以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例による機械式駐車装置を構成する前の垂直循環式機械駐車装置の断面図である。
駐車場建屋における複数の縦柱1A,1B間における中間上部には、ほぼ水平に、また壁沿いに配置した受部2Aが結合されている。同図では一本の受部2Aのみが示されているが、その裏面側にも図示しない同一構造の受部2Bが配置されている。既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置3は、上述した一対の受部2A,2B間に主要な構成要素の全てが吊り下げられて構成されている。ここで一対の受部2A,2Bは、梁として図示しているが、コンクリートブラケットなど他の構成であっても同様である。
図2は、図1に示した垂直循環式機械駐車装置を機械式駐車装置にリプレースする作業手順を示すフローチャートである。
先ずステップS1では、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置3の主要な構成要素を解体し駐車場建屋内から撤去する。しかし、既存の垂直循環式機械駐車装置3において主要な構成要素全体を支えていた一対の受部2A,2Bは、更新後のリプレース型機械駐車装置においても同じ位置で使用する。例えば、一対の受部2A,2Bが十分な強度を有していれば、そのまま残して流用し、必要に応じて補強を施す。また一対の受部2A,2Bが強度不足であれば、補強したり新設の受部に交換したりするが、その場合でも受部2A,2Bは、既存の垂直循環式機械駐車装置3において使用していたのと同じ位置に設置されている。本実施例では、説明を簡略化するために、既存の受部2A,2Bを残して流用するものとして説明する。
図3および図4は、既存の垂直循環式機械駐車装置3における主要構成要素の解体撤去後の状態を示す断面図および平面図である。
図4に示した駐車場建屋内壁には複数本の縦柱1A〜1Dが設けられており、同図の手前側で対向関係にある角部の縦柱1A,1B間には、ほぼ水平に配置されて結合された受部2Aが存在している。また同図の奥側で対向関係にある縦柱1C,1D間には、ほぼ水平に配置されて結合された受部2Bが存在している。駐車場建屋の外側に配置されている外置きターンテーブル4は、流用するものとしてそのまま残されている。
上述したステップS1では、既存の垂直循環式機械駐車装置3における主要な構成要素の他の部分は、全て解体撤去されているが、駐車場建屋内の両受部2A,2Bは残されている。上述したように既存の垂直循環式機械駐車装置3において、受部2A,2Bは、主要な構成要素の総荷重を受けて全体を吊り下げるように使用されていた。更新後のリプレース型機械式駐車装置においても同じ位置で受部2A,2Bを使用し、後述する各ステップで説明するように更新後のリプレース型機械式駐車装置における主要な構成要素を吊り下げ、それらの総荷重を受けるようにしている。このため、リプレース型機械式駐車装置においても受部2A,2Bを使用した全体的な荷重点は変化していない。
図5および図6は、リプレース型機械式駐車装置における組み立て状態を示す平面図および断面図である。
図2に示した更新手順のステップS1では、残された受部2A,2Bに対して補強作業を行うこともできる。この補強作業は、例えば、図6に示すように受部2A,2Bにおける長手方向両端部の下方にそれぞれ端部補強ブラケット5を配置すると共に、各端部補強ブラケット5を縦柱1A〜1Dに固定して行われる。その結果、受部2A,2Bは、新たに設けられた各端部補強ブラケット5によって補強されて縦柱1A〜1Dに固定された状態となる。
図2に示したステップS2では、受部2A,2Bの上部に新設架台6を搭載設置し固定する作業を行う。受部2A,2Bの上方部に構成された新設架台6は、例えば、図6に示すように受部2A,2Bの上方部に所定距離を隔てて配置された上部水平部材7と、受部2Aと上部水平部材7の対向部間を結合する結合部材8などを有している。図示されていない受部2B側も同様に構成され、全体として新設架台6は、中央部を空洞部構成とされている。
この新設架台6は、種々の構成を採ることができるが、いずれの場合も図6に示した受部2A,2Bの上面側もしくはその近傍で結合部材8などが搭載された構成として中央部を空洞部構成とする。これによって対向配置された受部2A,2Bの上方部は、単に新設架台6を配置するだけのスペースとして使用されるだけではなく、格納スペースとなる中央空洞部として活用されるようになる。
次いで、図2に示したステップS3では、新設架台6上に新設駆動部9を設置する作業を行う。この設置作業では、マシンベース10上に構成された新設駆動部9が図6に示すように新設架台6における上部水平部材7の上に設置される。従って、最上部は新設駆動部9が配置されるために、格納スペースとしては使用できないが、上部水平部材7の中央下方部は依然として空洞部であり格納スペースとして活用することができる。
図1で説明したが、取り付け位置を変更しない受部2A,2Bが駐車場建屋の中間上部に存在する場合、新設架台6を配置した部分が格納スペースとして活用されないと、駐車台数が減少してしまう。しかし、このような新設架台6の中央空洞部を用いて格納スペースを形成すると、受部2A,2Bの位置を変更しないことによる高さ方向の駐車スペースの制限を補うことができる。
図2に示したステップS4では、新設架台6に昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを固定して吊り下げる吊り下げ作業を行う。昇降ガイドレール11A〜11Dは、後述する昇降リフト13の昇降動作を案内するものである。図5の平面図に示すように対を成す昇降ガイドレール11A,11Bは、受部2Aの内側近傍に所定距離を隔てて対向配置され、また対を成す昇降ガイドレール11C,11Dは、受部2Bの内側近傍に所定距離を隔てて同様に対向配置されているため、上述した新設架台6の中央空洞部が塞がれることなく、受部2A,2Bの対向部に昇降リフト13を構成するためのスペースを確保することができる。
各昇降ガイドレール11A〜11Dの上端部は、図6に示すように受部2A,2B上に搭載した新設架台6の上部水平部材7などに固定され、吊り下げられている。受部2A,2Bの上方部に上部水平部材7を有する新設架台6が搭載されているため、各昇降ガイドレール11A〜11Dを受部2A,2Bと干渉しない位置に配置しても、その上端部を上部水平部材7に簡単に固定することができる。また新設架台6が受部2A,2B上に搭載されているため、各昇降ガイドレール11A〜11Dの荷重は、新設架台6を介して受部2A,2Bで受けられることになる。
二対の昇降ガイドレール11A〜11Dによって囲まれた空間部にはリフト室47が形成され、このリフト室47は後述する昇降リフト13の昇降動作のために使用される。また、昇降ガイドレール11A,11Cと吊柱12A,12Bによって囲まれた空間部には詳細を後述するが多段構成の格納スペース14が形成され、この格納スペース14は駐車車両を格納するために使用される。
ここで、二対の昇降ガイドレール11A〜11Dの中心は、駐車場建屋の中心部に配置されるのではなく、図6における右方側に偏寄されている。二対の昇降ガイドレール11A〜11Dによって案内される昇降リフト13は、詳細を後述するが図5に示すように駐車車両を搭載したパレットを載せた状態で昇降移動されるため、それなりの大きさが必要である。この大きさを確保し、同時に、駐車場建屋の左方側に格納スペース14を形成するために、上述したように二対の昇降ガイドレール11A〜11Dは建屋の右方側に少し偏寄されている。
この格納スペース14に相当する位置には、昇降ガイドレール11A,11Bが配置された仮想垂直面に吊柱12Aが配置され、また昇降ガイドレール11C,11Dが配置された他の仮想垂直面に吊柱12Bが配置されている。両吊柱12A,12Bの上端部は、図6に示したように各昇降ガイドレール11A〜11Dと同様に、受部2A,2B上に搭載した新設架台6の上部水平部材7などに固定され、吊り下げられている。受部2A,2Bの上方部に上部水平部材7を有する新設架台6が搭載されているため、両吊柱12A,12Bは受部2A,2Bと干渉しない位置に配置しても、新設架台6の中央空洞部を保持したまま、その上端部を上部水平部材7に固定することができる。また新設架台6が受部2A,2B上に搭載されているため、両吊柱12A,12Bの荷重は、新設架台6を介して受部2A,2Bで受けることになる。
これらの吊柱12A,12Bは、詳細を後述する横行台車15Aを横移動させる構成のために使用される。また図6から分かるように両吊柱12A,12Bは、受部2A,2Bと昇降ガイドレール11A〜11Dの位置関係と同じように、受部2A,2Bの対向側近傍にそれぞれ配置されており、これによって横行台車15Aの横移動のために必要なスペースが確保されている。
こうして、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bは、受部2A,2Bにおけるそれぞれの対向側近傍における一対の仮想垂直平面上にそれぞれ分散配置されている。この配置関係を利用して、図2に示したステップS5では、受部2Aの対向側近傍、また受部2Bの対向側近傍を利用して、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bにほぼ水平に保持された複数の横行レール16A〜16Nを取り付ける。
次に、この横行レール16A〜16Nの詳細について、図5を用いて説明する。受部2A側における一方の仮想垂直面では、一対の昇降ガイドレール11A,11Bと吊柱12A間に、ほぼ水平に保持された複数段の横行レール16A〜16Nが固定され、同様に受部2B側における他方の仮想垂直面では、一対の昇降ガイドレール11C,11Dと吊柱12B間に、ほぼ水平に保持された複数段の横行レール16A〜16Nが固定されている。両仮想垂直面に分散されてそれぞれ配置された各横行レール16A〜16Nは、各段においてそれぞれ同一水平面で対向配置されている。
例えば、図5が最上段を示すとすると、昇降ガイドレール11A,11Bと吊柱12A側に固定された横行レール16Aと、昇降ガイドレール11C,11Dと吊柱12B側に固定された横行レール16Aとは、同じ最上段において同一水平面に対向配置されている。これらの一対の横行レール16Aを用いて、格納スペース14と昇降リフト13のためのリフト室47との間で横行台車15Aを水平移動させるときに案内する構成となっている。
図6に示すように昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bの長手方向には、駐車車両の車高を考慮した寸法を隔てて他の段の横行レール16B〜16Nも同様にそれぞれ固定されている。上述したように昇降ガイドレール11A,11Bおよび吊柱12Aと、昇降ガイドレール11C,11Dおよび吊柱12Bは、それぞれ対向配置された関係の異なる仮想垂直平面上に分散されて配置されているため、横行レール16A〜16Nの固定作業は容易に行える。
図2に示したステップS6では、カウンターウェイト17A,17Bが搬入され、ステップS7では、昇降アーム18を有する昇降リフト13の据え付け作業が行われる。これらの搬入作業は、乗込口19から行われ、昇降ガイドレール11A〜11Dの下方部に昇降リフト13が取り付けられる。
図7および図8は、昇降ガイドレール11A〜11Dに昇降リフト13を取り付けた状態のリプレース型機械式駐車装置を示す平面図および正面図である。
図7に示すように昇降リフト13は、各昇降ガイドレール11A〜11Dにそれぞれ移動可能に取り付けた昇降アーム18A〜18Dと、昇降アーム18A〜18Dにそれぞれ結合された昇降リフト部13A〜13Dと、昇降リフト部13Aと昇降リフト部13B間を結合する結合部材40Aと、昇降リフト部13Cと昇降リフト部13D間を結合する結合部材40Bなどを有している。
各昇降リフト部13A〜13Dは、仮想四角形の四隅にそれぞれ配置されており、後述するパレット28Aを仮想点線で示すように搭載すると、昇降リフト13の昇降によってパレット28Aを搬送できるように構成されている。
上述した昇降アーム18は、昇降ガイドレール11Aに沿って昇降移動可能な昇降アーム18Aと、昇降ガイドレール11Bに沿って昇降移動可能な昇降アーム18Bと、昇降ガイドレール11Cに沿って昇降移動可能な昇降アーム18Cと、昇降ガイドレール11Dに沿って昇降移動可能な昇降アーム18Dを有して構成されている。
結合部材40Aは昇降リフト部13Aと昇降リフト部13B間を実際には下方部において結合し、同様に、結合部材40Bは、昇降リフト部13Cと昇降リフト部13D間を実際には下方部において結合している。こうして、各昇降リフト部13A〜13Dが連動して昇降動作するように構成されている。
昇降リフト13における昇降ガイドレール11A〜11D毎の構成はほぼ同一であるから、ここでは昇降ガイドレール11Aを代表してさらに説明する。
昇降ガイドレール11Aは、それぞれ開口側が対向配置されたU字状構成部20A,20Bと、U字状構成部20A,20Bの対向部間に形成された空隙21を有している。昇降アーム18Aは、空隙21に昇降移動可能に挿入された一端部に可回転的に取り付けられたガイドローラ22A,22Bを有している。このガイドローラ22A,22Bは転動しながらU字状構成部20A,20Bの内壁面に沿って移動する。昇降アーム18Aの他端部には昇降リフト部13Aが結合されており、昇降リフト部13Aの上面側にはリフト側受部23Aと、リフト側受部23Aの外周部に配置された防振ゴム24Aが取り付けられている。
図8に示すように昇降アーム18Aは、昇降ガイドレール11C側に少し伸ばされた後、昇降ガイドレール11B側に折り曲げられている。昇降アーム18Bは、昇降ガイドレール11D側に少し伸ばされた後、昇降ガイドレール11A側に折り曲げられている。昇降アーム18Cは、昇降ガイドレール11A側に少し伸ばされた後、昇降ガイドレール11D側に折り曲げられている。昇降アーム18Dは、昇降ガイドレール11B側に少し伸ばされた後、昇降ガイドレール11C側に折り曲げられている。
こうして、昇降リフト13を構成する四つのリフト側受部23A〜23Dは、図5および図6に示した横行レール16A〜16Nと干渉することなく、昇降ガイドレール11A〜11Dに沿って、しかも、図5に示した一対の横行レール16Aの対向部側近傍を昇降移動することができるようになる。
また図8に示したように、リフト側受部23A〜23Dは、がたつきが比較的小さな例えば正方形錐状受部と、がたつきが比較的大きな例えば長方形錐状受部など、クリアランスが異なる錐状体を混在させている。具体的には、リフト側受部23A〜23Dのうちの一つのリフト側受部23Cは正方形四角錐であり、他の三つのリフト側受部23A,23B,23Dは長方形四角錐としている。このような組み合わせに限定しないが、上述のように構成すると、全てのリフト側受部23A〜23Dを円錐にした場合よりも後述するパレットとの分離をスムーズに行うことができる。
つまり、リフト側受部23A〜23Dを全て円錐形状とすると、接触が良すぎて四角錐形状とした場合に比べてパレット28Aをスムーズに分離できなくなる。この分離をスムーズに行わせるためには、多少のがたつきがあった方が望ましく、がたつきが比較的小さな正方形錐状受部と、がたつきが比較的大きな長方形錐状受部を混在させた方が望ましい。リフト側受部23A,23B,23Dを長方形四角錐とする場合は、横行台車15A〜15Nと昇降リフト13の載せ替え方向に延びた長方形とするのが良い。
図2に示したステップ8では、主索(チェーンまたはワイヤーロープ)25の取り付け作業が実施される。
既に設置されている新設駆動部9には、両受部2A,2Bのそれぞれの上方部付近に配置された各シーブまたは歯車などが設けられており、受部2A側に配置されたシーブまたは歯車には主索25が掛けられている。この主索25の一方の端部は、カウンターウェイト17Aのプーリまたは歯車に掛けた後にマシンベース10に連結されている。また主索25の他方側の端部は、詳細な図示を省略しているが、結合部材40Aによって連結された昇降アーム18Aおよび昇降アーム18Bに連結されている。
図5に示した受部2B側でも同様に図示しない主索が設けられ、その一端部は、他のカウンターウェイト17Bのプーリまたは歯車に掛けた後にマシンベース10に連結され、他方側の端部は、同様に結合部材40Bによって連結された昇降アーム18C,18Dに連結されている。
このとき、新設駆動部9を一方向に回転駆動すると、主索25を介して昇降リフト13とカウンターウェイト17A,17Bはバランスを取りながら、昇降リフト13が上昇しカウンターウェイト17A,17Bが下降する。また新設駆動部9を逆方向に回転駆動すると、主索25を介して昇降リフト13とカウンターウェイト17A,17Bはバランスを取りながら、昇降リフト13が下降しカウンターウェイト17A,17Bが上昇する。
図2に示したステップS9では、多段の横行レール16A〜16Nの上にそれぞれ横行台車15A〜15Nが上架される。各横行台車15A〜15Nは、図5で説明したように昇降リフト13と対を成すように構成され、横行台車15A〜15N側のパレットを昇降リフト13へ、または昇降リフト13側のパレットを横行台車15A〜15Nへと移動する際に使用される。この移動の際には、各横行レール16A〜16Nに沿って回転するように取り付けられているガイドローラ27A〜27Nの助けを受けながら水平方向に往復移動可能に構成されている。
その後、図2に示したステップS10では、横行モータ26A〜26Nの据え付け作業を行う。各横行モータ26A〜26Nは、多段の各横行レール16A〜16Nに沿って配置され、その回転によってそれぞれ横行台車15A〜15Nを水平方向に横移動するものである。例えば、図5に示したA段では、受部2A側の横行レール16Aに沿って配置された複数の横行モータ26Aによって、横行台車15Aを図示の位置と、昇降リフト部13A〜13Dが構成された空間の間で往復移動させるように構成されている。他の段の横行レール16B〜Nに沿って移動される横行台車15B〜15Nおよび各横行モータ26B〜26Nの構成も同様であり、詳細な説明は省略する。
各横行モータ26Aを一方向に回転させると、上述したように横行レール16Aに可回転的に取り付けられたガイドローラ27Aに沿って横行台車15Aが移動されて昇降リフト部13A〜13Dと重なる空間部まで移動させることができる。一方、各横行モータ26Aを反対方向に回転させると、上述したガイドローラ27Aに沿って横行台車15Aが移動されて横行台車15Aを図示に位置へと戻すことができる。
その後、図2に示したステップS11では、各横行台車15A〜19Nの上に駐車車両を搭載可能な板状構成のパレット28A〜28Nがそれぞれ配置される。
図9および図10は、上述したパレット28Aの正面図および平面図である。
パレット28Aは概略板状であり、中央上部には長手方向に連続して形成された中央補強梁29と、中央補強梁29の両側に形成されて駐車車両のタイヤを載せることになる側方補強梁30A,30Bと、パレット28A全体としての四隅近傍に形成され、かつ、図7に示した昇降リフト13を構成する昇降リフト部13A〜13Dにそれぞれ設けられたリフト側受部23A〜23Dに載せられることになるパレット側受部31A〜31Dによって構成されている。
この説明から分かるようにパレット28Aの大きさは、図7に示したように昇降リフト部13A〜13Dにそれぞれ設けられた各リフト側受部23A〜23D間を仮想点線によって結んだ大きさとほぼ等しくされている。
上述したステップS5からステップS11で説明した構成、特に、各横行レール16A〜16Nの具体的な構成についてさらに説明する。各横行レール16A〜16Nは同様の構成であるから、ここでは図5を用いて、A階における横行レール16Aの近傍の構成についてさらに具体的に説明する。
受部2Aの近傍において、一方の仮想垂直面に配置した横行レール16Aは、昇降ガイドレール11A,11B間に固定されたリフト側横行レール32Aと、昇降ガイドレール11Aと吊柱12A間に固定された格納スペース側横行レール33Aを備えて構成されている。これらのリフト側横行レール32Aおよび格納スペース側横行レール33Aにおける受部2B側面には、複数のガイドローラ27Aが直線的に並べられて可回転的に配置されている。
同様に、受部2Bの近傍において、他方の仮想垂直面に配置された横行レール16Aも、昇降ガイドレール11C,11D間に固定されたリフト側横行レール34Aと、昇降ガイドレール11Cと吊柱12B間に固定された格納スペース側横行レール35Aを有して構成されている。これらのリフト側横行レール34Aおよび格納スペース側横行レール35Aにおける受部2A側面にも、複数のガイドローラ27Aが可回転的に配置されている。
ステップS10において説明したように、受部2Aおよび受部2側の横行レール16A近傍には、複数の横行モータ26Aが既に配置されている。横行モータ26Aの回転力は、直接ガイドローラ27Aの一つを駆動したり、図示しないチェーンなどの伝達手段を介してガイドローラ27Aを駆動したりして、横行モータ26Aにより横行台車15Aを横行レール16Aに沿って移動するように構成されている。
横行モータ26Aを一方向に回転すると、横行台車15Aはガイドローラ27Aによって案内されながら図示の位置から昇降リフト13側へと横方向に水平移動され、一方、横行モータ26Aを他方向に回転すると、横行台車15Aはガイドローラ27Aによって案内されながら昇降リフト13側から図示の位置へと横方向に水平移動される。ここで、ガイドローラ26Aおよび横行モータ26Aは、上述のように横行台車15Aを横方向に往復動させるものであり、図示の構成に限らず様々な構成を採用することができる。
横行台車15Aは、長手方向の中心側にパレット28Aを搭載可能な四角形の枠組構成としたパレット搭載部36と、パレット搭載部36の長手方向の両端部に設けられて一対の横行レール16Aに沿って案内されるガイド部37A,37Bと、パレット搭載部36とガイド部37A,37B間をそれぞれ結合する結合部材38A,38Bを有している。
パレット搭載部36の軸方向長はパレット28Aの軸長よりも短く、図5に示した組立て状態で、パレット搭載部36における軸方の端部は、昇降リフト部13A〜13Dなどを備えた昇降リフト13よりも内側に位置している。
これに対してガイド部37A,37Bおよび結合部材38A,38Bは、昇降リフト部13A〜13Dを有する昇降リフト13の近くに位置している。しかし、ガイド部37A,37Bおよび結合部材38A,38Bは、パレット搭載部36と比較して幅方向には狭く構成することができるので、昇降リフト13の昇降移動時に干渉することがないように容易に構成することができる。
図6に示したように駐車車両を格納した状態の各横行台車15A〜15Nには、それぞれパレット28A〜28Nが搭載されているため、駐車車両の落下および駐車車両に付着した雨滴などの落下は各パレット28A〜28Nで受け止められて阻止されている。また、各パレット28A〜28Nは、その上に搭載された駐車車両をタイヤ部分で受け、さらに、その下方に配置されている各横行台車15A〜15Nでそれぞれ受けられている。このため、各横行台車15A〜15Nの構成を簡略化することができる。さらに、横行台車15A〜15Nはフォーク式ではないので、簡単な構成となる。
次いで、ステップS12では、既に設置された各電気機器における配線作業や、制御装置との接続作業などの電気・制御工事が実施される。その後、ステップS13では、試運転、調整を行い性能確認が行われ、次いで、ステップS14では、塗装、仕上げ工事が実施される。
ここまでの各作業によって、新設部品の据え付けは完了する。この完了状態で、既設の垂直循環式機械駐車装置は、リプレース型機械式駐車装置として更新される。搬入された各新設部品、つまり、新設架台6と、新設駆動部9と、昇降ガイドレール11A,11Bと、吊柱12A,12Bと、昇降リフト13と、横行レール16A〜16Nと、カウンターウェイト17A,17Bと、昇降アーム18と、横行台車15A〜15Nなどの主要な構成要素は、最終的に受部2A,2Bで荷重が受けられる。これは今回の更新前に、既存の垂直循環式機械駐車装置において受部2A,2Bにより、主要な構成要素の総荷重を受けて全体を吊り下げていた構成と同じである。
次に、このような構成のリプレース型機械式駐車装置を用いて、図6に示した乗込階39に形成されている出入口19から進入した駐車車両を、横行レール16Lを用いて形成されたL階の格納スペースに入庫させる場合について説明する。
この説明の中で、空リフト載せ換え時停止位置とは、パレットを搭載していない状態の昇降リフト13にL階のパレット28Lを横行台車15Lから載せ換えるために、先ず、L階近傍の少し下方で昇降リフト13を停止させる位置のことである。パレット載せ換え時停止位置とは、昇降リフト13に搭載している状態のパレット28Lを昇降リフトからL階の横行台車15Lに載せ換えるために、先ず、L階近傍の少し上方で昇降リフト13を停止させる位置のことである。また、載せ換え位置とは、空リフト載せ換え時停止位置または載せ換え時停止位置にある昇降リフト13を一定距離上昇または下降させて昇降リフト13と横行台車15Lの間でパレット28Lを載せ換えられたときの位置のことである。さらに、乗込階停止位置とは、乗込階39に昇降リフト13を停止させる位置のことである。
上述した昇降リフト13における空リフト載せ換え時停止位置、パレット載せ換え時停止位置および載せ換え位置で、横行台車15Lは昇降リフト13と干渉することなく水平移動を行うことができる。
図11〜図21は、それぞれ異なる状態のリプレース型機械式駐車装置における要部を示す正面図である。
図11は、乗込階39の乗込階停止位置に昇降リフト13が停止している状態を示しており、出入口19が閉じられている。このとき、利用者によって外部操作盤の入庫ボタンが操作されると、図示しない制御装置は、乗込階停止位置に停止している昇降リフト13を利用階であるL階の空リフト載せ換え時停止位置へと上昇運転させる。この上昇運転は、図11に矢印で示すように新設駆動部9によって昇降リフト13をL階へと上昇運転させる。また、このときの空リフト載せ換え時停止位置は、図12に示すようにL階の少し下方に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが位置した位置であり、横行台車15Lの水平移動を妨げることはない。
次いで、制御装置は、図13に示すようにL階の横行モータ26L(図示せず)を回転駆動して空のパレット28Lを乗せた状態の横行台車15Lを、矢印のように横行レール16Lに沿って格納スペース14からリフト室47へと移動させる。すると、空のパレット28Lを乗せた状態の横行台車15Lは、昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが空リフト載せ換え時停止位置に停止しているため、各昇降リフト部13A〜13Dの少し上方で重なるように位置することになる。
図15は、横行台車15Lを昇降リフト13の上部へと移動させたときのL階を示す平面図である。
上述したように横行モータ26Lによって横行台車15Lをリフト室47まで一対の横行レール16Lに沿って水平移動すると、図示のように昇降リフト13、点線で描いた横行台車15Lおよびパレット28Lが昇降方向で重なる。ただし今回は、図12に示したように空のパレット28Lを搭載するための空リフト載せ換え時停止位置に、昇降リフト13が停止している。このため、昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dの上部に、横行台車15Lが位置し、横行台車15Lの上に空のパレット28Lが搭載されている。
ここで、制御装置は、横行台車15Lの水平移動が完了した後に、新設駆動部9によって昇降リフト13を載せ換え位置まで上昇させる。図14に示すように、昇降リフト13を少し上方へと移動させると、図15から分かるように昇降リフト13と横行台車15Lおよびパレット28Lの形状の違いによって、リフト室47に位置しているときの横行台車15Lの外側で昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが上昇して行くため、昇降リフト13は横行台車15Lと干渉することなく通過する。
しかし、図15から分かるようにリフト室47に位置しているときのパレット28Lの内側に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが配置されているため、昇降リフト13は、パレット28Lを通過することはできず、パレット28Lの下面に昇降リフト部13A〜13Dが接触する。その後、昇降リフト13が載せ換え位置に達するまでには、パレット28Lが横行台車15Lから分離させて、昇降リフト13に載せ替えられている。
その後、制御装置は、図示しない横行モータを作動させて横行台車15Lを一対の横行レール16Lに沿って図16の矢印41で示すように水平移動し、リフト室47から元の格納スペースへと戻す。このとき、パレット28Lは昇降リフト13に載せ換えられて載せ換え位置に停止されているため、横行台車15Lは昇降リフト13と干渉することはない。次いで制御装置は、図16の矢印42に示すように昇降リフト13を乗込階39の乗込階面停止位置へと移動させる。
図17に示すように、駐車車両のための空のパレット28Lを乗込階39に準備できた時点で、制御装置は、出入口19を開放し、運転手に駐車車両43をパレット28L上まで運転して停車してもらう。その後、運転手は車を降りて外部操作盤の扉閉ボタンを操作すると、出入口19が閉じた状態となる。
この状態を確認した制御装置は、新設駆動部9によって昇降リフト13をL階のパレット載せ換え時停止位置へと上昇運転させる。このL階のパレット載せ換え時停止位置は、図18に示すようにL階の少し上方に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが位置するように設定されている。次いで、制御装置は、図19に示すようにL階の横行モータ26L(図示せず)を回転駆動して横行台車15Lを、横行レール16Lに沿って格納スペース14からリフト室47へと水平移動させる。昇降リフト13はパレット載せ換え時停止位置に停止されているため、水平移動した横行台車15Lは、駐車車両43を搭載したパレット28Lおよび昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dと干渉することなく、その下部に位置するようになる。
図15に示すように、横行モータ26Lによって横行台車15Lをリフト室47まで一対の横行レール16Lに沿って水平移動すると、昇降リフト13、点線で描いた横行台車15Lおよびパレット28Lが昇降方向で重なる。ただし今回は、図18に示したように昇降リフト13がパレット載せ換え時停止位置にあるため、図15に点線で示した横行台車15Lの上に各昇降リフト部13A〜13Dが位置し、各昇降リフト部13A〜13Dの上にパレット28Lが位置し、パレット28Lの上に駐車車両43が搭載されている。
図15から分かるように、この状態から昇降リフト13を少し下降させると、昇降リフト13と横行台車15Lおよびパレット28Lの形状の違いによって、リフト室47に位置しているときの横行台車15Lの外側を昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが下降して行くため、昇降リフト13は横行台車15Lと干渉することなく通過して下降して行く。昇降リフト13と横行台車15Lなどがリフト室47内で載せ替えのために重なるように配置された後、昇降リフト13が載せ換え時停止位置と載せ換え位置の間で動作するとき、図8に示した各結合部材40A,40Bは、横行台車15Lと干渉しない位置に設けられている。
しかし、図15から分かるようにリフト室47に位置しているときの横行台車15Lは、パレット28Lと重なり合っている。このため、パレット28Lは横行台車15Lを通過して下降することはできず、図20に至る少し前の載せ換え位置では、パレット28Lが昇降リフト13から分離させて横行台車15Lに載せ換えられる。
昇降リフト13が載せ換え位置を通過しているため、その後に横行台車15Lを水平移動させても昇降リフト13と干渉しない。図20に示すように制御装置は、新設駆動部9によって昇降リフト13を載せ換え位置からさらに下降させて、図11に示した乗込階39の乗込階停止位置に停止させて待機させる。
また制御装置は、図21の矢印41に示すようにパレット28Lを横行台車15Lに載せ換えた状態で、図示しない横行モータを作動させて横行台車15Lを一対の横行レール16Lに沿って水平移動し、リフト室47から元の格納スペース14へと戻す。こうして一連の入庫時の動作を完了する。
次に、L階に格納している駐車車両を出庫させる場合について、出庫時における一連の動作を示す正面図である図22〜図30を用いて説明する。
先ず、駐車車両43の運転手によって外部操作盤の出庫ボタンが操作されると、図示しない制御装置は、新設駆動部9によって昇降リフト13を出庫対象の駐車車両43が格納されているL階の空リフト乗り換え時停止位置へと上昇運転させる。この空リフト乗り換え時停止位置では、図22に示すようにL階の少し下方に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが位置するように停止させられる。次いで、制御装置は、図23に示すようにL階の横行モータ26L(図示せず)を回転駆動して駐車車両43とパレット28Lを乗せた状態の横行台車15Lを、横行レール16Lに沿って格納スペース14からリフト室47へと移動させる。
このときの昇降リフト13、横行台車15Lおよびパレット28Lの位置関係は、上述した図15と同様である。従って、図23に示した状態から昇降リフト13を図24に示すように少し上方の載せ換え位置へと移動させると、昇降リフト13は横行台車15Lと干渉することなく通過して上昇するが、パレット28Lを通過することはできずパレット28Lの下面に昇降リフト部13A〜13Dが接触し、その後、昇降リフト13の載せ換え位置までの上昇によって、駐車車両43を搭載した状態のパレット28Lを横行台車15Lから分離させて昇降リフト13に載せ替えることになる。
その後、制御装置は、駐車車両43およびパレット28Lを昇降リフト13に載せ換え位置に停止させた状態で、図示しない横行モータを作動させて、一対の横行レール16Lに沿って空の横行台車15Lを図25の矢印44の方向に水平移動し、元の格納スペース14へと戻す。次いで制御装置は、新設駆動部9によって図24の矢印で示すように昇降リフト13をリフト室47内で下降させ、図26に示した乗込階停止位置に停止させる。
駐車車両43を搭載した状態のパレット28Lを乗込階39に準備できた時点で、制御装置は、出入口19を開放する。そこで、出入口19から入った運転手が駐車車両43に乗り込んで出庫させると、図27の状態となる。この出庫を確認した後、制御装置は、出入口19を閉じると共に、新設駆動部9によってパレット28Lが残されている昇降リフト13を再びL階のパレット載せ換え時停止位置へと上昇運転させる。このパレット載せ換え時停止位置では、図28に示すようにL階の少し上方に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが位置するように停止される。
次いで、制御装置は、L階の図示しない横行モータ26Lを回転駆動して横行台車15Lを図29の矢印45で示すように、横行レール16Lに沿って格納スペース14からリフト室47へと移動させる。すると、図15で説明したように昇降リフト13、横行台車15Lおよびパレット28Lが昇降方向で重なる。ただし今回は、パレット28Lのみを昇降リフト13から横行台車15Lに載せ替える場合であり、横行台車15Lの少し上方であるパレット載せ換え時停止位置に昇降リフト13の各昇降リフト部13A〜13Dが停止されている。
この状態から昇降リフト13を図29の矢印46で示した下方の載せ換え位置まで移動させると、昇降リフト13は横行台車15Lと干渉することなく通過して下降するが、パレット28Lは横行台車15Lを通過することはできずパレット28Lが横行台車15L上に取り残されて、載せ換え位置ではパレット28Lが昇降リフト13から横行台車15Lに載せ替えられた状態となる。
その後、制御装置は、図示しない横行モータを作動させて横行台車15Lを一対の横行レール16Lに沿って図29の矢印45と反対方向に水平移動し、リフト室47から元の格納スペース14へと戻す。これに前後して、制御装置は、新設駆動部9によって昇降リフト13を下降させて、乗込階39の乗込階停止位置に停止させると、元の状態となる。こうして出庫時の一連の動作を完了する。
このようなリプレース型機械駐車装置によれば、既存の受部と同じ位置に配置した受部2A,2Bを用いて、例えば、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置を更新する場合、新たな部品を調達して同型のメリーゴーランド型駐車装置とするのではなく、リプレース型機械式駐車装置に更新するため、大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達が難しい部品を使用することなく、比較的容易に新たな機械式駐車装置として更新することができる。
また、昇降リフト13を昇降案内することになる昇降ガイドレール11A〜11Dと吊柱12A,12Bを受部2A,2Bで吊り下げ、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを利用して、昇降リフト13と重なるリフト室47から駐車車両の格納スペース14間で横行台車15A〜19Nを水平方向に移動案内する横行レール16A〜16Nを固定しているため、荷重バランスを変えることがない。
しかも、リプレース型機械式駐車装置は、昇降リフト13および横行台車15A〜15Nとしてフォーク式を使用せずに、昇降リフト13におけるパレット載せ換え時停止位置から載せ換え位置までの移動によって、駐車車両を搭載した状態のパレット28A〜28Nを昇降リフト13と横行台車15A〜15N間で載せ換えるようにしている。このため、横行台車15A〜15Nとパレット28A〜28Nを使用した格納状態では、駐車車両の落下を横行台車15A〜15Nとパレット28A〜28Nで防止することができ、横行台車15A〜15Nの構成を簡略化することができる。また、同格納状態では、パレット28A〜28Nによって雨滴などの落下を阻止することができ、下方階の駐車車両を汚すこともない。
さらに、昇降リフト13におけるパレット載せ換え時停止位置または空リフト載せ換え時停止位置から載せ換え位置までの移動によって、駐車車両を搭載した状態のパレット28A〜28Nまたはパレット28A〜28Nだけを昇降リフト13と横行台車15A〜15N間で載せ換えるようにしている。このため、従来のパレット式のように、昇降リフト13に、機械的に作動してパレットを移動させる機械的受け渡し装置を付設する必要はなくなり、昇降リフト13の構成も簡略化することができる。
また、機械的受け渡し装置を付設しない構成は、昇降リフト13の構成に合わせてピットの構成も簡略化することができる。つまり、従来の構成では、昇降リフト13に機械的受け渡し装置を構成した場合、昇降方向に大型化してしまい、駐車車両を乗り込み易くしながら昇降リフト13を乗込階39に待機させるために、より深いピットを形成しなければならなかった。しかし、本実施例によれば、昇降リフト13に従来のような機械的受け渡し装置を設ける必要がないため、昇降リフト13の構成を簡略化しながらその昇降方向に大型化するのを防止すると共に、ピットの深さを抑えて構成を簡単にすることができる。
この結果、駐車車両を格納するための格納スペース14に形成される階数を増加させることができ、例えば、図6に示した実施例の構成でも、駐車建屋の高さ方向にフォーク式よりも二階分の駐車階を増加させることができ、駐車台数を効率的に増加させることができる。
また既存の受部と同じ位置に配置した受部2A,2Bを用いて、例えば、既存の垂直循環式機械駐車装置をリプレース型機械式駐車装置に更新するため、特定の駐車車両を出し入れする度に垂直循環式機械駐車装置のように全体を回転駆動する必要がなくなり、省エネ効果を期待することもできる。また、格納スペースを多段構成とする横行レール16A〜16Nは、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bに固定する高さ方向位置を簡単に変更することができるので、駐車車両としては様々な高さ構成の車を収納駐車させることができる。
尚、上述した実施例では、説明を簡略化するために、既存の受部2A,2Bを残して流用するものとして説明したが、既存の受部2A,2Bを撤去して同様の新設受部を既存の受部2A,2Bと同じ位置に固定しても、同様の効果を得ることができる。同様に、受部2A,2Bとしては図示の梁に限らず、これまで使用されている種々の構成の受部を利用することができる。また、新設部品における各部の構成は図示のものに限らず、類似の構成に置換することができ、この置換に応じて各ステップに微調整を加えることもできる。
また上述した実施例では、昇降アーム18および昇降リフト13を用いているが、その具体的な構成は図示のものに限定しない。さらに、図4における駐車場建屋の幅方向が比較的小さいために、横行台車15A〜15Nを配置して構成した駐車スペース14はリフト室47の片側だけとなっているが、既存の駐車場建屋に十分な幅方向があるなら、昇降ガイドレール11A〜11Dの左右にそれぞれ格納スペースを構成することもできる。また上記の実施例では、最下部に乗込階39を有した構成について説明したが、乗込階39を他の位置とした場合でも同様に適用できる。
本発明は、既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた既存の受部2A,2Bに吊り下げた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たな機械式駐車装置を構成する機械式駐車装置リプレース方法において、既存の受部2A,2Bに吊り下げた主要な構成要素を撤去した後、既存の受部2A,2Bと同じ位置に配置した受部2A,2Bに昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを吊り下げ、昇降ガイドレール11A〜11Dに沿って昇降可能な昇降リフト13を配置したリフト室47形成すると共に、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bに固定した横行レール16A〜16Nを設けて昇降方向に複数段の格納スペース14を形成し、格納スペース14の各段に設けた横行レール16A〜16Nに沿って格納スペース14とリフト室47間を移動可能な横行台車15A〜15Nをそれぞれ設け、各横行台車15A〜15N上に昇降リフト13との間で載せ換え可能にそれぞれパレット28A〜28Nを配置し、格納スペース14に隣接して形成されたリフト室47内を昇降ガイドレール11A〜11Dに沿って昇降移動可能で、かつパレット28A〜28Nを搭載可能な複数の昇降リフト部13A〜13Dを備えた昇降リフト13を配置し、横行台車15A〜15Nの一つ(15L)をリフト室47に移動した状態で昇降リフト部13A〜13Dを所定の範囲で昇降移動したとき、昇降リフト部13A〜13Dは横行台車15Lを通過するがパレット28Lを横行台車15Lと昇降リフト部13A〜13Dの間で載せ換えるように、横行台車15A〜15N、パレット28A〜28Nおよび昇降リフト部13A〜13Dの大きさおよび位置関係を設定したことを特徴とする。
このような機械式駐車装置リプレース方法によれば、既存の受部2A,2Bと同じ位置に配置した受部2A,2Bを用いて、例えば、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置を更新する場合、新たな部品を調達して同型のメリーゴーランド型駐車装置とするのではなく、リプレース型機械式駐車装置に更新するため、大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達が難しい部品を使用することなく、比較的容易に更新することができる。また、昇降リフト13を昇降案内することになる昇降ガイドレール11A〜11Dと吊柱12A,12Bを受部2A,2Bで吊り下げ、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを利用して、昇降リフト13と重なる位置から駐車車両の駐車スペース間で横行台車15A〜15Nを横方向に移動案内する横行レール16A〜16Nを固定しているため、荷重バランスを変えることがない。
さらに、昇降リフト13および横行台車15A〜15Nとしてフォーク式を使用せずに、駐車車両を搭載した状態のパレット28A〜28Nを昇降リフト13と横行台車15A〜15N間で載せ換えることができるので、横行台車15A〜15Nとパレット28A〜28Nを使用した格納状態では、駐車車両の落下や雨滴の落下を横行台車15A〜15Nとで防止することができ、下方階の駐車車両を汚すこともなく、横行台車15A〜15Nの構成を簡略化することができる。しかも、昇降リフト13に、機械的に作動してパレット28A〜28Nを移動させる機械的受け渡し装置を付設する必要はなくなるため、昇降リフト13や横行台車15A〜15Nをフォーク式とする必要がなくなるだけでなく、簡単な構成の載せ替え装置によって昇降リフト13を昇降方向に大型化してしまうのを防止することができると共に、ピットの深さを抑えることができる。
また本発明は、既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた既存の受部2A,2Bに吊り下げた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たな機械駐車装置を構成するリプレース型機械式駐車装置において、既存の受部2A,2Bと同じ位置に配置した受部2A,2Bに昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを吊り下げ、昇降ガイドレール11A〜11Dに沿って昇降可能な昇降リフト13を配置したリフト室47を形成すると共に、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bに固定した横行レール16A〜16Nを設けて昇降方向に複数段の格納スペース14を形成し、格納スペース14の各段に設けた横行レール16A〜16Nに沿って格納スペース14とリフト室47間を移動可能な横行台車15A〜15Nをそれぞれ設け、各横行台車15A〜15N上に昇降リフト13との間で載せ換え可能にそれぞれパレット28A〜28Nを配置し、格納スペース14に隣接して形成されたリフト室47内を昇降ガイドレール11A〜11Dに沿って昇降移動可能で、かつパレット28A〜28Nを搭載可能な複数の昇降リフト部13A〜13Dを備えた昇降リフト13を配置し、横行台車15A〜15Nの一つ(15L)をリフト室47に移動した状態で昇降リフト部13A〜13Dを所定の範囲で昇降移動したとき、昇降リフト部13A〜13Dは横行台車15Lを通過するがパレット28Lを横行台車15Lと昇降リフト部13A〜13Dの間で載せ換えるように、横行台車15A〜15N、パレット28A〜28Nおよび昇降リフト部13A〜13Dの大きさおよび位置関係を設定したことを特徴とする。
このような構成によれば、既存の受部2A,2Bと同じ位置に配置した受部2A,2Bを用いて、例えば、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置を更新する場合、新たな部品を調達して同型のメリーゴーランド型駐車装置とするのではなく、リプレース型機械式駐車装置に更新するため、大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達が難しい部品を使用することなく、比較的容易に更新することができる。また、昇降リフト13を昇降案内することになる昇降ガイドレール11A〜11Dと吊柱12A,12Bを受部2A,2Bで吊り下げ、昇降ガイドレール11A〜11Dおよび吊柱12A,12Bを利用して、昇降リフト13と重なる位置から駐車車両の駐車スペース間で横行台車15A〜15Nを横方向に移動案内する横行レール16A〜16Nを固定しているため、荷重バランスを変えることがない。
さらに、昇降リフト13および横行台車15A〜15Nとしてフォーク式を使用せずに、駐車車両を搭載した状態のパレット28A〜28Nを昇降リフト13と横行台車15A〜15N間で載せ換えることができるので、横行台車15A〜15Nとパレット28A〜28Nを使用した格納状態では、駐車車両の落下や雨滴の落下を横行台車15A〜15Nとで防止することができ、下方階の駐車車両を汚すこともなく、横行台車15A〜15Nの構成を簡略化することができる。しかも、昇降リフト13に、機械的に作動してパレット28A〜28Nを移動させる機械的受け渡し装置を付設する必要はなくなる。このため、昇降リフト13や横行台車15A〜15Nをフォーク式とする必要がなくなるだけでなく、簡単な構成の載せ替え装置によって昇降リフト13を昇降方向に大型化してしまうのを防止することができると共に、ピットの深さを抑えることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、複数の昇降リフト部13A〜13Dには、パレット28A〜28Nの下面に接触する部分にリフト側受部23A〜23Dをそれぞれ設け、各リフト側受部23A〜23Dはクリアランスが異なる錐状体を混在させて使用したことを特徴とする。
このような構成によれば、リフト側受部23A〜23Dを全て円錐形状とすると、接触が良すぎて四角錐形状とした場合に比べてパレット28A〜28Nをスムーズに分離できなくなるが、がたつきが比較的小さな例えば正方形錐状受部と、がたつきが比較的大きな例えば長方形錐状受部など、錐状体を混在させることによって分離をスムーズに行わせることができる。