JP2019047740A - パンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
パンに求められる食感は多様であるが、中でも柔らかく口溶けの良い食感は最も求められる食感の一つである。
このような食感を得るために、小麦粉等の製パン用穀粉組成物に対する加水量を多くした多加水パン生地を焼成したパン類が知られている。しかしながら、多加水パン生地は保形成が低く、成形等の作業性が悪くなるという欠点がある。
また、柔らかく口溶けの良いパン類を得るための製造方法として、逆仕込み法(ベーシックドウ法、ベーシックイーストドウ法とも称される)が知られている。この逆仕込み法とは、油脂、卵等の液体製パン原料、糖類等の粉末製パン原料をシュガーバッター法で起泡させ、ここに小麦粉等の製パン穀粉原料、イースト、水等の主原料を添加、ミキシングしてパン生地を調製する方法である。これにより得られたパンは柔らかく口溶けの良い食感であるが、これは大量の油脂と卵等の液体製パン原料(特に卵)の添加による極めてリッチな配合のパン生地になっているためである。パン類は食パン、ロールパン、菓子パン、ドーナツ、調理パンなど多様であるが、逆仕込み法を適用することができるパンはシナモンロール等の菓子パンといった極一部に限られる。
特許文献1では、糖類を固形分として20〜75質量%含有し、比重が0.9未満である可塑性油脂組成物を添加したパン生地が開示され、また、小麦粉類、水及びイーストを含む製パン原料を混捏した生地に前記可塑性油脂組成物を添加して更に混捏するパン生地の製造方法が開示されている。特許文献1に開示される方法は、一般的な製パン方法における油脂の取り扱いと同様に、油脂成分を除く製パン原料をあらかじめ混捏して得られた生地に可塑性油脂組成物を添加して再度混捏してパン生地とする方法である。
特許文献2では、中種に対し、穀粉類、イースト、水及び、食塩を加えて混合する工程、食用油脂類、卵黄及び糖類を含有する可塑性油脂混合物を混合する工程を含む中種法によるパン類の製造方法が開示されている。引用文献2では油脂成分を除く製パン原料をあらかじめ混捏して得られた生地に可塑性油脂組成物を添加している。また、可塑性油脂混合物において卵黄を必須成分としている。
特許文献3では、乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加したことを特徴とするパン生地、及び、小麦粉類、水及びイーストをミキシングしてグルテンが形成された生地に前記可塑性油脂組成物を添加してさらにミキシングすることを特徴とするパン生地の製造方法が開示されている。
また、特許文献4は、油脂性原料100質量部に対し、粉末素材が300質量部以上500質量部以下分散してなる可塑性油脂組成物の製造の際に、油脂性原料100質量部あたり粉末素材150質量部以下の範囲で配合していったんクリーミングまたはホイッピングした後、さらに残りの粉末素材を添加混合することを特徴とする可塑性油脂組成物の製造方法を開示している。この発明は、製パン改良効果を得るためには大量に添加が必要であった粉糖類、無機塩類、大豆粉等の穀粉類等を発酵阻害やグルテンの形成阻害を気にすることなく添加することができる様にすることが目的である。
[1]以下の工程
(1)油脂及び穀粉以外の粉末状原料をクリーミングして可塑性油脂組成物を得る工程 (2)可塑性油脂組成物に穀粉、イースト及び液体状原料を混合することを含む、生地を得る工程
(3)前記生地を300℃未満の温度で焼成する工程
を含む、パン類の製造方法であって、
前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂の量が前記穀粉100質量部に対し4〜53質量部である、前記方法。
[2]工程(3)において200℃以上300℃未満で焼成する、請求項1に記載の方法。
クリーミングにより含有させる空気の量は空気を含有した油脂組成物が可塑性を示す範囲であれば特に限定は無いが、クリーミングの終了時に、油脂組成物の比重は好ましくは0.9未満であり、さらに好ましくは0.4〜0.85、より好ましくは0.6〜0.8である。
混合手段は特に限定されず、常法に従ってパン生地を得ることが出来る。例えば可塑性油脂組成物に穀粉、イースト及び液体状原料を添加してミキサーで混練することにより生地を得ることが出来る。
本発明の製造方法で製造するパンに制限はなく、食パン、ロールパン、菓子パン、ドーナツ、調理パン等が上げられる。食パンとしては白食パン、フランスパン、バラエティーブレッド、イングリッシュマフィン等を、ロールパンとしてはテーブルロール、バターロール、コッペパン、スィートロール、バンズ等を;菓子パンとしてはアンパン、ジャムパン、クリームパン、カレーパン等のフィリング類をパンに詰めたパン、メロンパン、レーズンパン、デニッシュペストリー、クロワッサン、ブリオッシュ等を;調理パンとしてはハンバーガー、ホットドック、ピザ等を例として挙げることができる。
ホバートミキサー(ミキサーN50、ホバート社製)にショートニング15質量部を投入してビーターを使用してショートニングが柔らかくなるまで139rpmで撹拌した。続いて食塩2質量部及び砂糖15質量部を投入して更に591rpmで5分間高速撹拌して可塑性油脂組成物を得た(以下、この工程をクリーミング工程という)。次いで、小麦粉(日本製粉社製のクイン)100質量部、生イースト2質量部及び水50質量部をミキサーに投入し、低速5分、中速2分で混捏してパン生地を得た。得られたパン生地を一晩冷却後、麺帯状に成形し、55質量部の油脂を載せ、シーターで生地を16回折り畳みつつ伸ばしてデニッシュ生地を得た。相対湿度60%、温度32℃で90分間発酵させた後、50g/個に分割して成形し、230℃で8分間焼成してデニッシュを製造した。
小麦粉(日本製粉社製のクイン)100質量部、食塩2質量部、砂糖15質量部、イースト2質量部、油脂5又は15質量部及び水55質量部をミキサーに投入し、低速5分、中速2分で混捏して、パン生地を得た以外は製造例1に従ってデニッシュを得た。
熟練のパネラー10名により、可塑性油脂組成物を使用して製造したデニッシュの柔らかさ及び口どけを以下表1に示す基準に従って評価した。なお、標準的な製造方法で製造したデニッシュ(表2の参考例2)の評価点を3点とした。
表2記載の油脂を使用した以外は製造例1(実施例)又は製造例2(比較例)に従ってデニッシュを製造した。官能評価の結果を表2に示す。なお、200℃で焼成した以外は製造例2に従って製造した標準的なデニッシュは参考例である。
表4記載の油脂配合量にした以外は製造例1に従ってデニッシュを製造した(クリーミング工程有、焼成温度230℃)。官能評価の結果を表4に示す。
Claims (2)
- 以下の工程
(1)油脂及び穀粉以外の粉末状原料をクリーミングして可塑性油脂組成物を得る工程 (2)可塑性油脂組成物に穀粉、イースト及び液体状原料を混合することを含む、生地を得る工程
(3)前記生地を300℃未満で焼成する工程
を含む、パン類の製造方法であって、
前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂の量が前記穀粉100質量部に対し4〜53質量部である、パン類の製造方法。 - 工程(3)において200℃以上300℃未満で焼成する、請求項1に記載の方法。
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