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JP2019056211A - 人工芝構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然芝のような感触(踏み心地、グリップ感)と高い緩衝性を有する、足にやさしい人工芝構造体を提供する。【解決手段】人工芝構造体は、硬質発泡体からなる基板、軟質発泡体からなる網目状シート、及び、基布に複数のパイルが植設されてなる人工芝シートがこの順に積層され、基板の表面には、網目状シートの網目枠と脱着自在に嵌合可能な凹溝が網目状に形成されており、網目状シートの網目孔の領域において、基板と人工芝シートとの間には、空隙が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、主にフットサルやサッカー等のスポーツ競技施設や保育園、公園、介護福祉施設などで使用され、天然芝のような感触と高い緩衝性を有し、施工が容易である人工芝構造体に関する。
人工芝は、天然芝と比べて維持管理が容易であることから、各種スポーツの競技場や練習場に広く導入されている。また、近年では、保育園の遊び場や介護施設のリクレーション広場などの人工芝化も進んでいる。一般的に、人工芝は、コンクリートやアスファルト等の硬い基礎地盤層の上に人工芝シートを敷設した構造からなるため、基礎地盤層が土である天然芝と比べると緩衝性に劣り、競技者の足腰に負担がかかるという問題点が指摘されている。
そこで、人工芝の緩衝性を向上させるため、さまざまな敷設構造が提案されている。例えば、本願出願人による特許文献1では、ウレタンチップフォーム等の弾性体シートと不織布等の繊維材シートとを積層した構造からなる人工芝用下敷クッションマットが提案されている。また、特許文献2では、開口部及び連続部をほぼ規則的に有する弾性発泡体シートと、このシートの開口部を充填しつつ、シート上に積層された弾性舗装材とからなる人工芝下地層のアンダーパッドが提案されている。
特開2011−58287号公報 特開平3−194007号公報
上述した特許文献1の下敷クッションマット及び特許文献2のアンダーパッドの構造によれば、人工芝シートを載置させる表面部分は、ほぼ水平な状態に形成されている。他方、天然芝は、土に芝生が植設されたものであることから、土自体の表面は多少の凹凸を有している。それゆえ、平らなシート材等の上に人工芝シートが積層されてなる人工芝構造体は、土に芝生が植設された天然芝とは、感触(踏み心地)が異なるものであった。また、天然芝は、土に芝の根が張っているため、滑りにくく、グリップできる感触を有するが、人工芝構造体にはそのような構成がないため、天然芝と同様程度のグリップできる感触が求められている。
したがって、本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は、天然芝のような感触(踏み心地、グリップ感)と高い緩衝性を有する、足にやさしい人工芝構造体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の人工芝構造体は、硬質発泡体からなる基板、軟質発泡体からなる網目状シート、及び、基布に複数のパイルが植設されてなる人工芝シートがこの順に積層され、基板の表面には、網目状シートの網目枠と脱着自在に嵌合可能な凹溝が網目状に形成されており、網目状シートの網目孔の領域において、基板と人工芝シートとの間には、空隙が形成されている。
人工芝構造体は、下側から、基板、網目状シート、人工芝シートがこの順に積層されて形成されるところ、基板と網目状シートとは、基板の表面に網目状に配置された凹溝に網目状シートの網目枠を嵌め込むことにより結合するため、組み立ての位置決めが容易であり、両者を直ぐに嵌合させて積層施工することができる。また、網目状シートの網目孔の部分は、上に重ねられた人工芝シートと基板との間に空隙が形成されるように構成されており、これによって、天然芝のような感触(踏み心地、グリップ感)が得られる。具体的には、人工芝シートは網目状シートの網目枠部分に支持されているため、使用者が地面方向に力をかけると、まずは軟質な発泡体からなる網目枠部分が力を吸収するとともに、網目孔の空隙部分は容易にへこむため、天然芝のようなやや凹凸がありつつも力を吸収するような柔らかな感触が得られる。また、網目枠と網目孔の空隙部分との間に高低差が生じるため、スリップしにくく、グリップしやすい。そして、さらに強い力が地面方向に加わった場合には、網目孔内の基板表面にも力が分散されるが、基板は網目状シートよりも硬質に形成されているため、基板全体に力が分散される。このように、網目状シートと基板の組み合わせ構造により、多段的かつ高い緩衝作用を有する。また、上下方向への力のみならず、スライディングなど、横方向への力が加わった場合には、網目枠の先端部分が衝撃を吸収すると共に、横方向への滑り止めとなる凸部として働くため、滑りすぎて転倒すること等を防ぐことができる。なお、本明細書において上下とは、人工芝構造体を基礎地盤層に設置して使用する状態での上下方向、すなわち、人工芝シートが上側に設置されている際の上下方向をいうものとする。
また、本発明の人工芝構造体は、網目状シートの厚みは略一定であり、網目状シートの厚み(T)は、基板の凹溝の溝深さ(D)よりも大きい(T>D)ことが好ましい。基板の凹溝の溝深さより網目状シートの厚みを厚くすることにより、網目孔の領域において、基板と人工芝シートとの間に容易に空隙を設けることができる。
また、網目状シートは、異なる種類の発泡体シートが積層されてなり、各層の硬度は、人工芝シート側に向かって徐々に低くなるように構成されていることも好ましい。これにより、より多段的な緩衝作用が得られる。また、積層された発泡体シートの硬度を、人工芝シート側は低硬度(柔らかい発泡体)、基礎地盤層側は高硬度(硬い発泡体)とすることで、柔らかな踏み心地が得られる。
また、網目状シートは、厚さ方向に貫通する複数の切込み線を有する発泡体シートであって、切込み線の切込み方向に対して略垂直方向に発泡体シートを引っ張ることにより、切込み線が開口して網目孔と網目枠を有する網目状シートが形成されるように構成されている伸縮自在なシートであることも好ましい。網目状シートを伸縮自在なシートとすることにより、人工芝の施工現場への部品移送をコンパクトにすることができるため、輸送コストが削減でき、持ち運びもしやすい。また、伸縮方法も引っ張るだけと簡単であるため、施工自体も容易である。
また、基板には、その裏面に複数の突起が設けられていることも好ましい。これにより、突起の間に換気のための隙間が形成されるため、空気の流通が良くなり、人工芝構造体を敷設する床面(以下、単に床面ともいう)の結露が防止される。また、屋外に設置した場合には、雨水の通水路となるため、水はけが良くなり、排水性が向上する。
また、基板には、凹溝が互いに交差する部分又は凹溝以外の部分である凸部に、厚さ方向に貫通する通水孔が設けられていることも好ましい。これにより、屋外に設置された場合の雨水や、清掃時の洗浄水を上側から下側に良好に排水することができる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する人工芝構造体を提供することができる。
(1)踏み心地、グリップ感とも天然芝のような感触を有する。すばやい動きをした場合においても、スリップしにくく、踏ん張ることができるため、転倒しにくい。
(2)多段的かつ優れた緩衝性を有するため、足腰にやさしく、疲れにくい。
(3)敷設施工が容易であり、メンテナンスにおいては、傷んだ部分だけでなく、へたったシート材のみを交換することもできるため、適切な芝状態を維持管理しやすい。
第1の実施形態に係る人工芝構造体の(a)分解斜視図、(b)斜視図である。 図1(b)のA−A線断面図である。 第1の実施形態に係る人工芝構造体を構成する基板の(a)平面図、(b)B−B線断面図である。 第1の実施形態に係る人工芝構造体を構成する網目状シートの(a)平面図、(b)C−C線断面図である。 第1の実施形態に係る人工芝構造体を構成する下敷シートを説明する部分端面図である。 第1の実施形態に係る人工芝構造体の使用状態を概略的に示す説明図である。 第2の実施形態に係る(a)基板の部分平面図、(b)人工芝構造体の部分断面図である。 第2の実施形態の他の例に係る(a)基板の部分平面図、(b)基板と網目状シートを組み合わせた下敷シートの部分平面図、(c)人工芝構造体の部分断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態にかかる人工芝構造体1は、下側(設置面側)から、基板2、網目状シート3、人工芝シート6が積層されて構成されている。以下、基板2と網目状シート3とを組み合わせた下敷構造を下敷シート材4として説明する。
図1〜図4を参照し、本実施形態にかかる人工芝構造体1を構成する基板2について説明する。本実施形態における基板2には、網目状シート3との積層面である表面側(上面側)に、凹溝21が網目状に設けられている。凹溝21は、後述する網目状シート3の網目枠31と脱着自在に篏合できるように形成されており、網目状シート3の網目枠31の形状と対応している。そして、この凹溝21以外の部分、すなわち、凹溝21に囲まれた凸部22は表面が平坦に形成され、基板2の凹溝21と網目状シートの網目枠31とが篏合した際に、網目状シート3の網目孔32の内部に凸部22が入りこむよう、網目状シート3の網目孔32の形状と対応している。また、凸部22は、凸部22の表面上端に向かって細くなる形状(錘台状)としてもよい。なお、基板2の凹溝21の形状は、網目枠31の形状と全く同一である必要はなく、網目状シート3の網目枠31と脱着可能に嵌合でき、網目状に配列された凹溝21で全体として網目枠31を支持することができていれば、異なる部分があってもよい。
基板2の凹溝21は、その溝壁21aの少なくとも一部が網目状シート3の網目枠の枠壁31aと当接するように形成されており、それゆえ、網目枠31は凹溝の溝壁21aに支持固定される。そのため、凹溝の溝幅21Wは、網目枠の枠幅31Wと同程度の幅長さに形成される。しかし、凹溝の溝幅21W全体が、対応する部分の網目枠の枠幅31Wと同程度の幅長さである必要はなく、全体として網目枠31を支持することができていれば、両者に異なる部分があってもよい。本実施形態では、凹溝21の溝幅21Wは概略6mmに形成され、網目枠の枠幅31Wは概略6mmに形成されている。また、凹溝21の溝深さ21Dは、網目状シートの厚み3T(網目枠の高さ31H)に相当する長さよりも短く形成されている。これによって、基板2の凸部22表面と人工芝シート6との間には空隙5が形成される。空隙5は、緩衝性と歩行性の観点から、空隙5の高さが、5mm〜20mmとなるように凹溝21の溝深さ21Dを調整することが好ましく、より好ましくは7mm〜10mm程度となるように調整することが好ましい。特に限定されないが、本実施形態では、凹溝21の溝深さ21Dは5mmに形成され、網目状シートの厚み3Tは13mmとしているため、約8mm程度の高さの空隙5が形成されている。
本実施形態にかかる基板2の裏面には、下側に突出する突起23が格子状に設けられている。突起23が基礎地盤層に接地することにより、突起23と基礎地盤層との間に隙間24が形成されて空気が流通するため、床面の結露を抑制することができる。また、人工芝構造体を屋外に設置した場合には、隙間24が雨水の通水路となるため、水はけが良くなり、排水性が向上する。
基板2は硬質発泡体からなり、網目状シート3よりも硬い発泡体で形成されている。その物性としては、JIS K7220「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」に準拠して測定された圧縮強さ(硬度に相当)が、5〜40N/cmであるものが好ましく、10〜35N/cmであるものがより好ましく、15〜30N/cmであるものが特に好ましい。基板2の素材としては、上述した硬度を有し、クッション性を有するものであれば特に限定されないが、具体的には、発泡ポリウレタン又は発泡ポリオレフィン等が挙げられる。基板2を構成する硬質発泡体としては、凹溝21を設ける必要があるため、10mm〜50mm程度の厚みの硬質発泡体が好適に用いられる。本実施形態では、特に限定されないが、基板2は、厚み18mm、硬度30N/cmの発泡ポリプロピレンで形成されている。
上述した硬質発泡体を、網目パターン状に表面側から所定の温度、圧力で網目溝状にプレスすることにより、凹溝21及び凸部22を有する基板2を容易に得ることができる。同様に、格子パターン状に裏面側から所定の温度、圧力で硬質発泡体をプレスすることにより、突起23及び隙間24が形成される。なお、基板2の製造方法は、上述した方法に限定されず、例えば、凸部22の形状に切り抜いた硬質発泡体シートを別の硬質発泡体上に凹溝21が形成されるように載置し、接着固定すること等によっても基板2を得ることができる。
次に図1〜図4を参照し、網目状シート3について説明する。本実施形態における網目状シート3は、主に網目枠31とこの枠内部の孔である網目孔32とからなる。網目枠31は、前述した基板2の凹溝21と脱着自在に篏合できるように形成されており、基板2の凹溝21の形状と対応している。そして、網目孔32は、網目状シート3の網目枠31と基板2の凹溝21とが篏合した際に、網目孔32の孔内部に基板2の凸部22が入りこむよう、基板2の凸部22の形状と対応している。なお、網目状シート3の網目枠31の形状は、凹溝21の形状と全く同一である必要はなく、凹溝21と脱着可能に嵌合でき、全体として網目枠31が凹溝21で支持されていれば、両者に異なる部分があってもよい。また、網目のパターンは、どのようなパターン形状でもよく、三角形、長方形、菱型、六角形等の多角形状、楕円形、円形又は無定形状等が挙げられる。本実施形態では、一例として、菱型様形状を網目孔32とした網目パターンを用いている。
網目状シート3の網目枠31は、その網目枠の枠壁31aの少なくとも一部が基板2の凹溝の溝壁21aと当接して嵌合するように形成されており、網目枠31は凹溝の溝壁21aに支持固定される。そのため、網目枠の枠幅31Wは、凹溝の溝幅21Wと同程度の幅長さに形成されている。しかし、網目枠の枠幅31W全体が、対応する部分の凹溝の溝幅21Wと同程度の幅長さである必要はなく、網目枠31が凹溝21で支持されていれば、両者に異なる部分があってもよい。また、網目枠の枠幅31Wの幅長さとしては、人工芝シート6を支持すると共に本発明の効果である天然芝のような感触(踏み心地、グリップ感)を得る観点から、3mm〜30mmとすることが好ましく、5mm〜15mmとすることがより好ましい。本実施形態では、特に限定されないが、網目枠の枠幅31Wは概略6mmに形成され、凹溝21の溝幅21Wは概略6mmに形成されている。また、網目枠の高さ31Hは、凹溝の溝深さ21Dに相当する長さよりも長く形成されている。これによって、基板2の凸部22と人工芝シート6との間、すなわち、網目孔32の内部に空隙5が形成される。本実施形態では、特に限定されないが、凹溝21の溝深さ21Dは5mmに形成され、網目枠の高さ31Hは13mmとしているため、約8mm程度の高さの空隙5が網目孔32の内部に形成されている。空隙5は、網目状シート3の硬度に応じて調整すればよく、緩衝性と歩行性の観点から、空隙5の高さが5mm〜20mmとなるように網目状シートの厚み3T(網目枠の高さ31H)を調整選択することが好ましく、より好ましくは7mm〜10mm程度となるように調整することが好ましい。また、網目孔32は、網目状シート3の硬度に応じて調整すればよく、緩衝性と歩行性の観点から、網目孔32の大きさが3cm〜20cm程度とすることが好ましく、4cm〜10cm程度とすることがより好ましい。本実施施形態の菱型様網目孔32の大きさは、約6〜7cm程度に設計されている。
網目状シート3は軟質発泡体からなり、基板2よりも軟らかい発泡体で形成されている。具体的には、JIS K6400−2「軟質発泡材料:硬さ及び圧縮応力−ひずみ特性の求め方」(40%圧縮)に準拠して測定された硬度が、0.5〜20kNであるものが好ましく、1〜10kNであるものがより好ましく、1〜5kNであるものが特に好ましい。網目状シート3を構成する軟質発泡体としては、空隙部5を形成する必要があるため、全体として、10mm〜50mm程度の厚みの軟質発泡体が好適に用いられる。また、網目状シート3は、複数の発泡体シートが積層された構成としてもよく、異なる種類の発泡体シートが積層された構成とすることも可能である。異なる種類の発泡体シートを積層して網目状シート3を形成するにあたっては、人工芝シート6側に向かって徐々に硬度が低くなるように発泡体シートを積層することが好ましい。本実施形態においては、網目状シート3は上側の第1の発泡体シート3aと、下側の第2の発泡体シート3bの2枚の発泡体シートが積層接着されて形成されている。上側の第1の発泡体シート3aは、下側の第2の発泡体シート3bよりも硬度が低く、柔らかいシートが選択されており、これによって、多段的な緩衝作用が得られる。網目状シート3の素材としては、上述した硬度を有し、クッション性を有するものであればよく、特に限定されないが、具体的には、発泡ポリエチレン等の発泡ポリオレフィン、発泡ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂発泡体又は発泡シリコーン等が挙げられる。また、第1の発泡体シート3aと第2の発泡体シート3bとは、同じ素材からなるものであっても、別の素材からなるものであってもよい。本実施形態では、特に限定されないが、網目状シート3は、第1の発泡体シート3aとして、厚み3mm、硬度1.5kNの独立発泡タイプのシリコーン発泡体で形成されたシートと、第2の発泡体シート3bとして、厚み8mm、硬度2.5kNの独立発泡タイプのポリエチレン発泡体で形成されたシートとが積層接着されたものを用いている。
図4(a)に示すように、本実施形態における網目状シート3は伸縮自在なシートであり、シートの厚さ方向に貫通する複数の切込み線3Lを有し、この切込み線3Lの切込み方向に対して略垂直方向にシートを引っ張ることにより、切込み線3Lが開口して網目孔32と網目枠31が生じるように構成されている。このように、網目状シート3を伸縮自在なシートとすることにより、人工芝の施工現場への部品移送をコンパクトにすることができるため、輸送コストが削減でき、小さく持ち運びできるので、ハンドリングも容易となる。また、伸縮方法も引っ張るだけと簡単であるため、引っ張って広げた後、基板2の凹溝21に嵌めこみするだけで下敷シート材4が完成し、施工自体も非常に容易である。なお、網目状シート3は伸縮自在なシートでなくてもよく、例えば、網目孔32をパンチング加工等で開口して形成したシートであってもよい。
次に、人口芝シート6について説明する。本実施形態における人工芝シート6は、基布62に芝に見立てた複数のパイル62が植設されたシートであり、市場で流通するあらゆる種類の人工芝シートを用いることができる。基布62は、織物、不織布、編物又は樹脂シートから形成されており、基布62の裏面には、植設したパイル62を固定して抜け落ちるのを防ぐためのバッキング材が設けられていてもよい。また、用途に応じて、基布62とパイル62との間に砂や弾性チップなどが充填された構造であってもよい。
本発明の人工芝構造体1を複数連結して敷設する場合には、人工芝構造体1に連結手段を設けてもよい。連結手段としては、本発明の作用効果を阻害しないものであれば、人工芝構造体で用いられている公知の連結手段を適用できる。
本実施形態にかかる人工芝構造体1の施工は、施工面上に基板2を敷き、基板2上に形成されている凹溝21に網目状シート3の網目枠31を上から軽い力で押して嵌めこみし、その上に人工芝シート6を重ねることで行われる。基板2と網目状シート3は、凹溝21と網目枠31の嵌合により連結しているので、基板2と網目状シート3との間は接着剤等での接着作業は不要である。また、網目状シート3は伸縮自在なシートとして形成されているため、輸送時や運搬時には縮めた状態で嵩張らずに取り扱いがしやすく、施工時には一端を引っ張るだけで広がって所定の形状となるため、効率よく施工することができる。
次に、図5及び図6を参照しつつ、基板2と網目状シート3とを組み合わせた下敷シート材4の作用について説明する。図5に示すように、基板2に網目状シート3を嵌合させた下敷シート材4においては、網目状シート3の網目枠31は、その枠壁31aが基板2の凹溝の溝壁21aに支持固定されている。また、網目枠の高さ31Hは、凹溝の溝深さ21Dに相当する長さよりも長く形成されているので、基板2の凸部22の表面と人工芝シート6との間、すなわち、網目孔32の内部には空隙5が形成されている。本実施形態では、凹溝21の溝深さ21Dは5mmに形成され、網目枠の高さ31Hは13mmとしているため、約8mm程度の高さの空隙5が網目孔32の内部に形成されている。そして、網目枠31の枠壁31aの下側は、凹溝21と嵌合して凹溝の溝壁21aに支持固定されているが、枠壁31aの上側は、凹溝の溝深さ21Dが網目枠の枠高さ31Hより短いため、凹溝の溝壁21aに支持されない自由端部31bとして構成されている。
図6に示すように、このような下敷シート材4に人工芝シート6を積層させた人工芝構造体1において、使用者が下方向に力をかけると、人工芝シート6は網目状シート3の網目枠31の表面部分に支持されているため、まずは軟質な発泡体からなる網目状シート3の網目枠31が力を吸収するとともに、網目孔32内部の空隙5は容易にへこむため、天然芝のようなやや凹凸がありつつも力を吸収するような柔らかな感触が得られる。また、網目枠31と網目孔32内部の空隙部分5との間には高低差が生じるため、天然芝のような適度な凹凸として機能することによって、使用時にスリップしにくく、グリップしやすい。そして、さらに強い力が下方向に加わった場合には、網目孔32内部の下方に配置されている基板2の凸部22表面にも力が分散されるが、基板2は網目状シート3よりも硬質に形成されているため、基板2全体に力が分散される。本実施形態では、網目状シート3が上側の第1の発泡体シート3aと、下側の第2の発泡体シート3bの2枚の発泡体シートから形成されており、その硬度は、第1の発泡体シート3a<第2の発泡体シート3b<基材2の順に高くなるように選択されている。このように、上側の人工芝シート6側を低硬度(柔らかい発泡体)とし、下側の基礎地盤層側にいくにしたがって、高硬度(硬い発泡体)とすることで、多段的な緩衝作用が得られ、加えた力の大きさに応じたクッション性が得られるため、膝や腰への負担が軽減される。そして、上側の人工芝シート6側を低硬度(柔らかい発泡体)としているため、柔らかな踏み心地が得られると共に、転倒した際には体への衝撃を低減することができる。また、スライディングなど、横方向への力が加わった場合にも、網目枠31の先端の自由端部31bが衝撃を吸収することができ、垂直方向以外の方向の緩衝性にも優れる。
次に、第2の実施形態に係る人工芝構造体10について説明する。図7及び図8に示すように、本実施形態に係る人工芝構造体10は、基板2に通水孔25が設けられている。これにより、屋外に設置された場合の雨水や清掃時の洗浄水を人工芝構造体1の上側から下側に排水することができる。図7に示す実施形態においては、基板2の凸部22の略中央に、基板2の厚み方向に貫通する丸い孔が通水孔25として設けられている。基板2の凸部22は、空隙5を有するように構成されているため、上から流れてきた水がこの部分に溜まりやすいが、通水孔25を設けることにより、スムーズに排水される。基板2の裏面に形成される突起23は、この通水孔25の流出部を避けて形成されている。これにより、通水孔25の流出部が床面に当接しないため、通水孔25の流出部と床面との間に隙間24が形成され、排水がより円滑になされる。
また、図8に示す実施形態においては、基板2に設けられた網目状の凹溝21が互いに交差する部分の略中央に、基板2の厚み方向に貫通する楕円状の孔が通水孔25として設けられている。また、網目状シート3は、通水孔25の少なくとも一部について網目枠31で被覆せず、網目孔32の内部に位置するように形成されている。それゆえ、図8(b)に示すように、網目孔32の端部に通水孔25が一部露出するため、上から流れてきた水が、当該部分から排水される。
本実施形態における基板2、網目状シート3、人工芝シート6に関するその他の説明については、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
1、10 人工芝構造体
2 基板
21 凹溝
21a 凹溝の溝壁
21D 凹溝の溝深さ
21W 凹溝の溝幅
22 凸部
23 突起
24 隙間
25 通水孔
3 網目状シート
3a 第1の発泡体シート
3b 第2の発泡体シート
3T シートの厚み
31 網目枠
31a 網目枠の枠壁
31b 自由端部
31H 網目枠の高さ
31W 網目枠の枠幅
32 網目孔
3L 切込み線
4 下敷シート
5 空隙
6 人工芝シート
61 パイル
62 基布

Claims (6)

  1. 硬質発泡体からなる基板、軟質発泡体からなる網目状シート、及び、基布に複数のパイルが植設されてなる人工芝シートがこの順に積層され、
    前記基板の表面には、前記網目状シートの網目枠と脱着自在に嵌合可能な凹溝が網目状に形成されており、
    前記網目状シートの網目孔の領域において、前記基板と前記人工芝シートとの間には、空隙が形成されていることを特徴とする人工芝構造体。
  2. 前記網目状シートの厚みは略一定であり、該網目状シートの厚み(T)は、前記基板の前記凹溝の溝深さ(D)よりも大きい(T>D)ことを特徴とする請求項1に記載の人工芝構造体。
  3. 前記網目状シートは、異なる種類の発泡体シートが積層されてなり、該各層の硬度は、人工芝シート側に向かって徐々に低くなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工芝構造体。
  4. 前記網目状シートは、厚さ方向に貫通する複数の切込み線を有する発泡体シートであって、該切込み線の切込み方向に対して略垂直方向に該発泡体シートを引っ張ることにより、切込み線が開口して網目孔と網目枠を有する網目状シートが形成されるように構成されている伸縮自在なシートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工芝構造体。
  5. 前記基板には、その裏面に複数の突起が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工芝構造体。
  6. 前記基板には、前記凹溝が互いに交差する部分又は前記凹溝以外の部分である凸部に、厚さ方向に貫通する通水孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工芝構造体。
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