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JP2019176382A - ゲート駆動回路およびそれを用いたスイッチング装置 - Google Patents

ゲート駆動回路およびそれを用いたスイッチング装置 Download PDF

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Shingo Enomoto
真悟 榎本
永井 秀一
Shuichi Nagai
秀一 永井
康史 河井
Yasushi Kawai
康史 河井
昇 根来
Noboru Negoro
昇 根来
田畑 修
Osamu Tabata
修 田畑
成伯 崔
Seihaku Sai
成伯 崔
雄太 永冨
Yuta Nagatomi
雄太 永冨
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Abstract

【課題】十分な耐圧を確保し、かつ、小型化を実現する。【解決手段】ゲート駆動回路1は、半導体スイッチング素子60のゲート駆動に用いる電力信号を生成する送信部10と、電力信号を電気的に絶縁された状態で伝送するアイソレーション素子3と、アイソレーション素子3の出力を整流して整流信号として出力する複数の整流回路2と、電源と半導体スイッチング素子60のゲートとの間にカスコード接続された複数の駆動トランジスタ5とを備える。そして、駆動トランジスタ5のゲートには整流回路2の出力が与えられ、ソースには対応して設けられた整流回路2の接地端子が接続される。【選択図】図1

Description

本開示は、パワー半導体デバイスのゲート駆動回路に関する。
パワーエレクトロニクス技術により、民生用、産業用を問わず電気機器の小型化が進んでいる。このような機器で用いられるインバータ回路では、半導体スイッチング素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))を用いて、数kHz〜数MHz程度の周波数で大電力をスイッチングする。ゲート駆動回路は、上記半導体スイッチング素子のゲートを駆動する回路である。
上記のようなインバータ回路では、ゲート駆動回路の制御信号と、半導体スイッチング素子の動作電圧との差が大きい。そのため、ゲート駆動回路の入力側(以下、1次側という)と出力側(以下、2次側という)とを電気的に絶縁する必要がある。
特許文献1では、複数の電磁界共鳴結合器を用いることで絶縁型のゲート駆動回路を実現している。
特許文献2では、トランジスタを多段化し、多段化したトランジスタを個々に駆動するためにトランジスタと同数のトランスを使用して信号を分離する回路が示されている。
特開2004−294420号公報 特許第6157625号公報
ところで、ゲート駆動回路の2次側(例えば、整流回路)に、化合物半導体(例えば、SiGeやGaAs)の高周波プロセスで生成された比較的耐圧が低い素子(以下、高周波デバイスという)を用いることができれば、整流回路の変換効率の改善が可能である。さらに、高周波デバイスは、高耐圧プロセスの半導体素子(以下、高耐圧デバイス)と比較して、素子の選択肢が多いため、設計の自由度が増すというメリットがある。
しかしながら、ゲート駆動回路では、半導体スイッチング素子のゲート−ソース間に、20V程度の振幅を持ったパルス状の駆動電圧を印加する必要がある。そうすると、高周波デバイスでは、耐圧が十分に確保できず、ゲート駆動回路に適用するのが難しいという問題がある。
このような問題を回避する方法として、特許文献2のように、トランジスタを多段化することが考えられる。しかしながら、特許文献2の技術では、多段化したトランジスタと同数の絶縁トランスを使用しており、装置サイズが大型化してしまうという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ゲート駆動回路に高周波デバイスを用いた場合においても、十分な耐圧を確保し、かつ、小型化を実現することにある。
本発明の一態様に係るゲート駆動回路は、前記半導体スイッチング素子のゲート駆動の基礎となる電力信号を生成する送信部と、前記電力信号を電気的に絶縁された状態で伝送するアイソレーション素子と、前記アイソレーション素子の出力を、互いに直流的に分離されたそれぞれの入力端子に受け、それぞれに整流して整流信号として出力する複数の整流回路と、前記各整流回路に対応して設けられ、かつ、電源と前記半導体スイッチング素子のゲートとの間にカスコード接続された複数の駆動トランジスタとを備える。そして、前記駆動トランジスタは、ゲートに前記整流回路の出力が与えられ、ソースに前記整流回路の接地端子が接続される、ことを特徴とする。
この構成によれば、アイソレーション素子の出力を分岐させ、入力端子間が互いに直流的に分離された複数の整流回路を通して、カスコード接続された駆動トランジスタを駆動するようにしている。これにより、整流回路の直流分離のために過度の耐圧が不要になり、相対的に耐圧が低い素子(例えば、半導体上に形成された容量素子等)を用いることができる。これにより、半導体スイッチング素子を駆動するための十分な耐圧を確保したうえで、ゲート駆動回路を小型化することができる。
本開示に係るゲート駆動回路によれば、耐圧の低い半導体プロセスを用いた場合でも、半導体スイッチング素子を駆動するための十分な耐圧を確保したうえで、ゲート駆動回路を小型化することができる。
第1実施形態のゲート駆動回路の構成を示すブロック図 ゲート駆動回路の受信部の構成を示すレイアウト図 図2のインダクタ部分の分解斜視図 第1実施形態のゲート駆動回路の動作を示すタイミングチャート ゲート駆動回路の受信ユニットの動作を説明するための図 ゲート駆動回路の受信ユニットの動作を説明するための図 第2実施形態のゲート駆動回路の構成を示すブロック図 第2実施形態のゲート駆動回路の動作を示すタイミングチャート 第3実施形態のゲート駆動回路の構成を示すブロック図 比較例のゲート駆動回路の構成を示すブロック図 比較例のゲート駆動回路の動作を示すタイミングチャート 整流回路の他の構成例を示す回路図
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
<第1実施形態>
−ゲート駆動回路の構成−
図1は、本実施形態のスイッチング装置Aの構成を示す概略図である。図1に示すように、スイッチング装置Aは、半導体スイッチング素子60と、半導体スイッチング素子60を駆動するゲート駆動回路1とを備える。
ゲート駆動回路1は、送信部10と、アイソレーション部11と、複数の受信ユニット13を含む受信部12とを備える。図1では、受信部12が、電源用整流回路20と、カスコード接続された2つの受信ユニット13とを備える例を示している。そして、両受信ユニット13間を接続する接続ノードN1が、半導体スイッチング素子60のゲートに接続されている。以下の説明では、高電位側に接続される受信ユニット13を第1受信ユニット13aと呼び、低電位側に接続される受信ユニット13を第2受信ユニット13bと呼ぶ場合がある。
そして、ゲート駆動回路1は、第1及び第2受信ユニット13a,13bを交互にスイッチングさせることで、出力パルス電圧を発生し、半導体スイッチング素子60のゲートを駆動する。これにより、ゲート駆動回路1は、例えば、負荷電源102によって供給される電圧のスイッチングを行う。
送信部10は、半導体スイッチング素子60の駆動の基礎となる電力信号としてのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号S11,S12を生成する機能を有する。具体的に、送信部10は、電源100からの電源電圧Viを受けて発振する発振器50と、発振器50の出力を受けるミキサー52を備える。ミキサー52は、PWM電源101からのPWM電圧Vmに応じて発振器50の出力を変調し、第1及び第2PWM制御信号S11,S12としてアイソレーション部11に出力する。さらに、送信部10は、ゲート駆動回路1の駆動電力を供給する経路に設けられた増幅器51を備えている。増幅器51は、後述する送信部10の発振器50の出力を受け、それを増幅し、高周波信号S13として出力する。
アイソレーション部11は、電源用アイソレーション素子3と、第1アイソレーション素子3aと、第2アイソレーション素子3bとを備える。電源用アイソレーション素子3、第1アイソレーション素子3a及び第2アイソレーション素子3bには、例えば、従来から知られている電磁界共鳴結合器を適用することができる。電源用アイソレーション素子3、第1及び第2アイソレーション素子3a,3bは、同じ構成を採用することが可能であり、本実施形態ではこれらを総称して、単に「アイソレーション素子3」という場合がある。
電源用アイソレーション素子3は、ゲート駆動回路1の駆動電力を供給する経路に設けられており、増幅器51から出力された高周波信号S13を受け、電気的に絶縁された状態で、後段の電源用整流回路20に伝送する。
第1アイソレーション素子3aは、第1PWM制御信号S11を受け、この信号を電気的に絶縁された状態で伝送する。第2アイソレーション素子3bは、第2PWM制御信号S12を受け、この信号を電気的に絶縁された状態で伝送する。第1及び第2アイソレーション素子3a,3bの出力には、それぞれ、受信ユニット13a,13bが接続されている。
図1では、第1アイソレーション素子3aに接続される第1受信ユニット13aと、第2アイソレーション素子3bに接続される第2受信ユニット13bとが同じ構成の例を示している。本実施形態では、第1受信ユニット13a及び第2受信ユニット13bを総称して、単に「受信ユニット13」という場合がある。
電源用整流回路20は、電源用アイソレーション素子3の出力を正電圧に直流変換し、コンデンサ74を充電する。コンデンサ74の容量の大きさは、特に限定されないが、例えば、数μF程度である。
受信ユニット13は、複数の整流回路2と、各整流回路2に対応して設けられた複数の駆動トランジスタ5とを有する。図1では、受信ユニット13が、2つの整流回路2と、2つの駆動トランジスタ5とを備える例を示している。
2つの駆動トランジスタ5は、高電位側のノード(以下、高電位ノードという)と低電位側のノード(以下、低電位ノードという)との間にカスコード接続されている。
以下の説明において、第1受信ユニット13a、第2受信ユニット13bの高電位ノードに接続された駆動トランジスタ5を、それぞれ、第1駆動トランジスタ5a,5cという場合がある。また、第1受信ユニット13a、第2受信ユニット13bの低電位ノードに接続された駆動トランジスタ5を、それぞれ、第2駆動トランジスタ5b,5dという場合がある。
前述のとおり、駆動トランジスタ5と整流回路2とが対応関係にあり、第1駆動トランジスタ5a,5cに対応する整流回路2をそれぞれ第1整流回路2a,2cという場合がある。また、第2駆動トランジスタ5b,5dに対応する整流回路2を第2整流回路2b,2dという場合がある。なお、電源用整流回路20と、複数の整流回路2(2a〜2d)には、同じ構成の回路を適用することが可能であり、これらを総称して、単に「整流回路2」という場合がある。
各整流回路2は、入力端子、出力端子、及び接地端子を有する。入力端子と出力端子との間に、入力コンデンサ21とインダクタ22が直列に接続される。そして、入力コンデンサ21とインダクタ22との間の中間ノードが、順方向のダイオード23を介して接地端子に接続される。さらに、出力端子と接地端子との間に出力コンデンサ24が設けられている。このような構成にすることにより、共通の電源用アイソレーション素子3に接続された整流回路2の入力端子間が互いに直流的に分離される。
第1受信ユニット13aの第1整流回路2aでは、第1アイソレーション素子3aを介して送信部10から受けた第1PWM制御信号S11を整流し、電圧パルス信号として第1駆動トランジスタ5aのゲートに出力する。第1整流回路2aの接地端子は、第1駆動トランジスタ5aのソース(第2駆動トランジスタ5bのドレイン)に接続され、第1駆動トランジスタ5aのゲート−ソース間に抵抗素子4aが設けられている。
同様に、第2受信ユニット13bの第1整流回路2cでは、第2アイソレーション素子3bを介して送信部10から受けた第2PWM制御信号S12を整流し、電圧パルス信号として第1駆動トランジスタ5cのゲートに出力する。第1整流回路2cの接地端子は、第1駆動トランジスタ5cのソース(第2駆動トランジスタ5dのドレイン)に接続され、第1駆動トランジスタ5cのゲート−ソース間に抵抗素子4cが設けられている。
第1受信ユニット13aの第2整流回路2bでは、第1アイソレーション素子3aを介して送信部10から受けた第1PWM制御信号S11を整流し、電圧パルス信号として第2駆動トランジスタ5bのゲートに出力する。第2整流回路2bの接地端子は、第2駆動トランジスタ5bのソース(第2駆動トランジスタ5dのドレイン)に接続され、第2駆動トランジスタ5bのゲート−ソース間に抵抗素子4bが設けられている。
同様に、第2受信ユニット13bの第2整流回路2dでは、第2アイソレーション素子3bを介して送信部10から受けた第2PWM制御信号S12を整流し、電圧パルス信号として第2駆動トランジスタ5dのゲートに出力する。第2整流回路2dの接地端子は、第2駆動トランジスタ5dのソース(2次側接地201)に接続され、第2駆動トランジスタ5dのゲート−ソース間に抵抗素子4dが設けられている。
図2は、受信ユニット13の前段部分(整流回路2を含む)に関するレイアウト構成の一例を示している。以下の図2の説明では、第1受信ユニット13aを例に説明する。
受信ユニット13の入力端子120は、アイソレーション素子3の出力端(図示省略)にワイヤーボンドで接続される。入力端子120より入力される高周波信号は、分岐されて、2つの入力コンデンサ21に与えられる。すなわち、それぞれの経路は直流的に分離されている。
図2において、121は、整流回路2bの接地端子に接続される接地端子である。122は、第1整流回路2aの接地端子に接続される中間端子であり、カスコード接続された第1駆動トランジスタ5aと第2駆動トランジスタ5bとの接続点となる。22は、ダイオードであり、例えば、ゲート幅20umのGaAs-FETのソースとドレインをショートし、ゲートとドレイン/ソース間を用いて構成することができる。例えば、ダイオード22は、耐圧と駆動電流を確保する観点から、上記ダイオード(GaAs-FET使用)を2個並列接続したものを3段直列に接続して用いてもよい(図示省略)。
さらに、図2のレイアウトには、インダクタ22に相当する2つのスパイラルインダクタが構成されている。より具体的に、図3に示すように、第1整流回路2a側に含まれるインダクタ22が第3層、第2整流回路2b側に含まれるインダクタ22が第2層で構成されている。図3では、それぞれのインダクタ22の出力は、第1層で引き出されている例を示している。このインダクタ22の出力は、それぞれ第1及び第2駆動トランジスタ5a、5bのゲートに接続される。なお、図2,3において、X1,Y2は、それぞれ、第1整流回路2aのインダクタ22の入力端子及び出力端子である。同様に、X2,Y2は、それぞれ、第2整流回路2bのインダクタ22の入力端子及び出力端子である。
このように、本態様によると、半導体チップ上で大面積を占めるスパイラルインダクタを上下に重ねて配置することができるので、チップ面積を大幅に削減することができる。なお、インダクタ22の巻き方向は同方向のほうが望ましい。それぞれのインダクタ22には同相の信号が入力されるため、信号レベルが減衰しないようにすることができる。ただし、このような配置に限定されるものではなく、上下のインダクタ22を互いに前後左右にずらして配置してもよい。また、インダクタ22を互いに逆方向に巻いて配線してもよい。
以上のような構成にすることにより、ゲート駆動回路1を、PWM周波数10[kHz]で47[nF]の容量負荷の条件で駆動した場合においても、破壊することなく良好なスイッチング特性が得られた。
なお、1次側接地200と2次側接地201はアイソレーション部11により、互いに電気的に分離されている。以下の第2実施形態及び第3実施形態についても同様である。
−ゲート駆動回路の動作−
次に、本実施形態に係るゲート駆動回路1の動作について、図4〜図6を参照しつつ具体的に説明する。
まず、図5及び図6を参照しつつ、ゲート駆動回路1の受信ユニット13の動作について説明する。なお、図5では、受信ユニット13が、高周波信号源200(発振器50に相当)のオンオフに合わせて、電源102によって負荷抵抗62に発生する電圧のスイッチングを行う例を示している。前述の図1に示すように、実際のゲート駆動回路1では、複数の受信ユニット13(図1では2つ)をカスコード接続し、これらを交互にスイッチングさせることで、ゲート駆動回路1の出力パルス電圧を発生させる。
図5では、高周波信号源200から出力された高周波信号S0が、アイソレーション素子3を通過し、分岐されて、第1及び第2整流回路2a,2bに入力される。
高周波信号S0のオン期間(例えば、ハイレベル期間)において、第1及び第2整流回路2a,2bでは、高周波信号S0が直流変換され、それぞれ抵抗素子4a,4bに負電圧を生成する。これにより、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのVgsは負電圧となり、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bはオフ状態となる。
一方で、高周波信号S0のオフ期間(例えば、ローレベル期間)では、それぞれ抵抗素子4a,4bの電圧がほぼ0[V]になる。すなわち、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのVgsがほぼ0[V]になり、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bはオン状態となる。
本実施形態では、第1及び第2整流回路2a,2bは、それぞれに対応する第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのソースを基準として接続している。これにより、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bを均一に駆動させることができる。すなわち、パルス駆動状態においても、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオフ状態において、それぞれの駆動トランジスタ5a,5bのドレイン−ソース間にかかる電圧を均等に分圧することが可能となる。
図6は、図5に示す受信ユニット13のスイッチング特性のシミュレーション結果である。 図6のシミュレーションにおいて、高周波信号源200の周波数は2.4[GHz]であり、電源102の電圧は20[V]である。図6(a)は、高周波信号源200の信号レベルが0〜25[dBm]の範囲における、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのVgsとVdsの変化を示している。なお、上記の具体的数値は、例示であり、他の数値(例えば、2.4[GHz]以外の周波数)を適用してもよい。
なお、図6(a)において、領域T1が第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオン期間であり、領域T2が第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオフ期間を示している。また、領域T3が第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオン期間からオフ期間への遷移期間を示している。また、図6(b),(c)は、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのVdsの変化について、領域T3の周りを拡大した結果である。以下の説明では、T1をオン領域、T2をオフ領域、T3を遷移領域と呼ぶものとする。
図6(a)の下段に示すように、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのVgsは、信号レベルの変化に対し、ほぼ同じ軌跡を示している。また、図6(a)の上段に示すように、オフ領域T2において、両駆動トランジスタ5a,5bのそれぞれのVdsは、電源電圧の1/2となる10Vであり、2つの駆動トランジスタ5a,5bがほぼ均等に動作していることがわかる。
一方で、遷移領域T3において、第1及び第2整流回路2a,2b、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5b並びに抵抗素子4a,4bが等価な回路構成であるにもかかわらず、いずれかの一方の駆動トランジスタ5a,5bのオンオフ遷移がトリガーとなる非対称動作が発生している。図6の例では、図6(b),(c)に細線で示すように、第1駆動トランジスタ5aのみに電圧が集中する過渡領域が見られる。
ただし、図1に示すような構成の実際のゲート駆動回路1では、PWM信号に対する高周波信号の立上り時間及び立下り時間が、大きくとも10[ns]程度と高速である。そのため、送信部10の設計において、高周波信号源200から出力される電力を以下のように設定することで、領域T3が駆動トランジスタ5a,5bのスイッチング特性に与える影響をほぼなくすことができる。例えば、高周波信号源200の出力電力は、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオフ状態を規定する電力を−20[dBm]、オン状態を規定する電力を20[dBm]程度となるようにするとよい。
また、受信ユニット13において、以下に説明するように、抵抗素子4a,4bの大小関係を設定することで遷移領域T3の範囲を調整することが可能である。そのような調整をすることにより、例えば、より高速な駆動条件への対応や、送信部10での消費電力を抑えることができる。
具体的に、図6(b)では、図6(a)の状態から、抵抗素子4aの抵抗値を大きくした場合の例を示している。具体的に、抵抗素子4aの抵抗値を15%増加させたシミュレーション結果である。
図6(b)に示すように、整流回路2aの負荷となる抵抗素子4aの抵抗値が大きくなると、抵抗素子4aに発生する電圧レベルが大きくなる。そうすると、高周波信号源200の入力レベルの増加に対し、第1駆動トランジスタ5aがオフされやすくなる。したがって、本例においては、図6(b)の太線で示すように、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bの非対称性が強くなり、遷移領域T3が広がる。
一方で、図6(c)では、図6(a)の状態から、抵抗素子4aの抵抗値を小さくした場合の例を示している。具体的に、抵抗素子4aの抵抗値を15%減少させたシミュレーション結果である。
図6(c)に示すように、整流回路2aの負荷となる抵抗素子4aの抵抗値が小さくなると、抵抗素子4aに発生する電圧レベルが小さくなる。そうすると、高周波信号源200の入力レベルの増加に対し、第1駆動トランジスタ5aがオフされにくくなる。したがって、本例においては、図6(c)の太線で示すように、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bの非対称性が弱くなり、遷移領域T3が狭くなる。
次に、図4を参照しつつ、ゲート駆動回路1の動作について具体的に説明する。
発振器50で生成された高周波信号は、ミキサー52において、PWM電圧Vmに応じて変調され、第1及び第2PWM制御信号S11,S12に分割される。
第1PWM制御信号S11は、第1アイソレーション素子3aを通過し、分岐されて、第1受信ユニット13aの第1及び第2整流回路2a,2bにそれぞれ入力される。そして、第1受信ユニット13aは、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bを均一に駆動させるとともに、オフ状態にかかる電圧を均等に分圧することができる。
同様に、第2PWM制御信号S12は、第2アイソレーション素子3bを通過し、分岐されて、第2受信ユニット13bの第1及び第2整流回路2c,2dにそれぞれ入力される。そして、第2受信ユニット13bは、駆動トランジスタ5c、5dを均一に駆動させるとともに、オフ状態にかかる電圧を均等に分圧する。
なお、第1及び第2受信ユニット13a,13bの具体的な動作は、前述の図5の説明と同様であり、ここではその詳細説明を省略する。
図4に示すように、第1PWM制御信号S11と第2PWM制御信号S12とは、オンオフ期間において互いに相補関係にある。そのため、第1受信ユニット13aの第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのゲート信号S21a,S21bと、第2受信ユニット13bの第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのゲート信号S21c,S21dとは、相補的なパルス信号となる。
これにより、ゲート駆動回路の出力電圧となるコンデンサ74の電圧は、第1受信ユニット13aの第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bと、第2受信ユニット13bの第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dとにより交互にスイッチングされ、半導体スイッチング素子60のゲートに印加される。
このとき、第1受信ユニット13aの第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのオフ期間T11において、第1及び第2駆動トランジスタ5a,5bのそれぞれにかかる電圧は、ゲート駆動回路の出力電圧の1/2となる。同様に、第2受信ユニット13bの第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのオフ期間T12において、第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのそれぞれにかかる電圧は、ゲート駆動回路の出力電圧の1/2となる。
−比較例−
図10は、特許文献1の図2に基づいて作成したスイッチング装置の比較例を示している。
図11は、比較例のゲート駆動回路9の動作時における、ゲート駆動回路9および半導体スイッチング素子99の電位変化を示している。図11では、出力電圧Voと同じ振幅の電圧が、駆動トランジスタ95a,95bのドレーン−ソース間に印加されている。これに対し、本実施形態のスイッチング装置Aでは、第1及び第2駆動トランジスタ5a〜5dのドレーン−ソース間の電圧を、出力電圧Voのほぼ半分にすることができる。したがって、耐圧の低い半導体プロセスを用いることが可能になる。
なお、上記実施形態では、2つ(2段)の駆動トランジスタ5をカスコード接続する例を示したが、3段以上の駆動トランジスタ5をカスコード接続するようにしてもよい。そうすることで、駆動トランジスタ5の1個当たりに印加される電圧をさらに小さくすることができる。この場合においても、アイソレーション素子3の出力の分岐数を増やして、駆動トランジスタ5の数に応じた整流回路2を設けるようにするとよい。
また、例えば、上記実施形態では、PWM電源101のPWM電圧Vm(パルス波形信号)に対して、PWM制御信号S11が逆相であり、PWM制御信号S12が同相であるものとして説明したが、この関係を逆転させてもよく、上記実施形態と同様に動作させることができる。
また、上記実施形態において、ミキサー52に代えて、発振器50の出力を増幅する増幅器と、増幅器の出力を切り替えて第1及び第2PWM制御信号S11,S12としてアイソレーション部11に出力するSPDT(Single-Pole Double-Throw)スイッチとを備える構成にしてもよい。
<第2実施形態>
図7は、本実施形態のスイッチング装置Aの構成を示す概略図である。図7において、図1と共通(同一又は類似の機能を有する)の構成要素には、同じ符号を付している。以下の説明では、図1との相違点であるゲート駆動回路1について詳細に説明するものとし、図1との共通部分についての説明を省略する場合がある。
図7に示すゲート駆動回路1は、送信部10と、アイソレーション部11と、第1及び第2受信ユニット13a,13bを含む受信部12とを備える。図7においても、図1と同様に、第1及び第2受信ユニット13a,13bをカスコード接続し、両受信ユニット13a,13b間を接続する接続ノードN1を半導体スイッチング素子60のゲートに接続している。そして、ゲート駆動回路1は、第1及び第2受信ユニット13a,13bを交互にスイッチングさせることで、出力パルス電圧を発生し、半導体スイッチング素子60のゲートを駆動する。これにより、ゲート駆動回路1は、例えば、負荷電源102によって供給される電圧のスイッチングを行う。
送信部10は、PWM制御信号S15を生成する機能を有する。具体的に、送信部10は、電源100からの電源電圧Viを受けて発信する発振器50と、発振器50の出力を受ける増幅器55とを備える。増幅器55は、PWM電源101からのPWM電圧Vmに応じて発振器50の出力を振幅変調し、PWM制御信号S15としてアイソレーション部11に出力する。
増幅器55の構成は特に限定されないが、例えば、増幅器55を構成するトランジスタのベースまたはゲートの電位を変化させてバイアス状態を変化させる方法や、トランジスタのコレクタやドレインに供給する電源を変化させる方法がある。また、増幅器55の入力側または出力側に設けたアッテネータやSWの減衰量を切り替えることにより、同様の機能を実現するようにしてもよい。後述する第3実施形態の送信部10に設けられた増幅器55(図9参照)についても同様である。
アイソレーション部11は、ゲート駆動回路1の駆動電力を供給する経路に設けられたアイソレーション素子3cと、PWM制御信号S15を受け、この信号を電気的に絶縁された状態で伝送するアイソレーション素子3dとを備える。
アイソレーション素子3cの出力は、2つに分岐され、一方の分岐先が前述の電源用整流回路20の入力ノードに、他方の分岐先が、後述する整流回路2fの入力ノードにそれぞれ接続される。
アイソレーション素子3dの出力は、2つに分岐され、一方の分岐先が第1受信ユニット13aの入力ノードに、他方の分岐先が第2受信ユニット13bの入力ノードにそれぞれ接続されている。
第1受信ユニット13aは、2つの整流回路2f,2gと、インバータ部70と、反転駆動トランジスタとしての駆動トランジスタ5gとを有する。なお、整流回路2f,2gは、図1の整流回路2と共通の回路構成を適用することが可能であり、ここではその具体的回路構成についての説明を省略する。
一方の整流回路2fは、インバータ部70の電源生成用の整流回路であり、アイソレーション素子3cから出力される高周波信号S13を整流し、インバータ部70の電源ノードに供給する。他方の整流回路2gは、インバータ部70を駆動する駆動信号生成用の整流回路であり、アイソレーション素子3dから受けたPWM制御信号S15を整流して、インバータ部70の駆動ノードに供給する。
インバータ部70は、駆動信号生成用の整流回路2gから受けた整流信号S31を反転して出力する機能を有する。図7では、インバータ部70として、NPN型のバイポーラトランジスタと抵抗とを用いた例を示している。インバータ部70の出力は、駆動トランジスタ5gのゲートに与えられる。なお、インバータ部70の構成は、図7の構成に限定されず、インバータとして機能する他の半導体素子や回路構成を用いてもよい。
第2受信ユニット13bは、アイソレーション素子3dから出力されるPWM制御信号S15を整流する整流回路2hと、整流回路2hに対応して設けられた駆動トランジスタ5hとを有する。
−ゲート駆動回路の動作−
次に、本実施形態に係るゲート駆動回路1の動作について、図8を参照しつつ具体的に説明する。図8は、ゲート駆動回路の動作時におけるゲート駆動回路1及び半導体スイッチング素子60の電位変化を示している。
発振器50で生成されたPWM制御信号S15は、増幅器55において、PWM電圧Vmに応じて振幅変調され、PWM制御信号S15として出力される。
PWM制御信号S15は、アイソレーション素子3dを通過し、分岐されて、第1受信ユニット13aの整流回路2g及び第2受信ユニット13bの整流回路2hにそれぞれ入力される。
PWM制御信号S15のオン期間(例えば、ハイレベル期間)において、第1受信ユニット13aの整流回路2gでは、PWM制御信号S15が直流変換され、負電圧を生成する。整流回路2gの出力は、インバータ部70により反転されるので、駆動トランジスタ5gのゲート信号S32(駆動トランジスタ5gのVgs)はほぼ0[V]となる。すなわち、第1受信ユニット13aの駆動トランジスタ5gは、オンされる。
このとき、第2受信ユニット13bでは、整流回路2hにおいてPWM制御信号S15が直流変換され、そのまま駆動トランジスタ5hのゲートに与えられる。すなわち、駆動トランジスタ5hのゲート信号S33として負電圧が与えられ、この駆動トランジスタ5hはオフされる。
PWM制御信号S15のオフ期間(例えば、ローレベル期間)において、第1受信ユニット13aでは、駆動トランジスタ5gのゲート信号S32(駆動トランジスタ5gのVgs)が負電圧となる。一方で、駆動トランジスタ5hのゲート信号S33がほぼ0[V]となる。すなわち、第1受信ユニット13aの駆動トランジスタ5gがオフされ、第2受信ユニット13bの駆動トランジスタ5hがオンされる。
つまり、第1受信ユニット13aでは、PWM電圧Vmと同相の整流信号S31(パルス電圧信号)がインバータ部70により反転され、駆動トランジスタ5gのVgsに与えられる。一方で、第2受信ユニット13bでは、PWM電圧Vmと同相のパルス電圧が生成され、駆動トランジスタ5hに与えられる。これにより駆動トランジスタ5g、5hは交互にオンオフ動作をする。そうすると、ゲート駆動回路1の出力電圧となるコンデンサ74の電圧が駆動トランジスタ5g,5hで交互にスイッチングされ、半導体スイッチング素子60のゲートに印加される。
ここで、前述の図10に示す比較例では、ゲート駆動回路9のPWM制御信号を伝達する経路が2つ必要であり、それぞれの経路にアイソレーション素子93を設ける必要があった。これに対し、本実施形態では、アイソレーション素子3を1つに削減することができるため、送信部10や、アイソレーション部11のサイズを小型することができる。これにより、ゲート駆動回路1全体のサイズを小型化することができる。
なお、上記実施形態では、ゲート駆動回路1の駆動電力を供給する経路から第1受信ユニット13aのインバータ部70の電源供給を受ける例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲート駆動回路1の外部からインバータ部70に電源を供給するようにしてもよい。
<第3実施形態>
図9は、本実施形態のスイッチング装置Aの構成を示す概略図である。図9に示すスイッチング装置Aは、第1実施形態の構成と第2実施形態の構成とを組み合わせた構成になっている。なお、図9において、図1及び/又は図7と共通(同一又は類似の機能を有する)の構成要素には、同じ符号を付している。以下の説明では、図1及び/又は図7との相違点であるゲート駆動回路1について詳細に説明するものとし、図1及び/又は図7との共通部分についての説明を省略する場合がある。
図9に示すゲート駆動回路1は、送信部10と、アイソレーション部11と、第1及び第2受信ユニット13a,13bを含む受信部12とを備える。図9においても、上記第1及び第2実施形態と同様に、第1及び第2受信ユニット13a,13bをカスコード接続し、両受信ユニット13a,13b間を接続する接続ノードN1を半導体スイッチング素子60のゲートに接続している。
そして、ゲート駆動回路1は、第1及び第2受信ユニット13a,13bを交互にスイッチングさせることで、出力パルス電圧を発生し、半導体スイッチング素子60のゲートを駆動する。これにより、ゲート駆動回路1は、例えば、負荷電源102によって供給される電圧のスイッチングを行う。
送信部10及びアイソレーション部11の構成は、図7と共通である。
具体的に、送信部は、発振器50と、発振器50の出力を受けて振幅変調する増幅器55とを備え、PWM制御信号S15を生成する機能を有する。
アイソレーション部11は、アイソレーション素子3c,3dを備える。
アイソレーション素子3cは、送信部10の増幅器51から高周波信号S13を受け、この信号を電気的に絶縁された状態で伝送する。アイソレーション素子3cの出力は、3つに分岐され、それぞれ、前述の電源用整流回路20の入力ノード、及び、後述する整流回路2fa,2fbの入力ノードに接続される。
アイソレーション素子3dは、送信部10の増幅器55からPWM制御信号S15を受け、この信号を電気的に絶縁された状態で伝送する。アイソレーション素子3dの出力は、4つに分岐され、第1及び第2受信ユニット13a,13bの入力ノードに接続される。
第1受信ユニット13aは、図7の第1受信ユニット13aと共通の回路構成を2段カスコード接続した構成になっている。このカスコード接続の方法は、図1の場合と同様である。図9において、2gaは、第1受信ユニット13aに設けられた駆動信号生成用の整流回路のうちの高電位側に設けられた整流回路であり、2gbは、同低電位側に設けられた整流回路である。
具体的に、整流回路2gaは、アイソレーション素子3から分岐された高周波信号S15を受け、その高周波信号S15を整流して、インバータ部70aの駆動ノードに供給する。整流回路2gaの接地端子は、高電位側に設けられた第1駆動トランジスタ5gaのソースに接続される。また、第1駆動トランジスタ5gaのゲート−ソース間に抵抗素子4gaが設けられる。
整流回路2gbは、アイソレーション素子3から分岐された高周波信号S15を受け、その高周波信号S15を整流して、インバータ部70bの駆動ノードに供給する。整流回路2gbの接地端子は、低電位側の設けられた第2駆動トランジスタ5gbのソースに接続される。また、第2駆動トランジスタ5gbのゲート−ソース間に抵抗素子4gbが設けられている。
このような構成にすることで、第1及び第2駆動トランジスタ5ga,5gbのオフ状態において、2つの駆動トランジスタ5ga,5gbのドレイン−ソース間にかかる電圧を均等に分圧することが可能となる。
第2受信ユニット13bは、図1の第2受信ユニット13bと共通の回路構成であり、ここではその詳細な説明を省略する。図1と共通の構成にすることにより、第2受信ユニット13bにおいても、第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのドレイン−ソース間にかかる電圧を均等に分圧することが可能となる。
スイッチング装置Aの動作についても図7の構成と同様である。具体的に、PWM制御信号S15のオン期間では、第1受信ユニット13aにおいて、高電位側及び低電位側の両方の整流回路2ga,2gbの出力が、それぞれインバータ部70a,70bにより反転されるので、第1及び第2駆動トランジスタ5ga,5gbのVgsはほぼ0[V]となり、オンされる。一方で、第2受信ユニット13bの第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのゲートには負電圧が与えられ、オフされる。
逆に、PWM制御信号S15のオフ期間では、第1受信ユニット13aにおいて第1及び第2駆動トランジスタ5ga,5gbのゲートに負電圧が与えられ、オフされる。一方で、第2受信ユニット13bにおいて、第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのVgsがほぼ0[V]となり、オンされる。
そして、上記のオン期間とオフ期間とが繰り返されることで、第1及び第2駆動トランジスタ5ga,5gbと、第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dとが交互にオンオフ動作をする。そうすると、ゲート駆動回路1の出力電圧となるコンデンサ9の電圧が駆動トランジスタ5a,5bで交互にスイッチングされ、半導体スイッチング素子60のゲートに印加される。
以上のように、本実施形態によると、第1実施形態と同様に、第1受信ユニット13aの第1及び第2駆動トランジスタ5ga,5gbのドレーン−ソース間の電圧、及び、第2受信ユニット13bの第1及び第2駆動トランジスタ5c,5dのドレーン−ソース間の電圧を、出力電圧Voのほぼ半分にすることができる。これにより、耐圧の低い半導体プロセスを用いることが可能になる。
また、比較的サイズの大きいアイソレーション素子3の数を減らすことができるため、送信部10や、アイソレーション部11のサイズを小型することができ、ひいては、ゲート駆動回路1全体のサイズを小型化することができる。
なお、上記実施形態では、電力供給部7から第1受信ユニット13aのインバータ部70a,70bの電源供給を受ける例を示したが、これに限定されず、ゲート駆動回路1の外部からインバータ部70a,70bに電源を供給するようにしてもよい。
<その他の実施形態>
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素及び以下に後述する変形例を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、上記第1〜第3実施形態では、駆動トランジスタ5について、Vgsが0[V]でトランジスタがオン状態となり、Vgsが負電圧でトランジスタがオフ状態となる、いわゆるノーマリーオン型のFETを用いる例を示したが、ノーマリーオフ型のFETやバイポーラトランジスタを用いた構成も可能である。
また、上記第1〜第3実施形態では、受信ユニット13の整流回路2の構成として、シングルシャント型の回路を例示したがこれに限定されない。例えば、ダイオードのアノードとカソードを反対に接続することで正電圧を生成できるので、そのような構成の整流回路を適用するようにしてもよい。また、倍電圧型やブリッジ型などの、他の整流方式を適用してもよい。
図12(a)〜(e)は、整流回路2の他の構成例を示している。図12では、すべての回路において、接地端子に対して負電位を生成する回路を例示している。なお、ダイオードの向きを反対にすることで、正電位を発生することができる。
上記実施形態では、整流回路2の構成として、図12(a)に示す(a)シングルシャント型を用いているが、これに限定されない。例えば、図12(b)に示すシングルシリーズ型、図12(c)に示す倍電圧型、図12(d)に示す倍電流型、図12(e)に示すブリッジ型等の異なる回路トポロジーからなる整流回路を用いて構成することも可能である。
また、ダイオード以外のL,C素子について、入力信号の周波数に対して、整流回路2で発生する電圧を最大化するために、図12で示した回路トポロジーに対し、新たに素子を付加する形態としてもよいし、逆に一部を削除する形態としてもよい。
図12(e)のブリッジ型においては、シングルエンド型の信号入力の場合の回路を示しており、左下の容量素子は削除することができる。また、入力信号が差動信号となる場合は、設置接続部を差動信号入力端子のひとつとして使用するとよい。
また、図12の例においては、各整流回路のトポロジーを集中定数素子で示したが、マイクロストリップライン等の分布定数素子を使い、同様の効果を得ることも可能である。
また、図2に示すように、インダクタ部をスパイラルインダクタにて構成する場合、上下に重ねたレイアウトをすることで、チップレイアウト面積を削減することも可能である。
また、上記第1〜第3実施形態では、アイソレーション素子3として、電磁界共鳴結合器を用いる例を示したが、容量素子やトランス等を用いるようにしてもよい。
また、図1の構成に加えて、駆動トランジスタ5の電位安定化のために、各駆動トランジスタ5のドレイン−ソース間に抵抗を挿入してもよい。
本開示にかかるゲート駆動回路は、インバータ、電力変換器やパワーシステム等に利用され得る。
1 ゲート駆動回路
2,2a,2b,2c,2d,2g,2ga,2gb,2h 整流回路
2f 整流回路(第2電源用整流回路)
3,3a,3b,3d アイソレーション素子
3 電源用アイソレーション素子
5 駆動トランジスタ
5a,5ga,5c 第1駆動トランジスタ(反転駆動トランジスタ)
5b,5gb,5d 第2駆動トランジスタ
10 送信部
20 電源用整流回路(第1電源用整流回路)
60 半導体スイッチング素子
70 インバータ部
S11 第1PWM制御信号(高周波電力信号)
S12 第2PWM制御信号(高周波電力信号)
S15 PWM制御信号(高周波電力信号)

Claims (11)

  1. 半導体スイッチング素子を駆動するゲート駆動回路であって、
    前記半導体スイッチング素子のゲート駆動の基礎となる電力信号を生成する送信部と、
    前記電力信号を電気的に絶縁された状態で伝送するアイソレーション素子と、
    前記アイソレーション素子の出力に対して並列に接続された複数の整流回路と、
    ゲートに前記整流回路の出力を受けソースに前記整流回路の接地端子が接続された複数の駆動トランジスタとを備え、
    前記複数の駆動トランジスタは、互いにカスコード接続されて、前記半導体スイッチング素子のゲートを駆動する
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  2. 請求項1に記載のゲート駆動回路において、
    前記複数の整流回路のうちの少なくとも1つである第1整流回路と、前記第1整流回路の出力に接続された第1駆動トランジスタとの間にインバータ部が設けられている
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  3. 請求項2に記載のゲート駆動回路において、
    前記複数の整流回路は、前記第1整流回路と、複数の第2整流回路とを含み、
    前記複数の駆動トランジスタは、前記第1駆動トランジスタと、ゲートに前記第2整流回路の出力を受けソースに前記第2整流回路の接地端子が接続された複数の第2駆動トランジスタとを含み、
    互いに接続された前記第1整流回路、前記インバータ部及び前記第1駆動トランジスタを含む第1駆動部と、互いに接続された前記第2整流回路及び前記第2駆動トランジスタを含む第2駆動部とをそれぞれ複数備え、かつ、複数の前記第1駆動部と複数の前記第2駆動部とがカスコード接続される
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  4. 請求項2または3に記載のゲート駆動回路において、
    前記送信部は、前記電力信号として高周波電力信号を生成し、
    前記高周波電力信号が、前記アイソレーション素子及び前記整流回路を介して、前記駆動トランジスタにパルス状の信号として供給される
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  5. 請求項2から4のいずれか1項に記載のゲート駆動回路において、
    前記アイソレーション素子は、電源用アイソレーション素子を含み、
    前記送信部で生成された電力信号を、前記電源用アイソレーション素子を介して受ける電源用整流回路を備え、
    前記電源用整流回路の出力を前記インバータ部の電源として使用し、かつ、前記電源用整流回路の接地端子と対応する前記インバータ部の接地端子とが接続される
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  6. 請求項5に記載のゲート駆動回路において、
    前記電源用整流回路は、互いに生成する電圧が異なる少なくとも1つの第1電源用整流回路と第2電源用整流回路とを含み、
    前記第1電源用整流回路の出力を前記インバータ部の電源として使用し、
    前記第2電源用整流回路の出力を前記ゲート駆動回路の出力電圧に使用する
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のゲート駆動回路において、
    前記複数の整流回路のうちの一部の整流回路の出力は正極性であり、残部の整流回路の出力は負極性である
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のゲート駆動回路において、
    前記各駆動トランジスタのゲートとソースとの間には、互いの抵抗値が異なる抵抗素子がそれぞれ設けられている
    とを特徴とするゲート駆動回路。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のゲート駆動回路において、
    前記整流回路は、スパイラル状のパターン配線で形成されたインダクタを含み、
    互いに異なる前記整流回路のインダクタ同士が互いに重ねて配置されている
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のゲート駆動回路において、
    前記のアイソレーション素子は、電磁界共鳴結合素子である
    ことを特徴とするゲート駆動回路。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のゲート駆動回路と、
    前記ゲート駆動回路で駆動される半導体スイッチング素子とを備える
    ことを特徴とするスイッチング装置。
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