JP2018017259A - 固定具及びそれを用いた脚部固定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造装置などの固定対象物の脚部を固定する際に1箇所に対する締め付け作業を行うだけで脚部を強固に固定できるようにすると共に、従来よりも高い剛性を示し、折曲変形し難い構造の固定具を提供する。
【解決手段】固定具2は、短冊状プレート部材50の長手方向一端側に固定対象物の脚部と係合する第1係合部51が設けられ、他端側にボルトを挿通する第1の孔52が設けられる第1部材3と、短冊状プレート部材60の長手方向一端側に前記固定対象物の脚部と係合する第2係合部61が設けられ、他端側に前記第1の孔52と同径の第2の孔62が設けられる第2部材4と、を備える。第2部材4は、幅方向の両端部を立設させた一対の側壁部63a,63bを有し、一対の側壁部63a,63bの間隔が第1部材3の幅寸法と略同一である。
【選択図】図11
【解決手段】固定具2は、短冊状プレート部材50の長手方向一端側に固定対象物の脚部と係合する第1係合部51が設けられ、他端側にボルトを挿通する第1の孔52が設けられる第1部材3と、短冊状プレート部材60の長手方向一端側に前記固定対象物の脚部と係合する第2係合部61が設けられ、他端側に前記第1の孔52と同径の第2の孔62が設けられる第2部材4と、を備える。第2部材4は、幅方向の両端部を立設させた一対の側壁部63a,63bを有し、一対の側壁部63a,63bの間隔が第1部材3の幅寸法と略同一である。
【選択図】図11
Description
本発明は、装置や機械類などの脚部を固定する固定具及びそれを用いた脚部固定方法に関し、特に地震などの振動で床面に設置された装置や機械類などが移動したり転倒したりすることを防止する技術に関する。
従来、地震発生時に床面に設置された工作機械や製造装置などが移動したり転倒したりすることを防止するため、例えば特許文献1のような固定具が知られている。この固定具は、装置などが設置される設置面に対して両面接着テープや接着剤などで固着される接地面固定部を有し、その接地面固定部の上面にナットとボルトから成る連結部を備えている。連結部は、ナットとボルトとの間に板状に形成された2枚の挟持板を挟み込んだ状態で連結する。したがって、2枚の挟持板は、連結部を中心に回動可能である。これら2枚の挟持板のそれぞれには、板面と平行な方向であって、互いに向かい合わせとなるように凹み部が設けられている。そして2枚の挟持板は、互いに重ね合わせられた状態のときに一対の凹み部によって挟み込み孔を構成し、その挟み込み孔に工作機械や製造装置などの脚部を挟み込んで固定する。
しかし、上述した従来の固定具は、地震発生時などにおいて2枚の挟持板が開いてしまうことを防止する必要がある。そのため、上述した従来の固定具は、2枚の挟持板の回動中心とは異なる部分に連結穴締結部を設け、その連結穴締結部をボルトとナットとを用いて締結するようにしている。そのため、上述した固定具を用いて脚部を固定する際、作業者は、回動中心に位置するボルトだけでなく、連結穴締結部のボルトとナットも締め付ける作業を行わなければならず、作業効率が悪いという問題がある。
また上述した従来の固定具は、2枚の挟持板のそれぞれが同じ厚さで構成されるため、地震発生時に2枚の挟持板の法線方向に曲げ応力が生じた場合には折曲変形し易いという問題もある。
そこで本発明は、上記のような従来の課題を解決すべく、製造装置などの脚部を固定する際に1箇所に対する締め付け作業を行うだけで脚部を強固に固定することが可能であると共に、従来よりも高い剛性を有し、折曲変形し難い固定具を提供すると共に、そのような固定具を用いた脚部固定方法を提供することを、その目的とするものである。
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、固定具(2)であって、短冊状プレート部材(50)の長手方向一端側に固定対象物(100)の脚部(110)と係合する第1係合部(51)が設けられ、他端側にボルト(9)を挿通する第1の孔(52)が設けられる第1部材(3)と、短冊状プレート部材(60)の長手方向一端側に前記固定対象物(100)の脚部(110)と係合する第2係合部(61)が設けられ、他端側に前記第1の孔(52)と同径の第2の孔(62)が設けられる第2部材(4)と、を備え、前記第2部材(4)は、幅方向の両端部を立設させた一対の側壁部(63a,63b)を有し、前記一対の側壁部(63a,63b)の間隔が前記第1部材(3)の幅寸法と略同一であることを特徴とする構成である。
この第1の構成によれば、第1部材(3)を、第2部材(4)の一対の側壁部(63a,63b)の間に収容した状態に配置し、第1の孔(52)及び第2の孔(62)に挿入したボルトに対してナットを締着することにより、第1部材(3)及び第2部材(4)が互いに開いてしまうことを防止することができる。そのため、製造装置などの脚部を固定する際に1箇所に対する締め付け作業を行うだけで脚部(110)を強固に固定することが可能である。
また第1の構成によれば、第2部材(4)の両端部に立設させた一対の側壁部(63a,63b)が補強リブとして機能する。そのため、固定具(2)は従来よりも高い剛性を示し、折曲変形し難くなる、という利点もある。
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する固定具(2)において、前記第1部材(3)を前記第2部材(4)における前記一対の側壁部(63a,63b)の内側に配置したとき、前記第1係合部(51)と前記第2係合部(61)とが互いに重なりあうことにより前記脚部(110)の外周面と係合する略円形の係合孔が構成されることを特徴とする構成である。
この第2の構成によれば、第1部材(3)及び第2部材(4)によって脚部(110)の周囲全方向に亘って脚部(110)を保持することが可能である。
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する固定具(2)において、前記第1部材(3)に設けられる前記第1係合部(51)は、前記第1の孔(52)を中心とする円弧状の切欠きによって構成されると共に、前記第2部材(4)に設けられる前記第2係合部(61)は、前記第2の孔(62)を中心とする円弧状の切欠きであって、前記第1係合部(51)を構成する切欠きとは逆方向の切欠きによって構成されることを特徴とする構成である。
この第3の構成によれば、第1の孔(52)及び第2の孔(62)に挿通されたボルトに締着されたナットを緩めるだけで、第1部材(3)及び第2部材(4)を開いて脚部(110)を解放することができる。そのため、脚部(110)を解放するときの作業効率も向上する。
第4に、本発明は、上記第1乃至第3のいずれかの構成を有する固定具(2)を用いて固定対象物(100)の脚部(110)を固定する脚部固定方法であって、前記脚部(110)から所定間隔離れた位置にアンカー(30,40)を埋め込むための取付孔(H)を穿孔する工程と、前記取付孔(H)に対してアンカー(30,40)を埋め込み、アンカー(30,40)の一端に設けられたボルト部(9)を前記脚部から所定間隔離れた位置に立設させた状態に取り付ける工程と、前記ボルト部(9)に対してスペーサ(91,92,93)を配置する工程と、前記第2部材(4)に設けられた前記第2係合部(61)を前記脚部(110)に係合させると共に、前記第2の孔(62)に対して前記ボルト部(9)を挿入することにより、前記第2部材(4)を前記スペーサ(91,92,93)の上に配置する工程と、前記第1部材(3)に設けられた前記第1係合部(51)を前記脚部(110)に係合させると共に、前記第1の孔(52)に対して前記ボルト部(9)を挿入し、前記第1部材(3)を前記第2部材(4)における前記一対の側壁部(63a,63b)の内側に配置する工程と、前記第1部材(3)の前記第1の孔(52)から突出する前記ボルト部(9)の先端に固定ナット(8)を締着して前記固定具(2)を前記ボルト部(9)に固定する工程と、を有することを特徴とする構成である。
本発明によれば、製造装置などの固定対象物の脚部を固定する際に、固定具の1箇所に対する締め付け作業を行うだけで脚部を強固に固定することが可能である。また固定具は従来よりも高い剛性を有しているため、折曲変形し難い構成である。したがって、固定対象物の脚部を固定する際の作業効率が従来よりも向上すると共に、従来よりも高い強度で脚部を固定することが可能である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、固定対象物100の脚部110を固定する固定装置1の構成例を示す斜視図である。固定対象物100は、例えば工場などに設置される工作機械や製造装置などである。ただし、これに限られるものではなく、固定対象物100は、倉庫などに設置される棚や、屋上又は屋外に設置される室外機や配電盤などであっても構わない。このような固定対象物100は、下面複数箇所に脚部110を備えており、その脚部110の先端に円盤状又は円錐台状の脚座部材111が取り付けられ、脚座部材111がコンクリートなどの設置面に載置された状態で設置される。固定対象物100の脚部110は外周面に雄螺子が形成されたボルトによって構成され、脚座部材111の上面には脚部110と螺合するナット112が設けられる。そのため、脚座部材111はナット112を脚部110の下端に螺合させることにより、脚部110に固定される。また脚部110の上端部は、例えば固定対象物100の下面に形成された雌螺子部(図示省略)と螺合しており、その雌螺子部に対する進入深さを調整することにより脚部110の高さを調整することが可能である。つまり、脚部110は、固定対象物100の設置高さを調整可能にするためにボルトによって構成されている。
固定装置1は、コンクリートなどの設置面に設置される固定対象物100の脚部110を固定するための装置である。この固定装置1は、固定具2と、コンクリートなどの設置面に固定されたアンカーから延びるボルト部9と、設置面と固定具2との間においてボルト部9の周囲に配置されるスペーサ91,92,93と、ボルト部9に対して締着固定される固定ナット8とを備えて構成される。
固定具2は、第1部材3と第2部材4とを備えており、第1部材3と第2部材4とを重ね合わせることにより、一端側が脚部110を挟み込んだ状態で保持すると共に、他端側がボルト部9に固定される構成である。このような固定具2は、脚部110を挟み込む位置とボルト部9に固定される位置とが所定間隔となるように予め定められている。そのため、コンクリートなどの設置面に設置されるアンカーは、脚部110から所定間隔離れた位置に設置される。
スペーサ91,92,93は、固定具2の設置高さを調整するためのものである。すなわち、スペーサ91,92,93は、脚部110の下端に設けられた脚座部材111及びナット112よりも高い位置で固定具2をほぼ水平な状態で支持するためのものである。尚、図1では3つのスペーサ91,92,93を設けた場合を例示しているが、スペーサの数はこれに限られるものではない。
そして固定ナット8は、固定具2から上方に突出するボルト部9に対して締着されることにより、固定具2をスペーサ91,92,93に押し付けた状態で固定する。固定ナット8が締着されると、固定具2は、設置面に対してアンカーを介して物理的に連結された状態となるため、十分な強度で脚部110を固定することができる。
次にアンカーを埋め込むための取付孔を穿孔する際に用いられる穿孔治具10について説明する。図2は、穿孔治具10を示す斜視図である。図3は、その穿孔治具10の六面図であり、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が背面図、(d)が底面図、(e)が左側面図、(f)が右側面図である。また図4は、穿孔治具10の断面図であり、(a)が図3(b)におけるA−A断面図、(b)が図3(b)におけるB−B断面図である。
穿孔治具10は、固定対象物100が設置される設置面に載置される踏み板部13と、その踏み板部13と平行な状態で踏み板部13から所定高さの位置に支持されており、平面視において踏み板部13の一部を重なった状態に配置される平板部11とを備えており、平板部11の一部と踏み板部13の一部とが互いに重なった部分をガイド部12とした構成である。言い換えると、穿孔治具10は、矩形状の踏み板部13の長手方向一端に箱形のガイド部12を有すると共に、そのガイド部12の上板を踏み板部13とは異なる方向に延設した平板部11を有する構成である。そして平板部11は、踏み板部13と重ならない部分、すなわちガイド部12から延設された部分に、固定対象物100の脚部110の外周面と係合する係合部14を有している。また平板部11は、踏み板部13と重なる部分、すなわちガイド部12の上板部分であって、係合部14から所定距離の位置にドリルビット21を挿通するための円形の上孔15を有している。
係合部14は、例えば平板部11の踏み板部13と重ならない部分において上孔15を中心とする円弧状の切欠きによって構成される。この切欠きは、平板部11の一方の側端部から平板部11の中央位置まで形成されており、その切欠幅は脚部110の外径よりも若干大きい程度である。そして切欠きの最奥部は、脚部110の外径とほぼ同径の半円形状を有している。係合部14は、そのような切欠きの最奥部において脚部110の外周面と係合するように構成される。
これに対し、踏み板部13は、図3(d)などに示すように、平板部11と重なる部分、すなわちガイド部12の下板部分に上孔15と同径の下孔16を有している。この下孔16は、上孔15の鉛直下方位置に形成される。したがって、踏み板部13がコンクリートなどの設置面に接するように設置されたとき、上孔15の中心と下孔16の中心を結ぶ軸線は鉛直方向に一致する。また上孔15及び下孔16が形成される位置は係合部14から所定距離の位置であり、その所定距離は上述した固定具2において脚部110を挟み込む位置とボルト部9で固定される位置との間隔に一致する。
一方、ガイド部12は、踏み板部13と平板部11とが互いに重なる部分の内側を包囲する壁部12aを有している。本実施形態では、ガイド部12の周囲四面に対して壁部12aを配置することにより、箱形のガイド部12を構成しており、図4(a)に示すように壁部12aによって囲まれたガイド部12の内側に中空の空間17を形成している。そしてガイド部12の周囲四面に配置された壁部12aの一部には、図2に示すように壁部12aで区成された内側の空間17を外部に連通させるための筒状部18が設けられる。
尚、本実施形態では、穿孔治具10のひとつの側面を構成する壁部12aに対して筒状部18が設けられた例を示している。この筒状部18には、例えば掃除機などのノズルを接続することが可能である。
尚、本実施形態では、穿孔治具10のひとつの側面を構成する壁部12aに対して筒状部18が設けられた例を示している。この筒状部18には、例えば掃除機などのノズルを接続することが可能である。
上記のような穿孔治具10は、例えばアンカーを埋め込むための取付孔を脚部110から所定距離の位置に形成することが可能であると共に、そのような取付孔を鉛直方向に沿って正確に形成できるようにする治具である。以下、穿孔治具10を用いてアンカーを埋め込むための取付孔を穿孔する方法について説明する。
図5及び図6は、穿孔治具10を用いた穿孔方法の一例を示す図である。まず作業者は、図5に示すように穿孔治具10の平板部11に形成された係合部14を固定対象物100の脚部110に係合させる。すなわち、作業者は、係合部14を構成する切欠きの最奥部で脚部110の外周面と係合部14とが係合した状態となるように穿孔治具10を設置する。このとき、ガイド部12の壁部12aに設けられた筒状部18には、掃除機などの吸引装置から延びるノズル19が挿入装着される。そして作業者は、係合部14に脚部110の外周面を係合させた状態のまま、脚部110を中心に踏み板部13を回動させることにより、ガイド部12に形成された上孔15及び下孔16の位置を穿孔位置に合わせる。つまり、作業者は穿孔位置に合わせて穿孔治具10の位置決めを行う。そして作業者は、図5に示すように踏み板部13を踏み付けることにより踏み板部13を下方に押圧し、穿孔作業中に穿孔治具10が位置ずれしないように固定する。尚、踏み板部13の固定は、足で踏み付ける以外にも、例えば踏み板部13に錘を載せることで行うようにしても良い。
作業者は、踏み板部13を固定した状態で図5に示すようにガイド部12に形成された上孔15及び下孔16に対してドリル20に取り付けたドリルビット21の先端を挿入する。そしてドリルビット21の先端が下孔16を介して固定対象物100が設置された設置面に接触した状態になると、ドリル20を駆動してアンカー用の取付孔を穿孔する。ただし、作業者は、穿孔作業を開始する前に、筒状部18に接続されている吸引装置を起動させておく。
ここで、ガイド部12に設けられる上孔15及び下孔16は、ドリルビット21の直径に対して2〜4mm程度大きな直径として形成される。例えば直径10mmの取付孔を穿孔するときには、ドリルビット21の直径も10mmであり、この場合の上孔15及び下孔16の直径は12〜14mm程度の大きさとなる。一方、一般的なドリルビット21は5mm単位若しくは10mm単位で直径が段階的に太くなる。そのため、ガイド部12に設けられる上孔15及び下孔16の直径を、正規のドリルビット21の直径に対して2〜4mm程度大きな直径として形成しておくことにより、正規のドリルビット21よりも太いドリルビット21が誤って用いられた場合にはドリルビット21の先端を上孔15に挿入することができなくなる。それ故、本実施形態の穿孔治具10は、正規のドリルビット21よりも太径のドリルビットが誤って用いられることを未然に防止することができる構造となっている。
作業者による穿孔作業が開始されると、図6に示すようにドリルビット21の先端が設置面Sに対して取付孔Hを穿孔していく。このとき、ガイド部12に設けられた上孔15及び下孔16がドリルビット21の軸ぶれを抑制し、ドリルビット21を常に鉛直方向に保持した状態でガイドする。そのため、本実施形態の穿孔治具10を用いれば、固定対象物100の脚部110から所定距離Dの位置に対して正確に取付孔Hを穿孔することができると共に、取付孔Hを鉛直方向に形成することができるようになる。
上記のような穿孔作業が行われている間、掃除機などの吸引装置が作動しているため、ドリルビット21が掻き出す切削粉は、ガイド部12の内側の空間17に導かれ、更にノズル19を介して吸引装置に吸引される。そのため、穿孔治具10は、穿孔作業が行われている間、ドリルビット21が掻き出す切削粉の周囲への飛散量を著しく低減させることができる構成である。それ故、クリーンルームなどの清浄な環境での穿孔作業にも好適に利用し得るものである。
このように本実施形態の穿孔治具10を用いれば、従来の墨だし作業などは行う必要がなく、しかも固定対象物100の脚部110から所定距離Dの位置に対して鉛直方向の取付孔Hを簡単に穿孔することができるため、作業効率が著しく向上する。
上記のようにしてアンカー用の取付孔Hが形成されると、次に取付孔Hに対してアンカーが設置される。図7及び図8は、取付孔Hに埋め込んで固定されるアンカー30の一例を示す図であり、図7は各構成部材を分解した状態を、図8は各構成部材を組み付けた状態を示している。このアンカー30は、図7及び図8に示すように、アンカーボルト31と、拡張スリーブ37と、コーンナット39とを備えて構成される。
アンカーボルト31は、太軸部31aと、太軸部31aと同軸で太軸部31aの一端に接続される細軸部31bと、太軸部31aの他端に接続されるボルト頭部34とを有する構成であり、太軸部31aと細軸部31bとの間に段差32が設けられると共に、太軸部31aのボルト頭部34近傍位置に軸径の細い破断部33が設けられる。太軸部31aは、破断部33を除き、その全体に亘って雄螺子36が形成された構成である。この太軸部31aは、アンカー30が取付孔Hに埋め込み固定されたとき、設置面Sから突出するボルト部9を構成する部分である。そのため、アンカー30が施工された後には、太軸部31aに形成された雄螺子26に対して固定ナット8を取り付けることが可能である。一方、太軸部31aの先端側に設けられる小径の細軸部31bは、少なくともその先端側に、コーンナット39を装着するための雄螺子35が形成されると共に、さらにその先端には軸中心を円錐状に突出させた軸心突起31cを有している。
破断部33は、例えば太軸部31aの外周部を切り欠いて縮径させることによって形成される。このような破断部33は、その最も縮径した部分の直径が予め設計された所定値となるように形成される。そしてボルト頭部34の回転操作が行われると、この縮径した破断部33に剪断応力が作用し、ボルト頭部34に対して所定値以上のトルクが作用すると破断部33にかかる剪断応力が限界値を超え、破断部33を破断させることができる構成となっている。
上記のようなアンカーボルト31の細軸部31bに対し、拡張スリーブ37とコーンナット39とが、細軸部31bの先端から順に挿入装着されることにより、アンカー30が構成される。
拡張スリーブ37は、アンカーボルト31の細軸部31bに挿通される筒状体38として構成される。その筒状体38の内径は、細軸部31bを挿入可能であり、且つ、段差32と接触する内径となっている。つまり、拡張スリーブ37は、細軸部31bの先端から挿入されると、一方の端縁部37aが段差32と接触するので細軸部31bに留まり、太軸部31aには進行しないようになっている。また筒状体38の外径は、アンカーボルト31の太軸部31aの外径と略同一サイズとなるように形成されると共に、設置面Sに形成される取付孔Hの内径と同一若しくはそれよりも若干小径となるように形成される。
そして拡張スリーブ37は、その筒状体38の先端部37bに、複数の縦割り溝38aが設けられており、それら複数の縦割り溝38aによって区切られた部分が径方向外側に拡張する拡張部38bとして構成されている。本実施形態では、拡張部38bの外周面が平滑面となっているが、これに限らず、例えば周方向に1本乃至複数本のリブを形成したものであっても構わない。尚、拡張スリーブ37の先端部37bに設けられる拡張部38bの数は、一般には3つ若しくは4つ程度であるが、5つ以上であっても構わない。このような拡張スリーブ37は、拡張部38bの設けられた先端部37bがアンカーボルト31の細軸部31bの先端部を向くように取り付けられる。
コーンナット39は、細軸部31bの先端側に装着される。コーンナット39は、外径が軸方向に沿って漸次縮小する略円錐台状の外形を有し、その周囲側面が滑らかなテーパ面となっている。コーンナット39は、その中心内側に細軸部31bに形成された雄螺子35と螺合する貫通螺子孔39aを有している。このコーンナット39の小径端部39bは、拡張スリーブ37の先端部37bにおける内径よりも若干小さい直径となるように形成される。また他方の大径端部は、拡張スリーブ37の筒状体38の外径と略同一に形成される。そして図8に示すように、コーンナット39は、その小径端部39bが拡張スリーブ37の先端部37bに若干嵌入した状態で細軸部31bに螺合装着される。
上記のように、アンカーボルト31に対し、拡張スリーブ37とコーンナット39とが順に細軸部31bの先端から組み付けられることにより、施工前のアンカー30が構成される。このとき、図8に示すように、アンカーボルト31の細軸部31bの先端に設けられた軸心突起31cがコーンナット39の端部から突出するように組み付けられることが好ましい。
上記のようなアンカー30は、取付孔Hに挿入されると、コーンナット39及び拡張スリーブ37の少なくとも一部が取付孔Hの内壁と接触した状態となる。その状態でボルト頭部34に電動工具が装着され、アンカーボルト31が回転すると、細軸部31bがコーンナット39の内側で回転する。コーンナット39は、細軸部31bに形成された雄螺子35と螺合しているため、細軸部31bの回転に伴い、細軸部31bに沿って上方へ移動し、拡張スリーブ37の内側に進入する。その結果、拡張スリーブ37は、先端部37bに設けられた複数の拡張部38bを外方向へ拡張し、取付孔Hの内壁と係合するようになる。拡張スリーブ37の内側に対するコーンナット39の進入量が増加すると、拡張部38bによる係合強度が増加し、次第にアンカーボルト31を回転させるためのトルクが上昇する。そしてアンカー30が取付孔Hに対して十分な強度で固定された状態になると、アンカーボルト31に作用するトルクが所定値以上となり、破断部33が破断する。つまり、アンカー30は、破断部33が破断することにより、取付孔Hに対して十分な強度で固定されたことを把握することができる構造となっている。そして破断部33が破断すると、取付孔Hから太軸部31aが突出した状態となる。取付孔Hは鉛直方向に形成されているため、破断部33が破断した後、取付孔Hから突出する太軸部31aもまた鉛直方向に設置される。
次に図9は、図7及び図8に示したアンカー30とは異なるアンカー40の一例を示す図である。このアンカー40は、第1軸部41a及び第2軸部41bを有する軸部41によって構成される。第1軸部41aには一般的なメートル螺子の雄螺子42が形成されており、第1軸部41aの端部には雄螺子42が形成された部分よりも小径の工具装着部44が突出形成されている。一方、第2軸部41bには高さの異なる大小2つの螺子山43a,43bが交互に形成された螺子部43が設けられる。高い螺子山43aは、第1軸部41aの外径よりも外側に突出するように形成される。尚、第1軸部41aに形成される雄螺子42はメートル螺子であるため螺子山の角度が60度であるのに対し、第2軸部41bに形成される2つの螺子山43a,43bの角度はいずれもメートル螺子の螺子山の角度よりも大きく、60度を超える角度に形成される。
このようなアンカー40は、第2軸部41bが取付孔Hに埋め込まれる部分となり、第1軸部41aが取付孔Hから突出してボルト部9を構成する部分である。そのため、アンカー40が取付孔Hに固定された後には、第2軸部41aに形成された雄螺子42に対して固定ナット8を取り付けることが可能である。
上記のようなアンカー40は、第2軸部41bの先端が取付孔Hの上端開口に差し込まれる。その状態で工具装着部44に電動工具が装着され、アンカー40が回転すると、第2軸部41bは、取付孔Hの底部に向かって進行する。このとき、大小2つの螺子山43a,43bのうち、高い螺子山43aは、取付孔Hの内壁を削りながら取付孔Hの底部に向かって螺旋状に進入していき、低い螺子山43bは取付孔Hの内壁と摺接しながら底部に向かって進行する。そして第1軸部41aと第2軸部41bとの繋ぎ目となる部分がほぼ設置面Sと等しい位置になるとアンカー40の施工が完了し、取付孔Hから第1軸部41aが突出した状態となる。この場合においても、取付孔Hは鉛直方向に形成されているため、取付孔Hから突出する第1軸部41aは鉛直方向に突出した状態となる。
以上のように図7及び図8に示したアンカー30を取付孔Hに取り付けるようにしても良いし、図9に示したアンカー40を取付孔Hに取り付けるようにしても良い。ただし、図7及び図8に示したアンカー30は、コンクリートなどの設置面Sから取り外すことが困難であるのに対し、図9に示したアンカー40は、工具装着部44に電動工具を装着して施工時とは逆方向に回転させることにより、簡単に設置面Sから取り外すことができる。そのため、固定対象物100の入れ替えなどが頻繁に行われるような現場では、図9に示したアンカー40を用いることが好ましい。尚、以下においては、主として、図9に示したアンカー40が取付孔Hに取り付けられる場合を例示する。
図10は、脚部110とアンカー40のボルト部9に対して固定具2を連結した状態の断面図である。上述したようにアンカー40が取付孔Hに施工されると、取付孔Hから突出する第1軸部41aが鉛直方向に突出したボルト部9となる。このボルト部9は固定対象物100の脚部110から所定距離Dの位置に設置される。
そのボルト部9の周囲に対して複数のスペーサ91,92,93が設置される。これら複数のスペーサ91,92,93は、脚部110の下端に設けられる脚座部材111及びナット112よりも高い位置で固定具2をほぼ水平な状態で保持できるようにするための金属製部材である。各スペーサ91,92,93の高さ寸法は例えば1cmなどの所定寸法に形成されており、設置現場に応じて固定具2をほぼ水平に保持できるように任意の個数を組み合わせれば良い。尚、図10では3つのスペーサ91,92,93を配置した場合を例示している。
ここで、最下段に用いられるスペーサ91は、それよりも上段に用いられるスペーサ92,93とは異なる構造となっている。すなわち、上段に用いられるスペーサ92,93は、その内径がボルト部9の外径よりも若干大きい程度に形成されたリング形状であり、ボルト部9の外周面との間に大きな隙間は生じない。これに対し、最下段のスペーサ91も同様のリング形状であるものの、その内径は、取付孔Hに埋め込まれた第2軸部41bの高い螺子山43aの直径よりも大きく形成される。そのため、最下段のスペーサ91は、上段のスペーサ92,93と比較してボルト部9との間に生じる隙間が大きい。そこで最下段のスペーサ91の内側にはボルト部9との間に生じる隙間を埋めるリング状の補助スペーサ91aが設けられる。補助スペーサ91aは、例えばゴム又は樹脂によって構成され、その高さ寸法は最下段のスペーサ91よりも若干低く形成される。それ故、補助スペーサ91aには上段のスペーサ92,93からの押圧力は作用しない。
上記のようにスペーサ91,92,93が設置されると、次にスペーサ91,92,93の上部に固定具2が設置される。尚、固定具2は、脚部110に設けられた脚座部材111又はナット112との間に生じる隙間がなるべく小さくなるように設置されることが好ましい。
図11は、固定具2の詳細な構成を示す斜視図である。固定具2は、上述したように第1部材3と第2部材4とを備える構成である。第1部材3は、所定長さを有する短冊状プレート部材50によって構成され、その短冊状プレート部材50の長手方向(Y方向)一端側に固定対象物100の脚部110と係合する第1係合部51が設けられ、長手方向(Y方向)の他端側にボルト部9を挿通する第1の孔52が設けられた構成である。この第1部材3の幅方向(X方向)両端に位置する側面50a,50bは、下面から上面に向かって所定曲率半径で滑らかに湾曲した側面となっている。第1係合部51は、第1の孔52を中心とする円弧状の切欠きによって構成される。この切欠きは、例えば第1部材3の2つの側面50a,50bのうちの一方の側面50aから短冊状プレート部材50の中央に向かって形成される。
これに対し、第2部材4は、第1部材3と同程度の長さを有する短冊状プレート部材60によって構成され、その短冊状プレート部材60の長手方向(Y方向)一端側に固定対象物100の脚部110と係合する第2係合部61が設けられ、長手方向(Y方向)の他端側に第1の孔52と同径の第2の孔62が設けられた構成である。そして第2部材4は、短冊状プレート部材60の幅方向(X方向)の両端部を立設させた一対の側壁部63a,63bを有しており、それら一対の側壁部63a,63bの間隔が第1部材の幅寸法と略同一となるように形成される。また一対の側壁部63a,63bの内壁面64a,64bは、第1部材3の両側面50a,50bとほぼ密着するように滑らかに湾曲した壁面となっている。さらに一対の側壁部63a,63bの高さは第1部材3の厚さとほぼ同程度に形成される。したがって、第2部材4は、一対の側壁部63a,63bの内側に第1部材3を収容することが可能である。
また第2係合部61は、第2の孔62を中心とする円弧状の切欠きによって構成される。この切欠きは、例えば第2部材4の2つの側壁部63a,63bのうちの一方の側壁部63bから短冊状プレート部材60の中央に向かって形成されており、第1部材3に設けられる第1係合部51の切欠きとは逆方向の切欠きによって構成される。そのため、第1部材3が第2部材4の一対の側壁部63a,63bの内側に収容された状態に配置されたとき、第1係合部51と第2係合部61とが互いに重なりあうことで脚部110の外周面と係合する略円形の係合孔が構成される。
上記のような固定具2は、例えば第2部材4が脚部110とボルト部9との間に先に配置され、その後、第1部材3が脚部110とボルト部9との間に配置されると共に第2部材4の一対の側壁部63a,63bの間に収容される。すなわち、作業者は、まず第2部材4の第2係合部61に脚部110を係合させた状態で第2の孔62にボルト部9に通し、第2部材4をスペーサ91,92,93の上に配置する。このとき、一対の側壁部63a,63bは、上方を向くように取り付けられる。続いて、作業者は、第1部材3の第1係合部51に脚部110を係合させた状態で第1の孔52にボルト部9に通し、第1部材3を第2部材4の一対の側壁部63a,63bの間に配置する。これにより、固定対象物100の脚部110は、第1係合部51と第2係合部61とが互いに重なりあって形成される略円形の係合孔に収容された状態となる。そして作業者は、固定ナット8をボルト部9に締着固定することにより、固定具2をボルト部9に固定する。
固定具2は、第1部材3を第2部材4の一対の側壁部63a,63bの間に収容した状態で固定されるため、第1部材3及び第2部材4のそれぞれが独立してボルト部9を中心に回動してしまうことを防止することができる。すなわち、第2部材4に設けた一対の側壁部63a,63bは、第1部材3及び第2部材4のそれぞれが独立して回転することを防止するストッパとして機能するのである。そのため、本実施形態の固定具2は、ボルト部9の1箇所に対して固定ナット8を締着するだけで第1部材3及び第2部材4の回転を防止することが可能であり、効率的な作業を行うことができる点で優れている。
また第2部材4に設けた一対の側壁部63a,63bは、固定具2の折れ曲がりを防止する補強リブとしても機能する。例えば第1部材3と第2部材4とを単に重ねただけの構成では、固定具2の法線方向に対して強い応力が作用した場合に固定具2が比較的簡単に折れ曲がってしまう可能性がある。これに対し、上述したように第2部材4の幅方向両端に一対の側壁部63a,63bを設けた構成では、一対の側壁部63a,63bが補強リブとして機能するため、第1部材3と第2部材4とを単に重ねただけの構成よりも剛性が高くなり、固定具2が折れ曲がってしまうことを防止することができるようになる。したがって、固定具2は、大規模地震発生時においても固定対象物100の脚部110を安定して固定しておくことができるので、固定対象物100の移動や転倒を防止することができる。
ところで、アンカー40から延びるボルト部9(第1軸部41a)を長くすれば、固定具2を取り付ける際の高さ位置の自由度が上がる。しかし、ボルト部9を長くすると、固定ナット8として一般的なナットを用いた場合に電動工具による締め付けを行うことができなくなる。そこでボルト部9に取り付ける固定ナット8として、軸方向長さが一般的なナットよりも長いロングナットを用いることが好ましい。固定ナット8としてロングナットを用いることにより、ボルト部9が長い場合でも電動工具を用いて固定ナット8の締め付けを行うことができるため、作業効率が向上する。
また固定ナット8として用いるロングナットは、トルク管理が容易な破断ナットを用いるようにしても良い。以下、破断ナットを用いる場合の施工方法について説明する。図12及び図13は、固定ナット8として破断ナットを用いる場合の施工方法を示す図である。この破断ナットは、図12(a)に示すように、例えば六角柱状の外形を有し、その軸方向に第1ナット部71と第2ナット部72とが形成されると共に、第1ナット部71と第2ナット部72との間に薄肉の破断部73が形成された構成である。破断部73は、例えば破断ナットの外周面から軸芯方向に向かって形成した所定深さの溝によって構成される。第1ナット部71の内側にはボルト部9と接触しないような大径の孔71aが形成されている。この孔71aは、破断部73の内側にも形成されている。また第2ナット部72の内側にはボルト部9と螺合する螺子孔72aが形成されている。したがって、破断ナットにおいてボルト部9と螺合する部分は第2ナット部72の内側だけである。また破断部73は、第1ナット部71に作用するトルクが所定トルクを超えると破断する部分である。破断部73が破断するトルクは、破断部73の肉厚を調整することにより適宜調整可能である。
上記のような破断ナットは、例えば図12(a)に示すように、第1ナット部71に対して六角状の凹部81aが形成された回転軸81に装着される。この回転軸81は電動工具などに装着される。そして図12(b)に示すように、第2ナット部72がボルト部9に螺合した状態で回転軸81がR方向(右回り方向)に回転することにより、破断ナットはボルト部9を下方に螺合進行し、第2ナット部72を固定具2と接触させた状態となる。作業者は、第2ナット部72と固定具2とが接触した状態となった後においても、回転軸81を回転させるトルクが所定トルク以上となるまで回転軸81を更に回転させる。これにより、第2ナット部72は固定具2を下方に押圧するようになり、その押圧力はスペーサ93,92,91を介して設置面Sに伝わる。このとき、下向きの押圧力は最下段のスペーサ91によってアンカー40の第2軸部41bとは干渉しない位置で取付孔Hの周囲を押圧する力となる。その結果、第2ナット部72が固定具2を下方に押圧する力は、アンカー40に対して引き抜き方向(上向き方向)の力を発生させることとなり、取付孔Hに対するアンカー40の固定強度を増加させるように作用する。したがって、アンカー40をより強固に固定することができる。
そして回転軸81を回転させるトルクが所定トルク以上になると、図13(a)に示すように破断部73に作用する剪断応力が破断部73を破断させる。したがって、作業者は、破断部73が破断することにより、第2ナット部72が十分な強度でボルト部9に固定されたことを把握することができる。その後、作業者は、図13(b)に示すように第2ナット部72から分離した第1ナット部71を取り除くことにより、施工が完了する。固定ナット8として上述した破断ナットを用いることにより、電動工具を用いて固定ナット8を取り付けることができると共に、アンカー40を設置面Sに対してより強固に固定することができるという利点がある。
そして上記のような作業を、例えば固定対象物100に設けられている複数の脚部110のそれぞれに対して行うことにより、地震発生時などにおいても固定対象物100が移動したり転倒したりしないように強固に固定することができる。
また上述した固定装置1は、例えば固定対象物100の入れ替えなどが行われるときには、固定された状態の脚部110を簡単に解放することができるという利点もある。図14は、固定対象物100の脚部110を解放した状態を示す図である。固定対象物100の入れ替えなどが行われる場合、作業者は、図14に示すように、固定具2を固定している固定ナット8を緩める。これにより、固定具2は、ボルト部9の軸方向に沿って上下動可能な隙間が生じる。そのため、作業者は、図14に示すように、固定具2の第1部材3を第2部材4の内側から持ち上げて第1部材3及び第2部材4のそれぞれをボルト部9周りに異なる方向へ回動させることにより、脚部110の固定状態を解放することができる。そして図14に示すように脚部110が解放されることにより、作業者は、固定対象物100を移動させることができる。
また固定具2を取り付けるためのアンカーとして、図9に示したアンカー40が用いられている場合には、ボルト部9(第1軸部41a)の先端から突出する工具装着部44に電動工具を装着してアンカー40を施工時とは逆方向へ回転させることにより、設置面Sからアンカー40を簡単に取り除くこともできる。
以上のように本実施形態では、固定対象物100の設置面Sに対してアンカー30又は40を設置し、固定対象物100の脚部110及びアンカー30又は40から延びるボルト部9に対して固定具2を連結することにより、固定対象物100の脚部110を固定する。そして固定具2は、第2部材4の幅方向両端に立設した状態の一対の側壁部63a,63bを備えており、第1部材3はその一対の側壁部63,63bの間に収容された状態に配置される。そのため、本実施形態の固定具2を用いれば、ボルト部9の1箇所に対して固定ナット8を締め付ける作業を行うことにより、第1部材3及び第2部材4が互いに開いてしまうことを防止することができる。そのため、従来よりも作業効率が向上する。
また本実施形態の固定具2は、上述したように、一対の側壁部63a,63bが補強リブとして機能することによって従来よりも高い剛性を示すため、従来よりも強固に脚部110を固定することができる構造である。したがって、本実施形態の固定具2を用いれば、優れた作業効率を発揮するだけでなく、従来よりも強固な状態で脚部110を固定することができる。
またアンカー30又は40を設置するための取付孔Hを穿孔するときには、上述した穿孔治具10を用いて穿孔することにより、数mm程度の位置ずれなどを生じさせることなく、固定対象物100の脚部110から所定間隔離れた位置に対して高精度に鉛直方向の取付孔Hを穿孔することができる。それ故、上述した穿孔治具10を用いることにより、穿孔作業や脚部110を固定する作業を効率的に行うことができるようになる。
また上述した穿孔治具10を用いると、上孔15及び下孔16の孔径よりも太いドリルビット21が用いられることを未然に防止することができる。これに対し、上述した穿孔治具10は、上孔15及び下孔16の孔径よりも細く、アンカー30,40を埋め込むための適切な取付孔Hを穿孔するドリル径よりも細いドリル径のドリルビット21が用いられることは防ぐことができない。しかし、アンカー30,40を埋め込むための適切な取付孔Hを穿孔するドリル径よりも細いドリル径のドリルビット21が用いられた場合には、取付孔Hに対してアンカー30,40を埋め込むことができない。それ故、作業者は、適切なドリル径のドリルビット21を用いて穿孔することにより、アンカー30,40を埋め込むのに最適な取付孔Hを穿孔することができる。つまり、本実施形態の穿孔治具10を用いれば、アンカー30,40を埋め込むのに最適な取付孔Hを穿孔することが可能であり、ドリルビット21の誤選択によってアンカー30,40の取り付け強度が低下してしまうことを防止することが可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態で説明したものに限られない。すなわち、本発明には、上記実施形態で説明したもの以外にも種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態において説明した固定具2は、第2部材4が下側に設置され、第1部材3が上側に設置される場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、第1部材3を下側に設置し、第2部材4を上側に設置するようにしても良い。
1 固定装置
2 固定具
3 第1部材
4 第2部材
8 固定ナット
9 ボルト部
30,40 アンカー
50 短冊状プレート部材
51 第1係合部
52 第1の孔
60 短冊状プレート部材
61 第2係合部
62 第2の孔
63a,63b 側壁部
91,92,93 スペーサ
H 取付孔
2 固定具
3 第1部材
4 第2部材
8 固定ナット
9 ボルト部
30,40 アンカー
50 短冊状プレート部材
51 第1係合部
52 第1の孔
60 短冊状プレート部材
61 第2係合部
62 第2の孔
63a,63b 側壁部
91,92,93 スペーサ
H 取付孔
Claims (4)
- 短冊状プレート部材の長手方向一端側に固定対象物の脚部と係合する第1係合部が設けられ、他端側にボルトを挿通する第1の孔が設けられる第1部材と、
短冊状プレート部材の長手方向一端側に前記固定対象物の脚部と係合する第2係合部が設けられ、他端側に前記第1の孔と同径の第2の孔が設けられる第2部材と、
を備え、
前記第2部材は、幅方向の両端部を立設させた一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部の間隔が前記第1部材の幅寸法と略同一であることを特徴とする固定具。 - 前記第1部材を前記第2部材における前記一対の側壁部の内側に配置したとき、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに重なりあうことにより前記脚部の外周面と係合する略円形の係合孔が構成されることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
- 前記第1部材に設けられる前記第1係合部は、前記第1の孔を中心とする円弧状の切欠きによって構成されると共に、
前記第2部材に設けられる前記第2係合部は、前記第2の孔を中心とする円弧状の切欠きであって、前記第1係合部を構成する切欠きとは逆方向の切欠きによって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定具。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の固定具を用いて固定対象物の脚部を固定する脚部固定方法であって、
前記脚部から所定間隔離れた位置にアンカーを埋め込むための取付孔を穿孔する工程と、
前記取付孔に対してアンカーを埋め込み、アンカーの一端に設けられたボルト部を前記脚部から所定間隔離れた位置に立設させた状態に取り付ける工程と、
前記ボルト部に対してスペーサを配置する工程と、
前記第2部材に設けられた前記第2係合部を前記脚部に係合させると共に、前記第2の孔に対して前記ボルト部を挿入することにより、前記第2部材を前記スペーサの上に配置する工程と、
前記第1部材に設けられた前記第1係合部を前記脚部に係合させると共に、前記第1の孔に対して前記ボルト部を挿入し、前記第1部材を前記第2部材における前記一対の側壁部の内側に配置する工程と、
前記第1部材の前記第1の孔から突出する前記ボルト部の先端に固定ナットを締着して前記固定具を前記ボルト部に固定する工程と、
を有することを特徴とする脚部固定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016145897A JP2018017259A (ja) | 2016-07-26 | 2016-07-26 | 固定具及びそれを用いた脚部固定方法 |
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JP (1) | JP2018017259A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019203266A (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | プレス工業株式会社 | 保管庫の脚構造および保管庫の固定方法 |
-
2016
- 2016-07-26 JP JP2016145897A patent/JP2018017259A/ja active Pending
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