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JP2019018415A - 記録装置及びその記録制御方法 - Google Patents

記録装置及びその記録制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写体の状態が不良な場所を特定し、その場所への画像形成を制限することで良好な画像形成を実現する技術を提供することである。【解決手段】回転する転写体と、前記転写体に画像を形成する記録ヘッドと、前記転写体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた記録装置で以下の制御を行う。即ち、前記転写体の表面状態を検出し、その表面状態が不良と判定された領域に対する前記記録ヘッドによる画像形成を制限する。【選択図】 図8

Description

本発明は記録装置及びその記録制御方法に関し、特に、例えば、記録ヘッドからインクを転写体に吐出して形成した画像を記録媒体に転写して記録する記録装置及びその記録制御方法に関する。
従来より、記録ヘッドにより中間転写体に画像を形成し、その形成画像を記録媒体に転写して記録を行う記録装置が知られている。このような構成の記録装置では中間転写体の状態を良好に維持することが必要であるが、装置の使用に伴って中間転写体は劣化する。このため、中間転写体の劣化に応じた記録制御を行うことも求められている。
例えば、特許文献1では、中間転写体の劣化状態に合わせてサーマルヘッドへの通電エネルギーや記録用紙への転写条件を制御することで、中間転写体の劣化により生じる記録濃度の変化や汚れを低減し、常に安定かつ均一な画像を記録する装置を提案している。
特開平7−156427号公報
しかしながら上記従来例では、中間転写体のどこで劣化が発生しているか特定できないので、劣化が発生していない場所の好適な活用ができない。例えば、中間転写体の表面を複数の転写領域に分割し、その分割した転写領域ごとに記録を行う構成の装置では、転写領域ごとの状態判断ができない。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、転写体の状態を細かい単位で検出し、その検出結果に従って転写体への画像形成を制御し、良好な画像形成を実現することが可能な記録装置及びその記録制御方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、次のような構成を有する。
即ち、回転する転写体と、前記転写体に画像を形成する記録ヘッドと、前記転写体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた記録装置であって、前記転写体の表面状態を検出する検出手段と、前記検出手段によって表面状態が不良と判定された領域に対する前記記録ヘッドによる画像形成を制限する制限手段とを有することを特徴とする。
また本発明を他の側面から見れば、回転する転写体と、前記転写体に画像を形成する記録ヘッドと、前記転写体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた記録装置の記録制御方法であって、前記転写体の表面状態を検出する検出工程と、前記検出工程において表面状態が不良と判定された領域に対する前記記録ヘッドによる画像形成を制限する制限工程とを有することを特徴とする記録制御方法を備える。
従って本発明によれば、転写体の状態が不良な部分への画像形成を制限し、転写体の状態が良好な部分に画像を形成するので、良好な画像形成を実現することができるという効果がある。
本発明の代表的な実施形態である記録システムの概要図である。 記録ユニットの斜視図である。 図2の記録ユニットの変位態様の説明図である。 図1の記録システムの制御系のブロック図である。 図1の記録システムの制御系のブロック図である。 図1の記録システムの動作例の説明図である。 図1の記録システムの動作例の説明図である。 転写体の表面検査の構成を模式的に示す側面図である。 光学センサが設けられた付近の転写体の様子を奥行方向に眺めた斜視図である。 光学センサによる転写体の表面の測定結果を転写体の回転角に従って示した図である。 記録システムが実行する記録制御の概要を示す模式図である。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、さらに具体的かつ詳細に説明する。各図において、矢印XおよびYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。
<用語の説明>
この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。さらに人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。なお、インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<記録システム>
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
<記録装置>
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A〜5D、および、供給ユニット6を含む。
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1と図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体(中間転写体)2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
本実施形態の場合、各記録ヘッド30は、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、ノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の表面と対向している。本実施形態の場合、転写体2は円軌道上を循環的に移動する構成であるため、複数の記録ヘッド30は、放射状に配置されている。
各ノズルには吐出素子が設けられている。吐出素子は、例えば、ノズル内に圧力を発生させてノズル内のインクを吐出させる素子であり、公知のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの技術が適用可能である。吐出素子としては、例えば電気熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気機械変換体(ピエゾ素子)によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録の観点からは電気熱変換体を利用した吐出素子を用いることができる。
本実施形態の場合、記録ヘッド30は、9つ設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインクを吐出する。異なる種類のインクとは、例えば、色材が異なるインクであり、イエロインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク等のインクである。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出する構成であってもよい。このように複数の記録ヘッド30を設けた場合、そのうちの一部が色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。
キャリッジ31は、複数の記録ヘッド30を支持する。各記録ヘッド30は、インク吐出面側の端部がキャリッジ31に固定されている。これにより、インク吐出面と転写体2との表面の隙間をより精密に維持することができる。キャリッジ31は、案内部材RLの案内によって、記録ヘッド30を搭載しつつ変位可能に構成されている。本実施形態の場合、案内部材RLは、Y方向に延設されたレール部材であり、X方向に離間して一対設けられている。キャリッジ31のX方向の各側部にはスライド部32が設けられている。スライド部32は案内部材RLと係合し、案内部材RLに沿ってY方向にスライドする。
図3は記録ユニット3の変位態様を示しており、記録システム1の右側面を模式的に示した図である。記録システム1の後部には回復ユニット12が設けられている。回復ユニット12は記録ヘッド30の吐出性能を回復する機構を有する。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド30のインク吐出面をキャッピングするキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド30内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることができる。
案内部材RLは、転写体2の側方から回復ユニット12に渡って延設されている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により、実線で記録ユニット3を示した吐出位置POS1と、破線で記録ユニット3を示した回復位置POS3との間で変位可能であり、不図示の駆動機構により移動される。
吐出位置POS1は、記録ユニット3が転写体2にインクを吐出する位置であり、記録ヘッド30のインク吐出面が転写体2の表面に対向する位置である。回復位置POS3は、吐出位置POS1から退避した位置であり、記録ユニット3が回復ユニット12上に位置する位置である。回復ユニット12は記録ユニット3が回復位置POS3に位置した場合に、記録ヘッド30に対する回復処理を実行可能である。本実施形態の場合、記録ユニット3が回復位置POS3に到達する前の移動途中においても回復処理を実行可能である。吐出位置POS1と回復位置POS3の間には予備回復位置POS2があり、回復ユニット12は記録ヘッド30が吐出位置POS1から回復位置POS3へ移動中に、予備回復位置POS2において記録ヘッド30に対する予備的な回復処理を実行可能である。
<転写ユニット>
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写ドラム(転写胴)41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写ドラム41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写ドラム41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
転写ドラム41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2は、転写ドラム41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状に複数のセグメントに分けて形成され、各セグメントは転写ドラム41の外周面に等ピッチで円弧状に配置することができる。
転写ドラム41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写ドラム41の回転位相により、転写体2の位置は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3およびR4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別することができる。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。
吐出前処理領域R1は、記録ユニット3によるインクの吐出前に転写体2に対する前処理を行う領域であり、周辺ユニット5Aによる処理が行われる領域である。本実施形態の場合、反応液が付与される。吐出領域R2は記録ユニット3が転写体2にインクを吐出してインク像を形成する形成領域である。吐出後処理領域R3およびR4はインクの吐出後にインク像に対する処理を行う処理領域であり、吐出後処理領域R3は周辺ユニット5Bによる処理が行われる領域であり、吐出後処理領域R4は周辺ユニット5Cによる処理が行われる領域である。転写領域R5は転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体Pに転写される領域である。転写後処理領域R6は、転写後に転写体2に対する後処理を行う領域であり、周辺ユニット5Dによる処理が行われる領域である。
本実施形態の場合、吐出領域R2は、一定の区間を有する領域である。他の領域R1、R3〜R6は、吐出領域R2に比べるとその区間は狭い。時計の文字盤に喩えると、本実施形態の場合、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
転写体2は、単層から構成してもよいが、複数層の積層体としてもよい。複数層で構成する場合、例えば、表面層、弾性層、圧縮層の三層を含んでもよい。表面層はインク像が形成される画像形成面を有する最外層である。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。弾性層は表面層と圧縮層との間の層である。
表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。表面層には、反応液の濡れ性、画像の転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。このようなゴム材料の成形時には、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質のゴム材料としてもよい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがあるが、いずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料を用いることができる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で有利である。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも有利である。
表面層と弾性層の間、弾性層と圧縮層の間には、これらを固定するために各種接着剤や両面テープを用いることもできる。また、転写体2は、転写ドラム41に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を含んでもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体2は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接される。圧胴42の外周面には、記録媒体Pの先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。記録媒体Pは圧胴42の外周面に密接して搬送されつつ、圧胴42と転写体2とのニップ部を通過するときに、転写体2上のインク像が転写される。
転写ドラム41と圧胴42とを駆動するモータ等の駆動源は、これらに共通とし、歯車機構等の伝達機構により、駆動力を分配することができる。
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A〜5Dは転写ドラム41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する機構である。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
吸収ユニット5Bは、転写前に、転写体2上のインク像から液体成分を吸収する機構である。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体Pに記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、循環的に走行されるものでもよい。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させてもよい。
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる 。
加熱ユニット5Cは、転写前に、転写体2上のインク像を加熱する機構である。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体Pへの転写性を向上する。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828−2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2上を清掃する機構である。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2に接触させる方式、ブラシで転写体2の表面を擦る方式、ブレードで転写体2の表面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
以上の通り、本実施形態では、付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dを周辺ユニットとして備えるが、これらの一部のユニットに転写体2の冷却機能を付与するか、あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。本実施形態では、加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。
冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。また、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
給送ユニット7は、複数の記録媒体Pが積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体Pを、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P(または記録物P’)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体Pを受け渡されるように、その把持動作および解除動作が制御される。
二つの搬送胴8aは、記録媒体Pの反転用の搬送胴である。記録媒体Pを両面記録する場合、表面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体Pを渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体Pは、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体Pの裏面が転写ドラム41に面することになり、裏面にインク像が転写される。
チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P’の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P’が渡され、グリップ機構に把持された記録物P’はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P’が回収ユニット8d内に積載される。
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮像範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。
本実施形態の場合、検査ユニット9Bも、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。本実施形態の場合、チェーン8cで搬送される記録物P’を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P’上を走査するスキャナであってもよい。
<制御ユニット>
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
ホスト装置HC1は、例えば、情報処理装置であるPC(Personal Computer)であってもよいし、サーバ装置であってもよい。また、ホスト装置HC1と上位装置HC2間の通信方法については、有線/無線のいずれでもよく、特に限定するものではない。
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
本実施形態の場合、制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、CPU(処理部)131が実行するプログラムや、データを格納し、また、CPU131にワークエリアを提供する。記憶部132のほか、外付けの記憶部が更に設けられていてもよい。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。操作部133は、例えば、入力部と表示部が一体となった構成であってもよい。なお、ユーザ操作は、操作部133を介した入力に限定するものではなく、例えば、ホスト装置HC1や上位装置HC2から指示を受け付けるような構成であってもよい。
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。図4において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信I/F135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。
図5に示すように、エンジンコントローラ13Bは、制御部14、15A〜15Eを含み、記録システム1が備えるセンサ群およびアクチュエータ群16の検知結果の取得および駆動制御を行う。これらの各制御部は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェースを含む。なお、制御部の区分けは一例であり、一部の制御を更に細分化した複数の制御部で実行してもよいし、逆に、複数の制御部を統合して、それらの制御内容を一つの制御部で行うように構成してもよい。
エンジン制御部14は、エンジンコントローラ13Bの全体の制御を行う。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aから受信した記録データをラスタデータ等、記録ヘッド30の駆動に適したデータ形式に変換する。記録制御部15Aは、各記録ヘッド30の吐出制御を行う。
転写制御部15Bは、付与ユニット5Aの制御、吸収ユニット5Bの制御、加熱ユニット5Cの制御、及び清掃ユニット5Dの制御を行う。
信頼性制御部15Cは、供給ユニット6の制御、回復ユニット12の制御、および記録ユニット3を吐出位置POS1と回復位置POS3との間で移動させる駆動機構の制御を行う。
搬送制御部15Dは、転写ユニット4の駆動制御や、搬送装置1Bの制御を行う。検査制御部15Eは、検査ユニット9Bの制御、および検査ユニット9Aの制御を行う。
センサ群およびアクチュエータ群16のうち、センサ群には、可動部の位置や速度を検知するセンサ、温度を検知するセンサ、撮像素子等が含まれる。アクチュエータ群にはモータ、電磁ソレノイド、電磁バルブ等が含まれる。
<動作例>
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写ドラム41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写ドラム41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
転写体2上のインク像IMは転写体2の回転に伴って移動していく。インク像IMが吸収ユニット5Bに到達すると状態ST3に示すように吸収ユニット5Bによりインク像IMから液体成分が吸収される。インク像IMが加熱ユニット5Cに到達すると状態ST4に示すように加熱ユニット5Cによりインク像IMが加熱され、インク像IM中の樹脂が溶融し、インク像IMが造膜される。このようなインク像IMの形成に同期して、搬送装置1Bにより記録媒体Pが搬送される。
状態ST5に示すように、インク像IMと記録媒体Pとが転写体2と圧胴42とのニップ部に到達し、記録媒体Pにインク像IMが転写され、記録物P’が製造される。ニップ部を通過すると、記録物P’に記録された画像が検査ユニット9Aにより撮影され、記録画像が検査される。記録物P’は搬送装置1Bにより回収ユニット8dへ搬送される。
転写体2上のインク像IMが形成されていた部分は、清掃ユニット5Dに到達すると状態ST6に示すように清掃ユニット5Dにより清掃される。清掃後、転写体2は一回転したことになり、同様の手順で記録媒体Pへのインク像の転写が繰り返し行われる。上記の説明では理解を容易にするために、転写体2の一回転で一枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が一回行われるように説明したが、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が連続的に行うことができる。
このような記録動作を継続していくと各記録ヘッド30のメンテナンスが必要となる。
図7は各記録ヘッド30のメンテナンスの際の動作例を示している。状態ST11は、吐出位置POS1に記録ユニット3が位置している状態を示す。状態ST12は、記録ユニット3が予備回復位置POS2を通過している状態を示し、通過中に回復ユニット12により記録ユニット3の各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。その後、状態ST13に示すように、記録ユニット3が回復位置POS3に位置した状態で、回復ユニット12により各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。
次に以上のような構成の記録システムにおいて、転写体の表面の状態を検査する構成について説明する。
<転写体の表面検査の詳細な説明>
図8は転写体の表面検査の構成を模式的に示す側面図である。
図8に示されるように、転写体2は転写ドラム41の外周面に設けられる。転写ドラム41はその外周に沿って4つの凹部D1〜D4が90°ごとにあり、隣接する2つの凹部の間(D1−D2、D2−D3、D3−D4、D4−D1)に同じ外周長のブランケットを装着して転写領域が4つ備えられる。これら4つの転写領域により転写体2が形成される。ブランケットは消耗部材として交換可能であり、ブランケット毎に脱着できる。ブランケットはその両端が各凹部D1〜D4に設けられた2つのニップ部材41b、41cにより挟持されて転写ドラム41に固定される。
なお、図8に示す例では、転写ドラム41に4つのブランケットを装着して転写体2を構成するとしたが、6つ、又は、8つ、又は、それ以外の数のブランケットを装着して転写体2を構成するようにしても良い。
そして、転写体2は位置P1を中心とする回転軸41aの周りに時計回りに回転する。一方、転写体2に対向して設けられる圧胴42は位置P2を中心とする回転軸42aの周りに反時計回りに回転する。
転写体2が設けられた転写ドラム41は半径r1の円筒形であり、圧胴42は半径r2の円筒形である。また、転写ドラム41と圧胴42との距離は、それぞれの回転軸の中心位置(軸芯)P1とP2の距離である軸間距離として定義され、この距離はLNGとして、図8では示されている。また、転写ドラム41と圧胴42とは紙面に垂直方向に長さDPの奥行がある。
また図8に太線の点線で示されるように、転写体2が設けられた転写ドラム41と圧胴42とによりニップ部が形成され、このニップ部により記録媒体Pが挟持され、転写体2に形成された画像が記録媒体Pに対して転写される。
さらに、転写体2の外周面より少し離間した位置に光学センサ101が設けられ、光学センサ101からレーザ光を転写体2に対してその法線方向に照射することにより、その反射光から転写体2の表面の状態を検出することができる。転写体2の表面が滑らかで傷などがない場合、その反射光の受光強度は一定の値又は一定の範囲内の値を示す。これに対して、その表面に傷があると、表面の粗度が大きくなり、その表面で光が乱反射して、光学センサ101の受光部で受光する受光強度は大きく低下する。従って、光学センサ101の受光強度を監視することで、転写体2の表面状態を検出することができる。
一方、転写体2の回転軸41aの近傍には、エンコーダ102が設けられ、エンコーダ102により転写ドラム41の回転角を検出することができる。従って、光学センサ101とエンコーダ102の検出結果から、転写体2の回転角の関数として転写体2の表面状態を特定することができる。
なお、エンコーダ102は転写体2の回転軸41aの近傍に設ける構成により本発明が限定されるのではない。例えば、転写ドラム41の内周41dに沿って、予め定められた間隔のスリットを有するエンコーダフィルムを装着し、そのエンコーダフィルムを読み取るように、転写ドラム41の内周41dの近傍にエンコーダを設けるように構成しても良い。
図9は光学センサが設けられた付近の転写体の様子を奥行方向に眺めた斜視図である。
転写体2の表面状態を検出する光学センサ101は、1つである必要はなく、図9の矢印で示されるように、転写ドラム41の奥行方向(回転軸41aの軸方向)に複数、設けても良い。図9には、転写ドラム41の奥行方向に、3つの光学センサ101a、101b、101cが設けられている例が示されている。このように、転写体2の回転角が同じ位置に、転写体2の奥行方向に複数の光学センサを設けることで、同じ回転角の奥行方向に異なる位置で転写体2の表面状態を検出することが可能になる。
図10は光学センサによる転写体の表面の測定結果を転写体の回転角に従って示した図である。
図10において、(a)は1つの光学センサ(例えば、光学センサ101b)を用いて転写体2の表面を測定した様子を示し、(b)は3つの光学センサ(例えば、光学センサ101a〜c)を転写体2の表面を測定した様子を示している。
図10に示す転写体2の表面の測定結果は、転写体2を一回転(0°〜360°)させて得られたもので、横軸に転写体の回転角(θ)を示している。上述のように、転写体2は同じ外周長の4つのブランケット(ブランケット1〜4)から形成されるので、図10では転写体の回転方向に関し、ブランケット1の先端部を光学センサが検出した場所を回転角(θ)が0°としている。
図10から分かるように、隣接するブランケットの境界部分、即ち、転写ドラム41の凹部を光学センサが測定した場合には、受光強度(RI)が低くなっている。さらに図10に示す例では、ブランケット2の部分を光学センサが測定した場合に、受光強度(RI)が低く、転写体2の表面状態に異常があることを示している。
図10(a)に示す例では、ブランケットの奥行方向に1つの光学センサ101bのみを用いて転写体2の表面を測定した場合を示している。一方、図10(b)に示す例では、ブランケットの奥行方向に3つの光学センサ101a〜cそれぞれを用いて転写体2の表面を測定して得られた3つの受光強度(RI1、RI2、RI3)場合を示している。このため、図10(a)に示す構成では、転写体2の回転角に関して、転写体の表面状態を特定するのみであるが、図10(b)に示す構成では、転写体2の回転角と奥行方向とに関して転写体の表面状態を特定できる。
図10(a)は、ブランケット2に×印があり、転写体の表面が不良状態(NG)にあることを示しているが、図10(b)はブランケット2の2か所に×印があり、奥行方向のどこが不良状態(NG)であるのかを示している。
以上のような構成により、光学センサを1つ備える構成であれば、転写体の回転角からブランケット単位に転写体の表面状態を検出することが可能である。また、光学センサを転写体の奥行方向に複数備える構成であれば、転写体の回転角と各光学センサによる測定により、ブランケット毎、かつ、転写体の奥行方向に光学センサの数により分割された領域ごとに転写体の表面状態を検出することが可能である。
このような構成を用いて、この実施形態では以下に示すような記録制御を実行する。
図11は記録システム1が実行する記録制御の概要を示す模式図である。
図11(a)は、図10(a)に示すような1つの光学センサを用いて転写体2の表面状態を検出した場合の記録制御の例を示している。ここでは、図10(a)に示した例と同様に、ブランケット2が不良状態(NG)にある場合の記録制御を示している。この場合、記録制御部15Aはブランケット2に対応する転写領域に対して記録ヘッド30がインクを吐出して画像を形成することを禁止する。また、転写制御部15Bはブランケット2の転写領域が図8に示した転写ポイントに達するタイミングでは記録媒体Pを給送ユニット7から給送することを禁止する。これに対して、これ以外の部分、即ち、ブランケット1、3、4に対応する転写領域に対しては記録ヘッド30がインクを吐出して画像を形成し、これらの転写領域が図8に示した転写ポイントに達するタイミングでは記録媒体Pを給送ユニット7から給送する。
以上のような制限を行うことで、不良状態と判定された転写領域を用いず、正常と判定された転写領域を用いて記録を行うことができる。なお、上述のようにブランケットは交換可能なので、メインコントローラ13Aはブランケットの交換を促すメッセージを操作部133の表示画面に表示したり、その情報を上位装置HC2やホスト装置HC1に送信する。
図11(b)は、図10(b)に示すような3つの光学センサを用いて転写体2の表面状態を検出した場合の記録制御の例を示している。ここでは、図10(b)に示した例と同様に、ブランケット2の奥行方向に2つの領域が不良状態(NG)にある場合の記録制御を示している。図10(b)の受光強度RI2と受光強度RI3の変化から分かるように、ブランケット2は回転方向に全領域にわたって不良と判定されている訳ではなく、回転方向にも部分的に不良であると判定されている。
この場合、記録制御部15Aはブランケット2の奥行方向に2つの領域に対応する転写領域であって、回転方向に関して不良であると判定された領域部分に記録ヘッド30がインクを吐出して画像を形成することを禁止する。また、転写制御部15Bはブランケット1〜4全てが正常状態にあると判定された場合と同様に、各ブランケットの転写領域が図8に示した転写ポイントに達するタイミングでは記録媒体Pを給送ユニット7から給送する。
以上のような制限を行うことで、不良状態と判定されたブランケットのうち、不良状態であると判定された局所的な領域のみを用いず、他の正常と判定された転写領域を用いて記録を行うことができる。このようにすれば、画像データが1つのブランケットの全領域ではなく1つのブランケットの一部の領域を用いて画像形成を行うような場合には、局部的に不良状態となっているブランケットを有効に用いて記録を継続させることができる。
なお、この場合も、メインコントローラ13Aはブランケットの交換やブランケットのメンテナンスを促すメッセージを操作部133の表示画面に表示したり、その情報を上位装置HC2やホスト装置HC1に送信する。
図11(c)は、図10(b)に示すような3つの光学センサを用いて転写体2の表面状態を検出した場合の記録制御の別の例を示している。ここでは、図10(b)に示した例と同様の条件に加えて、画像データに基づく記録デューティ(DUTY)を考慮する。
図11(d)は転写体の表面状態と記録許容デューティ(DUTY)との関係を示す図である。図11(d)は転写体の表面状態を数値化した平滑度(SM)と記録許容デューティ(%)との関係を示している。図11(d)によれば、平滑度が第1の閾値(R1)より高く、転写体の表面が滑らかであれば、記録デューティに係りなく転写体には正常に画像を形成できる。この場合は、通常のように画像を形成する。一方、平滑度が第2の閾値(R2)より小さければ、記録デューティに係りなく転写体は画像形成に適さない。この場合は、図11(b)を参照して説明したように画像を形成しない。
これに対して、平滑度がその中間、即ち、R2≦SM≦R1にある場合は、記録許容デューティ(DUTY)が変化する。従って、図11(b)で説明した不良状態であると判定された局所的な領域に画像を記録するために用いる画像データのデューティを調べ、そのデューティ(DUTY)と不良状態であると判定された局所的な領域の平滑度(SM)とを比較する。ここで、SM>DUTYであれば、図11(c)に示すように、不良状態であると判定された領域にも画像を形成する。これに対して、SM≦DUTYであれば、不良状態であると判定された領域には画像を形成しない。
以上のような制限を行うことで、不良状態と判定されたブランケットのうち、不良状態であると判定された領域に対しても、当該領域に画像形成を行うために用いられる画像データのデューティが低ければ、当該領域に画像を形成することができる。このようにすれば、画像データに基づく記録デューティを考慮して、一部の領域が不良状態となっているブランケットを有効に用いて記録を継続させることができる。
あるいは、記録デューティによる制限は画像データに基づくものである必要はなく、記録許容デューティ以下となるように、画像データが表す各画素の濃度値を強制的に変更して記録濃度を低濃度とした記録を行うようにしても良い。このような制御はブランケットの交換期間の延長につながり、運用コストの低減に資するものとなる。
なお、この場合にも、メインコントローラ13Aはブランケットの交換やメンテナンスを促すメッセージを操作部133の表示画面に表示したり、その情報を上位装置HC2やホスト装置HC1に送信する。
従って以上説明した実施形態に従えば、転写体の表面を1つ以上の光学センサを用いて測定し、さらに転写体の回転角度や光学センサの設置位置から、転写体の表面でどの領域が不良状態となっているのかを特定することができる。これにより、その特定された場所を部分的に用いないようにして記録を継続させることが可能になる。その結果、転写体の有効利用が図られる。また、画像データに基づく記録デューティを考慮して、不良状態であると判定された局所的な領域に画像を形成することが可能になる。
上記実施形態では、記録ユニット3が複数の記録ヘッド30を有するが、一つの記録ヘッド30を有してもよい。記録ヘッド30はフルラインヘッドでなくてもよく、記録ヘッド30をY方向に走査させながらインク像を形成するシリアル方式であってもよい。
記録媒体Pの搬送機構は、ローラ対によって記録媒体Pを挟持して搬送する方式等、他の方式であってもよい。ローラ対によって記録媒体Pを搬送する方式等においては、記録媒体Pとしてロールシートを用いてもよく、転写後にロールシートをカットして記録物P’を製造してもよい。
上記実施形態では、転写体2を転写ドラム41の外周面に設けたが、転写体2を無端の帯状に形成し、循環的に走行させる方式等、他の方式であってもよい。
また、本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
2 転写体、3 記録ユニット、4 転写ユニット、5A 付与ユニット、
5B 吸収ユニット、5C 加熱ユニット、5D 清掃ユニット、30 記録ヘッド、
41 転写ドラム、41a 回転軸、42 圧胴、42a 回転軸、
101 光学センサ、102 エンコーダ、P 記録媒体

Claims (14)

  1. 回転する転写体と、
    前記転写体に画像を形成する記録ヘッドと、
    前記転写体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた記録装置であって、
    前記転写体の表面状態を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって表面状態が不良と判定された領域に対する前記記録ヘッドによる画像形成を制限する制限手段とを有することを特徴とする記録装置。
  2. 前記転写体の回転角を測定する測定手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記測定手段により測定された回転角に基づいて、前記検出手段によって表面状態が不良と判定された領域を特定する特定手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記検出手段は前記転写体の外周面より離間した位置に設けられた光学センサを含み、
    前記測定手段は前記転写体の回転軸の近傍、又は、前記転写体の内周の近傍に設けられたエンコーダを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の記録装置。
  5. 前記転写体の表面状態は、前記光学センサが前記転写体の表面に対して照射した光の反射光を受光した受光強度に基づいて判定されることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記光学センサは、前記回転軸の軸方向に沿って異なる位置に複数、設けられ、
    前記転写体の表面状態は、前記複数の光学センサそれぞれの測定結果に基づいて、前記回転軸の軸方向に分割された領域ごとに、正常、又は、不良であるかが判定されることを特徴とする請求項4又は5に記載の記録装置。
  7. 前記転写体は、回転するドラムの外周面に沿って装着される交換可能な複数のブランケットにより形成され、
    前記ブランケットを単位として、前記表面状態が正常、又は、不良であるかが判定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記制限手段は、前記転写体の表面状態が不良であると判定されたブランケットに対する画像形成を禁止することで画像形成を制限することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記制限手段は、前記転写体の表面状態が不良であると判定された前記回転軸の軸方向に分割された領域に対する画像形成を禁止することで画像形成を制限することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  10. 前記制限手段は、前記検出手段によって検出された前記転写体の表面状態が許容する記録デューティに基づいて、画像形成に用いる画像データの濃度値を変更して、前記転写体の表面状態が不良であると判定された前記回転軸の軸方向に分割された領域に対して画像形成を行うことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  11. 前記制限手段は、画像形成に用いる画像データに基づく記録デューティが前記検出手段によって検出された前記転写体の表面状態が許容する記録デューティより小さい場合には、前記画像データを用いて前記転写体の表面状態が不良であると判定された前記回転軸の軸方向に分割された領域に対して画像形成を行うことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  12. 前記画像形成が禁止されたブランケット、又は、前記画像形成が禁止された領域を含むブランケットの交換、又は、メンテナンスを促すメッセージを表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の記録装置。
  13. 前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行う記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の記録装置。
  14. 回転する転写体と、前記転写体に画像を形成する記録ヘッドと、前記転写体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた記録装置の記録制御方法であって、
    前記転写体の表面状態を検出する検出工程と、
    前記検出工程において表面状態が不良と判定された領域に対する前記記録ヘッドによる画像形成を制限する制限工程とを有することを特徴とする記録制御方法。
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