次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は、ワークに対して所定の作業である部品実装作業を実行する作業装置である。本実施の形態においては、立体形状を有するワーク6(図5参照)の表面に形成された複数の実装面に、部品を実装する作業を行う。
図1において、矩形板形状のワーク保持体であるワークキャリア5には、複数(ここでは3つ)のワーク6が保持されている。部品実装装置1には、ワークキャリア5を載置する搬送キャリア7を搬送する搬送部2(図1においては不図示)が設けられている。搬送キャリア7には複数(ここでは2つ)のワークキャリア5が載置されて、鎖線(2)で示す搬送経路に沿って上流側から部品実装装置1に搬入される。
本実施の形態では搬送部2による搬送キャリア7の搬送方向をX方向と定義し、これと直交する方向をY方向と定義している。すなわち本実施の形態に示すワーク保持体であるワークキャリア5は、搬送キャリア7の搬送方向に沿って複数のワーク6を保持している。なおここでは、ワークキャリア5が複数のワーク6を保持する例を示しているが、複数のワーク6を保持することは必須ではなく、少なくとも1つのワーク6を保持していればよい。
搬送部2による搬送経路には作業ステージ3が設けられており、作業ステージ3は作業ステージ移動機構4によってX方向,Y方向に水平移動するとともに、Z方向に昇降する。搬送キャリア7に載置されて搬入された2つのワークキャリア5は、作業ステージ3によって支持される。このとき、搬送キャリア7はワークキャリア5と分離して、搬送経路の下流側に設定された待機位置[P]に退避する(矢印a)。ワーク6を対象とする部品実装作業は、この状態で実行される。
作業ステージ3の後方には部品供給部8が設けられている。部品供給部8には、複数のテープフィーダなどの部品供給フィーダ9が配置されている。部品供給フィーダ9はワーク6に実装される部品を、以下に説明する搭載ヘッド12による部品取出位置に供給する。作業ステージ3の上方には、搭載ヘッド12が配置されている。搭載ヘッド12は搭載ヘッド移動機構14によって移動し、下部に装着された部品保持ノズル12aによって部品供給フィーダ9から部品を真空吸着により取り出して、作業ステージ3に支持されたワーク6の実装面に搭載する。
部品供給部8と作業ステージ3との間の搭載ヘッド12の移動経路には、カメラとLEDなどの照明を備えた部品認識ユニット11が配置されている。部品を保持した搭載ヘッド12が部品認識ユニット11の上方を移動する際に、部品認識ユニット11は搭載ヘッド12に保持された部品を下方から撮像して認識する。これにより、部品の保持姿勢、部品保持ノズル12aによる部品の吸着位置が認識される。
搭載ヘッド12の側部には、基板認識ユニット13が取り付けられている。基板認識ユニット13は、カメラとLEDなどの照明を備えて構成されている。基板認識ユニット13は、搭載ヘッド移動機構14を駆動することにより、搭載ヘッド12と一体的に水平方向に移動する。搭載ヘッド12が移動することにより、基板認識ユニット13は作業ステージ3に保持されたワーク6の上方に移動してワーク6を撮像して認識する。これにより、ワーク6の実装面に設けられた認識マークM(図5参照)の位置が認識される。
部品実装装置1は制御部15を備えており、制御部15は、搬送部2、作業ステージ3、作業ステージ移動機構4、部品供給部8、搭載ヘッド12および搭載ヘッド移動機構14を制御する。制御部15が搬送部2、作業ステージ3、作業ステージ移動機構4を制御することにより、ワークキャリア5を保持した搬送キャリア7の搬送動作、作業ステージ3におけるワークキャリア5の姿勢変更動作が実行される。また制御部15が部品供給部8、搭載ヘッド12、搭載ヘッド移動機構14を制御することにより、部品供給フィーダ9から取り出した部品をワーク6に搭載する部品実装動作が実行される。
この部品実装動作において、制御部15は、部品認識ユニット11による部品認識結果および基板認識ユニット13によるワーク認識結果を加味して搭載ヘッド12、搭載ヘッド移動機構14を制御する。これにより、作業ステージ3におけるワーク6の位置ずれおよび搭載ヘッド12に保持された状態における部品位置ずれに起因する位置誤差が補正される。
次に、図2、図3、図4を参照して、作業ステージ3の詳細構成を説明する。図2において、作業ステージ移動機構4は底板部20aと底板部20aの両端部から立設された側板部20bよりなるフレーム部20を備えている。フレーム部20は図1に示す作業ステージ移動機構4によって昇降可能な昇降ベースであり、作業ステージ移動機構4はこの昇降ベースを昇降させる昇降機構となっている。
フレーム部20の上部には、ワークキャリア5の長辺方向であるX方向の両端部をそれぞれ保持する1対のワークキャリア保持部21が、X方向に相対向して設けられている。これらの1対のワークキャリア保持部21は、Y方向に同一高さで2組並列して設けられている。
図4に示すように、ワークキャリア保持部21は長短2つの延出端部22c、22bが設けられたかぎ形状のスイングアーム22を有している。側板部20bに近接して位置する延出端部22bは、側板部20bを水平方向に貫通する支持軸22aと結合されて、スイング軸21a廻りに回動自在に軸支されている。延出端部22bと反対側に位置する延出端部22cが上方に延出した上端部には、ワークキャリア5を下面側から支持可能な平面部を有する支持部23が設けられている。さらに支持部23の上面には、ワークキャリア5を構成するメインプレート5aの両端部に形成されたピン係合穴5bに係合するピン24が設けられている。
ワークキャリア5を作業ステージ3に保持させる際には、相対向する1対のワークキャリア保持部21のピン24を、メインプレート5aの両端部のピン係合穴5bにそれぞれ係合させる。このようにワークキャリア5をワークキャリア保持部21を介して作業ステージ3に保持させた状態において、ワークキャリア保持部21のスイングアーム22は、搬送方向であるX方向に延びたスイング軸21a廻りに回動するスイング動作が可能となっている。これにより、ワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢を変更することができる。
以下、本実施の形態に示す作業ステージ3において、ワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢を変更する姿勢変更部の構成について説明する。図2、図4において、フレーム部20の底板部20aの上面には、上述のスイング動作の駆動源であるスイング用モータ25が、出力軸25aを水平にして配置されている。スイング用モータ25の上方には、両側の側板部20bを貫通して軸支された伝達軸29が配置されている。出力軸25a、伝達軸29にそれぞれ結合されたモータ出力軸プーリ26、伝達軸プーリ28には、ベルト27が調帯されている。
図4に示すように、両側の側板部20bを貫通した伝達軸29の両端部には、それぞれ駆動プーリ30が結合されている。2組のワークキャリア保持部21において、スイングアーム22を軸支する支持軸22aが側板部20bを貫通した両端部には、それぞれ従動プーリ31が結合されている。両側の側板部20bの外側面において、各組のワークキャリア保持部21に対応した従動プーリ31の中間には、テンションプーリ33が上下方向の位置調節自在に設けられている。
図2に示すように、駆動プーリ30、2つの従動プーリ31およびテンションプーリ33には、駆動伝達用のベルト32が調帯されている。テンションプーリ33の位置を調整することにより、ベルト32のテンションを適正状態に調節することができる。このような構成において、スイング用モータ25を駆動してモータ出力軸プーリ26を回転させる(矢印c)ことにより、伝達軸プーリ28、伝達軸29を介して駆動プーリ30が回転する。そしてこの回転が従動プーリ31に伝達されることにより、支持軸22a(図4参照)を介してスイングアーム22がスイング軸21a廻りに回動する(矢印d)。
このとき、スイング用モータ25の回転量および回転方向を制御することにより、スイングアーム22に設けられた支持部23を所望の角度に傾斜させることができる。これにより支持部23に支持されたワークキャリア5の傾斜が変更され、ワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢が変更される。ここで、2組のワークキャリア保持部21のスイング動作は共通のスイング用モータ25によって駆動される構成であることから、これら2組のワークキャリア保持部21に支持された2つのワークキャリア5を対象として、同時に同一の変更量で姿勢変更が行われる。
上述構成において、スイング用モータ25、モータ出力軸プーリ26、ベルト27、伝達軸プーリ28、伝達軸29、駆動プーリ30、従動プーリ31、ベルト32、テンションプーリ33およびスイングアーム22は、支持部23を傾斜させることによりワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢を変更する姿勢変更部を構成する。
上述の姿勢変更部の構成において、支持部23が設けられたスイングアーム22の回転軸であるスイング軸21aは、搬送方向であるX方向に延びて配置されている。すなわち図2に示す姿勢変更部は、搬送方向に延びる回転軸を中心に支持部23を傾斜させる構成となっている。そしてスイング軸21aは昇降ベースであるフレーム部20の側板部20bを貫通して配置されていることから、昇降ベースであるフレーム部20は支持部23を搬送方向に延びる回転軸を介して支持している。したがって図2に示す姿勢変更部は、昇降ベースであるフレーム部20に取り付けられた形態となっている。
図3は、1対のワークキャリア保持部21がY方向に2組設けられた作業ステージ3に、2つのワークキャリア5を保持させた状態を示している。この状態において、ワークキャリア5の両端部は支持部23によって下面側から支持されており、支持部23に設けられたピン24がワークキャリア5に設けられたピン係合穴5bに係合することにより、ワークキャリア5の位置が保持されている。
なお、ここでは、同時に作業ステージ3に保持された2つのワークキャリア5を、搬送方向(X方向)の下流側に対する左右位置によって区別する。すなわち左側に位置するワークキャリア5をワークキャリア5(L)、右側に位置するワークキャリア5をワークキャリア5(R)と記載して区別している。これらのワークキャリア5(L)、5(R)においては、前述の姿勢変更部によってワーク6の姿勢が同時に同一の変更量で変更される。そしてこのように姿勢が変更されたワーク6に対して、作業部である搭載ヘッド12によって所定の作業である部品実装作業が実行される。
次に図5を参照して、部品実装装置1において部品が搭載されるワーク6の構造について説明する。図5(a)は、部品Pが搭載される前のワーク6の一例を示している。図5(b)は、部品Pが搭載されたワーク6の状態を示している。図5(a)において、ワーク6は矩形ブロック状の下部6aの上部に、台形断面を有する異形ブロック形状の上部6bを重ねた構造となっている。
下部6aの下面には、円筒部6cが下方に突出して設けられている。下部6aの左右の側面には、それぞれ耳部6dが側方に突出して設けられている。耳部6dには、上下に貫通する位置決め孔6eが形成されている。円筒部6cと位置決め孔6eは、ワーク6をワークキャリア5に保持させる際に、ワーク6をワークキャリア5に対して位置決めする機能を有している。
上述構成の6において、上部6bの上面は第1実装面S1であり、下部6aの上面は第1実装面S1と平行で高さ位置が段違いの第2実装面S2である。また上部6bの斜面部は、第1実装面S1、第2実装面S2に対して傾斜した第3実装面S3である。第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3には、それぞれ対角の位置に2つの認識マークMが形成されている。認識マークMは、搭載ヘッド12が部品Pを第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3の実装位置に搭載する際の位置決めに使用される。
そして図4(b)に示すように、第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3の部品実装位置には、それぞれ部品Pが搭載される。この搭載ヘッド12によるワーク6への部品搭載においては、第3実装面S3は第1実装面S1、第2実装面S2に対して傾斜していることから、ワーク6を同一姿勢に保持したままで全ての実装面に対して部品を搭載することができない。このため、前述の姿勢変更部によって、必要に応じてワーク6の姿勢を変更しながら部品搭載が実行される。
次に図6、図7を参照して、ワークキャリア5の構成およびワークキャリア5によるワーク6の保持状態について説明する。図6に示すように、ワークキャリア5は矩形板形状のメインプレート5aを主体としている。メインプレート5aの両短辺の上面には、それぞれ位置保持用のピン係合穴5bが設けられている。ワークキャリア5を作業ステージ3に保持させる際には、ワークキャリア保持部21の支持部23に設けられたピン24をこれらのピン係合穴5bに係合させる。これら2つのピン係合穴5bのうち、一方はワークキャリア5を作業ステージ3に保持させる際の位置決め基準として機能する基準穴5b*となっている。
またワークキャリア5の下面には、メインプレート5aの長辺側の端部に沿って下方に突出した凸部5cが形成されている。凸部5cは、搬送キャリア7に形成された溝部7cに係合する形状となっている。ワークキャリア5を搬送キャリア7(図8参照)に載置した状態において、凸部5cは溝部7cに係合してワークキャリア5の位置ずれを防止する。
メインプレート5aには、ワーク6を保持するための複数(ここでは3つ)のワーク保持部5fが設けられている。ワーク保持部5fは、メインプレート5aを貫通して設けられた開口部5dおよびメインプレート5aの上面において開口部5dの両側に凸設された2つのピン形状の位置規制部5eよりなる。開口部5dの内径寸法はワーク6の円筒部6cの外径寸法に対応しており、位置規制部5eの外径寸法はワーク6の位置決め孔6eの内径寸法に対応している。
ワーク6をワークキャリア5に保持させる際には、図7に示すように、ワーク6をワーク保持部5fに対して位置合わせしながら下降させる(矢印e)。すなわち、下部6aから下方に延出した円筒部6cを開口部5dに嵌合させるとともに、位置規制部5eを位置決め孔6eに係合させる。これにより、複数のワーク6は、ワークキャリア5の各ワーク保持部5fに位置決めされた状態で保持される。
次に図8、図9、図10を参照して、ワークキャリア5を載置して搬送部2(図11参照)によって搬送される搬送キャリア7の構成および機能を説明する。図8に示すように、搬送キャリア7はいずれもワークキャリア5の長辺と略等しい長さを有する2つの外側部材41および1つの中間部材42を、連結部43によって連結した構成となっている。
それぞれの外側部材41と中間部材42との間には、上下に貫通した開口7a、7bが、ワークキャリア5の幅寸法に対応した開口幅で形成されている。連結部43は搬送キャリア7の搬送方向における下流側の端部において外側部材41と中間部材42とを連結しており、開口7a、7bは搬送方向の上流側に開いた形態となっている。搬送キャリア7を搬送部2によって搬送して作業ステージ3の上方に位置させた状態では、作業ステージ3に設けられたワークキャリア保持部21の支持部23は、開口7a、7bを通過して昇降可能な位置にある。
なお、ここに示す例では、図1に示す待機位置[P]を作業ステージ3の下流側に設定していることから、開口7a、7bが搬送方向の上流側に開いた形態となっている。これに対して、待機位置[P]を作業ステージ3の上流側に設定する場合には、開口7a、7bを搬送方向の下流側に開いた形態とする。またワーク6を保持するワークキャリア5が1つのみである場合には、対応する開口は1つのみでよい。
2つの外側部材41の内側の縁部、中間部材42の両側の縁部には、ワークキャリア5に形成された凸部5cが係合する形状の溝部7cが形成されている。ワークキャリア5を搬送キャリア7に載置する際には、図9に示すように、ワークキャリア5を開口7a、7bのいずれか(ここに示す例では開口7b)に位置合わせする。このとき、凸部5cが溝部7cに係合するように、メインプレート5aを位置合わせする。
これにより、図10に示すように、搬送キャリア7の開口7a、7bには、それぞれワークキャリア5(L)、5(R)が載置される。この状態では、ワークキャリア5(L)、5(R)に保持されたワーク6は、開口7a、7bに位置した状態となる。すなわち上述構成の搬送キャリア7は、上下に貫通し、且つ、搬送方向の上流側もしくは下流側に開いた少なくとも一つの開口(開口7a、7bのいずれかまたは双方)を有し、この開口にワーク6を位置させた状態でワークキャリア5を載置する構成となっている。
図2に示す姿勢変更部によるワーク6の姿勢変更は、ワークキャリア5(L)、5(R)が図10に示す位置関係で配置された状態で行われる。このため、図8に示す外側部材41の幅寸法B1、中間部材42の幅寸法B2は、以下に示す条件を満たすような寸法に設定される。すなわち幅寸法B1は、ワークキャリア5をワーク6の姿勢変更のために傾斜させた際に、ワークキャリア5やワーク6が搬送ガイド50(図11参照)と干渉しないようなクリアランスを確保するのに必要十分な寸法に設定される。また幅寸法B2は、同様にワークキャリア5をワーク6の姿勢変更のために傾斜させた際に、隣のワークキャリア5やワーク6が相互に干渉しない様なクリアランスを確保するのに必要十分な寸法に設定される。
次に図11を参照して、搬送キャリア7を搬送する搬送部2およびこの搬送において搬送キャリア7をガイドする搬送ガイド50の構成および機能を説明する。図11(a)において、作業ステージ3の上方には、1対の搬送ベルト2bをコンベア駆動部2aによって駆動する構成の搬送部2が、搬送方向(X方向)に設けられている。搬送部2の上流側には同様構成の上流側搬送部2Aが接続されており、搬送部2の下流側には同様構成の下流側搬送部2Bが接続されている。
上流側搬送部2A、搬送部2、下流側搬送部2Bには、それぞれに対応して1対の上流側搬送ガイド50A、搬送ガイド50、下流側搬送ガイド50Bが設けられている。上流側搬送部2A、搬送部2、下流側搬送部2Bによる搬送キャリア7の搬送においては、搬送キャリア7の両側部はそれぞれ1対の上流側搬送ガイド50A、搬送ガイド50、下流側搬送ガイド50Bによって支持される。
図11(a)、(b)に示すように、搬送ガイド50は、搬送方向に沿って縦姿勢で設けられた縦ガイド部材50aと、縦ガイド部材50aの上端に結合された水平な板状の上カバー部材50bおよび縦ガイド部材50aから内側に突出して設けられた凸部材50cを備えている。搬送キャリア7の搬送時には、縦ガイド部材50aに外側部材41の側端部が摺接して搬送キャリア7のY方向の位置がガイドされ、上カバー部材50bは外側部材41の側端部を上面から覆う(図12(b)参照)。凸部材50cは、コンベア駆動部2aによって駆動されて搬送方向に走行する搬送ベルト2bを下面側から下受けする。なお上流側搬送ガイド50A、下流側搬送ガイド50Bも、同様の構成を有している。
この構成により、ワーク6を保持したワークキャリア5が載置された状態の搬送キャリア7を、上流側から作業ステージ3の上方に搬入し、また作業ステージ3の上方から下流側へ搬出するキャリア搬送動作を行うことができる。図11(b)に示すように、1対の搬送ガイド50の間に配置された作業ステージ3は、搬送部2に搬入されたワークキャリア5を支持する支持部23を備えている。作業ステージ3は作業ステージ移動機構4(図1)によって昇降自在となっており、作業ステージ移動機構4を駆動することにより、支持部23は1対の搬送ガイド50の間の空間を上昇し、また下降する。
図12は、複数のワーク6を保持したワークキャリア5が載置された状態の搬送キャリア7を、搬送部2によって搬送して作業ステージ3の上方に位置させた状態を示している。この状態では、図12(a)に示すように、作業ステージ3が備えたワークキャリア保持部21の支持部23は、ワークキャリア5の両端部の下方に位置する。このとき、図12(b)に示すように、支持部23を備えたワークキャリア保持部21は、搬送キャリア7に設けられた開口7a、7bの下方に位置している。
これにより、図13(a)に示すように、支持部23に設けられたピン24がワークキャリア5のピン係合穴5bの直下に位置する。次いで作業ステージ移動機構4を駆動してフレーム部20とともに作業ステージ3を上昇させる。このとき、図13(b)に示すように、ワークキャリア保持部21が支持部23とともに上昇し(矢印g)、支持部23は開口7a、7bを通過する。これにより、支持部23の上面のピン24が搬送キャリア7に載置されたワークキャリア5のピン係合穴5bに係合し、ワークキャリア5を位置決めするとともに支持部23の上面によってメインプレート5aを持ち上げる。すなわち支持部23は、1対の搬送ガイド50の間を上昇し、開口7a、7bを通過してワークキャリア5を搬送キャリア7から持ち上げる。
次に、ワークキャリア5が搬送キャリア7から持ち上げられた状態で、図13(c)に示すように、搬送部2を駆動して搬送キャリア7を下流側へ搬送して、下流側搬送部2Bに移動させる(矢印h)。そして搬送キャリア7を下流側搬送部2Bに設定された待機位置[P]に退避させる。これにより、搬送キャリア7は、図14(a)に示す状態から、図14(b)に示す状態に移動する。すなわち図14(a)において作業ステージ3の上方に位置していた搬送キャリア7は、図14(b)に示すように、開口7a、7bがフリーとなった状態で待機位置[P]に移動する(矢印i)。
この移動においては、外側部材41が支持部23が設けられたワークキャリア保持部21と搬送ガイド50との間から離脱し、また中間部材42が支持部23が設けられた2組のワークキャリア保持部21の間から離脱する。なお、図14においては、搬送部2、下流側搬送部2Bの図示を省略している。
すなわちここでは、搬送部2は搬送キャリア7において開口7a、7bが開いている上流側とは逆方向の下流側に搬送キャリア7を搬送して、搬送キャリア7を支持部23と搬送ガイド50の間から退避させる。これにより、ワークキャリア5(L)、5(R)を作業ステージ3の上方まで搬送した搬送キャリア7は、ワークキャリア5(L)、5(R)を作業ステージ3に保持させた状態で、作業ステージ3から離脱して退避した状態となる。そして図2に示す姿勢変更部による支持部23の傾斜は、このようにして搬送キャリア7が退避した状態で行われる。
このとき、搬送キャリア7における外側部材41の幅寸法B1(図8参照)は、前述のようにワークキャリア5(L)、5(R)をワーク6とともに姿勢変更のために傾斜させた際に、ワークキャリア5(L)、5(R)やワーク6が搬送ガイド50と干渉しないような寸法設定となっている。したがって図14(b)に示す搬送ガイド50とワークキャリア5(L)、5(R)との間には、姿勢変更のための傾斜時においてもワークキャリア5(L)、5(R)やワーク6が搬送ガイド50と干渉しないような十分なクリアランスD1が確保されている。
また搬送キャリア7における中間部材42の幅寸法B2は、同様にワークキャリア5(L)、5(R)をワーク6とともに姿勢変更のために傾斜させた際に、隣のワークキャリア5(L)、5(R)やワーク6が相互に干渉しないような寸法設定となっている。したがって図14(b)に示す隣接するワークキャリア5(L)、5(R)の間には、姿勢変更のための傾斜時においてもワークキャリア5(L)、(R)やワーク6が相互に干渉しないような十分なクリアランスD2が確保されている。
図15は、作業ステージ3においてワークキャリア5に保持されたワーク6に対して、搭載ヘッド12によって部品実装作業を実行する際のワーク6の姿勢変更を示している。図15に示すように、ワークキャリア保持部21が備えたスイングアーム22は、スイング軸21aを回転軸とする支持軸22aによって回動する。これにより、スイングアーム22の上端に設けられた支持部23がメインプレート5aとともに傾斜し、ワーク6の姿勢が変更される。ここに示す例では、スイングアーム22の方向を示すスイング方向線22θの垂直軸に対する角度を制御パラメータとして、ワーク6の姿勢を変更するようにしている。そしてこのようにして姿勢が変更されたワーク6に対して、搭載ヘッド12によって部品P(図5参照)が搭載される。
図15(a)は、ワークキャリア保持部21に支持されたワークキャリア5(L)、5(R)が保持するワーク6において、第1実装面S1、第2実装面S2を対象として部品搭載を実行する際のワーク6の姿勢を示している。第1実装面S1、第2実装面S2は、ワーク6における水平面であることから、スイング方向線22θが垂直軸に一致するように支持軸22aを回動させる(矢印j)。これにより、第1実装面S1、第2実装面S2は部品搭載に適した正しい水平姿勢に保持される。
これに対し図15(b)は、ワーク6における傾斜面である第3実装面S3を対象として部品搭載を実行する際のワーク6の姿勢を示している。すなわちこの場合には、スイング方向線22θが垂直軸に対して傾斜補正角度θx3だけ傾斜するように、支持軸22aを回動させる。傾斜補正角度θx3は、ワーク6における第3実装面S3の傾斜角度に応じて予め設定されている。これにより、第3実装面S3が部品搭載に適した正しい水平姿勢となるように、ワーク6の姿勢が保持される。
以下、上述構成の作業装置である部品実装装置1によって所定の作業を実行する作業方法について説明する。ここでは所定の作業として、ワークキャリア5に保持されたワーク6に対して搭載ヘッド12によって部品Pを搭載する。この作業方法においては、まず準備作業として、少なくとも一つのワーク6を保持するワークキャリア5と、図8、図9、図10に示す構成の搬送キャリア7とを準備する。すなわち搬送キャリア7は、上下に貫通し、且つ、搬送方向の上流側もしくは下流側に開いた開口7a、7bを有し、この開口にワーク6を位置させた状態でワークキャリア5を載置する構成となっている。
作業が開始されると、まず上述の搬送キャリア7を作業ステージ3の上方に搬送するキャリア搬送が行われる。図12に示すように、一対の搬送ガイド50でワークキャリア5が載置された搬送キャリア7の両側部を支持し、搬送部2によって搬送キャリア7を作業ステージ3の上方に搬入する。そして図13(a)に示すように、作業ステージ3において支持部23に設けられたピン24をワークキャリア5のピン係合穴5bの直下に位置させる。
次いで作業ステージ移動機構4を駆動してフレーム部20とともに作業ステージ3を上昇させる。すなわち、図13(b)に示すように、ワークキャリア保持部21を支持部23とともに上昇させ(矢印g)、支持部23の上面のピン24を、搬送キャリア7に載置されたワークキャリア5のピン係合穴5bに係合させる。そしてさらに支持部23を上昇させることにより、ワークキャリア5を搬送キャリア7から持ち上げる。すなわち1対の搬送ガイド50の間でワークキャリア5を保持する支持部23を上昇させて、ワークキャリア5を搬送キャリア7から持ち上げる。
次に、図13(c)に示すように、搬送部2を駆動して搬送キャリア7を下流側へ搬送して下流側搬送部2Bに移動させ(矢印h)、待機位置[P]に退避させる。すなわち開口7a、7bが開いている方向(上流側)とは逆方向に搬送キャリア7を搬送して、この搬送キャリア7を支持部23と搬送ガイド50の間から退避させる(図14(b)参照)。
次いで搬送キャリア7が離脱した状態で作業ステージ3に保持された状態のワークキャリア5を対象として、ワーク6の姿勢変更を行う。すなわち図2に示す姿勢変更部によって、支持部23を傾斜させることにより、図15に示すように、ワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢を変更する。そしてこのようにして姿勢が変更されたワーク6に対して、搭載ヘッド12によって所定の作業である部品実装作業を実行する。
このようにして部品実装作業が実行された後には、当該ワーク6を保持したワークキャリア5を搬送キャリア7とともに搬出するキャリア搬出動作が実行される。キャリア搬出動作に際しては、まず上述の所定の作業を終了した後に、支持部23を傾斜する前の状態に戻す。すなわち、図15(b)に示す状態から、図15(a)に示すように、支持部23が水平姿勢となった状態に戻す。
次に図16(a)に示すように、下流側搬送部2Bにて待機中の搬送キャリア7を下流側搬送部2Bから搬送部2へ移動させ(矢印k)、搬送キャリア7を支持部23と搬送ガイド50の間に戻す。このとき、部品実装後のワーク6を保持したワークキャリア5が載置された搬送キャリア7は、支持部23によって持ち上げられた状態にある。したがって搬送部2へ移動した搬送キャリア7はワークキャリア5の下面側に進入し、搬送キャリア7の外側部材41がワークキャリア保持部21の支持部23と搬送ガイド50との間に戻る(図12(b)参照)。
この後図16(b)に示すように、支持部23をワークキャリア保持部21とともに下降させて(矢印m)、部品実装後のワーク6を保持したワークキャリア5を搬送キャリア7に載置する。次いでワークキャリア5が載置された搬送キャリア7を、支持部23の上方から搬出する。すなわち図16(c)に示すように、搬送部2および下流側搬送部2Bを駆動して、搬送キャリア7を搬送部2から下流側搬送部2Bへ移動させる(矢印n)。これにより、所定の作業である部品実装作業後の搬送キャリア7は、作業ステージ3の上方から下流側へ搬出される。
上記説明したように、本実施の形態に示す作業装置および作業方法では、少なくとも一つのワーク6を保持するワークキャリア5を、搬送方向の上流側もしくは下流側に開いた少なくとも一つの開口を有する搬送キャリア7に載置し、搬送部2によって搬送される搬送キャリア7の両側部を1対の搬送ガイド50によって支持する構成を用いている。そして作業ステージ3において一対の搬送ガイド50の間の空間を昇降する支持部23によってワークキャリア5を搬送キャリア7から持ち上げ、支持部23を傾斜させることによりワークキャリア5に保持されたワーク6の姿勢を変更し、姿勢が変更されたワーク6に対して搭載ヘッド12によって所定の作業である部品実装作業を実行する。
上述構成において、搬送部2は、開口が開いている方向とは逆方向に搬送キャリア7を搬送して、搬送キャリア7を支持部23と搬送ガイド50の間から退避させ、搬送キャリア7が退避しているときに支持部23を傾斜させてワーク6の姿勢変更を行う。このような構成により、安価な構成で複数のワークの姿勢調整を一括して行うことができ、生産性を向上させることができる。さらに、支持部23に支持された状態のワークキャリア5と搬送ガイド50との間に十分なクリアランスが確保されるように搬送キャリア7の寸法を設定することにより、ワーク6の姿勢変更のためにワークキャリア5を傾斜させた状態においても、ワークキャリア5やワーク6と搬送ガイド50との干渉、ワークキャリア5やワーク6相互の干渉を防止することができる。