JP2019065276A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
上記実情に鑑み、本発明は、特定のポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物により、透明性に優れ、耐ドローダウン性や延展性に優れる熱成形用押出シートを成形性よく得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記樹脂組成物(A)は、下記要件(a1)及び(a2)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、下記要件(x1)を満たすことを特徴とする。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、40g/10分以下である。
(a2)ひずみ硬化度λは、1.1以上である。
(x1)示差熱走査型熱量計(DSC)で求めたポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(t(X))(秒)が、以下の式(x−1)を満たす。
t(X)/t(A)>1.00・・・式(x−1)
(上記式中t(A)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定した樹脂組成物(A)の等温結晶化時間(秒)を表し、t(X)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定したポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(秒)である。)
(a1’)MFR(A)は、30g/10分以下である。
(a2’)ひずみ硬化度λは、1.3以上である。
(a1”)MFR(A)は、20g/10分以下である。
(a2”)ひずみ硬化度λは、1.5以上である。
前記樹脂組成物(A)は、下記要件(a1)及び(a2)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、下記要件(x1)を満たすことを特徴とする。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、40g/10分以下である。
(a2)ひずみ硬化度λは、1.1以上である。
(x1)示差熱走査型熱量計(DSC)で求めたポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(t(X))(秒)が、以下の式(x−1)を満たす。
t(X)/t(A)>1.00・・・式(x−1)
(上記式中t(A)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定した樹脂組成物(A)の等温結晶化時間(秒)を表し、t(X)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定したポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(秒)である。)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を含む樹脂組成物(A)に対し、脂環式炭化水素樹脂(B)を特定量配合した樹脂組成物である。
樹脂組成物(A)は、少なくともポリプロピレン系樹脂(A−1)を含み、必要に応じて、他のポリプロピレン系樹脂(C)を含む。
樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A−1)のみで組成する場合、ポリプロピレン系樹脂(A−1)は、後述する要件(a1)及び(a2)を満たす。
また、樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A−1)及び他のポリプロピレン系樹脂(C)のブレンドで組成するとき、樹脂組成物(A)に加え、少なくともポリプロピレン系樹脂(A−1)が、後述する要件(a1)及び(a2)を満たすことが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A−1)及び他のポリプロピレン系樹脂(C)のブレンドは、特に制限されるものではなく、ペレット及び/又はパウダーの混合、溶融ブレンド、あるいは溶液ブレンドのいずれでもよく、これらの組合せでもよい。
後述するひずみ硬化性を有していても、粘度が低下しすぎると十分な成形安定性は得られないため、樹脂組成物(A)は、一定の粘度を有する必要があり、本明細書では、この粘度の指標としてMFR(230℃、2.16kg荷重)を規定する。
(a1)MFR(A)が40g/10分以下であること
(a1’)MFR(A)が30g/10分以下であること
(a1”)MFR(A)が20g/10分以下であること
樹脂組成物(A)のひずみ硬化度は、以下の要件(a2)を満たし、好ましくは要件(a2’)を満たし、より好ましくは要件(a2”)を満たす。樹脂組成物(A)のひずみ硬化度を下記の範囲の値にすることにより、良好な耐ドローダウン性および延展性を有するシートを得ることができる。
(a2)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(a2’)ひずみ硬化度λが1.3以上であること
(a2”)ひずみ硬化度λが1.5以上であること
λ=ηe(3.5)/{3×η*(0.01)} 式(1)
上記式(1)において、η*(0.01)は動的周波数掃引実験により測定される、測定温度180℃、角振動数ω=0.01rad/sにおける複素粘性率[単位:Pa・s]であり、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]と角振動数ωから、η*=G*/ωにて計算される。またηe(3.5)は伸長粘度測定により測定される、測定温度180℃、歪速度1.0s−1、ひずみ量3.5における伸長粘度である。
従って、本発明で使用したものと異なる装置や条件で測定を実施した場合に、必ずしも角振動数ω=0.01での複素粘性率η*(0.01)や歪3.5での伸長粘度ηe(3.5)のデータが存在しない場合があり得るが、その場合はその前後のデータを使用して線形補間、スプライン補間等の内挿を行う事で該当の値を推定することは許される。補間を行う際には、応力や時間のスケールは対数スケールとすることが常法である。
樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A−1)のみで組成する場合、ポリプロピレン系樹脂(A−1)は、上述した要件(a1)及び(a2)を満たす。
また、樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A−1)及び他のポリプロピレン系樹脂(C)のブレンドで組成するときは、樹脂組成物(A)に加えて、少なくともポリプロピレン系樹脂(A−1)が、上述した要件(a1)及び(a2)を満たす。
一般の結晶性ポリプロピレンは直鎖状高分子であり通常ひずみ硬化性を有さない。
これに対し、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A−1)は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1)であることが好ましく、これにより樹脂組成物(A)がひずみ硬化性を発現することが出来る。
分岐指数g’は、長鎖分岐構造に関する、直接的な指標として知られている。「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
[測定方法]
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社製)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社製)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社製 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
13C―NMRは、上述のように、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、その概要は以下の通りである。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については下記の通りである。
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行った。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行った。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施した。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A−1)は耐熱性や耐溶剤性の観点から結晶性が高い方が好ましい。ポリプロピレン系樹脂(A−1)の融点(DSC融解ピーク温度)は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145〜170℃、更に好ましくは150〜168℃であるとよい。ポリプロピレン系樹脂(A−1)は、このような融点をもつプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−α−オレフィン共重合体であることが好ましい。
本発明において、他のポリプロピレン系樹脂(C)は、少なくとも下記(c1)の要件を満たすことにより、ポリプロピレン系樹脂(A−1)と異なる特徴を有する。また、他のポリプロピレン系樹脂(C)は、さらに下記(c2)〜(c5)の要件の少なくともいずれか1つを満たしてもよい。
(c1)ひずみ硬化度λが1.1未満である。
(c2)長鎖分岐構造を有しない。
(c3)分岐指数g’が0.95以上である。
(c4)MFR(C)が0.1g/10分以上、100g/10分以下である。
(c5)融点が115℃以上、175℃以下である。
なお、上記要件の測定方法は、上述した樹脂組成物(A)及びポリプロピレン系樹脂(A−1)に記載の方法と同様であるため、ここでの記載は省略する。
他のポリプロピレン系樹脂(C)のひずみ硬化度λは、1.1未満であればよく、好ましくは0.8以上1.1未満である。
他のポリプロピレン系樹脂(C)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。プロピレン系重合体は、プロピレンモノマーを50mol%以上含んでいることが好ましい。
脂環式炭化水素樹脂(B)は、樹脂組成物(A)に含有させることによって、樹脂組成物(A)の結晶化を遅らせる機能を有する成分であると考えられる。樹脂組成物(A)の結晶化速度を遅らせることによって、シート成形時の固化を遅らせて成膜しやすくすることができると考えられる。
また、脂環式炭化水素樹脂(B)は、樹脂組成物(A)に含有させることによって、押出成形時のせん断変形や伸長変形により生じる樹脂組成物(A)の配向結晶化を遅らせる効果があると考えられるため、シートの結晶化度の上昇を抑制し、シートの透明性を向上させる効果が高いと考えられる。樹脂組成物(A)の結晶化を遅らせる効果については、後述するポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間で評価した。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、樹脂組成物(A)及び脂環式炭化水素樹脂(B)を主成分として含むものであり、樹脂組成物(A)と脂環式炭化水素樹脂(B)との混合物であってもよく、溶融混練物であってもよい。
本発明において、「主成分」とは、材料全体の50質量%以上を占める成分を意味する。ポリプロピレン系樹脂組成物(X)全体を100質量%とした場合、樹脂組成物(A)及び脂環式炭化水素樹脂(B)の合計が50質量%以上であればよい。
ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、示差走査熱量計(DSC)で求めたポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(t(X))(秒)が、以下の式(x−1)を満たすことが必要である。
t(X)/t(A)>1.00・・・式(x−1)
(上記式(x−1)中t(A)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定した樹脂組成物(A)の等温結晶化時間(秒)を表し、t(X)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定したポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(秒)である。)
ポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(t(X))が上記範囲であると、シート成形が容易となり、樹脂組成物(A)の配向結晶化が抑制される効果が高いため、シートの透明性が向上する。
等温結晶化時間(t(X))の上限については特に制限しないが、シート成形性の観点から、t(X)/t(A)は30以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。
本発明での等温結晶化時間とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値であり、JIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠する。
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類等を例示することができる。
光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などを例示することができる。
帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類などを例示することができる。
金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などを例示することができる。
無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ガラスファイバー、カーボンファイバーなどを例示することができる。
また、有機充填剤としては、架橋ゴム微粒子、熱硬化性樹脂微粒子、熱硬化性樹脂中空微粒子などを例示することができる。
さらに、スチレン系エラストマーも加えることができ、スチレン系エラストマーとしては、市販されているものの中から、適宜選択して使用することもでき、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンポリマージャパン(株)より「クレイトンG」の商品名で、また、旭ケミカルズ(株)より「タフテック」の商品名で、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物として(株)クラレより「セプトン」の商品名で、スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物として(株)クラレより「ハイブラー」の商品名で、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物としてJSR(株)より「ダイナロン」の商品名で、販売されており、これらの商品群より、適宜選択して用いてもよい。
なお、密度は、JIS K7112に準拠し、23℃で測定した値である。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン系エラストマー、エチレン−プロピレン系ゴム等を例示できる。特に、透明性低下の少ないメタロセン系触媒を用いて製造された、メタロセン系ポリエチレンと称されるエチレン−α−オレフィン共重合体が好適である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(X)を有するシートは、少なくとも本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(X)を用いた主層からなるシートであり、単層シートであっても、2層以上の多層構成であってもよい。
多層シートには、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)を用いた主層以外に、表面層、表面加飾層、印刷層、遮光層、着色層、バリア層、これら層間に設けることができるタイレイヤー層などを含めることができる。
また、シートの片面または両面に、防曇剤、帯電防止剤、滑剤等の表面処理剤を塗布することもできる。
上記押出成形によるシートの製造においては、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(X)を溶融状態で押出し、シート状に冷却固化する工程で、シート表面に鏡面状の弾性金属ロール又は金属ベルトを面転写して鏡面加工を施したり、熱交換性が高い弾性金属ロール又は金属ベルトを接触させて急冷固化したりすることでシートの透明性を向上させることが可能であるため、シートの片面又は両面を、金属ベルト又は弾性金属ロールで押さえつけて冷却固化することが好ましい。
本発明の成形体は、上記シートを、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形などの熱成形により成形して、熱成形体として得ることができる。このような熱成形における加熱方法としては、間接加熱、熱板加熱、熱ロール加熱などが挙げられる。
(i)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
融解ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度とした。単位は℃である。
等温結晶化時間は、示差走査熱量計(DSC)を用い、上述した方法で測定した。
なお、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間を測定する場合は、樹脂組成物(A)と脂環式炭化水素樹脂(B)を二軸押出機にて溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)のペレットを得て、それを用いて等温結晶化時間を測定した。
ひずみ硬化度λの求め方は、前述した方法で行った。
このとき、剪断粘度の値として用いるη*(0.01)、伸長粘度の値として用いるηe(3.5)は以下の方法で測定を行った。
また、このとき測定に用いた試料は、温度180℃、加圧10MPaの条件で1時間プレスすることで厚さ0.7mmおよび2mmの平板に成形したものであり、厚さ0.7mmの試料を伸長粘度測定に、2mmの試料を動的周波数掃引実験に用いた。
Rheometric Scientific社製ARESを用いて、動的周波数掃引実験を行った。
測定ジオメトリには直径25mmの平行円板を使用した。
装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードDynamic Frecuency Sweep Testにて測定を実施した。
試料は上記の方法で作成した厚さ2mmのプレス成形体を用いた。
測定温度は180℃とした。
角振動数ωは0.01〜100rad/sの間を、対数スケールで等間隔となるように一桁あたり5点測定した。
試料の低剪断速度での粘度を示す指標として、ω=0.01rad/sにおける複素粘性率η*(0.01)[単位:Pa・s]を採用した。なお、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]とωから、η*=G*/ωにて計算される。
Rheometric Scientific社製ARESの測定治具に、ティーエーインスツルメント社製 Extensional Viscosity Fixtureを使用して伸長粘度測定を行った。
装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードExtensional Viscosity Testにて測定を実施した。
試料は上記の方法で成形した厚さ0.7mmの試験片を用いた。
試験片の幅は10mm、長さ18mmとした。
歪速度は1.0s−1、測定温度は180℃とした。
その他の測定パラメータは以下のように設定した。
Sampling Mode:log
Points Per Zone:200
Solid Density:0.9
Melt Density:0.8
Prestretch Rate:0.05s−1
Relaxation after Prestretch:30sec
本条件で、少なくとも測定開始からの時間3.7秒までのデータを採取する。ソフトウェアにより、伸長粘度の時間依存性データが得られる。得られた伸長粘度カーブの、時間3.5sec(すなわち歪量3.5)の時点での伸長粘度の値をηe(3.5)[単位:Pa・s]とした。
前述した方法に従って、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用した測定を行い、前述した解析方法に基づき、分岐指数g’を求めた。
前述した方法に従って、13C−NMRを使用した測定を行い、長鎖分岐構造の有無を測定した。
JIS K2207:1996(環球法)に準拠して、脂環式炭化水素樹脂(B)の軟化温度を測定した。単位は℃である。
(1)ポリプロピレン系樹脂(A−1)
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
ポリプロピレン系樹脂(A−1−1a):マクロモノマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX6」、MFR=2g/10分、ひずみ硬化度λ=8.3、Tm=154℃、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.88、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認。
ポリプロピレン系樹脂(A−1−1b):マクロモノマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX3」、MFR=8.8g/10分、ひずみ硬化度λ=7.8、Tm=154℃、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.85、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認。
ポリプロピレン系樹脂(A−1−1c):マクロモノマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX8」、MFR=1.0g/10分、ひずみ硬化度λ=9.7、Tm=154℃、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.89、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認。
以下の他のポリプロピレン系樹脂を用いた。
ポリプロピレン系樹脂(C−1):プロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FL4」、MFR=4.6g/10分、ひずみ硬化度λ=0.9、Tm=163℃、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有さないことを確認。
ポリプロピレン系樹脂(C−2):プロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FY6」、MFR=2.4g/10分、ひずみ硬化度λ=0.9、Tm=161℃、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有さないことを確認。
ポリプロピレン系樹脂(C−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」、MFR=7.0g/10分、ひずみ硬化度λ=0.9、Tm=146℃、13C−NMRの測定により長鎖分岐構造を有さないことを確認。
以下の脂環式炭化水素樹脂を用いた。
脂環式炭化水素樹脂(B−1):脂環族系炭化水素樹脂:荒川化学(株)製、商品名「アルコンーP125」、軟化温度=125℃。
脂環式炭化水素樹脂(B−2):脂環族系炭化水素樹脂:荒川化学(株)製、商品名「アルコンーP100」、軟化温度=100℃。
脂環式炭化水素樹脂(B−3):脂環族系炭化水素樹脂:荒川化学(株)製、商品名「アルコンーP140」、軟化温度=140℃。
以下の樹脂を用いた。
(D−1):水添スチレン系エラストマー(HSBR):JSR(株)製、商品名「ダイナロン1320P」
・樹脂組成物(A)の製造
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)を10質量%、他のポリプロピレン系樹脂(C−1)を90質量%となるように計量し、ヘンシェルミキサーで、3分間攪拌混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約3mm、長さ約2mmに切断することで、樹脂組成物(A)を得た。
なお、二軸押出機には、スクリュー口径25mmのテクノベル社製「KZW−25」二軸押出機を用い、スクリュー回転数は300rpm、混練温度は、ホッパー下からC1/C2/C3〜C7/ヘッド/ダイス=150℃/180℃/230℃/230℃/230℃設定とした。
得られた樹脂組成物(A)は、MFR(A)=3.8g/10分、ひずみ硬化度λ=1.9、結晶化温度Tc(A)=125℃、等温結晶化時間t(A)=233秒であった。
得られた樹脂組成物(A)100質量部に対し、脂環式炭化水素樹脂(B−1)を10質量部となるように配合し、ヘンシェルミキサーで、3分間攪拌混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約3mm、長さ約2mmに切断することで、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)を得た。
なお、二軸押出機には、スクリュー口径25mmのテクノベル社製「KZW−15」二軸押出機を用い、樹脂組成物(A)の製造と同一の条件でポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造を行った。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、等温結晶化時間t(X)=307秒であり、t(X)/t(A)=1.32と、1.00を上回っていた。
口径35mm(直径)押出機が接続された、リップ開度0.7mm、ダイス幅330mmの単層Tダイを用いた。押出機にポリプロピレン系樹脂組成物(X)を投入し、樹脂温度260℃、押出機の吐出量を11.5kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたシートを、10℃の6m/minで回転する第1ロールにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ100μmの透明性評価用単層シートを得た。また、第1ロールの温度を30℃に、回転速度を2m/minに変更することで、厚さ300μmの熱成形性評価用単層シートを得た。
(1)透明性(内部ヘイズ)
上記したシート成形にて得られた厚さ100μmの単層シートを用い、JIS−K7136:2000に準拠して測定した。
内部ヘイズは、両表面に流動パラフィンを塗布したフィルムを厚さ1.3mmのスライドガラス2枚の間に密着する様に挟んだ状態で測定したヘイズ値(%)から、スライドガラス2枚を流動パラフィンで密着させた状態で測定したヘイズ値(%)を引くことで測定される。なお、得られた値が大きいほど不透明であることを意味する。透明性が良好であると考えられる内部ヘイズ値は、6%以下であり、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下である。
厚さ300μmの単層シート成形時の、シートの固化状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:耳押さえのエアーと接触しても耳が反り返らず、ロールへの密着性が良好であり、シートが均一に冷却され、シート全体の透明性が均一である。
×:耳押さえのエアーとの接触により固化が生じて耳が耳押さえ側に反り返り、ロール接触前からシートの固化が開始しており、ロールとの密着性に劣り、結晶化が不均一に発生し、シートが部分的に白濁している。
上記したシート成形にて得られた厚さ300μmの単層シートから、280mm×280mmの大きさの試験片を切り出し、内寸260mm×260mmの枠に水平に固定した。三鈴エリー社製垂れ試験機を用いて、ヒーターが上下に配列してある試験機内の加熱炉に導いて雰囲気温度200℃で加熱し、加熱開始からのサンプル中央部の鉛直方向の変位の経時変化をレーザー光線により測定した。
加熱と共に、シートは一旦垂れ下がり(マイナス方向へ変位)、応力緩和にて張り戻った(プラス方向へ変位)後、自重により再び垂れ下がる。加熱開始時のシート位置(変位)をA(mm)、最大張戻り位置(変位)をB(mm)、最大張戻り後から10秒後の位置(変位)をC(mm)として、耐ドローダウン性を以下に示した基準で評価した。
○:B−A≧−5mmかつC−B≧−10mm
×:B−A<−5mmおよび/またはC−B<−10mm
ここで、B−A≧−5mmであることは、熱成形時にシートが緊張し、シワのない美麗な外観形成が可能であることを意味し、C−B≧−10mmであることは、良好な成形体を得るための成形時間範囲が十分広いことを意味する。
得られた組成物とシートの物性評価結果を表1に示す。
t(X)/t(A)が1.32と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)と他のポリプロピレン系樹脂(C−1)の配合比を20:80となるように変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
t(X)/t(A)が1.30と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、樹脂組成物(A)100質量部に対して、脂環式炭化水素樹脂(B−1)の配合量を5質量部に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
t(X)/t(A)が1.10と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のシートの製造において、押出機に、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)100質量部に対してその他樹脂(D−1)5質量部をドライブレンドしたものを投入した以外は、実施例2と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
t(X)/t(A)が1.30と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、他のポリプロピレン系樹脂(C−1)のみを用い、さらにポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、脂環式炭化水素樹脂(B−1)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
樹脂組成物(A)に長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1)が含まれていないため、耐ドローダウン性に劣る結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、脂環式炭化水素樹脂(B−1)を配合しなかった以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
脂環式炭化水素樹脂(B−1)が含まれていないため、t(X)/t(A)が1.00であり、結晶化が早く、透明性に劣り、かつシート成形性に劣る結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、樹脂組成物(A)100質量部に対して、脂環式炭化水素樹脂(B−1)の配合量を50質量部に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
二軸押出機にて溶融混練して、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却しようとしたが、固化時間が長いため、ストランド状態でカッターに投入することができず、ペレットを得ることができなかった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)と他のポリプロピレン系樹脂(C−1)の配合比を5:95となるように変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.24と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、樹脂組成物(A)100質量部に対して、脂環式炭化水素樹脂(B−1)の配合量を15質量部に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.33と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、樹脂組成物(A)100質量部に対して、脂環式炭化水素樹脂(B−1)の配合量を30質量部に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.87と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)と他のポリプロピレン系樹脂(C−1)の配合比を30:70となるように変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.31と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)と他のポリプロピレン系樹脂(C−1)の配合比を50:50となるように変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.30と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)と他のポリプロピレン系樹脂(C−1)の配合比を70:30となるように変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.37と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例1の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)のみを用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.12と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)をポリプロピレン系樹脂(A−1−1b)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.29と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2の樹脂組成物(A)の製造において、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1a)をポリプロピレン系樹脂(A−1−1c)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.24と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、脂環式炭化水素樹脂(B−1)を脂環式炭化水素樹脂(B−2)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.34と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物(X)の製造において、脂環式炭化水素樹脂(B−1)を脂環式炭化水素樹脂(B−3)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.22と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2の樹脂組成物(A)の製造において、他のポリプロピレン系樹脂(C−1)を他のポリプロピレン系樹脂(C−2)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.27と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2の樹脂組成物(A)の製造において、他のポリプロピレン系樹脂(C−1)を他のポリプロピレン系樹脂(C−3)に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
t(X)/t(A)が1.17と1.00を上回っているため、透明性とシート成形性に優れる結果であった。また、樹脂組成物(A)が本発明の要件を全て満足しているため、耐ドローダウン性に優れる結果であった。
実施例2の樹脂組成物(A)の製造において、他のポリプロピレン系樹脂(C−1)のみを用いた以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
樹脂組成物(A)に長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1)が含まれていないため、耐ドローダウン性に劣る結果であった。
Claims (8)
- ポリプロピレン系樹脂(A−1)を含む樹脂組成物(A)100質量部に対して、軟化温度が70℃〜160℃である脂環式炭化水素樹脂(B)1〜40質量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物(X)であって、
前記樹脂組成物(A)は、下記要件(a1)及び(a2)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、下記要件(x1)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、40g/10分以下である。
(a2)ひずみ硬化度λは、1.1以上である。
(x1)示差熱走査型熱量計(DSC)で求めたポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(t(X))(秒)が、以下の式(x−1)を満たす。
t(X)/t(A)>1.00・・・式(x−1)
(上記式中t(A)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定した樹脂組成物(A)の等温結晶化時間(秒)を表し、t(X)は樹脂組成物(A)の結晶化開始温度(Tc(A))よりも10℃高い温度で測定したポリプロピレン系樹脂組成物(X)の等温結晶化時間(秒)である。) - 前記樹脂組成物(A)は、下記要件(a1’)〜(a2’)を満たす、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(a1’)MFR(A)は、30g/10分以下である。
(a2’)ひずみ硬化度λは、1.3以上である。 - 前記樹脂組成物(A)は、下記要件(a1”)〜(a2”)を満たす、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(a1”)MFR(A)は、20g/10分以下である。
(a2”)ひずみ硬化度λは、1.5以上である。 - 前記ポリプロピレン系樹脂(A−1)は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A−1−1)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記ポリプロピレン系樹脂(A−1−1)は、架橋法以外の方法により製造されたポリプロピレン系樹脂である、請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を有する熱成形用押出シート。
- 請求項6に記載の熱成形用押出シートの製造において、前記ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融状態で押出し、シート状に冷却固化する工程で、シートの片面又は両面を、金属ベルト又は弾性金属ロールで押さえつけて冷却固化することを特徴とする熱成形用押出シートの製造方法。
- 請求項6又は7に記載の熱成形用押出シートの熱成形体である、成形体。
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