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JP2019085633A - 熱伝導率に優れる熱間工具鋼 - Google Patents

熱伝導率に優れる熱間工具鋼 Download PDF

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JP2019085633A JP2017217003A JP2017217003A JP2019085633A JP 2019085633 A JP2019085633 A JP 2019085633A JP 2017217003 A JP2017217003 A JP 2017217003A JP 2017217003 A JP2017217003 A JP 2017217003A JP 2019085633 A JP2019085633 A JP 2019085633A
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Abstract

【課題】 熱伝導性に優れた金型用鋼に好適な熱間工具鋼の提供。【解決手段】 質量%で、C:0.38〜0.55%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.01〜1.50%、V:0.10超〜0.45%未満を含有し、さらに、Cr:4.00%以下、Ni:2.00%以下のいずれか1種もしくは2種を含有し、かつ0.92Cr+1.34Ni:0.60%以上であり、またさらに、少なくともMoを含有し、Mo+W:1.80%未満で、かつMo+W/2:0.90%超であり、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098aとするとき、TC:1.610以上であることを特徴とする熱伝導に優れた熱間工具鋼。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱間工具鋼に関して、特にダイカストやホットスタンピングなどの、高温環境下で使用される高熱伝導率、高硬度および高靭性の金型用鋼に関する。
近年、ダイカスト分野において、自動車の軽量化を目的としたアルミ部品の高強度化や、生産性の向上を目的とした部品成形における加工ピッチの短縮化の理由から、ダイカスト金型に対する機械的および熱的負荷が増大している。その結果、金型には摩耗、大割れ、ヒートチェック(熱疲労亀裂)といった問題が生じやすくなっている。
これらの問題に対応するために、金型材料には、硬度および靭性に優れる材料が求められている。
また、ダイカスト用やホットスタンピング用の金型では、内部に冷却回路が作製されているところ、この冷却回路を流れる冷却水による冷却効率は生産サイクルスピードにも大きく影響することとなる。そして、この冷却効率を高める方法としては、例えば、金型の高熱伝導率化がある。そこで、前述した生産性の向上を目的とした、部品成形における生産サイクルスピードの向上の要求に応えるためには、金型材料の特性として高い熱伝導率も必要とされる。
以上の点に着目した従来技術としては、焼入れ性の確保のために、Mnの含有量を1.50%より多くした金型用鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この提案の金型用鋼はMnの過剰添加により熱伝導率が低下する問題がある。
また、耐食性および焼入性の確保のために、Crの含有量を4.00%より多くした金型用鋼が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この提案の金型用鋼はCrの過剰添加によって熱伝導率が低下する問題がある。
また、さらに、炭化物の高熱伝導率化のために、Mo+Wの含有量を1.8%以上とした熱間加工用鋼が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この提案の熱間加工用鋼はMo+Wの過剰添加によって熱伝導率が低下する問題がある。
さらに、被削性の確保のために、Vの含有量を0.03〜0.1%としたプラスチック成形金型用鋼が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この提案のプラスチック成形金型用鋼はV量が適切な量でないために、焼入焼戻し硬さが不足する問題がある。
さらに、また、熱伝導率確保のために、C量を0.25%超〜0.38%未満とした金型用鋼が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この提案の金型用鋼はC量が少ないので焼入焼戻し硬さが不足する問題がある。
そして、原料費削減のために、Mo+W/2の含有量を0.3〜0.9%とした熱間加工用鋼が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、この提案の熱間加工用鋼はMo+W/2の含有量が少ないために、焼入焼戻し硬さが不足する問題がある。
特開2011−094168号公報 特開2015−224363号公報 特表2010−500471号公報 特開2010−013716号公報 特開2015−209588号公報 特表2009−532585号公報
本発明が解決しようとする課題は、高熱伝導率、高硬度、高靭性を兼ね備えた、ダイカストやホットスタンピングの金型用鋼などの高温環境下での使用にも適用可能な、熱伝導率に優れる熱間工具鋼を提供することである。
発明者らは鋭意開発を進めた結果、請求項に示す合金成分と限定式とすることで、高熱伝導率、高硬度および高靭性を兼備した金型用鋼に好適な熱間工具鋼が得られることを見出した。
上記の課題を解決するための手段は、第1の手段では、質量%で、
C:0.38〜0.55%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.01〜1.50%、
V:0.10超〜0.45%未満を含有し、
さらに、Cr:4.00%以下、Ni:2.00%以下のいずれか1種もしくは2種を含有し、かつ0.92Cr+1.34Ni:0.60%以上であり、
またさらに、少なくともMoを含有し、Mo+W:1.80%未満で、かつMo+W/2:0.90%超であり、
残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、
下記の式(1)に示すTCの値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼である。
TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098a・・・(1)
なお、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)の数値が代入され、式(1)中のaには、焼戻し状態での全炭化物の総面積率(%)の数値が代入される。
その第2の手段では、第1の手段に記載の化学成分に加えて、さらに質量%で、N:0.001〜0.040%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、前記の式(1)に示すTC値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼である。
その第3の手段は、第1又は第2のいずれかの手段に記載の化学成分に加えて、さらに質量%で、Al:0.001〜0.080%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、前記の式(1)に示すTC値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼である。
本願の発明の熱間工具鋼は、熱伝導率の指標であるTCが1.610以上であって、焼入焼戻し状態での室温における、熱伝導率は30.0W/m・K以上と、高熱伝導率を有することから、ダイカストやホットスタンピングの金型などに用いた場合には冷却効率に優れた熱伝導性に優れた熱間工具鋼となる。さらに、この熱間工具鋼は、焼入焼戻し状態での硬さは45.0HRC以上であることから高硬度であり、焼入焼戻し状態でのシャルピー衝撃値は30.0J/cm2で高靱性であるので、機械的および熱的負荷にも強く、金型用鋼に好適な硬度および靭性に優れた材料である。そこで、本願の発明は、高熱伝導率と、高硬度、高靱性を兼ね備えた金型用鋼に好適な熱伝導性に優れる熱間工具鋼である。
発明の実施するための形態の記載に先立って、本願発明の構成要素である成分およびTCの限定理由について記載する。なお、化学成分は質量%である。
C:0.38〜0.55%
Cは、固溶することでマトリックスを強化し、また、炭化物を形成することで析出硬化を促す元素である。しかし、Cは0.38%より少ないと十分な焼入焼戻し硬さが得られない。一方、Cは、0.55%より多いと、多すぎるCが偏析を助長し、靭性を低下させる。そこで、Cは0.38〜0.55%とし、好ましくはCは0.38〜0.50%とする。
Si:0.01〜0.50%
Siは製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、少ないと十分に脱酸されない。また、Siは、マトリックスに固溶して硬さを向上させる元素である。しかし、Siは炭化物を形成することなくマトリックスに溶け込むので熱伝導率を大きく低下させる。そこで、Siは0.01〜0.50%とする。さらに、熱伝導率を低下させないためには、Siは低めが望ましいので、好ましくは0.01〜0.30%である。
Mn:0.01〜1.50%、
Mnは製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、少ないと十分に脱酸されない。一方、Mnは多すぎるとマトリックスに固溶して熱伝導率を低下させる。したがって、Mnは0.01〜1.50%とし、さらに、熱伝導率を低下させないためには、Mnは低めが望ましいので、好ましくは0.01〜0.92%である。
Cr:4.00%以下、Ni:2.00%以下のいずれか1種もしくは2種を含有し、かつ0.92Cr+1.34Ni:0.60%以上であること
CrとNiは、いずれも焼入れ性を向上させ、ベイナイト形成による靭性の低下を抑制する元素であり、少ないと靱性が得られないことから、Cr及びNiのいずれか1種もしくは2種を含有するものとし、さらに、0.92Cr+1.34Niを0.60%以上とする。もっとも、多すぎるとマトリックスに固溶して熱伝導率を低下させる。そこで、Crは4.00%以下とし、好ましくは2.00%以下とし、また、Niは2.00%以下、好ましくは、1.50%以下とする。
少なくともMoを含有し、Mo+W:1.80%未満で、かつMo+W/2:0.90%超であること、
MoおよびWは、焼戻し時の二次硬化を促進し、焼入焼戻し硬さを高める元素である。この鋼は少なくともMoを含有している。そして、Mo+W/2が少ないと、焼入焼戻し硬さが不足するため、Mo+W/2:0.90%超とする。一方、MoおよびWの総量が多すぎると、マトリックスに残存するMoやWが増加して熱伝導率を低下させるので、Mo+W:1.80%未満とする。
すなわち、少なくともMoを含有し、すなわちMo単体若しくはMoとWの2種のいずれかで、Mo+Wは1.80%未満で、かつ、Mo+W/2は0.90%超を満足するものとする。さらに、焼入焼戻し硬さを高め、熱伝導率を低下させないために、好ましくは、Mo+Wは1.80%未満で、かつ、Mo+W/2は1.20%以上を満足するものとする。
V:0.10超〜0.45%未満
Vは、焼戻し時の二次硬化を促進し、焼入焼戻し硬さを高める元素である。もっとも、Vは多すぎると、マトリックスに残存するVが増加し、熱伝導率を低下させることとなる。そこで、Vは0.10超〜0.45%未満とし、好ましく0.25%〜0.45%未満とする。
N:0.001〜0.040%
Nは、Cと同様の効果を有し、固溶することでマトリックスを強化し、焼入焼戻し硬さを大きくする元素であるが、Nは必ずしも添加する必要はなく、任意に添加しうる元素である。もっとも、Nが0.040%より多い過剰添加では、精錬の時間およびコストの上昇を招く。そこで、Nは0.001〜0.040%とし、好ましくは0.001〜0.030%とする。
Al:0.001〜0.080%
Alは、窒化物を形成して、焼入における結晶粒の粗大化を抑制する元素であるが、Alは必ずしも添加する必要はなく、任意に添加しうる元素である。もっとも、Alは過剰の窒化物を形成すると靭性を低下する恐れがある。そこで、AlはAl:0.001〜0.080%とし、好ましくは0.005〜0.060%とする。
TC:1.610以上
TCは、熱伝導率の指標となる値であり、TCが大きいほど熱伝導率は大きくなる。TCが、1.610未満の値であると、マトリックスに残存する合金元素量が増加し、鋼の熱伝導率を低下させる。そこで、TCは1.610以上とする。好ましくは1.670以上とする。
なお、熱伝導率の指標であるTCは、以下の式(1)によって求められる。
TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098a・・・(1)
ただし、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)の数値が代入され、また、式(1)中のaには、焼戻し状態での全炭化物の総面積率(%)の数値が代入される。
この式(1)に示されるように、各元素の添加量が増加するほどTCの値は小さくなり熱伝導率は小さくなる。他方、焼戻し状態での炭化物量が大きくなるほど、すなわちaの値が大きくなるほどTCの値は大きくなり、熱伝導率は大きくなる。
なお、本願において、高熱伝導率とは、焼入焼戻し状態の室温での熱伝導率が30.0W/m・K以上のことであり、高硬度とは、焼入焼戻し状態で45.0HRC以上のことであり、さらに、高靭性とは、焼入焼戻し状態におけるシャルピー衝撃値が30.0J/cm2以上のことである。
上記において、焼入焼戻し状態の室温での熱伝導率は、ホットスタンピング工程やダイカスト工程における生産性を左右する値である。すなわち、焼入焼戻し状態の室温での熱伝導率が30.0W/m・K以上であれば、ホットスタンピング工程やダイカスト工程における金型用鋼として用いたときに金型の冷却効率が高まるので、その生産性を向上させることができる。さらに、焼入焼戻し状態での硬さは、ホットスタンピング金型やダイカスト金型として使われた際に、45.0HRC以上であれば、十分な金型寿命を得ることができ、また、焼入焼戻し状態で2mmUノッチ試験片でのシャルピー衝撃値は、ホットスタンピング金型やダイカスト金型として使われた際に、30.0J/cm2以上であれば、十分な金型寿命を得ることができる。熱的負荷が生じる環境下での使用においても、摩耗、大割れ、ヒートチェック(熱疲労亀裂)といった問題が生じにくいものとなる。
ここで発明を実施するための形態について以下に記載する。
表1と表2に発明鋼のNo.1〜56の各鋼の化学成分(質量%)を示す。また表3に比較鋼のNo.57〜69の各鋼の化学成分(質量%)を示す。なお、これらの表中の、炭化物面積率(全炭化物の総面積率a)およびTCの値は化学成分の組成ではない。
発明鋼及び比較鋼について説明する。表1から表3に記載の化学成分と残部Feおよび不可避不純物からなる鋼は、まず、それぞれ真空誘導溶解炉で溶製し、得られた各100kgの鋼塊を幅65mmおよび高さ30mmのブロックに熱間鍛伸したものである。
次いで、各熱間鍛伸材を870℃で焼なまし後、それぞれの表面と中心の中間位置から各試料を採取した。採取した各試料をそれぞれ1030℃で焼入し、600℃で2回焼戻しを行った。
その後に、表1と表2の発明鋼ならびに表3の比較鋼について、炭化物面積率、TCの値を調査し、また表4〜表6に記すように、熱伝導率、焼入焼戻し硬さおよびシャルピー衝撃値の各特性の調査を実施した。
表1から表3に記載の炭化物面積率(全炭化物の総面積率a)の測定では、まず、焼入焼戻し状態で採取した試料を、鍛伸方向に平行な面を研磨して、炭化物の測定用試験片とした。次いで、走査型電子顕微鏡の反射電子像を用いて、この炭化物の測定用試験片の総面積10000μm2の領域における炭化物を観察した後、画像解析により炭化物の面積率を算出した。
TCの値は、前述の式(1)に、各鋼の表中に記載の各元素の含有量(質量%)の値とaの面積率(%)の値を代入して求めた。
Figure 2019085633
Figure 2019085633
Figure 2019085633
さらに、表4の発明鋼および表4の比較鋼に示すとおり、各鋼の試料について、熱伝導率、焼入焼戻し硬さおよびシャルピー衝撃値の各特性の調査を実施した。
Figure 2019085633
Figure 2019085633
Figure 2019085633
まず、上記の表4〜表6の熱伝導率の測定は、レーザーフラッシュ法を用いて行った。焼入焼戻し状態の試料を直径10mmおよび厚さ1mmの円柱形状に仕上げ加工し、試験に供した。
さらに、表4〜表6の焼入焼戻し硬さの測定は、ロックウェル硬さ試験機により測定した。この場合、焼入焼戻し状態の試料の鍛伸方向に垂直な面の硬さを測定した。
また、表4〜表6のシャルピー衝撃値の測定により、靭性の評価を実施した。衝撃値の測定は、焼入焼戻し状態の試料から試験片を作製した。試験片の形状は2mmUノッチシャルピー試験片であり、ノッチ方向は鍛伸方向に対して垂直な方向とした。
さて、表1、表2、表4、表5に示すとおり、発明鋼No.1〜56は、いずれもTCが1.610以上の1.615〜1.783であり、その熱伝導率も30.0W/m・K以上の30.1〜47.0W/m・Kと大きく、金型用鋼に用いれば冷却効率に優れることが示唆されている。また、これらの発明鋼は、焼入焼戻し硬さは45.0HRC以上の45.1〜60.1HRCであり、シャルピー衝撃値は30.0J/cm2以上の30.0〜54.9J/cm2であった。
このように、本発明の鋼は、優れた高熱伝導率を有すると同時に、高硬度、高靭性でもあり、金型用鋼に好適な熱伝導性に優れた熱間工具鋼である。
(比較鋼について)
一方、表3および表6に示す比較鋼のNo.57〜69について以下に検討する。
表3のNo.57は、Cが0.36%と本発明の最小量の0.38%より少ないところ、表6の焼入焼戻し硬さが44.2HRCと低い。本発明の焼入焼戻し硬さは45.0HRC以上であるのに比して焼入焼戻し硬さが得られていない。
表3のNo.58は、Cが0.58%と本発明の最大量の0.55%より多いところ、表6のシャルピー衝撃値が29.4J/cm2であった。本発明のシャルピー衝撃値は30.0J/cm2以上であるから、靱性が劣っている。
表3のNo.59は、Siが0.53%と本発明の最大量の0.50%より多いところ、表6の熱伝導率が27.4W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
表3のNo.60は、Mnが1.53%と本発明の最大量の1.50%より多いところ、表6の熱伝導率が29.9W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/mk以上であるから、それよりも熱電導性が低くなっている。
表3のNo.61では、0.92+1.34Niが0.56と本発明の最小値の0.60より少ないところ、表6のシャルピー衝撃値が27.3J/cm2であった。本発明のシャルピー衝撃値は30.0J/cm2以上であるから、靱性が劣っている。
表3のNo.62は、Crが4.11%と本発明の最大量の4.00%より多いところ、表6の熱伝導率が24.8W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
表3のNo.63は、Niが2.08%と本発明の最大量の2.00%より多いところ、表6の熱伝導率が23.6W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
表3のNo.64は、Mo+W/2が0.85%で、本発明の0.90%超より少ないところ、表6の焼入焼戻し硬さが43.9HRCであった。本発明の焼入焼戻し硬さは45.0HRC以上であるのに比して焼入焼戻し硬さが得られていない。
表3のNo.65は、Mo+Wが1.96%と本発明の最大量の1.80%未満より多いところ、表6の熱伝導率が28.3W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
表3のNo.66は、Vが0.09%と本発明の最小量の0.10%超より少ないところ、表6の焼入焼戻しが44.4HRCであった。本発明の焼入焼戻し硬さは45.0HRC以上であるのに比して焼入焼戻し硬さが得られていない。
表3のNo.67は、Vが0.48%と本発明の最大量の0.45%未満より多いところ、表6の熱伝導率が27.4W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
表3のNo.68は、Alが0.094%と本発明の最大量の0.080%より多いところ、表6のシャルピー衝撃値が24.2J/cm2であった。本発明のシャルピー衝撃値は30.0J/cm2以上であるから、靱性が劣っている。
表3のNo.69は、TCの値が1.608と本発明の最小値の1.610より少ないところ、表6の熱伝導率が29.0W/m・Kとなった。本発明の熱伝導率は30.0W/m・K以上であるから、熱伝導性が低い。
以上のように、本願の請求項の範囲から外れる比較鋼については、熱伝導率、焼入焼戻し硬さ、シャルピー衝撃値のいずれかが本発明よりも劣っており、高熱伝導率と高硬度・高靭性とを両立させている本発明に比し、下回る特性を呈することから、本発明の作用効果を奏しないものであった。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.38〜0.55%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.01〜1.50%、
    V:0.10超〜0.45%未満を含有し、
    さらに、Cr:4.00%以下、Ni:2.00%以下のいずれか1種もしくは2種を含有し、かつ0.92Cr+1.34Ni:0.60%以上であり、
    またさらに、少なくともMoを含有し、Mo+W:1.80%未満で、かつMo+W/2:0.90%超であり、
    残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、
    下記の式(1)に示すTCの値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼。
    TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098a ・・・(1)
    なお、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)の数値が代入され、式(1)中のaには、焼戻し状態での全炭化物の総面積率(%)の数値が代入される。
  2. 請求項1に記載の化学成分に加えて、さらに質量%で、N:0.001〜0.040%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、
    下記の式(1)に示すTC値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼。
    TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098a ・・・(1)
    なお、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)の数値が代入され、式(1)中のaには、焼戻し状態での全炭化物の総面積率(%)の数値が代入される。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の化学成分に加えて、さらに質量%で、Al:0.001〜0.080%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼であり、
    下記の式(1)に示すTC値がTC:1.610以上であること、を特徴とする熱伝導性に優れる熱間工具鋼。
    TC=1.825−0.145C−0.144Si−0.053Mn−0.056Ni−0.036Cr−0.030V−0.026Mo−0.027W+0.098a ・・・(1)
    なお、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)の数値が代入され、式(1)中のaには、焼戻し状態での全炭化物の総面積率(%)の数値が代入される。
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