JP2018188368A - ウェットワイパー - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のウェットワイパーは、不織布に所定の薬液を含浸させたものである。
不織布としては、木材パルプ繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維を、ケミカルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、エアレイド法、湿式スパンレース法、メルトボンド法等の公知の加工法によって一体化したものを用いることができる。不織布に使用する各繊維の割合、不織布の一体化を行うための各加工法は、ウェットワイパーに要求される風合いや機械的強度に応じて適宜選択すればよい。
ウェットワイパーを製造するにあたって、不織布に含浸させる薬液は、第4級アンモニウム塩類、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びポリアミノプロピルビグアナイドを少なくとも含有する水溶液である。この3種類の成分を含有させることにより、ウェットワイパーに含浸させる薬液である水溶液にエタノールが実質的に含まれていない場合においても、ウェットワイパーが除菌性能に優れたものとなる。
本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液に配合できる第4級アンモニウム塩類としては、一般的に、除菌性能を有する第4級アンモニウム塩類であれば、特に限定されるものではなく、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等を挙げることができるが、本発明においては、第4級アンモニウム塩類として、塩化ベンザルコニウムを用いることが好ましい。この塩化ベンザルコニウムは、主に細菌類に対する殺菌剤としての効果を有する薬剤である。薬液における塩化ベンザルコニウムの含有量は、0.001質量%以上0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.05質量%以下であることがより好ましい。塩化ベンザルコニウムの含有量を上記の範囲内のものとすることにより、製造コストを適切な範囲に抑えつつ、肌への刺激を抑え、べたつき感やぬめり感等の使用感触を起こすことなく、殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは、主に真菌類に対する防腐剤としての効果を奏する薬剤である。薬液におけるブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの含有量は、0.001質量%以上0.02質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上0.02質量%以下であることがより好ましい。ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの含有量が上記の範囲内のものであることにより、製造コストを適切な範囲に抑えるとともに、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルに特有の臭気の発現も抑制し、かつ殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
ポリアミノプロピルビグアナイドは、各種の細菌類に対する防腐剤としての効果を奏する薬剤である。薬液におけるポリアミノプロピルビグアナイドの含有量は、0.01質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。ポリアミノプロピルビグアナイドの含有量が上記の範囲内のものであることにより、製造コストを適切な範囲に抑えるとともに、殺菌効果を良好に維持することができる。
本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液は、エタノールを実質的に含んでいない水溶液であり、薬液中のエタノール濃度が0.10質量%未満であることが好ましく、500ppm未満であることがより好ましく、さらに好ましくは0%であることである。ウェットワイパーに含浸させる薬液が、実質的にエタノールを含有していないことにより、薬液中のエタノールがタンパク質汚れを凝固させるおそれがないので、血液等のタンパク質汚れを好適に清拭することができる。
本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液は、更にノニオン系界面活性剤を含有していることが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等を挙げることができる。これらのノニオン系界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液は、これらのノニオン系界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、及びグリセリン脂肪酸エステルを含有していることが好ましい。
なお、本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液に陰イオン界面活性剤を添加した場合、拭き取り時に泡が発生しやすく、使用感が低下するため、薬液が陰イオン界面活性剤を含有しないことが好ましい。
本発明のウェットワイパーに含浸させる薬液は、以上に説明した各成分の他にも、各種の抗菌剤を含有することが好ましい。追加の抗菌剤を薬液に含有させることにより、ウェットワイパーの長期保存安定性が向上することとなる。そのような抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、安息香酸、安息香酸塩類、クロルクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸塩類、ソルヒビン酸、ソルヒビン酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、パラオキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸ナトリウム塩、フェノキシエタノール、フェノール、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、レゾルシン、安息香酸パントテニルエチルエーテル、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルキシレノール、クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、チモール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、ピリチオン亜鉛、及び銀イオン抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の抗菌剤を挙げることができる。これらの中でも、特に、銀イオン抗菌剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸塩類、及びソルヒビン酸塩類を使用することが好ましい。
表1に示す処方に従って、水100質量部に対して、塩化ベンザルコニウムを0.05質量部、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを0.02質量部、ポリアミノプロピルビグアナイドを0.1質量部、ノニオン系界面活性剤を0.5質量部、陰イオン界面活性剤を0.5質量部、銀イオン抗菌剤として水溶性銀化合物を0.02質量部、エタノール80質量部を適宜添加した。得られた薬液を、表1に示す含浸率で不織布に含浸させ、油汚れの落ちやすさ、タンパク質汚れの落ちやすさ、真菌類への効果、グラム陰性菌への効果、ウィルスへの効果、泡立ちしやすさ、拭き取りしやすさ、液残りについて、以下に示す基準に従って評価を行った。
ステンレス板にヒマシ油300μLを滴下して、直径30mmの円形に塗り広げ、模擬油汚れとした。底面60mm×60mmのメラミンスポンジにラップを巻き、その外層にウェットワイパーを1重に巻いた状態で、おもりを用いて20.8gf/cm2の荷重を加え、一回拭き取った。拭き取り後の油汚れを以下の基準で評価した。
〇:汚れ落ちがよい
△:汚れ落ちがやや悪い
×:汚れ落ちが悪い
ステンレス板に馬血300μLを滴下して、直径30mmの円形に塗り広げ、50℃で5分間乾燥させた後、ステンレス板を十分放熱させ、模擬タンパク質汚れとした。底面60mm×60mmのメラミンスポンジにラップを巻き、その外層にウェットワイパーを1重に巻いた状態で、おもりを用いて20.8gf/cm2の荷重を加え、一方向に拭き取った。拭き取りについては、不織布の布目方向による差異をなくすため、1回拭き取るごとに90°ずつ回転させながら行った。
〇:拭き取り回数10回以下
△:拭き取り回数10回から20回
×:拭き取り回数20回以上
試験菌のクロコウジカビAspergillus nigerをポテトデキストロース寒天培地で培養した後、精製水に浮遊させて菌数が所定の数になるように調整し、試験菌液とした。ウェットワイパーを絞って絞り液を調整し、その液10mLに所定の菌体を試験菌液として0.1mL接種し、室温にて30秒後から10分後までの所定時間作用させた後の生菌数を、SCDLP寒天培地で希釈平板培養法(25℃、5日間)を用いて測定した。
試験菌の大腸菌及び緑膿菌を、それぞれ普通寒天培地で培養した後、滅菌生理食塩水に懸濁し菌数が約108個/mLになるように調整し、試験菌液とする。ウェットワイパーを絞って絞り液を調整し、その液19.8mLに大腸菌の菌体を試験菌液として0.2mL摂取し、25℃にて30秒後から10分後までの所定時間作用させた後、そのうち1gをLP希釈液9mLで希釈した。これを段階希釈しSCDLP寒天培地にて混釈平板培養法(30℃、3日間)を用いて生菌数を測定した。
ネコカリシウィルス(F−9)及びA型インフルエンザウィルス(H1N1)の試験ウィルス懸濁液を調整した。試験サンプル10mLに試験ウィルス懸濁液0.1mLを加え、25℃で5分間放置した。放置後の混合液0.5mLを不活性化剤(SXDLP培地)4.5mLに加え、混合した。プラーク測定法にてウィルス感染価を測定し、感染価減少率99%以上のときを〇、感染価減少率50%以上99%未満のときを△、感染価減少率50%未満のときを×とした。
看護業務従事者30名のパネラーに対して、泡立ちのしやすさについて官能評価を実施した。この評価では、目視による観察の結果、泡立ちがない、やや多い、多いの、いずれかの評価を選択する官能試験を行った。泡立ちがないの評価が24人から30人のときを〇、泡立ちがないの評価が16人から23人のときを△、泡立ちがないの評価が0人から15人のときを×とした。
看護業務従事者30名のパネラーに対して、拭き取りしやすさについて官能評価を実施した。この評価では、拭き取りしやすい、やや拭き取りにくい、拭き取りにくいの、いずれかの評価を選択する官能試験を行った。拭き取りしやすいの評価が24人から30人のときを〇、拭き取りしやすいの評価が16人から23人のときを△、拭き取りしやすいの評価が0人から15人のときを×とした。
看護業務従事者30名のパネラーに対して、液残りついて官能評価を実施した。この評価では、液残りが無い又は少ない、液残りがやや多い、液残りが多いの、いずれかの評価を選択する官能試験を行った。液残りが無い又は少ないの評価が24人から30人のときを〇、液残りが無い又は少ないの評価が16人から23人のときを△、液残りが無い又は少ないの評価が0人から15人のときを×とした。
実施例及び比較例から明らかなように、エタノールを実質的に含有せず、第4級アンモニウム塩類、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ポリアミノプロピルビグアナイドを含有する薬液を含浸させた実施例のウェットワイパーは、タンパク質汚れを効果的に除去することができるとともに、十分な抗菌性能を示すものとなった。
Claims (6)
- 不織布に薬液を含浸させたウェットワイパーであって、
前記薬液が、第4級アンモニウム塩類、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びポリアミノプロピルビグアナイドを含み、実質的にエタノールを含まない水溶液である、ウェットワイパー。 - 前記薬液中のエタノール濃度が、0.10質量%未満である、請求項1に記載のウェットワイパー。
- 第4級アンモニウム塩類が塩化ベンザルコニウムである、請求項1又は2に記載のウェットワイパー。
- 前記薬液がノニオン系界面活性剤を含み、界面活性剤として陰イオン界面活性剤を含有しない、請求項1から3のいずれかに記載のウェットワイパー。
- 前記薬液が、さらに、安息香酸、安息香酸塩類、クロルクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸塩類、ソルヒビン酸、ソルヒビン酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、パラオキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸ナトリウム塩、フェノキシエタノール、フェノール、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、レゾルシン、安息香酸パントテニルエチルエーテル、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルキシレノール、クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、チモール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、ピリチオン亜鉛、及び銀イオン抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の抗菌剤を含有する、請求項1から4のいずれかに記載のウェットワイパー。
- 不織布10質量部に対して、25質量部以上35質量部以下の薬液が含浸されている、請求項1から5のいずれかに記載のウェットワイパー。
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