以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
また、以下の説明においては、2つの座標系を設定している。1つの座標系は、3次元座標系である。3次元座標系としては、例えば、XYZ直交座標系が設定されている。XYZ直交座標系において、Z軸方向は、例えば鉛直方向に設定され、X軸方向及びY軸方向は、例えば、水平方向に平行で互いに直交する方向に設定される。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ軸方向とする。また、残りの1つの座標系は、2次元座標系である。2次元座標系としては、例えば、ij直交座標系が設定されている。ij直交座標系において、i方向及びj方向は、例えば、互いに直交する方向に設定される。なお、ij直交座標系は、所定の式を用いて、XYZ直交座標系に変換可能となっている。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の形状測定装置を含むシステムの一部の構成を示す図である。図1に示すシステムは、例えば、形状測定装置1を備えた構造物製造システム200である。なお、構造物製造システム200の詳細については後述する。図1は、構造物製造システム200の一部を示している。構造物製造システム200は、形状測定装置1と、形状測定装置1の両側に設けられる2つの搬送装置206と、を含んでいる。2つの搬送装置206のうち、一方側の搬送装置206は、前工程において処理された測定対象の物体(測定対象物)Mを、形状測定装置1に搬入している。前工程としては、例えば、測定対象物Mを成形する成形工程である。他方側の搬送装置206は、形状測定装置1で形状が測定された測定対象物Mを搬出して、後工程に搬送している。後工程としては、例えば、測定対象物Mを熱処理する熱処理工程、測定対象物Mを洗浄する洗浄工程、測定対象物Mにおいて前工程とは異なる箇所を成形する第2成形工程、形状不良となった測定対象物Mをリペアするリペア工程などである。各搬送装置206は、例えば、多軸マニピュレータが適用されている。この構造物製造システム200では、一方側の搬送装置206、形状測定装置1、他方側の搬送装置206の順で、直列的に測定対象物Mを搬送する、いわゆるインラインシステムとなっている。
次に、図2及び図3を参照して、形状測定装置1について説明する。図2は、第1実施形態の形状測定装置の外観を示す図である。図3は、第1実施形態の形状測定装置の概略構成を示す模式図である。
形状測定装置1は、例えば光切断法を利用して、測定対象物Mの三次元的な形状を測定する。形状測定装置1は、プローブ移動装置2と、光学プローブ3と、制御装置4と、保持回転装置7と、を備える。なお、図2は、形状測定装置1のうち、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7の外観を示している。図3は、形状測定装置1の全体の構成を示している。
形状測定装置1は、ベースBに設けられた保持回転装置7に保持されている測定対象物Mの形状を測定する。形状測定装置1は、プローブ移動装置2と保持回転装置7とが、光学プローブ3と測定対象物Mとを相対的に移動させる移動機構となる。光学プローブ3は、測定対象物Mに対して相対移動しつつ、測定対象物Mにライン状のパターンとなる投影光Lを投影しながら、ライン状の投影光Lが投影された測定対象物Mを撮像する。形状測定装置1は、光学プローブ3で撮像したライン状の投影光Lが投影された測定対象物Mの像の画像を、制御装置4で処理して、測定対象物Mの形状を測定する。
プローブ移動装置2は、光学プローブ3から投光されるライン状の投影光Lが、測定対象物Mの形状が測定される範囲である測定範囲に投影されるように、光学プローブ3を測定対象物Mに対して移動させる。ここで、測定範囲は、測定対象物Mの形状を測定するために設定される所定の範囲であり、具体的に、測定対象物Mの表面において測定対象として設定される少なくとも一部の範囲となっている。つまり、測定範囲は、ライン状の投影光Lを投影しながら移動させたときの、投影光Lが投影される範囲となっている。また、プローブ移動装置2は、ライン状の投影光Lの投影位置が測定対象物M上で逐次移動できるように、測定対象物Mに対して光学プローブ3を移動させる。
図3に示すように、プローブ移動装置2は、光学プローブ3を移動させる駆動部10と、光学プローブ3の位置を検出する位置検出部11とを備えている。駆動部10は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Z、第1回転部53、及び第2回転部54を備えている。位置検出部11は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Z、第1回転部53、及び第2回転部54に設けられるエンコーダなどの位置検出手段で三次元空間(XYZ直交座標系)における光学プローブ3の位置を検出する。
X移動部50Xは、ベースBに対して矢印62の方向、つまりX軸方向に移動自在に設けられている。Y移動部50Yは、X移動部50Xに対して矢印63の方向、つまりY軸方向に移動自在に設けられている。Y移動部50Yには、Z軸方向に延在する保持体52が設けられている。Z移動部50Zは、保持体52に対して、矢印64の方向、つまりZ軸方向に移動自在に設けられている。プローブ移動装置2は、X移動部50X、Y移動部50Y及びZ移動部50Zが、光学プローブ3をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能にするXYZ移動機構となる。なお、第1実施形態のプローブ移動装置2は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Zを備え、光学プローブ3をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸に移動可能な機構としたが、これに限定されない。プローブ移動装置2は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Zの一部を備えない構成、つまり、移動軸が2軸、1軸となる装置としてもよい。また、形状測定装置1は、光学プローブ3をXYZ軸に移動しない構造としてもよく、この場合、測定対象物Mを移動させる構造としてもよい。
第1回転部53は、後述する保持部材55に支持される光学プローブ3をX軸と平行な回転軸線(回転軸)53aを中心とする回転方向、つまり矢印65の方向(言い換えれば、θX軸方向)に回転して光学プローブ3の姿勢を変える。第2回転部54は、保持部材55に支持される光学プローブ3を後述する第1保持部55Aが延在する方向と平行な軸線を中心とする回転方向、つまり矢印66の方向(言い換えれば、θZ軸方向)に回転して光学プローブ3の姿勢を変える。プローブ移動装置2は、第1回転部53及び第2回転部54が、光学プローブ3を矢印65の回転方向、矢印66の回転方向に回転可能にするθ移動機構となる。なお、第1実施形態のプローブ移動装置2は、第1回転部53及び第2回転部54を設けたが、これに限定されない。プローブ移動装置2は、一方の回転部のみを備えた構造としてもよい。また、形状測定装置1は、光学プローブ3を回転しない構造としてもよく、この場合、測定対象物Mを回転させる構造としてもよい。
また、形状測定装置1は、基準球73a及び基準球73bを有する。基準球73a及び基準球73bは、ベースB上に配置されている。形状測定装置1は、基準球73a及び基準球73bを用いて、プローブ移動装置2により移動する光学プローブ3のキャリブレーションを行う。
保持回転装置7は、図2及び図3に示すように、測定対象物Mを保持するテーブル71と、テーブル71をθZ軸方向、つまり矢印68の方向に回転させる回転駆動部72と、テーブル71の回転方向の位置を検出する位置検出部73と、を有する。位置検出部73は、テーブル71または回転駆動部72の回転軸Axの回転を検出するエンコーダ装置である。保持回転装置7は、位置検出部73で検出した結果に基づいて、回転駆動部72によってテーブル71を回転させる。
プローブ移動装置2及び保持回転装置7の駆動は、位置検出部11及び位置検出部73の検出結果に基づいて、制御装置4により制御される。形状測定装置1は、保持回転装置7とプローブ移動装置2を駆動させることにより、光学プローブ3から投光されるライン状の投影光Lを測定対象物Mの任意の測定範囲に投影する。つまり、プローブ移動装置2は、第1回転部53及び第2回転部54により矢印65及び矢印66の回転方向に光学プローブ3を回転させ、光学プローブ3の姿勢を変化させることにより、光学プローブ3(後述の投光装置8)によって投影される投影光Lの測定対象物Mへの投影方向と、光学プローブ3(後述の撮像装置9)が測定対象物Mを撮像する撮影方向との少なくとも一方を変化させる。また、保持回転装置7は、矢印68の回転方向に測定対象物Mを回転させることにより、光学プローブ3によって投影光Lを投影する位置と光学プローブ3によって測定対象物Mを撮像する位置とを変化させる。
保持部材55は、光学プローブ3を支持している。保持部材55は、回転軸線53aと直交する方向に延び、第1回転部53に支持される第1保持部55Aと、第1保持部55Aの+Z側の端部に設けられると共に回転軸線53aと平行に延びる第2保持部55Bとを有する。第1保持部55Aは、+Z側の端部が光学プローブ3よりも、測定対象物Mから遠い側に配置されている。と第2保持部55Bは、第1保持部55Aと直交する。第2保持部55Bは、+X側の端部に光学プローブ3が支持されている。第1回転部53は、回転軸線53aの位置が、光学プローブ3よりも、測定対象物Mに近い側に配置されている。また、第1保持部55Aの測定対象物Mに対して近い側の端部には、カウンターバランス55cが設けられている。したがって、第1回転部53の回転軸線53aに対して、保持部材55側に生じるモーメントとカウンターバランス55c側に生じるモーメントが釣り合っている。
上記のプローブ移動装置2及び保持回転装置7には、XYZ直交座標系が設定されている。つまり、光学プローブ3を移動させる座標系、及び測定対象物Mを移動させる座標系は、XYZ直交座標系となっている。このため、光学プローブ3の位置及び測定対象物Mの位置は、XYZ直交座標系における位置として取得することができる。
光学プローブ3は、投光装置8及び撮像装置9を備えている。投光装置8は、測定対象物Mに投影光Lを投影する投光部として機能している。撮像装置9は、投影光Lが投影された測定対象物Mを含む像を撮像する撮像部として機能している。投光装置8及び撮像装置9は共通の筐体により固定されている。したがって、投光装置8によるライン状の投影光の投影方向と、撮像装置9による撮影方向との相互の位置関係は、固定された状態に保たれている。そして、ライン状の投影光の投影方向と撮像装置9の撮影方向とその両者間の位置関係を基に、撮像装置9で検出されたライン状の投影光Lの像の位置から三角測量法に基づき、ライン状の投影光Lが投影された測定対象物M上の領域について、三次元空間における座標を求める。なお、投光装置8と撮像装置9との位置関係は、可変であってもよい。
投光装置8は、保持回転装置7に保持された測定対象物Mの測定範囲に、測定光としてのライン状の投影光Lを投影する。投光装置8は、制御装置4によって制御される。投光装置8は、光源12と、投影光学系13とを備える。本実施形態の光源12は、例えば、レーザーダイオードを含む。なお、光源12は、レーザーダイオード以外の発光ダイオード(LED)等の固体光源を含んでいてもよい。また、光源12は、制御装置4により投光量が制御されている。
投影光学系13は、光源12から発せられた光の空間的な光強度分布を調整して、ライン状の投影光Lを生成する。つまり、投影光学系13は、光源12からの光を、投影光Lの投影方向に直交する面内おいて、一軸方向に集光して、ライン状の投影光Lを生成する。一軸方向は、投影光Lの投影方向に直交する面における方向であり、投影光Lを集光する方向である。投影光学系13は、集光レンズ15と、シリンドリカルレンズ16とを含む。集光レンズ15は、光源12からの光を、焦点に集光する。シリンドリカルレンズ16は、集光レンズ15からの光を、投影光の投影方向に直交する面内おいて、一軸方向に直交する方向に発散させることで、ライン状の投影光Lとする。なお、投影光学系13は、集光レンズ15及びシリンドリカルレンズ16を含む構成に限定されない。投影光学系13は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子を含んでいてもよい。光源12から発せられた光は、投影光学系13により、投影方向に直交する面内おいて一軸方向に集光されることで、一軸方向に直交する方向を長手方向とするライン状の投影光Lとなる。ライン状の投影光Lは、投光装置8から測定対象物Mに向く投影方向に沿って出射される。
図4は、第1実施形態の形状測定装置の光学プローブを示す模式図である。図4は、投光装置8の投影光学系13におけるシリンドリカルレンズ16の一軸方向が、投影光Lの投影方向及び回転軸線53aの軸方向(X軸方向)に直交する場合を示している。また、図4は、投影光Lの投影方向及び撮像装置9の撮影方向を含む面が、回転軸線53aの軸方向(X軸方向)に直交する面となっている。さらに、図4は、投影光Lの投影方向がZ軸方向となっている。図3及び図4に示すように、投光装置8から投影されるライン状の投影光Lの投影方向に沿う面の一部は、後に詳述する撮像素子20の撮像面(結像面)と共役となっている。以降、この面を測定面21aと称する。ここで、ライン状の投影光Lの長手方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)におけるボケは、投影光学系13の焦点を中心にZ軸に沿って変化する。従って、測定面21aのZ軸方向における範囲は、ライン状の投影光Lの長手方向と直交する方向におけるボケの程度に基づいて設定される。一例として、測定面21aの中心位置をOとすると、中心位置Oに投影光学系13の焦点が合うように投影光学系13と後に詳述する撮像装置9とが設置される。投光装置8が図4に示す位置関係である場合、測定面21aは、投影光Lの長手方向(X軸方向)と、投影光Lの投影方向(Z軸方向)とを含む面となっており、図3及び図4の紙面に対して垂直な面となっている。測定面21aは、投影光学系13の焦点を含む面となっている。また、測定面21aは、測定対象物Mの測定範囲となる表面と交差する面となっている。つまり、投影光学系13は、ライン状の投影光Lの焦点を含む測定面21aが、測定対象物Mの測定範囲となる表面と交差するように、集光レンズ15及びシリンドリカルレンズ16等の光学素子が配置されている。また、測定面21aの領域(測定面領域とも言い換えられる)は、撮像装置9の撮像視野の領域、すなわち撮像装置9によって撮像される範囲と対応しており、方形状の領域となっている。なお、測定面21aの中心位置をOとすると、測定面21aの中心位置Oは、後に詳述する撮像素子20の撮像面における測定視野領域26の中心位置O´に対応している。
図3は、投光装置8の投影光学系13におけるシリンドリカルレンズ16の一軸方向が、投影光Lの投影方向及び回転軸線53aの軸方向(X軸方向)に直交する場合を示している。また、図3は、投影光Lの投影方向及び撮像装置の撮影方向を含む面が、回転軸線53aの軸方向(X軸方向)に直交する面となっている。形状測定装置1は、投光装置8が図3に示す位置関係である場合、投光装置8から出射された投影光Lが、投光装置8からの投影方向に対して直交する面を有する測定対象物Mに投影されると、投影光Lの長手方向は、回転軸線53aと平行な方向となる。なお、投影光Lが図3に示す位置関係である場合において、投影光Lは、その長手方向が回転軸線53aと平行となるが、例えば、光学プローブ3を第2回転部54により矢印66に回転させることで、投影光学系13の一軸方向が、回転軸線53aの軸方向(X軸方向)に直交しない場合、投影光Lの長手方向は回転軸線53aと平行とならない。
このように、測定対象物Mに投影されるライン状の投影光Lの長手方向は、第2回転部54により光学プローブ3を回転させることで、投影光Lの向きを変えることができるため、回転軸線53aと平行となることに限定されない。ここで、投影光Lの向きと称しているときは、投影光Lの長手方向の方向を示している。例えば、測定対象物Mの面が広がる方向に沿うように、ライン状の投影光Lの長手方向の向きを変えることで、測定対象物Mの形状を効率的に測定することができる。また、第2回転部54による投影光Lの投影方向を変えることで、撮像装置9による撮影方向も変わる。したがって、例えば、歯車のような凸部が並んだ形状の測定対象物Mであっても、歯筋に沿って投影光Lの長手方向及び撮影方向を設定することで、歯底の形状も測定することができる。
なお、投影光学系13は、集光レンズ15及びシリンドリカルレンズ16を含む光学素子を用いて、光源12からの光をライン状の投影光としたが、この構成に限られず、既知の他の構成であってもよい。例えば、集光レンズ15及びシリンドリカルレンズ16に代えて、CGH等の回折光学素子を用いて、光源12からの光をライン状の投影光としてもよい。CGH等の回折光学素子を含む投影光学系13は、光源12から発せられた光の空間的な光強度分布を調整している。
図3及び図4に示すように、撮像装置9は、測定対象物Mの表面に投影された投影光Lを含む測定対象物Mの像を撮像して、撮像した画像の画像データを生成するものである。撮像装置9は、撮像素子20、結像光学系21、ダイヤフラム23、及びダイヤフラム駆動部24を備える。投光装置8から測定対象物Mに投影された投影光Lは、測定対象物Mの表面で散乱して、その少なくとも一部が結像光学系21へ入射する。結像光学系21は、測定対象物Mを含む像を結像する結像部として機能しており、具体的に、投光装置8によって測定対象物Mに投影されたライン状の投影光Lの像を含む測定対象物Mの像を撮像素子20に結ぶ。撮像素子20は、この結像光学系21が形成する像を撮像する。この撮像素子20は、受光した受光信号に基づき画像処理を行うことで、画像データを生成する。撮像素子20には、制御装置4が接続されており、生成した画像データを制御装置4に出力する。ダイヤフラム23は、大きさを変更可能な開口を有し、開口の大きさを変えることで結像光学系21を通過する光量を制御することができる。ダイヤフラム23の開口の大きさは、ダイヤフラム駆動部24により調整可能である。このダイヤフラム駆動部24は制御装置4に制御されている。
図3及び図4に示すように、結像光学系21は、投影光Lが投影された測定対象物Mの像を、撮像素子20の撮像面20aに結像する。ここで、結像光学系21は、投影光Lの焦点を含む面である測定面21aと撮像素子20の撮像面20a(結像面)とが共役な関係になるように構成されている。このため、結像光学系21が測定面21aと撮像素子20の撮像面20aとを共役な面とすることで、測定面21aにおける像は、撮像素子20の撮像面20aにおいて合焦した像となる。また、測定面21aに交差する測定対象物Mの表面の位置が、投影光Lの投影方向において変化する場合(すなわち、測定対象物Mの形状が変化する場合)、この変化に応じて、撮像素子20の撮像面20aに結像される投影光Lの像の位置は変化する。
図5は、撮像装置により撮像された画像の一例を示す図である。図6は、光学プローブの座標系を示す図である。図5に示す画像28は、撮像素子20の撮像面20a上の撮像領域25において撮像された画像である。撮像領域25は、撮像素子20により撮像可能な範囲となっている。図6に示すように、撮像素子20の撮像領域25は、複数の画素からなる方形状の領域となっていることから、図5に示す画像28も方形状の領域となっている。撮像領域25は、撮像素子20によって撮像された画像28の全ての領域とも言える。
また、測定面21aの像が撮像素子20の撮像面20a上において結像されることにより形成される領域を、測定視野領域26としている。測定視野領域26は、撮像素子20の撮像領域25よりも小さな領域となっている。なお、測定視野領域26は、撮像領域25よりも小さな領域に限定されず、例えば、撮像領域25と同じ大きさの領域となっていてもよい。つまり、測定視野領域26は、撮像素子20の撮像領域25であってもよい。測定視野領域26は、撮像素子20の撮像面20a上において形成され、測定面21aの領域と対応する領域となっている。つまり、撮像装置9の撮像倍率が所定の撮像倍率である場合、撮像倍率に基づいて、測定面21aを含む領域が拡大または縮小されることで、撮像面20aに結像される測定視野領域26を含む領域は、拡大または縮小される。撮像素子20によって撮像された画像28には、測定視野領域26に対応する画像領域である測定画像領域27が含まれる。測定画像領域27は、測定面21aの像の画像であることから、ライン状の投影光Lが投影された測定対象物Mの像を含む画像となっている。
ここで、光学プローブ3には、ij直交座標系が設定されている。このため、光学プローブ3の撮像素子20における撮像領域25の座標系は、ij直交座標系となっている。また、撮像素子20によって撮像される画像28の座標系も、ij直交座標系となっている。具体的に、画像28は、j方向を横方向(図5の左右方向)とし、i方向を縦方向(図5の上下方向)とする方形状の画像となっている。画像28上の位置は、ij直交座標系における位置として取得することができる。
測定画像領域27は、画像28に対して、所定の位置関係となるようにキャリブレーションされている。換言すれば、測定視野領域26は、撮像素子20の撮像領域25に対して、所定の位置関係となるようにキャリブレーションされている。例えば、測定画像領域27(または測定視野領域26)は、画像28(または撮像領域25)に対して、i方向の中央に位置すると共に、j方向の中央に位置するように、キャリブレーションされている。また、測定画像領域27に含まれる投影光Lの像の長手方向は、j方向に沿った方向となっている。
また、撮像素子20の撮像領域25には、ij直交座標系におけるセンサ原点Ibが設定されている。このため、撮像素子20で撮像された画像28の測定画像領域27においてもセンサ原点Ibが定義される。センサ原点Ibは、ij直交座標系とXYZ直交座標系との位置関係を示す基準位置となっている。つまり、センサ原点Ibは、ij直交座標系における位置を、ij直交座標系とXYZ直交座標系との位置関係に基づいて、XYZ直交座標系における位置に変換するための基準となる位置となっている。センサ原点Ibは、画像28上においていずれの位置に設定されていてもよく、例えば、画像28の中央に設定されている。このセンサ原点Ibは、測定対象物Mの形状を測定する(点群データを生成する)ために用いられる。
なお、詳細は後述するが、本実施形態の撮像装置9は、結像光学系21により測定対象物Mを含む像の状態を変化させて結像し、撮像素子20により状態が変化する像を撮像して、像に対して歪んだ歪画像の画像データを生成している。
次に、図7を参照して、制御装置4について説明する。図7は、制御装置の概略構成を示すブロック図である。制御装置4は、形状測定装置1の各部を制御する。制御装置4は、光学プローブ3による撮像結果とプローブ移動装置2及び保持回転装置7の位置情報とに基づき、演算処理を行って測定対象物Mの測定範囲の3次元形状を算出する。本実施形態における形状情報は、測定対象物Mの少なくとも一部に関する形状、寸法、凹凸分布、表面粗さ、及び測定範囲上の点群の位置(座標)、の少なくとも1つを示す情報を含む。制御装置4は、図4に示すように、制御部30と、記憶部31と、入力部32と、表示部33と、を有する。
制御装置4は、形状測定装置1のプローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7に接続されている。つまり、制御装置4は、例えば、形状測定装置1の各装置2,3,7に接続されるコンピュータでも構わないし、形状測定装置1の各装置2,3,7が設置される建物が備えるホストコンピュータなどでも構わない。また、形状測定装置1は、制御装置4と、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7とを物理的に分離し、制御装置4を、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7が設置される建物から離れた位置に設けて、インターネットなどの通信手段を用いて、制御装置4と、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7と、を接続する構成であってもよい。また、制御装置4は、制御部30と、記憶部31と、入力部32と、表示部33とが、それぞれ別々の場所に配置されても構わない。
制御部30は、測定範囲設定部36と、調光領域設定部37と、調光制御部38と、画像領域設定部34と、測定部(形状算出部)39と、動作制御部40とをその機能部として備える。ここで、制御部30は、測定範囲設定部36と、調光領域設定部37と、調光制御部38と、画像領域設定部34と、測定部(形状算出部)39と、動作制御部40の機能をハードウェアによって実現してもよいし、これらの機能をソフトウェアによって実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて実現してもよい。
測定範囲設定部36は、測定対象物Mの形状が測定される範囲である測定範囲を設定する。測定範囲設定部36は、入力部32から入力される指示に基づいて、測定範囲を設定する。また、測定範囲設定部36は、記憶部31に記憶された後述する緒元データ49に含まれる測定対象物Mの設計データまたはCADデータにおいて予め指定された領域に基づいて、測定範囲を設定してもよい。
調光領域設定部37は、調光領域を設定する。調光領域は、撮像素子20により撮影された画像28内において、撮影された像の明るさを検出する領域である。調光領域設定部37は、設定された測定範囲の位置情報に基づいて、調光領域設定可能範囲を設定し、設定した調光領域設定可能範囲に基づいて、調光領域を設定する。調光領域設定可能範囲は、撮像装置9により撮影された画像28内において、測定範囲の位置情報に基づいて設定される範囲であり、調光領域を設定可能とする範囲である。なお、調光領域設定部37は、入力部32から入力される指示に基づいて、調光領域設定可能範囲を設定してもよい。また、調光領域設定部37は、記憶部31に記憶された後述する緒元データ49に含まれる測定対象物Mの設計データまたはCADデータにおいて予め指定された領域に基づいて、調光領域設定可能範囲を設定してもよい。
調光制御部38は、調光領域内で検出された画素列毎に最も明るい画素の画素値を取得する。調光制御部38は、取得した画素値の大きさに応じて、光源12に対して投光量を制御するための信号、ダイヤフラム駆動部24を制御するための信号、または撮像素子20による撮像時の露出時間を制御するための信号等を出力する。露出時間の制御については、1枚の画像28の画像データを取得するときの露出時間を制御したり、撮像素子20に組み込まれている不図示のメカニカルシャッターにより撮像面20aが露出する時間を制御したりしてもよい。調光制御部38は、取得した画素値の大きさに応じて、光源12からの投光量、撮像素子20で受光する受光量、撮像素子20で画像データを生成するときの露光量、または撮像素子20の入出力特性(感度又は撮像素子の各ピクセルで検出した信号に対する増幅率など)、つまり光学プローブ3によって画像データを取得する際の各種条件(調光条件)を制御する。
画像領域設定部34は、所定の領域を、画像28の一部の画像領域が拡大された拡大画像領域に対応する領域として設定する。以降、説明の便宜上、この所定の領域を拡大対象領域と称する。拡大対象領域は、例えば操作者の入力等によって任意に設定される所定の範囲の領域である。画像領域設定部34により拡大対象領域が設定されると、撮像装置9により拡大対象領域が拡大されることで、拡大画像領域を含む画像28が生成される。拡大対象領域は、画像28に対して設定される画像領域であってもよいし、形状測定により得られた測定対象物Mの測定形状に対して設定される領域(後述する点群の領域)であってもよい。画像領域設定部34は、撮像装置9により撮像される画像28が、拡大画像領域を含む歪んだ歪画像となるように、拡大対象領域を設定する。なお、画像領域設定部34は、拡大画像領域に対応する領域として設定された拡大対象領域以外の所定の領域を、縮小画像領域に対応する領域として設定してもよい。以降、説明の便宜上、縮小画像領域に対応する領域として設定される所定の領域を縮小対象領域と称する。この縮小画像領域は、拡大画像領域に比して縮小された画像領域である。また、画像領域設定部34は、画像28における画像領域の全域が拡大画像領域となるように、拡大対象領域を設定してもよい。拡大画像領域は、測定対象物Mの形状を詳細に(高い分解能で)測定するための画像領域となっている。縮小画像領域は、拡大画像領域に比して大まかな形状、つまり拡大画像領域に比べて低い分解能で形状を測定する領域である。画像領域設定部34により拡大対象領域が設定されるため、撮像装置9により撮像される画像28には、少なくとも拡大画像領域が含まれる。つまり、撮像装置9により撮像される画像28には、少なくとも拡大画像領域が含まれることから、拡大画像領域及び縮小画像領域が、または拡大画像領域のみが含まれる。また、画像領域設定部34は、制御装置4の入力部32から入力される指示、測定対象物Mの設計データ、測定対象物Mの形状等の情報に基づいて、少なくとも拡大対象領域を設定している。画像領域設定部34は、設定した拡大対象領域の位置の情報を画像領域の領域設定データ43として、記憶部31に出力する。つまり、画像領域設定部34は、設定される拡大対象領域の入力があると、設定された拡大対象領域の範囲と、拡大対象領域の位置と、拡大対象領域に設定された拡大倍率とを関連付けて、拡大対象領域の位置の情報として生成する。なお、拡大対象領域の位置の情報は、画像28内における、設定した画像領域の座標であり、ij直交座標系の位置の座標となっている。
測定部39は、設定された測定範囲における測定対象物Mの形状を測定する。測定部39には、撮像装置9の撮像素子20で生成される画像28の画像データが入力される。また、測定部39には、動作制御部40から各部の動作の情報、具体的に光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置の情報が入力される。相対位置の情報は、例えば、測定対象物Mの位置(座標)と、光学プローブ3の位置(座標)とに基づいて取得される。光学プローブ3の位置は、プローブ移動装置2の位置検出部11により検出された位置に基づいて取得する。測定対象物Mの位置は、保持回転装置7の位置検出部73により検出された位置に基づいて取得する。そして、位置検出部11により検出された光学プローブ3の位置と、位置検出部73により検出された測定対象物Mの位置とに基づいて、相対位置の情報が生成される。測定部39は、画像28の測定画像領域27に含まれるライン状の投影光Lの像を検出し、画像28における投影光Lの像の位置と光学プローブ3の位置と測定対象物Mの位置とに基づいて、測定対象物Mの形状を測定する。
一例として、測定部39による測定対象物Mの形状測定の具体的な処理について説明する。測定部39は、画像28の測定画像領域27内に位置する投影光Lの像の位置を取得する。画像28の測定画像領域27内に位置する投影光Lの像の位置は、ij直交座標系の位置となっている。測定部39は、画像28上において、ライン状の投影光Lの像に対応する画素のij直交座標系における位置を取得する。測定部39は、投影光Lの像に対応する画素の位置を取得すると、その画素の位置とセンサ原点Ibとの位置関係を取得する。つまり、測定部39は、センサ原点Ibに対する画素の位置を取得する。
また、測定部39は、画像データを取得した時における光学プローブ3の位置を位置検出部11から取得すると共に、測定対象物Mの位置を位置検出部73から取得する。つまり、測定部39は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Z、第1回転部53、及び第2回転部54の位置を、位置検出部11から取得し、保持回転装置7に保持される測定対象物Mの位置を、位置検出部73から取得する。光学プローブ3の位置と測定対象物Mの位置とは、XYZ直交座標系の位置となっている。測定部39は、光学プローブ3の位置と測定対象物Mの位置とを取得すると、光学プローブ3の位置と測定対象物Mの位置との位置関係を取得すると共に、光学プローブ3の位置とセンサ原点Ibとの位置関係を取得する。つまり、測定部39は、測定対象物Mの位置に対する光学プローブ3の相対位置と、センサ原点Ibに対する光学プローブ3の位置とを取得する。測定部39は、測定対象物Mの位置に対する光学プローブ3の相対位置と、センサ原点Ibに対する光学プローブ3の位置とに基づいて、センサ原点Ibに対する測定対象物Mの位置を取得する。
そして、測定部39は、センサ原点Ibに対する投影光Lの像の画素の位置と、センサ原点Ibに対する測定対象物Mの位置とに基づいて、測定対象物Mの位置に対する投影光Lの像の画素の位置を取得することで、測定対象物Mの形状を算出する(測定対象物Mの点群データを生成する)。つまり、測定部39は、測定対象物Mの形状を測定するにあたり、画像28の測定画像領域27に含まれる投影光Lの像から点群の点群データを生成する。点群とは、撮影した画像28の各画素の3次元(XYZ)の座標値を算出することで生成され、後に詳述する表示部33などに表示される複数の点である。すなわち、この点群は、測定対象物の形状を表す点となる。また、点群データとは、点群の各点における3次元の座標値のデータである。点群は、投影光Lの像の長手方向に沿って複数の点が生成される。点群は、投影光Lの像に対応する長手方向に並ぶ画素に応じた点の数となっている。一方で、点群は、投影光Lの像の長手方向に直交する方向(短手方向)において、例えば1点生成される。このため、点群は、1つの画像28に対して、投影光Lの像に沿った1ラインの点群が得られる。点群の各点の座標値は、測定画像領域27における投影光Lの像に対応する画素の位置に基づいて算出される。つまり、測定部39は、投影光Lの像の画素の位置を、センサ原点Ibを基準として、XYZ直交座標系に変換する。また、測定部39は、XYZ直交座標系となる投影光Lの像の画素の位置に、センサ原点Ibに対する測定対象物Mの位置を加えることで、投影光Lの像における点群の各点のXYZ直交座標系における座標値を算出する。このように、測定部39は、2次元座標となる画素の位置を、センサ原点Ibを基準として、3次元座標に変換することで、点群の点群データを生成する。
また、測定部39は、プローブ移動装置2及び保持回転装置7によって、光学プローブ3と測定対象物Mとを相対的に移動させることで、投影光Lが投影される位置を順次移動させつつ、測定画像領域27を含む画像28を撮像装置9で撮像する。測定部39は、撮像装置9で撮像したタイミングで位置検出部11及び位置検出部73からのプローブ移動装置2及び保持回転装置7の位置情報を取得する。測定部39は、取得したプローブ移動装置2及び保持回転装置7の位置情報と、撮像装置9で取得した測定画像領域27の投影光Lの像を含む画像28の画像データとに基づいて、光学プローブ3が移動する方向の点群の点群データを生成する。
これにより、点群は、投影光Lの像の長手方向に沿って生成されると共に、投影光Lが移動する方向に沿って生成される。つまり、測定部39は、駆動部10及び回転駆動部72により測定対象物Mと相対的に投影光L(光学プローブ3)を移動させて、所定の間隔ごとに複数の画像28を撮影することで、複数ラインの点群を生成する。そして、測定部39は、投影光Lの像の長手方向及び投影光Lが移動する方向に亘って生成された点群毎の座標値に基づき、測定対象物Mの形状を測定する。なお、複数ラインの点群を生成する際に投影光L(光学プローブ3)を移動させる方向は、投影光Lの長手方向と交差する方向である。
ここで、投影光Lの長手方向に並ぶ点群は、点の間隔が、画像領域設定部34により設定された画像領域の領域設定データ43に基づいて設定される。また、投影光L(光学プローブ3)が移動する方向に並ぶ点群は、点の間隔が、測定点間隔情報に基づいて設定される。測定点間隔情報は、投影光Lが移動する方向に並ぶ点の間隔を設定する情報であり、操作者によって設定可能である。形状測定装置1は、撮像装置9の撮影タイミングを一定間隔にし、測定点間隔情報を基に駆動部10及び回転駆動部72の移動速度を制御することで、投影光Lが移動する方向に並ぶ点の間隔を設定された間隔とする。
動作制御部40は、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7を含む、形状測定装置1の各部の動作を制御する。この動作制御部40は、制御部30で作成された動作制御の情報を基に、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7の動作制御を実施する。また、動作制御部40は、動作制御の情報を測定部39に出力する。
記憶部31は、ハードディスク、メモリ等、各種プログラム、データを記憶する記憶装置である。記憶部31は、画像領域の領域設定データ43と、回動動作情報44と、条件テーブル46と、形状測定プログラム48と、緒元データ49と、を有する。なお、記憶部31は、これらのプログラム、データ以外にも形状測定装置1の動作の制御に用いる各種プログラム、データを記憶している。
画像領域の領域設定データ43は、画像領域設定部34により設定された拡大対象領域の位置の情報を含む。拡大対象領域が画像28に対して設定される画像領域である場合、拡大対象領域の位置の情報は、測定画像領域27における投影光Lの像の長手方向の位置と、当該位置における拡大画像領域と、拡大対象領域に設定される拡大倍率とを対応付けた情報となっている。
なお、画像領域の領域設定データ43は、画像領域設定部34により設定された縮小対象領域の位置の情報を含んでもよい。縮小対象領域が画像28に対して設定される画像領域である場合、縮小対象領域の位置の情報は、測定画像領域27における投影光Lの像の長手方向の位置と、当該位置における縮小画像領域と、縮小対象領域の拡大倍率または縮小倍率とを対応付けた情報となっている。
また、領域設定データ43は、拡大対象領域及び縮小対象領域の位置の情報と、光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置の情報とを対応付けたデータを含む。領域設定データ43は、画像領域設定部34により設定されることで記憶部31に記憶される。領域設定データ43は、投影光Lの像の長手方向の位置と、画像28の拡大倍率及び縮小倍率とが直接対応付けられてもよい。
拡大画像領域は、撮像装置9で撮影される画像28に対して、点群の密度が密となる領域、換言すれば、画像28の拡大倍率が1倍よりも大きくなる領域である。画像領域設定部34は、一例として、画像28上の測定画像領域27における投影光Lの像に対して、投影光Lの像の長手方向における所定の位置に、拡大対象領域を設定して、拡大対象領域の位置の情報を生成する。つまり、画像領域設定部34は、拡大対象領域の位置と、拡大対象領域に対応する拡大画像領域と、当該拡大対象領域の拡大倍率(すなわち、拡大画像領域の拡大倍率)とを対応付けて、拡大対象領域の位置の情報を生成する。そして、画像領域設定部34は、拡大対象領域の位置の情報と、光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置の情報とを対応付けた領域設定データ43を生成し、記憶部31に記憶する。
縮小画像領域は、撮像装置9で撮影される画像28に対して、点群の密度が拡大画像領域に比して疎となる領域、換言すれば、画像28の拡大倍率が拡大画像領域の拡大倍率よりも小さくなる領域である。このため、縮小画像領域は、拡大画像領域の拡大倍率よりも小さい拡大倍率であればよいことから、画像28の拡大倍率が1倍よりも大きくてもよいし、画像28の拡大倍率が1倍よりも小さい縮小倍率であってもよい。画像領域設定部34は、一例として、画像28上の投影光Lの像の長手方向における所定の位置に、拡大対象領域を設定する。この場合、画像領域設定部34は、拡大対象領域以外の領域を縮小対象領域として設定して、縮小対象領域の位置の情報を生成する。つまり、画像領域設定部34は、縮小対象領域の位置と、縮小対象領域に対応する縮小画像領域と、当該縮小対象領域の拡大倍率または縮小倍率(すなわち、縮小画像領域の拡大倍率または縮小倍率)とを対応付けて、縮小対象領域の位置の情報を生成する。そして、画像領域設定部34は、縮小対象領域の位置の情報と、光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置の情報とを対応付けた領域設定データ43を生成し、記憶部31に記憶させる。
このように、領域設定データ43は、画像28上における投影光Lの像の長手方向の位置に、拡大対象領域及び縮小対象領域が設定されたデータとなる。なお、領域設定データ43は、画像28上における投影光Lの像の長手方向の位置に、拡大対象領域及び縮小対象領域のみが対応付けられたデータであってもよい。また、領域設定データ43は、画像28上における投影光Lの像の長手方向に沿って、画像28の拡大倍率が連続的に変化するデータであってもよい。さらに、領域設定データ43では、拡大対象領域及び縮小対象領域に対して、画像28の拡大倍率を対応付けたが、拡大対象領域及び縮小対象領域に対して、点群の密度を対応付けてもよい。また、拡大対象領域及び縮小対象領域が測定対象物Mの形状測定時に生成された点群に対して設定される領域である場合、拡大対象領域または縮小対象領域の位置の情報とは、点群に設定される拡大対象領域または縮小対象領域の位置と、拡大対象領域または縮小対象領域に対応する拡大画像領域または縮小画像領域と、拡大画像領域または縮小画像領域の拡大倍率(または縮小倍率)とを対応付けた情報としてもよい。
この領域設定データ43は、後述するガルバノスキャナ82の回動動作を設定するときに使われるデータとなっている。制御装置4は、領域設定データ43に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定することで、回動動作情報44を生成する。
回動動作情報44は、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定したときに得られる情報である。回動動作情報44は、画像28上における投影光Lの像の長手方向の位置に設定された拡大画像領域及び縮小画像領域の画像28の拡大倍率に応じて、ガルバノスキャナ82の回動動作を制御するための情報となっている。回動動作情報44は、投影光Lの像を含む測定対象物Mの像の位置を撮像面20a上で変化させた量に関する情報を含んでいる。投影光Lの像を含む測定対象物Mの像の位置を撮像面20a上で変化させた量とは、具体的に、投影光Lの像の長手方向における移動量である。詳細は後述するが、回動動作情報44としては、例えば、図17から図19に示す情報、図21から図23に示す情報がある。動作制御部40は、回動動作情報44を取得する。動作制御部40は、回動動作情報44に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作を制御する。また、回動動作情報44は、測定部39において点群の点群データを生成するときに用いられる。
条件テーブル46は、制御部30で設定された測定条件、及び予め入力された各種条件を記憶する。測定条件は、測定範囲設定部36により設定される測定範囲、調光制御部38により調光制御するための調光条件、画像領域設定部34により設定される画像領域がある。また、測定条件は、動作制御部40により制御されるプローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7の各種動作に関する動作条件を含む。形状測定プログラム48は、条件テーブル46に含まれる測定条件等に基づいて、制御装置4の各部の処理を実行させるプログラムを記憶している。つまり、制御装置4は、形状測定プログラム48に記憶されているプログラムを実行することで、上述した各部の動作を順次再現することで、測定範囲を逐次移しながら、測定対象物Mに投影された投影光Lの像を撮像するように制御する。形状測定プログラム48は、形状測定装置1で実行されるプログラムであって、形状測定装置1は、形状測定プログラム48を実行することで、測定対象物Mの形状を測定する。なお、形状測定プログラム48は、予め記憶部31に記憶させてもよいがこれに限定されない。形状測定プログラム48が記憶された記憶媒体から読み取って記憶部31に記憶してもよいし、通信により外部から取得してもよい。緒元データ49は、測定対象物Mの設計データ、CADデータ、形状を規定できる条件データ等を記憶している。
制御装置4は、光学プローブ3と測定対象物Mの相対位置が所定の位置関係となるように、プローブ移動装置2の駆動部10及び保持回転装置7の回転駆動部72を制御する。また、制御装置4は、光学プローブ3の位置情報をプローブ移動装置2の位置検出部11から取得すると共に、測定対象物Mの位置情報を保持回転装置7の位置検出部73から取得することで、測定対象物Mと光学プローブ3との相対位置の情報を取得する。また、制御装置4は、測定画像領域27を含む画像28の画像データを光学プローブ3から取得する。そして、制御装置4は、相対位置に応じた画像データの画像28上における投影光Lの像の位置と、光学プローブ3の位置及び投影光Lの投影方向と、撮像装置9の位置及び撮影方向とに基づいて、撮影した画像28の投影光Lの像上における各画素の位置(座標値)を算出する。制御装置4は、算出した画像28の投影光Lの像上における各画素の位置に基づいて、投影光Lの像の長手方向に沿う点群の点群データを生成する。また、制御装置4は、投影光Lが移動する方向に沿って、点群の点群データを複数生成する。制御装置4は、投影光Lの像の長手方向の点群と、投影光Lが移動する方向との点群とに基づいて、測定対象物Mの三次元的な形状に関する形状情報を演算して取得する。
表示部33は、例えば液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等のディスプレイによって構成される。表示部33は、制御部30の制御結果及び操作者からの入力内容などを表示したり、形状測定装置1の測定に関する測定情報を表示したりする。測定情報は、例えば、測定対象物Mに設定された測定範囲、撮像素子20で撮影された画像28、画像28上に設定された測定画像領域27の位置を示す情報、画像28上に設定された調光領域の位置を示す情報等を表示することができる。測定画像領域27の位置情報は、撮像素子20で撮影された画像28上に重畳して表示する。また、測定情報としては、他にも測定に関する設定を示す設定情報、測定の経過を示す経過情報、測定の結果を示す形状情報等を含む。第1実施形態の表示部33は、測定情報に関する画像の画像データが制御部30から供給され、この画像データに従って測定情報に関する画像を表示する。
入力部32は、操作者からの情報が入力可能な装置であり、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、タッチバッド等の各種入力デバイスによって構成される。入力部32は、制御装置4への各種情報の入力を受けつける。各種情報は、例えば、形状測定装置1に測定を開始させる指令(コマンド)を示す指令情報、形状測定装置1による測定に関する設定情報、形状測定装置1の少なくとも一部をマニュアルで操作するための操作情報等を含む。また、操作者は、入力部32を操作して、例えば、拡大画像領域75等の画像領域に関する設定を行っている。なお、表示部33及び入力部32としては、表示部33と入力部32とが一体となるタッチパネルであってもよい。
次に、図4、図8から図11を参照して、撮像装置9について詳細に説明する。図8は、第1実施形態の形状測定装置の結像光学系を示す模式図である。図9は、第1実施形態の形状測定装置の測定対象物を示す斜視図である。図10は、第1実施形態の形状測定装置の計測動作を示す説明図である。図11は、撮像素子の撮像領域の一例を示す図である。
以下では、図9に示すように、一例として、形状測定装置1が円周方向に繰り返し形状が形成された測定対象物Maの形状を測定する場合として説明する。形状測定装置1は、投影光Lを測定対象物Maの繰り返し形状の1つの単位である歯に投影し、測定対象物Ma上に投影された投影光Lの像を含む画像を取得することで、測定対象物Maの形状を測定する。第1実施形態の形状測定装置1は、歯筋の方向に沿って、投影光L(光学プローブ3)を移動させつつ、測定対象物Ma上に投影された投影光Lの像を含む画像28を取得することで、1つの歯の形状を測定することができる。形状測定装置1は、測定対象物Maの歯の形状を順番に測定することで、測定対象物Maの形状を測定することができる。測定対象物Maは、一例として、設計上は略同一形状となる歯が円周方向に所定の間隔で形成された、かさ歯車である。本実施形態の形状測定装置1は、測定対象物Maをかさ歯車としたが、種々の形状の物体を測定対象物として形状を測定することができる。つまり、測定対象物Mは、歯車に限られず、凹凸が所定の間隔で形成されたいずれの物体であってもよく、例えば、タービンブレードであってもよい。また、測定対象物Mは、凹凸が所定の間隔で形成された物体に限られず、形状を測定する対象となるいずれの物体であってもよい。もちろん、測定対象物Mを歯車とした場合、歯車の種類は特に限定されない。測定対象物Maは、かさ歯車以外に、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、ウォームギア、ピニオン、ハイポイドギアなどであってもよい。なお、形状測定装置1は、測定対象物Maの1つの歯の形状の測定や、測定対象物Mの全体の形状を測定することに限定されず、測定対象物Mの任意の1点の形状を測定することもできる。
第1実施形態の撮像装置9は、測定対象物Mの像に歪みが与えられた画像である歪画像の画像データを生成している。具体的に、撮像装置9は、画像28の少なくとも一部の画像領域を、投影光Lの像の長手方向に拡大または縮小している。画像の一部の画像領域を拡大または縮小するために、図4及び図8に示すように、撮像装置9の結像光学系21は、対物レンズ81と、ガルバノスキャナ82と、結像レンズ83とを含む。以降の段落で詳述するが、測定対象物Mの像に与えられた歪みとは、拡大及び縮小の少なくともどちらか一方であり、歪みが与えられた歪画像とは、測定対象物Mの像の少なくとも一部が拡大された画像、測定対象物Mの像の少なくとも一部が拡大及び縮小された画像、又は測定対象物Mの像の少なくとも一部が縮小された画像である。
ここで、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成する処理としては、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像に歪みを与えて歪画像の画像データを生成する場合と、画像28に含まれる測定対象物Mの像(画像)に歪みが与えられるように歪画像の画像データを生成する場合とがある。つまり、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像における、測定対象物Mの像とは、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像と、歪画像に含まれる測定対象物Mの像(画像)とを含む。
第1実施形態の撮像装置9では、画像28に含まれる測定対象物Mの像(画像)に歪みが与えられるように歪画像の画像データを生成している。具体的に、第1実施形態の撮像装置9では、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成する場合、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像に歪みを与えずに、撮像面20a上において測定対象物Mの像を移動させることで、撮像時に測定対象物Mの像(画像)に歪みを与えている。
結像光学系21は、図8に示すように、対物レンズ81から結像レンズ83に至る光路を、ガルバノスキャナ82において、90°折り曲げている。つまり、結像光学系21は、測定対象物Mから対物レンズ81までの撮影方向と、結像レンズ83から撮像素子20までの撮影方向とが直交するように、ガルバノスキャナ82が配置されている。なお、図4では、説明を容易にするために、測定対象物Mから対物レンズ81までの撮影方向における光路と、結像レンズ83から撮像素子20までの撮影方向における光路とを斜めに交差するように図示している。しかしながら、実際には、図8における結像レンズ83から撮像素子20までの撮影方向における光路は、図4の奥行き方向(X軸方向)となっている。つまり、図4において、投影光Lの投影方向がZ軸方向となる場合、ガルバノスキャナ82、結像レンズ83及び撮像素子20は、X軸方向に並べて配置されている。
対物レンズ81は、測定対象物M側に設けられるレンズであり、ライン状の投影光Lが投影された測定対象物Mからの光が入射する。測定対象物Mからの光とは、測定対象物Mの表面において散乱する光である。対物レンズ81は、入射した光を平行光とし、平行光となった光を結像レンズ83へ向けて出射する。対物レンズ81は、単体のレンズで構成されていてもよいし、複数のレンズで構成されていてもよく、特に限定されない。
結像レンズ83は、撮像素子20側に設けられるレンズであり、対物レンズ81から出射された平行光が入射する。結像レンズ83は、入射した平行光を集光する。結像レンズ83は、撮像素子20の撮像面20aに、ライン状の投影光Lが投影された測定対象物Mの像を結像する。結像レンズ83も、単体のレンズで構成されていてもよいし、複数のレンズで構成されていてもよく、特に限定されない。
ガルバノスキャナ82は、対物レンズ81と結像レンズ83との間の光路に設けられ、ミラーの反射面の向きを変化させることで、撮像素子20の撮像面20aに結像される投影光Lの像を含む測定対象物Mの像の撮像面20aにおける位置を変化させる。つまり、ガルバノスキャナ82は、撮像面20aに対して、測定対象物Mの像に含まれる投影光Lの像を長手方向に沿って移動させている。ガルバノスキャナ82は、撮像面20aに対して、投影光Lの像を長手方向に沿って移動させることにより、測定視野領域26が移動する。ガルバノスキャナ82は、回動軸85と、ガルバノミラー86と、回動駆動部87とを有している。
回動軸85は、その軸方向が、図3及び図4に示すような、投影光Lの投影方向及び撮像装置9の撮影方向を含む面が、回転軸線53aの軸方向に直交する面となる場合、回転軸線53aの軸方向に直交する方向となっている。つまり、回動軸85の軸方向は、投影光Lの投影方向及び撮像装置9の撮影方向を含む面上の方向となっている。
ガルバノミラー86は、回動軸85の軸方向を含む平面と平行な面となる反射面86aを含み、回動軸85を中心に反射角度が可変される。ガルバノミラー86は、回動停止状態、つまり、初期位置の状態である場合、図11に示すように、測定視野領域26は、撮像素子20の撮像領域25の中央に位置する測定視野領域26aとなっている。このとき、画像28の測定画像領域27に設定されるセンサ原点Ibは、センサ原点Ibaに位置している。
ガルバノミラー86は、回動軸85を中心に、第1回動方向(矢印91)に回動する。すると、図11に示すように、撮像素子20の撮像領域25上において、測定視野領域26は、測定視野領域26aに対して図11の左側に移動した測定視野領域26bとなる。つまり、ガルバノミラー86が第1回動方向に回動することで、図11の左側に、投影光Lの像(測定対象物Mの像)が移動する。この投影光Lの像の移動により、画像28の測定画像領域27に設定されるセンサ原点Ibは、投影光Lの像を移動させた分(後述する移動量Δd)だけずれた位置となるセンサ原点Ibbとなる。
また、ガルバノミラー86は、回動軸85を中心に、第2回動方向(矢印92)に回動する。すると、図11に示すように、撮像素子20の撮像領域25上において、測定視野領域26は、測定視野領域26aに対して図11の右側に移動した測定視野領域26cとなる。つまり、ガルバノミラー86が第2回動方向に回動することで、図11の右側に、投影光Lの像(測定対象物Mの像)が移動する。この投影光Lの像の移動により、画像28の測定画像領域27に設定されるセンサ原点Ibは、投影光Lの像を移動させた分(後述する移動量Δd)だけずれた位置となるセンサ原点Ibcとなる。
回動駆動部87は、回動軸85を中心に、ガルバノミラー86を矢印91及び矢印92の回動方向に駆動させる。回動駆動部87は、制御装置4に接続されており、制御装置4の動作制御部40によって制御される。
ここで、撮像素子20は、例えば、ローリングシャッター方式のCMOSイメージセンサが用いられている。撮像素子20は、複数の画素を有しており、複数の画素は、行方向及び列方向に並べてマトリクス状に配置されている。撮像素子20は、各行の行方向の一方側から他方側に向かうスキャン方向に沿って、各画素において順に露光すると共に、列方向の一方側の行から他方側の行に向かって順に露光している。この撮像素子20のスキャン方向は、撮像面20a上におけるライン状の投影光Lの像の長手方向に沿った方向(すなわち、撮像素子20のスキャン方向と撮像面20a上におけるライン状の投影光Lの像の長手方向は平行)となっており、図11では、左側から右側に向かう方向(矢印93)となっている。なお、撮像面20a上において、撮像素子20のスキャン方向と投影光Lの像の長手方向とは平行でなくてもよい。例えば、投影光Lの像の長手方向と撮像素子20のスキャン方向とが直交していなければよく、交差していればよい。
このガルバノミラー86は、第1回動方向91に回動することで、撮像素子20の撮像面20aに結像される投影光Lの像を含む測定対象物Mの像を、撮像素子20のスキャン方向93の逆方向に移動させている。撮像素子20における各画素の露光と、ガルバノミラー86による測定対象物Mの像の移動とを合わせることで、撮像素子20により取得される測定対象物Mの像の画像28は、投影光Lの像の長手方向に縮小された歪んだ画像28となる。このとき、第1回動方向91における回転速度が速いほど縮小される割合が大きなものとなる。このように、ガルバノミラー86を第1回動方向91へ回動させつつ撮像素子20で測定対象物Mの像を撮像すると、生成された画像28上の測定対象物Mの像に歪みが与えられる(画像28上の測定対象物Mの像の少なくとも一部が縮小される)。したがって、測定対象物Mの像に歪みが与えられた画像28(すなわち、歪画像)の画像データが得られる。
一方で、ガルバノミラー86は、第2回動方向92に回動することで、撮像素子20の撮像面20aに結像される投影光Lの像を含む測定対象物Mの像を、撮像素子20のスキャン方向93と同方向に移動させている。撮像素子20における各画素の露光と、ガルバノミラー86による測定対象物Mの像の移動とを合わせることで、撮像素子20により取得される測定対象物Mの像の画像28は、投影光Lの像の長手方向に拡大された歪んだ画像28となる。このとき、第2回動方向92における回転速度が速いほど拡大される割合が大きなものとなる。このように、ガルバノミラー86を第2回動方向92へ回動させつつ撮像素子20で測定対象物Mの像を撮像すると、生成された画像28上の測定対象物Mの像に歪みが与えられる(画像28上の測定対象物Mの像の少なくとも一部が拡大される)。したがって、測定対象物Mの像に歪みが与えられた画像28(すなわち、歪画像)の画像データが得られる。なお、撮像素子20により撮像した歪んだ画像28は、結像光学系21に含まれる光学素子による屈折や反射等に起因して発生する収差、特に像が歪む歪曲収差によって、測定対象物Mの像が歪んだような画像となっている。また、歪曲収差に限定されず、その他の収差によって、測定対象物Mの像が歪んだような画像となっていてもよい。
ガルバノミラー86を回動させることで得られた歪画像の画像データは、画像28上の測定対象物Mの像の少なくとも一部が拡大された画像の画像データとなる。また、歪画像の画像データは、画像28の各画素における輝度値と、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値とを含むデータとなる。
なお、ガルバノミラー86は、回動停止状態においては、撮像素子20の撮像面20aに結像される投影光Lの像を含む測定対象物Mの像が移動しない。この場合、撮像素子20により取得される測定対象物Mの画像28は、投影光Lの長手方向に縮小または拡大されずに、歪みのない画像28となる。
ガルバノスキャナ82は、測定対象物Mの像を投影光Lの像の長手方向に移動させる移動量に基づいて、ガルバノミラー86の回動動作が設定される。また、移動量は、画像領域設定部34により設定された拡大画像領域及び縮小画像領域に対応する画像28の拡大倍率に基づいて設定される。このため、制御装置4は、画像28の拡大倍率に基づいて、投影光Lの像の長手方向に移動させる移動量を導出し、この移動量からガルバノミラー86の回動動作を設定する。制御装置4の動作制御部40は、ガルバノスキャナ82を動作させる場合、一例として、後述するティーチングモードにおいて予め設定されたガルバノミラー86の回動動作に基づいて制御する。動作制御部40は、回動駆動部87を制御して、設定された回動動作に基づき、ガルバノミラー86を回動させる。ガルバノミラー86の回動動作としては、回動方向91,92における回転速度及び回転加速度等である。ガルバノミラー86の回動動作については、下記するティーチングモードにおいて取得される。
また、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20のスキャン方向への露光に対して、所定の回動動作となるようにガルバノミラー86を回動させている。つまり、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20の各行におけるスキャン方向の露光速度に対して、拡大画像領域及び縮小画像領域の画像の拡大倍率が設定された拡大倍率となるように、投影光Lの像の長手方向における移動速度を制御している。ここで、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20のスキャンの開始(最初の画素の露光)に合わせて、ガルバノミラー86の駆動を開始している。撮像素子20の露光動作と、ガルバノスキャナ82の回動動作とは、独立した動作となっている。撮像素子20のスキャン方向における露光速度は一定となっており、ガルバノスキャナ82は、露光速度が一定となる撮像素子20に対して、投影光Lの像の長手方向における移動速度を可変させている。このとき、ガルバノスキャナ82は、ガルバノミラー86を連続的に回動させてもよい。また、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20の各画素の露光時において、ガルバノミラー86の回動を停止させつつ、撮像素子20の各画素の露光後において、ガルバノミラー86の回動させることで、ガルバノミラー86を間欠的に回動させてもよい。なお、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20のスキャンに同期させて、ガルバノミラー86を回動させてもよい。つまり、ガルバノスキャナ82の回動動作は、撮像素子20の露光動作に協調させてもよく、例えば、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20に対して、投影光Lの像の長手方向における移動速度を可変させ、撮像素子20は、投影光Lの像の長手方向における移動速度に応じて、スキャン方向における露光速度を可変させてもよい。
上記の撮像装置9は、撮像素子20で受光した受光信号に基づき画像処理を行うことで、画像28の画像データを生成する。このとき、上記のように、画像28の一部の画像領域を、投影光Lの長手方向に拡大または縮小している場合、撮像素子20は、歪んだ歪画像の画像データを生成する。そして、撮像素子20は、生成した歪画像の画像データを、制御装置4の測定部39に出力する。
測定部39は、歪画像の画像データを取得すると、歪画像の画像データから、点群の密度が異なる点群データを生成する。つまり、測定部39は、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データと、与えられた歪みの量とに基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成している。ここで、上記したように、歪みは、拡大及び縮小の少なくともどちらか一方であることから、歪みの量は、拡大倍率(拡大される所定の倍率)及び縮小倍率(縮小される所定の倍率)の少なくともどちらか一方となっている。そして、第1実施形態では、ガルバノスキャナ82を回動動作させることで、所定の拡大倍率または所定の縮小倍率とし、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成している。このため、第1実施形態では、拡大倍率及び縮小倍率に基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成する場合、具体的には、拡大倍率及び縮小倍率に基づいて算出されるガルバノスキャナ82の回動動作に関する情報である回動動作情報44に基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成している。つまり、測定部39は、回動動作情報44を用いて点群データを補正する。測定部39は、画像28上の測定対象物Mの像に対して歪んだ歪みの量を考慮して、点群の三次元の座標値を補正する。この歪みの量は、所定の拡大倍率及び所定の縮小倍率であり、第1実施形態では、所定の拡大倍率及び所定の縮小倍率に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作が設定されることで、投影光Lの像の長手方向における移動量が設定される。この移動量に関する情報は、記憶部31に記憶された回動動作情報44に含まれている。
次に、図10を参照して、投影光Lが投影される測定対象物M(図10の(a))と、撮像装置9により撮像された歪画像(図10の(b))と、測定部39により歪画像の画像データから生成される点群(図10の(c))と、測定部39により歪画像の画像データから生成される補正された点群(図10の(d))とについて説明する。なお、図10では、説明を簡単にすべく、測定対象物M、及び歪画像を、格子状にモデル化している。また、図10では、点群について、測定対象物M及び歪画像との比較を容易にすべく、モデル化された格子及び投影光Lを図示している。さらに、図10の歪画像における左側から右側に向かう方向は、撮像素子20のスキャン方向93としている。
図10の(a)に示す図は、投影光Lが投影された測定対象物Mである。撮像装置9は、ガルバノスキャナ82を作動させて図10の(a)に示す測定対象物Mを撮像する。すると、形状測定装置1は、例えば、図10の(b)に示すような歪画像を取得する。この歪画像は、投影光Lの像の長手方向の中央部における画像領域を拡大させた画像28となっている。つまり、撮像装置9は、ガルバノミラー86を第2回動方向92に回動させることで、投影光Lの像の長手方向の中央部において画像領域を拡大させた拡大画像領域としている。
また、歪画像は、投影光Lの像の長手方向の両外側における画像領域、すなわち、拡大画像領域を挟んで投影光Lの像の長手方向の両側にある画像領域を、拡大画像領域に比して縮小した画像領域としている。この場合、一例として、撮像装置9は、歪画像の長手方向の外側において、ガルバノミラー86を、拡大画像領域における第2回動方向92の回転速度よりも遅い回転速度で回動させる。また、一例として、撮像装置9は、歪画像の長手方向の外側において、ガルバノミラー86を回動停止状態する。さらに、一例として、撮像装置9は、歪画像の長手方向の外側において、ガルバノミラー86を第1回動方向91に回動させる。これにより、撮像装置9は、投影光Lの像の長手方向の両外側において画像領域を縮小させた縮小画像領域としている。このように、撮像装置9により撮像された図10の(b)に示す歪画像は、投影光Lの像の長手方向における中央部が拡大画像領域となり、投影光Lの像の長手方向における外側が拡大画像領域に比して縮小された縮小画像領域となる。
ここで、図10の(b)に示す歪画像において、撮像素子20は、複数の画素が行方向及び列方向において等間隔となっている。つまり、撮像素子20上の複数の画素の位置は、投影光Lの像の長手方向において等間隔となっている。このため、歪画像の画像データに基づいて生成される点群データの点群は、図10の(c)に示す複数の黒点のように、投影光Lの像の長手方向において均等な間隔となる。
図10の(d)に示す図は、回動動作情報44を用いて生成された点群データの点群である。生成された点群は、歪画像の画像データに基づいて生成される点群データの点群に対して、歪画像の歪みの量を考慮して補正された点群である。具体的に、歪画像において、拡大画像領域は、歪みの量を考慮して点群を生成することで、生成される点群の間隔が、投影光Lの像の長手方向において短くなる。つまり、歪画像の拡大画像領域に対応する、生成された点群の密度は高くなる。一方で、歪画像において、縮小画像領域は、歪みの量を考慮して点群を生成することで、補正された点群の間隔が、投影光Lの像の長手方向において、拡大画像領域に比して長くなる。つまり、歪画像の縮小画像領域に対応する、生成された点群の密度は低くなる。このように、生成された点群は、投影光Lの像の長手方向において不均等な間隔となる。つまり、図10の(d)に示す補正された点群は、歪画像の拡大画像領域に対応する点群が密となり、歪画像の縮小画像領域に対応する点群が疎となる。このため、生成された点群は、投影光Lの像の長手方向において、密度が異なるものとなる。換言すれば、点群を密にしたい場合、撮像素子20により撮像される画像において、対応する画像領域を拡大画像領域となるように、画像領域設定部34により設定する。図10の(d)に示す図においては、投影光Lの像の長手方向における中央の拡大画像領域に対応する点群の間隔が短くなることから、拡大画像領域の点群は他の領域と比べて密となる。また、投影光Lの像の長手方向における両外側の縮小画像領域に対応する点群の間隔が長くなることから、縮小画像領域の点群は他の領域と比べて疎となる。なお、点群を疎にしたい場合、撮像素子20により撮像される画像28において、対応する画像領域を縮小画像領域となるように、画像領域設定部34により縮小対象領域を設定してもよい。
形状測定装置1は、補正された点群に基づいて、測定部39により外形形状を測定する。このとき、点群が密となれば、外形形状を緻密に計測できるため、点群が密となる部位の測定対象物Mを、精度よく計測することができる。つまり、図10においては、投影光Lの像の長手方向における中央部の測定対象物Mを、精度よく計測することができる。
なお、図10の(d)に示す補正された点群は一例である。点群の疎密の変化、つまり、拡大画像領域の位置は、任意に設定できる。例えば、拡大画像領域は、形状測定装置1の入力部32を介して、ティーチングモードにおいて操作者により予め設定される。また、例えば、縮小画像領域は、拡大画像領域が設定されることで、拡大画像領域以外の画像領域に設定される。
次に、図12から図23を参照して、画像28に対して拡大画像領域を設定し、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定する、ティーチングモードについて説明する。
形状測定装置1は、測定対象物Mの形状を測定するにあたり、測定対象物Mの形状を測定するための測定条件を設定している。図12は、第1実施形態の形状測定装置のティーチングモードにおける処理を示すフローチャートである。形状測定装置1は、ティーチングモードの処理で、測定対象物Mの測定条件を設定する。ティーチングとは、測定対象物Mの三次元形状を正確に測定するために、形状測定装置1の測定条件を調整及び決定する作業を指す。すなわち、ティーチングとは、形状測定装置1の測定条件を設定する作業である。図12を参照して、ティーチングモードに関する処理について説明する。
先ず、撮像装置9は、一例として、以下の仕様となっている。なお、撮像装置9の仕様は、説明を簡単にするための一例の仕様であり、特に限定されない。測定面21aの領域(測定面領域とも言い換えられる)の大きさは、20mm×20mmの正方形の領域となっている。測定面21a上の投影光Lの長手方向の長さは、20mmとなっている。撮像装置9の撮像倍率は、0.1倍となっている。つまり、測定面21aの領域の大きさが20mm×20mmである場合、撮像素子20の撮像面20a上における測定視野領域26の大きさは、2mm×2mmとなり、測定視野領域26内の投影光Lの像の長手方向の長さは、2mmとなる。対物レンズ81の測定面21aまでの焦点距離は、100mmとなっている。結像レンズ83の撮像面20aまでの焦点距離は、10mmとなっている。撮像素子20の撮像領域25の大きさは、10mm×10mmとなっている。撮像素子20の画素数は、1000画素×1000画素の100万画素となっている。このため、1画素の大きさは、10μm×10μmとなっている。撮像素子20は、上記したようにローリングシャッター方式となっており、1枚の画像28を露光する露光時間は、100msとなっている。
図12に示すように、形状測定装置1の制御装置4は、入力部32への操作者の操作を検出すると、ティーチングモードを選択する(ステップS1)。形状測定装置1は、ティーチングモードが選択されると、表示部33に、測定条件を設定するための画面を表示する。制御装置4は、画面を視認する操作者の操作が入力部32から入力されると、測定条件を設定する(ステップS3)。設定される測定条件としては、例えば、測定範囲、投影光Lが移動する方向における点群の間隔、投影光Lが移動する方向の速度、光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置、投影光Lの投影方向、撮像装置9の撮影方向、プローブ移動装置2の動作、保持回転装置7の動作、ガルバノスキャナ82の回動動作等である。なお、ステップS3において設定される測定条件では、ガルバノスキャナ82の回動動作について、ガルバノスキャナ82の回動動作を停止させる条件となっている。制御装置4は、設定された測定条件を、条件テーブル46として、記憶部31に記憶する。
測定条件の設定後、制御装置4は、測定条件に基づいて、投光装置8から投影光Lが投影された測定対象物Mを、撮像装置9により撮像し、画像28を取得する(ステップS5)。ステップS5では、ガルバノスキャナ82の回動動作を停止させたときの画像28を取得する。制御装置4の測定部39は、撮像装置9により撮像した投影光Lを含む測定対象物Mの像の画像28を取得すると、画像28の画像データに基づいて、点群を生成する(ステップS7)。ステップS7において、測定部39は、取得した画像28の投影光Lの像上における各画素の位置(座標値)を算出し、算出した画像28の投影光Lの像上における各画素の位置に基づいて、投影光Lの像の長手方向に沿う点群データを生成する。
制御装置4は、点群を生成すると、画像領域設定部34により、拡大画像領域に対応する拡大対象領域を設定する(ステップS9)。拡大対象領域の設定は、例えば、図13に示す画面60を用いて設定してもよい。図13は、拡大画像領域を設定する画面を示す図である。表示部33は、図13に示す拡大画像領域を設定するための画面60を表示する。画面60には、ティーチングモードにおいて生成された点群の点群データに基づく、測定対象物Mの一部の測定形状が表示されている。また、画面60に表示される測定対象物Mの一部の測定形状は、測定範囲74において測定された測定対象物Mの一部の測定形状となっている。拡大画像領域に対応する拡大対象領域75とその拡大倍率(拡大画像領域の拡大倍率)は、画面60に表示される測定対象物Mの測定範囲74に対して、入力部32からの入力に基づいて設定される。つまり、画面60に表示される測定対象物Mの一部の測定形状は、点群によって生成される形状となっていることから、拡大対象領域75は、点群に対して設定される。また、画面60では、設定された拡大対象領域75の点群に対して拡大倍率が設定される。制御装置4は、図13の画面60上において、拡大対象領域75が設定されることで、領域設定データ43を生成する。つまり、制御装置4は、点群に設定された拡大対象領域75の位置と、拡大対象領域75に対応する拡大画像領域と、拡大画像領域の拡大倍率とが対応付けられた、拡大対象領域75の位置の情報を生成する。また、制御装置4は、拡大対象領域75の位置の情報と、光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置の情報とを対応付けて、領域設定データ43を生成する。
なお、画像領域設定部34は、図13の画面60において、拡大対象領域75のみが設定されるようにしてもよい。この場合、設定された拡大対象領域75において設定可能な最大となる拡大倍率を自動で設定してもよい。また、画像領域設定部34は、図13の画面60において、拡大倍率のみが設定されるようにしてもよい。この場合、設定された拡大倍率において設定可能な最大となる拡大対象領域75を自動で設定してもよい。
図13の画面60上において拡大対象領域75が設定されると、画像領域設定部34は、点群に設定された拡大対象領域75の位置に基づいて、図14に示すように、撮像素子20により撮像される画像28の、投影光Lの像を含む測定画像領域27に対して、拡大対象領域75を設定する。ここで、図14は、画像上における拡大画像領域の設定に関する図である。制御装置4は、図13で点群に設定された拡大対象領域75を、図14の画像28において対応する画像領域に設定する。なお、制御装置4は、図14の画像28上において、拡大対象領域75が設定されることで、画像28に設定された拡大対象領域75の位置と、拡大対象領域75に対応する拡大画像領域と、拡大画像領域の拡大倍率とが対応付けられた画像領域の領域設定データ43を生成してもよい。
このように、制御装置4は、ステップS9において、表示部33の点群を視認する操作者の入力部32を介した操作により、点群に対して拡大したい領域(点群を密にしたい領域)と拡大倍率を設定する。すると、制御装置4は、撮像素子20により撮像される画像28に対して、投影光Lの像の長手方向における拡大対象領域75の位置を設定する。また、制御装置4は、拡大対象領域75を設定すると、画像28における拡大対象領域75以外の領域を縮小対象領域として設定する。そして、制御装置4は、画像において設定された拡大対象領域75及び縮小対象領域の位置を、画像領域の領域設定データ43として、記憶部31に記憶する。なお、画面60に表示された測定対象物Mの点群に対して、拡大対象領域75とその拡大倍率を設定しなくてもよく、ステップS7で点群データを生成するために取得した画像28を使用して拡大対象領域75とその拡大倍率を設定してもよい。この場合、例えば、ステップS7で取得した画像28を画面60に表示し、その画像28に対して、拡大対象領域75とその拡大倍率を入力部32を介して設定してもよい。
続いて、制御装置4は、設定された拡大画像領域及び縮小画像領域に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定する(ステップS11)。ステップS11において、制御装置4は、ステップS9において設定された領域設定データ43に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定している。つまり、制御装置4は、投影光Lの像の長手方向における拡大対象領域75の位置に対して、拡大対象領域75に対応付けられる拡大画像領域の拡大倍率に基づいて、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定している。また、制御装置4は、ガルバノスキャナ82の回動動作を設定すると、設定したガルバノスキャナ82の回動動作に関する情報を、回動動作情報44として生成し、記憶部31に記憶する。
図15から図19を参照し、ステップS11におけるガルバノスキャナ82の回動動作の設定について説明する。ここで、図15は、画像上において拡大画像領域が設定された投影光の像に関する一例の説明図である。図16は、投影光の像の各位置に関する一例の説明図である。図17は、投影光の像の各位置における座標を示す一例の図である。図18は、投影光の像の各位置におけるガルバノミラーの角度を示す一例の図である。図19は、ガルバノスキャナの回動動作を示す一例の図である。
図15に示すように、例えば、投影光Lの像の長手方向における長さが2mmであり、長手方向の中央の1mmの範囲における画像領域を5倍に拡大した場合について説明する。図15及び図16では、説明を簡単にするために、投影光Lの像を、長手方向に長い長方形の領域として模式化している。また、図15及び図16では、模式化された投影光Lの像を、長手方向に4分割している。さらに、説明のため、投影光Lの像の長手方向は、画像28のj方向と同じ方向となっている。
図15の(a)の図は、拡大対象領域75が設定されて拡大される前の測定画像領域27に含まれる投影光Lの像を示している。図16の(a)の図において、投影光Lの像は、長手方向の左側端部の位置をaとし、位置aに対して長手方向の右側の位置をbとし、長手方向の中央の位置をcとし、位置cに対して長手方向の右側の位置をdとし、長手方向の右側端部の位置をeとしている。投影光Lの像は、位置aから位置bまでの領域と、位置bから位置cまでの領域と、位置cから位置dまでの領域と、位置dから位置eまでの領域に、4分割され、4つの領域は、長手方向において同じ長さとなっている。ここで、投影光Lの像の長手方向における長さが2mmであることから、各領域の長手方向における長さは、0.5mmとなっている。
図15の(b)の図は、拡大対象領域75が設定されて拡大された後の測定画像領域27に含まれる投影光Lの像を示している。図16の(b)の図において、投影光Lの像は、長手方向の左側端部の位置をa’とし、位置a’に対して長手方向の右側の位置をb’とし、長手方向の中央の位置をc’とし、位置c’に対して長手方向の右側の位置をd’とし、長手方向の右側端部の位置をe’としている。投影光Lの像は、位置a’から位置b’までの領域と、位置b’から位置c’までの領域と、位置c’から位置d’までの領域と、位置d’から位置e’までの領域に、4分割され、長手方向の中央の2つの領域は、5倍に拡大された拡大画像領域78となっており、長手方向の両外側の2つの領域は、拡大されない1倍の領域となっている。ここで、投影光Lの像の長手方向における長さが2mmであることから、中央の2つの領域は、長手方向における長さが、それぞれ2.5mmとなっており、両外側の2つの領域は、長手方向における長さが、それぞれ0.5mmとなっている。
次に、上記の仕様における拡大画像領域78の拡大倍率について説明する。撮像素子20は、その大きさに限界があることから、拡大倍率についても上限が設定される。つまり、拡大倍率は、拡大された測定画像領域27に含まれる投影光Lの像が、撮像素子20で撮像される画像28に収まるように、上限が設定される。上記した仕様では、撮像素子20の大きさが10mm×10mmとなっていることから、拡大された投影光Lの像の長手方向における長さは10mm以下に設定される。例えば、図15に示すように、長手方向の中央の2つの領域を拡大画像領域78とする場合、拡大された投影光Lの像の長手方向における長さを10mm以下にするには、中央の2つの領域の拡大倍率は、9倍以下に設定される。なお、両外側の2つの領域を縮小する場合、中央の2つの領域の拡大倍率は、9倍以上にできるが、一方で、10倍よりも小さく設定される。
以上から、拡大対象領域75が拡大される前の投影光Lの像における長手方向の長さをLとする。撮像素子20の長手方向における長さをWとする。投影光Lの像の全体の領域に対して設定される拡大対象領域75の割合を、a%とする。拡大倍率の上限をbmaxとする。この場合、拡大画像領域78の拡大倍率上限bmaxは、下記する(1)式で表される。
bmax=W/(L×(a/100)) ・・・(1)
なお、両外側の2つの領域は、撮像素子20で撮像される画像28からはみ出してもよい。この場合、中央の2つの領域の拡大倍率は、10倍以下に設定される。
図17は、投影光の像のj方向における各位置の座標を示す一例の図である。図17の(a)を参照して、拡大対象領域75が設定されて拡大される前の投影光Lの像において、長手方向における位置a、位置b、位置c、位置d、位置eのj方向における座標について説明する。また、図17の(b)を参照して、拡大対象領域75が設定されて拡大された後の投影光Lの像において、長手方向における位置a’、位置b’、位置c’、位置d’、位置e’のj方向における座標について説明する。なお、図17において、位置cと位置c’とを基準位置(0点)としている。拡大前の投影光Lの像は、j方向における座標について、位置cを0とすると、位置aが−1.0mmとなり、位置bが−0.5mmとなり、位置dが0.5mmとなり、位置eが1.0mmとなる。また、拡大後の投影光Lの像は、j方向における座標について、位置c’を0とすると、位置aが−3.0mmとなり、位置bが−2.5mmとなり、位置dが2.5mmとなり、位置eが3.0mmとなる。
拡大前の投影光Lの像において位置aは、拡大後の投影光Lの像において位置a’となることから、j方向における移動量Δdは、−2.0mmとなる。また、拡大前の投影光Lの像において位置bは、拡大後の投影光Lの像において位置b’となることから、j方向における移動量Δdは、−2.0mmとなる。また、拡大前の投影光Lの像において位置cは、拡大後の投影光Lの像において位置c’となることから、j方向における移動量Δdは、0mm、すなわち同じ位置となる。また、拡大前の投影光Lの像において位置dは、拡大後の投影光Lの像において位置d’となることから、j方向における移動量Δdは、+2.0mmとなる。また、拡大前の投影光Lの像において位置eは、拡大後の投影光Lの像において位置e’となることから、j方向における移動量Δdは、+2.0mmとなる。
ここで、図8に示すように、結像レンズ83の焦点距離fとする。また、対物レンズ81と結像レンズ83とを結ぶ結像光学系21の光軸をAとする。また、ガルバノミラー86の反射面86aと、ガルバノミラー86と結像レンズ83とを結ぶ光軸Aとが為す角度を、ガルバノミラー角度θとする。この場合、移動量Δdは、下記する(2)式により表される。なお、(2)式では、位置cを基準位置としたときのガルバノミラー角度θを45°としている。
Δd=f×tan(45°−θ) ・・・(2)
図18は、投影光の像の各位置におけるガルバノミラーの角度を示す一例の図である。図18に示すように、(2)式により、位置a’におけるガルバノミラー角度θは、約56.3°となる。また、位置b’におけるガルバノミラー角度θは、約56.3°となる。また、位置c’におけるガルバノミラー角度θは、45°となる。また、位置d’におけるガルバノミラー角度θは、約33.7°となる。また、位置e’におけるガルバノミラー角度θは、約33.7°となる。
ここで、ガルバノスキャナ82は、撮像素子20のスキャン方向93への露光に対して、所定の回動動作となるようにガルバノミラー86を回動させている。拡大後の投影光Lの像における、位置a’から位置e’までの露光時間について説明する。
1枚の画像28の露光時間をt秒とする。撮像素子20の画素数をN個とする。1画素の大きさにつき、j方向における縦の長さをhとし、j方向における横の長さをwとする。この場合、撮像素子20上をj方向に進む露光速度vは、下記する(3)式で表される。
v=w×N/t ・・・(3)
上記したように、1枚の画像28を露光する露光時間tは、100ms、つまり0.1sとなっている。撮像素子20の画素数Nは、100万画素となっている。1画素の横の長さwは、10μmとなっている。このため、露光速度vは、105mm/sとなる。
ここで、位置a’を、基準時間(0秒)とすると、位置a’から位置b’までの距離が0.5mmであることから、位置a’から位置b’までの経過時間は、0.5mm×v−1となり、5×10−6s、つまり5μsとなる。また、位置a’から位置c’までの距離が3.0mmであることから、位置a’から位置c’までの経過時間は、30μsとなる。また、位置a’から位置d’までの距離が5.5mmであることから、位置a’から位置d’までの経過時間は、55μsとなる。また、位置a’から位置e’までの距離が6.0mmであることから、位置a’から位置e’までの経過時間は、60μsとなる。
以上から、ガルバノスキャナ82の回動動作は、図19に示す動作となる。図19は、ガルバノスキャナの回動動作を示す一例の図である。図19は、その横軸が経過時間となっており、その縦軸がガルバノミラー角度θとなっている。図19に示すように、経過時間が0秒となる点が、位置a’における点となっており、位置a’のガルバノミラー角度θは、約56.3°となっている。また、経過時間が5μsとなる点が、位置b’における点となっており、位置b’のガルバノミラー角度θは、約56.3°となっている。また、経過時間が30μsとなる点が、位置c’における点となっており、位置c’のガルバノミラー角度θは、45°となっている。また、経過時間が55μsとなる点が、位置d’における点となっており、位置d’のガルバノミラー角度θは、約33.7°となっている。また、経過時間が60μsとなる点が、位置e’における点となっており、位置e’のガルバノミラー角度θは、約33.7°となっている。
つまり、ガルバノスキャナ82は、位置a’において、ガルバノミラー86の反射面86aのガルバノミラー角度θを約56.3°としている。また、ガルバノスキャナ82は、5μs経過するまで、回動動作を停止し、ガルバノミラー角度θを約56.3°に維持する。5μs経過後、ガルバノスキャナ82は、30μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを約56.3°から45°となるように、ガルバノミラー86を第2回動方向92へ向けて回動させる。30μs経過後、ガルバノスキャナ82は、55μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを45°から約33.7°となるように、ガルバノミラー86を第2回動方向92へ向けて回動させる。55μs経過後、ガルバノスキャナ82は、60μs経過するまで、回動動作を停止し、ガルバノミラー角度θを約33.7°に維持する。
なお、図19に示すガルバノスキャナ82の回動動作は、撮像素子20のスキャン方向93における1行分の画素列に対する動作である。撮像素子20は、ローリングシャッター方式であるため、各行ごとに(各行ごとの露光に合わせて)、図19に示す回動動作を実行することで、図15の(b)の図に示す歪画像を生成する。また、図16から図18では、簡単な説明のために、位置a〜e、及び位置a’〜e’を用いて説明したが、実際には、位置a〜e、及び位置a’〜e’は撮像素子20の画素の位置となっている。
また、図19に示すガルバノスキャナ82の回動動作は、図16に示す拡大画像領域の設定を行った場合のガルバノスキャナ82の回動動作であり、この動作に限定されない。例えば、図20から図23に示すガルバノスキャナ82の回動動作としてもよい。図20は、投影光の像の各位置に関する一例の説明図である。図21は、投影光の像の各位置における座標を示す一例の図である。図22は、投影光の像の各位置におけるガルバノミラーの角度を示す一例の図である。図23は、ガルバノスキャナの回動動作を示す一例の図である。
例えば、図20の(a)に示すように、拡大対象領域75が設定されて拡大される前の投影光Lの像は、図15の(a)と同様に、4つの領域に分割され、投影光Lの像の長手方向における長さが2mmとなっている。図20の(b)に示すように、拡大対象領域75が設定されて拡大された後の投影光Lの像は、長手方向の中央の2つの領域が、1.5倍に拡大された領域となっており、長手方向の両外側の2つの領域が、0.5倍に縮小された領域となっている。この場合、図21の(a)に示すように、拡大前の投影光Lの像は、j方向における座標について、位置cを0とすると、位置aが−1.0mmとなり、位置bが−0.5mmとなり、位置dが0.5mmとなり、位置eが1.0mmとなる。また、図21の(b)に示すように、拡大後の投影光Lの像は、j方向における座標について、位置c’を0とすると、位置aが−1.0mmとなり、位置bが−0.75mmとなり、位置dが0.75mmとなり、位置eが1.0mmとなる。
拡大前の投影光Lの像において位置aは、拡大後の投影光Lの像において位置a’となることから、j方向における移動量Δdは、0mm、すなわち同じ位置となる。また、拡大前の投影光Lの像において位置bは、拡大後の投影光Lの像において位置b’となることから、j方向における移動量Δdは、−0.25mmとなる。また、拡大前の投影光Lの像において位置cは、拡大後の投影光Lの像において位置c’となることから、j方向における移動量Δdは、0mm、すなわち同じ位置となる。また、拡大前の投影光Lの像において位置dは、拡大後の投影光Lの像において位置d’となることから、j方向における移動量Δdは、+0.25mmとなる。また、拡大前の投影光Lの像において位置eは、拡大後の投影光Lの像において位置e’となることから、j方向における移動量Δdは、0mm、すなわち同じ位置となる。
図22に示すように、(2)式により、位置a’におけるガルバノミラー角度θは、45°となる。また、位置b’におけるガルバノミラー角度θは、約46.4°となる。また、位置c’におけるガルバノミラー角度θは、45°となる。また、位置d’におけるガルバノミラー角度θは、約43.6°となる。また、位置e’におけるガルバノミラー角度θは、45°となる。
ここで、位置a’を、基準時間(0秒)とすると、位置a’から位置b’までの距離が0.25mmであることから、位置a’から位置b’までの経過時間は、2.5μsとなる。また、位置a’から位置c’までの距離が1.0mmであることから、位置a’から位置c’までの経過時間は、10μsとなる。また、位置a’から位置d’までの距離が1.75mmであることから、位置a’から位置d’までの経過時間は、17.5μsとなる。また、位置a’から位置e’までの距離が2.0mmであることから、位置a’から位置e’までの経過時間は、20μsとなる。
以上から、ガルバノスキャナ82の回動動作は、図23に示す動作となる。図23は、その横軸が経過時間となっており、その縦軸がガルバノミラー角度θとなっている。図23に示すように、経過時間が0秒となる点が、位置a’における点となっており、位置a’のガルバノミラー角度θは、45°となっている。また、経過時間が2.5μsとなる点が、位置b’における点となっており、位置b’のガルバノミラー角度θは、約46.4°となっている。また、経過時間が10μsとなる点が、位置c’における点となっており、位置c’のガルバノミラー角度θは、45°となっている。また、経過時間が17.5μsとなる点が、位置d’における点となっており、位置d’のガルバノミラー角度θは、約43.6°となっている。また、経過時間が60μsとなる点が、位置e’における点となっており、位置e’のガルバノミラー角度θは、45°となっている。
つまり、ガルバノスキャナ82は、位置a’において、ガルバノミラー86の反射面86aのガルバノミラー角度θを45°としている。また、ガルバノスキャナ82は、2.5μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを45°から約46.4°となるように、ガルバノミラー86を第1回動方向91へ向けて回動させる。2.5μs経過後、ガルバノスキャナ82は、10μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを約46.4°から45°となるように、ガルバノミラー86を第2回動方向92へ向けて回動させる。10μs経過後、ガルバノスキャナ82は、17.5μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを45°から約43.6°となるように、ガルバノミラー86を第2回動方向92へ向けて回動させる。17.5μs経過後、ガルバノスキャナ82は、20μs経過するまで、ガルバノミラー角度θを約43.6°から45°となるように、ガルバノミラー86を第1回動方向91へ向けて回動させる。
図23に示すガルバノスキャナ82の回動動作は、ガルバノミラー角度θを、回動動作の始点と終点において同じ角度とすることができる。このため、撮像素子20のスキャン方向93に直交する方向において、複数行に亘ってガルバノスキャナ82の回動動作を繰り返し行う場合、ガルバノスキャナ82の回動動作は、連続して行うことができる。
ステップS11において、図19及び図23に示すようなガルバノミラー86の回動動作が設定されると、制御装置4は、ガルバノミラー86の回動動作に関する回動動作情報44を取得する。回動動作情報としては、図19及び図23に示すグラフに関する情報、図17及び図21に示す各位置に対応する移動量Δdに関する情報、j方向における画素の位置とガルバノミラー角度θとを対応付けた図18及び図22に示す情報等である。制御装置4は、図19及び図23に示すガルバノミラー86の回動動作に関する情報を、条件テーブル46の測定条件として、記憶部31に記憶する(ステップS13)。つまり、ステップS13で設定される測定条件は、点群に疎密をつけた測定条件となる。ステップS13の実行後、制御装置4は、ティーチングモードに関する処理を終了する。
なお、図12では、ステップS9において、表示部33に表示された図13の画面60を視認する操作者の操作に基づいて、制御装置4が、拡大対象領域75を設定したが、測定対象物Mそのものを視認する操作者の操作により、拡大対象領域75を設定してもよい。
また、制御装置4は、緒元データ49に含まれる測定対象物Mの設計データに基づいて、拡大対象領域75を設定してもよい。つまり、測定対象物Mの設計データには、測定対象物Mの所定の領域に、拡大対象領域75が対応付けられた情報が含まれている。画像領域設定部34は、測定対象物Mの設計データを取得し、設計データに含まれる測定対象物Mの所定の領域と拡大対象領域75が対応付けられた情報に基づいて、撮像素子20により撮像される画像28に、拡大画像領域78に対応する拡大対象領域75を設定してもよい。
また、制御装置4は、緒元データ49に含まれる測定対象物MのCADデータに基づいて、拡大対象領域75を設定してもよい。つまり、測定対象物MのCADデータには、測定対象物Mの外形形状に関する情報が含まれている。画像領域設定部34は、外形形状の変化量が予め設定されたしきい値よりも大きい場合、つまり、外形形状の変化が急となる場合、点群の密度が高くなるように、拡大画像領域78に対応する拡大対象領域75を設定する。なお、画像領域設定部34は、外形形状の変化量が予め設定されたしきい値以下となる場合、つまり、外形形状の変化が緩やかな場合、点群の密度が低くなるように、縮小画像領域に対応する縮小対象領域を設定してもよい。
さらに、図12では、撮像素子20により撮像される画像28に、拡大対象領域75を設定したが、画像28の画像領域の全域に亘って同じ拡大倍率となる拡大画像領域78となるように、拡大対象領域75を設定してもよい。また、図12におけるステップS5からステップS13までの工程はティーチングの際に(ティーチングモードで)行わなくてもよく、測定対象物Mの実際の測定時(本測定時)に行ってもよい。
次に、図24を参照して、形状測定装置1により実行される測定対象物Mの形状測定方法に関する処理について説明する。図24は、第1実施形態の形状測定装置の計測動作を示すフローチャートである。形状測定装置1の制御装置4は、形状測定プログラム48を実行し、図12のティーチングモードで設定した条件テーブル46の測定条件に基づいて、投影光Lが投影された測定対象物Mの像を撮像装置9により撮像する。撮像装置9は、投影光Lを含む測定対象物Mの像を撮像して、歪画像の画像データを生成する。制御装置4は、撮像装置9で生成された歪画像の画像データを測定部39において取得する(ステップS21)。ステップS21では、撮像装置9の撮像により取得される画像が、ティーチングモードで設定した拡大画像領域78が含まれる歪画像となるように、制御装置4は、ガルバノスキャナ82を制御する。つまり、制御装置4は、図19または図23に示すような回動動作となるように、回動動作情報44に基づいて、ガルバノスキャナ82を制御する。そして、ステップS21において、撮像素子20は、取得した歪画像の画像データを、測定部39へ出力する。
続いて、測定部39は、取得した歪画像の画像データに基づいて、歪画像に与えられた歪みの量を考慮して、点群の点群データを生成することにより、測定対象物Mの形状を測定する(ステップS23)。ステップS23では、具体的に、測定部39は、歪画像の画像データから、i方向の画素列における投影光Lの像のピーク検出位置を、1点取得する。ピーク検出位置とは、i方向の画素列における重心位置である。ピーク検出位置は、i方向の画素列における各画素の明るさの画素値を用いて算出される。また、測定部39は、歪画像の画像データから、i方向のピーク検出位置を、j方向に亘って取得する。ピーク検出位置Piは、ij直交座標系となり、Pi=(ip,jp)で表される。
ここで、図11に示すように、ガルバノミラー86が初期位置の状態である場合、つまり、ガルバノミラー角度θが45°となっており、撮像素子20の撮像領域25の中央に測定視野領域26aが位置する場合、センサ原点Ibのij直交座標系における座標は、Ib=(ib,jb)となっている。一方で、ガルバノミラー86が初期位置から回動することによって、撮像素子20の撮像領域25に対して、測定視野領域26がj方向に移動量Δd分だけ移動して、測定視野領域26bまたは測定視野領域26cとなる。この場合、センサ原点Ibも、j方向に移動量Δd分だけ移動する。このため、センサ原点Ibのij直交座標系における座標は、下記する(4)式となる。
Ib=(ib,jb−Δd)=(ib,jb−f×tan(45°−θ))
・・・(4)
続いて、測定部39は、ij直交座標系となるピーク検出位置Piを、(4)式に示すセンサ原点Ibを用いて、XYZ直交座標系に変換する。ここで、XYZ直交座標系における位置検出部11及び位置検出部73から取得される光学プローブ3と測定対象物Mとの相対位置を、pbとする。また、撮像素子20のXYZ直交座標系における姿勢を示す回転行列をRposとする。XYZ直交座標系となるピーク検出位置を、piとする。XYZ直交座標系となるピーク検出位置piが、点群の位置となる。また、画素の大きさをk(mm/pixel)とする。XYZ直交座標系となるピーク検出位置piは、下記する(5)式で与えられる。なお、Tは、転置行列を示す。
pi=kRpos[0,ip−ib,jp−(jb−Δd)]T+pb
・・・(5)
ここで、移動量Δdは、ij直交座標系となるj方向のピーク検出位置jpに対応付けられている。つまり、画像28のj方向における画素の位置において露光したときの、測定視野領域26の移動量Δdは既知となっている。換言すれば、画像28のj方向における画素の位置において露光したときの、ガルバノミラー角度θは、図18に示すように、既知となっている。このため、(5)式において、移動量Δdには、j方向のピーク検出位置jpに対応付けられた移動量Δdが与えられる。図18を用いて説明すると、一例として、位置a’における画素の位置jpに対応するガルバノミラー角度θとして、56.5°が与えられることで、(5)式から、XYZ直交座標系となるピーク検出位置pi、すなわち、XYZ直交座標系の点群の位置が算出される。そして、ステップS23において生成された点群は、図10の(d)に示すような密度が異なる補正された点群として生成される。つまり、測定部39は、図18に示す回動動作情報44を用いて、(5)式から、XYZ直交座標系の点群の位置を算出する。
そして、ステップS23において、制御装置4の測定部39は、点群の点群データを生成することにより、測定対象物Mの外形形状を測定する。ステップS25の実行後、制御装置4は、測定対象物Mの形状測定に関する処理を終了する。
以上のように、第1実施形態によれば、撮像装置9により撮像される画像28において、投影光Lの像の長手方向に沿って生成される点群を、拡大画像領域78において密とすることができる。このため、点群が密となる測定対象物Mの部位の形状を精度良く測定することができる。つまり、測定対象物Mにおいて、高い測定精度を必要とする部位に対して、従来は、投影光Lの像の長手方向における点群同士の間隔が等間隔となるように設定されたが、第1実施形態では、投影光Lの像の長手方向における点群同士の間隔が従来に比して密となるように拡大画像領域78に対応する拡大対象領域75を設定することができる。このため、測定対象物Mの所定の部位における測定精度を高めることができる。
また、従来は、測定対象物Mの形状を精度良く測定すべく、撮像素子20の画素の密度よりも点群の密度を高めるために、測定対象物Mの測定範囲74における少なくとも一部の領域について重複して複数枚の画像28を取得する必要があった。つまり、ある領域の1枚の画像28において得られる等間隔となる点群の点同士の間を、同様の領域を撮像した他の画像28において得られる等間隔となる点群の点により補間することで、点群の密度を高めることができる。従来の場合、以上のように複数枚の画像28を取得することから、測定対象物Mの形状の測定時間が長くなってしまう。これに対し、第1実施形態では、1枚の画像28において、測定対象物Mにおいて、高い測定精度を必要とする部位に対して、点群の密度を高めることができる。このため、1枚の画像28を取得すればよいため、測定時間が長くなることを抑制することができる。
また、第1実施形態によれば、応答性が高く、高精度に駆動可能なガルバノスキャナ82を用いると共に、ローリングシャッター方式の撮像素子20を用いることができる。このため、撮像素子20の撮像面20aにおけるスキャン方向の各画素の露光に合わせて、ガルバノスキャナ82による測定対象物Mの像を移動させることができる。
また、第1実施形態によれば、制御装置4の測定部39において、撮像装置9により撮像した歪画像の画像データから、回動動作情報44を用いて、密度が異なる点群の点群データを生成することができる。
また、第1実施形態によれば、図13に示す画面60を用いて、画像領域設定部34により、測定精度を必要とする測定対象物Mの部位に対して、拡大画像領域78に対応する拡大対象領域75を設定することができる。そして、設定した拡大対象領域75において、点群の密度を高くすることができる。このため、操作者による点群の密度の設定に関する操作性を高めることができる。
なお、第1実施形態では、ガルバノミラー86を回動動作させることで、撮像素子20の撮像面20aで受光される測定対象物Mの像を、スキャン方向に移動させたが、ガルバノミラー86を含むガルバノスキャナ82を省いた構成であってもよい。この場合、撮像素子20をスキャン方向93に移動させる移動機構を設け、この移動機構により撮像素子20の撮像面20aをスキャン方向93に移動させる。
また、第1実施形態では、長手方向に長いライン状の投影光Lとしたが、ライン状に特に限定されず、他の既存の強度分布となる投影光としてもよい。一例として、投光装置8が測定対象物Mに投影する投影光の強度分布は、縞状の強度分布(複数のライン状の強度分布)であってもいいし、ドット状の強度分布であってもいい。これらの強度分布の投影光を投影する投光装置の構成については既存の構成を適用できる。
また、第1実施形態では、測定部39が、撮影した画像の各画素のij直交座標系の座標値を算出し、算出した各画素の座標値に基づいて、XYZ直交座標系の点群の座標値を算出して測定対象物Mを形状測定したが、算出した点群に基づいて測定対象物Mをポリゴン表示としてもよい。
[第2実施形態]
次に、図25から図27を参照して、第2実施形態について説明する。図25は、第2実施形態の形状測定装置の計測動作を示す説明図である。図26は、補正された歪画像を示す図である。図27は、第2実施形態の形状測定装置の計測動作を示すフローチャートである。なお、第2実施形態では、重複した記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
第1実施形態において、測定部39は、取得した歪画像の画像データから、移動量Δdを考慮して、点群の点群データを生成することで、密度が異なる点群の点群データを生成した。これに対し、第2実施形態において、制御装置4は、歪画像の画像データを、移動量Δdを考慮して補正し、補正した歪画像の画像データから点群の点群データを生成している。なお、第2実施形態の撮像装置9では、第1実施形態と同様に、画像28に含まれる測定対象物Mの像(画像)に歪みが与えられるように歪画像の画像データを生成している。つまり、第2実施形態の撮像装置9では、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成する場合、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像に歪みを与えずに、撮像面20a上において測定対象物Mの像を移動させることで、撮像時に測定対象物Mの像(画像)に歪みを与えている。
また、測定部39は、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データと、与えられた歪みの量とに基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成している。具体的に、測定部39は、与えられた歪みの量に基づいて、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データを補正し、補正した歪画像の画像データから、点群の密度が異なる点群データを生成している。ここで、上記したように、歪みは、拡大及び縮小の少なくともどちらか一方であることから、歪みの量は、拡大倍率(拡大される所定の倍率)及び縮小倍率(縮小される所定の倍率)の少なくともどちらか一方となっている。そして、第2実施形態では、歪画像の画像データを補正する際に、拡大倍率及び縮小倍率に基づく補正を行っているため、拡大倍率及び縮小倍率に基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成している。
第2実施形態では、測定部39は、取得した歪画像の画像データを、ピーク検出位置Piを導出する前に、歪画像の画像データに対して補正処理を行って、補正画像データを生成する。
図25を参照して、投影光Lが投影される測定対象物M(図25の(a))と、撮像装置9により撮像された歪画像(図25の(b))と、測定部39により補正された歪画像(図25の(c))と、補正された歪画像の画像データから生成される点群(図25の(d))とについて説明する。なお、投影光Lが投影される測定対象物Mと、撮像装置9により撮像された歪画像とについては、図11に示すものと同様であるため、説明を省略する。
図25の(c)に示すように、測定部39により補正された歪画像において、投影光Lの像の長手方向における中央部の拡大画像領域は、図25の(b)の歪画像と同じ拡大倍率となる画像となっている。一方で、補正された歪画像において、投影光Lの像の長手方向における外側の縮小画像領域は、補正により拡大される。つまり、縮小画像領域は、拡大画像領域と同じ拡大倍率となるように拡大される。このため、歪画像の画像サイズは、補正によりj方向に引き延ばされる。よって、補正された歪画像の画像サイズは、補正前の歪画像の画像サイズに比して大きな画像となる。
ここで、図26に示すように、歪画像の画像サイズは、補正によりj方向に引き延ばす場合、縮小画像領域79が、拡大画像領域78と同じ拡大倍率となるように拡大される。図26の(a)に示すように、補正される前の歪画像の測定画像領域27において、投影光Lの像は、長手方向において4つの領域に分割されている。投影光Lの像は、図15の(b)及び図1の(b)と同様に、長手方向の中央の2つの領域が、拡大画像領域78となっており、5倍に拡大された領域となっている。投影光Lの像は、長手方向の両外側の2つの領域が、拡大されない1倍の縮小画像領域79となっている。なお、図26では、説明のために、j方向における画素列を、拡大倍率に応じた列数としている。図26の(a)に示すように、拡大画像領域78のi方向の画素列L1は、j方向に5列となり、縮小画像領域76のi方向の画素列L2は、j方向に1列となる。
図26の(b)の図は、補正された歪画像である補正画像を示している。補正された後の歪画像の測定画像領域27において、縮小画像領域79を拡大画像領域78と同じ拡大倍率とする場合、縮小画像領域79には、i方向の画素列L3を4列挿入することで、j方向に5列とする。このとき、縮小画像領域79には、縮小画像領域79のi方向の画素列L2がj方向において中央に位置するように、画素列L2の両側にバッファとなるi方向の画素列L3を2列ずつ挿入する。バッファとなるi方向の画素列L3は、点群を生成しない画素列となっている。
測定部39は、図26の(b)に示すように、歪画像を補正した補正画像の補正画像データを生成する。補正画像データは、歪画像を補正した補正画像の画像データである。補正画像の補正画像データは、画像28の各画素における輝度値と、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値とを含むデータとなる。このとき、図26に示すように、歪画像は、補正によりj方向に引き延ばされることから、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値は、各画素のj方向における密度が異なる座標値となっている。そして、測定部39は、補正画像データに基づいて、点群の点群データを生成する。このとき、測定部39は、補正画像データを用いることから、移動量Δdを考慮する必要がない。つまり、移動量Δdを考慮した点群を求める式としては、第1実施形態に記載した(5)式であるが、(5)式に含まれる移動量Δdを省くことで、移動量Δdを考慮しない点群を求める、下記する(6)式となる。
pi=kRpos[0,ip−ib,jp−jb)]T+pb ・・・(6)
図26の(b)に示すように、歪画像の縮小画像領域79に対応する、補正された歪画像の画素の密度は、補正により低くなる。このため、縮小画像領域において、補正された歪画像上の複数の画素同士の間隔は、投影光Lの像の長手方向(j方向)において長くなる。また、歪画像の拡大画像領域78に対応する、補正された歪画像の画素の密度は、縮小画像領域79に対して相対的に高くなる。このため、拡大画像領域78において、補正された歪画像上の複数の画素同士の間隔は、縮小画像領域79に比して、投影光Lの像の長手方向(j方向)において短くなる。そして、図25の(d)に示すように、補正された歪画像の画像データに基づいて生成される点群は、第1実施形態の図10の(d)と同様に、歪画像の拡大画像領域78に対応する点群が密となり、歪画像の縮小画像領域79に対応する点群が疎となる。このため、補正された歪画像から生成される点群は、投影光Lの像の長手方向において、密度が異なるものとなる。
次に、図27を参照して、形状測定装置1により実行される測定対象物Mの形状測定方法に関する処理について説明する。形状測定装置1の制御装置4は、形状測定プログラム48を実行し、ティーチングモードで設定した条件テーブル46の測定条件に基づいて、投影光Lが投影された測定対象物Mの像を撮像装置9により撮像する。撮像装置9は、投影光Lを含む測定対象物Mの像を撮像して、歪画像の画像データを生成する。制御装置4は、撮像装置9で生成された歪画像の画像データを測定部39において取得する(ステップS31)。
続いて、測定部39は、取得した歪画像の画像データを、図26のように補正し、補正した歪画像の画像データを取得する(ステップS33)。ステップS33において、補正した歪画像の画像データは、補正前の歪画像の各画素の位置が補正されたものとなっている。そして、制御装置4は、補正した歪画像の画像データに基づいて、点群の点群データを生成することにより、測定対象物Mの形状を測定する(ステップS35)。ステップS35において、制御装置4の測定部39は、(6)式を用いて、点群の点群データを生成することにより、測定対象物Mの外形形状を測定する。ステップS35の実行後、制御装置4は、測定対象物Mの形状測定に関する処理を終了する。
以上のように、第2実施形態においても、撮像装置9により撮像される画像28において、投影光Lの像の長手方向に沿って生成される点群を、拡大画像領域78において密とすることができる。このため、点群が密となる測定対象物Mの部位の形状を精度良く測定することができる。
また、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、1枚の画像28において、測定対象物Mにおいて、高い測定精度を必要とする部位に対して、点群の密度を高めることができる。このため、1枚の画像28を取得すればよいため、測定時間が長くなることを抑制することができる。
また、第2実施形態によれば、制御装置4の測定部39において、撮像装置9により撮像した歪画像を補正し、補正した歪画像の補正画像データから点群の点群データを生成することができる。このため、測定部39は、移動量Δdを考慮することなく、点群の点群データを生成することができるため、点群の生成に関する処理を変更することなく実行することが可能となる。
[第3実施形態]
図28は、第3実施形態の形状測定装置を含むインラインシステムの構成を示す図である。第1実施形態では、測定対象物Mを、形状測定装置1のテーブル71に設置して、回転駆動部72によりテーブル71を回転させたが、第3実施形態では、形状測定装置101に隣接する一方側の搬送装置206にテーブル71を設け、一方側の搬送装置206のテーブル71を回転させて、形状測定装置101により測定対象物Mの形状を測定している。
図28に示すように、一方側の搬送装置206は、第1実施形態と同様に、例えば、多軸マニピュレータが適用されており、その先端に保持回転装置7が設けられている。保持回転装置7は、第1実施形態と同様の構成となっており、測定対象物Mを保持するテーブル71と、テーブル71を回転方向、つまり矢印102の方向に回転させる回転駆動部72と、テーブル71の回転方向の位置を検出する位置検出部73と、を有する。なお、第2実施形態では、搬送装置206に保持回転装置7が設けられていることから、第2実施形態の形状測定装置101は、保持回転装置7を省いた構成となっている。このため、形状測定装置101は、プローブ移動装置2により光学プローブ3の位置を移動させると共に、搬送装置206は、保持回転装置7により測定対象物Mの位置を矢印102の方向に回転させる。
ここで、一方側の搬送装置206を用いた形状測定装置101による形状測定について説明する。一方側の搬送装置206は、保持回転装置7のテーブル71に測定対象物Mが設置された状態で、前工程から形状測定装置101に測定対象物Mを搬入する。一方側の搬送装置206は、測定対象物Mの形状測定装置101への搬入時において、一方側の搬送装置206の保持回転装置7と、形状測定装置1とが予め規定された所定の位置関係となるように搬入される。所定の位置関係は、例えば、第1実施形態のベースB上に配置されたプローブ移動装置2と保持回転装置7との位置関係である。形状測定装置101と保持回転装置7とが所定の位置関係となると、形状測定装置101は、測定対象物Mの形状測定を実行する。形状測定装置101は、プローブ移動装置2により移動する光学プローブ3の位置を位置検出部11により取得し、また、一方側の搬送装置206の保持回転装置7により回転する測定対象物Mの位置を位置検出部73により取得して、光学プローブ3と測定対象物Mの相対位置を取得する。また、投光装置8から投影光Lを測定対象物Mに投影し、撮像装置9により測定対象物Mの像を撮像して画像データを生成する。そして、形状測定装置1は、相対位置と、相対位置において取得した画像データとに基づいて、測定対象物Mの形状を測定する。形状測定装置1による形状測定後、他方側の搬送装置206は、一方側の搬送装置206の保持回転装置7に設置された測定対象物Mを、形状測定装置1から搬出し、搬出した測定対象物Mを後工程に搬送する。
以上のように、第3実施形態によれば、一方側の搬送装置206から形状測定装置101へ測定対象物Mを搬入するときに、測定対象物Mの形状測定装置101への設置作業を省いて、測定対象物Mの形状測定を行うことができるため、形状測定に係るタクトタイムを短くすることができ、作業効率の向上を図ることができる。なお、第2実施形態においても、プローブ移動装置2のXYZ移動機構及びθ移動機構を省いた構成であってもよいし、各移動機構の一部を省いた構成であってもよい。また、保持回転装置7の回転駆動部72を省いた構成であってもよい。
[第4実施形態]
図29は、第4実施形態の形状測定装置を含むインラインシステムの構成を示す図である。第1実施形態では、測定対象物Mを、形状測定装置1のテーブル71に設置して、回転駆動部72によりテーブル71を回転させたが、第3実施形態では、無端の搬送ベルト223に測定対象物Mを載置し、無端の搬送ベルト223の上方側に設けた光学プローブ3を回転させて、形状測定装置110により測定対象物Mの形状を測定している。
図29に示すように、構造物製造システム200は、搬送装置220と、搬送装置220の鉛直方向の上方側に設けられる形状測定装置110とを含んでいる。搬送装置220は、駆動ローラ221と従動ローラ222とからなる一対の搬送ローラ221,222と、一対の搬送ローラ221,222に架け渡される無端の搬送ベルト223と、を有している。搬送装置220は、一対の搬送ローラ221,222により搬送ベルト223を周回させることで、搬送ベルト223上に載置された測定対象物Mを搬送方向に搬送している。また、搬送装置220は、形状測定装置110の下方側の位置において測定対象物Mの搬送を停止させ、この状態において、形状測定装置110による形状測定を行った後、形状測定後の測定対象物Mを後工程に搬送する。
第4実施形態の形状測定装置110は、プローブ移動装置2が、光学プローブ3をθ方向、つまり矢印112の方向に回転させるθ回転部113と、θ回転部113の回転方向の位置を検出する図示しない位置検出部と、をさらに有している。位置検出部は、θ回転部113の回転軸の回転を検出するエンコーダ装置である。プローブ移動装置2は、位置検出部で検出した結果に基づいて、θ回転部113によって光学プローブ3を回転させる。なお、第3実施形態では、プローブ移動装置2にθ回転部113が設けられていることから、第3実施形態の形状測定装置110は、保持回転装置7を省いた構成となっている。また、プローブ移動装置2に設けられるθ回転部113は、第1実施形態の回転駆動部72と同様の構成であるため、説明を省略する。
以上のように、第4実施形態によれば、搬送装置220の搬送ベルト223上に測定対象物Mを載置した状態で、測定対象物Mの搬送と形状計測とを行うことができるため、形状測定に係るタクトタイムを短くすることができ、作業効率の向上を図ることができる。
[第5実施形態]
図30は、第5実施形態の形状測定装置の結像光学系を示す模式図である。第5実施形態の撮像装置9は、投影光Lの像を含む測定対象物Mの像に対して歪んだ歪画像の画像データを生成するために、第1実施形態の結像光学系21に代えて、結像光学系121を魚眼レンズとしている。魚眼レンズは、比較的歪曲収差の大きいレンズである。
ここで、第5実施形態の撮像装置9では、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像に歪みを与えて歪画像の画像データを生成している。具体的に、第5実施形態の撮像装置9では、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成する場合、撮像面20a上に結像された測定対象物Mの像に対して、魚眼レンズにより歪みを与え、歪みが与えられた測定対象物Mの像が撮像面20a上に結像されることで、測定対象物Mの像に歪みが与えられた歪画像の画像データを生成している。
また、測定部39は、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データと、与えられた歪みの量とに基づいて、点群の密度が異なる点群データを生成している。具体的に、測定部39は、与えられた歪みの量に基づいて、測定対象物Mを含む像に歪みが与えられた歪画像の画像データを補正し、補正した歪画像の画像データから、点群の密度が異なる点群データを生成している。ここで、上記したように、歪みは、拡大及び縮小の少なくともどちらか一方であることから、歪みの量は、拡大倍率(拡大される所定の倍率)及び縮小倍率(縮小される所定の倍率)の少なくともどちらか一方となっている。そして、第5実施形態では、測定対象物Mを含む像に対して魚眼レンズにより歪みを与えており、歪画像の画像データを補正する際に、魚眼レンズによって与えた歪みの量に基づく補正を行って、補正した歪画像の画像データから、点群の密度が異なる点群データを生成している。
図30に示すように、撮像装置9の結像光学系121は、魚眼レンズ125を含み、魚眼レンズ125は、メニスカスレンズ及び非球面レンズ等を含む複数のレンズ126からなるレンズ群で構成されている。なお、魚眼レンズ125は、メニスカスレンズ及び非球面レンズの複数のレンズで構成されていなくてもよく、既存の他の複数のレンズで構成されていてもいいし、既存の単数のレンズであってもいい。
魚眼レンズ125は、投影光Lの像を含む測定対象物Mの像を歪ませて、撮像素子20の撮像面20aに、歪ませた測定対象物Mの像を結像する。魚眼レンズ125は、撮像素子20の撮像面20aに投影される測定対象物Mの像を、投影光Lの長手方向に拡大または縮小する、所定の歪曲収差となるレンズとなっている。また、魚眼レンズ125は、光軸を中心点として点対称となる歪曲収差となっている。魚眼レンズ125は、例えば、撮像素子20に撮像される画像の中央部が拡大し、画像の外側が縮小する、たる型の歪曲収差を有するレンズとなっている。つまり、魚眼レンズ125は、歪んだ画像の歪み量、換言すれば、歪んだ画像における所定の画像領域の拡大倍率、または補正された画像における点群の疎密の種類に応じて複数用意されている。複数の魚眼レンズ125は、例えば、歪曲収差の異なる第1の魚眼レンズと第2の魚眼レンズとを含んでいる。そして、複数の魚眼レンズ125の中から、所定の魚眼レンズ125を撮像装置9に取り付けたり、付け替えたりすることで、所定の疎密となる点群とすることが可能となる。
この魚眼レンズ125は、画像領域設定部34により設定される拡大対象領域75に基づいて、複数の魚眼レンズ125の中から、拡大対象領域75に対応する所定の魚眼レンズ125に交換するレンズ交換部によって交換されてもよい。レンズ交換部は、魚眼レンズ125を選択的に付け替える機構となっており、例えば、上記の第1の魚眼レンズを第2の魚眼レンズへ交換している。ここで、結像光学系121の光軸をAとすると、複数の魚眼レンズ125のうち、1つの魚眼レンズ125が光軸A上に配置される。レンズ交換部は、第1の魚眼レンズを第2の魚眼レンズへ交換する場合、光軸A上に配置された第1の魚眼レンズを光軸A上から取り外し、第2の魚眼レンズを光軸A上に配置することで、魚眼レンズ125を交換する。レンズ交換部は、制御装置4に接続されている。レンズ交換部は、制御装置4の画像領域設定部34により設定される拡大対象領域75に基づいて、所定の魚眼レンズ125に交換する。
魚眼レンズ125を用いたときの形状測定装置1による測定対象物Mの形状の測定について説明する。画像領域設定部34により、撮像素子20で撮像される画像28に対して、拡大対象領域75が設定されると、制御装置4は、設定された拡大対象領域75に対応する拡大画像領域78の拡大倍率に基づいて、魚眼レンズ125を選定し、選定した魚眼レンズ125をレンズ交換部によって撮像装置9に取り付ける。この後、制御装置4の測定部39は、撮像装置9により測定対象物Mを撮像して、歪画像の画像データを取得する。
魚眼レンズ125を用いて結像された測定対象物Mの像を含む歪画像の画像データは、画像28上の測定対象物Mの像の少なくとも一部が拡大された画像の画像データとなる。また、歪画像の画像データは、画像28の各画素における輝度値と、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値とを含むデータとなる。
続いて、測定部39は、取得した歪画像の画像データから、撮像装置9の魚眼レンズ125の歪曲収差に基づいて、歪画像を補正する。歪画像を補正した補正画像の画像データは、画像28の各画素における輝度値と、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値とを含むデータとなる。補正された歪画像は、魚眼レンズ125の歪曲収差に基づいて補正されることから、各画素におけるij直交座標系(2次元座標系)の座標値は、各画素のj方向における密度が異なる座標値となっている。測定部39は、補正した歪画像の補正画像データから点群の点群データを生成する。具体的に、測定部39は、撮像装置9の魚眼レンズ125の歪曲収差が予め既知なっていることから、撮像装置9の魚眼レンズ125の歪曲収差から、測定対象物Mの像の拡大倍率が既知となっている。測定部39は、歪みの量となる拡大倍率に基づいて、測定対象物Mの像とほぼ相似になるように(歪みのない画像となるように)、歪画像の画像データを補正する。測定部39は、歪画像の画像データを補正し、補正した歪画像の補正画像データから、点群の点群データを生成する。そして、測定部39は、生成した点群データに基づいて、測定部39により測定対象物Mの外形形状を測定する。
以上のように、第4実施形態によれば、ガルバノスキャナ82を含む結像光学系21に比して、魚眼レンズ125を用いた結像光学系121とすることで、結像光学系121を簡易な構成とすることができる。また、歪んだ画像の歪曲収差を変更する場合、魚眼レンズ125を付け替えることで、簡単に歪曲収差を変更することができる。なお、魚眼レンズ125に代えて、投影光Lの像を含む測定対象物Mの像に歪みを与える他の既存の光学部材を適用してもよい。例えば、自由な歪曲収差にできる自由曲面レンズを適用してもよい。
[第6実施形態]
図31は、第6実施形態の形状測定装置を含むシステムの一部の構成を示す図である。図32は、第6実施形態の形状測定装置の計測動作を示す説明図である。第5実施形態の形状測定装置130は、第1実施形態の構成に加えて、テーブル71の回転軸Axに対して、テーブル71を傾斜させる傾斜部131をさらに備えたものとなっている。
ところで、図32に示すように、測定対象物Mには、切削加工等により長手方向に延在するひき目が形成される場合がある。測定対象物Mは、保持回転装置7により回転しつつ、ライン状の投影光Lが投影されることから、ひき目の長手方向とライン状の投影光Lの長手方向が揃って、ひき目と投影光Lとが重なる場合がある。この場合、投影光Lは、ひき目によって散乱し、ひき目と投影光とが重ならない場合に比べて、結像光学系21に入射する回折光の光量が増大する。回折光の光量が増大すると、撮像素子20の撮像面20aにおける投影光Lの像が不適切な像となることから、測定対象物Mの形状測定の精度が低下する可能性がある。ここで、形状測定装置130は、例えば、調光領域設定部37により設定された調光領域における光量を測定している。
このため、第6実施形態の形状測定装置130は、図31に示すように、保持回転装置7のテーブルの回転軸Axに傾斜部131が設けられている。傾斜部131は、回転軸Axに直交する回動軸Ax1を中心に、テーブル71を傾斜させる。また、保持回転装置7には、傾斜部131の回動方向の位置を検出する図示しない回動位置検出部が設けられている。保持回転装置7は、回動位置検出部で検出した結果に基づいて、傾斜部131によってテーブル71を回動させる。保持回転装置7とプローブ移動装置2により、光学プローブ3から投光されるライン状の投影光Lは、テーブル71を傾斜させることにより、測定対象物Mの任意の測定範囲の向きを変えて投影することができる。
形状測定装置130は、円周方向に所定の間隔で歯が形成された図9に示す測定対象物Maの形状を測定する場合、測定対象物Maを円周方向に回転させながら、測定対象物Maの歯の形状を順番に測定することで、測定対象物Maの形状を測定している。このとき、形状測定装置130は、測定対象物Maの形状を測定する前に、傾斜部131による回転軸Axの傾斜をさせずに、すなわち、テーブル71の回転軸AxをZ軸方向に真っ直ぐにした状態で、測定対象物Maを円周方向に一周分回転させる(図32の一周目)。すると、図32に示すように、形状測定装置1は、テーブル71の回転方向の所定の位置において、結像光学系21に入射する回折光の光量が増大する。形状測定装置130は、位置検出部73により回折光の光量が増大した所定の位置を検出し、検出した所定の位置を取得する。なお、測定対象物Maは、円周方向に所定の間隔で歯が形成された物体に限らず、形状を測定する対象となるいずれの物体であってもよい。
この後、形状測定装置130は、測定対象物Maを円周方向にさらに一周分回転させて、測定対象物Maの形状を測定する(図32の二周目)。このとき、形状測定装置130は、取得したテーブル71の回転方向における所定の位置において、傾斜部131による回転軸Axの傾斜を実行する。すると、形状測定装置130は、テーブル71を傾斜させることで、測定対象物Mの任意の測定範囲の向きを変える。これにより、形状測定装置130は、光学プローブ3から投光されるライン状の投影光Lの長手方向とひき目の長手方向とが揃った状態でひき目と投影光Lとが重ならないようにし、結像光学系21に入射する回折光の光量を低減させる。
以上のように、第6実施形態によれば、ひき目と投影光とが重なることによる測定対象物Mの形状測定の精度低下を抑制することができる。
上記した実施形態の形状測定装置1(101,110,130)は、1台の装置で処理を行ったが複数組み合わせてもよい。図33は、形状測定装置を有するシステムの構成を示す模式図である。次に、図33を用いて、形状測定装置を有する形状測定システム300について説明する。形状測定システム300は、形状測定装置1と、複数台(図では2台)の形状測定装置1aと、プログラム作成装置302とを、有する。形状測定装置1、1a、プログラム作成装置302は、有線または無線の通信回線で接続されている。形状測定装置1aは、第1実施形態の結像光学系21のガルバノスキャナ82を備えていない以外は、形状測定装置1と同様の構成である。プログラム作成装置302は、上述した形状測定装置1の制御装置4で作成する種々の設定やプログラムを作成する。具体的には、プログラム作成装置302は、測定範囲の情報や、測定範囲の情報を含む形状測定プログラム等を作成する。プログラム作成装置302は、作成したプログラムや、データを形状測定装置1、1aに出力する。形状測定装置1aは、領域の情報や形状測定プログラムを形状測定装置1や、プログラム作成装置302から取得し、取得したデータ、プログラムを用いて、処理を行う。形状測定システム300は、測定プログラムを形状測定装置1や、プログラム作成装置302で作成したデータ、プログラムを用いて、形状測定装置1aで測定を実行することで、作成したデータ、プログラムを有効活用することができる。
次に、上述した形状測定装置を備えた構造物製造システムについて、図34を参照して説明する。図34は、構造物製造システムのブロック構成図である。本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態において説明したような形状測定装置201(1,101,110,130)と、設計装置202と、成形装置203と、制御装置(検査装置)204と、リペア装置205とを備える。制御装置204は、座標記憶部210及び検査部211を備える。
設計装置202は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置203に送信する。また、設計装置202は、作成した設計情報を制御装置204の座標記憶部210に記憶させる。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報を含む。
成形装置203は、設計装置202から入力された設計情報に基づいて、上記の構造物を作成する。成形装置203の成形は、例えば鋳造、鍛造、切削等が含まれる。形状測定装置201は、作成された構造物(測定対象物M)の座標を測定し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置204へ送信する。
制御装置204の座標記憶部210は、設計情報を記憶する。制御装置204の検査部211は、座標記憶部210から設計情報を読み出す。検査部211は、形状測定装置201から受信した座標を示す情報(形状情報)と、座標記憶部210から読み出した設計情報とを比較する。検査部211は、比較結果に基づき、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部211は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部211は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合に、構造物が修復可能であるか否か判定する。検査部211は、構造物が修復できる場合、比較結果に基づいて不良部位と修復量を算出し、リペア装置205に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
リペア装置205は、制御装置204から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を加工する。
図35は、構造物製造システムによる処理の流れを示したフローチャートである。構造物製造システム200は、まず、設計装置202が構造物の形状に関する設計情報を作成する(ステップS301)。次に、成形装置203は、設計情報に基づいて上記構造物を作成する(ステップS302)。次に、形状測定装置201は、作成された上記構造物の形状を測定する(ステップS303)。次に、制御装置204の検査部211は、形状測定装置201で得られた形状情報と上記の設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作成されたか否か検査する(ステップS304)。
次に、制御装置204の検査部211は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS305)。構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であると検査部211が判定した場合(ステップS305でYes)、その処理を終了する。また、検査部211は、作成された構造物が良品でないと判定した場合(ステップS305でNo)、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS306)。
構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できると検査部211が判定した場合(ステップS306でYes)、リペア装置205が構造物の再加工を実施し(ステップS307)、ステップS303の処理に戻る。構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できないと検査部211が判定した場合(ステップS306でNo)、その処理を終了する。以上で、構造物製造システム200は、図36に示すフローチャートの処理を終了する。
本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態における形状測定装置201が構造物の座標を高精度に測定することができるので、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
なお、本実施形態におけるリペア装置205が実行するリペア工程は、成形装置203が成形工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置204の検査部211が修復できると判定した場合、成形装置203は、成形工程(鍛造、切削等)を再実行する。具体的には、例えば、成形装置203は、構造物において本来切削されるべき箇所であって切削されていない箇所を切削する。これにより、構造物製造システム200は、構造物を正確に作成することができる。
以上、添付図面を参照しながら本実施形態について説明したが、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本実施形態の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態における形状測定装置1は、保持部材55が片持ちで光学プローブ3を保持する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、両持ちで保持する構成としてもよい。両持ちで保持することにより、回転時に保持部材55に生じ変形を低減することができ、測定精度の向上を図ることが可能になる。
また、上述実施形態では光学プローブ3からライン状の投影光Lを投影し、投影光Lが投影された測定対象物Mの像を撮像しているが、光学プローブ3の形式はこれに限られない。光学プローブ3から発せられる投影光は、所定の面内に一括で投影する形式でも構わない。例えば、米国特許6075605号に記載さる方式でも構わない。光学プローブ3から発せられる投影光は、点状のスポット光を投影する形式でも構わない。
また、形状測定装置201は、上記実施形態のように、円周方向に繰り返し形状を有しかつ円周方向とは異なる方向に延在した凹凸形状を有する形状の測定対象物Mの測定に好適に用いることができる。形状測定装置201は、繰り返し形状の1つについて、測定領域を設定することで、設定した条件を他の繰り返し形状の測定に用いることができる。なお、測定対象物Mは、円周方向に繰り返し形状を有しかつ円周方向とは異なる方向に延在した凹凸形状を有する形状に限定されず、種々の形状、例えば、繰り返し形状を備えない形状であってもよい。