JP2019204621A - 接続構造及び接続方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記コネクタと電線・ケーブルの導体との接続は、導体とコネクタとの間でより厳格に導通が図られ、安定した電気性能を得られることが要求されている。
電線・ケーブルの導体やコネクタにアルミニウムが使用された場合、導体表面はブラッシングで酸化皮膜を破壊することが出来るが、端子や導体接続管の導体挿入部内面にはブラッシングをすることが困難である。
また、アルミニウムからなる導体やコネクタの表面に錫めっきを施せば酸化皮膜の形成を防ぐことができるが、導体やコネクタの内側にまで錫めっきを施すことが難しかった。
これらの場合、導通不完全、電気性能の不安定化が特に顕著となるおそれがあった。
前記導体が挿入される前記コネクタの導体挿入部の少なくとも内側部分を前記導体よりも硬度の小さい材料で形成し、
前記導体を挿入した状態で前記コネクタの導体挿入部をダイスによりかしめて接続することを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明に係る図の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下に述べる電線・ケーブルに関する技術は、電線にもケーブルにも適用できる技術である。
図1は電線・ケーブルの接続構造100の断面図、図2は電線・ケーブル10の導体11の断面図、図3は端子20の平面図である。
電線・ケーブル10の導体11の材料には、銅又は銅合金、あるいはアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。
導体11は、複数の素線12が撚り合わされてなる。図2に示すように、導体11は、φ2.0[mm]に満たない素線12を19本撚り合わせた導体である。この導体11は絶縁材料(例えば、架橋ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリ塩化ビニル)からなる導体被覆層としての絶縁層13で覆われている。
なお、絶縁層13の外周は図示しないシースにより覆われていてもよい。
また、各部の上記数値は例示であり、寸法については任意に変更可能である。
コネクタとしての端子20は、電線・ケーブル10の導体11を挿入可能な円筒状の導体挿入部21と、板状の接続部22とを備えている。
端子20は、銅又は銅合金、あるいはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる円筒体の一端部に板状部を設け、当該板状部を接続部22とし、円筒体を導体挿入部21としている。なお、図1では、端子20をパイプの一端を潰して板状部を成形する場合を例示しているが、鋳型に金属を流し込んで端子20を形成したり、丸棒を型で叩いて所定の形に成型したり、別体からなる円筒状の導体挿入部21と板状の接続部22とを固着して端子20を形成してもよい。
上記接続部22は、端子台等に接続を行うために貫通孔221が形成されており、ネジにより固定することができる。
導体挿入部21は、接続部22側の端部が閉塞され、その逆端部が開口して、導体11が挿入可能となっている。
特に、端子20は、ビッカース硬度80以下、より望ましくは65以下の銅または銅合金(但し、下限値は40とする)、ビッカース硬度50以下、より望ましくは35以下のアルミニウム又はアルミニウム合金(但し、下限値は15とする)から形成されている。
上記端子20の導体挿入部21に対する電線・ケーブル10の導体11の接続について説明する。
導体挿入部21に対する導体11の接続は、導体挿入部21に対して導体11を挿入した状態で、導体挿入部21を外部からかしめることで行われる。
かしめには、圧縮による方法と圧着による方法とがある。
第二のダイス203は、導体11を挿入された状態の導体挿入部21を納める凹部204を備えている。第一のダイス201は、先端部に凸部202を備え、凹部204内に押し込むことができる。第一のダイス201の押し込み圧は、人力、モーター、油圧等から得ることができ、一回の押し込み作業により圧着が行われる。
導体挿入部の硬度が導体よりも高い場合、図7(B)に示すように、導体挿入部21の内周面は素線12の隙間にまで十分に入り込まない。一方、導体挿入部21の硬度が導体11よりも低い場合、かしめにより外部から強く圧力が付与されると、端子20の導体挿入部21の内側部分である内周面は、導体11のそれぞれの素線12の外周形状に応じて変形を生じ、導体挿入部21の内周面の変形部分が図7(C)の矢印に示すように、各素線12の外周面に対して摺動しながらそれぞれの素線12の隙間に侵入する。
そして、導体挿入部21の内周面が素線12間の隙間に入り込むことで、素線表面との接点が増え、電気的に良好な導通を図ることが出来る。
このため、端子20や導体11にアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した場合であっても、導体挿入部21の内側部分が変形し、摺動しながらそれぞれの素線12の隙間に侵入することで、相互の酸化皮膜を効果的に破壊し、電気的に良好な導通を図ることが可能となる。
また、導体挿入部21の内側部分が変形して各素線12の隙間に侵入することで、これらの接触面積をより広く確保することができ、この面からも、電気的に良好な導通を図ることが可能である。
上記端子20と電線・ケーブル10とからなる接続構造100では、導体挿入部21の内側部分の変形の作用により、導体挿入部21と導体11の良好な導通を図ることが可能である。
但し、導体挿入部21と導体11のさらなる良好な導通状態の実現や、より長期間に渡る導体挿入部21と導体11の良好な導通状態の維持を図るために、上記導電性のコンパウンドを使用しても良い。
その場合、電線・ケーブル10の導体11を挿入する前の端子20の導体挿入部21の内側に導電性のコンパウンドを封入若しくは塗布、又は、導体11に導電性のコンパウンドを塗布しておくことが望ましい。
導体挿入部21の内側部分のみを上記硬度のアルミニウム又はアルミニウム合金又は上記硬度の銅又は銅合金から形成する場合には、図4の二点鎖線に示すように、内周面から所定の厚さの範囲、例えば、電線・ケーブル10の導体11の素線12の半径程度の厚さ又はそれ以上の範囲を対象とすることが望ましい。
例えば、電線・ケーブル10の導体11は、銅や銅合金からなる導体を使用しても良い。
また、端子20については、端子20全体、導体挿入部21のみ、導体挿入部21の内側部分のみについて、アルミニウム、アルミニウム合金以外の金属材料で形成しても良い。
なお、端子20の一部分をアルミニウム又はアルミニウム合金とし、他の部分をアルミニウム、アルミニウム合金以外の金属材料で形成する場合には、異種金属腐食の問題が生じ難い方法によりそれぞれのパーツを接合することが望ましい。
また、導体挿入部21の少なくとも内側部分と導体11のいずれか一方のみをアルミニウム又はアルミニウム合金で形成する場合には、異種金属接触腐食の原因となる水分の浸入を防止するために、導体挿入部21の内側又は導体11に前述したコンパウンドを封入又は塗布することが望ましい。
上記電線・ケーブルの接続構造100では、コネクタとして端子20を例示したが、コネクタを導体接続管とする電線・ケーブルの接続構造にも本発明は適用可能である。図8はコネクタを導体接続管30とする電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
導体接続管30は、二本の電線・ケーブル10の導体11同士を接続するコネクタである。
図示のように、この導体接続管30は、両端が開口した円筒体であり、両端部がそれぞれ導体挿入部31となっている。なお、中央部分は閉塞されていても良い。
そして、導体接続管30のそれぞれの導体挿入部31に、各電線・ケーブル10の導体11が挿入され、かしめにより導体接続管30と導体11の接続が行われている。
また、導電性のコンパウンドの使用についても、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同じである。
上記電線・ケーブルの接続構造100では、コネクタとして端子20を例示したが、コネクタを分岐コネクタとする電線・ケーブルの接続構造にも本発明は適用可能である。図9はコネクタを分岐コネクタ40とする電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
分岐コネクタ40は、第一の電線・ケーブル50の途中部分において第二の電線・ケーブル60の一端部を接続するコネクタである。
第二の電線・ケーブル60は導体61とこれを被覆する絶縁層63とを備えており、これらの構造及び形成材料も前述した電線・ケーブル10と同一である。
分岐コネクタ40は、二つの断面U字状又はC字状の溝からなる導体挿入部41,42が形成されており、一方の導体挿入部41に第一の電線・ケーブル50の露出した導体51が挿入され、他方の導体挿入部42に第二の電線・ケーブル60の露出した導体61が挿入される。
そして、分岐コネクタ40のそれぞれの導体挿入部41,42に、溝が内側に収縮するように、かしめが行われ、分岐コネクタ40と第一の電線・ケーブル50の導体51と第二の電線・ケーブル60の導体61の接続が行われている。
また、導電性のコンパウンドの使用についても、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同じである。
電線・ケーブル10の導体11を同じ外径の素線12の撚り合わせから構成した場合、断面形状の円形の収まりの良さから、一本の素線12を中心としてその周囲に六本の素線12を配置した場合(合計七本の素線12で導体11を構成する場合)と、当該七本の素線12からなる配置の外側にさらに十二本の素線12を配置した場合(合計十九本の素線12で導体11を構成する場合)と、当該十九本の素線12からなる配置の外側にさらに十八本の素線12を配置した場合(合計三十七本の素線12で導体11を構成する場合、図10参照)と、当該三十七本の素線12からなる配置の外側にさらに二十四本の素線12を配置した場合(合計六十一本の素線12で導体11を構成する場合)の構成となる。
一方、導体11は、各素線12の断面積の合計によって導電性又は電気抵抗が決まるので、この合計断面積について、段階的に38[mm2]、60[mm2]、100[mm2]、150[mm2]と設定されている。
ここに記載のように、合計断面積38[mm2]の場合には、従前は外径2.6[mm]の素線12を七本使用して導体11を構成していたが、外径1.65[mm]の素線12を一段階増やして19本で導体11を構成することが望ましい。
また、合計断面積60[mm2]の場合には、従前は外径2.0[mm]の素線12を十九本使用して導体11を構成していたが、外径1.45[mm]の素線12を一段階増やして37本で導体11を構成することが望ましい。
また、合計断面積100[mm2]の場合には、従前は外径2.6[mm]の素線12を十九本使用して導体11を構成していたが、外径1.85[mm]の素線12を一段階増やして37本で導体11を構成することが望ましい。
また、合計断面積150[mm2]の場合には、従前は外径2.3[mm]の素線12を三十七本使用して導体11を構成していたが、外径1.92[mm]の素線12を一段階増やして61本で導体11を構成することが望ましい。
なお、それぞれの断面積について、素線12の本数を従前よりも一段階増やす場合を例示したが、更にもう一段階増やして外径がより小さい素線12を使用しても良い。
なお、いずれの場合も、素線12の外径は2[mm]未満の範囲とすることが望ましい。
また、図11に例示した素線の本数とその外径の関係は、第一の電線・ケーブル50及び第二の電線・ケーブル60についても同様のことがいえる。
上記電線・ケーブルの接続構造100は、端子20の導体挿入部21の少なくとも内側部分を電線・ケーブル10の導体11よりも硬度の小さい材料で形成している。
また、これらは導体挿入部21に対する導体11の挿入状態でダイス201,203又は301,302によりかしめて接続が行われている。
このため、端子20と導体11の接続において、導体挿入部21の内側部分が導体11の外周形状に応じて摺動しながら変形し、相互間をより広い範囲で密着させ、接点を増やすことができる。このため、導体11と端子20の導通を良好とし、安定した電気性能を得ることが可能となる。
特に、導体挿入部21の少なくとも内側部分を、銅又は銅合金の場合はビッカース硬度80以下、アルミニウム又はアルミニウム合金の場合はビッカース硬度50以下とすることで、導体挿入部21の内側部分の変形をより円滑に行わせることができ、導体11と端子20の導通をさらに良好とし、より安定した電気性能を得ることが可能となる。
また、端子20と導体11の接続において、導体挿入部21の内側部分が導体11の外周形状に応じて摺動しながら変形するので、導体挿入部21の内側部分に酸化皮膜が生じていた場合でも、その摺動と変形により酸化皮膜が効果的に破壊され、導体11と良好に導通を図り、安定した電気性能を得ることが可能となる。
導体挿入部21の少なくとも内側部分をアルミニウム又はアルミニウム合金とした場合には、導体挿入部21の内面や導体11の表面に酸化皮膜が生じていた場合でも、導体11と導体挿入部21の内側部分との摺動により相互の酸化皮膜が効果的に破壊され良好に導通を図り、安定した電気性能を得ることが可能となる。特に、酸化皮膜の除去作業が困難な導体挿入部21の内面について、容易に破壊することが可能となる。
また、外径がより小さい素線12を使用してより多くの素線12からなる導体11を使用した場合には、導体11の外周の凹凸の数が増えるので、より効果的に導体挿入部21の内面の酸化皮膜を破壊することが可能となる。
11 導体
12 素線
13 絶縁層
20 端子(コネクタ)
21 導体挿入部
22 接続部
30 導体接続管(コネクタ)
31 導体挿入部
40 分岐コネクタ(コネクタ)
41,42 導体挿入部
50 第一の電線・ケーブル
51 導体
53 絶縁層
60 第二の電線・ケーブル
61 導体
63 絶縁層
100 接続構造
Claims (8)
- 電線・ケーブルの導体とコネクタとの接続構造であって、
前記導体が挿入される前記コネクタの導体挿入部の少なくとも内側部分が前記導体よりも硬度の小さい材料で形成されていることを特徴とする接続構造。 - 前記導体挿入部の少なくとも内側部分がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
- 前記導体挿入部の少なくとも内側部分がビッカース硬度50以下であることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
- 前記導体挿入部の少なくとも内側部分が銅又は銅合金であることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
- 前記導体挿入部の少なくとも内側部分がビッカース硬度80以下であることを特徴とする請求項4に記載の接続構造。
- 前記導体が複数の素線の撚り合わせから構成され、
それぞれの前記素線は外径が2[mm]未満であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の接続構造。 - 前記導体が複数の素線の撚り合わせから構成され、これらの素線は、銅若しくは銅合金製又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金製であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の接続構造。
- 電線・ケーブルの導体とコネクタとの接続方法であって、
前記導体が挿入される前記コネクタの導体挿入部の少なくとも内側部分を前記導体よりも硬度の小さい材料で形成し、
前記導体を挿入した状態で前記コネクタの導体挿入部をダイスによりかしめて接続することを特徴とする接続方法。
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