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JP2019174191A - データ構造、情報送信装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

データ構造、情報送信装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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JP2019174191A JP2018060505A JP2018060505A JP2019174191A JP 2019174191 A JP2019174191 A JP 2019174191A JP 2018060505 A JP2018060505 A JP 2018060505A JP 2018060505 A JP2018060505 A JP 2018060505A JP 2019174191 A JP2019174191 A JP 2019174191A
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Abstract

【課題】自己位置推定方式を走行エリアに応じて選択するための事前情報の生成に好適なデータのデータ構造及び当該データを送信する情報送信装置を提供する。【解決手段】車載機1は、自車位置推定を行い、精度情報の算出及び記憶部12への記憶を行う(ステップS101)。そして、車載機1は、アップロード情報Iuの送信タイミングであると判断した場合(ステップS102;Yes)、記憶部12に記憶された過去所定時間内での精度情報の値の平均及び標準偏差を算出する。そして、車載機1は、直前のステップS101で算出した精度情報と上述の平均及び標準偏差とを、ステップS101で実行した自車位置推定方式の情報及び推定した位置情報と共にアップロード情報Iuに含めてサーバ装置6へ送信する(ステップS103)。【選択図】図13

Description

本発明は、自己位置推定技術に関する。
従来から、車両の進行先に設置される地物をレーダやカメラを用いて検出し、その検出結果に基づいて自車位置を校正する技術が知られている。例えば、特許文献1には、計測センサの出力と、予め地図上に登録された地物の位置情報とを照合させることで自己位置を推定する技術が開示されている。また、特許文献2には、カルマンフィルタを用いた自車位置推定技術が開示されている。さらに、非特許文献1には、車両側のセンサが検出したデータをクラウドサーバで収集するためのデータフォーマットに関する仕様が開示されている。
特開2013−257742号公報 特開2017−72422号公報
here社ホームページ、Vehicle Sensor Data Cloud Ingestion Interface Specification(v2.0.2),[平成30年3月2日検索]、インターネット<URL:https://lts.cms.here.com/static-cloud-content/Company_Site/2015_06/Vehicle_Sensor_Data_Cloud_Ingestion_Interface_Specification.pdf>
自車位置推定方式として種々の方式が提案されているが、位置推定に適した実行環境及び適さない実行環境がいずれの方式においても存在する。一方、一つの自車位置推定方式を当該方式による位置推定に適さない実行環境下で実行し続けると、自車位置推定精度が悪化し、自動運転制御などの高い位置推定精度が求められる処理に悪影響が生じる可能性がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、情報処理装置に送信されるデータであって、自己位置推定方式を走行エリアに応じて選択するための事前情報の生成に好適なデータのデータ構造及び当該データを送信する情報送信装置を提供することを主な目的とする。
請求項に記載の発明は、移動体の位置推定の精度に関する情報を収集する情報処理装置に送信されるデータのデータ構造であって、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を含み、地点又はエリアごと、かつ、前記推定方式ごとの位置推定の推奨値を前記情報処理装置が算出するのに用いられるデータのデータ構造である。
また、請求項に記載の発明は、情報送信装置であって、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信部を有する。
また、請求項に記載の発明は、情報送信装置が実行する制御方法であって、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信工程を有する。
運転支援システムの概略構成図である。 車載機及びサーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。 状態変数ベクトルを2次元直交座標で表した図である。 予測ステップと計測更新ステップとの概略的な関係を示す図である。 ランドマークベース位置推定における自車位置推定部の機能ブロックを示す。 点群ベース位置推定における自車位置推定部の機能ブロックを示す。 ボクセルデータの概略的なデータ構造の一例を示す。 方式推奨情報のデータ構造の一例を示す。 車載機が送信するアップロード情報のデータ構造の概要を示す図である。 精度情報の値の推移及び標準化精度情報の値の推移を示すグラフである。 標準化精度情報の値の推移と、これらを平均化した値の推移とを示すグラフである。 標準化精度情報の値の平均値と推奨値との対応関係を示す。 アップロード情報の送受信に関する処理概要を示すフローチャートである。
本発明の好適な実施形態によれば、移動体の位置推定の精度に関する情報を収集する情報処理装置に送信されるデータのデータ構造であって、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を含み、地点又はエリアごと、かつ、前記推定方式ごとの位置推定の推奨値を前記情報処理装置が算出するのに用いられるデータのデータ構造である。情報処理装置は、このようなデータ構造を有するデータを受信することで、位置推定の推定方式ごとの位置推定の推奨値を好適に算出することができる。
上記データ構造の一態様では、前記方向ごとの前記精度情報と、前記方向ごとの前記平均及び前記標準偏差の情報とを含む。このようなデータ構造を有するデータを受信することで、位置推定の推定方式ごとの位置推定の推奨値を、移動体を基準とした方向ごとに好適に算出することができる。好適には、上記データ構造は、前記方位に対する前記精度情報と、前記方位に対する前記平均及び前記標準偏差の情報とをさらに含むとよい。
本発明の他の好適な実施形態によれば、情報送信装置は、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信部を有する。情報送信装置は、このようなデータ構造を有するデータを情報処理装置に送信することで、位置推定の推定方式ごとの位置推定の推奨値の算出に必要なデータを情報処理装置に好適に収集させることができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、情報送信装置が実行する制御方法であって、移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信工程を有する。情報送信装置は、この制御方法を実行することで、位置推定の推定方式ごとの位置推定の推奨値の算出に必要なデータを情報処理装置に好適に収集させることができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、プログラムは、上記記載の制御方法を、コンピュータにより実行させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、上記記載の情報送信装置として機能する。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、任意の記号の上に「^」または「−」が付された文字を、本明細書では便宜上、「A」または「A」(「A」は任意の文字)と表す。
[運転支援システムの概要]
図1は、本実施例に係る運転支援システムの概略構成である。運転支援システムは、移動体である各車両と共に移動する車載機1と、各車載機1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置6とを備える。そして、運転支援システムは、各車載機1から送信された情報に基づき、サーバ装置6が保有する配信用の地図である配信地図DB20を更新する。なお、以後において、「地図」とは、従来の経路案内用の車載機が参照するデータに加えて、ADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転に用いられるデータも含むものとする。
車載機1は、ライダ2、ジャイロセンサ3、車速センサ4、及びGPS受信機5と電気的に接続し、これらの出力に基づき、所定のオブジェクトの検出、及び、車載機1が搭載される車両の位置(「自車位置」とも呼ぶ。)の推定などを行う。そして、車載機1は、自車位置の推定結果に基づき、設定された目的地への経路に沿って走行するように、車両の自動運転制御などを行う。車載機1は、道路データ及び道路付近に設けられた目印となる地物や区画線等(「ランドマーク」とも呼ぶ。)に関する情報などが登録された地図データベース(DB:DataBase)10を記憶する。そして、車載機1は、この地図DB10に基づき、ライダ2等の出力と照合させて自車位置の推定を行う。また、車載機1は、検出したオブジェクトに関する情報を含むアップロード情報「Iu」をサーバ装置6へ送信する。車載機1は、情報処理装置及び情報送信装置の一例である。
ライダ2は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対してパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の点群情報を生成する。この場合、ライダ2は、照射方向を変えながらレーザ光を照射する照射部と、照射したレーザ光が物体で反射した反射光(散乱光)を受光する受光部と、受光部が出力する受光信号に基づくスキャンデータを出力する出力部とを有する。スキャンデータは、点群データであり、受光部が受光したレーザ光に対応する照射方向と、上述の受光信号に基づき特定される、その照射方向での物体までの距離とに基づき生成される。ライダ2、ジャイロセンサ3、車速センサ4、GPS受信機5は、それぞれ、出力データを車載機1へ供給する。
サーバ装置6は、各車載機1からアップロード情報Iuを受信して記憶する。サーバ装置6は、例えば、収集したアップロード情報Iuに基づき、配信地図DB20を更新する。また、サーバ装置6は、配信地図DB20の更新情報を含むダウンロード情報Idを各車載機1へ送信する。サーバ装置6は、情報処理装置及び地図データ生成装置の一例である。
図2(A)は、車載機1の機能的構成を示すブロック図である。車載機1は、主に、インターフェース11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、制御部15と、情報出力部16と、を有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
インターフェース11は、ライダ2、ジャイロセンサ3、車速センサ4、及びGPS受信機5などのセンサから出力データを取得し、制御部15へ供給する。
記憶部12は、制御部15が実行するプログラムや、制御部15が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、方式推奨情報IRと、ランドマーク情報ILと、ボクセルデータIBとを含む地図DB10を記憶する。方式推奨情報IRは、車載機1が実行可能な各自車位置推定方式の推奨度を示す値(単に「推奨値」とも呼ぶ。)を地点又はエリアごとに示した情報である。方式推奨情報IRは、推奨値情報の一例である。ランドマーク情報ILは、ランドマークとなる各オブジェクトに関する情報であって、各オブジェクトの位置、大きさ、形状などの属性情報を含む。ランドマークは、例えば、道路脇に周期的に並んでいるキロポスト、100mポスト、デリニエータ、交通インフラ設備(例えば標識、方面看板、信号)、電柱、街灯などの地物及び区画線等である。ランドマーク情報ILは、後述するランドマークベース位置推定において用いられる。ボクセルデータIBは、3次元空間を複数の領域に分割した場合の単位領域(「ボクセル」とも呼ぶ。)ごとの静止構造物の計測位置を示す点群データに関する情報である。
通信部13は、制御部15の制御に基づき、アップロード情報Iuの送信及びダウンロード情報Idの受信などを行う。入力部14は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。情報出力部16は、例えば、制御部15の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
制御部15は、プログラムを実行するCPUなどを含み、車載機1の全体を制御する。本実施例では、制御部15は、自車位置推定部17と、アップロード制御部18と、自動運転制御部19と、を有する。
自車位置推定部17は、複数の自車位置推定方式を選択的に又は組み合わせて実行することで、高精度な自車位置の推定を行う。本実施例では、一例として、自車位置推定部17は、ランドマーク情報を用いた位置推定(「ランドマークベース位置推定」とも呼ぶ。)と、ボクセルデータを用いた位置推定(「点群ベース位置推定」とも呼ぶ。)と、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いた位置推定(「GNSSベース位置推定」とも呼ぶ。)とを選択的に又は組み合わせて実行する。自車位置推定部17は、ランドマークベース位置推定及び点群ベース位置推定ではライダ2の出力に基づき自車位置推定を行い、GNSSベース位置推定ではGPS受信機5の出力に基づき自車位置推定を行う。本実施例では、後述するように、自車位置推定部17は、方式推奨情報IRを参照し、実行すべき位置推定方式を決定する。
さらに、自車位置推定部17は、自車位置を推定すると共に、推定した自車位置の推定精度に関する情報(「精度情報」とも呼ぶ。)を生成して記憶部12等に記憶する。ランドマークベース位置推定及び点群ベース位置推定の詳細とこれらの精度情報の生成方法については後述する。
アップロード制御部18は、ライダ2などの外界センサの出力に基づき所定のオブジェクトを検出した場合などに、検出したオブジェクトなどに関する情報を含むアップロード情報Iuを生成し、アップロード情報Iuをサーバ装置6へ送信する。また、本実施例では、アップロード制御部18は、実行した自車位置推定に関する情報(「位置推定関連情報」とも呼ぶ。)を、推定した位置情報と共にアップロード情報Iuに含めてサーバ装置6へ送信する。位置推定関連情報は、自車位置推定部17が推定した位置情報と、自車位置推定部17が実行した位置推定の精度情報と、当該精度情報の値の平均及び標準偏差の情報と、実行した自車位置推定方式を示す識別情報(「方式情報」とも呼ぶ。)とを含む。なお、上述の平均及び標準偏差は、自車位置推定部17が過去所定時間以内に算出した自車位置推定の精度情報の値の平均及び標準偏差である。アップロード制御部18は、「送信部」及びプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
自動運転制御部19は、地図DB10を参照し、設定された経路と、自車位置推定部17が推定した自車位置とに基づき、自動運転制御に必要な信号を車両に送信する。自動運転制御部19は、設定された経路に基づき、目標軌道を設定し、自車位置推定部17が推定した自車位置が目標軌道から所定幅以内のずれ幅となるように、車両に対してガイド信号を送信して車両の位置を制御する。
図2(B)は、サーバ装置6の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置6は、主に、通信部61と、記憶部62と、制御部65とを有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
通信部61は、制御部65の制御に基づき、アップロード情報Iuの受信及びダウンロード情報Idの送信などを行う。記憶部62は、制御部65が実行するプログラムや、制御部65が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部62は、地図DB10と同様のデータ構造を有する配信地図DB20と、各車載機1から受信したアップロード情報Iuに基づく精度情報のデータベースである精度情報DB27と、を記憶する。
制御部65は、プログラムを実行するCPUなどを含み、サーバ装置6の全体を制御する。本実施例では、制御部65は、通信部61により各車載機1から受信したアップロード情報Iuに含まれる位置推定関連情報に基づき精度情報DB27を更新する処理、精度情報DB27に基づき方式推奨情報IRを生成する処理、及び生成した方式推奨情報IRなどの地図更新情報を通信部61により各車載機1へ送信する処理などを行う。制御部65は、「生成部」の一例である。
[自車位置推定方式の具体例]
以下では、自車位置推定方式の具体例として、ランドマークベース位置推定、点群ベース位置推定、及びGNSSベース位置推定の概要について説明する。
(1)ランドマークベース位置推定
ランドマークベース位置推定では、自車位置推定部17は、ランドマークに対するライダ2による距離及び角度の計測値と、地図DB10から抽出したランドマークの位置情報とに基づき、ジャイロセンサ3、車速センサ4、及び/又はGPS受信機5の出力データから推定した自車位置を補正する。本実施例では、一例として、自車位置推定部17は、ジャイロセンサ3、車速センサ4等の出力データから自車位置を予測する予測ステップと、直前の予測ステップで算出した自車位置の予測値を補正する計測更新ステップとを交互に実行する。これらのステップで用いる状態推定フィルタは、ベイズ推定を行うように開発された様々のフィルタが利用可能であり、例えば、拡張カルマンフィルタ、アンセンテッドカルマンフィルタ、パーティクルフィルタなどが該当する。以後では、自車位置推定部17は、ランドマークベース位置推定の代表例として、拡張カルマンフィルタを用いた自車位置推定を行う例について説明する。
図3は、推定すべき自車位置を2次元直交座標で表した図である。図3に示すように、xyの2次元直交座標上で定義された平面での自車位置は、座標「(x、y)」、自車の方位(ヨー角)「ψ」により表される。ここでは、ヨー角ψは、車の進行方向とx軸とのなす角として定義されている。なお、本実施例では、上述の座標(x、y)及びヨー角ψに加えて、x軸及びy軸に垂直なz軸の座標を勘案した4変数(x、y、z、ψ)を自車位置の状態変数とした自車位置推定を行う。なお、一般的な道路は勾配が緩やかであるため、車両のピッチ角及びロール角については本実施例では原則的に無視するものとする。
図4は、予測ステップと計測更新ステップとの概略的な関係を示す図である。また、図5は、自車位置推定部17の機能ブロックの一例を示す。図4に示すように、予測ステップと計測更新ステップとを繰り返すことで、自車位置を示す状態変数ベクトル「X」の推定値の算出及び更新を逐次的に実行する。また、図5に示すように、自車位置推定部17は、予測ステップを実行する位置予測部21と、計測更新ステップを実行する位置推定部22とを有する。位置予測部21は、デッドレコニングブロック23及び位置予測ブロック24を含み、位置推定部22は、ランドマーク探索・抽出ブロック25及び位置補正ブロック26を含む。なお、図4では、計算対象となる基準時刻(即ち現在時刻)「k」の状態変数ベクトルを、「X(k)」または「X(k)」と表記している。ここで、予測ステップで推定された暫定的な推定値(予測値)には当該予測値を表す文字の上に「」を付し、計測更新ステップで更新された,より精度の高い推定値には当該値を表す文字の上に「」を付す。
予測ステップでは、デッドレコニングブロック23は、車両の移動速度「v」と角速度「ω」(これらをまとめて「制御値u(k)=(v(k)、ω(k))」と表記する。)を用い、前回時刻からの移動距離と方位変化を求める。制御部15の位置予測ブロック24は、直前の計測更新ステップで算出された時刻k−1の状態変数ベクトルX(k−1)に対し、求めた移動距離と方位変化を加えて、時刻kの自車位置の予測値(「予測位置」とも呼ぶ。)X(k)を算出する。また、これと同時に、予測位置X(k)の誤差分布に相当する共分散行列「P(k)」を、直前の計測更新ステップで算出された時刻k−1での共分散行列「P(k−1)」から算出する。
計測更新ステップでは、ランドマーク探索・抽出ブロック25は、地図DB10のランドマーク情報ILに登録されたランドマークの位置ベクトルとライダ2のスキャンデータとの対応付けを行う。そして、ランドマーク探索・抽出ブロック25は、この対応付けができた場合に、対応付けができたランドマークのライダ2による計測値「Z(k)」と、予測位置X(k)及び地図DB10に登録されたランドマークの位置ベクトルを用いてライダ2による計測処理をモデル化して求めたランドマークの計測値(「計測予測値」と呼ぶ。)「Z(k)」とをそれぞれ取得する。計測値Z(k)は、時刻kにライダ2が計測したランドマークの距離及びスキャン角度から、車両の進行方向と横方向を軸とした成分に変換した車両の座標系(「車両座標系」とも呼ぶ。)におけるベクトル値である。そして、位置補正ブロック26は、以下の式(1)に示すように、計測値Z(k)と計測予測値Z(k)との差分値にカルマンゲイン「K(k)」を乗算し、これを予測位置X(k)に加えることで、更新された状態変数ベクトル(「推定位置」とも呼ぶ。)X(k)を算出する。
また、計測更新ステップでは、位置補正ブロック26は、予測ステップと同様、推定位置X(k)の誤差分布に相当する共分散行列P(k)(単にP(k)とも表記する)を共分散行列P(k)から求める。カルマンゲインK(k)等のパラメータについては、例えば拡張カルマンフィルタを用いた公知の自己位置推定技術と同様に算出することが可能である。
このように、予測ステップと計測更新ステップが繰り返し実施され、予測位置X(k)と推定位置X(k)が逐次的に計算されることにより、もっとも確からしい自車位置が計算される。
ここで、位置推定の精度は、共分散行列Pの対角要素の値で判断することができる。ここで、時刻「k」のランドマークに対する計測値に基づき算出される共分散行列をP(k)とすると、共分散行列P(k)は、以下の式(2)により表される。
この場合、自車位置推定部17は、共分散行列P(k)の対角要素の平方根「σ(k)」、「σ(k)」、「σ(k)」、「σψ(k)」を、各状態変数x、y、z、ψに対する精度情報の値「d(k)」とみなす。
なお、状態変数x、y、zが地図において採用されるグローバル座標系である場合は、以下の式(3)に示すように、現在の推定方位角ψを用いた行列「Cψ(k)」を用いた演算によって車両座標系(X、Y、Z)に変換する。
行列Cψ(k)は以下の式(4)により示される。
この場合、自車位置推定部17は、車両座標系(X、Y、Z)に変換後の対角要素の平方根σ(k)、σ(k)、σ(k)、σΨ(k)を、各状態変数に対する精度情報の値d(k)とみなす。
(2)点群ベース位置推定
次に、ボクセルデータIBを用いた点群ベース位置推定について説明する。点群ベース位置推定で用いるボクセルデータIBは、各ボクセル内の静止構造物の計測された点群データを正規分布により表したデータを含み、NDT(Normal Distributions Transform)を用いたスキャンマッチングに用いられる。
図6は、点群ベース位置推定における自車位置推定部17の一例を示している。図5に示したランドマークベース位置推定における自車位置推定部17との違いは、ランドマーク探索・抽出部25の代わりに、ライダ2より得られた点群データと地図DBから取得したボクセルを対応付けする処理として、点群データ対応付けブロック27が設けられていることである。
図7は、ボクセルデータIBの概略的なデータ構造の一例を示す。ボクセルデータIBは、ボクセル内の点群を正規分布で表現する場合のパラメータの情報を含み、本実施例では、図7に示すように、ボクセルIDと、ボクセル座標と、平均ベクトルと、共分散行列とを含む。ここで、「ボクセル座標」は、各ボクセルの中心位置などの基準となる位置の絶対的な3次元座標を示す。なお、各ボクセルは、空間を格子状に分割した立方体であり、予め形状及び大きさが定められているため、ボクセル座標により各ボクセルの空間を特定することが可能である。ボクセル座標は、ボクセルIDとして用いられてもよい。
「平均ベクトル」及び「共分散行列」は、対象のボクセル内での点群を正規分布で表現する場合のパラメータに相当する平均ベクトル及び共分散行列を示し、任意のボクセル「n」内の任意の点「i」の座標をX(i)=[x(i)、y(i)、z(i)]と定義し、ボクセルn内での点群数を「N」とすると、ボクセルnでの平均ベクトル「μ」及び共分散行列「V」は、それぞれ以下の式(5)及び式(6)により表される。
車両を想定したNDTによるスキャンマッチングは、道路平面(ここではxy座標とする)内の移動量及び車両の向きを要素とした推定パラメータP=[t、t、t、tψを推定することとなる。ここで、「t」は、x方向の移動量を示し、「t」は、y方向の移動量を示し、「t」は、z方向の移動量を示し、「tψ」は、ヨー角を示す。なお、ピッチ角、ロール角は、道路勾配や振動によって生じるものの、無視できる程度に小さい。
また、ライダ2により得られた点群データに対して、マッチングさせるべきボクセルとの対応付けを行い、対応するボクセルnでの任意の点の座標をX(i)=[x(i)、y(i)、z(i)]とすると、ボクセルnでのX(i)の平均値「L´」は、以下の式(7)により表される。
そして、上述の推定パラメータPを用い、平均値L´を座標変換すると、変換後の座標「L」は、以下の式(8)により表される。
そして、本実施例では、車載機1は、座標変換した点群と、ボクセルデータに含まれる平均ベクトルμと共分散行列Vとを用い、以下の式(9)により示されるボクセルnの評価関数値「E」及び式(10)により示されるマッチングの対象となる全てのボクセルを対象とした総合的な評価関数値「E(k)」(「総合評価関数値」とも呼ぶ。)を算出する。
以後では、ボクセルごとの評価関数値Eを「個別評価関数値」とも呼ぶ。その後、車載機1は、ニュートン法などの任意の求根アルゴリズムにより総合評価関数値E(k)が最大となるとなる推定パラメータPを算出する。そして、車載機1は、図6に示した位置予測部21等から予測した自車位置X(k)に対し、推定パラメータPを適用することで、以下の式(11)を用いて高精度な自車位置X(k)を推定する。
ここで、総合評価関数値Eは、大きい値であるほど、マッチング度合が高いことを示し、位置推定精度が良い結果となる。よって、本実施例では、自車位置推定部17は、点群ベース位置推定の精度情報の値「d(k)」を、以下の式により定める。
d(k)=−E(k)
なお、上記の式では、ランドマークベース位置推定で算出する共分散行列Pの対角要素の平方根「σ(k)」、「σ(k)」、「σ(k)」、「σψ(k)」と同様、位置推定精度が良好なほど小さくなるように、点群ベース位置推定の精度情報の値d(k)が定義されている。
(3)GNSSベース位置推定
自車位置推定部17は、GNSSベース位置推定では、GPS受信機5の出力に基づき自車位置推定を行う。また、自車位置推定部17は、GNSSベース位置推定を実行する場合、例えば、GPS受信機5から得られるDOP(Dilution Of Precision)を精度情報の値d(k)として取得する。他の例では、自車位置推定部17は、所定時間内にGPS受信機5から取得した緯度、経度、高度の各々の標準偏差の値を、緯度、経度、高度の各々に対する精度情報の値d(k)として取得する。なおGPS受信機5は、GPSだけでなく、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等も測位できる受信機であっても良い。
[方式推奨情報]
図8は、方式推奨情報IRのデータ構造の一例を示す。図8に示す方式推奨情報IRは、「位置」及び「推奨値」の項目を含み、「位置」は、「車線リンクID」、「CRP(Common Reference Point)」、「CRPからの距離」の各サブ項目を含む。また、「推奨値」は、ランドマークベース位置推定に対応する「ランドマークベース」、点群ベース位置推定に対応する「点群ベース」及び、GNSSベース位置推定に対応する「GNSSベース」の各サブ項目を含む。なお、推奨値は、0から1までの値域を有している。
ここで「車線リンクID」は、対象の地点が属する車線に対して割り当てられた車線リンクIDを示し、「CRP」は、対象の地点が属する車線において基準となる基準点(参照点)を示し、「CRPからの距離」は、「CRP」において規定された基準点から対象の地点までの距離を示す。ここでは、「CRP」に指定される基準点として、対象の地点が属する車線の始点に相当するノードのノードID(「N1」、「N4」、「N5」、「N9」)が指定されている。そして、「位置」は、例えば、「車線リンクID」、「CRP」、「CRPからの距離」の組合せにより、所定間隔ごとの地点を車線ごとに指し示している。
また、「推奨値」の「ランドマークベース」には、「進行方向」、「横方向」、「高さ方向」、「方位」の各サブ項目が設けられ、各サブ項目に対応する状態変数の精度向上に対する有効性を示す推奨値が規定されている。また、「推奨値」の「点群ベース」には、マッチングによる精度向上に対する有効性を示す推奨値が規定されている。同様に、「推奨値」の「GNSSベース」には、「緯度」、「経度」、「高度」の各サブ項目が設けられ、緯度、経度、高度のそれぞれの精度向上に対する有効性を示す推奨値が規定されている。
このように、図8に示す方式推奨情報IRでは、「位置」において規定された地点ごとに、ランドマークベース位置推定、点群ベース位置推定、及びGNSSベース位置推定の夫々に対し、0から1の値域となる推奨値が規定されている。
ここで、それぞれの位置推定方式には、当該方式の実行に適したエリアと適さないエリアが存在するため、エリアごとに各方式に対する推奨値は異なっている。例えば、高速道路では,白線や方面看板やキロポストなどの道路標識が整備されており,ランドマークが高確率で検出できるため,高速道路ではランドマークベース位置推定に対する推奨値が高くなる。一方、市街地の一般道路では,白線が劣化している箇所もあり,また他車両も多くオクルージョンによってランドマークが検出できないことがあるため、ランドマークベース位置推定に対する推奨値が低くなる。一方、このような市街地の一般道路では,道路周辺に建物等の構造物があり空間的な特徴点が多いため、点群ベース位置推定に対する推奨値が高くなる。また、郊外の道路では,ランドマークが少なく,かつ道路周辺に構造物も少ないような場所が多いため、ランドマークベース位置推定及び点群ベース位置推定に対する推奨値が低くなる。一方、このような郊外の道路では、上空が開けているので,マルチパスの無い良好な環境でGNSSを受信しやすいため、GNSSベース位置推定に対する推奨値が高くなる。
また、図8では、車線ごとに各自車位置推定方式の推奨値が規定されている。これにより、例えば、道路左側の道路標識や構造物を検出する際に他車両によるオクルージョンが発生しない左側車線でのランドマークベース位置推定や点群ベース位置推定に対する推奨値を高くし、マルチパスの可能性が高まる左側車線でのGNSSベース位置推定に対する推奨値を下げるといった車線ごとの推奨値の設定が可能となる。
そして、自車位置推定部17は、図8に示すデータ構造を有する方式推奨情報IRを参照することで、実行すべき自車位置推定方式を好適に決定することが可能である。例えば、自車位置推定部17は、方式推奨情報IRの「位置」において規定された地点であって、1時刻前に推定した自車位置が属する車線上にある最も近い地点に対応する方式推奨情報IRのレコードを抽出し、抽出したレコードの各ランドマークベース位置推定、点群ベース位置推定、及びGNSSベース位置推定の各推奨値に基づき、自車位置推定方式を決定する。
この場合、第1の例では、自車位置推定部17は、その地点について規定された、推奨値が最も高い自車位置推定方式に基づき、自車位置推定を実行する。即ち、この場合、自車位置推定部17は、推奨値が最も高い自車位置推定方式のみを選択的に実行することで、自車位置を推定する。なお、ランドマークベース位置推定やGNSSベース位置推定などの自車位置推定方式のように、推定するパラメータごとに推奨値が複数存在する場合、それらの推奨値のうち最も高い推奨値を、当該自車位置推定方式の推奨値の代表値として用いてもよく、それらの推奨値の平均値又は中央値を、当該自車位置推定方式の推奨値の代表値として用いてもよい。また、自車位置推定部17は、ランドマークベース位置推定の場合、自車の現在の位置推定精度に基づき、進行方向、横方向、高さ方向、方位のうち最も重視すべき状態変数(例えば最も推定精度が低い状態変数)に対応する推奨値を、当該自車位置推定方式の推奨値の代表値として用いてもよい。
第2の例では、自車位置推定部17は、方式推奨情報IRに規定された全ての自車位置推定方式(推奨値が0の方式を除く)を実行し、各自車位置推定方式により得られた位置推定結果を、それぞれの自車位置推定方式に対応する推奨値により重み付け平均することで、最終的な位置推定結果を算出する。なお、第1の例と第2の例のいずれを採用するかは、例えば、自車位置推定部17として機能するCPUの能力に応じて決定される。
また、自動運転制御部19は、方式推奨情報IRを参照して車両の目標軌道を決定してもよい。例えば、自動運転制御部19は、現在実行している位置推定方式の推奨値を現在走行中の道路に含まれる車線ごとに比較し、最も推奨値が高い車線を走行するように車両の目標軌道を決定する。他の例では、自動運転制御部19は、経路探索処理において、推奨値が低い道路ほど当該道路を通るコストを高く設定することで、推奨値の低い道路を走行経路として設定しにくくしてもよい。さらに別の例では、自動運転制御部19は、推奨値が低い道路を走行する際に、車両の走行速度を下げることで、ランドマーク等のライダ2による計測精度を向上させてもよい。
[アップロード情報]
次に、車載機1が送信するアップロード情報Iuについて説明する。
図9は、車載機1が送信するアップロード情報Iuのデータ構造の概要を示す図である。図9に示すように、アップロード情報Iuは、ヘッダ情報と、走行経路情報と、イベント情報と、メディア情報とを含む。
ヘッダ情報は、「バージョン」、「送信元」、「車両メタデータ」の各項目を含む。車載機1は、「バージョン」に、使用されるアップロード情報Iuのデータ構造のバージョンの情報を指定し、「送信元」には、アップロード情報Iuを送信する会社名(車両のOEM名又はシステムベンダー名)の情報を指定する。また、車載機1は、「車両メタデータ」に、車両の属性情報(例えば車両種別、車両ID、車幅、車高等)を指定する。走行経路情報は、「位置推定」の項目を含む。車載機1は、この「位置推定」には、位置推定時刻を示すタイムスタンプ情報の他、推定した車両の位置を示す緯度、経度、標高の情報、及びこれらの推定精度に関する情報などを指定する。
イベント情報は、「オブジェクト認識イベント」の項目を含む。車載機1は、オブジェクト認識イベントを検知した場合に、その検知結果となる情報を「オブジェクト認識イベント」に指定する。メディア情報は、ライダ2などの外界センサの出力データ(検出情報)である生データを送信する際に使用されるデータタイプである。
本実施例では、車載機1は、アップロード情報Iuに位置推定関連情報を含めてサーバ装置6へ送信する。この場合、車載機1は、例えば、「位置推定」の項目に位置推定関連情報の各情報を指定してもよく、イベント情報として位置推定関連情報を通知するための項目を新たに設け、当該項目に位置推定関連情報の各情報を指定してもよい。これにより、車載機1は、推定した車両の位置情報と共に、位置推定関連情報を好適にサーバ装置6に通知することができる。
[方式推定情報の生成]
次に、サーバ装置6が実行する方式推奨情報IRの生成方法について説明する。
(1)標準化精度情報の算出
まず、サーバ装置6は、車載機1から位置推定関連情報を含むアップロード情報Iuを受信した場合、位置推定関連情報に含まれる精度情報と、精度情報の平均及び標準偏差の情報とに基づき、平均0及び標準偏差1に正規化(標準化)された精度情報(「標準化精度情報」とも呼ぶ。)を算出する。ここで、位置推定関連情報に含まれる精度情報を「d(k)」、平均を「μ(k)」、標準偏差を「σ(k)」とすると、サーバ装置6は、標準化精度情報の値「S(k)」を以下の式(12)により算出する。
式(12)に示すように、標準化精度情報の値S(k)は、平均μ(k)より小さいと負値となり、平均μ(k)より大きいと正値となる。また、標準化精度情報の値S(k)は、標準偏差σ(k)が大きいほど0に近づき、標準偏差σ(k)が小さいほど大きい値となる。従って、標準化精度情報の値S(k)は、精度情報の値d(k)の分布を用いて標準化した表現となる。なお、自車位置推定方式がランドマークベース位置推定の場合には、サーバ装置6は、状態変数(進行方向、横方向、高さ方向、方位)ごとに標準化精度情報の値S(k)を算出する。GNSSベース位置推定についても同様に、サーバ装置6は、緯度、経度、高度ごとに標準化精度情報の値S(k)を算出する。
図10(A)は、ある地点において異なる車両に搭載された車載機1がそれぞれ異なる自車位置推定方式で自車位置推定を行った場合に得られる精度情報の値d(k)、d(k)の推移を示した図である。ここで、グラフG1により示される精度情報の値d(k)は、平均「μ(k)」、標準偏差「σ(k)」の分布となり、グラフG2により示される精度情報の値d(k)は、平均「μ(k)」、標準偏差「σ(k)」の分布となっている。このように、精度情報は、実行する自車位置推定方式及び使用するセンサの精度などに起因して平均及び標準偏差が異なるものとなる。
図10(B)は、精度情報の値d(k)を式(12)に基づき標準化した標準化精度情報の値S(k)の推移と、精度情報の値d(k)を式(12)に基づき標準化した標準化精度情報の値S(k)の推移とを示した図である。ここで、グラフG3により示される標準化精度情報の値S(k)と、グラフG4により示される標準化精度情報の値S(k)とは、共に平均0及び標準偏差1の分布となっている。このように、式(12)に基づき標準化精度情報を算出することで、異なる分布となる精度情報を同じ軸により取り扱うことが可能となる。
従って、本実施例では、サーバ装置6は、車載機1から受信したアップロード情報Iuに含まれる位置推定関連情報の精度情報、平均及び標準偏差の情報を標準化精度情報に変換し、変換した標準化精度情報を、位置推定関連情報に含まれる方式情報及び位置情報と関連付けて精度情報DB27に記憶する。したがって、標準化精度情報に対し、位置「p」をパラメータとした値S(p)として扱うことが可能となる。なお、サーバ装置6は、アップロード情報Iuの受信時に標準化精度情報を算出する代わりに、推奨値の算出時において標準化精度情報を算出してもよい。この場合、精度情報DB27には、車載機1から受信したアップロード情報Iuに含まれる位置推定関連情報が記録される。
(2)推奨値の算出
次に、方式推奨情報IRに含まれる、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとの推定値の算出方法について説明する。
サーバ装置6は、まず、方式推奨情報IRの更新タイミングにおいて、精度情報DB27に記録された標準化精度情報を、地点pごと且つ自車位置推定方式ごとに平均化した値「S(p)」を算出する。この場合、サーバ装置6は、標準化精度情報に関連付けられた位置情報に基づき、図8に示す方式推奨情報IRの項目「位置」により特定される地点ごとに標準化精度情報を分類すると共に、標準化精度情報に関連付けられた方式情報に基づき、自車位置推定方式ごとに標準化精度情報を分類する。そして、サーバ装置6は、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに分類された標準化精度情報の値を、それぞれ平均化することで、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに平均値S(p)を算出する。
なお、サーバ装置6は、自車位置推定方式がランドマークベース位置推定の場合には、状態変数(進行方向、横方向、高さ方向、方位)ごとに標準化精度情報の値S(p)を平均化する。GNSSベース位置推定についても同様に、サーバ装置6は、緯度、経度、高度ごとに標準化精度情報の値S(p)を平均化する。
図11(A)は、複数の車載機1のアップロード情報Iuに基づき算出されたランドマークベース位置推定の進行方向の標準化精度情報の値S(p)の推移と、これらを平均化した値S (p)の推移とを示す。また、図11(B)は、複数の車載機1のアップロード情報Iuに基づき算出されたランドマークベース位置推定の横方向の標準化精度情報の値S(p)の推移と、これらを平均化した値S (p)の推移とを示す。さらに、図11(C)は、複数の車載機1のアップロード情報Iuに基づき算出された点群ベース位置推定の標準化精度情報の値S(p)の推移と、これらを平均化した値S(p)との推移とを示す。
次に、サーバ装置6は、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに算出した平均値S(p)に基づき、各地点における自車位置推定方式ごとの推奨値「r(p)」を設定する。ここで、サーバ装置6は、平均値S(p)が小さいほど、その場所の推定位置精度が良いため、推奨値r(p)が大きくなるようにする。言い換えると、サーバ装置6は、平均値S(p)が大きいほど、その場所の推定位置精度が悪いため、推奨値r(p)を小さくする。
例えば、サーバ装置6は、一例として、以下の式(13)〜式(15)のいずれかを参照して推奨値r(p)を算出することにより、平均値S(p)が負の方向に大きいほど推奨値r(p)を1に近付け、平均値S(p)が大きいほど推奨値r(p)を0に近付けるように生成することができる。
図12(A)は、式(13)〜式(15)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示す。ここで、グラフG5は、式(13)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示し、グラフG6は、式(14)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示し、グラフG7は、式(15)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示す。図12(A)に示すように、式(13)〜式(15)のいずれを参照して平均値S(p)から推奨値r(p)を決定した場合であっても、平均値S(p)が負の方向に大きいほど推奨値r(p)が1に近付き、平均値S(p)が大きいほど推奨値r(p)が0に近付く。
また、サーバ装置6は、式(13)〜式(15)に係数cを導入した以下の式(16)〜式(18)のいずれかを用いることで、平均値S(p)から推奨値r(p)への変換割合を好適に調整することが可能である。
図12(B)は、係数cを0.5に設定した場合の式(16)〜式(18)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示す。ここで、グラフG8は、式(16)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示し、グラフG9は、式(17)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示し、グラフG10は、式(18)に基づく平均値S(p)と推奨値r(p)との対応関係を示す。図12(B)に示すように、式(16)〜式(18)のいずれかを参照して平均値S(p)から推奨値r(p)を決定した場合、式(13)〜式(15)のいずれかを参照して平均値S(p)から推奨値r(p)を決定した場合と比べて、平均値S(p)から推奨値r(p)への変換割合が異なっている。このように、係数cを調整することで、平均値S(p)から推奨値r(p)への変換割合を好適に調整することができる。
[処理フロー]
図13は、アップロード情報Iuおよびダウンロード情報Idの送受信に関する処理の概要を示すフローチャートの一例である。
まず、車載機1は、自車位置推定を行い、精度情報の算出及び記憶部12への記憶を行う(ステップS101)。例えば、この場合、車載機1は、方式推奨情報IRのレコードに含まれる地点のうち、1時刻前に推定した自車位置が属する車線上にある最も近い地点に対応する各自車位置推定方式の推奨値に基づき、実行すべき自車位置推定方式を決定する。また、車載機1は、自車位置推定と共に精度情報を算出し、記憶部12へ記憶する。次に、車載機1は、アップロード情報Iuの送信タイミングであるか否か判定する(ステップS102)。そして、車載機1は、アップロード情報Iuの送信タイミングではない場合(ステップS102;No)、引き続きステップS101の処理を実行する。
一方、車載機1は、アップロード情報Iuの送信タイミングであると判断した場合(ステップS102;Yes)、記憶部12に記憶された過去所定時間内での精度情報の値の平均及び標準偏差を算出する。そして、車載機1は、直前のステップS101で算出した精度情報と上述の平均及び標準偏差とを、ステップS101で実行した自車位置推定方式を示す方式情報及び推定した位置情報と共にアップロード情報Iuに含めてサーバ装置6へ送信する(ステップS103)。なお、車載機1は、ステップS101において複数の自車位置推定方式を実行していた場合には、例えば、それぞれの自車位置推定方式についての精度情報、平均、標準偏差を含むアップロード情報Iuをサーバ装置6へ送信するとよい。
次に、車載機1からアップロード情報Iuを受信したサーバ装置6は、アップロード情報Iuに含まれる精度情報、平均、標準偏差から式(12)に基づき標準化精度情報を算出し、算出した標準化精度情報を方式情報及び位置情報と共に精度情報DB27に記憶する(ステップS201)。
次に、サーバ装置6は、配信地図DB20の更新タイミングか否か判定する(ステップS202)。そして、サーバ装置6は、配信地図DB20の更新タイミングではない場合(ステップS202;No)、引き続き車載機1からアップロード情報Iuを受信してステップS201の処理を実行する。
一方、サーバ装置6は、配信地図DB20の更新タイミングであると判断した場合(ステップS202;Yes)、精度情報DB27を参照し、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに推奨値を算出する(ステップS203)。この場合、例えば、サーバ装置6は、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに標準化精度情報を平均化し、式(13)〜式(18)のいずれかに基づき、地点ごと且つ自車位置推定方式ごとに推奨値を算出する。これにより、サーバ装置6は、好適に方式推奨情報IRを生成する。そして、サーバ装置6は、生成した方式推奨情報IRに基づき配信地図DB20の更新を行う(ステップS204)。そして、サーバ装置6は、生成した方式推奨情報IRを含むダウンロード情報Idを各車載機1へ送信する(ステップS205)。
車載機1は、ダウンロード情報Idを受信した場合(ステップS104;Yes)、当該ダウンロード情報Idを用いて地図DB10を更新する(ステップS105)。これにより、地図DB10には、最新の方式推奨情報IRが記録される。一方、車載機1は、サーバ装置6からダウンロード情報Idを受信していない場合(ステップS104;No)、ステップS101へ処理を戻す。
[変形例]
以下、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、組み合わせてこれらの実施例に適用してもよい。
(変形例1)
図8に示す方式推奨情報IRは、各自車位置推定方式の推奨値が地点ごとに記録されていた。これに代えて、方式推奨情報IRは、各自車位置推定方式の推奨値が区間ごとに記録されていてもよい。この場合、例えば、方式推奨情報IRの「位置」には、対象となる区間の始点及び終点の位置を示す情報がそれぞれ指定される。他の例では、方式推奨情報IRの「位置」には、車線又は道路を表すリンクIDのみが指定されていてもよい。
(変形例2)
図8に示す方式推奨情報IRは、各自車位置推定方式の推奨値が設定される地点が、車線と関連付けてCRPからの距離として定義されていた。これに代えて、地点を緯度経度情報で表してもよい。この場合、車載機1は、実行すべき自車位置推定方式の決定にあたっては、直前に推定した自車位置に最も近い、方式推奨情報IRのレコードに含まれる地点に対応する各自車位置推定方式の推奨値に基づき、実行すべき自車位置推定方式を決定するとよい。
(変形例3)
図1に示す運転支援システムの構成は一例であり、本発明が適用可能な運転支援システムの構成は図1に示す構成に限定されない。例えば、運転支援システムは、車載機1を有する代わりに、車両の電子制御装置が車載機1の自車位置推定部17、アップロード制御部18、及び自動運転制御部19の処理を実行してもよい。この場合、地図DB10は、例えば車両内の記憶部に記憶され、車両の電子制御装置は、サーバ装置6とのアップロード情報Iu及びダウンロード情報Idの授受を、車載機1を介して又は図示しない通信部を介して行ってもよい。
1 車載機
2 ライダ
3 ジャイロセンサ
4 車速センサ
5 GPS受信機
6 サーバ装置
10 地図DB
20 配信地図DB

Claims (7)

  1. 移動体の位置推定の精度に関する情報を収集する情報処理装置に送信されるデータのデータ構造であって、
    移動体の推定された位置を示す位置情報と、
    前記位置の推定精度を示す精度情報と、
    前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、
    前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を含み、
    地点又はエリアごと、かつ、前記推定方式ごとの位置推定の推奨値を前記情報処理装置が算出するのに用いられるデータのデータ構造。
  2. 前記方向ごとの前記精度情報と、前記方向ごとの前記平均及び前記標準偏差の情報とを含む請求項1に記載のデータ構造。
  3. 前記方位に対する前記精度情報と、前記方位に対する前記平均及び前記標準偏差の情報とをさらに含む請求項2に記載のデータ構造。
  4. 移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信部
    を有する情報送信装置。
  5. 情報送信装置が実行する制御方法であって、
    移動体の推定された位置を示す位置情報と、前記位置の推定精度を示す精度情報と、前記位置を推定した時点を含む所定期間における前記推定精度の平均及び標準偏差の情報と、前記位置の推定に用いた推定方式を示す方式情報と、を情報処理装置へ送信する送信工程
    を有する制御方法。
  6. 請求項5に記載の制御方法を、コンピュータにより実行させるプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
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