JP2019165081A - 放熱構造体およびそれを装着したバッテリー - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量でかつ放熱効率に優れる放熱構造体、およびそれを備えたバッテリーを提供する。【解決手段】本発明は、冷却材12を流すための1本または2本以上の冷却管11と、1本の冷却管11を所定間隔で往復配置し、若しくは2本以上の冷却管11を所定間隔で並べて配置した状態において、冷却管11に交差して連結する1または2以上の連結部材13と、を備える放熱構造体10、およびそれを備えるバッテリー20に関する。【選択図】図1
Description
本発明は、発熱体からの放熱を促進する放熱構造体およびそれを装着したバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、cBNなどから構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しょうとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、2040年までにガソリン車とディーゼル車から完全に電気自動車に切り替えることを宣言している。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などの課題がある。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が大きな課題となっている。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。以下、図を参照して説明する。
図9は、従来のバッテリーの概略断面図を示す。図9のバッテリー100は、多数のバッテリーセル101を、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る筐体102の内底面103上に備える。筐体102の底部104には、冷却水を流すための水冷パイプ105が備えられている。バッテリーセル101は、底部104との間にゴムシート(例えば、室温硬化型シリコーンゴム製のシート)106を挟んで筐体102内に固定されている。このような構造のバッテリー100では、バッテリーセル101は、ゴムシート106を通じて筐体102に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
しかし、図9に示すようなバッテリー100の軽量化の要求に応えるには、ゴムシート106のさらなる軽量化を図る必要がある。また、バッテリーセル101からの放熱性をより高める必要もある。これは、バッテリー100のみならず回路基板や電子機器本体のような他の熱源に対しても同様である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軽量でかつ放熱効率に優れる放熱構造体、およびそれを備えたバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、冷却材を流すための1本または2本以上の冷却管と、1本の冷却管を所定間隔で往復配置した状態、若しくは2本以上の冷却管を所定間隔で並べて配置した状態において、冷却管に交差して連結する1または2以上の連結部材と、を備える。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、連結部材は、所定間隔で配置される冷却管の表裏両面を縫うように配置されている。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、連結部材は、所定位置の冷却管の表面から隣の冷却管の裏面へと順に縫うように配置され、連結部材と冷却管とが平織りされている。
(4)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、冷却管の長さ方向に並んで冷却管に接する長尺状放熱部材をさらに備え、長尺状放熱部材は、ゴム状弾性体に当該ゴム状弾性体より熱伝導性の高い熱伝導材を含む部材であって、連結部材は、冷却管と長尺状放熱部材との複数個のセット若しくは長尺状放熱部材に交差して、当該複数個のセット同士を連結する。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、長尺状放熱部材は、冷却管の外側面の一方向若しくは二方向に接する1または2以上の部材である。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、連結部材は、金属、炭素系材料あるいはセラミックスを含むシートである。
(7)一実施形態に係るバッテリーは、上述のいずれかに記載の放熱構造体と、1または複数のバッテリーセルとを備え、放熱構造体は、少なくとも、バッテリーセルと、バッテリーセルを格納する筐体との間に配置されている。
(8)別の実施形態に係るバッテリーは、好ましくは、バッテリーセルを複数備え、放熱構造体は、さらに、複数のバッテリーセル同士の間に配置される。
本発明によれば、軽量でかつ放熱効率に優れる放熱構造体、およびそれを備えたバッテリーを提供できる。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.放熱構造体
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造体の平面図(1A)および当該放熱構造体の正面図(1B)をそれぞれ示す。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造体の平面図(1A)および当該放熱構造体の正面図(1B)をそれぞれ示す。
第1実施形態に係る放熱構造体10は、冷却材12を流すための2本以上の冷却管11と、2本以上の冷却管11を所定間隔で並べて配置した状態において、冷却管11に交差して連結する2以上の連結部材13と、を備える。連結部材13は、好ましくは、冷却管11の熱伝導を可能とする部材、さらに好ましくは、隣り合う若しくは併走する冷却管11の熱伝導を可能とする部材である。本明細書では、「交差」は、平行以外の位置関係を意味し、直角で交わる関係に限定されず、交わる限り如何なる角度で交わる場合も含む。また、「所定間隔」は、特定の幅を意味するものではなく、また、一定の幅であることも意味しない。冷却管11同士の所定間隔は、冷却管11の幅と同一、当該幅を超えるあるいは当該幅未満のいずれの間隔で並べて配置されていても良いが、当該幅未満の間隔で並べて配置される方が好ましい。
この実施形態に係る放熱構造体10は、13本の冷却管11を所定間隔で並べて、それら冷却管11を、冷却管11の長さ方向に並ぶ16本の連結部材13によって連結する構造を有する。放熱構造体10の外形領域を冷却管11のみで構成する場合と比べて、この実施形態の放熱構造体10の方が軽量となるように、連結部材13の数、形態および構成材料が選択されるのが好ましい。さらには、連結部材13の密度は、好ましくは、冷却管11の密度より小さい。連結部材13の厚さは、好ましくは、冷却管11の厚さに比べて小さい。冷却管11の数は、2本以上であれば13本に限定されない。さらには、冷却管11の数を13本より少なくして、少なくした分の数の別部材(例えば、後述の長尺状放熱部材など)を配置しても良い。また、冷却管11と当該別部材とを交互に配置し、若しくは冷却管11の間に2本以上の別部材を配置しても良い。また、連結部材13の数は、2本以上であれば16本に限定されない。
連結部材13は、所定間隔で配置される複数の冷却管11の表裏両面を縫うように配置されている。より具体的には、連結部材13は、所定位置の冷却管11の表面から隣の冷却管11の裏面へと順に縫うように配置されている。この実施形態では、放熱構造体10は、連結部材13と冷却管11とを平織りした構造を有する。連結部材13は、金属、炭素系材料あるいはセラミックスを含むシートである。より好ましい連結部材13は、熱可塑性樹脂やセルロースを母材とするシート内に、金属、炭素系材料あるいはセラミックスのフィラーを分散させた複合シートである。金属としては、アルミニウム、アルミニウム系合金、鉄、鉄系合金、銅、銅系合金あるいはSUSを例示できる。また、セラミックスとしては、金属の酸化物、水酸化物若しくは窒化物を挙げることができる。セラミックスのより好適な材料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、hBN、cBNあるいは炭化ケイ素等を例示できる。また、炭素系材料としては、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、非晶質炭素若しくはグラファイト等を例示できる。連結部材13中のフィラーは、連結部材13の全体積に対して如何なる比率で含まれていても良いが、好ましくは2〜70体積%の範囲、より好ましくは5〜20体積%である。フィラーは、粒状、針状、繊維状、板状等の如何なる形状でも良い。連結部材13は、複数本の冷却管11を連結して固定する機能に加え、好ましくは、複数の冷却管11の間において熱を伝える機能を有する。
連結部材13の内の連結部材13aは、(1A)の放熱構造体10を構成する13本の冷却管11の内、(1A)の左側から右側に向かって、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表の順に交互に冷却管11の表面と裏面とに接しながら配置される。また、連結部材13の内の連結部材13bは、(1A)の放熱構造体10を構成する13本の冷却管11の内、(1A)の左側から右側に向かって、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、表、裏の順に交互に冷却管11の表面と裏面とに接しながら配置される。連結部材13aと連結部材13bは、冷却管11の長さ方向に交互に配置される。このように、13本の冷却管11は、これと略直角方向に配置される各8本の連結部材13aと8本の連結部材13bとによって表裏方向から挟まれ、編みこまれた状態となっている。
連結部材13a,13bと冷却管11との接触部分には、好ましくは接着剤が介在されている。このため、放熱構造体10は、容易にくずれない。なお、接着剤以外の固定手段にて、連結部材13a,13bと冷却管11とが固定されていても良い。また、連結部材13a,13bと冷却管11との交差位置において、連結部材13a,13bにより冷却管11を縛って固定するようにしても良い。また、冷却管11の長さ方向に沿って、連結部材13aと連結部材13bとを順に交互配置せずに、連結部材13aまたは連結部材13bのいずれかを連続配置しても良い。
冷却材12は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却材12は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。冷却管11は、例えば、樹脂、ゴム状弾性体、金属あるいはセラミックスの内の1つ若しくは2以上の複合体から構成される。冷却管11のより好適な材料は、金属あるいはゴム状弾性体である。金属としては、連結部材13中に含まれ得るフィラーと同様の金属を用いることができる。ゴム状弾性体としては、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を例示できる。上記ゴム状弾性体中に、セラミックスや金属を分散させても良い。また、ゴム状弾性体に、難燃剤を含有させて、冷却管11を燃えにくくしても良い。
図2は、図1の放熱構造体の一部拡大正面図(2A)および各種変形例の一部拡大正面図(2B,2C)をそれぞれ示す。
(2A)の放熱構造体10は、冷却管11を、その幅方向に複数並べた状態において、連結部材13aと連結部材13bとを冷却管11の長さ方向に交互に配置し、かつ冷却管11の表側の面と裏側の面とを交互に縫うように連結部材13a,13bを備える。放熱構造体10は、冷却管11と連結部材13とを平織りした構成を有する。
これに対して、(2B)の放熱構造体10aは、冷却管11を、その幅方向に複数並べた状態において、連結部材13aと連結部材13bとを冷却管11の長さ方向に配置し、連結部材13aを全ての冷却管11の一方の面(表側の面)に固定し、連結部材13bを全ての冷却管11の他方の面(裏側の面)に固定している。連結部材13aおよび連結部材13bは、それぞれ1枚でも、複数枚でも良い。連結部材13a,13bと冷却管11とは、好ましくは、冷却管11が自由に動くことのないように接着剤等で固定されている。
また、(2C)の放熱構造体10bは、冷却管11を、その幅方向に複数並べた状態において、各冷却管11を挿入する袋状部位を複数個備える連結部材13を備える。連結部材13と冷却管11とは好ましくは接着剤等で固定されているが、固定されていなくても良い。連結部材13が柔軟性に富む材料から構成されている場合には、冷却管11同士の間隔は容易に変化でき、放熱構造体10bの形状も自由に変えることができる。
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については、同一符号を用いるとともに、第1実施形態の説明をかりて重複した説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については、同一符号を用いるとともに、第1実施形態の説明をかりて重複した説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体の平面図と一部Aの拡大図(3A)および当該放熱構造体の一部の拡大正面図(3B)をそれぞれ示す。
第2実施形態に係る放熱構造体10cは、第1実施形態に係る放熱構造体10と同様に、2本以上の冷却管11と、2本以上の冷却管11を所定間隔で並べて配置した状態において、冷却管11に交差して連結する2以上の連結部材13と、を備える。連結部材13は、好ましくは、冷却管11の熱伝導を可能とする部材、さらに好ましくは、隣り合う若しくは併走する冷却管11の熱伝導を可能とする部材である。放熱構造体10cが放熱構造体10と異なる点は、冷却管11の長さ方向に並んで、冷却管11に接する長尺状放熱部材15をさらに備えている点である。冷却管11同士の所定間隔は、長尺状放熱部材15の介在スペースを確保する点から、冷却管11の幅を超える間隔で並べて配置される方が好ましい。
長尺状放熱部材15は、一部Aの拡大図に示すように、ゴム状弾性体11aに、ゴム状弾性体11aより熱伝導性の高い熱伝導材11bを含む部材である。本明細書では、「長尺状」とは、一方向に長い形状を意味する。長尺状放熱部材15は、一方向に長い直方体である。長尺状放熱部材15は、好ましくは、冷却管11と連結部材13との総厚以上の厚さを有し、かつ発熱体(例えば、後述のバッテリーセル)の放熱構造体10cとの接触面の凹凸以上の圧縮代を有する。
ゴム状弾性体11aは、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。ゴム状弾性体11aは、放熱対象たる熱源(発熱体ともいう)からの熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、ゴム状弾性体11aは、より好ましくは、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、あるいはこれらの任意の2以上の複合物である。熱伝導材(熱伝導フィラーと称することもできる)11bには、連結部材13中に分散されている上述のフィラーと同様のものを使用できる。長尺状放熱部材15は、発熱体(例えば、後述のバッテリーセル)と密着する必要から、発熱体に対して粘着性を有するのが好ましい。したがって、長尺状放熱部材15のアスカーゴム硬度計C型(ASKAR−C)にて測定されるゴム硬度は、好ましくは10〜20度である。後述の長尺状放熱部材16も同様である。
長尺状放熱部材15は、1本の冷却管11をその両側から挟む形態で連結部材13によって固定される。より詳細には、2つの長尺状放熱部材15は、1本の冷却管11の左右両側、すなわち、冷却管11の並ぶ方向の両側から1本の冷却管11を挟むように配置されている。連結部材13は、冷却管11と長尺状放熱部材15との複数個のセットに交差して、当該複数個のセット同士を連結している。連結部材13と、冷却管11および長尺状放熱部材15のセットとは、放熱構造体10と同様、平織りされている。なお、連結部材13は、長尺状放熱部材15に交差して、長尺状放熱部材15を連結しても良い。長尺状放熱部材15の高さは、冷却管11の外径と同一若しくはそれ以上である方が好ましい。長尺状放熱部材15は、熱源と冷却管11との接触よりも、熱源と長尺状放熱部材15との接触の方が優先的になりやすい状況下で、熱源から長尺状放熱部材15を経由して冷却管11へと熱を伝え、より効率的な放熱を実現するのに寄与する。連結部材13は、好ましくは、長尺状放熱部材15よりも低粘着性の部材である。長尺状放熱部材15は、前述のように、好ましくは高粘着性を発揮する部材である。しかし、長尺状放熱部材15の粘着性が高すぎると、発熱体と容易に接着してしまい、取り扱いが困難な場合がある。例えば、発熱体をバッテリーセルとするバッテリー内に放熱構造体10cを組み込む際に、長尺状放熱部材15の過度な粘着性が組み込みを困難にすることもある。比較的粘着性の低い連結部材13を長尺状放熱部材15と一緒に編み込むと、放熱構造体10c全体としての粘着性を低くすることができる。連結部材13はこのような機能も併せ持つ。後述の長尺状放熱部材16も同様である。長尺状放熱部材15は、冷却管11の上下方向両側(冷却管11の並ぶ方向と冷却管11の長さ方向とに共に直交する方向の両側)から挟むように配置されても良い。図3の例では、長尺状放熱部材15は、冷却管11の外側面の二方向に接する2つの部材であるが、3つ以上の部材であっても良い。また、長尺状放熱部材15の数は、好ましくは、冷却管11の数と同数若しくはそれ以上である。長尺状放熱部材15がそれ自体で熱伝導性に優れる部材であること、冷却管11を少なくすると外部配管やポンプ能力を低減できて低コストにつながること、特に冷却管11を金属性の場合には放熱構造体10cの軽量化に寄与すること、などがその理由である。ただし、長尺状放熱部材15の数は、冷却管11の数より少なくても良い。
図4は、図3の放熱構造体の各種変形例の一部拡大正面図(4A,4B)を示す。
(4A)の放熱構造体10dは、図3の放熱構造体10cの1本の冷却管11とそれを挟む2本の長尺状放熱部材15のセットから、1本の長尺状放熱部材15を除いた構造を有する。このため、連結部材13は、1本の冷却管11と1本の長尺状放熱部材15とのセットに交差して、複数個のセット同士を連結している。長尺状放熱部材15は、冷却管11の外側面の一方向に接する2以上の部材である。
(4B)の放熱構造体10eは、(4A)の放熱構造体10dの各セットを構成する1本の長尺状放熱部材15に、冷却管11の並ぶ方向に延出する部分を加えたL字アングル形状の長尺状放熱部材16を有する。長尺状放熱部材16は、冷却管11の熱源と接する側の面(上側あるいは表側の面ともいう)にも存在する。このため、長尺状放熱部材16は、熱源から長尺状放熱部材16を経由して冷却管11へと熱を伝え、より効率的な放熱を実現するのに寄与する。連結部材13は、1本の冷却管11と1本の長尺状放熱部材16とのセットに交差して、複数個のセット同士を連結している。長尺状放熱部材16は、冷却管11の外側面の二方向に接する2以上の部材である。
2.バッテリー
(1)第1実施形態
図5は、本発明の第1実施形態に係るバッテリーの縦断面図を示す。図6は、図5中のバッテリーセルを放熱構造体上に配置する状況の斜視図を示す。図6中、矢印Wは、冷却材の流れる方向を示す。
(1)第1実施形態
図5は、本発明の第1実施形態に係るバッテリーの縦断面図を示す。図6は、図5中のバッテリーセルを放熱構造体上に配置する状況の斜視図を示す。図6中、矢印Wは、冷却材の流れる方向を示す。
図5に示すように、放熱構造体10は、1または複数のバッテリーセル(熱源あるいは発熱体の一例)30を搭載したバッテリー20に備えられている。バッテリー20は、例えば、電気自動車用のバッテリーである。バッテリー20は、一方に開口する有底型の筐体21を備える。筐体21は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル30は、筐体21の内部24に配置される。
放熱構造体10は、少なくとも、バッテリーセル30と、バッテリーセル30を格納する筐体21との間に配置されている。放熱構造体10は、バッテリー20内のバッテリーセル30から、自身の構成要素である冷却管11を通る冷却材12に熱を伝導させるための構造体である。図5に示すように、放熱構造体10は、バッテリーセル30と底部22との間に備えられている。図6に示すように、バッテリーセル30の上方には、電極31,32が突出して設けられている。複数のバッテリーセル30は、好ましくは、筐体21内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。
図6に示すように、バッテリーセル30の底部を放熱構造体10上に配置すると、当該底部が完全に平面でなくとも、放熱構造体10を構成する冷却管11が変形等して当該底部に密着しやすくなる。バッテリーセル30には、アルミニウムなどの金属製のシートを樹脂シートで挟んだラミネート構造を有する容器に電解液を封入したものを好適に用いることができる。バッテリーセル30の軽量化を通じてバッテリー20の軽量化を図ることができる。このような柔らかな容器を有するバッテリーセル30を用いる場合、高硬度の放熱板では、バッテリーセル30の底部と放熱板との間に隙間が生じてしまい、熱伝導が悪化しやすい。一方、図9の従来技術の方法を採用すると、ゴム状弾性体からなる放熱シートの重量が大きすぎ、バッテリー20の軽量化を図ることが難しい。この実施形態に係る放熱構造体10は、冷却管11をバッテリーセル30に直接接触させる構成とし、冷却管11同士を連結部材13、好ましくは熱伝導性の高い連結部材13で連結して、軽量化と高放熱性を実現できる。特に、連結部材13を熱伝導性に優れるシートとすると、バッテリーセル30の底部は冷却管11と連結部材13に接触できるので、直接的に冷却管11に接触しない部位があっても、連結部材13にさえ接触していれば冷却材12への放熱が可能となる。
(2)第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係るバッテリーの縦断面図を示す。
図7は、本発明の第2実施形態に係るバッテリーの縦断面図を示す。
第2実施形態に係るバッテリー20aは、複数のバッテリーセル30と筐体21との間に放熱構造体10を配置すると共に、複数のバッテリーセル30同士の間にも放熱構造体10を配置している。放熱構造体10は、複数枚存在し、底部22の内底面に敷くシートと、バッテリーセル30同士の間、バッテリーセル30と筐体21の内側面との間にそれぞれ挿入される1または複数のシートとを含む。
なお、放熱構造体10は、冷却管11を複数並べる方向(幅方向)に長い形状を有する1枚のシートでも良い。その場合、放熱構造体10を、バッテリーセル30の外周囲を包む経路で内部24に配置するのが好ましい。バッテリー20aにおける上述の点以外は、第1実施形態に係るバッテリー20の構成と共通する。このため、共通する部分については、第1実施形態における説明をかり、この実施形態での重複した説明を省略する。
3.放熱構造体の変形例
次に、放熱構造体10の各種変形例について説明する。
次に、放熱構造体10の各種変形例について説明する。
図8は、図1の放熱構造体の概略平面図(8A)およびその各種変形例の概略平面図(8B,8C,8D)をそれぞれ示す。
(8A)の放熱構造体10は、既に説明したように、複数本の冷却管11と複数本の連結部材13a,13bとを平織りした構造を有する。(8B)の放熱構造体10fは、平織り構造という点では(8A)の放熱構造体10と共通するが、冷却管11が蛇腹状に往復する1本の管である点では(8A)の放熱構造体10と相違する。また、(8C)の放熱構造体10gは、平織り構造という点では(8A)の放熱構造体10と共通するが、連結部材13が蛇腹状に往復する1本のシートである点では(8A)の放熱構造体10と相違する。さらに、(8D)の放熱構造体10hは、平織り構造という点では(8A)の放熱構造体10と共通するが、1本の冷却管11と1本の連結部材13とが共に蛇腹状に往復するシートである点では(8A)の放熱構造体10と相違する。放熱構造体10f,10g,10hは、冷却材12を流すための1本または2本以上の冷却管11と、1本の冷却管11を所定間隔で往復配置した状態、若しくは2本以上の冷却管11を所定間隔で並べて配置した状態において、隣り合う冷却管11の熱伝導を可能とするとともに冷却管11に交差して連結する1または2以上の連結部材13と、を備える。
このように、放熱構造体10,10f,10g,10hを構成する冷却管11は1本であるか複数であるかを問わない。連結部材13も同様である。冷却管11は、その幅方向に複数並ぶ配置を実現できれば良い。
4.その他の実施形態
以上、本発明に係る放熱構造体およびそれを備えるバッテリーの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形して実施可能である。
以上、本発明に係る放熱構造体およびそれを備えるバッテリーの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形して実施可能である。
冷却管11と連結部材13とは、平織に限定されず、別の織り方(例えば、綾織、繻子織(朱子織)など)にて放熱構造体を構成しても良い。その場合、放熱構造体を構成する冷却管11および連結部材13は、放熱構造体10f,10g,10hのように、少なくともいずれかを1本としても良い。また、図2(2B)および(2C)の各正面視となるように、図8(8B)〜(8D)の放熱構造体10f,10g,10hを構成する各冷却管11と各連結部材13とを用いて放熱構造体を作製しても良い。
また、放熱構造体10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h(「放熱構造体10等」という。)を配置するエリアの温度分布を予めモニタして、温度のより高い領域に冷却管11を集中配置した放熱構造体10等を用いることもできる。すなわち、放熱構造体10等は、その平面積において、冷却管11の集積密度の異なるものであっても良い。長尺状放熱部材15,16は、冷却管11の厚さ(外径でも良い)以上の厚さを有し、かつ発熱体の放熱構造体10cとの接触面の凹凸以上の圧縮代を有するものでも良い。また、冷却管11または長尺状放熱部材15,16は、一つの放熱構造体10等の中で用いられる場合に、必ずしも、全てを同一サイズとする必要はない。ただし、同一サイズの冷却管11または長尺状放熱部材15,16を用いると、様々な冷却対象物、冷却対象領域に放熱構造体10等を用いる際に標準化部材として使用できる。この結果、冷却管11または長尺状放熱部材15,16のリサイクルが容易になる。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、バッテリー20,20aに、放熱構造体10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hを含む上述の種々の放熱構造体を搭載しても良い。バッテリー20aに搭載される複数の放熱構造体を、上述のいずれか任意の2種以上としても良い。また、放熱構造体10c,10d,10eのように長尺状放熱部材15,16を備える構成を、放熱構造体10f,10g,10hの平面構造を有する構造体に適用しても良い。
本発明は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h・・・放熱構造体、11・・・冷却管、11a・・・ゴム状弾性体、11b・・・熱伝導材、12・・・冷却材、13,13a,13b・・・連結部材、15,16・・・長尺状放熱部材、20,20a・・・バッテリー、21・・・筐体、30・・・バッテリーセル。
Claims (8)
- 冷却材を流すための1本または2本以上の冷却管と、
1本の前記冷却管を所定間隔で往復配置した状態、若しくは2本以上の前記冷却管を所定間隔で並べて配置した状態において、前記冷却管に交差して連結する1または2以上の連結部材と、
を備える放熱構造体。 - 前記連結部材は、所定間隔で配置される前記冷却管の表裏両面を縫うように配置されている請求項1に記載の放熱構造体。
- 前記連結部材は、所定位置の前記冷却管の表面から隣の前記冷却管の裏面へと順に縫うように配置され、前記連結部材と前記冷却管とが平織りされている請求項2に記載の放熱構造体。
- 前記冷却管の長さ方向に並んで前記冷却管に接する長尺状放熱部材をさらに備え、
前記長尺状放熱部材は、ゴム状弾性体に当該ゴム状弾性体より熱伝導性の高い熱伝導材を含む部材であって、
前記連結部材は、前記冷却管と前記長尺状放熱部材との複数個のセット若しくは前記長尺状放熱部材に交差して、当該複数個のセット同士若しくは前記長尺状放熱部材を連結する請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱構造体。 - 前記長尺状放熱部材は、前記冷却管の外側面の一方向若しくは二方向に接する1または2以上の部材である請求項4に記載の放熱構造体。
- 前記連結部材は、金属、炭素系材料あるいはセラミックスを含むシートである請求項1から5のいずれか1項に記載の放熱構造体。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱構造体と、
1または複数のバッテリーセルと、
を備え、
前記放熱構造体は、少なくとも、前記バッテリーセルと、前記バッテリーセルを格納する筐体との間に配置されているバッテリー。 - 前記バッテリーセルを複数備え、
前記放熱構造体は、さらに、複数の前記バッテリーセル同士の間に配置される請求項7に記載のバッテリー。
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