10に記憶される。
即ち、本実施形態では、凹凸状態評価手段24では、断面データf1〜f3の凹凸状態の評価値を2段階の処理により設定している。
以下、凹凸状態評価手段24による具体的な処理について説明する。まず、分割領域r(1,1)に含まれる点群をタイヤ幅方向の一側面側から走査し、タイヤ幅方向に連続する点のタイヤ半径方向への相対的な距離の変化を調べる。
図5(a)に示すように、分割領域r(1,1)は、タイヤの一側面の断面を示す点群と、接地面を形成する点群とで形状が変化するため、小領域A;Bが設定される。タイヤにおける一側面を示す点群は、上述のタイヤ半径方向の差においてタイヤの他端面側に隣接する点が常にタイヤ半径方向外側に閾値βを超えるため、凹部を形成する小領域Aとして設定される。また、半径方向の変化が閾値β以下で連続する集合群は凸部を示す小領域Bとして判定され、小領域Aには0、小領域Bには1が設定される。
同様に断面データf1の分割領域r(1,2)〜r(1,8)を処理することにより、分割領域r(1,2)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(1,3)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(1,4)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(1,5)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(1,6)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、
分割領域r(1,7)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(1,8)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定される。
そして、凸部として判定された小領域には1が、凹部として判定された小領域には0が設定される。
また、断面データf2の分割領域r(2,1)〜r(2,8)について同様に処理することにより、図5(b)に示すように、分割領域r(2,1)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(2,2)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(2,3)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(2,4)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域B、凹部として判定された小領域Cが設定され、分割領域r(2,5)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域B、凹部として判定された小領域Cが設定され、分割領域r(2,6)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(2,7)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(2,8)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定される。
そして、凸部として判定された小領域には1が、凹部として判定された小領域には0が設定される。
また、断面データf3の分割領域r(3,1)〜r(3,8)について同様に処理することにより、図5(c)に示すように、分割領域r(3,1)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,2)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,3)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,4)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,5)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,6)には、凸部として判定された小領域A、凹部として判定された小領域Bが設定され、分割領域r(3,7)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域B、凹部として判定された小領域Cが設定され、分割領域r(3,8)には、凹部として判定された小領域A、凸部として判定された小領域B、凹部として判定された小領域Cが設定される。
そして、凸部として判定された小領域には1が、凹部として判定された小領域には0が設定される。
溝位置検出手段26は、各断面データf1〜f3に設定された評価値を利用し、各断面データf1〜f3における周方向主溝Mの位置を検出する周方向主溝検出手段として機能する。溝位置検出手段26は、各断面データf1〜f3に設定された評価値のうちタイヤ円周方向の同一の位置にある分割領域rの合計値を算出する。本実施形態では、各断面データf1〜f3のタイヤ円周方向に同一の位置にある分割領域r毎に評価値の合計値を算出する。
具体的には、溝位置検出手段26では、タイヤ幅方向1番目の分割領域(1〜3,1)に小領域の設定の有無を判定する。判定の結果、各分割領域(1〜3,1)には、小領域A,Bが設定されているため、分割領域(1〜3,1)の各小領域A,Bに紐づけられたタイヤ幅方向における位置及び範囲についての情報を取得する。次に、分割領域(1〜3,1)の小領域Aの範囲及び分割領域(1〜3,1)の小領域Bの範囲を比較する。比較の結果、分割領域(1〜3,1)の小領域A及び分割領域(1〜3,1)の小領域Bの範囲が同じであるため、円周方向に同一の位置の小領域Aに設定された評価値の合計値0と、円周方向に同一の位置の小領域Bに設定された評価値の合計値3を算出する。
次に、タイヤ幅方向2番目の分割領域(1〜3,2)に小領域の設定の有無を判定する。判定の結果、各分割領域(1〜3,2)には、2つの小領域A,Bがそれぞれ設定されているため、分割領域(1〜3,2)の各小領域A,Bのタイヤ幅方向における範囲についての情報を取得する。次に、分割領域(1〜3,2)の小領域Aの範囲及び分割領域(1〜3,2)の小領域Bの範囲を比較する。比較の結果、分割領域(1〜3,2)の小領域A及び分割領域(1〜3,2)の小領域Bの範囲が同じであるため、円周方向に同一の位置の小領域Aに設定された評価値の合計値3と、円周方向に同一の位置の小領域Bに設定された評価値の合計値0を算出する。
次に、タイヤ幅方向3番目の分割領域(1〜3,3)について、分割領域(1〜3,2)と同様な処理をすることにより、円周方向に同一の位置の小領域Aに設定された評価値の合計値0と、円周方向に同一の位置の小領域Bに設定された評価値の合計値3を算出する。
次に、タイヤ幅方向4番目の分割領域(1〜3,4)に小領域の設定の有無を判定する。判定の結果、各分割領域(1;3,4)には、2つの小領域A,Bがそれぞれ設定され、分割領域(2,4)には、3つの小領域A,B,Cが設定されているため、各分割領域(1;3,4)のそれぞれの小領域A,Bのタイヤ幅方向における範囲についての情報、及び、分割領域(2,4)の小領域A,B,Cのタイヤ幅方向における範囲についての情報を取得する。
次に、各分割領域(1;3,4)のそれぞれの小領域A,Bの範囲と、分割領域(2,4)の小領域A,B,Cの範囲とを比較する。比較により、分割領域(2,4)の小領域A,Bの範囲が、分割領域(1,4)の小領域A及び分割領域(3,4)の小領域Aの範囲に一致し、分割領域(2,4)の小領域Bの範囲が、分割領域(1,4)の小領域B及び分割領域(3,4)の小領域Bの範囲に一致したため、分割領域(2,4)の小領域Aに設定された評価値と、タイヤ円周方向に同一の位置を含む分割領域(1,4)の小領域A及び分割領域(3,4)の小領域Aに設定された評価値の合計値2を算出する。
分割領域(2,4)の小領域Bに設定された評価値と、タイヤ円周方向に同一の位置を含む分割領域(1,4)の小領域A及び分割領域(3,4)の小領域Aに設定された評価値の合計値3を算出する。
分割領域(2,4)の小領域Cに設定された評価値と、タイヤ円周方向に同一の位置を含む分割領域(1,4)の小領域B及び分割領域(3,4)の小領域Bに設定された評価値の合計値0を算出し、分割領域(1〜3,4)の評価値の算出処理を終了する。
上記処理を分割領域r(1〜3,8)まで繰り返すことにより、分割領域(1〜3,5〜8)の評価値の合計値を算出する。算出された合算値は、タイヤ幅方向の位置及びその範囲とともに記憶手段10に出力されて記憶される。
そして、溝位置検出手段26では、合算値が0のタイヤ幅方向における範囲が、断面データf1〜f3に共通の周方向主溝Mとして記憶される。具体的には、図5(d)に示すように、断面データf1の分割領域r(1,2)の小領域B及び分割領域r(1,3)の小領域Aが周方向主溝m1、分割領域r(1,4)の小領域B及び分割領域r(1,5)の小領域Aが周方向主溝m2、分割領域r(1,6)の小領域B及び分割領域r(1,7)の小領域Aが周方向主溝m3として記憶される。また、断面データf2の分割領域r(2,2)の小領域B及び分割領域r(2,3)の小領域Aが周方向主溝m1、分割領域r(2,4)の小領域B及び分割領域r(2,5)の小領域Aが周方向主溝m2、分割領域r(2,6)の小領域B及び分割領域r(2,7)の小領域Aが周方向主溝m3として記憶される。断面データf3の分割領域r(3,2)の小領域B及び分割領域r(3,3)の小領域Aが周方向主溝m1、分割領域r(3,4)の小領域B及び分割領域r(3,5)の小領域Aが周方向主溝m2、分割領域r(3,6)の小領域B及び分割領域r(3,7)の小領域Aが周方向主溝m3として記憶される。
なお、合算値が0以外のもに、例えば、合算値が3の範囲を陸部、合算値が2の範囲を周方向主溝M及び陸部以外として記憶手段10に記憶させても良い。
図6は、溝深さ算出手段による溝深さの算出処理の概念図である。溝深さ算出手段28は、溝位置検出手段26において周方向主溝m1〜m3として各断面データf1〜f3に設定された分割領域の小領域に基づいて、断面データf1〜f3毎に、各周方向主溝m1〜m3の溝深さDm1〜Dm3を算出する。
以下、溝深さ算出手段28による周方向主溝m1〜m3の算出処理について説明する。
溝深さ算出手段28は、断面データf1〜f3に周方向主溝m1〜m3として設定された分割領域の小領域に隣接し、評価値が1に設定された分割領域rとの半径方向の位置の差から溝深さDm1〜Dm3を算出する。
断面データf1の周方向主溝m1の溝深さDm1を算出する場合について説明する。
断面データf1における周方向主溝m1は、分割領域r(1,2)の小領域B及び分割領域r(1,3)の小領域Aにより形成されるものとして設定されているため、分割領域r(1,2)の小領域Bに隣接し、評価値が1の分割領域r(1,2)の小領域Aとの半径方向の位置の差、及び分割領域r(1,3)の小領域Aに隣接し、評価値が1の分割領域r(1,3)の小領域Bとの半径方向の位置の差を算出する。
具体的には、分割領域r(1,2)の小領域Bに含まれる点群のうち、最も分割領域r(1,3)の小領域A側に位置する点と、分割領域r(1,3)の小領域Aに含まれる点群のうち、最も分割領域r(1,2)の小領域B側に位置する点との半径方向の差を算出する。以下この差を一方側差q1という。次に、分割領域r(1,3)の小領域Aに含まれる点群のうち、最も分割領域r(1,3)の小領域B側に位置する点と、分割領域r(1,3)の小領域Bに含まれる点群のうち、最も分割領域r(1,3)の小領域A側に位置する点との半径方向の差を算出する。
以下この差を他方側差q2という。
そして、一方側差q1と他方側差q2とを比較し、差が所定の閾値γ以下のときには、例えば、一方側差q1、或いは、他方側差q2を断面データf1における周方向主溝m1の溝深さDm1として設定する。
例えば、差が閾値γよりも大きいときには、一方側差q1、或いは、他方側差q2のうち大きな値を溝深さDm1として設定する。
このような処理を断面データf1の周方向主溝m2,m3、断面データf2の周方向主溝m1〜m3、断面データf3の周方向主溝m1〜m3について算出する。
溝位置判定手段30は、溝深さ算出手段28により各断面データf1〜f3においてそれぞれ算出された周方向主溝m1〜m3の溝深さDm1〜Dm3を比較し、各断面データf1〜f3に設定された周方向主溝m1〜m3の位置が正しいかどうかを判定する。
具体的には、各断面データf1〜f3においてそれぞれ算出された周方向主溝m1の溝深さDm1を比較する。溝深さDm1の比較の方法としては、例えば、3つの溝深さDm1から最も深い溝深さ(最深溝深さという)Dm1を検出し、この最深溝深さDm1との差が所定の閾値Z以内である場合には、当該位置が周方向主溝m1であると判定する。
また、閾値Zを超える或いは以下の場合には、その断面データにおける周方向主溝m1の位置は、例えば、浅いものがある場合には、その浅い周方向主溝は、石噛み状態にあるか、或いはウェアインジケータである等と判定し、当該断面データに代わる断面データを新たに3DデータGから抽出することを作業者に報知する。
図7は、周方向主溝検出装置1の処理を示すフローチャートである。
まず、断面データ抽出手段20により、記憶手段10に記憶された3DデータGを読み込み、3DデータGから複数の断面データf1〜f3を抽出する(S102)。
次に、領域分割手段22により、各断面データf1〜f3をタイヤ幅方向に均等な間隔で分割し、各断面データf1〜f3に複数の分割領域rを設定する(S104)。
次に、凹凸状態評価手段24により、例えば、各断面データf1〜f3に設定された分割領域rの凹凸状態に応じ、凹部の場合には0か凸部の場合には1の評価値を設定する(S106)。
次に、溝位置検出手段26により、各断面データf1〜f3の各分割領域rに設定された評価値を、各形状データf1〜f3のタイヤ円周方向の同一の位置の分割領域rに設定された評価値の合計値を算出し、算出された合計値が0の分割領域rは周方向主溝Mであるとして設定する(S108)。
次に、溝深さ算出手段28により、S108において周方向溝Mであると設定された分割領域rの位置と、各断面データf1〜f3において周方向主溝Mとして設定された分割領域rに隣接し、評価値が1として設定された分割領域rとのタイヤ半径方向の差に基づいて溝深さDを算出する(S110)。
次に、溝位置判定手段30は、各断面データf1〜f3において、溝深さ算出手段28により算出された分割領域rのタイヤ円周方向に同一の位置における溝深さを比較する。そして、タイヤ円周方向に同一の位置における溝深さが同一の場合には、異常なしとして処理を終了する(S112)。
また、タイヤ円周方向に同一の位置における溝深さDが異なる(浅い)場合には、異常ありとして表示手段16に表示し、作業者に浅い周方向主溝Mを含む断面データに代わる断面データの3DデータGからの抽出を促し、S102に戻り、新たに断面データの指定を促す(S114)。
そして、S112において異常なしと判定されるまで、S102〜S112を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態によれば、従来のようにトレッド表面Tsの全て(タイヤ一周分)の凹凸形状を取得することなく、簡単な処理により周方向主溝Mの位置を検出することができる。即ち、本実施形態では、トレッド表面Tsの3DデータGから複数の断面データFを抽出し、抽出した断面データFを複数の領域に分割し、分割した領域毎に、トレッド表面Tsにおける凹凸状態を評価し、その評価に応じて分割領域に設定した評価値に基づいて周方向主溝Mの位置を取得しているため、複雑な計算を不要とすることができる。また、断面データFに基づいて周方向主溝Mの位置を検出しているため、各断面データFに共通する周方向主溝Mの溝深さDを算出することができる。つまり、3DデータGから特定の位置の断面データFを取得することにより、特定の位置における溝深さDを取得することができる。
なお、本実施形態では、作業者が、表示手段16に表示された3DデータGから入力手段18を操作して複数の断面データFを抽出するものとして説明したが、これに限定されず、記憶手段10に記憶された3DデータGから自動的に抽出するようにしても良い。この場合、例えば、3DデータGにおけるタイヤ円周方向端部を基準位置とし、基準位置からタイヤ円周方向に所定画素分離れた位置を第1の抽出位置、次に第1抽出位置からタイヤ円周方向に所定画素分離れた位置を第2の抽出位置等として抽出位置を設定して複数の断面データを抽出すれば良い。
なお、分割領域r(i,j)に設定される評価値は、上述の0,1の2値に限定されず、0、1、2、・・・、m(mは、2以上の任意の正の数値)等の数値を割り当てて、形状を細分化して表すものとしても良い。処理の高速化という観点からは、評価値として設定する数は、少ない方が好ましく、また精度の観点からは、形状を示す数値が適当な段階で分けられるように細分化しても良い。
また、上記実施形態では、評価値として数値を設定するものとしたが、数値に限定されず、アルファベット等の文字や記号等を設定しても良い。この場合、溝位置検出手段26において、アルファベット等の文字の組み合わせや記号の組み合わせに対応して周方向主溝Mの位置を検出するようにすれば良い。
また、本実施形態では、記憶手段10に記憶された3DデータGから断面データFを抽出するとして説明したが、検査対象のタイヤTからあらかじめ取得した断面データFを記憶手段10に記憶させるようにしても良い。
即ち、本実施形態では、3Dスキャナを形状取得手段4として用いるものして説明したが、3Dスキャナに代えて例えば、ラインカメラを用いることにより、断面データFを直接的に取得することができ、そのデータをそのまま記憶手段10に記憶させることができる。この場合、ラインカメラによって3つ以上の断面データFを取得し、記憶手段10に記憶させることが好ましい。これにより、周方向主溝検出装置1において断面データ抽出手段20を省略することができる。
また、断面データ抽出手段20を省略せずに、記憶手段10に記憶されるトレッド表面の形状を示す情報(3Dデータか、直接的な入力による断面データ)に応じて、断面データ抽出手段20による処理を選択的に省略するように周方向主溝検出装置1を構成しても良い。
また、本実施形態に係る周方向主溝検出装置1に、上述の3DデータGを取得、或は、断面データを直接取得可能な形状取得手段4を一体的にすることでタイヤ検査システムを構成することができる。
本実施形態では、3Dデータの取得に、形状取得手段4として3Dスキャナを用いるものとして説明したが、これに限定されず、トレッド表面の凹凸形状を3次元の情報として取得できるものであれば良い。例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ等を用い、それらによって撮影された画像に基づいて所定の画像を処理して取得したものであっても良い。
また、上述の断面データFを直接的に取得する場合には、ラインカメラの撮影範囲がタイヤ幅方向に延長するように設定し、タイヤTの円周方向にラインカメラを移動させて円周方向に異なる位置を撮影して取得すればよい。
3DデータGの取得や断面データFの取得は、例えば、作業者がラインカメラ、スチルカメラ、ビデオカメラなどの形状取得手段を持って撮影することで容易に取得することができる。撮影する場合には、タイヤのトレッド表面Tsに対してラインカメラを正対させ、撮影範囲がタイヤ幅方向に延長するように撮影範囲を設定すると良い。好ましくは、撮影範囲にタイヤ幅方向の端部が含まれるようにすると良い。
1 周方向主溝検出装置、4 形状取得手段、10 記憶手段、12 演算処理手段、
14 入出力手段、16 表示手段、18 入力手段、
20 断面データ抽出手段、22 領域分割手段、24 凹凸状態評価手段、
26 溝位置検出手段、28 算出手段、30 溝位置判定手段、A〜C 小領域、
F:f1〜f3 断面(形状)データ、G 3Dデータ、M:m1〜m3 周方向主溝、
D:Dm1〜Dm3 溝深さ、N 分割数、p1,p2,p3 抽出位置、
q1 一方側差、q2 他方側差、r 分割領域、T タイヤ、Ts トレッド表面、
Z 閾値。

Claims (7)

  1. タイヤのトレッド面の3Dデータからタイヤの周方向主溝の位置をコンピュータにより検出する周方向主溝検出方法であって、
    タイヤ周方向に対して傾斜する一方向に沿ったトレッド表面の断面データを、タイヤ周方向の複数箇所において抽出する断面データ抽出ステップと、
    前記断面データをそれぞれ、一方向に沿って複数の領域に分割する領域分割ステップと、
    前記領域内における相対的な凹凸を評価する評価ステップと、
    タイヤ周方向で同一位置にある分割領域の評価結果を重ね合わせ、タイヤの周方向主溝の位置を特定する周方向主溝特定ステップと、を含むことを特徴とする周方向主溝検出方法。
  2. 前記断面データ抽出ステップにおいて、周方向に異なる位置の3箇所以上から断面データを抽出することを特徴とする請求項1に記載の周方向主溝検出方法。
  3. 前記断面データ抽出ステップにおいて、断面データを周方向に異なる間隔で抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の周方向主溝検出方法。
  4. 前記評価ステップにおいて、凹凸を数値により評価することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の周方向主溝検出方法。
  5. 前記周方向主溝特定ステップでは、前記評価ステップにより各領域に設定された数値の合算値によりタイヤの周方向主溝の位置を特定したことを特徴とする請求項4記載の周方向主溝検出方法。
  6. 前記周方向主溝特定ステップにおいて周方向主溝として特定された領域に隣接し、周方向主溝以外として特定された領域を用いて周方向主溝の溝深さを算出する溝深さ算出ステップを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の周方向主溝検出方法。
  7. タイヤのトレッド面の3Dデータからタイヤの周方向主溝の位置を検出する周方向主溝検出装置であって、
    タイヤ周方向に対して傾斜する一方向に沿ったトレッド表面の断面データを、タイヤ周方向の複数箇所において抽出する断面データ抽出手段と、
    前記断面データをそれぞれ、一方向に沿って複数の領域に分割する領域分割手段と、
    前記領域内における相対的な凹凸を評価する凹凸状態評価手段と、
    タイヤ周方向で同一位置にある分割領域の評価結果を重ね合わせ、タイヤの周方向主溝の位置を特定する周方向主溝検出手段と、を備えることを特徴とする周方向主溝検出装置。
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