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JP2018192071A - カーテン用レース編地 - Google Patents

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祥弘 藤井
Sachihiro Fujii
祥弘 藤井
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【課題】本発明は、従来と同様の薄地のレース編地で遮熱性を高めることができるカーテン用レース編地を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るカーテン用レース編地は、経方向に沿って編成されるとともに緯方向に所定間隔を空けて配列された複数の鎖編列の間において複数の連結糸が緯方向に振られて鎖編列の編目に交互に編み込まれて構成された地組織と、前記地組織の一方の面側に柄糸を編み込んで柄模様が形成されている柄部とを備えている目付が90g/m2〜150g/m2の薄地のレース編地であって、前記地組織の他方の面側において前記連結糸が少なくとも経方向に起毛されて毛羽立った状態となっており、断熱性試験(赤外ランプ 60℃法)による断熱効果率が20%〜30%である。【選択図】図1

Description

本発明は、カーテンに好適な通気性及び遮熱性を有するレース編地に関する。
従来より、インテリア用品として用いられているカーテンでは、遮熱性、遮像性及び採光性といった機能が求められている。カーテンの生地としてレース編地が使用されているが、遮熱性及び遮像性を向上させるためには、そうした機能を有する糸を挿入糸として用いてレース編地の空隙を埋める方法が採られている。例えば、特許文献1では、生地の一面側を縮れ加工を施したポリエステル長繊維で形成して吸着剤を塗布してなり、遮熱作用を有するハイマルチ糸で生地の中間層を形成し、生地の他面側をブライト糸で形成したレースカーテン生地が記載されている。
また、レース編地では、例えば、特許文献2及び3に記載されているように、衣料用として使用する場合に、一面側に起毛処理を施すことで肌触りを向上させるとともに防寒機能を高めるようにすることが提案されている。
特開2016−64013号公報 特開平7−54247号公報 登録実用新案第3191561号公報
特許文献1に記載されたレースカーテン生地では、様々な機能性を付与することができるものの生地が厚くなって重くなり、また光を遮るようになるため採光性が低下するようになる。また、挿入糸によりレース編地の隙間を埋めていくと通気性を低下させるといった課題が生じる。
そこで、本発明は、従来と同様の薄地のレース編地で遮熱性を高めることができるカーテン用レース編地を提供することを目的とする。
本発明に係るレース編地は、経方向に沿って編成されるとともに緯方向に所定間隔を空けて配列された複数の鎖編列の間において複数の連結糸が緯方向に振られて鎖編列の編目に交互に編み込まれて構成された地組織と、前記地組織の一方の面側に柄糸を編み込んで柄模様が形成されている柄部とを備えている目付が90g/m2〜150g/m2の薄地のカーテン用レース編地であって、前記地組織の他方の面側において前記連結糸が少なくとも経方向に起毛されて毛羽立った状態となっており、断熱性試験(赤外ランプ 60℃法)による断熱効果率が20%〜30%である。さらに、JIS L1096 8.26.1A法による通気性が200cm3/cm2以上である。さらに、前記地組織には、前記鎖編列の間に経挿入糸が編み込まれている。
本発明は、上記のような構成を有することで、地組織の他方の面側において連結糸が少なくとも経方向に起毛されて毛羽立った状態になっているので、目付が90g/m2〜150g/m2の薄地のレース編地であっても、遮熱性を高めることができる。また、経方向に毛羽立った状態となっているので、毛羽立った部分に形成される空気層と毛羽による乱反射で遮像性の機能を持たせることができ、空隙の多いレース編地でも遮像性を確保することが可能となる。また、柄模様が形成された面とは反対側の面を起毛させるようにしているので、柄模様に影響を与えることなく遮熱性及び遮像性を確保することができる。
本発明に係るカーテン用レース編地に関する概略構成図である。 本発明に係るカーテン用レース編地の地組織に関する編組織図である。 断熱性試験装置に関する説明図である。 実施例1に関する断熱性試験の測定結果を示すグラフである。 比較例1に関する断熱性試験の測定結果を示すグラフである。 花粉キャッチ試験における花粉キャッチ状態を撮影した写真である。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るカーテン用レース編地に関する概略構成図である。カーテン用レース編地1は、経方向に沿って編成されるとともに緯方向に所定間隔を空けて配列された複数の鎖編列2の間において複数の連結糸3が緯方向に振られて鎖編列2の編目に交互に編み込まれて構成された地組織を備えている。そして、カーテン用レース編地1は、図示されていないが、地組織の一方の面側(図1では反対側)には、柄糸を編み込んで柄模様が形成された柄部を有している。柄部が表出する面側をカーテン用レース編地1の表面側とすると、図1では、カーテン用レース編地1の裏面側を示している。
カーテン用レース編地1は、地組織の他方の面側(裏面側)では、連結糸3が少なくとも経方向に起毛されて毛羽立った状態となっている。そのため、鎖編列2の間に緯方向に掛け渡された連結糸3の間に形成された隙間には、毛羽立った繊維が拡がるようになる。拡がった繊維による毛羽立った部分には空気層が形成されて遮熱性が向上するようになり、毛羽立った繊維による乱反射で遮像性の機能を持たせることができる。また、連結糸3の間の隙間は確保されているので、従来と同様の通気性を持たせることができる。したがって、空隙の多いレース編地でも遮熱性及び遮像性を向上させることが可能となる。また、柄模様が形成された面とは反対側の面を起毛させるようにしているので、柄模様に影響を与えることなく遮熱性及び遮像性を確保することができる。
カーテン用レース編地1は、90g/m2〜150g/m2の薄地で、JIS L1096 8.26.1A法(フラジール形法)による通気性が200cm3/cm2以上であり、断熱性試験(赤外ランプ 60℃法)による断熱効果率が20%〜30%となる遮熱性を有するように連結糸3を少なくとも経方向に起毛処理している。また、起毛処理により毛羽立った状態が経方向に拡がることで、花粉のキャッチ機能を高めることができ、起毛処理していない場合に比べて花粉の付着率を高めることが可能となる。
カーテン用レース編地1は、上述した目付及び通気性を有することで、従来と同様の薄地で空隙の多いレース編地となって軽量で十分な通気性が得られるとともに従来と同様の採光性を確保することができる。そして、連結糸の経方向へ拡がる起毛処理により従来に比べて遮熱性を向上させることができ、カーテンに使用した場合に従来のものに比べて機能性を高めることが可能となる。
鎖編列に用いる編成糸は、カーテンに用いられる公知の繊維材料からなる糸を用いることができ、例えば、ポリエステル系繊維等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、木綿等の天然繊維といった公知の繊維からなる糸やこれらの繊維を組み合せた複合糸を用いることができる。、
連結糸に用いる編成糸は、起毛処理が可能な糸又は起毛された意匠糸を用いることができ、例えば、ウーリー加工糸、フルダル糸といった公知の糸が挙げられる。編成糸の繊度は、55dtex〜220dtexが好ましい。繊度が55dtexより小さいと、十分な起毛処理を行うことができず、220dtexより大きい場合には、起毛処理することで通気性が低下することが避けられない。
柄部に用いる編成糸は、カーテンに用いられる公知の繊維材料からなる糸を使用することができ、例えば、ポリエステル系繊維等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、木綿等の天然繊維といった公知の繊維からなる糸やこれらの繊維を組み合せた複合糸を用いることができる。
なお、地組織には、経挿入糸を鎖編列の間に編み込むことができる。経挿入糸としては、様々な機能を備えた糸を用いることができ、例えば、遮熱機能や遮像機能を備えた糸を用いるとよい。編組織としては、経挿入糸の表面側及び裏面側に一対の連結糸を編み込んで経挿入糸を挟み込むようにすればよい。
図2は、本発明に係るカーテン用レース編地の地組織に関する編組織図の例である。編成糸L1は、鎖編列を編成し、編成糸L2は、編成糸L1により編成された鎖編列の間で交互に掛け渡される連結糸として編成される。図2(b)に示す編組織では、図2(a)に示す編組織に比べて、連結糸として用いられる編成糸L2の緯方向の振り幅を変化させている。
そして、地組織の一方の面側に柄糸を編み込んで柄模様を編成して柄部を形成し、レース編地を作成する。次に、作成されたレース編地の公知の起毛処理装置にセットし、レース編地を経方向に搬送しながら地組織の他方の面側を起毛処理することで、連結糸を少なくとも経方向に拡がるように起毛させて毛羽立った状態とする。こうして本発明に係るカーテン用レース編地を製造することができる。
<断熱性試験>
断熱性試験は、赤外ランプ 60℃法により行った。図3に示す装置に50cm×40cmの試験片をガラス板に沿うように吊るし、ガラス板より50cm離れた所に赤外ランプを設置した。装置内部には、試験片から8cm離れた位置にブラックパネルを試験片と平行に設置してその表面温度を測定する温度センサを取り付け、ガラス板を取り付けた面と反対側の内面から4cm離れた位置に装置内温度を測定する温度センサを設置した。
赤外ランプを60分間照射する期間において5分毎にブラックパネルの表面温度及び装置内温度を測定した。また、試験片のない状態での空試験についても同様に5分毎にブラックパネルの表面温度及び装置内温度を測定した。断熱効果率は、以下の式により算出した。
断熱効果率(%)=(空試験の最大上昇温度−試験片試験の最大上昇温度)/空試験の最大上昇温度×100
<通気性試験>
フラジール形試験機を用いてJIS L1096 8.26.1A法(フラジール形法)により通気性を測定した。
<花粉キャッチ試験>
ポリカーボネート製のボックス(内寸220mm×220mm×220mm)に、10cm×10cmに裁断した試験片をゴム管(JIS L 1076 7.1に定義されるピリング試験用ゴム管)に取り付けたもの(JIS L 1076 8.1に準拠、縫い目部分も粘着テープでシール)と、0.05gの擬似花粉(石松子)とを入れる。このボックスをICI型ピリング試験機に装着し約60回転/分の速度で20分間運転する。
運転後試験片を取り出し、マイクロスコープを用いて1mm2当りの擬似花粉付着数を数え、10箇所の合計を算出した。
[実施例1]
<使用した糸>
地組織;鎖編列の編成糸;ヘンリー社製ポリエステル糸(83dtex/36f、セミダル糸)
連結糸;ファーロン社製ウーリー加工糸(83dtex/36f、フルダル糸)
柄部;編成糸;ファーロン社製ウーリー加工糸(167dtex/72f、フルダル糸)
<レース編地の製造>
経編機(カールマイヤー社製)を用いて、図2に示す編組織で地組織を編成するとともに一方の面側に柄部を編成してレース編地を製造した。製造されたレース編地について、柄部とは反対側の面を市販の起毛機により起毛処理した。得られたカーテン用レース編地の目付けは89g/m2であった。
[比較例1]
実施例1と同様にレース編地を製造して起毛処理を行わないものを比較例1とした。製造されたレース編地の目付けは89g/m2であった。
<試験結果>
通気性試験では、実施例1が203.6cm3/cm2であり、比較例1が215.6cm3/cm2であった。実施例1では、比較例1に比べて若干通気性が低下しているものの、従来と同様の通気性を有することが確認された。
図4は、実施例1に関する断熱性試験の測定結果を示すグラフである。上側のグラフは、ブラックパネルの表面温度の時間的な推移を示しており、下側のグラフは、装置内の温度の時間的な推移を示している。いずれのグラフにおいても、菱形マークのグラフが空試験での温度の推移を示し、四角形マークのグラフが試験片の設置試験での温度の推移を示している。同様に、図5は、比較例1に関する断熱性試験の測定結果を示すグラフである。実施例1及び比較例1では、いずれも試験片の設置により温度上昇を抑えることが可能となっている。断熱効果率は、実施例1では、ブラックパネルの表面で22.7%、装置内で21.3%であり、比較例1では、ブラックパネルの表面で20.0%、装置内で18.7%であった。実施例1では、比較例1に比べて断熱効果率が約14%向上していることが確認された。
図6は、花粉キャッチ試験における花粉キャッチ状態を撮影した写真である。図6(a)は、実施例1の花粉キャッチ状態を示す写真であり、図6(b)は、比較例1の花粉キャッチ状態を示す写真である。いずれの写真でも中央部分において上下方向に鎖編列が配置されてその両側に複数の連結糸が左右方向に配置されている。繊維に絡んでいるドット状のものが擬似花粉である。
実施例1では、連結糸の起毛処理により経方向に毛羽立った状態となっており、擬似花粉がキャッチされていることが確認された。擬似花粉の付着数は、実施例1で1602個、比較例1で1432個であった。実施例1では、比較例1に比べて約12%向上していることが確認された。
以上の試験結果から明らかなように、本発明に係るカーテン用レース編地は、従来と同様の薄地で空隙の多いレース編地であって軽量で十分な通気性が得られるとともに、連結糸の経方向へ拡がる起毛処理により従来に比べて遮熱性及び花粉のキャッチ機能を向上させることができ、インテリア用品としてのカーテンに好適である。
1・・・カーテン用レース編地、2・・・鎖編列、3・・・連結糸

Claims (3)

  1. 経方向に沿って編成されるとともに緯方向に所定間隔を空けて配列された複数の鎖編列の間において複数の連結糸が緯方向に振られて鎖編列の編目に交互に編み込まれて構成された地組織と、前記地組織の一方の面側に柄糸を編み込んで柄模様が形成されている柄部とを備えている目付が90g/m2〜150g/m2の薄地のカーテン用レース編地であって、前記地組織の他方の面側において前記連結糸が少なくとも経方向に起毛されて毛羽立った状態となっており、断熱性試験(赤外ランプ 60℃法)による断熱効果率が20%〜30%であるカーテン用レース編地。
  2. JIS L1096 8.26.1A法による通気性が200cm3/cm2以上である請求項1に記載のカーテン用レース編地。
  3. 前記地組織には、前記鎖編列の間に経挿入糸が編み込まれている請求項1又は2に記載のカーテン用レース編地。
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