JP2020010998A - 義足用ソール - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量な義足用ソールを提供する。【解決手段】義足用ソールは、義足の路面との接地域に装着するソールであって、部分Q2−2、部分Q1−1及び部分Q1−2における、陸部10、11、12及び14以外の領域、つまり溝部に貫通孔9を有する。ソールが貫通孔9を有することにより、ソールを軽量化することができる。また、ソールは、陸部10、11、12及び14以外の領域に貫通孔9を有することにより、陸部10、11、12及び14による排水性能等の効果を維持しつつ、軽量化することができる。【選択図】図4
Description
この発明は、義足の接地域に装着されるソールに関する。
従来、湾曲部を有して爪先側へ延びる板ばね状の足部を有し、接地域が爪先から湾曲部側に弧状に延在する、競技用の義足(以下、競技用義足又は単に義足ともいう)が知られている。このような板ばね状の足部を有する競技用義足には、接地域の底面に、路面と当接するソールが取付けられるのが一般的である。
例えば、特許文献1には、湾曲した板ばね状の競技用義足の下面に取り付けられた、競技種目に応じたソールが例示されている。具体的には、特許文献1には、路面に接地するソールの下面に、スパイクが取り付けられたソールや、各々が六角形状の接地面を有する多数のアウトソール部が設けられたソールが記載されている。
しかしながら、特許文献1に例示されているソールでは、義足のソールの軽量化については何ら考慮されていない。例えば、義足を装着して競技を行う場合、義足のソールが軽量であるほど、競技者への負担が小さくなりうる。
そこで、本発明の目的は、軽量な義足用ソールを提供することにある。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)義足の路面との接地域に装着するソールであって、少なくとも一部の領域に貫通孔を有する、義足用ソール。
(1)義足の路面との接地域に装着するソールであって、少なくとも一部の領域に貫通孔を有する、義足用ソール。
(2)底面側に溝部で区画された陸部を有し、前記溝部に前記貫通孔を有する、(1)に記載の義足用ソール。
(3)義足の路面との接地域に装着するソールであって、複数のソール部分に分断されている、義足用ソール。
(4)クッション材を介して前記義足に装着される、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の義足用ソール。
本発明の義足用ソールによれば、軽量な義足用ソールを提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の競技用義足のソール(以下、ソールとも称する)を、その実施形態を例示して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るソール5が装着された競技用義足1の側面図である。競技用義足1は、板ばね状の足部2を有し、その先端側の接地域にソール5が装着される。なお、図示は省略しているが、足部2の基端部は、アダプタを介してソケットに接続され、ソケットに着用者の足の断端を収容することによって、着用者が義足を着用することができる。アダプタ及びソケットは、大腿義足、下腿義足等、足の断端位置に応じたものが用いられる。図1は、競技用義足1を着用した着用者の直立状態における足部2及びソール5を示している。
以下、本実施形態では、競技用義足の高さ方向において、足部2がアダプタと接続される側を接続側といい、路面Sと接地する側を接地側という。また、競技用義足1の爪先Tとは、足部2が接続側から延びて終端する最先の点及び競技用義足1の爪先Tと同一面を構成するように競技用義足1に装着されたソール5の最先の点を指す。さらに、爪先Tから路面Sに平行に延在する方向を、足部前後方向Yという。さらに、足部2、及び競技用義足の足部2に装着された状態のソール5の幅方向にわたる向きを、幅方向Wという。
本実施形態において、競技用義足1の足部2は、少なくとも1の湾曲部、図示例では1の湾曲部3を介して、接続側から爪先T側へ板状に延びる形状を有している。図1では、足部2は、接続側から接地側へ順に、直線部2a、爪先T側へ凸の曲線部2b、足部前後方向Yの後側へ凸の湾曲部3、接地側に凹の曲線部2c及び接地側に凸となる弧状に爪先T側に延びる接地部4からなる。
なお、足部2の材質は限定されないが、強度及び軽量化の観点から、炭素繊維強化プラスチック等を用いることが好適である。
接地部4は、接地側に、爪先Tから湾曲部3側へ弧状に延在する接地域4sを有し、この接地域4sにソール5が装着されている。接地域4sは、競技用義足1を着用した着用者が走行動作を行った際に、路面Sと当接する全領域を指し、ソール5が装着された状態では、接地域4sは、ソール5を介して路面Sと当接する。
ソール5は、接地域4sの延在形状に従う形状を有している。また、ソール5の接地側が、底面5sである。図1に示すとおり、底面5sは、爪先T側から湾曲部3側へ、弧X1及びX2が連なる形状を有している。本実施形態では、弧X1と弧X2とは、互いに異なる曲率半径を有しているが、同じ曲率半径を有していてもよい。
また、底面5sは、ソール5が装着された競技用義足1が着用され、着用者の直立状態における、側面視における路面Sとの接点である点Cを通って、幅方向Wに延びる線を境界とする一方側と他方側で、異なる性能を備えている。点Cは、直立に至る際に最初に路面Sと接触する点である。即ち、直立状態とは、着用者が、一方のみが義足の場合は義足を着用しない健常足で、両方が義足の場合は一方の義足で体を支えた状態から、競技用義足1を路面Sに降ろして最初に路面Sと接触した状態を指す。なお、点Cは義足の形状や装着態様等によって決定される。即ち、発明者らは、後述する実験により得られた接地形態に関する知見による底面5sの機能分離するための境界は、着用者の直立状態における路面Sとの接点である点Cが基準となることに新たに想到した。
ここで、上述した、底面5sの接地形態の実験結果について、図2A、図2B、図2C及び図2Dを用いて説明する。図2A、図2B、図2C及び図2Dは、上記の構成を有する競技用義足1を着用した着用者が直進走行を行った場合における、足部2の動作と底面5sの接地形態を段階的に説明するための図である。各図面の上部は、足部2及びソール5の側面図であり、各図面の下部は、競技用義足1を着用した着用者が直進走行動作を行った際の、底面5sの接地形態の変遷を示している。
図2Aは、着用者が持ち上げた競技用義足1を路面Sに降ろし、全体重が競技用義足1に負荷された状態を示している。図面の下部に示すとおり、底面5sの、点Cよりも湾曲部3側の領域が接地している。
図2Bは、図2Aの状態から、着用者が全体重を競技用義足1に負荷したままで、地面を踏み込んだ状態を示している。健常者の走行の場合、最初に靴裏の踵側が設置し、その後爪先側に向けて順に接地していくという踏み込み形態が一般的であるが、競技用義足1は、最初に接地した領域よりも湾曲部3側に接地領域が移動する。
図2Cは、着用者が、競技用義足1を着用した側と反対の足を前方に振り出し、競技用義足1の蹴り出し動作を開始した状態を示している。この蹴り出し動作に入ると、競技用義足1は、底面5sの、点Cよりも爪先T側の領域が接地している。
図2Dは、着用者が競技用義足1を蹴り出す最終段階の、路面Sから離れる直前の状態を示している。底面5sの爪先Tから蹴り出すために、図2Cよりもさらに爪先T側で接地している。このとき、義足の接地領域から路面Sにかかる接地圧に応じて、板ばねの反力が働き、当該反力により推進力が生み出される。
上記図2A、図2B、図2C及び図2Dに示す実験結果を踏まえ、図3に示すように、まず、底面5sを点Cを境界とする踵側領域Q1と爪先側領域Q2とに分割した。
踵側領域Q1は、図3に示す底面5s視において、点Cを通って足部2の幅方向Wに延びる線BLを境界とする、湾曲部3側の領域である。踵側領域Q1は、上記図2A及び図2Bに示したとおり、着用者が最初に着地し、全体重が競技用義足1に負荷された状態で踏み込み動作を行っている領域である。従って、着用者が競技用義足1に全体重を負荷しても体全体のバランスが保たれるように、踵側領域Q1が路面Sと十分にグリップすることが肝要である。よって、踵側領域Q1は、底面5sと路面Sとの間に介在する水膜によるスリップを防止するため、排水性能を踵側領域Q1以外、即ち爪先側領域Q2よりも高める必要がある。
即ち、踵側領域Q1が、踵側領域Q1以外と比べて高い排水性能を備えることによって、競技用義足1のソール5は、水膜によるスリップを防止し、高い防滑性能を実現することができる。
一方、爪先側領域Q2は、図3における底面5s視において、点Cを通って足部2の幅方向Wに延びる線BLを境界とする、爪先T側の領域である。爪先側領域Q2は、着用者が、競技用義足1を着用した側と反対の足を前方に振り出し、競技用義足1の蹴り出し動作を行うための領域である。爪先側領域Q2は、爪先Tに向けて順に接地し、着用者が底面5sで路面Sを押して滑らせるように接地していくため、特に摩耗が進展しやすい領域である。よって、爪先側領域Q2は、耐摩耗性能を踵側領域Q1よりも高める必要がある。
即ち、爪先側領域Q2が、踵側領域Q1以外と比べて高い耐摩耗性能を備えることによって、爪先側領域Q2の早期摩耗が回避される結果、競技用義足1のソール5の全面が緩やかに摩耗することとなり、ソール5の使用寿命の長期化を実現することができる。
また、踵側領域Q1及び爪先側領域Q2の各々を、図2A〜図2Dに示した接地形態に基づいて、図3に示すようにさらに分割して、各部分が接地形態に応じた特性を備えることが好適である。
図3に示す爪先側領域Q2のうち、部分Q2−1は、図1における、爪先Tから一定の曲率半径で連続する弧X1に対応する。この部分Q2−1は、競技用義足1を着用した着用者が、蹴り出し動作を行う際に、最後に接地して、より激しい摩耗が発生する傾向があった。よって、部分Q2−1では、特に高い耐摩耗性能を備える必要がある。即ち、爪先側領域Q2において、部分Q2−1は、残りの部分Q2−2よりも高い耐摩耗性能を備えることによって、激しい摩耗からソール5を保護し、ソール5の使用寿命を長期化することができる。
上記の踵側領域Q1において、足部前後方向Yに沿う最大長さL1の中心M1よりも爪先T側の部分Q1−1は、最初に着地する領域であり、着用者が体のバランスを取るために、特にスリップを防止することが必要である。よって、踵側領域Q1の他の部分Q1−2よりもさらに高い排水性能を備えることによって、より確実にスリップを防止し、さらに安定した走行を実現することが好ましい。
また、部分Q1−2は、最大長さL1の中心M1よりも湾曲部3側の部分である。踵側領域Q1においては、図2Bに示したように、最初に接地した部分Q1−1よりも湾曲部3側、即ち着用者が進む向きとは反対側の部分Q1−2に接地部分が変遷している。部分Q1−2の接地時には、着用者が前に進もうとする上半身の動きと、接地部分の動きとが一時的に逆になっており、接地形態の後半の蹴り出し動作に向けて、高い推進力が必要となる。そこで、まず、部分Q1−2については、部分Q1−1よりも高い剛性を備えることが肝要である。部分Q1−2において、部分Q1−1よりも高い剛性を備えることによって、踏み込み動作を蹴り出し動作にスムーズに繋げ、高い推進力を実現することができる。
特に、底面5sが複数の凹凸からなるパターンを有する場合、部分Q1−2は、部分Q1−1よりも足部2の幅方向Wにおけるエッジ成分を大きくすることが好ましい。また、ネガティブ比率については、部分Q1−2は、部分Q1−1よりも小さいことが好適である。ここで、ネガティブ比率とは、底面5sの平面視での総面積中における、路面Sに対して凹となる部分の平面視での面積の割合を指す。上記構成により、走行時に高い推進力を発揮させることができる。
また、効果的に推進力を発揮させるため、部分Q1−2は、爪先側領域Q2よりも、足部2の幅方向Wにおけるエッジ成分が小さいことが好ましい。さらに、部分Q1−2は、爪先側領域Q2よりもネガティブ比率が大きいことが好適である。上記構成によれば、部分Q1−2は、着用者が蹴り出し動作を行う際に、高い推進力を発揮させることができる。
上述の底面5sの各部分に付与する、上記した特性を実現するための具体的手段には、例えば、底面5sに形成された溝等による、凹凸からなるパターンを工夫すること、底面5sの表面性状を工夫すること、ソール5の断面形状を工夫すること及びソール5の材質を工夫すること、等がある。
ここで、底面5sの凹凸からなるパターンの工夫によって各機能を付与する場合について説明する。図4は、競技用義足1におけるソール5の、底面5sのパターンの一例を示す図である。
図4に示すパターンでは、踵側領域Q1に、幅方向Wに延びる複数の溝によって区画される、陸部10及び陸部11が複数配置されている。陸部10は、陸部11よりも爪先T側に配置されている。陸部10は、幅方向Wに略ジグザグ状に延びる幅方向延在部10aと、爪先T側に凸となる向きに屈曲する屈曲部から爪先T側に延びる爪先側突出部10bと、湾曲部3側に凸となる向きに屈曲する屈曲部から湾曲部3側に延びる湾曲部側突出部10cとを含む形状である。陸部11は、幅方向延在部11aと、爪先側突出部11bと、湾曲部側突出部11cとを含む形状である。幅方向延在部10a及び11aをジグザグ状の形状とすることによって、エッジ成分を十分に確保することができる。さらに、爪先側突出部10b及び11bと、湾曲部側突出部10c及び11bとを形成することによって、エッジ成分をさらに増加し、接地域延在方向両側で効果的に底面5sと路面Sとの間に存在する水膜を切ることができ、高い排水性能を実現することができる。
また、図4では、爪先側領域Q2に、幅方向Wに延びる複数の溝によって区画される、陸部12が複数配置されている。陸部12は、幅方向Wへ略ジグザグ状に延びる幅方向延在部12aと、爪先T側に凸となる向きに屈曲する屈曲部から、幅方向延在部12aの延在する向きに凸となるように延びる爪先側突出部12bと、湾曲部3側の凸となる向きに屈曲する屈曲部から、幅方向延在部12aの延在する向きに凸となるように延びる湾曲部側突出部12cとを含む形状である。さらに、爪先側領域Q2には、幅方向Wに延びるジグザグ形状に沿って、断続して延びる複数の直線溝13が形成されている。陸部12は、直線溝13よりも湾曲部3側に配置され、直線溝13は、陸部12よりも爪先T側に形成されている。なお、図に示すとおり、爪先側領域Q2には、陸部11と同形状を有する陸部14が形成されていてもよい。
図4では、陸部10の幅方向延在部10aの陸部幅w2よりも、陸部11の幅方向延在部11aの陸部幅w3が大きい。また、陸部12の幅方向延在部12aの陸部幅w4は、陸部幅w2及びw3よりも大きい。図4から理解されるように、陸部10、11、12及び14のそれぞれは、溝部により区画されている。
上記構成では、踵側領域Q1は、底面5sの平面視での総面積中における、路面Sに対して凹となる溝部分の平面視での面積の割合、即ちネガティブ比率が、爪先側領域Q2よりも大きい。よって、踵側領域Q1では、より多くの水分を凹溝内に取り込み、排出することが可能となる。よって、踵側領域Q1は、爪先側領域Q2よりも高い排水性能を備えている。
一方、爪先側領域Q2は、踵側領域Q1よりも高い耐摩耗性能を備えている。なぜなら、爪先側領域Q2は、踵側領域Q1よりもネガティブ比率が小さく、高い剛性が維持されている。
なお、爪先側領域Q2において、部分Q2−1には、直線溝13が形成されている。この構成によれば、接地部分Q2−1は、爪先側領域Q2の残りの部分Q2−2よりも剛性が大きく、さらに高い耐摩耗性能を備える。
また、図4では、踵側領域Q1において、部分Q1−1のネガティブ比率は、部分Q1−2よりも大きく、より多くの水分を溝内に取り込み、排出することができる。即ち、部分Q1−1は、部分Q1−2よりも、さらに高い排水性能を備える。
さらに、踵側領域Q1において、部分Q1−2には、陸部11が配置されており、上述のとおり、陸部11の陸部幅w3は、陸部10の陸部幅w2よりも大きい。よって、部分Q1−2は、部分Q1−1よりも大きい陸部剛性を有する。さらに、部分Q1−2は、Q1−1よりも、幅方向Wにおけるエッジ成分が大きくなる。また、上述のとおり、部分Q1−2のネガティブ比率は、部分Q1−1よりも小さくなる。
また、部分Q1−2は、爪先側領域Q2よりも、幅方向Wにおけるエッジ成分が小さく、さらに、ネガティブ比率は大きい。
本実施形態において、ソール5は、少なくとも一部の領域に貫通孔9を有する。従って、競技用義足1の接地域4sへの装着状態において、接地域4sの少なくとも一部の領域が露出する。本実施形態では、ソール5は競技用義足1の接地域4sに装着される。
例えば、ソール5は、図4に示すように、一部の領域において貫通孔9を有する。図4では、ソール5の貫通孔9は、斜線の領域により示されている。即ち、図4における斜線の領域では、ソール5の底面5s側において、競技用義足1の接地域4sが露出している。
図4に示す例では、ソール5は、部分Q2−2、部分Q1−1及び部分Q1−2における、陸部10、11、12及び14以外の領域、つまり溝部に貫通孔9を有する。このように、ソール5が貫通孔9を有することにより、貫通孔9を有さない場合と比較して、ソール5を軽量化することができる。また、ソール5は、陸部10、11、12及び14以外の領域に貫通孔9を有することにより、陸部10、11、12及び14による効果、例えば排水性能等の効果を維持しつつ、軽量化を実現することができる。なお、ソール5における貫通孔9のパターンは、図4に示すものに限られない。ソール5は、部分Q2−2、部分Q1−1及び部分Q1−2の陸部10、11、12及び14以外の任意の領域において、任意のパターンの貫通孔9を有していてよい。
図4に示す例では、ソール5の部分Q2−1は、貫通孔9を有さない。この場合、ソール5の部分Q2−1における耐摩耗性が維持される。ただし、ソール5は、部分Q2−1に貫通孔9を有してもよい。この場合、ソール5のさらなる軽量化が実現される。
本実施形態に係る競技用義足1において、ソール5は、接地域4sに接着剤を介して装着されていてよい。ただし、装着手段は接着剤に限られず、ベルト等の締結具を用いて装着されてもよい。
ここで、本実施形態に係るソール5の装着手段の一例について、図5A、図5B及び図5Cを用いて説明する。図5Aは、接地部4に装着される前のソール5及び貼付代部を示す斜視図である。なお、図5Aでは、底面5sのパターン及び開口9の図示は省略している。図示するように、爪先側貼付代部6及び湾曲部側貼付代部7が、ソール5と一体的に結合している。爪先側貼付代部6は、ソール5の爪先T側の端縁に沿って結合され、扇状の形状を有しており、2つの切り込み8a及び8bによって分割されている。また、湾曲部側貼付代部7は、ソール5の湾曲部3側の端縁に結合されている。図5Bは、爪先側貼付代部6とソール5との境界を含む近傍の厚みを説明するための図である。また、図5Cは、湾曲部側貼付代部7とソール5との境界を含む近傍の厚みを示すための図である。図5Bに示すとおり、爪先側貼付代部6は、爪先側貼付代部6は、ソール5の厚みth1よりも薄い一定の厚みth2で延び、ソール5との境界B1に向かって厚みが漸増している。また、湾曲部側貼付代部7は、ソール5の厚みth1よりも薄い厚みth3で延び、ソール5との境界B2に向かって厚みが漸増している。上記構成によれば、ソール5を接地部4に装着する際に、ソール5と接地部4との間に撓みや間隙を形成することなく、密接して装着することができる。例えば、ソール5の厚みth1を2.25〜3.0mmとするとき、爪先側貼付代部6の厚みth2及び湾曲部側貼付代部7の厚みth3を、1.5〜2.0mmとすることができる。なお、図5A、図5B及び図5Cを参照して説明した貼付代部は、第1実施形態に係るソール5の一部を構成するものではなく、ソール5の装着に用いられるものであると理解されたい。
図6は、本発明の第2実施形態に係るソール5の底面のパターンの一例を示す図である。以下、第2実施形態について、第1実施形態と共通の内容については適宜説明を省略し、第1実施形態と異なる点を中心に、説明する。
本実施形態において、ソール5は、複数のソール部分に分断されている。本実施形態において、ソール5は、それぞれ独立(分離)した陸部10、11、12及び14により構成されている。即ち、本時視形態において、ソール5を構成する複数のソール部分は、それぞれ独立(分離)した陸部10、11、12及び14である。競技用義足1の接地域4sへの装着状態において、複数のソール部分が装着される領域以外の領域が、ソール5の底面5s側において露出する。従って、本実施形態では、第1実施形態と異なり、陸部10、11、12及び14を除く領域の全体が、ソール5の底面側において露出している。図6に示す例では、本実施形態において、斜線の領域露出している。言い換えると、本実施形態では、競技用義足1の接地域4sは、陸部10、11、12及び14の領域においてのみ覆われている。
上記説明及び図6から理解されるように、本実施形態において、それぞれの陸部10、11、12及び14は、第1実施形態と異なり、互いに連結されていない。
本実施形態のように、陸部10、11、12及び14を除く領域の全体が、ソール5の底面側において露出している場合も、ソール5の軽量化を実現できる。また、ソール5は、陸部10、11、12及び14により構成されるため、陸部10、11、12及び14による効果、例えば排水性能等の効果を維持しつつ、軽量化を実現することができる。
本実施形態において、例えばソール5の部分Q2−1については、露出されていなくてもよい。例えば、部分Q2−1の領域については、接地域4sは、ソール5で覆われていてよい。これにより、ソール5の部分Q2−1における耐摩耗性が維持される。
ここで、本実施形態に係るソール5の装着方法の一例について、図7A及び図7Bを用いて説明する。図7Aは、接地部4に装着される前のソール5及び保持フィルム20を示す模式図である。図7Aは、接地部4及びソール5の側面視における状態を示す。図7Aに示すように、ソール5を構成する陸部は、ソール5が接地部4に装着される前の状態において、保持フィルム20に保持される。ソール5を構成する陸部は、例えば保持フィルム20に貼付されている。ソール5の接着面Fには、接着剤が塗布される。
図7Bは、図7Aに示すソール5を、接地部4に接着した状態を示す模式図である。図7bも、接地部4及びソール5の側面視における状態を示す。ソール5は、図7Aの矢印に示すように、接着剤により接地部4に接着される。このとき、ソール5を保持する保持フィルム20ごと、接地部4に接着されてよい。即ち、図7Bに示すように、保持フィルム20も、ソール5とともに接地部4に接着されてよい。保持フィルム20は、図7Bに示すようにソール5の接着面F以外の面を覆った状態で接地部4に密着できるように、伸縮性を有する材料で構成されていてよい。また、ソール5を接地部4に接着させる際に、ソール5と接地部4との間の真空引きを行う場合には、保持フィルム20は、空気を通さない材料で構成されていてよい。図7Bに示すように、保持フィルム20がソール5とともに接地部4に接着される場合、着用者が当該ソール5が接着された競技用義足1の使用を開始する際に、ソール5の陸部ではなく、保持フィルム20が路面Sと接触する。この場合、保持フィルム20が摩耗しやすい材料で構成されていることが好ましい。保持フィルム20が摩耗しやすい材料で構成されていることにより、着用者による競技用義足1の使用開始後に、より早く保持フィルム20が摩耗する。これにより、本来意図したソール5の陸部と路面Sとの接触が実現される。なお、図7A及び図7Bを参照して説明した保持フィルム20は、第2実施形態に係るソール5の一部を構成するものではなく、ソール5の装着に用いられるものであると理解されたい。
なお、上記説明では、ソール5の接着面Fに接着剤が塗布され、接着剤によりソール5が接着されると説明した。しかしながら、接着は、必ずしも接着剤により行われなくてもよい。例えば、ソール5が熱で溶ける材料で構成されている場合には、ソール5を、保持フィルム20ごと接地部4に接触させた状態で、ソール5に熱を加えることにより、ソール5を接地部4に接着させることができる。
また、図7Bに示す例では、保持フィルム20も接地部4に接着されているが、保持フィルム20は、必ずしも接地部4に接着されなくてもよい。ソール5が接地部4に接着された後、保持フィルム20は剥がされてもよい。
本実施形態に係るソール5の装着方法は、上述したものに限られない。例えば、ソール5は、それぞれ独立した陸部を1つずつ接地部4に接着することにより、接地部4に装着されてもよい。この場合、接着剤は、例えば、接地部4の接地域4sに塗布されてよい。
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、ソール5が接地部4に直接接触するように、競技用義足1に装着される場合について説明した。しかしながら、ソール5は、必ずしも接地部4に直接接触するように、競技用義足1に装着されていなくてもよい。例えば、図8に側面視として示すように、ソール5と接地域4sとの間にクッション材30が介在していてもよい。この場合、ソール5が競技用義足1の接地域4sに装着状態において、ソール5が装着される面は、クッション材30により構成される。
なお、上述したいずれの実施形態においても、ソール底面5sのパターンでは、幅方向陸部を区画する、幅方向溝を構成する溝壁及び溝底に、フッ素が塗布されていることが好ましい。幅方向溝の溝壁及び溝底にフッ素が塗布されていることによって、ソール底面5sにおける排水性能を高めることができる。
1:競技用義足、2:足部、 2a:直線部、 2b,2c:曲線部、 3:湾曲部、 4:接地部、 4s:接地域、 5:ソール、 5s:底面、 6:爪先側貼付代部、 7:湾曲部側貼付代部、 9:貫通孔、 10,11,12,14:陸部、 10a,11a,12a:幅方向延在部、 10b,11b,12b:爪先側突出部、 10c,11c,12c:湾曲部側突出部、 13:直線溝、 20:保持フィルム、 30:クッション材、 B1,B2:境界、 BL:線、 点:C、 F:接着面、 L1:最大長さ、 M1:中心、 Q1:踵側領域、 S:路面、 T:爪先、 W:幅方向、 X1,X2:弧、 Y:足部前後方向、 th1,th2,th3:厚み、 w2,w3,w4:陸部幅
Claims (4)
- 義足の路面との接地域に装着するソールであって、
少なくとも一部の領域に貫通孔を有する、
義足用ソール。 - 底面側に溝部で区画された陸部を有し、前記溝部に前記貫通孔を有する、請求項1に記載の義足用ソール。
- 義足の路面との接地域に装着するソールであって、
複数のソール部分に分断されている、
義足用ソール。 - クッション材を介して前記義足に装着される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の義足用ソール。
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