JP2020162442A - 製パン用水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクラッチ生地製法や冷凍生地製法で製造されるパンにおいて、乳化剤特有の風味がなく、ボリューム、歯切れ及び口溶けが良好なパンを製造することができる、製パン用水中油型乳化油脂組成物及びそれを含むパン生地の提供。【解決手段】50〜85質量%の水相部、15〜50質量%の油相部からなる製パン用乳化油脂組成物であって、水相部には、水を5〜50質量%含有し、油相部には、次の成分(A1)、(A2)、(A3)を含有する、製パン用水中油型乳化油脂組成物。(A1):液状油10〜30質量%、(A2):コハク酸モノアシルグリセロール2〜6質量%、(A3):ソルビタン脂肪酸エステル0.05〜5質量%。該パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、パン生地。【選択図】なし
Description
本発明は、製パン時に使用される製パン用水中油型乳化油脂組成物、及びこれを含有するパン生地、冷凍パン生地およびパンに関する。より詳細には、パン生地の発酵時や焼成後のボリュームが良好で、乳化剤特有の風味がなく、歯切れ、口溶けが良好なパンを得ることができる製パン用水中油型乳化油脂組成物に関する。
パンの製造方法にはパン生地を冷凍することなくパン生地の製造から焼成まで連続した工程をとるスクラッチ生地製法と、パン生地を一時的に冷凍する冷凍パン生地製法がある。スクラッチ製法は、工場でパンを大量生産するために向いている。一方、冷凍パン生地製法は、工場で製造した冷凍パン生地を、販売直前に店舗で解凍、焼成してパンを製造するため、簡単に焼き立てパンを提供できるという長所がある。
スクラッチ生地製法におけるパン生地の製造は、大規模ラインにおける機械耐性の観点から中種法と呼ばれる方法が主製法となっている。すなわち、使用小麦粉の50〜70%と水、イーストなどを捏ね上げてあらかじめ発酵させた生地(中種生地)を製造し、残りの小麦粉、砂糖、食塩や油脂などパン製造に必須な残りの原料とを捏合させる製法である。その際、油脂としては、バター又は、マーガリン、ショートニング等の製パン用練り込み油脂組成物が用いられている。これらの製パン用練り込み油脂組成物は乳化剤を含み、焼成品(焼成後のパンを指す)の外観、食感改良等の品質の改善に利用されている。しかしながら、焼成品の品質(外観、食感)を改善するためには乳化剤を多量に使用せねばならず、乳化剤独特の風味が焼成品に残り、風味を損なうとともに、乳化剤特有のくちゃつく食感が顕著化し、焼成品の食感に影響を与えるなどの問題がある。
冷凍パン生地製法におけるパン生地の製造は、配合−ミキシング−成型−冷凍−解凍−醗酵−焼成という一連の工程から構成されている。冷凍パン生地製法において特徴的なのは、冷凍という工程を経ることである。冷凍することによってパン生地中の水分が氷結晶となり、さらにそれが粗大化してパンの骨格をなすグルテンを損傷する。その結果、焼成品は内相の気泡膜が厚く、キメが粗い状態となる。そのような状態のパンは、経時的な硬化が進みやすく、歯切れ・口溶け等の食感が悪くなる。
スクラッチ生地製法におけるパン生地の製造は、大規模ラインにおける機械耐性の観点から中種法と呼ばれる方法が主製法となっている。すなわち、使用小麦粉の50〜70%と水、イーストなどを捏ね上げてあらかじめ発酵させた生地(中種生地)を製造し、残りの小麦粉、砂糖、食塩や油脂などパン製造に必須な残りの原料とを捏合させる製法である。その際、油脂としては、バター又は、マーガリン、ショートニング等の製パン用練り込み油脂組成物が用いられている。これらの製パン用練り込み油脂組成物は乳化剤を含み、焼成品(焼成後のパンを指す)の外観、食感改良等の品質の改善に利用されている。しかしながら、焼成品の品質(外観、食感)を改善するためには乳化剤を多量に使用せねばならず、乳化剤独特の風味が焼成品に残り、風味を損なうとともに、乳化剤特有のくちゃつく食感が顕著化し、焼成品の食感に影響を与えるなどの問題がある。
冷凍パン生地製法におけるパン生地の製造は、配合−ミキシング−成型−冷凍−解凍−醗酵−焼成という一連の工程から構成されている。冷凍パン生地製法において特徴的なのは、冷凍という工程を経ることである。冷凍することによってパン生地中の水分が氷結晶となり、さらにそれが粗大化してパンの骨格をなすグルテンを損傷する。その結果、焼成品は内相の気泡膜が厚く、キメが粗い状態となる。そのような状態のパンは、経時的な硬化が進みやすく、歯切れ・口溶け等の食感が悪くなる。
スクラッチ生地製法、冷凍パン生地製法いずれにおいても、製パン用生地改良剤として、有機酸モノアシルグリセロールが広く使用されている。例えば特許文献1には、有機酸モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、リン脂質を主体とした組み合わせた油脂が開示されている。また特許文献2には、有機酸モノアシルグリセロール、タンパク質分解酵素を主体とした組み合わせの油脂組成物が開示されている。さらに、特許文献3にはモノアシルグリセロール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノアシルグリセロールより選ばれる少なくとも1種を組み合わせた油脂組成物が開示されている。特許文献4にはモノアシルグリセロール、有機酸モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロールを主体とした組み合わせの油脂組成物が、特許文献5にはモノアシルグリセロール、リン脂質を主体とした組み合わせの油脂組成物が開示されている。
しかしながら特許文献1に記載の油脂組成物はジアシルグリセロールを含んでいるが、この成分は発がん性物質との報告がなされている3−MCPDエステルの前駆体と考えられていることから、配合成分として使用しないことが好ましい。
特許文献2に記載の油脂組成物は、タンパク質分解酵素を配合しており、氷結晶の影響によってグルテンが損傷しやすい冷凍生地でこの酵素を使用した場合、焼成前のパン生地の冷凍期間が長くなると、グルテンの損傷が顕著化し、焼成品の歯切れ、口溶けなどの食感が悪くなりやすい。
特許文献3に記載の油脂組成物は、有機酸モノアシルグリセロールの使用量が少なく、有機酸モノアシルグリセロールによるグルテン改質効果が不十分であるため、冷凍期間が長くなるとグルテンが損傷し、焼成品の歯切れ、口溶けなどの食感が悪くなりやすい。
特許文献4に記載の油脂組成物は、油中水型油脂組成物であり、油脂組成物中の有機酸モノアシルグリセロールの割合が多く、乳化剤独特の風味により、焼成品の風味が悪くなる。
特許文献5に記載の油脂組成物は、油脂組成物中のモノアシルグリセロールの割合が多いため、モノアシルグリセロールと複合体を形成した澱粉粒同士の付着性が高まり、焼成品の口溶けが悪くなる。
しかしながら特許文献1に記載の油脂組成物はジアシルグリセロールを含んでいるが、この成分は発がん性物質との報告がなされている3−MCPDエステルの前駆体と考えられていることから、配合成分として使用しないことが好ましい。
特許文献2に記載の油脂組成物は、タンパク質分解酵素を配合しており、氷結晶の影響によってグルテンが損傷しやすい冷凍生地でこの酵素を使用した場合、焼成前のパン生地の冷凍期間が長くなると、グルテンの損傷が顕著化し、焼成品の歯切れ、口溶けなどの食感が悪くなりやすい。
特許文献3に記載の油脂組成物は、有機酸モノアシルグリセロールの使用量が少なく、有機酸モノアシルグリセロールによるグルテン改質効果が不十分であるため、冷凍期間が長くなるとグルテンが損傷し、焼成品の歯切れ、口溶けなどの食感が悪くなりやすい。
特許文献4に記載の油脂組成物は、油中水型油脂組成物であり、油脂組成物中の有機酸モノアシルグリセロールの割合が多く、乳化剤独特の風味により、焼成品の風味が悪くなる。
特許文献5に記載の油脂組成物は、油脂組成物中のモノアシルグリセロールの割合が多いため、モノアシルグリセロールと複合体を形成した澱粉粒同士の付着性が高まり、焼成品の口溶けが悪くなる。
本発明は、スクラッチ生地製法や冷凍生地製法で製造されるパンにおいて、乳化剤特有の風味がなく、ボリューム、歯切れ及び口溶けが良好なパンを製造することができる、製パン用水中油型乳化油脂組成物およびそれを含むパン生地を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、融点が0℃以下の液状油、コハク酸モノアシルグリセロール、およびソルビタン脂肪酸エステルを組み合わせた水中油型乳化油脂組成物を含有することによって上記課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明である。
すなわち、本発明は以下の発明である。
〔1〕
50〜85質量%の水相部、15〜50質量%の油相部からなる製パン用水中油型乳化油脂組成物であって、
前記水相部には、水を5〜50質量%含有し、前記油相部には、次の成分(A1)、(A2)、(A3)を含有する、製パン用水中油型乳化油脂組成物。
(A1):液状油10〜30質量%
(A2):コハク酸モノアシルグリセロール2〜6質量%
(A3):ソルビタン脂肪酸エステル0.05〜5質量%
〔2〕
〔1〕に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、パン生地。
〔3〕
〔1〕に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、冷凍パン生地。
〔4〕
〔2〕に記載のパン生地の焼成物、又は、〔3〕に記載の冷凍パン生地の焼成物、からなるパン。
50〜85質量%の水相部、15〜50質量%の油相部からなる製パン用水中油型乳化油脂組成物であって、
前記水相部には、水を5〜50質量%含有し、前記油相部には、次の成分(A1)、(A2)、(A3)を含有する、製パン用水中油型乳化油脂組成物。
(A1):液状油10〜30質量%
(A2):コハク酸モノアシルグリセロール2〜6質量%
(A3):ソルビタン脂肪酸エステル0.05〜5質量%
〔2〕
〔1〕に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、パン生地。
〔3〕
〔1〕に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、冷凍パン生地。
〔4〕
〔2〕に記載のパン生地の焼成物、又は、〔3〕に記載の冷凍パン生地の焼成物、からなるパン。
本発明により、スクラッチ生地製法や冷凍生地製法で製造されるパンにおいて、乳化剤特有の風味がなく、ボリューム、歯切れ及び口溶けが良好なパンとすることができる、製パン用水中油型乳化油脂組成物およびそれを含むパン生地を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は、油相部と水相部からなり、油相部に(A1)液状油、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを含有する。なお、本発明において、「質量%」は、特別な断りがない場合には、製パン用水中油型乳化油脂組成物中における含有量を示す。
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は、油相部と水相部からなり、油相部に(A1)液状油、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを含有する。なお、本発明において、「質量%」は、特別な断りがない場合には、製パン用水中油型乳化油脂組成物中における含有量を示す。
(A1)液状油
本発明において使用する液状油は、一般的に用いられる精製した食用油脂であれば特に限定されないが、風味の観点より植物油が好ましく用いられる。例えば、菜種油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、紅花油、ゴマ油、綿実油、米油、落花生油、亜麻仁油等、および、これらの油脂を複数種類配合した混合油、分別油、エステル交換油などが挙げられる。液状油は、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを溶解し、パン生地中で細かく分散することにより、これら成分の効果を高めることができる。また、融点が0℃以下の植物油が好ましく用いられ、液状油の融点が0℃であると、本発明の水中油型乳化油脂組成物がパン生地に練りこむ際の分散性が良好になる。
本発明において使用する液状油は、一般的に用いられる精製した食用油脂であれば特に限定されないが、風味の観点より植物油が好ましく用いられる。例えば、菜種油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、紅花油、ゴマ油、綿実油、米油、落花生油、亜麻仁油等、および、これらの油脂を複数種類配合した混合油、分別油、エステル交換油などが挙げられる。液状油は、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを溶解し、パン生地中で細かく分散することにより、これら成分の効果を高めることができる。また、融点が0℃以下の植物油が好ましく用いられ、液状油の融点が0℃であると、本発明の水中油型乳化油脂組成物がパン生地に練りこむ際の分散性が良好になる。
製パン用水中油型乳化油脂組成物中の液状油の含有量は、10〜30質量%である。液状油の含有量が10質量%未満の場合には、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール及び(A3)ソルビタン脂肪酸エステルをパン生地に分散させることができず、また、30質量%を超える場合には、乳化が不安定になって油滴が大きくなるため、パン生地への分散性が低下する。
(A2)コハク酸モノアシルグリセロール
本発明で用いるコハク酸モノアシルグリセロールは、モノアシルグリセロール(グリセリン脂肪酸モノエステル、以下、「MAG」と記載する。)の水酸基の1つをコハク酸でエステル化した有機酸モノアシルグリセロールの1種である。有機酸モノアシルグリセロールを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸などが挙げられるが、本願ではコハク酸が好ましい。パン生地を捏ね上げてグルテンのネットワークを形成する工程(ミキシング)において、コハク酸MAGは、グルテン同士の摩擦を低減し、細かく緻密なグルテンを形成するのに役立つ。また細かく緻密なグルテンはパン生地を冷凍するときに粗大な氷結晶ができるのを阻害し、冷凍によるグルテンの損傷を防止することができる。よって、スクラッチ製法、冷凍パン生地製法いずれにおいても、細かく緻密なグルテンの効果によりパン生地発酵時のガス保持力が高まりパンのボリュームが向上し、かつキメの細やかなパンとなるため歯切れ、口溶けが良好となる。
コハク酸MAG中のコハク酸以外のアシル基を構成する脂肪酸としては、風味の観点から炭素数14〜22の脂肪酸が好ましく、さらにグルテンとの結合性という観点から立体障害の少ない飽和脂肪酸が好ましい。炭素数14〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。一種の脂肪酸だけからなるコハク酸MAGであっても、異なる脂肪酸を結合したコハク酸MAG同士が混合されていても良い。製パン用水中油型乳化油脂組成物中のコハク酸MAGの含有量は2〜6質量%であり、好ましくは2.5〜5質量%、より好ましくは3〜4質量%である。コハク酸MAGが2質量%未満の場合には、パン生地の発酵時や焼成後のボリュームを向上させ、パンの歯切れ感及び口溶け感を向上させる効果が得られず、一方、6質量%を超える場合には、乳化剤特有の風味がパンの風味を悪くする。
コハク酸MAGとして、例えば理研ビタミン(株)製「ポエムB-10」(結合脂肪酸はスステアリン酸、パルミチン酸)、ケリー ・バイオサイエンス社(製)マイベロールSMG−K(結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸)等が例示できる。
本発明で用いるコハク酸モノアシルグリセロールは、モノアシルグリセロール(グリセリン脂肪酸モノエステル、以下、「MAG」と記載する。)の水酸基の1つをコハク酸でエステル化した有機酸モノアシルグリセロールの1種である。有機酸モノアシルグリセロールを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸などが挙げられるが、本願ではコハク酸が好ましい。パン生地を捏ね上げてグルテンのネットワークを形成する工程(ミキシング)において、コハク酸MAGは、グルテン同士の摩擦を低減し、細かく緻密なグルテンを形成するのに役立つ。また細かく緻密なグルテンはパン生地を冷凍するときに粗大な氷結晶ができるのを阻害し、冷凍によるグルテンの損傷を防止することができる。よって、スクラッチ製法、冷凍パン生地製法いずれにおいても、細かく緻密なグルテンの効果によりパン生地発酵時のガス保持力が高まりパンのボリュームが向上し、かつキメの細やかなパンとなるため歯切れ、口溶けが良好となる。
コハク酸MAG中のコハク酸以外のアシル基を構成する脂肪酸としては、風味の観点から炭素数14〜22の脂肪酸が好ましく、さらにグルテンとの結合性という観点から立体障害の少ない飽和脂肪酸が好ましい。炭素数14〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。一種の脂肪酸だけからなるコハク酸MAGであっても、異なる脂肪酸を結合したコハク酸MAG同士が混合されていても良い。製パン用水中油型乳化油脂組成物中のコハク酸MAGの含有量は2〜6質量%であり、好ましくは2.5〜5質量%、より好ましくは3〜4質量%である。コハク酸MAGが2質量%未満の場合には、パン生地の発酵時や焼成後のボリュームを向上させ、パンの歯切れ感及び口溶け感を向上させる効果が得られず、一方、6質量%を超える場合には、乳化剤特有の風味がパンの風味を悪くする。
コハク酸MAGとして、例えば理研ビタミン(株)製「ポエムB-10」(結合脂肪酸はスステアリン酸、パルミチン酸)、ケリー ・バイオサイエンス社(製)マイベロールSMG−K(結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸)等が例示できる。
(A3)ソルビタン脂肪酸エステル
本発明で用いるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール及び/又はその縮合物と脂肪酸との直接エステル化反応により製造されるものであって、主構成脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が好ましく、エステルタイプはジエステルが好ましい。本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられるソルビトール及び/又はその縮合物としては、特に限定されないが、例えば、ソルビトールとしては、D−ソルビトールを50.0〜70.0質量%含有するD−ソルビトール液或いは白色粉末又は粒状のD−ソルビトールが挙げられる。また、ソルビトールの縮合物としては、ソルビトールが分子内脱水により、水1分子の脱水したソルビタン、水2分子の脱水したソルバイド等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルは、コハク酸MAGと併用することによりその効果を増強することができる。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステルはコハク酸MAGをパン生地中で微細に分散し、コハク酸MAGのパン生地での効果を高める働きがある。なお、製パン用水中油型乳化油脂組成物中におけるソルビタン脂肪酸エステルの含有量は0.05〜5質量%である。上限値として、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。ソルビタン脂肪酸エステルが0.05質量%未満の場合には、コハク酸MAGをパン生地中に微細に分散することができずないため、コハク酸MAGの添加効果が十分に得られず、パン生地の発酵時や焼成後のボリュームを向上させ、パンの歯切れ、口溶けを向上させることができない。5質量%を超える場合には、乳化剤特有の風味がパンの味を悪くする。
ソルビタン脂肪酸エステルとして、例えば理研ビタミン(株)製「ポエムS-320YN」(ジエステルタイプ、結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が合計90質量%以上)、理研ビタミン(製)製「ポエムS-300V」(モノエステルタイプ、結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が合計90質量%以上)等が例示できる。
本発明で用いるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール及び/又はその縮合物と脂肪酸との直接エステル化反応により製造されるものであって、主構成脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が好ましく、エステルタイプはジエステルが好ましい。本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられるソルビトール及び/又はその縮合物としては、特に限定されないが、例えば、ソルビトールとしては、D−ソルビトールを50.0〜70.0質量%含有するD−ソルビトール液或いは白色粉末又は粒状のD−ソルビトールが挙げられる。また、ソルビトールの縮合物としては、ソルビトールが分子内脱水により、水1分子の脱水したソルビタン、水2分子の脱水したソルバイド等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルは、コハク酸MAGと併用することによりその効果を増強することができる。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステルはコハク酸MAGをパン生地中で微細に分散し、コハク酸MAGのパン生地での効果を高める働きがある。なお、製パン用水中油型乳化油脂組成物中におけるソルビタン脂肪酸エステルの含有量は0.05〜5質量%である。上限値として、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。ソルビタン脂肪酸エステルが0.05質量%未満の場合には、コハク酸MAGをパン生地中に微細に分散することができずないため、コハク酸MAGの添加効果が十分に得られず、パン生地の発酵時や焼成後のボリュームを向上させ、パンの歯切れ、口溶けを向上させることができない。5質量%を超える場合には、乳化剤特有の風味がパンの味を悪くする。
ソルビタン脂肪酸エステルとして、例えば理研ビタミン(株)製「ポエムS-320YN」(ジエステルタイプ、結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が合計90質量%以上)、理研ビタミン(製)製「ポエムS-300V」(モノエステルタイプ、結合脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸が合計90質量%以上)等が例示できる。
(A2)コハク酸モノアシルグリセロールを良好に分散するという観点から、(A2)コハク酸モノアシルグリセロールの含有量に対する(A3)ソルビタン脂肪酸エステルの含有量の比(A3/A2)は、好ましくは0.01〜1.5である。上限値として、より好ましくは1.0以下であり、更に好ましくは0.8以下であり、更により好ましくは0.3以下であり、特に好ましくは0.1以下である。
[製パン用水中油型乳化油脂組成物]
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は、水中油型であるためパン生地への分散性が良好であり、少量の添加量でより効果的に作用させることができる。
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は、水中油型であるためパン生地への分散性が良好であり、少量の添加量でより効果的に作用させることができる。
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は、50〜85質量%の水相部と、15〜50質量%の油相部からなる。油相部、水相部がこの範囲を超えると、本願の効果が得られないだけでなく、水中油型乳化油脂組成物としての状態を保つことができない。
本願の製パン用油水中油型乳化油脂組成物は、油相部に(A1)液状油、(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを所定の配合量で含有すれば、それ以外の成分として、固体脂、レシチン、HLB2〜6の油溶性の乳化剤、油溶性酸化防止剤、動植物蛋白、油溶性フレーバー等、一般的に製パン用に一般的に使用される油溶性成分を含有することができる。
さらに、HLB2〜6の油溶性の乳化剤としてモノアシルグリセロール(モノグリセリド)を使用することができる。モノアシルグリセロールは、グリセリン1分子に対して、脂肪酸が1分子結合したグリセリン脂肪酸エステルである。モノアシルグリセロールを含有することにより、本発明の水中油型乳化油脂組成物の乳化状態を安定に保つことができ、水中油型乳化油脂組成物をパン生地へ均一に分散させて本発明の効果をより高めることができる。その構成脂肪酸としては、炭素数14〜22の脂肪酸が好ましく、さらに飽和脂肪酸が好ましい。炭素数14〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。モノアシルグリセロールの含有量は、製パン用水中油型乳化油脂組成物中に、好ましくは0.1〜5質量%である。
水相部には、水を5〜50質量%含有する。水の含有量がこの範囲外であると水中油型乳化油脂組成物の乳化状態を安定に保つことができず、水中油型乳化油脂組成物をパン生地へ均一に分散させることができないため、本発明の効果が得られない。
また、水相部には、水以外の水溶性成分として、乳、乳製品、澱粉、糖類、塩類、増粘多糖類、酸味料、酵素、pH調整剤等の安定剤、香辛料、呈味素材、HLB8〜15の水溶性の乳化剤、水溶性酸化防止剤、水溶性フレーバー等、製パン用に一般的に使用される水溶性成分を含有することができる。例えば、水相部には、水10〜50質量%、糖類10〜50質量%、HLB11以上の乳化剤0.2〜3質量%が好ましく用いることができる。例えば、水相部には、水5〜50質量%、糖類10〜50質量%、HLB8〜15の乳化剤0.01〜10質量%が好ましく用いることができる。なお、油溶性成分や水溶性成分の原料に水を含む場合には、原料由来の水分も本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物の水分として計算する。
さらに、HLB8〜15の水溶性の乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルを使用することができる。ショ糖脂肪酸エステルは、親水基であるショ糖と、親油基である脂肪酸がエステル結合したものである。ショ糖脂肪酸エステルを含有することにより、水中油型乳化油脂組成物の状態が安定化し、パン生地に練りこむ際の分散性がより良好になる。その構成脂肪酸としては、風味の観点から炭素数14〜22の脂肪酸が好ましく、さらにグルテンとの結合性という観点から立体障害の少ない飽和脂肪酸が好ましい。炭素数14〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、製パン用水中油型乳化油脂組成物中に、好ましくは0.01〜10質量%である。下限値として、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上である。上限値として、より好ましくは7質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
製パン用水中油型乳化油脂組成物の製造方法としては、油相部として(A2)コハク酸モノアシルグリセロール、(A3)ソルビタン脂肪酸エステルを(A1)液状油に分散させ、乳化剤の融点以上の温度(70℃〜80℃)でプロペラ攪拌等にて10分間以上加熱攪拌し、均一に溶解する。さらに水相部として、糖類、高HLBの乳化剤を水に分散し、70℃でプロペラ攪拌等で加熱攪拌し、均一に溶解する。その後、油相部を水相部に投入し、乳化液を70℃〜80℃でプロペラ攪拌機にて10分間以上加熱攪拌した後、コンビネーター、リアクテーター、パーフェクター等の急冷練り合わせ機、あるいは冷却機能を有す均質機等を用いて40℃〜50℃まで降温し、水中油型乳化油脂組成物を得る。
[パン生地]
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物用いてパン生地を製造する場合、穀粉100質量部に対して、製パン用水中油型乳化油脂組成物を1〜10質量部、混合する。製パン用水中油型乳化油脂組成物は、好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは1〜6質量部配合することができる。製パン用水中油型乳化油脂組成物の添加量が1質量部未満であると、パンの歯切れ、及び口溶けを向上させる十分な効果が得られず、10質量部を越えると、乳化剤特有の風味がパンの味を悪くする
本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物用いてパン生地を製造する場合、穀粉100質量部に対して、製パン用水中油型乳化油脂組成物を1〜10質量部、混合する。製パン用水中油型乳化油脂組成物は、好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは1〜6質量部配合することができる。製パン用水中油型乳化油脂組成物の添加量が1質量部未満であると、パンの歯切れ、及び口溶けを向上させる十分な効果が得られず、10質量部を越えると、乳化剤特有の風味がパンの味を悪くする
本発明のパン用生地、冷凍パン用生地を焼成した焼成物からなるパン類には、フィリングなどの詰め物をしたパン類も含まれ、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどの冷凍パンが挙げられる。具体的には食パンとして白パン、黒パン、フランスパン、バラエティブレッド、ロール(テーブルロール、バンズ、バターロール)が挙げられる。特殊パンとしてはマフィンなど、調理パンとしてはホットドック、ハンバーガーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパンなどが挙げられる。
本発明のパン生地に用いる原料としては、主原料の穀粉として小麦粉の他にイースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油糖)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。さらに、一般に原料として用いると老化しやすくなる、レーズン等の乾燥果実、小麦粉ふすま、全粒粉等を使用できる。本発明の製パン用水中油型乳化油脂組成物は小麦粉を用いる種々の食品に添加し、パン類等のベーカリー製品に利用することができる。製パン工程としては、一般に行われているスクラッチ生地製法、冷凍生地製法の製造方法をそのまま適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の配合量と配合割合は質量基準である。
(製パン用水中油型乳化油脂組成物の製造)
(実施例1及び、実施例2〜14、比較例1〜10の製造)
油相部として液状油(ナタネ油 日油製)15kgにコハク酸モノアシルグリセロール(ポエムB−10 理研ビタミン製)2kg、ソルビタン脂肪酸エステル(ポエムS−320YN 理研ビタミン製)0.1kg、その他成分としてモノグリセリド(エマルジーMS 理研ビタミン製)3kgを分散させ、70℃〜80℃まで加温しプロペラ攪拌機(スリーワンモーターBLh600 新東科学製)にて10分間以上加熱攪拌し、均一に溶解した。さらに水相部として、液糖(ソルビトールC 三菱商事フードテック製)40kg、高HLBの乳化剤(S−1570 三菱化学フーズ製)0.5kgを水39.4kgに分散し、70℃まで加温しプロペラ攪拌で加熱攪拌し、均一に溶解する。その後、油相部を水相部に投入し、乳化液を70℃〜80℃を維持しつつプロペラ攪拌機にて10分間以上加熱攪拌した後、マーガリン試作機(リアクテーター 本多交易製)を用いて40℃〜50℃まで急冷し、製パン用水中油型乳化油脂組成物を試作した。なお実施例2〜14、比較例1〜10については、表1、2の配合比率に従い、上述と同様の製造方法で試作した。
(実施例1及び、実施例2〜14、比較例1〜10の製造)
油相部として液状油(ナタネ油 日油製)15kgにコハク酸モノアシルグリセロール(ポエムB−10 理研ビタミン製)2kg、ソルビタン脂肪酸エステル(ポエムS−320YN 理研ビタミン製)0.1kg、その他成分としてモノグリセリド(エマルジーMS 理研ビタミン製)3kgを分散させ、70℃〜80℃まで加温しプロペラ攪拌機(スリーワンモーターBLh600 新東科学製)にて10分間以上加熱攪拌し、均一に溶解した。さらに水相部として、液糖(ソルビトールC 三菱商事フードテック製)40kg、高HLBの乳化剤(S−1570 三菱化学フーズ製)0.5kgを水39.4kgに分散し、70℃まで加温しプロペラ攪拌で加熱攪拌し、均一に溶解する。その後、油相部を水相部に投入し、乳化液を70℃〜80℃を維持しつつプロペラ攪拌機にて10分間以上加熱攪拌した後、マーガリン試作機(リアクテーター 本多交易製)を用いて40℃〜50℃まで急冷し、製パン用水中油型乳化油脂組成物を試作した。なお実施例2〜14、比較例1〜10については、表1、2の配合比率に従い、上述と同様の製造方法で試作した。
上記実施例1〜14および比較例1〜10の製パン用水中油型乳化油脂組成物を用いて、以下に示す方法により、冷凍生地製法及びスクラッチ生地製法でパンを製造した。
<冷凍生地製法パン>
強力粉(製品名:オーション 日清製粉製)1000g、上白糖(製品名:上白30 大東製糖製)200g、イースト(製品名:USオリエンタルイースト オリエンタル酵母製)60g、脱脂粉乳(製品名:脱脂粉乳 明治製)20g、食塩(製品名:食塩 日本食塩製造製)10g、全卵60g、水500g、実施例および比較例において得られた製パン用水中油型乳化油脂組成物20gを投入し製菓製パン用ミキサー AM−20(愛工社製)にて低速2分間中速5分間捏ね上げ、ここで練り込み用油脂を100g投入し、さらに低速3分、中速3分捏ね上げ、捏ね上げ温度20℃の生地を得た。すぐに55gに分割し、次いで棒状に成形した。成形された生地を天板に並べて、急速冷凍機(KOMAジャパン製)にて冷凍(−25℃ 30分間)し、冷凍パンを作製した。冷凍期間3ヶ月後の冷凍パンを解凍(室温、140分間)した後、温度38℃、湿度85%に設定したドウコンディショナーNS−XB923FA(パナソニック製)にて50分間最終発酵を行った。最終発酵後、焼成オーブン(PRINCE PJB2−222B(フジサワマルゼン製))にて上火210℃、下火200℃ 8分間焼成した。焼成後、室温にて放冷し袋に入れた。
<冷凍生地製法パン>
強力粉(製品名:オーション 日清製粉製)1000g、上白糖(製品名:上白30 大東製糖製)200g、イースト(製品名:USオリエンタルイースト オリエンタル酵母製)60g、脱脂粉乳(製品名:脱脂粉乳 明治製)20g、食塩(製品名:食塩 日本食塩製造製)10g、全卵60g、水500g、実施例および比較例において得られた製パン用水中油型乳化油脂組成物20gを投入し製菓製パン用ミキサー AM−20(愛工社製)にて低速2分間中速5分間捏ね上げ、ここで練り込み用油脂を100g投入し、さらに低速3分、中速3分捏ね上げ、捏ね上げ温度20℃の生地を得た。すぐに55gに分割し、次いで棒状に成形した。成形された生地を天板に並べて、急速冷凍機(KOMAジャパン製)にて冷凍(−25℃ 30分間)し、冷凍パンを作製した。冷凍期間3ヶ月後の冷凍パンを解凍(室温、140分間)した後、温度38℃、湿度85%に設定したドウコンディショナーNS−XB923FA(パナソニック製)にて50分間最終発酵を行った。最終発酵後、焼成オーブン(PRINCE PJB2−222B(フジサワマルゼン製))にて上火210℃、下火200℃ 8分間焼成した。焼成後、室温にて放冷し袋に入れた。
<スクラッチ生地製法パン>
(中種生地製造)
強力粉700g、イーストフード(製品名:Cオリエンタルイースト オリエンタル酵母製)0.1g、イースト3g、実施例および比較例において得られた製パン用水中油型乳化油脂組成物20g、水420gを上述した製菓製パン用ミキサーにて低速2分間中速2分間捏ね上げ、できた生地を発酵装置KM−62DX(協同電熱製作所製)にて28℃、2時間発酵させた。
(本捏生地製造)
発酵させた中種生地と、さらに強力粉300g、上白糖140g、脱脂粉乳20g、食塩16g、水240gを投入し製菓製パン用ミキサーにて低速3分間中速5分間捏ね上げ、ここで練り込み用油脂(製品名:アンビションマーガリン 日油製)150g投入し、さらに低速3分間中速4分間捏ね上げ、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。上述した発酵装置にて30分間静置させた後、35gに分割し、さらに同装置にて30分間静置させた後、棒状に成形した。成形された生地を天板に並べて、上述したドウコンディショナー(温度38℃、湿度85%)に50分間最終発酵を行った。最終発酵後、上述した焼成オーブン(上火205℃、下火200℃)にて8.5分間焼成した。焼成後、室温にて放冷し袋に入れた。
(中種生地製造)
強力粉700g、イーストフード(製品名:Cオリエンタルイースト オリエンタル酵母製)0.1g、イースト3g、実施例および比較例において得られた製パン用水中油型乳化油脂組成物20g、水420gを上述した製菓製パン用ミキサーにて低速2分間中速2分間捏ね上げ、できた生地を発酵装置KM−62DX(協同電熱製作所製)にて28℃、2時間発酵させた。
(本捏生地製造)
発酵させた中種生地と、さらに強力粉300g、上白糖140g、脱脂粉乳20g、食塩16g、水240gを投入し製菓製パン用ミキサーにて低速3分間中速5分間捏ね上げ、ここで練り込み用油脂(製品名:アンビションマーガリン 日油製)150g投入し、さらに低速3分間中速4分間捏ね上げ、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。上述した発酵装置にて30分間静置させた後、35gに分割し、さらに同装置にて30分間静置させた後、棒状に成形した。成形された生地を天板に並べて、上述したドウコンディショナー(温度38℃、湿度85%)に50分間最終発酵を行った。最終発酵後、上述した焼成オーブン(上火205℃、下火200℃)にて8.5分間焼成した。焼成後、室温にて放冷し袋に入れた。
(冷凍生地及びスクラッチ生地製法パンの評価)
実施例および比較例の製パン用水中油型乳化油脂組成物を用いた冷凍パンについて、「歯切れ」、「口溶け」、「ボリューム」、「風味」を評価した。これらの評価方法を以下に示す。なお、評価は、上記製造例において製パン用水中油型乳化油脂組成物を使用しない場合(無添加)をコントロールにし、これを100とした相対値で示す。
実施例および比較例の製パン用水中油型乳化油脂組成物を用いた冷凍パンについて、「歯切れ」、「口溶け」、「ボリューム」、「風味」を評価した。これらの評価方法を以下に示す。なお、評価は、上記製造例において製パン用水中油型乳化油脂組成物を使用しない場合(無添加)をコントロールにし、これを100とした相対値で示す。
(歯切れ)
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物の歯切れ感の測定には(株)山電製RHEONERIIを用いた。3cmの輪切りにした焼成物を測定台に置き、刃型プランジャーにて5mm/secで圧縮し刃が貫通するのに必要な破断荷重値(N)を測定した。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物の歯切れ感の測定には(株)山電製RHEONERIIを用いた。3cmの輪切りにした焼成物を測定台に置き、刃型プランジャーにて5mm/secで圧縮し刃が貫通するのに必要な破断荷重値(N)を測定した。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
また、官能評価により効果を確認した。官能評価はパネラー10名によって行い、コントロールと比較して、咀嚼開始から5回までの咀嚼において、噛み切る際、歯への抵抗が少なく歯が通りやすいと感じる場合を「3点」、歯への抵抗への抵抗は感じられるがコントロールより歯が通りやすいと感じる場合を「2点」、コントロールと差異がないと感じる場合を「1点」として評価した。10名のパネラーの平均値が、2.5点以上の場合を「◎」、2点以上2.5点未満の場合を「〇」、1.5点以上2点未満の場合を「△」、1点以上1.5点未満の場合を「×」とした。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/破断荷重値の評価」として示した。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/破断荷重値の評価」として示した。
(口溶け)
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物のクラム部分を2cm四方の立法体に切り出し、その重量の1.2倍量の水分を含ませたサンプルを調整した。口溶け感の測定には(株)山電製RHEONERIIを用いた。サンプルを測定台に置き、円形プランジャーを用いて10mm/secで圧縮距離5mmから開始し、1mm/secずつ加算される動作を15回繰り返した。最終的に測定される崩壊荷重値(N)をパンの‘口溶け’とした。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物のクラム部分を2cm四方の立法体に切り出し、その重量の1.2倍量の水分を含ませたサンプルを調整した。口溶け感の測定には(株)山電製RHEONERIIを用いた。サンプルを測定台に置き、円形プランジャーを用いて10mm/secで圧縮距離5mmから開始し、1mm/secずつ加算される動作を15回繰り返した。最終的に測定される崩壊荷重値(N)をパンの‘口溶け’とした。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
また、官能評価により効果を確認した。官能評価はパネラー10名によって行い、コントロールと比較して、咀嚼するとすぐに口の中で固形物が溶けたと感じる場合を「3点」、コントロールと比較して少ない咀嚼回数で口の中で固形物が溶けたと感じた場合を「2点」、コントロールと差異がないと感じる場合を「1点」として評価した。10名のパネラーの平均値が、2.5点以上の場合を「◎」、2点以上2.5点未満の場合を「〇」、1.5点以上2点未満の場合を「△」、1点以上1.5点未満の場合を「×」とした。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/崩壊荷重値の評価」として示した。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/崩壊荷重値の評価」として示した。
(ボリューム)
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物の比容積の測定には(株)アステックス製Selnac−WinVM2100Aレーザー体積計測機を用いた。パンの容積(cc)を測定し、容積をパンの重量で割ることで比容積(cc/g)とした。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
焼成後1日間、一定条件下で保管した焼成物の比容積の測定には(株)アステックス製Selnac−WinVM2100Aレーザー体積計測機を用いた。パンの容積(cc)を測定し、容積をパンの重量で割ることで比容積(cc/g)とした。得られた測定値を、コントロールとの相対値で示した。
また、官能評価により効果を確認した。官能評価はパネラー10名によって行い、コントロールと比較して、明らかに外観に差異がある場合を「3点」、外観に差異がある場合を「2点」、やや外観に差異がある場合を「1点」、ほとんど差異がない場合を「0点」として評価した。10名のパネラーの平均値が、2.5点以上の場合を「◎」、2点以上の場合を「〇」、1.5点以上の場合を「△」、1.5点未満の場合を「×」とした。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/比容積の評価」として示した。
なお、評価結果は、各表の下部に「官能評価/比容積の評価」として示した。
(風味)
官能評価はパネラー10名によって行い、乳化剤特有の風味がなく、コントロールと比較して、同等であると感じる場合を「3点」、風味がやや異なると感じる場合を「2点」、やや乳化剤の特有の風味があると感じる場合を「1点」、乳化剤の特有の風味があると感じる場合を「0点」として評価した。10名のパネラーの平均値が、2.5点以上の場合を「◎」、2点以上の場合を「〇」、1.5点以上の場合を「△」、1.5点未満の場合を「×」とした。
なお、評価結果は、各表の下部に示した。
官能評価はパネラー10名によって行い、乳化剤特有の風味がなく、コントロールと比較して、同等であると感じる場合を「3点」、風味がやや異なると感じる場合を「2点」、やや乳化剤の特有の風味があると感じる場合を「1点」、乳化剤の特有の風味があると感じる場合を「0点」として評価した。10名のパネラーの平均値が、2.5点以上の場合を「◎」、2点以上の場合を「〇」、1.5点以上の場合を「△」、1.5点未満の場合を「×」とした。
なお、評価結果は、各表の下部に示した。
表1を見ると、本発明で規定した製パン用水中油型乳化油脂組成物の実施例1〜14ではスクラッチ生地製法パンの比容積が向上していることが分かる。また、風味への影響は見られず、歯切れの破断荷重値、口溶けの崩壊荷重値が低下し、官能評価としては歯切れ、口溶けとも向上することが分かる。さらに、冷凍生地製法パンにおいても風味への影響は見られず、歯切れの破断荷重値、口溶けの崩壊荷重値が低下し、官能評価としては歯切れ、口溶けとも向上することが分かる。
表2を見ると、液状油において本発明で規定する範囲外の場合、冷凍生地製法パン、スクラッチ生地製法パンでの口溶けが劣ることがわかる(比較例1、5、9)。コハク酸MAGにおいて本発明で規定する範囲を下回る場合、冷凍生地製法パンでの比容積が劣ることがわかり、配合量が規定範囲を上回る場合、風味が悪くなる(比較例3、7、8)。ソルビタン脂肪酸エステルにおいて本発明で規定する範囲を下回る場合、特に冷凍生地製法パンでの歯切れ、口溶けが劣ることが分かり、配合量が規定範囲を上回る場合、冷凍生地製法パンとスクラッチ生地製法パンのどちらにおいても、歯切れ、口溶けが劣るとともに、風味が悪くなる(比較例2、4、6、10)。
Claims (4)
- 50〜85質量%の水相部、15〜50質量%の油相部からなる製パン用水中油型乳化油脂組成物であって、
前記水相部には、水を5〜50質量%含有し、前記油相部には、次の成分(A1)、(A2)、(A3)を含有する、製パン用水中油型乳化油脂組成物。
(A1):液状油10〜30質量%
(A2):コハク酸モノアシルグリセロール2〜6質量%
(A3):ソルビタン脂肪酸エステル0.05〜5質量% - 請求項1に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、パン生地。
- 請求項1に記載の製パン用水中油型乳化油脂組成物を含有する、冷凍パン生地。
- 請求項2に記載のパン生地の焼成物、又は、請求項3に記載の冷凍パン生地の焼成物、からなるパン。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019064411A JP2020162442A (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 製パン用水中油型乳化油脂組成物 |
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Country Status (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023120382A1 (ja) * | 2021-12-23 | 2023-06-29 | サントリーホールディングス株式会社 | 経口組成物及びソフトカプセル剤 |
-
2019
- 2019-03-28 JP JP2019064411A patent/JP2020162442A/ja active Pending
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WO2023120382A1 (ja) * | 2021-12-23 | 2023-06-29 | サントリーホールディングス株式会社 | 経口組成物及びソフトカプセル剤 |
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