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JP2019171341A - 気化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うこと。【解決手段】配管12が配置される領域を前段領域E1と後段領域E2とに分け、前段領域E1の配管12を加熱する前段ヒータ14と、後段領域E2の配管12を加熱する後段ヒータ15と、配管12の入口温度及び出口温度を測定する前段温度センサ16及び後段温度センサ17と、前段温度センサ16の検出結果をもとに配管12の入口の温度が所定温度範囲内(気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下)となるように前段ヒータ14を用いて温度制御する前段温度制御部21と、後段温度センサ17の検出結果をもとに配管12の出口の温度が所定温度範囲内となるように後段ヒータ15を用いて温度制御する後段温度制御部22と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うことができる気化装置に関する。
近年、光ファイバ用ガラス母材は、生産性を向上させるために大型化が進んでいる。光ファイバ用ガラス母材は、例えば、VAD(Vapor Phase Axial Deposition)法やMCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法、OVD(Outside Vapor Deposition)法などの周知の方法によって作製される。
なお、特許文献1には、光ファイバ用ガラス母材の原料ガスを生成するための気化装置に対して、1対のヒータと熱電対とを用いて気化装置内の温度制御を行うものが記載されている。
特開2002−124512号公報
ところで、供給配管を介してバーナーに供給される原料ガスは気化装置で気化される。気化装置には、シロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン;OMCTS)などの原料材料とキャリアガスとの気液混合体が導入される。シロキサンとキャリアガスとの気液混合体は、理論上、シロキサンの蒸気圧が混合体の分圧と等しくなる温度(露点)より温度を高くすれば完全気化が可能であるが、即座に気化させるためにはそれよりも十分高い温度で加熱する必要がある。一方、高温の壁面に液滴が付着すると重合反応によるゲル化が促進されるリスクがある。このため、気化装置の内部壁面温度は、ある範囲に限定される。例えば、原料ガスは、シロキサンの沸点以上、沸点+30℃以下の範囲内である必要がある。
ここで、気化装置の入口壁面温度を制御していると、蒸発後のガスが通る下流側の壁面は蒸発潜熱が不要であるのと、ガスの温度自体が上昇しているため、必然的に入口温度より高くなる。この結果、原料ガスは過剰に加熱され過ぎてゲル化のリスクが高まってしまう。一方、気化装置の下流側の壁面温度が過剰に高くならないように制御すると、気化装置の入口側の温度が低下し、十分に気化できなくなってしまう。
また、気化装置に流入する気化対象の気液混合体の流量が多くなると、気化装置の入口壁面温度で温度制御していると、出口側の原料ガスが過剰に加熱され過ぎてゲル化のリスクが高まり、気化装置の出口壁面温度で温度制御していると、入口側の温度が低下して十分な気化を行うことができなくなる。
さらに、気液混合体における原料材料とキャリアガスとの混合比によっても、温度制御が不安定になる。原料材料は気化する際、気化熱を奪うからである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うことができる気化装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる気化装置は、液体材料とキャリアガスとの気液混合体が流れる配管を加熱して前記液体材料を所定温度範囲内で気化して出力する気化装置であって、前記配管が配置される領域は前段領域と後段領域とに分かれており、前記前段領域の配管を加熱する前段ヒータと、前記後段領域の配管を加熱する後段ヒータと、前記前段領域の配管の入口温度を測定する前段温度センサと、前記後段領域の配管の出口温度を測定する後段温度センサと、前記前段温度センサの検出結果をもとに前記配管の入口の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記前段ヒータを用いて温度制御する前段温度制御部と、前記後段温度センサの検出結果をもとに前記配管の出口の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記後段ヒータを用いて温度制御する後段温度制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる気化装置は、上記の発明において、前記前段ヒータの加熱最大出力は、前記後段ヒータの加熱最大出力よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明にかかる気化装置は、上記の発明において、前記前段領域と前記後段領域との間に中間領域を設け、前記中間領域の配管を加熱する中間ヒータと、前記中間領域の配管の温度を測定する中間温度センサと、前記中間温度センサの検出結果をもとに前記配管の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記中間ヒータを用いて温度制御する中間温度制御部と、をさらに設けたことを特徴とする。
また、本発明にかかる気化装置は、上記の発明において、前記上限温度は、気化された液体材料のゲル化が発生しない上限の温度であることを特徴とする。
また、本発明にかかる気化装置は、上記の発明において、前記液体材料はシロキサンであり、前記マージン温度は30℃であることを特徴とする。
本発明によれば、流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態である気化装置の構成を示す模式図である。 図2は、流入される気液混合体の流量変化時における配管内の原料ガスの温度変化を示す図である。 図3は、従来における、流入される気液混合体の流量変化時における配管内の原料ガスの温度変化を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態の変形例である気化装置の構成を示す模式図である。 図5は、図4に示した気化装置による、流入される気液混合体の流量変化時における配管12内の原料ガスの温度変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態である気化装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、気化装置1は、気化装置本体10と、温度制御部20とを有する。
気化装置本体10は、気化対象となる気液混合体を流す耐腐食性(例えばステンレス製)の配管12と、配管12の上流(前段)側を加熱する前段ヒータ14と、配管12の下流(後段)側を加熱する後段ヒータ15と、配管12の入口温度を測定する前段温度センサ16と、配管12の出口温度を測定する後段温度センサ17とを有し、これらはアルミニウムで鋳込んで形成され、アルミニウムは、例えば外形が直方体形状を呈するアルミブロック11となる。
流入する気液混合体は、原料材料とキャリアガスとの混合体であり、原料材料は、シロキサン、具体的にはオクタメチルシクロテトラシロキサンである。キャリアガスは、アルゴンガスなどの不活性ガスである。気液混合体は、配管12の導入口12aから流入し、気化された混合ガスは、配管12の導出口12bから流出する。
配管12は、上記したようにステンレス製であり、アルミブロック11内でスパイラルを描くように、巻回されている。アルミブロック11は、前段ヒータ14が配置される前段領域E1と後段ヒータ15が配置される後段領域E2とに分けられ、前段領域E1と後段領域E2とは断熱材などの断熱面13で熱的に分離されている。前段領域E1は、原料材料を気化する蒸発領域であり、後段領域E2は、気化された原料ガスの温度を維持する温度調整領域である。
前段ヒータ14は、前段領域E1の配管12のスパイラル内に囲まれるように配置され、配管12を加熱する。後段ヒータ15は、後段領域E2の配管12のスパイラル内に囲まれるように配置され、配管12を加熱する。
前段温度センサ16は、熱電対であり、配管12のアルミブロック11への入口の配管に接触して配置され、配管12の入口温度を測定する。後段温度センサ17は、熱電対であり、配管12のアルミブロック11からの出口の配管に接触して配置され、配管12の出口温度を測定する。
温度制御部20は、前段温度制御部21、後段温度制御部22、前段ヒータ電源供給部23、及び後段ヒータ電源供給部24を有する。前段温度制御部21は、前段温度センサ16が測定した温度が所定温度範囲内となるように、前段ヒータ電源供給部23を通電制御し、前段ヒータ14の加熱制御を行う。なお、所定温度範囲とは、シロキサンの沸点以上、沸点にマージン温度(30℃)を加えた上限温度以下である。後段温度制御部22は、後段温度センサ17が測定した温度が所定温度範囲内となるように、後段ヒータ電源供給部24を通電制御し、後段ヒータ15の加熱制御を行う。すなわち、前段領域E1に対する温度制御と、後段領域E2に対する温度制御とは独立して行われる。
ここで、前段ヒータ14の加熱最大出力は、後段ヒータ15の加熱最大出力よりも大きくしている。これは、前段領域E1では、原料材料を気化する際の気化熱が余分に必要であるからである。
図2は、流入される気液混合体の流量変化時における配管12内の原料ガスの温度変化を示す図である。図2では、小流量の時の温度変化を曲線L1で示し、大流量の時の温度変化を曲線L2で示している。図2に示すように、気液混合体の流量が違っても、前段温度センサ16が配置される入口温度は、気化熱が奪われるにもかかわらず沸点T1以上を維持し、後段温度センサ17が配置される出口温度は、沸点にマージン温度30℃を加えた上限温度T2を超えていない。この結果、気化された混合ガスは気化装置本体10内でのゲル化を抑止することができる。
また、大流量の時、前段領域E1では、後段ヒータ15に比して加熱最大出力が大きいため、原料材料を十分に気化することができるとともに、この大きな加熱出力は、後段領域E2には影響しないため、後段領域E2の気化された混合ガスが上限温度を超えないように、容易に温度制御することができる。
したがって、本実施の形態では、流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うことができる
なお、図3に示すように、1つのヒータ及び1つの温度センサによって配管内の混合ガスの温度制御を行う場合、流入する気液混合体が小流量の場合には、混合ガスを所定温度範囲内に収めることができる(曲線L101参照)が、流入する気液混合体が大流量になった場合で、温度制御点が入口である場合、気化のための加熱量が大きくなり、その熱が後段側の配管にも伝達し、出口温度が上限温度を超えてしまい、気化された原料ガスのゲル化を促進してしまう(曲線L103参照)。
一方、流入する気液混合体が大流量になった場合で、温度制御点が出口である場合、気化のための加熱量を大きくすることができず、十分な気化を行うことができない(曲線L102参照)。
<変形例>
図4は、本発明の実施の形態の変形例である気化装置1´の構成を示す模式図である。図4に示すように、気化装置1´の気化装置本体10´は、前段領域E1と後段領域E2に対応する後段領域E22との間にさらに独立した中間領域E21を設けている。なお、前段領域E1、中間領域E21、後段領域E22の長手方向の流さは任意に設定できる。例えば、前段領域E1をそのままにし、後段領域E2を中間領域E21と後段領域E22とに分けてもよい。
前段領域E1と中間領域E21との間、及び中間領域E21と後段領域E22との間には、それぞれ断熱面13に対応した断熱面13a,13bが形成される。また、中間領域E21には、独立した中間ヒータ18が設けられるとともに、中間温度センサ19が設けられる。図示しない中間温度制御部は、中間温度センサ19が測定した温度が所定温度範囲内となるように、中間ヒータ18の加熱量を制御する。なお、中間温度センサ19は、配管12に接触するが、配管12上の配置位置は任意である。なお、加熱最大出力は、後段ヒータ15、中間ヒータ18、前段ヒータ14の順に、大きくしている。
図5は、図4に示した気化装置1´による、流入される気液混合体の流量変化時における配管12内の原料ガスの温度変化を示す図である。図5では、小流量の時の温度変化を曲線L11で示し、大流量の時の温度変化を曲線L12で示している。図5に示すように、気液混合体の流量が違っても、前段温度センサ16が配置される入口温度は、気化熱が奪われるにもかかわらず沸点T1以上を維持し、後段温度センサ17が配置される出口温度は、沸点にマージン温度30℃を加えた上限温度T2を超えていない。この結果、気化された混合ガスは気化装置本体10内でのゲル化を抑止することができる。また、中間温度センサ19が配置される断熱面13a,13b間の温度も所定温度範囲内に維持されるように制御される。
また、大流量の時、前段領域E1では、中間ヒータ18、後段ヒータ15に比して加熱最大出力が大きいため、原料材料を十分に気化することができるとともに、この大きな加熱出力は、中間領域E21及び後段領域E22には影響しないため、中間領域E21及び後段領域E22では、気化された混合ガスが上限温度を超えないように、容易に温度制御することができる。
したがって、本変形例でも、実施の形態と同様に、流入する原料材料とキャリアガスとの気液混合体の流量変化及び混合比が変化しても、原料材料の気化及び気化状態の維持を安定して行うことができる。特に、本変形例では、中間領域E21をさらに含めた多段階温度制御を行っているため、きめの細かい温度制御が可能になる。
なお、上記の実施の形態及び変形例では、気化対象の原料材料としてシロキサンを例に挙げたが、これに限らず、例えば四塩化ケイ素(SiCl)などにも適用することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1,1´ 気化装置
10,10´ 気化装置本体
11 アルミブロック
12 配管
12a 導入口
12b 導出口
13,13a,13b 断熱面
14 前段ヒータ
15 後段ヒータ
16 前段温度センサ
17 後段温度センサ
18 中間ヒータ
19 中間温度センサ
20 温度制御部
21 前段温度制御部
22 後段温度制御部
23 前段ヒータ電源供給部
24 後段ヒータ電源供給部
E1 前段領域
E2 後段領域
E21 中間領域
E22 後段領域
L1,L11,L12,L2 曲線
T1 沸点
T2 上限温度

Claims (5)

  1. 液体材料とキャリアガスとの気液混合体が流れる配管を加熱して前記液体材料を所定温度範囲内で気化して出力する気化装置であって、
    前記配管が配置される領域は前段領域と後段領域とに分かれており、
    前記前段領域の配管を加熱する前段ヒータと、
    前記後段領域の配管を加熱する後段ヒータと、
    前記前段領域の配管の入口温度を測定する前段温度センサと、
    前記後段領域の配管の出口温度を測定する後段温度センサと、
    前記前段温度センサの検出結果をもとに前記配管の入口の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記前段ヒータを用いて温度制御する前段温度制御部と、
    前記後段温度センサの検出結果をもとに前記配管の出口の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記後段ヒータを用いて温度制御する後段温度制御部と、
    を備えたことを特徴とする気化装置。
  2. 前記前段ヒータの加熱最大出力は、前記後段ヒータの加熱最大出力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
  3. 前記前段領域と前記後段領域との間に中間領域を設け、
    前記中間領域の配管を加熱する中間ヒータと、
    前記中間領域の配管の温度を測定する中間温度センサと、
    前記中間温度センサの検出結果をもとに前記配管の温度が前記気液混合体の沸点温度以上、沸点温度にマージン温度を加えた上限温度以下となるように前記中間ヒータを用いて温度制御する中間温度制御部と、
    をさらに設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の気化装置。
  4. 前記上限温度は、気化された液体材料のゲル化が発生しない上限の温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の気化装置。
  5. 前記液体材料はシロキサンであり、
    前記マージン温度は30℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の気化装置。
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