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JP2018128318A - ガス検知装置 - Google Patents

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JP2018128318A JP2017020528A JP2017020528A JP2018128318A JP 2018128318 A JP2018128318 A JP 2018128318A JP 2017020528 A JP2017020528 A JP 2017020528A JP 2017020528 A JP2017020528 A JP 2017020528A JP 2018128318 A JP2018128318 A JP 2018128318A
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Abstract

【課題】ガス検知の適性情報を高い精度で簡単に得ることの可能なガス検知装置を提供する。【解決手段】ガス検知装置T0は、撮像装置DUと吸収体OEを有する。撮像装置DUは、被写体の赤外線画像を形成し、その赤外線画像から被写体において検知対象となるガスを検知する。吸収体OEは、ガスに対応する赤外線吸収特性を有する。撮像装置DUは、吸収体OEを介した撮影により取得した第1の赤外線画像と、吸収体OEを介さない撮影により取得した第2の赤外線画像と、の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力する。【選択図】図1

Description

本発明はガス検知装置に関するものであり、例えば、赤外線カメラで得た赤外線画像からガスを検知するガス検知装置に関するものである。
石油化学プラント,ガス製造工場,発電所等のガス消費場所では、ガス漏れ事故の発生を未然に防止するため、ガス漏れを速やかに検知して対処することが求められる。漏洩ガスを検知する技術としては、従来より様々なタイプのもの知られている。例えば特許文献1では、赤外線カメラでガスを可視化して検知する技術が提案されている。そのガス検知技術によれば、ガスが漏れている様子をリアルタイムで動画表示できるので、直感的にガス漏れの位置を把握することができる。
特開2013−122389号公報
赤外線カメラによるガス検知の適性(ガス検知性能)は、撮影環境における様々な要因(背景物体,気象条件等)で大きく変化する。そのため、赤外線カメラの設置にあたっては、所望のガス検知性能が得られているかどうかを確認する必要がある。しかし、前記要因が複雑であるため精度の高いシミュレーションは困難であり、実際にガスを噴出させて確認を行おうとしても撮像エリア全てで行うことは現実的ではなく、検知対象ガスが可燃ガス又は毒ガスである場合には危険でもある。
また、赤外線カメラによるガス検知技術がまだ十分に普及していないことから、前記ガス検知性能が大きく変化することはあまり知られておらず、ガス検知性能を診断するという概念自体存在しない。そのため、特許文献1に記載されているような従来のガス検知装置では、実際にガス漏れが発生しない限り、所望のガス検知性能が得られているかどうかを確認することはできない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガス検知の適性情報を高い精度で簡単に得ることの可能なガス検知装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のガス検知装置は、被写体の赤外線画像を形成し、その赤外線画像から前記被写体において検知対象となるガスを検知する撮像装置と、前記ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体と、を備えたガス検知装置であって、
前記撮像装置が、前記吸収体を介した撮影により取得した第1の赤外線画像と、前記吸収体を介さない撮影により取得した第2の赤外線画像と、の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力することを特徴とする。
第2の発明のガス検知装置は、上記第1の発明において、前記吸収体を介した撮影では、前記撮像装置の撮影画角内の全て又は一部をカバーするように、前記吸収体が前記撮像装置の被写体側に配置されていることを特徴とする。
第3の発明のガス検知装置は、上記第1又は第2の発明において、前記撮像装置自身の反射像が被写体の赤外線画像に重ならない角度に、前記吸収体が設置されていることを特徴とする。
第4の発明のガス検知装置は、上記第3の発明において、気温になじんだ状態の黒体板を更に有し、前記黒体板の反射像が被写体の赤外線画像に重なる角度に、前記吸収体が気温になじんだ状態で設置されていることを特徴とする。
第5の発明のガス検知装置は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記吸収体が、ガスセルと、そのガスセルに封入されているガスと、で構成されており、前記ガスセルに封入されているガスが前記検知対象となるガスと同じガスであることを特徴とする。
第6の発明のガス検知装置は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記第2の赤外線画像が、ガスの封入されていないガスセルを介した撮影により取得した赤外線画像であることを特徴とする。
第7の発明のガス検知装置は、上記第5又は第6の発明において、前記ガスセルを構成する材料のうち赤外線が透過する部分の透過率が、前記ガスの赤外吸収波長帯において30%以上であることを特徴とする。
第8の発明のガス検知装置は、上記第5の発明において、前記ガスセルに封入されているガスの種類,濃度又は厚みが、前記検知対象となるガスの種類,濃度又は厚みに対応するように、複数設定されていることを特徴とする。
第9の発明のガス検知装置は、上記第8の発明において、前記ガスセルに封入されているガスの濃度又は厚みを段階的に変更して前記第1の赤外線画像の取得を行い、前記ガス検知の適性を示す情報として検知下限の濃度又は厚みを算出することを特徴とする。
第10の発明のガス検知装置は、上記第1〜第9のいずれか1つの発明において、前記ガス検知の適性を示す情報が、第1,第2の赤外線画像の輝度値から算出されるS/N比であることを特徴とする。
第11の発明のガス検知装置は、上記第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記ガス検知の適性を示す情報が、マップ表示で出力されることを特徴とする。
第12の発明のガス検知装置は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明において、前記吸収体を介した撮影時と前記吸収体を介さない撮影時との間で前記吸収体を移動させる駆動機構を更に有することを特徴とする。
第13の発明のガス検知装置は、上記第1〜第12のいずれか1つの発明において、前記第1,第2の赤外線画像が、それぞれ5フレーム以上の平均画像であることを特徴とする。
第14の発明のガス検知装置は、上記第1〜第13のいずれか1つの発明において、前記第1,第2の赤外線画像が交互に取得され、それぞれ2回以上の平均画像の差異に基づいて、前記ガス検知の適性を示す情報を形成することを特徴とする。
本発明によれば、撮像装置に吸収体を組み合わせた簡易な構成でありながら、ガス検知の適性情報を高い精度で簡単に得ることが可能である。これにより、撮像装置の設置場所の選定や導入可否の判断を容易に行うことができる。また、検知対象となるガスの種類,濃度又は厚みに対応するように吸収体の赤外線吸収特性を設定すれば、どのようなガスがどの濃度まで検知可能かを推定することができる。
ガス検知装置の実施の形態を示す概略構成図。 ガス検知装置の実施の形態による測定手順の具体例を示すフローチャート。 ガス検知装置の第1の実施の形態を示す概略断面図。 ガス検知装置の第2の実施の形態を示す概略断面図。 ガス検知装置の第3の実施の形態を示す概略断面図。 ガス検知装置の実施の形態における撮像エリアと吸収体エリアとの関係を示す平面図。 ガス検知装置の実施の形態によるS/N比マップの一例を示す画像図。
以下、本発明を実施したガス検知装置等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
図1に、本発明の実施の形態に係るガス検知装置T0の概略断面構造を模式的に示す。このガス検知装置T0は、図1に示すように、撮像装置DU,吸収体OE等で構成されている。撮像装置DUは、絶対温度が零度以上の被写体表面(物体表面)が放射又は反射する電磁波のうち、特定波長帯の電磁波に対して感度を有し、特定波長帯の電磁波からなる被写体像を輝度情報として取得するものである。また、撮像装置DUの視野の前方に配置されている吸収体OEは、特定波長帯の電磁波に対して、検知対象ガスと同等の吸収特性を有するものである。
上記特定波長帯の電磁波として代表的なものは赤外線であり、撮像装置DUの具体例としては赤外線撮像装置(つまり、赤外線波長域に感度を持つ赤外線カメラ)が挙げられる。したがって、ガス検知装置T0の具体例としては、被写体の赤外線画像を形成し、その赤外線画像から被写体において検知対象となるガスを検知する撮像装置DUと、その検知対象ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体OEと、を備えたガス検知システムが挙げられる。撮像装置DUの更なる具体例としては、波長1〜16μmの波長帯の少なくとも一部の波長を検知できる赤外線撮像装置が挙げられ、例えば、8〜16μmを検知する非冷却型遠赤外線撮像装置、3〜5μmを検知する冷却型中赤外線撮像装置等が挙げられる。つまり、観測対象や利用目的に合わせて特定波長域を設定し、その特定波長域において検知感度がある撮像装置DUを選択すればよい。
吸収体OEの例としては、検知対象ガスを封入したガスセルが挙げられる。つまり、検知対象ガスと同じガスをガスセルに封入することにより、吸収体OEを構成することができる。ガスセルの表面は、ガラス板,プラスチック板,光学フィルム等の材料で構成され、特定波長域に対して高い透過率を有するものが望ましい。例えば、ガスセルを構成する材料のうち赤外線が透過する部分(例えば、ガスの被写体側と撮像装置側の各部分)の透過率が、検知対象ガスの赤外吸収波長帯において30%以上であることが望ましい。なお、吸収体OEはガスセルに限らない。例えば、検知対象ガスと同等の吸収特性を有する光学素子を吸収体OEとして用いてもよい。
撮像装置DUは、被写体の静止画撮影や動画撮影のために、被写体像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力するレンズユニットLUを備えている。レンズユニットLUは、物体(被写体)側から順に、物体の光学像(被写体像)を形成する撮像レンズLN(AX:光軸)と、その撮像レンズLNにより形成された光学像を、被写体の赤外線画像として電気的な信号に変換する撮像センサーSRと、を備えている。
撮像装置DUは、レンズユニットLUの他に、信号処理部1,演算制御部2,メモリー3,操作部4,表示部5等を備えている。撮像センサーSRで生成した信号は、信号処理部1で所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が必要に応じて施され、デジタル映像信号としてメモリー3(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、ケーブルを介したり赤外線信号等に変換されたりして、通信機能により他の機器に伝送される。演算制御部2はマイクロコンピューターからなっており、輝度情報処理機能,撮影機能,画像再生機能等の機能の制御;撮像レンズLNや吸収体OEの移動機構の制御等を集中的に行う。操作部4は、操作ボタン等の操作部材を含む部分であり、操作者が操作入力した情報を演算制御部2に伝達する。表示部5は液晶モニター等のディスプレイを含む部分であり、撮像センサーSRによって変換された画像信号や記録画像情報を用いて画像表示(ガス漏れ報知等の情報表示,ガス検知適性の情報表示等)を行う。
撮像装置DU中のレンズユニットLU以外の部分は、中央監視室における制御端末装置,パーソナルコンピュータ(据え置き型,可搬型等),携帯機器(スマートフォン,タブレット端末,タッチパッド等)等のデジタル機器において、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive)等によって、その少なくとも一部が容易に構成可能である。そして、HDDに格納されているガス検知適性の情報処理プログラムをCPUが読み出し、RAMに展開して実行することによって、各部の機能を実現することができる。
赤外線カメラによるガス検知の適性(ガス検知性能)は、前述したように背景物体や気象条件等、撮影環境における様々な要因で大きく変化する。そのため、赤外線カメラの設置にあたっては、所望のガス検知性能が得られているかどうかを確認する必要がある。そこで、ガス検知装置T0では、赤外撮影画像を用いたガス検知を行う撮像装置DUが、吸収体OEを介した撮影により取得した第1の赤外線画像と、吸収体OEを介さない撮影により取得した第2の赤外線画像と、の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力する構成になっている。
図2に、ガス検知装置T0による測定手順の具体例を示す。吸収体OEの温度はガス検知の適性を示す情報の測定に大きく影響するため、測定開始(#10)の際には、まず吸収体OEの温度を気温と同じになるようにする。例えば、測定開始後、所定の時間が経過するまで待機することにより、吸収体OEの温度が気温と同じになるようにする。この所定の時間は、吸収体OEの熱容量,吸収体OEの表面積等を考慮し、予め計算シミュレーション又は実験により求めておいたものである。あるいは、測定開始後、吸収体OEの温度の経時変化が許容範囲内(温度変化ゼロ近傍)に収まるまで待機することにより、吸収体OEの温度が気温と同じになるようにする。吸収体OEの温度測定は、例えば、熱電対等の温度計測機を用いて行う。
測定手順の具体例において、吸収体OEが気温と同じ温度になるようになじんだら(#10)、吸収体OEを介した撮影により第1の赤外線画像を取得し(#20)、吸収体OEを介さない撮影により第2の赤外線画像を取得する(#30)。取得した第1の赤外線画像と第2の赤外線画像との差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力し(#40)、測定を終了する(#50)。このガス検知装置T0は、撮像装置DUに吸収体OEを組み合わせた簡易な構成でありながら、ガス検知の適性情報を高い精度で簡単に得ることを可能としている。これにより、撮像装置DUの設置場所の選定や導入可否の判断を容易に行うことが可能となる。なお、第1の赤外線画像の取得と第2の赤外線画像の取得とは順序が逆になっても構わない。
吸収体OEを介した撮影により第1の赤外線画像を取得し(#20)、吸収体OEを介さない撮影により第2の赤外線画像を取得する(#30)ために、被写体からの赤外線が吸収体OEを通る光路と通らない光路を構成する必要がある。そのための更に具体的な構成として、第1〜第3の実施の形態に相当するガス検知装置T1〜T3を図3〜図5にそれぞれ示す。
図3に示すガス検知装置T1は、撮像装置DUの視野内への吸収体OEの挿入と(図3(A))、撮像装置DUの視野外への吸収体OEの退避と(図3(B))、の切り替えを行うための挿抜機構10を備えている。この挿抜機構10は、吸収体OEを介した撮影時と吸収体OEを介さない撮影時との間で吸収体OEを移動させる駆動機構である。挿抜機構10の例としては、吸収体OEを直線状に移動させるものが挙げられる。また、回動部材に吸収体OEを配置し、回動部材を回転させることにより、吸収体OEを撮像装置DUの視野に入れたり視野から外したりするものが挙げられる。
図3(A)に示すように撮像装置DUの視野内に吸収体OEを挿入すると、吸収体OEは撮像装置DUの視野を完全に覆うため、吸収体OEを通して被写体像を形成して、第1の赤外線画像を取得することができる。図3(B)に示すように撮像装置DUの視野外へ吸収体OEを退避させると、吸収体OEは撮像装置DUの視野から完全に外れるため、吸収体OEを通さずに被写体像を形成して、第2の赤外線画像を取得することができる。
図4に示すガス検知装置T2は、撮像装置DUの視野内への吸収体OEの挿入と(図4(A))、撮像装置DUの視野外への吸収体OEの取り外しと(図4(B))、を手動又は自動で行う構成になっている。ガス検知装置T0,T1(図1,図3)では吸収体OEが光軸AXに対して垂直(つまり、赤外線を透過させる光学面の法線が光軸AXに対して平行)に配置されているが、そのような配置では、吸収体OEの表面の透過率が理想的な100%でない限り、吸収体OEの表面の反射像が撮像されてしまう。そこで、ガス検知装置T2では、撮像装置DU自身の反射像を撮像してしまうナルシサス効果を防ぐため、図4(A)に示すように吸収体OEは傾きをつけて配置されている(ここでは傾き角度を45度としている。)。つまり、吸収体OEは撮像装置DU自身の反射像が被写体の赤外線画像に重ならない角度に設置されている。したがって、より一層精度の良い測定が可能となる。
上記のように吸収体OEを傾けて配置すると、吸収体OEの周囲から電磁波が入射してくるおそれがある。そこで、吸収体OEの周囲から入射してくる電磁波を遮るため、吸収体OEの表面反射先に黒体板B1を配置することが望ましい。このとき、黒体板B1の反射像が被写体の赤外線画像に重なる角度に、吸収体OEが設置されていることが更に望ましい。つまり、ここでは吸収体OEの傾き角度を45度にすることにより、黒体板B1を被写体とともに撮像している。なお、前述したように吸収体OEは気温になじんだ状態で設置されていることが望ましいので、黒体板B1も同様、十分に気温になじんだ状態で設置されていることが望ましい。
吸収体OEを介した撮影では、撮像装置DUの撮影画角内(つまり視野内)の全て又は一部をカバーするように、吸収体OEが撮像装置DUの被写体側に配置されていることが望ましい。ガス検知装置T1では、撮像装置DUの撮影画角内の全てをカバーするように、吸収体OEが撮像装置DUの被写体側に配置されているが、必要に応じて特定のエリアのみをカバーするようにしてもよい。
図6に、撮像エリアA0と吸収体エリアA1との関係を示す。図6(A)は吸収体OEが撮影画角の全範囲をカバーした状態を示しており、図6(B)は吸収体OEが撮影画角の一部をカバーした状態(撮像エリアA0の中心部分に吸収体エリアA1が位置する状態)を示している。ガス検知装置T2では、吸収体OEの大きさや形状を変更するだけで、撮影画角の一部のみを吸収体OEでカバーすることができ、その部分についてのみ第1の赤外線画像を得ることができる。
図5に示すガス検知装置T3は、撮像装置DUの視野内への吸収体OEの挿入と(図5(A))、撮像装置DUの視野内への空のガスセルGCの挿入と(図5(B))、の切り替えを手動又は自動で行う構成になっている。吸収体OEは、ガスセルGCと、そのガスセルGCに封入されているガスGSと、で構成されている。ガスセルGCに封入されているガスGSは、検知対象となるガスと同じガスである。また、ガスセルGCにおいてガスGSの被写体側と撮像装置DU側のそれぞれに位置する材料は、ガスGSの赤外吸収波長帯において赤外線を30%以上を透過させるものであることが望ましい。
ガス検知装置T3では、ガス検知装置T2と同様、撮像装置DU自身の反射像を撮像してしまうナルシサス効果を防ぐため、撮像装置DU自身の反射像が被写体の赤外線画像に重ならない角度(傾き角度:45度)に、吸収体OE(図5(A))及びガスセルGC(図5(B))が配置されている。また、黒体板B1もガス検知装置T2と同様に配置されている。
ガス検知装置T2では、撮像装置DUの視野外へ吸収体OEを取り外した状態での撮影により第2の赤外線画像が取得されるが、ガス検知装置T3では、撮像装置DUの視野内へ空のガスセルGCを挿入した状態での撮影により第2の赤外線画像が取得される。つまり、ガス検知装置T3で用いる第2の赤外線画像は、ガスGSの封入されていないガスセルGCを介した撮影により取得した赤外線画像となる。ガスGSの封入されていないガスセルGCを用いると、ガスGSの有無以外の条件が同じになるため、ガスセルGC表面の反射像の影響等をキャンセルすることが可能となる。したがって、ガス検知の適性情報をより一層高い精度で得ることができる。
ガスセルGCに封入されているガスGSの種類,濃度又は厚みは、検知対象となるガスの種類,濃度又は厚みに対応するように、複数設定されていることが望ましい。それにより、様々なガスの種類,濃度又は厚みに対するガス検知の適性情報を容易に得ることができる。つまり、検知対象となるガスGSの種類,濃度又は厚みに対応するように吸収体OEの赤外線吸収特性を設定することにより、どのようなガスGSがどの濃度まで検知可能かを推定することができる。したがって、ガスセルGCに封入されているガスGSの濃度又は厚みを段階的に変更して(例えば、各濃度に相当する厚みを変えたものを使って複数回測定する。)、第1の赤外線画像の取得を行い、ガス検知の適性を示す情報として検知下限の濃度又は厚みを算出するが望ましい。いくつかの濃度又は厚みを測定すれば、他の濃度又は厚みも推定できる。例えば、アルゴリズムでS/N比3以上で検知可能であれば、S/N比3に相当する濃度が検知下限濃度となる。
上述したガス検知装置T1〜T3において、吸収体OEを介した撮影により第1の赤外線画像を取得し(図2の#20)、吸収体OEを介さない撮影により第2の赤外線画像を取得する際(図2の#30)、第1の赤外線画像と第2の赤外線画像との誤差を低減するため、第1,第2の赤外線画像は、それぞれ5フレーム以上の平均画像であることが望ましい。また、タイムドリフトの影響を低減するため、第1,第2の赤外線画像が交互に取得され、それぞれ2回以上の平均画像の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成することが望ましい。
ガス検知装置T1〜T3では、前述したように第1の赤外線画像と第2の赤外線画像との差異に基づいてガス検知の適性を示す情報を得るが(図2の#40)、その際、得られた第1,第2の赤外線画像の各画素において、第1の赤外線画像と第2の赤外線画像との輝度情報の差分を算出する。この情報の差分の絶対値は、ガス検知の適性を示す情報であり、値が大きいほどガス検知の適性が良いことを示すものである。
ガス検知の適性を示す情報は、第1,第2の赤外線画像の輝度値から算出されるS/N比であることが望ましく、また、マップ表示で出力されることが望ましい。例えば、S/N比でマップ表示することにより、ガス検知の適性を更に分かり易く出力することが可能である。S/N比は以下の式(F1)で算出される。
S/N比=|S1−S2|/N …(F1)
S1:第1の赤外線画像の輝度値、
S2:第2の赤外線画像の輝度値、
N:NETD(Noise Equivalent Temperature Difference)輝度値、
である。なお、輝度値Nはカタログ値を使用してもよいし、実測して求めてもよい。輝度値S1,S2及びNは輝度値をそのまま使用してもよいし、温度値に換算して使用してもよい。
ガス検知をアルゴリズムで自動化している場合、そのアルゴリズムで検知可能なS/N比の下限値が分かっていれば、検知可能なエリアと検知不可能なエリアを表示することも可能である。例えば、アルゴリスムで検知可能なS/N比の閾値が3であれば、S/N比3以上のエリアは検知可能であり、S/N比3未満のエリアは検知不可能であることが分かる。
各画素で算出されたS/N比をカラースケール又はグレースケールでマップ表示することにより、ユーザーは容易かつ直感的に撮像エリアA0(図6)内の全て又は所望の一部のガス検知の適性を知ることができる。図7に、S/N比マップの一例を示す。ここでは、以下に挙げるような装置構成を想定している。
例えば、検知対象ガスはメタンガスとし、検知対象濃度は爆発下限値の10分の1、すなわち0.5%とする(メタンの爆発下限値は5%)。上述したガス検知装置T1〜T3のようなシステムで検知できるのは濃度厚み積(濃度×厚み)となるため、濃度厚み積は0.5%・m(0.5%のガスが1mの厚みで存在するのと等価)とする。メタンガスは3.2μmから3.4μmの波長域に吸収特性を持っており、その波長域の信号を撮像する。吸収体OEとしてガスGSの封入されたガスセルGCを用いる場合、ガスセルGCの表面にはその波長域を透過する光学フィルム(フロンケミカル製 FEPフィルムNR0538−03)を用いる。ガスセルGCの厚みは、0.5%・mと等価となるように3.5mmとする(45度傾けて光路長5mm)。
以上の説明から分かるように、上述した各実施の形態には以下の特徴的な構成(C1)〜(C3)等が含まれている。
(C1):被写体の赤外線画像を形成し、その赤外線画像から前記被写体において検知対象となるガスを検知する撮像装置と、前記ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体と、を備えたガス検知装置であって、
前記撮像装置が、前記吸収体を介した撮影により取得した第1の赤外線画像と、前記吸収体を介さない撮影により取得した第2の赤外線画像と、の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力することを特徴とするガス検知装置。
(C2):被写体の赤外線画像から前記被写体において検知対象となるガスを検知する際のガス検知の適性を診断するための方法であって、
前記ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体を介した撮影と前記吸収体を介さない撮影とにより第1,第2の赤外線画像を取得し、前記第1の赤外線画像と前記第2の赤外線画像との差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力することを特徴とするガス検知適性診断方法。
(C3):被写体の赤外線画像から前記被写体において検知対象となるガスを検知する際のガス検知の適性を診断するためのプログラムであって、
前記ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体を介した撮影により第1の赤外線画像を取得する処理と、前記吸収体を介さない撮影により第2の赤外線画像を取得する処理と、前記第1の赤外線画像と前記第2の赤外線画像との差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするガス検知適性診断プログラム。
上述した各実施の形態から分かるように、ガス検知装置の実施の形態によれば、撮像装置DUに吸収体OEを組み合わせた簡易な構成でありながら、ガス検知の適性情報を高い精度で簡単に得ることが可能である。これにより、撮像装置DUの設置場所の選定や導入可否の判断を容易に行うことができる。また、検知対象となるガスGSの種類,濃度又は厚みに対応するように吸収体OEの赤外線吸収特性を設定すれば、どのようなガスGSがどの濃度まで検知可能かを推定することができる。これらの効果は、上記ガス検知適性診断方法やガス検知適性診断プログラムを用いた場合でも同様に得ることができる。
T0,T1,T2,T3 ガス検知装置
OE 吸収体
GC ガスセル
GS ガス
DU 撮像装置
LU レンズユニット
LN 撮像レンズ
SR 撮像センサー
AX 光軸
A0 撮像エリア
A1 吸収体エリア
B1 黒体板
1 信号処理部
2 演算制御部
3 メモリー
4 操作部
5 表示部
10 挿抜機構(駆動機構)

Claims (14)

  1. 被写体の赤外線画像を形成し、その赤外線画像から前記被写体において検知対象となるガスを検知する撮像装置と、前記ガスに対応する赤外線吸収特性を有する吸収体と、を備えたガス検知装置であって、
    前記撮像装置が、前記吸収体を介した撮影により取得した第1の赤外線画像と、前記吸収体を介さない撮影により取得した第2の赤外線画像と、の差異に基づいて、ガス検知の適性を示す情報を形成して出力することを特徴とするガス検知装置。
  2. 前記吸収体を介した撮影では、前記撮像装置の撮影画角内の全て又は一部をカバーするように、前記吸収体が前記撮像装置の被写体側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のガス検知装置。
  3. 前記撮像装置自身の反射像が被写体の赤外線画像に重ならない角度に、前記吸収体が設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガス検知装置。
  4. 気温になじんだ状態の黒体板を更に有し、前記黒体板の反射像が被写体の赤外線画像に重なる角度に、前記吸収体が気温になじんだ状態で設置されていることを特徴とする請求項3記載のガス検知装置。
  5. 前記吸収体が、ガスセルと、そのガスセルに封入されているガスと、で構成されており、前記ガスセルに封入されているガスが前記検知対象となるガスと同じガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  6. 前記第2の赤外線画像が、ガスの封入されていないガスセルを介した撮影により取得した赤外線画像であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  7. 前記ガスセルを構成する材料のうち赤外線が透過する部分の透過率が、前記ガスの赤外吸収波長帯において30%以上であることを特徴とする請求項5又は6記載のガス検知装置。
  8. 前記ガスセルに封入されているガスの種類,濃度又は厚みが、前記検知対象となるガスの種類,濃度又は厚みに対応するように、複数設定されていることを特徴とする請求項5記載のガス検知装置。
  9. 前記ガスセルに封入されているガスの濃度又は厚みを段階的に変更して前記第1の赤外線画像の取得を行い、前記ガス検知の適性を示す情報として検知下限の濃度又は厚みを算出することを特徴とする請求項8記載のガス検知装置。
  10. 前記ガス検知の適性を示す情報が、第1,第2の赤外線画像の輝度値から算出されるS/N比であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  11. 前記ガス検知の適性を示す情報が、マップ表示で出力されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  12. 前記吸収体を介した撮影時と前記吸収体を介さない撮影時との間で前記吸収体を移動させる駆動機構を更に有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  13. 前記第1,第2の赤外線画像が、それぞれ5フレーム以上の平均画像であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス検知装置。
  14. 前記第1,第2の赤外線画像が交互に取得され、それぞれ2回以上の平均画像の差異に基づいて、前記ガス検知の適性を示す情報を形成することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のガス検知装置。
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