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JP2018092134A - 偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着剤、粘着剤層付偏光板並びに離型フィルム及び粘着剤層付偏光板 - Google Patents

偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着剤、粘着剤層付偏光板並びに離型フィルム及び粘着剤層付偏光板 Download PDF

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JP2018092134A JP2017159435A JP2017159435A JP2018092134A JP 2018092134 A JP2018092134 A JP 2018092134A JP 2017159435 A JP2017159435 A JP 2017159435A JP 2017159435 A JP2017159435 A JP 2017159435A JP 2018092134 A JP2018092134 A JP 2018092134A
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伸介 秋月
Shinsuke Akizuki
伸介 秋月
直也 三ツ谷
Naoya Mitsuya
直也 三ツ谷
聖子 三ツ谷
Seiko Mitsuya
聖子 三ツ谷
早織 今泉
Saori IMAIZUMI
早織 今泉
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Abstract

【課題】
エージング特性および離型フィルムの剥離性に優れ、偏光板と液晶セルを貼り合わせた際の耐久性にも優れる粘着剤層を得ることができる偏光板用粘着剤組成物の提供を目的とする。
【解決手段】
アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)が、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を3〜15重量%、第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位を0.003〜0.15重量%含有するアクリル系樹脂であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着剤、粘着剤層付偏光板並びに離型フィルム及び粘着剤層付偏光板に関するものであり、詳細には、エージング特性および離型フィルムの剥離性に優れ、偏光板と液晶セルを貼り合わせた際の耐久性、帯電防止性にも優れた粘着剤層を得ることができる、偏光板用粘着剤組成物に関するものである。
液晶表示装置は液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として広く用いられている。かかる液晶表示装置は、液晶が封入されたガラス基板(液晶セル)の両面に偏光板が積層された構成となっており、必要に応じて位相差板などの各種光学素子がさらに積層されている。
そして、液晶表示装置の製造においては、通常、離型処理されたフィルム上に粘着剤層を設け、離型フィルムと反対側の粘着剤層面を偏光板に貼付して粘着剤層付偏光板を製造しておき、その後、液晶セルと貼り合せる際に、離型フィルムを剥離して粘着剤層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造される。
上記粘着剤としては、従来より、耐久性及びエージング特性に優れることからカルボキシル基を含有するモノマーを共重合成分としてなるアクリル系樹脂を含有する粘着剤が用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)が、近年、液晶セルの高機能化が進み、粘着剤の接触部分にタッチ機能を持たせるために銅などの金属やITOなどの金属酸化物などのパターニングが施されており、このような基盤に、酸性基を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤を用いると配線等の腐食または劣化を生じさせ、最終製品に不具合が発生する可能性があり、カルボキシル基を含有するモノマー成分を用いないアクリル系樹脂からなる粘着剤が好ましく用いられるようになっている。
しかしながら、カルボキシル基含有モノマーを用いたアクリル系樹脂を含有しない粘着剤組成物においては、カルボキシル基の触媒的効果が得られないため架橋反応の進行が遅く、粘着物性が安定するまでにかかる時間が長くなる、即ち、エージング特性が悪くなるという問題があった。
一方で、アクリル系樹脂の重合成分として第3級アミノ基含有モノマーを用いることにより、第3級アミノ基含有モノマーが触媒作用として働き、架橋安定性を向上でき、エージング特性に優れることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2008−156513号公報 特開2009−167386号公報
しかしながら、第3級アミノ基含有アクリル系樹脂を用いた粘着剤組成物においては、エージング特性は向上するものの、組成物中に被着体との接着性向上のためにオリゴマー型シランカップリング剤を配合した場合に、離型フィルムと粘着剤層の接着性が高くなる現象が見られ、粘着剤層から離型フィルムを剥離する際に大きな剥離力が必要となるという問題があった。
これは、粘着剤層中のオリゴマー型シランカップリング剤の反応性官能基と、離型フィルム表面の残存反応性官能基(例えば、離型フィルムの離型層に用いられるシリコーン原料の残存活性水素や残存ビニル基、水酸基、アルコキシ基等)との反応が、アクリル系樹脂に含有されるアミノ基の触媒作用により一部で促進され、粘着剤層と離型フィルムとの接着性が上がり、その結果、離型フィルムの剥離力が高くなるためではないかと考えた。
特に、シランカップリング剤の反応性官能基がメルカプト基の場合は、離型フィルム表面に残存しているビニル基とエンチオール反応が起こるため、粘着剤層と離型フィルムとの接着性がより上昇し、剥離性の低下がより大きくなるものと考えた。
なお、オリゴマー型シランカップリング剤は、単分子に多数の官能基を有しているため、モノマー型シランカップリング剤と比較して架橋構造を取り易く、上記反応による離型フィルムの剥離力の上昇がより大きくなるものと考えられる。
また、近年、偏光板を構成する偏光フィルムが薄型化しているためフィルムのコシがなく、離型フィルムの剥離力が大きくなると、粘着剤層から離型フィルムを剥離する際に、剥離し難くなり、離型フィルムの剥離とともに貼り合わせ装置の吸着マットに固定された偏光板が浮いたり、粘着剤が欠けたりするなど生産性が低下するといった問題が生じる傾向がある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、オリゴマー型シランカップリング剤を用いてもエージング特性および離型フィルムの剥離性に優れ、偏光板と液晶セルを貼り合わせた際の耐久性にも優れる粘着剤層を得ることができる偏光板用粘着剤組成物の提供を目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂とイソシアネート系架橋剤、オリゴマー型シランカップリング剤とを含有する粘着剤組成物において、アクリル系樹脂中の水酸基含有モノマー由来の構造単位と、第3級アミノ基含有モノマー由来の構造単位の含有量のバランスに着目し、偏光板用粘着剤において通常用いられているアクリル系樹脂中の含有量よりも、水酸基含有モノマー由来の構造単位の含有量が多く、第3級アミノ基含有モノマー由来の構造単位の含有量が少ないアクリル系樹脂を用いることにより、架橋剤の反応が効率よく行われることによるエージング特性と剥離フィルムの剥離性のいずれにも優れ、偏光板とガラス基板等を貼り合わせた際の耐久性にも優れる粘着剤層が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)が、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を3〜15重量%、第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位を0.003〜0.15重量%含有するアクリル系樹脂であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物に関するものである。
更には、本発明は、偏光板用粘着剤、粘着剤層付偏光板並びに離型フィルム及び粘着剤層付偏光板にも関するものである。
本発明の偏光板用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、エージング特性および離型フィルムの剥離性に優れ、偏光板と液晶セルを貼り合わせた際の耐久性にも優れるものである。したがって、この偏光板用粘着剤組成物を用いることにより、効率よく液晶表示装置を製造することができ、また、耐久性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を必須成分として含有するものである。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を3〜15重量%、第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位を0.003〜0.15重量%含有するアクリル系樹脂であり、例えば、水酸基含有モノマー(a1)を3〜15重量%、第3級アミノ基含有モノマー(a2)を0.003〜0.15重量%含有する共重合成分を共重合して得られるものである。アクリル系樹脂(A)の共重合成分には、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)やその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を含んでもよい。
水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点、耐湿熱白化性(湿熱環境下においても白化現象が生じないこと)が向上する点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、更には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)の含有量は、共重合成分全体に対して3〜15重量%であり、好ましくは6.5〜11重量%、特に好ましくは7〜9重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、耐久性、特に高温時の耐久性が低下したり、架橋剤のイソシアネート基との反応点が少ないため、架橋反応が完了し、物性が安定するまでに時間がかかりエージング特性が低下する傾向があり、多すぎると粘着剤の親水性が高くなり湿熱耐久性が低下したり、ポットライフが短くなる傾向がある。
第3級アミノ基含有モノマー(a2)としては、例えば、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記第3級アミノ基含有モノマー(a2)の中でも、エージング特性に優れる点からジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、更にはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが好ましく、特にはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記第3級アミノ基含有モノマー(a2)の含有量は、共重合成分全体に対して0.003〜0.15重量%であり、好ましくは0.005〜0.06重量%、特に好ましくは0.006〜0.03重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、エージング特性が向上せず、多すぎるとポットライフが短くなる傾向がある。
なお、第3級アミノ基含有モノマー由来の構成単位(a2)は、オリゴマー型シランカップリング剤(C)がメルカプト基の場合には、イソシアネート系架橋剤(B)とシランカップリング剤(C)のメルカプト基の反応を促進し、効率的にチオウレタン結合を形成させ、これにより、イソシアネート系架橋剤(B)を介して、アクリル系樹脂とシランカップリング剤が結合する。よって本発明において、一般的なシランカップリング剤では作用しにくい水酸基のみを有し、カルボキシル基を有しないアクリル系樹脂を用いた場合においても、アクリル系樹脂(A)が第3級アミノ基含有モノマー由来の構成単位(a2)を有することによって、アクリル系樹脂とシランカップリング剤が反応し、シランカップリング剤によるカップリング効果、即ち粘着剤層と液晶セルとの接着性の向上がより効果的に得られる。
本発明においては、共重合成分として更に(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)を含有することが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)としては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アルキル基の炭素数が1〜6である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含有することが好ましく、更には汎用性、粘着物性の点でメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートを含有することが好ましく、特には高耐久性の観点からアルキル基の炭素数が1〜2であるメチルアクリレート、エチルアクリレートを含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)の含有量は、共重合成分全体に対して、好ましくは65〜97重量%、特に好ましくは67〜90重量%、更に好ましくは70〜85重量%である。
かかる含有量が少なすぎても多すぎても、粘着物性のバランスを取りにくくなる傾向がある。
更には上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)中に、メチルアクリレートおよび/またはエチルアクリレートを、30〜50重量%含有することが高耐久性の観点から好ましく、特に好ましくは35〜48重量%、更に好ましくは40〜46重量%である。これは、側鎖であるアルキルの炭素数が小さくなることで高分子主鎖のリニア性が向上して、高分子鎖の絡み合いが増大し、このため、耐久試験において粘着剤が変形等する際には、分子鎖の絡み合いの凝集エネルギーが増大し、耐久性が向上するものと推定される。
かかる含有量が多すぎると粘着剤層が硬くなりすぎて貼り合わせの際に貼り合わせ不良を起こす傾向があり、少なすぎると高温での耐久性が低下し剥がれなどの不良を起こす傾向がある。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー;(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレートなどのアクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、N−グリコール酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基含有モノマー等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
なお屈折率の調整及び複屈折の調整をしやすい点では、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)として芳香環含有モノマーを用いることが好ましく、特にはベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、屈折率の調整及び複屈折の調整をしやすく、被着体への接着性に優れる点から、アルキル基の炭素数が1〜6である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとベンジル(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)の含有量は、共重合成分全体に対して、0〜20重量%であることが好ましく、特に好ましくは5〜18重量%、更に好ましくは12〜17重量%である。
かかる含有量が多すぎても少なすぎても耐光漏れ性(光漏れとは、粘着剤層付き偏光板を液晶パネルの上下にクロスニコルになるように配置させた際、貼り合わせした偏光板の隅部分がフィルムの応力緩和等の影響を受け白っぽく光が抜ける現象)が低下する傾向がある。
なお、その他の共重合性モノマー(a4)としてカルボキシル基含有モノマーを用いる場合には、かかる含有量は、共重合成分全体に対して、0.1重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.07重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下である。
かかる含有量が多すぎると、ポットライフが低下したり、被着体の金属または金属酸化物を腐食または劣化させる恐れがある。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)、第3級アミノ基含有モノマー(a2)、好ましくは更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)、必要に応じて更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を含有する共重合成分を適宜選択して重合することにより製造することができる。
上記アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法を用いることができ、例えば、有機溶媒中に、共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合する。なかでも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、特に好ましくは溶液ラジカル重合である。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。
これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、特に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンである。
また、かかるラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2
−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾ
ビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの溶剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を3〜15重量%、好ましくは6.5〜11重量%、特に好ましくは7〜9重量%含有し、第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位を0.003〜0.15重量%、好ましくは0.005〜0.06重量%、特に好ましくは0.006〜0.03重量含有するアクリル系樹脂である。
水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位が少なすぎるとエージング特性が低下したり、耐熱耐久性が低下し、多すぎると離型フィルムの剥離性が低下したり、偏光板と液晶セルと貼り合せた際の湿熱耐久性が低下する。
第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位が少なすぎるとエージング特性が低下し、多すぎると剥離力が上昇したり、ポットライフが低下する。
また、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)においては、カルボキシル基含有モノマー由来の構造単位の含有量は0.1重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.07重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、ポットライフが低下したり、被着体の金属または金属酸化物を腐食または劣化させる恐れがある。
さらに、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)由来の構造単位を含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)由来の構造単位中にメチルアクリレートおよび/またはエチルアクリレート由来の構造単位を30〜50重量%含有するアクリル系樹脂であることが好ましく、特に好ましくは35〜48重量%、更に好ましくは40〜46重量%含有するアクリル系樹脂である。かかる含有量が多すぎると粘着剤層が硬くなりすぎて貼り合わせの際に貼り合わせ不良を起こす傾向があり、少なすぎると高温での耐久性が低下し剥がれなどの不良を起こすとなる傾向がある。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、100万〜150万であることが好ましく、特に好ましく105万〜140万、更に好ましくは110万〜130万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると耐久性が低下する傾向があり、大きすぎると粘度が高いため製造時に希釈溶剤を大量に必要とし、乾燥性が低下する傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、特に好ましく10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。かかる分散度が高すぎると凝集力が低下し耐久性が低下したりリワーク性が低下したりする傾向にある。なお、分散度の下限値は通常1である。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−80〜0℃であることが好ましく、特に好ましくは−60〜−5℃、更に好ましくは−45〜−10℃である。
かかるガラス転移温度が高すぎるとタックが低下しやすくなる傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
なお、ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 2018092134
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
なお、合成樹脂を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものである。
かくして本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
<イソシアネート系架橋剤(B)>
本発明に用いられるイソシアネート系架橋剤(B)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系化合物;1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、等のキシリレンジイソシアネート系化合物;1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族イソシアネート系化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート系化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系架橋剤(B)のなかでも、ポットライフや、樹脂との相溶性、耐久性のバランスに優れる点からトリレンジイソシアネート系化合物が好ましく、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜0.8重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5重量部、更に好ましくは0.1〜0.3重量部である。
かかる含有量が少なすぎると耐久性が低下する傾向があり、多すぎると応力緩和性が低下して基板が反りやすくなったり、長時間のエージングが必要となったりする傾向がある。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記イソシアネート系架橋剤(B)以外の架橋剤を用いることができるが、かかる架橋剤の含有量が多すぎると粘着剤が硬くなり応力緩和性が低下する傾向があるため、具体的には、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは0.4重量部以下、更に好ましくは0.2重量部以下である。
イソシアネート系架橋剤(B)以外の架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
<オリゴマー型シランカップリング剤(C)>
シランカップリング剤は、構造中に反応性官能基とアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。
本発明は、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を必須成分として用いるものである。
上記反応性官能基としては、例えばエポキシ基、(メタ)アクリロイル基含、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基が挙げられ、これらの中でも、耐久性の点からメルカプト基が好ましい。
上記アルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1〜8のアルコキシ基を含有することが好ましく、メトキシ基、エトキシ基を含有することが特に好ましく、エトキシ基とメトキシ基の両方を含有することが更に好ましい。
なお、オリゴマー型シランカップリング剤(C)は、反応性官能基及びアルコキシ基以外の有機官能基、例えば、アルキル基、フェニル基等を有していてもよい。
オリゴマー型シランカップリング剤(C)は、揮発しにくい点、粘着剤の耐久性向上の点から、粘度(25℃)が10mm2/s以上であることが好ましく、特に好ましくは20mm2/s以上である。なお、通常上限は200mm2/sである。
オリゴマー型シランカップリング剤(C)は、有機ケイ素化合物の一部が加水分解して重縮合した2量体、3量体等のオリゴマー型の有機ケイ素化合物(オルガノシロキサン化合物)であり、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン化合物の一部が加水分解し重縮合したメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤や、上記メルカプト基含有シラン化合物と、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物との共縮合物であるメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物の一部が加水分解し重縮合したエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤や、上記エポキシ基含有シラン化合物と、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物との共縮合物であるエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤、或いはこれらエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤の一部をエーテル変性したエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤、等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるオリゴマー型シランカップリング剤(C)としては、具体的には、市販品のいずれも信越化学工業株式会社製、「X−41−1805」(含有官能基;メルカプト基、含有アルコキシ基;メトキシ基及びエトキシ基、官能基等量;800g/mol、25℃粘度;20mm2/s)、「X−41−1818」(含有官能基;メルカプト基、含有アルコキシ基;エトキシ基、官能基等量;850g/mol、25℃粘度;14mm2/s)、「X−41−1810」(含有官能基;メルカプト基、含有アルコキシ基;メトキシ基、官能基等量;450g/mol、25℃粘度;5mm2/s)、「X−41−1059A」(含有官能基;エポキシ基、含有アルコキシ基;メトキシ基及びエトキシ基、官能基量;350g/mol、25℃粘度;30mm2/s)等を用いればよい。なかでも、揮発防止や耐久性の点から、「X−41−1805」が好ましい。
オリゴマー型シランカップリング剤(C)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜0.25重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.03〜0.20重量部、更に好ましくは0.05〜0.15重量部である。
かかる含有量が少なすぎると耐久性が低下する傾向があり、多すぎると離型フィルムの剥離性が低下したり、シランカップリング剤がブリードして耐久性が低下する傾向がある。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えばモノマー型シランカップリング剤等の上記オリゴマー型シランカップリング剤(C)以外のシランカップリング剤を用いることができるが、かかるシランカップリング剤の含有量が多すぎるとブリードにより耐久性が低下する傾向があるため、具体的には、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは0.3重量部以下、更に好ましくは0.2重量部以下である。
<帯電防止剤(D)>
本発明の粘着剤組成物には、更に帯電防止剤(D)を含有することが静電対策の点から好ましい。
本発明で用いられる帯電防止剤(D)としては、融点と粘着剤との相溶性の点でアンモニウム系帯電防止剤が好ましく、具体的には、アルキルアンモニウムスルホン酸塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
上記第四級アンモニウム塩の例としては、例えば、メチルトリ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[スリーエムジャパン株式会社製「FC−4400」、融点27.5℃(メーカー公表値)]、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[メルク株式会社製、融点92℃(メーカー公表値)]、テトラブチルアンモニウムブロミド[和光純薬工業株式会社製、融点119℃(メーカー公表値)]、テトラペンチルアンモニウムブロミド[和光純薬工業株式会社製、融点98℃(メーカー公表値)]、テトラオクチルアンモニウムブロミド[和光純薬工業株式会社製、融点99℃(メーカー公表値)]、エチルジメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[メルク株式会社製、融点−11℃(メーカー公表値)]、n−ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[融点19℃(イオン液体II CMC出版 ISBN978−4−7813−0878−4より)]、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[融点−75℃(イオン液体II CMC出版 ISBN978−4−7813−0878−4より)]、トリブチルメチルアンモニウムメチルスルフェート[シグマアルドリッチジャパン社製、常温で固体]、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、テトラブチルアンモニウムメタンスルフェート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記帯電防止剤(D)は、常温(25℃)で固体であることが好ましく、また溶解性の点から、融点が25〜120℃であることが好ましく、特に好ましくは25〜100℃、さらに好ましくは25〜50℃である。融点が低すぎると、ブリードアウトした際に耐久性が低下する傾向があり、高すぎると、溶解する際に帯電防止剤がままこになったりして溶解までに時間がかかり製造効率が低下する傾向がある。
したがって、帯電防止剤(D)は、上記アンモニウム系帯電防止剤のなかでも、融点の点から、非環状構造のもの、更にはメチルトリ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム株式会社製)、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(メルク株式会社製)、テトラブチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製)、テトラペンチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製)、テトラオクチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製)、トリブチルメチルアンモニウムメチルスルフェート(シグマアルドリッチジャパン社製)が好ましく用いられ、メチルトリ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム株式会社製)融点27.5℃(メーカー公表値)が、特に好ましく用いられる。
また、帯電防止性能の点からは、上記帯電防止剤(D)のアニオン成分が(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである帯電防止剤が好ましく、なかでも特に、メチルトリ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム株式会社製)が好ましく用いられる。
また、アンモニウム系帯電防止剤のカチオン成分としては、アルキルアンモニウムカチオンであることが好ましく、アクリル系樹脂(A)との相溶性に優れる点で、アルキル鎖の炭素数が1〜6のアルキル基を有するアルキルアンモニウムカチオンが、特に好ましい。アルキル鎖の炭素数が大きすぎると、融点および導電率が低下する傾向がある。
アンモニウム系帯電防止剤以外の帯電防止剤としては、例えば、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアニオン型帯電防止剤、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや塩化リチウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記帯電防止剤(D)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1.2〜15重量部であることが好ましく、特に好ましくは2.5〜14重量部、更に好ましくは6〜13重量部である。
かかる帯電防止剤の含有量が少なすぎると、帯電防止性能が得られず静電気による表示ムラが発生しやく、また帯電防止性能の経時安定性が低下する傾向があり、多すぎるとブリードアウトして、偏光板の偏光度が低下したり、耐久性が低下する傾向がある。
また、帯電防止剤(D)としてアンモニウム系帯電防止剤を用いる場合における含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1.2〜15重量部であることが好ましく、特に好ましくは2.5〜14重量部、更に好ましくは6〜13重量部である。
かかるアンモニウム系帯電防止剤の含有量が少なすぎると、帯電防止性能が得られず静電気による表示ムラが発生しやく、また帯電防止性能の経時安定性が低下する傾向があり、多すぎるとブリードアウトして、偏光板の偏光度が低下したり、耐久性が低下する傾向がある。
なお、アンモニウム系帯電防止剤と上記アンモニウム系帯電防止剤以外の帯電防止剤を併用する場合は、アンモニウム系帯電防止剤以外の帯電防止剤を帯電防止剤全体の5重量%以下の範囲とすることが好ましい。
さらに、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、樹脂成分、アクリルモノマーや、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル補足剤等の各種添加剤、金属及び樹脂粒子等を配合することができる。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
上記その他の成分の含有量は、アクリル系樹脂(A)に対して5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向にある。
かくして本発明の粘着剤組成物を得ることができる。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤で架橋させることにより粘着剤とすることができ、更に、かかる粘着剤からなる粘着剤層を偏光板(光学積層体)上に積層形成することにより、粘着剤層付偏光板を得ることができる。
上記粘着剤層付偏光板には、粘着剤層の偏光板とは逆の面に、さらに離型フィルムを設けることにより、偏光板/粘着剤層/離型フィルムの構成からなる離型フィルム及び粘着剤層付偏光板とすることが好ましい。
離型フィルムとしては、縮合反応型シリコーン剥離剤(たとえば、ベースポリマーとして両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン、架橋剤としてポリメチルハイドロジエンシロキサン、触媒としてスズ系を用いたものが一般的である)を用いたものや、付加反応型シリコーン剥離剤(たとえば、ベースポリマーとして両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサンのメチル基の一部がビニル基で置換されたもの、架橋剤としてポリメチルハイドロジエンシロキサン、触媒として白金系触媒を用いたものが一般的である)を用いたもの等があり、特に限定されるものではないが、品質安定性の点から、付加反応型シリコーン剥離剤を用いているものが好ましい。
具体的には、市販品の、藤森工業株式会社製「フィルムバイナ」、三井化学東セロ株式会社製「セパレーターSP−PET」などが挙げられる。
上記粘着剤層付偏光板の製造方法としては、〔1〕偏光板上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行なう方法、〔2〕離型シート上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、偏光板を貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行なう方法等がある。
これらの中でも、〔2〕の方法で、常温状態でエージングする方法が、基材を痛めない点、基材密着性に優れる点で好ましい。
かかるエージング処理は、粘着剤の化学架橋の反応時間として、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は通常室温〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、23℃で3〜10日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
なお、本発明の粘着剤組成物は、エージング特性に優れており、短時間で架橋が進行し、ゲル分率が上昇、安定化するため、エージング処理時間が短くても、粘着物性に優れた粘着剤を得ることができる。したがって、従来よりもエージング処理期間を短縮することができ、生産性の面で非常に有利である。また、短時間で粘着物性が安定するため、例えば粘着剤層付きフィルムのロール保管時に、保護フィルムのアンチブロック層の粒子が粘着剤に転写する、いわゆる「ゆず肌」問題やフィルム搬送時の打痕も抑制することができる。
上記粘着剤組成物の塗布に際しては、この粘着剤組成物を溶剤で希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、加熱残分濃度として、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
上記粘着剤組成物を溶剤で希釈した塗布液は、経時安定性(ポットライフ)が必要となり、下記の式1で計算される24時間後の粘度変化率が、通常1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。24時間後の粘度変化率が1.5より大きいと、塗布液の粘度が上昇し、ロングランした際に、初期と比較して経時的に塗布面にスジなどの塗布ムラが発生しやすくなる傾向がある。
[式1]粘度変化率=24時間後の塗布液の粘度/調液直後の塗布液の粘度
また、上記粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行なわれる。
上記方法により製造される粘着剤層は、指で触れたときに程好いタック感があった方が、実際に被着体に貼る際に濡れ性が良いため、作業性が上がる傾向があり好ましい。
また、得られる粘着剤層付偏光板における粘着剤層の厚みは、5〜200μmが好ましく、特には10〜100μmが好ましく、更には10〜30μmが好ましい。
かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、偏光板用粘着剤として、充分な応力緩和性を有せず、耐久性が低下する傾向にあり、厚すぎると水分の侵入が多くなり湿熱耐久性が低下する傾向がある。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と偏光度低下抑制の点から30〜95%であることが好ましく、特に好ましくは40〜85%であり、更に好ましくは60〜80%である。ゲル分率が低すぎると耐久性特に加熱時の発泡が発生したり、リワーク性が低下する傾向にあり、高すぎると浮きや剥がれが生じやすくなる傾向にある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。
すなわち、基材に粘着剤層が形成されてなる粘着シートから粘着剤をピッキングにより採取し、粘着剤を200メッシュのSUS製金網で包み酢酸エチル中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。
なお、偏光板用粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、架橋剤の種類と量を調整すること等により達成される。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率に関し、粘着剤組成物溶液の塗布・乾燥後3時間経過した粘着剤層のゲル分率を「初期のゲル分率Gi」とし、室温(23℃)下でさらに3日間エージングしたサンプルのゲル分率を「エージング後のゲル分率Gt」、室温(23℃)下でさらに7日間エージングしたサンプルのゲル分率を「エージング後のゲル分率Ga」とした場合において、粘着剤層の初期のゲル分率Giが、品質安定性の点(打痕等や糊のはみ出しによる汚染等がないこと)から、0〜80%であることが好ましく、より好ましく30〜80%、さらに好ましくは50〜80%である。ゲル分率Giが低すぎると、粘着剤層の凝集力が弱くなって、打痕等や糊のはみ出しによる汚染が発生しやすくなる傾向がある。
また、3日間エージング後の粘着剤層のゲル分率Gaが、耐久性能と光漏れ防止性能の点から55〜95%であることが好ましく、より好ましく65〜90%であり、さらに好ましくは70〜85%である。ゲル分率Gaが低すぎると、粘着剤層の凝集力が弱くなって、高温下で気泡が発生しやすくなる傾向があり、高すぎると、粘着剤層が固くなって、高温高湿下での接着性が低下し、剥がれが発生しやすくなる傾向がある。
さらに、3日間エージング後の粘着剤層のゲル分率(Ga)と7日間エージング後の粘着剤層のゲル分率(Gt)の変化率((Ga−Gt)/Ga)は、通常40%未満であり、10%未満であることが好ましい。上記エージング後のゲル分率Gaの変化率((Ga−Gt)/Ga)が高すぎる場合、粘着剤層の物性が安定するまでのエージング期間が長くなり、生産性が低下する傾向がある。
上記方法により製造される粘着剤層付偏光板の離型フィルムの粘着剤層からの剥離力としては、0.02〜0.13N/25mmであることが好ましく、特に好ましくは0.03〜0.10N/25mm、更に好ましくは0.05〜0.09N/25mmである。離型フィルムの剥離力が小さすぎると、加工中や搬送中に粘着剤から離型フィルムが自然に剥がれ製品不良となる傾向があり、大きすぎると、パネルメーカーにおいて粘着剤層から離型フィルムを剥離する際に、剥離が困難になり、離型フィルムの剥離とともに吸着マットに固定された偏光板が浮いたり、粘着剤が欠けたりするなど生産性が低下する傾向がある。
なお、上記方法により製造される粘着剤層付偏光板の離型フィルムの剥離力は、つぎのようにして算出される。粘着剤層付偏光板について、幅25mm幅に裁断し、離型フィルムとは反対面を両面テープでガラス板に貼り付けて固定し、粘着剤層に貼り合わせされている離型フィルムについて、剥離角度を180度、剥離速度300mm/分で剥離試験を行う。
上記方法により製造される粘着剤層付偏光板の帯電防止性能としては、上記粘着剤層付偏光板を製造後、23℃×50%RH雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型フィルムを剥離し、後記の表面抵抗率測定装置を用いて該粘着剤層の表面抵抗値を測定して得られた、「表面抵抗値R」が、好ましくは1.0×1012Ω/□以下、より好ましくは1.0×1011Ω/□以下、さらに好ましくは5.0×109Ω/□以下である。表面抵抗値Rが高すぎると、液晶表示板のバックライトとの摩擦などにより偏光板が帯電し、表示不良を起こす傾向がある。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂を調製した。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量、粘着剤のゲル分率の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
<アクリル樹脂(A)の調製>
〔アクリル系樹脂(A−1)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8.0部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.007部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)91.993部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−1)(重量平均分子量132万、分散度4.7)の溶液を得た。
〔アクリル樹脂(A−2)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8.0部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.05部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)91.95部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−2)(重量平均分子量110万、分散度4.0)の溶液を得た。
〔アクリル樹脂(A−3)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.01部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.49部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−3)(重量平均分子量149万、分散度3.7)の溶液を得た。
〔アクリル樹脂(A−4)の調製〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.05部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.45部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−4)(重量平均分子量140万、分散度4.0)の溶液を得た。
〔アクリル樹脂(A−5)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.1部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.4部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−5)(重量平均分子量132万、分散度4.2)の溶液を得た。
〔アクリル樹脂(A−6)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8.0部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.2部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)91.8部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−6)(重量平均分子量110万、分散度4.0)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−7)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.5部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−7)(重量平均分子量158万、分散度3.4)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−8)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.2部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.3部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−8)(重量平均分子量147万、分散度3.2)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−9)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)3.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.5部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)96.0部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−9)(重量平均分子量106万、分散度3.5)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−10)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)1.0部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.2部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)98.8部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−10)(重量平均分子量130万、分散度4.2)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−11)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8.0部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.02部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)46.98部、メチルアクリレート〔MA〕(a3)45部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−11)(重量平均分子量143万、分散度4.2)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−12)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.02部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)31.98部、メチルアクリレート〔MA〕(a3)45部、ベンジルアクリレート〔BzA〕(a4)15部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−12)(重量平均分子量146万、分散度4.3)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−13)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)8部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.02部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)41.98部、メチルアクリレート〔MA〕(a3)35部、ベンジルアクリレート〔BzA〕(a4)15部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−13)(重量平均分子量141万、分散度4.2)の溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A−14)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕(a1)12部、ジメチルアミノエチルアクリレート〔DMAEA〕(a2)0.02部、ブチルアクリレート〔BA〕(a3)42.98部、メチルアクリレート〔MA〕(a3)45部、溶媒として酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕0.013部を仕込み、適宜AIBNと酢酸エチルを追加しながら、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈して、アクリル系樹脂(A−14)(重量平均分子量156万、分散度4.4)の溶液を得た。
上記のようにして作製したアクリル系樹脂(A−1)〜(A−14)について、原料モノマー成分の含有量、重量平均分子量および分散度を下記の表1に示す。
Figure 2018092134
<イソシアネート系架橋剤(B)>
イソシアネート系架橋剤(B)として以下のものを用意した。
(B−1):トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(55%酢酸エチル溶液)(日本ポリウレタン工業社製、「コロネートL−55E」)
<オリゴマー型シランカップリング剤(C)>
シランカップリング剤(C)として、以下のものを用意した。
(C−1):信越化学工業株式会社製「X−41−1805」(含有反応性官能基;メルカプト基、官能基等量;800g/mol、含有アルコキシ基;メトキシ基及びエトキシ基、アルコキシ基含有量;42%、粘度20mm2/s)
<帯電防止剤(D)>
帯電防止剤として以下のものを用意した。
(D−1):メチルトリ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム株式会社製「FC−4400」、融点27.5℃(メーカー公表値))
<実施例1〜8、13、比較例1〜6>
上記のようにして調製、準備した各配合成分を下記表2の通りに配合して粘着剤組成物を得、これを酢酸エチルにて固形分濃度を13%に調液し、粘着剤組成物溶液を得た。
Figure 2018092134
<ポットライフ>
上記の実施例1〜13、比較例1〜6の粘着剤組成物溶液について、ポットライフを評価した。ポットライフの評価は、調液直後の塗布液の粘度と24時間後の塗布液の粘度をB型粘度計(ローターNo.3、回転速度10rpm)を用いて測定し、粘度変化率を算出し、下記の基準により評価した。結果を表3に示す。
粘度変化率=24時間後の塗布液の粘度/調液直後の塗布液の粘度
○・・・粘度変化率が、1.0〜1.5
×・・・粘度変化率が、1.5より大きい
<エージング特性>
〔ゲル分率測定用サンプルの作製〕
上記の実施例および比較例の粘着剤組成物溶液を、それぞれポリエステル系離型フィルム(三井化学東セロ株式会社製「SP−PET01BU」、厚み38μm)に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥した後、形成された粘着剤組成物層を偏光板(保護フィルム1/PVA/保護フィルム2の構成、保護フィルム1:富士フィルム株式会社製TACフィルム、保護フィルム2:日本ゼオン株式会社製COPフィルム、PVA:延伸ヨウ素系色素で染色されたPVAフィルム)の保護フィルム2側に貼付し、これを、23℃×65%RHの条件下で3時間経過したものを「初期のゲル分率Gi」測定用サンプル、3日間(上記1日に加えて2日間)エージングしたものを「3日後のゲル分率Gt」測定用サンプル、7日間(上記1日に加えて6日間)エージングしたものを「エージング後のゲル分率Ga」測定用サンプルとした。
ゲル分率の測定は、基材となる偏光板に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型フィルムを取り付けていないもの)から粘着剤層をこそぎ取り、粘着剤層を200メッシュのSUS製金網で包み、酢酸エチル中に23℃×24時間浸漬して、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率を「ゲル分率」とした。
上記の方法により得られたゲル分率について、初期のゲル分率Gi、および、3日間エージング後の粘着剤層のゲル分率(Gt)と7日間エージング後の粘着剤層のゲル分率(Ga)の変化率((Ga−Gt)/Ga)から、エージング特性を下記のように評価した。
初期のゲル分率が高いほどエージング特性に優れ、また、ゲル分率の変化率が小さいほどエージング特性に優れる。
(評価基準)
◎・・・ゲル分率の変化率が10%未満、かつ、初期のゲル分率Giが50%以上
○・・・ゲル分率の変化率が10%未満、かつ、初期のゲル分率Giが50%未満
△・・・ゲル分率の変化率が10%以上40%未満
×・・・ゲル分率の変化率が40%以上
つぎに、実施例および比較例の粘着剤組成物溶液を、それぞれポリエステル系離型シート(三井化学東セロ株式会社製「SP−PET01BU、厚み38μm)に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥した後、形成された粘着剤組成物層を偏光板(保護フィルム1/PVA/保護フィルム2の構成、保護フィルム1:富士フィルム株式会社製TACフィルム、保護フィルム2:日本ゼオン株式会社製COPフィルム、PVA:延伸ヨウ素系色素で染色されたPVAフィルム)の保護フィルム2側に貼付し、23℃×65%RHの条件下で7日間エージングさせて、離型フィルム及び粘着剤層付偏光板を得た。
上記で得られた離型フィルム及び粘着剤層付偏光板を用いて、離型フィルムの剥離性、耐久性、及び帯電防止性能を評価した。これらの結果を下記の表3に併せて示す。なお、粘着剤層付き偏光板は、偏光板の延伸軸に対して0度(平行)になるようにカットして使用した。
<離型フィルムの剥離性>
離型フィルム及び粘着剤層付偏光板を幅25mm幅に裁断し、離型フィルムとは反対面を両面テープでガラス板に張り付けて固定し、離型フィルムを、剥離角度を180度、剥離速度300mm/分で剥離した際にかかる剥離力から、剥離性を下記のように評価した。
(評価基準)
○・・・0.02〜0.13N/25mm
×・・・0.13N/25mmより大きい
<耐久性>
離型フィルム及び粘着剤層付偏光板の離型フィルムを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行ない、その後、下記の耐久試験を行い、発泡、剥がれ等の有無により、下記の通り評価した。なお、試験に使用した試験片のサイズは200mm×150mmである。
(1)耐熱試験
80℃、240時間の耐久試験にて、下記の通り評価した。
(2)耐湿熱試験
60℃×90%RH×240時間の耐久試験にて、下記の通り評価した。
(3)高耐熱試験
100℃、240時間の耐久試験にて、下記の通り評価した。
(評価基準)(1),(2),(3)の試験それぞれについて欠点(発泡、スジ、浮き、ハガレ)の有無について光学顕微鏡観察および目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・光学顕微鏡観察において、どこにも欠点がみられなかった。
○・・・光学顕微鏡観察において、偏光板の端部から0.5mm以内の縁部に欠点がみられた。
△・・・偏光板の端部から0.5mm以内の縁部に、目視で確認できる1mm程度の欠点がみられた。
×・・・偏光板の端部から0.5mmより内側(中央寄り)に、目視で確認できる欠点がみられた。または1mm以上の剥がれがみられた。
<帯電防止性能>
離型フィルム及び粘着剤層付偏光板を、23℃×50%RH雰囲気下で24時間静置した後、離型フィルムを剥離して、表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、装置名「Hiresta−UP MCP−HT450」)を用い、粘着剤層の表面抵抗値を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:1.0×1011Ω/□以下
○:1.0×1011Ω/□超〜1.0×1012Ω/□以下
×:1.0×1012Ω/□超(測定不能 OVER)
Figure 2018092134
表3の結果より、水酸基含有モノマー(a1)と、アミノ基含有モノマー(a2)をそれぞれ特定範囲で含有する共重合成分からなるアクリル系樹脂(A)を含有する粘着剤組成物を用いた実施例1〜13では、エージング特性と離型フィルムの剥離性のいずれにも優れるものであり、さらに、粘着剤組成物溶液のポットライフ、粘着剤層の耐久性にも優れることがわかる。また、さらに(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)としてメチルアクリレートを特定量の範囲で含有する共重合成分からなるアクリル系樹脂(A)を含有する粘着剤組成物を用いた実施例6〜8は、耐久性に非常に優れたものであることがわかる。
更に、実施例11,12は帯電防止剤を増量することで、耐久性も良好かつ帯電防止剤性にも優れたものであることがわかる。
これに対して、アミノ基含有モノマー(a2)を含有しない比較例2においては、エージング後のゲル分率の変化率が大きく、エージング特性に劣るものであることがわかる。
また、アミノ基含有モノマー(a2)の含有量が本発明よりも多い比較例1,3,5,6においては、エージング特性には優れるものの、離型フィルムの剥離性を満足しないものであり、比較例6においては、耐久性にも劣ることがわかる。
また、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有しない比較例4においては、エージング特性や離型フィルムの剥離性には優れるものの、耐久性(耐湿熱性)を満足しないものであることがわかる。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、エージング特性および離型フィルムの剥離性に優れ、偏光板と液晶セルを貼り合わせた際の耐久性にも優れるものである。したがって、この粘着剤組成物を用いることにより効率よく液晶表示装置を製造することができ、また、耐久性に優れた液晶表示装置を得ることができるため、偏光板用粘着剤として有用である。

Claims (11)

  1. アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、オリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)が、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を3〜15重量%、第3級アミノ基含有モノマー(a2)由来の構造単位を0.003〜0.15重量%含有するアクリル系樹脂であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
  2. アクリル系樹脂(A)におけるカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位の含有量が、0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の偏光板用粘着剤組成物。
  3. アクリル系樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)由来の構造単位を含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)由来の構造単位中にメチルアクリレートおよび/またはエチルアクリレート由来の構造単位を30〜50重量%含有するアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の偏光板用粘着剤組成物。
  4. アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が、100万〜150万であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の偏光板用粘着性組成物。
  5. イソシアネート系架橋剤(B)が、トリレンジイソシアネート系化合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の偏光板用粘着剤組成物。
  6. オリゴマー型シランカップリング剤(C)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜0.25重量部であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の偏光板用粘着剤組成物。
  7. アンモニウム系帯電防止剤を含有し、その含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して1.2〜15重量部であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の偏光板用粘着剤組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の偏光板用粘着剤組成物が、イソシアネート系架橋剤(B)により架橋されてなることを特徴とする偏光板用粘着剤。
  9. 偏光板上に、請求項8記載の偏光板用粘着剤を含む粘着剤層を積層してなることを特徴とする粘着剤層付偏光板。
  10. 偏光板/粘着剤層/離型フィルムの構成からなり、粘着剤層が、請求項8記載の偏光板用粘着剤からなる粘着剤層であることを特徴とする離型フィルム及び粘着剤層付偏光板。
  11. 離型フィルムの粘着剤層からの剥離力が、0.02〜0.13N/25mmであることを特徴とする請求項10記載の離型フィルム及び粘着剤層付偏光板。
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