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JP2019041685A - 酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法 - Google Patents

酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法 Download PDF

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JP2019041685A JP2017168878A JP2017168878A JP2019041685A JP 2019041685 A JP2019041685 A JP 2019041685A JP 2017168878 A JP2017168878 A JP 2017168878A JP 2017168878 A JP2017168878 A JP 2017168878A JP 2019041685 A JP2019041685 A JP 2019041685A
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Abstract

【課題】舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係る酸性乳飲料は、リナロールの含有量が50〜2500ppbであり、乳タンパク質とアルコールとを含有する。また、本発明に係る酸性乳飲料ベースは、リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料ベースであって、前記リナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dが50〜2500である。【選択図】なし

Description

本発明は、酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法に関する。
乳タンパク質は、乳特有のまろやかな香味を消費者に感じさせることができるため、当該乳タンパク質を含有させた様々な酸性乳飲料が製造販売されている。
そして、酸性乳飲料に関しては、以下に示すようなアルコールを含有した飲料にも適用されており、様々な研究開発が進められている。
例えば、特許文献1には、酸性の乳、飲料用アルコールおよび水溶性ヘミセルロースを含有することを特徴とするアルコール乳飲料が開示されている。
また、特許文献2には、酸性乳、飲料用アルコールおよび水溶性ヘミセルロースを含有し、水溶性ヘミセルロースの含有量が0.015〜0.050重量%であることを特徴とする炭酸飲料が開示されている。
特開2000−157251号公報 特開2008−11719号公報
本発明者は、アルコールを含有する酸性乳飲料の香味を詳細に検討したところ、舌に残る乳タンパク質由来の不快な油脂感(以下、適宜「舌に残る油脂感」という)を感じるとともに、乳タンパク質由来の臭味であるペーパー臭(以下、適宜「乳由来のペーパー臭」という)を感じるという問題点を見出した。
このような舌に残る油脂感やペーパー臭を抑制し、香味を改善することのできる酸性乳飲料を創出することができれば、酸性乳飲料としての商品価値が高められるのではないかと考えた。
そこで、本発明は、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法を提供することを課題とする。
本発明者は、酸性乳飲料について、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とを抑制するため、様々な物質に焦点をあてて数多くの実験を行った。その結果、リナロールに着目し、この含有量を制御することにより、前記した課題を解決できることを見出し、本発明を創出した。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)リナロールの含有量が50〜2500ppbであり、乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料。
(2)γ−テルピネンの含有量が30〜600ppbである前記1に記載の酸性乳飲料。
(3)前記乳タンパク質の含有量が0.05〜1.30g/100mLである前記1又は前記2に記載の酸性乳飲料。
(4)アルコール度数が1v/v%以上10v/v%未満である前記1から前記3のいずれか1つに記載の酸性乳飲料。
(5)非発泡性である前記1から前記4のいずれか1つに記載の酸性乳飲料。
(6)アルコール度数が5v/v%以上である前記1から前記5のいずれか1つに記載の酸性乳飲料。
(7)リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料ベースであって、前記リナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dが50〜2500である酸性乳飲料ベース。
(8)リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料の製造方法であって、前記リナロールの含有量を50〜2500ppbとする工程を含む酸性乳飲料の製造方法。
(9)リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料ベースの製造方法であって、前記リナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dを50〜2500とする工程を含む酸性乳飲料ベースの製造方法。
(10)乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料の舌に残る油脂感とペーパー臭とを抑制する香味改善方法であって、前記酸性乳飲料について、リナロールの含有量を50〜2500ppbとする酸性乳飲料の香味改善方法。
本発明に係る酸性乳飲料は、リナロールの含有量が所定範囲内となっていることから、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている。
本発明に係る酸性乳飲料ベースは、X/Dが所定範囲内となっていることから、希釈後の酸性乳飲料は、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている。
本発明に係る酸性乳飲料の製造方法は、リナロールの含有量を所定範囲内とする工程を含むことから、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料を製造することができる。
本発明に係る酸性乳飲料ベースの製造方法は、X/Dを所定範囲内とする工程を含むことから、希釈後の酸性乳飲料について、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料ベースを製造することができる。
本発明に係る酸性乳飲料の香味改善方法は、リナロールの含有量を所定範囲内とすることから、酸性乳飲料について、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とを抑制することにより香味を改善することができる。
本発明の実施形態に係る酸性乳飲料の製造方法の内容を説明するフローチャートである。
以下、本発明に係る酸性乳飲料、酸性乳飲料ベース、酸性乳飲料の製造方法、酸性乳飲料ベースの製造方法、及び、酸性乳飲料の香味改善方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[酸性乳飲料]
本実施形態に係る酸性乳飲料は、リナロールと、乳タンパク質と、アルコールと、を含有する飲料である。そして、本実施形態に係る酸性乳飲料は、さらにγ−テルピネンを含有するのが好ましい。
なお、本実施形態での酸性乳飲料とは、重量百分率で乳固形分(無脂乳固形分と乳脂肪分を合わせたもの)を3.0%以上含む飲料(いわゆる「乳飲料」)だけでなく、乳固形分が3.0%未満の飲料も含む概念である。
以下、酸性乳飲料を構成する各成分について説明する。
(リナロール)
リナロール(linalool)とは、モノテルペンアルコールの一種である。このリナロールを酸性乳飲料に含有させることによって、舌に残る油脂感を抑制するとともに、乳由来のペーパー臭を抑制することで、香味を改善させることを本発明者は見出した。
リナロールの含有量は、50ppb以上が好ましく、100ppb以上がより好ましく、200ppb以上がさらに好ましい。リナロールの含有量が所定量以上であることにより、酸性乳飲料の舌に残る油脂感だけでなく、乳由来のペーパー臭を抑制することができ、さらに200ppb以上とすることにより、華やかな香味を有した酸性乳飲料とすることができる。
リナロールの含有量は、2500ppb以下が好ましく、2000ppb以下がより好ましく、1500ppb以下がさらに好ましい。リナロールの含有量が2500ppbを超えると、フローラルな香りが非常に際立って乳感がほとんど感じられなくなり、2000ppbを超えると、フローラルな香りが際立って乳感があまり感じられなくなる。また、1500ppb以下であることにより、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭を抑制するだけでなく、華やかな香味を有した酸性乳飲料とすることができる。
(γ−テルピネン)
γ−テルピネン(γ−Terpinene)とは、モノテルペン炭化水素の一種である。このγ−テルピネンを酸性乳飲料に含有させることによって、乳のボディ感(飲料の香味のうち乳様の味の厚み)を向上させることができることを本発明者は見出した。
γ−テルピネンの含有量は、30ppb以上が好ましく、50ppb以上がより好ましく、80ppb以上がさらに好ましい。γ−テルピネンの含有量が30ppb未満であると乳のボディ感を感じられにくく、50ppb以上だと乳のボディ感をより好適に向上させることができる。
γ−テルピネンの含有量は、600ppb以下が好ましく、500ppb以下がより好ましく、400ppb以下がさらに好ましい。γ−テルピネンの含有量が600ppbを超えると苦味やエグ味が際立ったり、ケミカルなにおいを強く感じてしまったりしてしまうが、600ppb以下とすることにより、苦味やエグ味を抑えつつ、乳のボディ感が向上し、舌に残る油脂感、乳由来のペーパー臭を抑制した好適な酸性乳飲料とすることができる。また、500ppb以下とすることにより、上記効果に加え華やかな香味を有する酸性乳飲料とすることができる。さらに、400ppb以下にすることにより、上記に加え香味のバランスの良い酸性乳飲料とすることができる。
本実施形態に係る酸性乳飲料において、前記したリナロール、γ−テルピネンの含有量は、以下の方法によって測定することができる。
SPME−GC−MS法で測定することができる。当該方法では、標準添加法を用いるのが好ましい。測定に際し、夾雑物質の影響を受ける場合、及び/又は感度が不足する場合には、ファイバーの種類、吸着温度、吸着時間、カラムの種類等の条件を適宜変更するか、または、GC/MS/MS又は2次元GC−MSを用いることが好ましい。
なお、本明細書において1ppbとは、詳細には1×10−7w/w%である。
(乳タンパク質)
乳タンパク質とは、乳原料に含まれるタンパク質の総称であり、詳細には、カゼイン、ホエイタンパク質が挙げられる。
そして、酸性乳飲料に含有する乳タンパク質は、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー、スキムミルクといった粉状のもの、生乳、牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、練乳といった液状のもの、さらには、クリーム、チーズ、バター、アイスクリーム類、ヨーグルトといった前述の物質に乳酸菌を添加し発酵させたもの等の様々な状態(1種又は2種以上)のものを用いることができ、乳タンパク質の由来については特に限定されない。
乳タンパク質の含有量は、0.05g/100mL以上が好ましく、0.10g/100mL以上がより好ましく、0.20g/100mL以上がさらに好ましい。乳タンパク質の含有量が0.05g/100ml未満であると乳のボディ感が感じられにくいが、所定量以上であることにより、酸性乳飲料に乳らしい香味を付与することができる。
乳タンパク質の含有量は、1.30g/100mL以下が好ましく、0.70g/100mL以下がより好ましく、0.50g/100mL以下がさらに好ましい。乳タンパク質の含有量が1.30g/100mlを超えると、乳臭さが強くなる。
なお、酸性乳飲料における乳タンパク質の含有量は、セミミクロケルダール法(乳製品試験法・注解(金原出版)の「一般試験法 タンパク質」を参照)によって測定することができる。
(アルコール)
本実施形態に係る酸性乳飲料に含まれるアルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
そして、酸性乳飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
(アルコール度数)
酸性乳飲料のアルコール度数は、1v/v%以上であることが好ましく、3v/v%以上であることがより好ましく、5v/v%以上であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以上であることにより、酸性乳飲料をアルコール飲料として好適な状態とすることができるとともに、乳臭さを抑制することができる。
酸性乳飲料のアルコール度数は、10v/v%未満であることが好ましく、8v/v%以下であることがより好ましく、6v/v%以下であることがさらに好ましい。アルコール度数が10v/v%以上であると、アルコールの辛味(刺激味)が強くなってしまうが、アルコール度数を10v/v%未満とすることにより、アルコールの辛みを強く感じることなく、舌に残る油脂感や乳由来のペーパー臭が抑制された好適な酸性乳飲料とすることができる。
(酸性)
酸性乳飲料は、飲料中において乳タンパク質の凝集(沈殿)を抑制すべく、乳タンパク質の等電点(例えば、pH4.6)よりもpHの値が酸性領域となる酸性の飲料である。そして、酸性乳飲料は、pH2.5〜4.5であるのが好ましく、pH3.0〜4.0であるのがより好ましい。
なお、酸性乳飲料のpHの値は、クエン酸をはじめとした後記の酸味料等によって制御することができる。そして、酸性乳飲料のpHの値は、公知のpH測定装置によって測定することができる。
(発泡性)
本実施形態に係る酸性乳飲料は、非発泡性であっても、発泡性であってもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm未満であることをいう。
(その他)
本実施形態に係る酸性乳飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維、着色料など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。
そして、前記した乳タンパク質については、前記した脱脂粉乳等の様々な状態のものとして一般に市販されているものを使用することができ、また、リナロール、γ−テルピネン、アルコール、添加物も、一般に市販されているものを使用することができる。なお、リナロール、γ−テルピネンは香料として酸性乳飲料に含有されていてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る酸性乳飲料は、リナロールの含有量が所定範囲内となっていることから、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている。
また、本実施形態に係る酸性乳飲料は、γ−テルピネンの含有量が所定範囲内となっていることから、乳のボディ感が厚くなっている。
[酸性乳飲料ベース]
本実施形態に係る酸性乳飲料ベースは、後記する割り材で希釈されることにより前記の酸性乳飲料とすることができる。
なお、本実施形態に係る酸性乳飲料ベースは、消費者や飲食店などに提供されるに際して、飲料ベースの状態(RTS:Ready To Serve)で提供された後に割り材で希釈されてもよいし、飲料ベースを割り材で希釈した後に飲料の状態(RTD:Ready To Drink)で提供されてもよい。
以下、本実施形態に係る酸性乳飲料ベースを説明するに際して、前記の酸性乳飲料と共通する構成については説明を省略し、相違する構成(特に含有量等)を中心に説明する。
(リナロール)
酸性乳飲料ベースのリナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合、X/Dは、50以上が好ましく、100以上がより好ましく、200以上がさらに好ましい。また、X/Dは、2500以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下がさらに好ましい。
(γ−テルピネン)
酸性乳飲料ベースのγ−テルピネンの含有量をYppbとし、希釈倍率をD倍とした場合、Y/Dは、30以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。また、Y/Dは、600以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下がさらに好ましい。
(乳タンパク質)
酸性乳飲料ベースの乳タンパク質の含有量をZg/100mLとし、希釈倍率をD倍とした場合、Z/Dは、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.20以上がさらに好ましい。また、Y/Dは、1.30以下が好ましく、0.70以下がより好ましく、0.50以下がさらに好ましい。
(アルコール度数)
酸性乳飲料ベースのアルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。また、A/Dは、10未満であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましい。
(割り材)
割り材とは、本実施形態に係る酸性乳飲料ベースの希釈に用いるものである。
割り材としては、例えば、水、炭酸水、お湯、氷、果汁、果汁入り飲料、茶等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、割り材を用いた希釈は、本実施形態に係る酸性乳飲料が1.2〜20倍、好ましくは1.5〜10倍、さらに好ましくは2〜5倍となるように実施すればよい。
以上説明したように、本実施形態に係る酸性乳飲料ベース(希釈倍率:D倍用)は、X/Dが所定範囲内となっている、言い換えると、希釈後(飲用時)の酸性乳飲料のリナロールの含有量が所定範囲内となっている。その結果、希釈後(飲用時)の酸性乳飲料は、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている。
また、本実施形態に係る酸性乳飲料ベース(希釈倍率:D倍用)は、Y/Dが所定範囲内となっているから、希釈後(飲用時)の酸性乳飲料は、乳のボディ感が厚くなっている。
[容器詰め酸性乳飲料、及び、容器詰め酸性乳飲料ベース]
本実施形態に係る酸性乳飲料、及び、酸性乳飲料ベースは、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に酸性乳飲料又は酸性乳飲料ベースを詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
また、各種容器に酸性乳飲料ベースを詰める場合は、その容器に、前記した割り材等によって希釈して飲んでもよい旨の表示(例えば、希釈倍率等)を付してもよい。
[酸性乳飲料、及び、酸性乳飲料ベースの製造方法]
次に、本実施形態に係る酸性乳飲料、及び、酸性乳飲料ベースの製造方法を説明する。
本実施形態に係る酸性乳飲料、及び、酸性乳飲料ベースの製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
混合工程S1では、混合タンクに、水、リナロール、γ−テルピネン、乳タンパク質(脱脂粉乳等)、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程S1において、リナロール、γ−テルピネン、乳タンパク質、アルコール度数、X/D、Y/D、Z/D、A/D等が前記した所定範囲の量となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程S2では、例えば、ろ過、殺菌、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程S1及び後処理工程S2にて行われる各処理は、RTD、RTS飲料などを製造するために一般的に用いられている設備にて行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係る酸性乳飲料の製造方法は、リナロールの含有量を所定範囲内とする工程を含むことから、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料を製造することができる。
また、本実施形態に係る酸性乳飲料の製造方法は、γ−テルピネンの含有量を所定範囲内とする工程を含むことから、乳のボディ感の厚い酸性乳飲料を製造することができる。
本実施形態に係る酸性乳飲料ベースの製造方法は、X/Dを所定範囲内とする工程を含むことから、希釈後の酸性乳飲料について、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とが抑制されている酸性乳飲料ベースを製造することができる。
また、本実施形態に係る酸性乳飲料ベースの製造方法は、Y/Dを所定範囲内とする工程を含むことから、希釈後の酸性乳飲料について、乳のボディ感の厚い酸性乳飲料ベースを製造することができる。
[酸性乳飲料の香味改善方法]
次に、本実施形態に係る酸性乳飲料の香味改善方法を説明する。
本実施形態に係る酸性乳飲料の香味向上方法は、酸性乳飲料について、リナロールの含有量を、所定の範囲内とする方法である。そして、本実施形態に係る酸性乳飲料の香味向上方法は、酸性乳飲料について、γ−テルピネンの含有量を、所定の範囲内とするのが好ましい。
なお、各成分の含有量等については、前記した「酸性乳飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本実施形態に係る酸性乳飲料の香味改善方法は、リナロールの含有量を所定範囲内とすることから、酸性乳飲料について、舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭とを抑制することができる。
また、本実施形態に係る酸性乳飲料の香味改善方法は、γ−テルピネンの含有量を所定範囲内とすることから、酸性乳飲料について、乳のボディ感を厚くすることができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
(サンプルの準備)
表に示す量となるように、乳タンパク質(脱脂粉乳)、リナロール、γ−テルピネン、原料アルコールだけでなく、さらに、大豆多糖類(三栄源エフ・エフ・アイ(株)社製SM−1200:0.1g/100mL)、果糖ぶどう糖液糖(14.86g/100mL)、クエン酸(無水)(0.225g/100mL)、クエン酸三ナトリウム(0.035g/100mL)、水を混合してサンプルを準備した。
なお、大豆多糖類、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウムの其々の含有量は、各サンプル間において同じ値とした。
(試験内容)
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル5名が下記評価基準に則って「舌に残る油脂感」、「乳由来のペーパー臭」、「乳のボディ感」について、1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
(舌に残る油脂感:評価基準)
5点:舌に残る油脂感が非常に強く感じられた。
4点:舌に残る油脂感が強く感じられた。
3点:舌に残る油脂感が感じられた。
2点:舌に残る油脂感が弱く感じられた。
1点:舌に残る油脂感が全く感じられなかった。
ここで、「舌に残る油脂感」とは、前記のとおり、舌に残る乳タンパク質由来の不快な油脂感である。
(乳由来のペーパー臭:評価基準)
5点:乳由来のペーパー臭が非常に強く感じられた。
4点:乳由来のペーパー臭が強く感じられた。
3点:乳由来のペーパー臭が感じられた。
2点:乳由来のペーパー臭が弱く感じられた。
1点:乳由来のペーパー臭が全く感じられなかった。
ここで、「乳由来のペーパー臭」とは、前記のとおり、乳タンパク質由来の臭味であるペーパー臭である。
(乳のボディ感:評価基準)
5点:乳のボディ感が非常に強く感じられた。
4点:乳のボディ感が強く感じられた。
3点:乳のボディ感があると感じられた。
2点:乳のボディ感が弱く感じられた。
1点:乳のボディ感が全く感じられなかった。
ここで、「乳のボディ感」とは、前記のとおり、飲料の香味のうち乳様の味の厚みである。
表1〜4に、各サンプルの規格を示すとともに、各評価の結果を示す。
Figure 2019041685
Figure 2019041685
Figure 2019041685
Figure 2019041685
(結果の検討)
サンプル1−1〜1−6は、リナロールの含有量を変化させたものである。
サンプル1−1〜1−6の結果から、リナロールの含有量が増えるにしたがい、「舌に残る油脂感」、「乳由来のペーパー臭」の点数が下降することが確認できた。さらに、サンプル1−3、1−4では、舌に残る油脂感や乳由来のペーパー臭が抑制されるだけでなく、華やかな香味を有することが確認できた。
サンプル2−1〜2−6は、γ−テルピネンの含有量を変化させたものである。
サンプル2−1〜2−6の結果から、γ−テルピネンの含有量が増えるにしたがい、「乳のボディ感」の点数が上昇することが確認できた。また、サンプル2−4では、香味のバランスが優れていることも確認できた。
サンプル3−1〜3−3は、乳タンパク質の含有量を変化させたものである。
サンプル3−1〜3−3の結果から、乳タンパク質の含有量が所定範囲内であると、舌に残る油脂感、乳由来のペーパー臭が抑制され、乳のボディ感を厚くできることが確認できた。
サンプル4−1〜4−5は、アルコール度数を変化させたものである。
サンプル4−1〜4−5の結果から、アルコール度数が所定範囲内であれば効果を発揮できることが確認できた。
なお、各サンプルは、リナロール、γ−テルピネン、乳タンパク質、原料アルコール以外に、大豆多糖類、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウムを一定量含有していた。しかしながら、大豆多糖類は乳の安定化、果糖ぶどう糖液糖は甘味の調製、クエン酸(無水)及びクエン酸三ナトリウムはpH及び酸味の調製のための物質であって、これらの物質は、本発明の効果(舌に残る油脂感と乳由来のペーパー臭との抑制、乳のボディ感を厚くする)には大きな影響を与えない。よって、本発明の効果は、主にリナロール、γ−テルピネン(及び、乳タンパク質、原料アルコール)の含有量に基づくものであると考える。
S1 混合工程
S2 後処理工程

Claims (10)

  1. リナロールの含有量が50〜2500ppbであり、
    乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料。
  2. γ−テルピネンの含有量が30〜600ppbである請求項1に記載の酸性乳飲料。
  3. 前記乳タンパク質の含有量が0.05〜1.30g/100mLである請求項1又は請求項2に記載の酸性乳飲料。
  4. アルコール度数が1v/v%以上10v/v%未満である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の酸性乳飲料。
  5. 非発泡性である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の酸性乳飲料。
  6. アルコール度数が5v/v%以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の酸性乳飲料。
  7. リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料ベースであって、
    前記リナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dが50〜2500である酸性乳飲料ベース。
  8. リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料の製造方法であって、
    前記リナロールの含有量を50〜2500ppbとする工程を含む酸性乳飲料の製造方法。
  9. リナロールと乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料ベースの製造方法であって、
    前記リナロールの含有量をXppbとし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dを50〜2500とする工程を含む酸性乳飲料ベースの製造方法。
  10. 乳タンパク質とアルコールとを含有する酸性乳飲料の舌に残る油脂感とペーパー臭とを抑制する香味改善方法であって、
    前記酸性乳飲料について、リナロールの含有量を50〜2500ppbとする酸性乳飲料の香味改善方法。
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