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JP2018056588A - 表面修飾金属酸化物粒子材料、分散液、シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体、光半導体発光装置、照明器具及び液晶画像装置 - Google Patents

表面修飾金属酸化物粒子材料、分散液、シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体、光半導体発光装置、照明器具及び液晶画像装置 Download PDF

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JP2018056588A JP2017236136A JP2017236136A JP2018056588A JP 2018056588 A JP2018056588 A JP 2018056588A JP 2017236136 A JP2017236136 A JP 2017236136A JP 2017236136 A JP2017236136 A JP 2017236136A JP 2018056588 A JP2018056588 A JP 2018056588A
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佐藤 洋一
Yoichi Sato
洋一 佐藤
恭行 栗野
Yasuyuki Kurino
恭行 栗野
大塚 剛史
Takashi Otsuka
剛史 大塚
健児 山口
Kenji Yamaguchi
健児 山口
原田 健司
Kenji Harada
健司 原田
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Abstract

【課題】光半導体発光装置用の封止材等に用いられた場合に高い透明性及びガスバリア性を発揮し得る表面修飾金属酸化物粒子材料、該表面修飾金属酸化物粒子材料を含有する分散駅、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体、並びに該シリコーン樹脂複合体を用いた光半導体発光装置、照明器具及び液晶画像装置を提供する。【解決手段】平均一次粒子径3nm以上10nm以下である金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基とアルケニル基とを有する表面修飾材料によって表面修飾を行った表面修飾金属酸化物粒子材料である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面修飾金属酸化物粒子材料、分散液、シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体、これを封止材として用いた光半導体発光装置、該光半導体発光装置を具備する照明器具及び液晶画像装置に関する。
シリコーン樹脂は、透明性、耐熱性、耐光性等の特性が優れ、また硬さやゴム弾性に優れるため、光半導体素子の封止材や光導波路材料等に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特に、光半導体発光素子の一種である発光ダイオード(LED)の封止材料としては、有機変性シリコーン樹脂、フェニル(又はメチルフェニル)シリコーン樹脂(例えば、特許文献2参照)、ジメチルシリコーン樹脂(例えば、特許文献3参照)等がある。
特開2009−076948号公報 特開2007−270004号公報 特開2011−096793号公報
しかし、シリコーン樹脂は耐久性に優れるものの、ガス透過性が大きい(ガスバリア性が低い)という問題がある。そこで、金属酸化物粒子をシリコーン樹脂に分散、複合化することでこの欠点を補うとともに機能の向上が図られているが、特に大気中の硫黄ガスがLEDパッケージの銀メッキ反射板を腐食(硫化して黒色化)することによりLEDの輝度が低下するという問題もあった。
また、シリコーン樹脂に無機粒子を分散させた場合、通常の表面処理剤では耐熱性が低いために、高温時に粒子凝集が発生(粒子分散性が低下)したり表面処理剤自体の着色が発生したりすることで、透過率が低下するために、耐熱性に問題が生じる場合もあった。
さらに、LEDからの光取出し効率の低いジメチルシリコーン樹脂で封止した場合、電球構造の密閉性を上げたり、LEDパッケージの光反射板に耐食性の高い金メッキを施したり等しても、輝度が低く、コストが高いという問題があった。
一方、フェニル(又はメチルフェニル)シリコーン樹脂は、ジメチルシリコーン樹脂に比べてガス透過性が小さい(ガスバリア性が高い)が、これらの特性は導入できるフェニル基量に依存し、その導入量にも限界があった。
以上から本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、具体的には、光半導体発光装置用の封止材等に用いられた場合に高い透明性及びガスバリア性を発揮し得る表面修飾金属酸化物粒子材料、該表面修飾金属酸化物粒子材料を含有する分散液、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体、並びに該シリコーン樹脂複合体を封止材に用いた際に、封止材のガス透過性を低下させ、透過ガスに起因する装置の劣化を抑制させることができる光半導体発光装置、該光半導体発光装置を具備する照明器具及び液晶画像装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、平均一次粒子径が所定の範囲の金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基とアルケニル基を有する表面修飾材料によって表面修飾を行うことにより得られる表面修飾金属酸化物粒子材料を用いることにより、当該課題を解決できることを見出した。具体的には、この表面修飾金属酸化物粒子材料を特定のシリコーン樹脂に含有させたシリコーン樹脂複合体を、光半導体発光装置における発光素子の封止材に用いることで、発光素子からの透光性を損なうことなく、さらに封止層のガス透過性をも低下させることができることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1] 平均一次粒子径が3nm以上10nm以下である金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基とアルケニル基とを有する表面修飾材料によって表面修飾を行った表面修飾金属酸化物粒子材料。
[2] 上記[1]に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料を含む分散液。
[3] 上記[1]に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分とを含み、該シリコーン樹脂形成成分がハイドロジェン基を有し、前記金属酸化物粒子が5質量%以上含有されてなるシリコーン樹脂組成物。
[4] 上記[3]に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させてなるシリコーン樹脂複合体。
[5] 半導体発光素子が封止材により封止されてなる光半導体発光装置であって、
前記封止材が[4]に記載のシリコーン樹脂複合体からなり、当該封止材からなる封止層の厚さが50μm以上である光半導体発光装置。
[6] 上記[5]に記載の光半導体発光装置を備えてなる照明器具。
[7] 上記[5]に記載の光半導体発光装置を備えてなる液晶画像装置。
本発明によれば、光半導体発光装置用の封止材等に用いられた場合に高い透明性及びガスバリア性を発揮し得る表面修飾金属酸化物粒子材料、該表面修飾金属酸化物粒子材料を含有する分散液、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体、並びに該シリコーン樹脂複合体を封止材に用いた際に、封止材のガス透過性を低下させ、透過ガスに起因する装置の劣化を抑制させることができる光半導体発光装置、該光半導体発光装置を具備する照明器具及び液晶画像装置を提供することができる。
本発明の光半導体発光装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の光半導体発光装置の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1.表面修飾金属酸化物粒子材料]
本発明における表面修飾金属酸化物粒子材料は、特定粒子径の金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基及びアルケニル基を有する表面修飾材料によって表面修飾されてなる。
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子の種類は特に限定はないが、封止材等の透明性を保持する観点からナノメートルサイズの粒子径を得ることができる種類が好ましく、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、封止材等の屈折率を高めることにより、当該封止材を用いた光半導体発光装置からの光取出効率を向上させて高輝度化することを考慮する場合には、金属酸化物粒子の屈折率は1.5以上であることが好ましく、1.7以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましい。このような金属酸化物粒子としては、酸化チタンや酸化ジルコニウム(ジルコニア)が好ましく、特にジルコニアが好ましい。
なお、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と表現する場合は、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意味する。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は3〜10nmである。平均一次粒子径が3nm未満だと結晶性が悪くなるのに加え、表面活性が強く、粒子間相互作用を生じてシリコーン樹脂組成物の粘度が高くなる。一方、平均一次粒子径が10nmより大きくなると、金属酸化物と、表面修飾材料を含むシリコーン樹脂との屈折率差が大きいため散乱による透過率の低下が顕著となる。
平均一次粒子径は、4nm〜8nmであることが好ましく、4nm〜6nmであることがより好ましい。
(表面修飾材料)
金属酸化物粒子の表面修飾に用いられる表面修飾材料は、少なくともフェニル基とアルケニル基とを含有している。当該表面修飾材料は、1つの材料中にフェニル基とアルケニル基との両方を含有するものでもよく、フェニル基を含有する表面修飾材料とアルケニル基を含有する表面修飾材料との両方を併用したものでもよい。
また、シリコーン樹脂複合体や組成物中で表面修飾金属酸化物粒子材料を均一に分散安定化させる目的で、その他の構造を有する表面修飾材料を併用してもよい。
表面修飾材料にフェニル基を含有させる理由は、マトリックスとなるフェニルシリコーン樹脂及びメチルフェニルシリコーン樹脂(以下、これらをまとめて「(メチル)フェニルシリコーン樹脂」ということがある)との界面親和性を確保するためと、表面修飾材料のフェニル基と(メチル)フェニルシリコーン樹脂のフェニル基がπ−πスタッキングにより表面修飾金属酸化物粒子と(メチル)フェニルシリコーン樹脂とが近接することでシリコーン樹脂複合体中の隙間を少なくすることができ、ガスの透過性を抑えることができるためである。
表面修飾材料にアルケニル基を含有させる理由は、シリコーン樹脂組成物が重合硬化する際に、表面修飾材料中のアルケニル基とマトリックスとなるシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基(シロキサンポリマーのSiに直接結合するH(水素))とが架橋反応(ヒドロシリル化反応)により結合することができ、重合硬化過程で表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とが相分離することを防ぐことができるためである。また、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とが架橋反応することによって表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とが近接しシリコーン樹脂複合体中の隙間を少なくすることができ、ガスの透過性を抑えることができるためである。
さらに、耐熱性に優れる表面修飾材料を用いることによって、高温時に粒子凝集が発生(粒子分散性が低下)したり表面処理剤自体の着色が発生したりすることに起因する透過率の低下を抑えることができ、よってマトリックスシリコーン樹脂の耐熱性を損なうことなく、ガスの透過性を抑えることができる。なおここで、耐熱性に優れるとは、熱負荷試験(150℃、1000時間)後において表面修飾構造に変化のないこと(すなわち樹脂組成物中での表面修飾金属酸化物粒子材料の分散性に変化のないこと)を意味する。
フェニル基を含有する表面修飾材料としては、構造中にフェニル基を含有していれば特に限定はないが、以下の式(1)、式(2)で示される構造の材料やフェニル基とアルコキシ基を含有するレジン構造(三次元網状構造)のシリコーン材料等が挙げられる。

(式(1)中、nは1〜3の整数である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、4−nが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)

(式(2)中、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、cは1〜3の整数である。A、B、C、Dはフェニル基または炭素数1〜6のアルキル基から選択される1ないし2種以上であり、少なくともA、Bの内いずれかはフェニル基である。A、B、C、D全てがフェニル基であってもよい。また、Si・A・B・Oにより構成される部位と、Si・C・D・Oにより構成される部位の位置及び配列は任意であり、ランダムポリマー型である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、cが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)
具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、アルコキシ片末端フェニルシリコーン、アルコキシ片末端メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有フェニルシリコーンレジン樹脂、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーンレジン樹脂等が挙げられ、その他にフェニル基を含有する表面修飾材料として安息香酸、安息香酸メチル、トルイル酸、フタル酸などフェニル基含有有機酸化合物が挙げられる。
これらの中で、耐熱性にも優れるという観点からは、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、アルコキシ片末端フェニルシリコーン、アルコキシ片末端メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有フェニルシリコーンレジン樹脂、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーンレジン樹脂が好ましい。
アルケニル基を含有する表面修飾材料としては、構造中にアルケニル基を含有していれば特に限定はないが、以下の式(3)、(4)で示される構造の材料等が挙げられる。

(式(3)中、nは0以上の整数であり、mは1〜3の整数である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、mが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)

(式(4)中、nは1〜100の整数であり、mは1〜3の整数である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、mが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、アルコキシ片末端ビニル片末端ジメチルシリコーンが挙げられる。その他にアルケニル基を含有する表面修飾材料としては式(3)の炭化水素鎖が分岐した構造や分岐した炭化水素鎖上にアルケニル基を含有した構造の材料、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランカップリング剤やメタクリル酸など炭素−炭素不飽和結合含有脂肪酸等が挙げられる。
これらの中で、耐熱性にも優れるという観点からは、ビニルトリメトキシシラン、アルコキシ片末端ビニル片末端ジメチルシリコーン、式(3)の炭化水素鎖が分岐した構造や分岐した炭化水素鎖上にアルケニル基を含有した構造の材料が好ましい。
フェニル基とアルケニル基との両方を含有する表面修飾材料としては、構造中にフェニル基とアルケニル基との両方を含有していれば特に限定されないが、スチリルトリメトキシシランや式(5)で示されるアルコキシ片末端ビニル片末端フェニルシリコーン、アルコキシ片末端ビニル片末端メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。これらは一様に、耐熱性の点でも優れている。

(式(5)中、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、cは1〜3の整数である。A、B、C、Dはフェニル基または炭素数1〜6のアルキル基から選択される1ないし2種以上であり、少なくともA、Bの内いずれかはフェニル基である。A、B、C、D全てがフェニル基であってもよい。また、Si・A・B・Oにより構成される部位と、Si・C・D・Oにより構成される部位の位置及び配列は任意であり、ランダムポリマー型である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、cが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)
また、後述するシリコーン樹脂組成物やシリコーン樹脂複合体中において、金属酸化物粒子を均一に分散安定化させる目的で併用されるその他の構造の表面修飾材料としては、アルコキシ片末端ジメチルシリコーン、アルコキシ片末端ビニル片末端ジメチルシリコーン、片末端エポキシシリコーン、アルキルシラン化合物、脂肪酸化合物等が挙げられる。
さらに本発明においては、少なくともフェニル基とアルケニル基とを有する表面修飾材料による表面修飾を行った後、あるいは該表面修飾と同時に、ハイドロジェン基を有する表面修飾材料により表面修飾を行ってもよい。これにより、金属酸化物粒子表面にハイドロジェン基及びアルケニル基の双方を修飾担持させることができる。
上記ハイドロジェン基を有する表面修飾材料としては、例えばトリエトキシシラン、ジメチルエトキシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン等が挙げられる。
前述の通り、表面修飾材料中のアルケニル基は、シリコーン樹脂組成物が重合硬化する際に、マトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基と架橋反応(ヒドロシリル化反応)により結合し一体化することができる。そして、この結合作用により、重合硬化過程における表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との相分離を防ぐとともに、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とを近接させてシリコーン樹脂複合体中の隙間を少なくし、ガスの透過性を抑えることができる。
ところで、マトリックスシリコーン樹脂形成成分の硬化は、後述のように、付加硬化型が選択されることが好ましい。この付加硬化とは、シリコーン樹脂形成成分中のシロキサンポリマーに配されたハイドロジェン基と、同じくシロキサンポリマー中のアルケニル基(またはアルキニル基)とが、白金族金属系触媒による付加反応(ヒドロシリル化反応)により重合することで硬化するものである。従って、マトリックスシリコーン樹脂形成成分は、少なくともハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、アルケニル基(またはアルキニル基)を含有するシリコーン樹脂形成成分とを含有している。
そこで、金属酸化物粒子表面にアルケニル基だけでなくハイドロジェン基も修飾担持させることにより、金属酸化物粒子表面のアルケニル基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基が架橋反応できるだけでなく、金属酸化物粒子表面のハイドロジェン基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のアルケニル基(またはアルキニル基)も架橋反応できるので、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂との一体化をより図ることができる。
表面修飾材料による金属酸化物粒子への表面修飾方法としては、湿式法や乾式法等が挙げられる。湿式法は溶媒に金属酸化物粒子と表面修飾材料、必要に応じて表面修飾材料を加水分解させるための触媒を投入し、加熱撹拌やビーズメディア等外部からエネルギーを加えて金属酸化物粒子に溶媒中で表面修飾させながら分散させる方法が挙げられる。また、乾式法は金属酸化物粒子と表面修飾材料を混練機等により混合しながら表面修飾金属酸化物粒子を得るといった方法が挙げられる。
金属酸化物粒子に対する上記表面修飾材料の表面修飾量(表面修飾材料/金属酸化物粒子)は5〜40質量%であることが好ましい。表面修飾量がこの範囲にあれば、後述するシリコーン樹脂中での表面修飾金属酸化物粒子材料の分散性を高く維持することができ、透明性の低下やガス透過性を抑えることができる。
上記表面修飾量は、10〜30質量%であることがより好ましい。
なお、上記表面修飾量は、150℃乾燥後の表面修飾金属酸化物粒子を750℃で熱処理し、熱処理後の質量減少量を表面修飾材料の質量として算出したものである。
[2.分散液]
本発明の分散液は、前記本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料を分散媒に分散させたものである。本発明の分散液によれば、本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料を分散媒中に分散してなることとしたので、これとマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを組み合わせる際に、表面修飾金属酸化物粒子材料をマトリックスシリコーン樹脂形成成分中に均一かつ良好な分散状態で分散させることができ、よって成形性、加工性に優れ、また透明性に優れたシリコーン樹脂組成物、さらにこれを硬化させたシリコーン樹脂複合体を得ることができる。
本発明の分散液における粒子材料の含有率は、5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。粒子材料の含有率をこの範囲とすることにより、粒子材料が良好な分散状態を取りうることができる。粒子材料の含有率は、より好ましくは10質量%以上30質量%である。
分散媒としては、粒子材料を分散させることができる溶媒であればよく、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ‐ブチルラクトンなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルアミド、などの芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明の分散液は、粒子材料の分散性向上や分散液の安定性のために、その特性を損なわない範囲において分散剤、表面処理剤、水溶性バインダー等(分散剤等)を含んでいてもよい。
分散剤や表面処理剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、オルガノアルコキシシランやオルガノクロロシランなどのシランカップリング剤、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤等の高分子分散剤が好適に用いられ、これらの分散剤や表面処理剤は複合微粒子の粒子径や目的とする分散媒の種類により適宜選択すればよく、上記分散剤の1種又は2種以上を混合して用いても良い。水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸等を用いることができる。
分散液中の配合量としては、分散剤等(固形分量)の総量が、粒子材料に対して1〜15質量%の範囲であることが好ましく、2〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
分散処理を施すための方法としては、公知の分散装置を単独又は組み合わせて使用することができ、例えば、ビーズミル、ナノマイザー、ジェットミル、ホモジナイザー、遊星ミル、超音波分散器などを単独で又は組み合わせて用いることができる。この中でも、ビーズ径の選択により分散粒径の制御が容易なビーズミルが好適に用いられる。分散処理に要する時間としては、粒子材料が分散媒中に均一に分散されるのに十分な時間であれば良い。
[3.シリコーン樹脂組成物]
本発明のシリコーン樹脂組成物は、少なくとも前述の本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分とを含んでなり、該シリコーン樹脂形成成分がハイドロジェン基を有する組成物である。
なおここで「樹脂組成物」とは、流動性を有することで特定の形状を有さず、一度変形すると元の形状には戻らない不可逆的な変形性を有するものであって、後述の透明な樹脂複合体の原料となるものである。この樹脂組成物の状態としては、例えば、液状やチクソトロピー性を有するゲル状の状態にあるものを示すことができる。また、「樹脂形成成分」とは、後述の樹脂複合体における樹脂成分を形成するための成分であり、通常は樹脂成分のモノマー、オリゴマーやプレポリマーであって液状のものが含まれる。
シリコーン樹脂組成物中の、表面修飾金属酸化物粒子及びシリコーン樹脂形成成分の合計量に対する金属酸化物粒子の含有量は5質量%以上である。含有量が5質量%未満であると、当該樹脂組成物を硬化させたシリコーン樹脂複合体におけるガス透過性低減効果が少なくなるために、金属酸化物粒子を含有させることによる実質的な効果が得られなくなってしまう。当該含有量は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。なおここで、金属酸化物粒子の含有量には表面修飾材料を含まない。
(シリコーン樹脂形成成分)
シリコーン樹脂形成成分は、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有する。
フェニルシリコーン樹脂形成成分としては、シロキサンポリマーにフェニル基を配したものが挙げられる。メチルフェニルシリコーン樹脂形成成分としては、シロキサンポリマーにフェニル基とメチル基(アルキル基)を配したものが挙げられる。また、その他にフェニル基を配したシロキサン構造とエポキシ基や他の炭化水素を組み合わせた変性シリコーン樹脂がある。構造としては直鎖状のほかに、二次元構造の鎖状のものや三次元網状構造のレジン、かご型構造などがある。
フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい(以下、フェニルシリコーン樹脂形成成分、メチルフェニルシリコーン樹脂形成成分及び両成分を組み合わせたものをまとめて「(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分」ということがある)。また、上記のような各種構造を有するものを組み合わせてもよく、さらに上記のような変性シリコーン樹脂を加えてもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物におけるシリコーン樹脂形成成分は、上記フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有し、さらにハイドロジェン基を有するものである。なお、ハイドロジェン基とは、シリコーン樹脂形成成分を成すシロキサンポリマーのSiに直接結合するH(水素)、すなわちSi−H結合におけるH(水素)を意味する。また、ハイドロジェン基を「Si−H基」と表記する場合がある。
ここで、上記シリコーン樹脂形成成分には、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分以外に他のシリコーン樹脂形成成分が含まれていてもよい。すなわち、本発明におけるシリコーン樹脂形成成分がハイドロジェン基を有するとは、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分中にハイドロジェン基が含まれていてもよいこと、その他のシリコーン樹脂形成成分中にハイドロジェン基が含まれていてもよいこと(このシリコーン樹脂形成成分を「ハイドロジェンシリコーン樹脂形成成分」ということがある)、さらにはこれらの両者にハイドロジェン基が含まれていてもよいことを意味する。
本発明のシリコーン樹脂組成物によれば、このシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基が、表面修飾材料のアルケニル基と架橋反応して一体化することにより、重合硬化過程における表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との相分離を防ぎ、さらには表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とが近接することでシリコーン樹脂複合体中の隙間を少なくし、ガスの透過性を抑えることができる。
前記(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分中にハイドロジェン基を含むものとしては、例えば一つのシロキサンポリマー中に、少なくともフェニル基とハイドロジェン基とが配されているものが挙げられる。そして、この条件を満たすものであれば、一つのシロキサンポリマー中に、フェニル基とハイドロジェン基とが任意に配されたものであってよい。ハイドロジェン基は、一つのシロキサンポリマー中に2個以上配されていることが重合反応性の点から好ましい。
一方、前記ハイドロジェンシリコーン樹脂形成成分としては、シロキサンポリマーのSiに結合する基の一部が水素(ハイドロジェン基:Si−H結合)であるものが挙げられる。ハイドロジェン基は、一つのシロキサンポリマー中に2個以上配されていることが重合反応性の点から好ましい。なお、Siに結合するハイドロジェン基以外の基としては、メチル基等のアルキル基が一般的であるが、エポキシ基や他の炭化水素を組み合わせた変性シリコーンであってもよく、構造としては直鎖状のほか、二次元構造の鎖状のものや三次元網状構造、かご型構造などでもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、樹脂成分として、少なくとも(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分を含有し、ハイドロジェン基を有するシリコーン樹脂形成成分を含んでおり、さらにマトリックスシリコーン樹脂を形成するために必要なシリコーン樹脂形成成分を含む場合がある。各成分の組み合わせは、該各成分が相溶性を有していれば特段の限定はない。
未硬化の(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分やハイドロジェンシリコーン樹脂形成成分の屈折率や粘度は、シロキサンポリマーの構造や鎖長、シロキサンポリマー中のフェニル基やアルキル基の量や炭素数等に応じて変化し、これらの特性値は硬化後のシリコーン樹脂にも反映する。したがって、未硬化の状態で複数の樹脂形成成分を混合・調整することにより、硬化後のマトリックスシリコーン樹脂として必要な屈折率を有し、かつシリコーン樹脂組成物における良好な成形性や作業性を得ることができる。さらに、フェニルシリコーン樹脂形成成分とメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分の組み合わせやハイドロジェンシリコーン樹脂形成成分との組み合わせのほかに、加える変性シリコーン樹脂の種類や量等を調整することにより、得られるシリコーン樹脂複合体の硬さ、タック性、基材との密着性等の特性を制御することができる。
なお、成形性や作業性の点等からシリコーン樹脂組成物を低粘度化したい場合には、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分やハイドロジェンシリコーン樹脂形成成分と相溶性を有し、かつ表面修飾金属酸化物粒子の分散性を阻害しないような有機溶媒を加えてもよい。このような有機溶媒としては、例えば前記分散液に用いられる分散媒を挙げることができる。
硬化後の樹脂複合体においてマトリックスシリコーン樹脂を形成する液状(未硬化)のシリコーン樹脂形成成分(マトリックスシリコーン樹脂形成成分)としては、硬化の方法により、付加硬化型シリコーン組成物や縮合硬化型シリコーン組成物が挙げられる。付加硬化型シリコーン組成物は、少なくともアルケニル基及びハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、白金族金属系触媒とを含有してなる組成物であり、上記アルケニル基とハイドロジェン基とが付加反応(ヒドロシリル化反応)により結合することでシリコーン樹脂形成成分同士が重合して硬化するものである。
縮合硬化型シリコーン組成物は、少なくとも分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたシリコーン樹脂形成成分とケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上含有するシラン化合物とアミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を含有する縮合触媒とを含有してなる組成物であり、上記水酸基又は加水分解性基と加水分解可能な基とが脱水等の縮合反応を起こして結合することでシリコーン樹脂形成成分とシラン化合物とが重合して硬化するものである。なお、前述の通り、これらのシリコーン樹脂形成成分中にはフェニル基やメチル基(アルキル基)が配されている。
本発明におけるマトリックスシリコーン樹脂形成成分としては、付加硬化型と縮合硬化型のいずれを選択してもよい。
一方、本発明においては、シリコーン樹脂形成成分のハイドロジェン基と表面修飾材料のアルケニル基とを架橋反応により一体化させて、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との相分離を防ぎ、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とを近接させてガスの透過性を抑えることを可能としている。ここで、この架橋反応と、前記付加硬化型の付加反応(ヒドロシリル化反応)とは、その反応基や反応状態から理解できるように同一の反応である。従って、マトリックスシリコーン樹脂形成成分や反応触媒として付加硬化型のものを選択すれば、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との架橋による一体化と、マトリックスシリコーン樹脂自体の硬化とを、同時にかつ単一の反応方法で行えるので好ましい。また、付加硬化型であれば重合時に水等の副生成物が発生しないため、副生成物が混在することによる影響や副生成物の除去が不要となることも好ましい。
さらに、前述のように、アルケニル基とハイドロジェン基の双方を修飾担持させた金属酸化物粒子を用いれば、金属酸化物粒子表面のアルケニル基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基との架橋反応だけでなく、金属酸化物粒子表面のハイドロジェン基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のアルケニル基(またはアルキニル基)も架橋反応できるので、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂との一体化をより図ることができる。
なお、マトリックスシリコーン樹脂形成成分として縮合硬化型を選択すれば、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との結合と、マトリックスシリコーン樹脂の硬化とを、個別に制御できるという利点がある。ただし、この場合には始めに表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とを架橋反応(付加硬化型の場合と同一)で結合させた上で、マトリックスシリコーン樹脂を縮合硬化させる必要がある。その理由は、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とが結合していない状態でマトリックスシリコーン樹脂を硬化させた場合、表面修飾金属酸化物粒子材料の凝集や相分離が発生して、良好なシリコーン樹脂複合体が得られないおそれがあるためである。
表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを混合するには、表面修飾金属酸化物粒子材料を直接マトリックスシリコーン樹脂形成成分に導入して混練機などで機械的に混合する方法や、前記分散液の場合のように、表面修飾金属酸化物粒子材料を有機溶剤などの分散媒に分散させ表面修飾金属酸化物粒子材料分散液とし、この分散液とマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを撹拌機などで混合し、次いで有機溶剤を除去するといった方法が挙げられる。
上記いずれかの方法により両者を混合することで、本発明のシリコーン樹脂組成物が得られる。なお、本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記混合過程で用いる有機溶剤等を含むものであってもよい。
[4.シリコーン樹脂複合体]
本発明のシリコーン樹脂複合体は、上記本発明のシリコーン樹脂組成物中のマトリックスシリコーン樹脂形成成分を付加反応や縮合反応等により重合硬化させるとともに、金属酸化物粒子の表面修飾材料とマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを架橋反応により結合して表面修飾金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂とを一体化させることにより得られる。
ここで、「樹脂複合体」は特定の形状を有するが、この「所定の形状を有する」とは、樹脂複合体が液状、ゲル状等の不可逆的な変形性を有しておらず、使用の目的や方法に合わせた一定の形状を維持することができることを示すものである。すなわち、通常のほとんど変形しない固体状の他、ゴム状等の弾性変形性(形状復元性)を有するものを含むものであり、形状自体が特定の形状であることを示すものではない。
当該シリコーン樹脂複合体の形状は特に限定されるものではなく、その形状は用途に合わせて選択すれば良い。ここで、本発明に用いられるシリコーン樹脂は、付加反応や重合反応により硬化した後では、一般的な樹脂が示すような熱可塑性や溶媒溶解性を示さない。このため、シリコーン樹脂複合体の成形は、前記シリコーン樹脂組成物を硬化してシリコーン樹脂複合体する際に行うか、硬化後のシリコーン樹脂複合体を切削等の機械加工により行うことが好ましい。ここでは、シリコーン樹脂組成物を硬化してシリコーン樹脂複合体する際に成形を行う場合について説明する。
まず、本発明のシリコーン樹脂組成物を、金型や型枠を用いて成形したり、金型や型枠状の容器に充填したりすることにより、目的の形状に成形された成形体または充填物を得る。この時点では、成形体や充填物は流動性を有する状態である。
この際、使用するシリコーン樹脂組成物の粘度が高く成形性が悪い場合には、予め、有機溶媒等を添加し撹拌・混合して粘度を低下させ、成形や充填に適した粘度となるように調整しておいてもよい。
一方、使用するシリコーン樹脂組成物の粘度が低い場合には、予め、マトリックスシリコーン樹脂形成成分の一部や、マトリックスシリコーン樹脂形成成分と表面修飾材料の一部とを重合や架橋させておくことで粘度を高め、成形や充填に適した粘度となるように調整しておくことができる。また、シリコーン樹脂組成物が有機溶媒を含む場合には、この有機溶媒の一部あるいは全部を揮発させる等で除去することで、粘度を高めることもできる。さらに、上記シリコーン樹脂組成物をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いてもよい。
次いで、この成形体または充填物を、室温(25℃程度)のままや、所定の温度(室温〜150℃、好ましくは80℃〜150℃)に加温して所定時間静置したり、あるいは、この成形体または充填物に、電子線や紫外線領域から赤外線領域の任意の波長を有する光線(活性エネルギー線)を照射することによって、このシリコーン樹脂組成物中のマトリックスシリコーン樹脂形成成分を付加反応や重合反応等により硬化させるとともに、金属酸化物粒子の表面修飾材料とマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを架橋反応により結合して表面修飾金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂とを一体化させる。
なお、この成形体または充填物に有機溶媒が残留する場合には、予めこの有機溶媒を揮発除去しておくことが好ましい。
これにより、この成形体または充填物は、金型や容器から外した後、外力を加えても、一定の形状を維持できる状態、すなわちシリコーン樹脂複合体が得られる。
なお、シリコーン樹脂複合体は、用途において問題が無ければ、必ずしも金型や容器から外す必要はない。例えば、後述の光半導体発光装置では、装置自体が容器を形成した形である。
本発明のシリコーン樹脂複合体を光半導体発光装置等の封止材に用いる場合には、その屈折率が1.54より高いことが好ましく、1.56以上であることがより好ましく、1.58以上であればさらに好ましく、1.6以上であれば最も好ましい。封止材の屈折率を高めることにより、光半導体発光装置からの光取出効率を向上させ高輝度化することができる。
また、光路長0.5mmとした場合の波長450nmにおける透過率は、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。透過率がこの範囲であれば、例えばシリコーン樹脂複合体を光学部品として用いた場合に、構成部材として光透過損失の低下を抑制することができる。
シリコーン樹脂複合体の屈折率や透過率は、金属酸化物粒子の種類や粒子径、マトリックスシリコーン樹脂の組成、シリコーン樹脂複合体中の金属酸化物粒子の量等を適宜調整することにより、所望の範囲とすることができる。本発明のシリコーン樹脂複合体においては、金属酸化物粒子の表面修飾材料がフェニル基を有することからそれ自体が高屈折率化されており、表面修飾材料がシリコーン樹脂複合体の高屈折率化の妨げとなることがない。
なお、上記シリコーン樹脂複合体の屈折率は公知の方法を用いて測定すればよいが、例えば、アルミニウム基板上に形成した複合体(1mm厚)を用い、プリズムカプラーによって室温で波長594nmの値を測定することによって求められる。透過率の測定方法については後述する。
本発明のシリコーン樹脂複合体の用途は、特に制限されない。特に、該シリコーン樹脂複合体の前記優れた特性を利用した光学部品等として好適に利用することができる。かかる光学部品を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオなどの撮影装置等、LED照明装置などの照明器具等が例示される。
[5.光半導体発光装置]
本発明の光半導体発光装置は、半導体発光素子が封止材により封止されてなり、該封止材が本発明のシリコーン樹脂複合体からなり、その封止材からなる封止層の厚さが50μm以上となっている。封止層の厚さが50μm未満だとガス透過性を十分に低く抑えることができない。封止層の厚さは、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましい。
本発明に係る封止層の構成は、光半導体発光装置の封止層全体が本発明のシリコーン樹脂複合体の層でもよく(第1の態様)、光半導体発光装置の封止層の一部が本発明のシリコーン樹脂複合体の層であってその他の封止層が積層されていてもよい(第2の態様)。また、これらの封止層に蛍光体を含有してもよい。
本発明の光半導体発光装置は、上記のように封止層のガスバリア性に優れるため、例えば発光ダイオード(LED)パッケージ内に設けられる銀メッキ反射板の劣化を抑制でき、発光ダイオードパッケージからの放射光の輝度を高く保ちつつその低下を少なくすることができるので、これを備えた照明器具や液晶画像装置として有効に利用することができる。
当該光半導体発光装置について具体的に説明する。なお、本発明は以下の例に特に限定されるものではない。
本発明に係る第1の態様(発光装置10)は、図1に示すように、反射カップ12の凹部12Aに発光素子14が配置され、発光素子14に接して凹部を埋め込むように、本発明のシリコーン樹脂複合体からなる封止材により構成された第1の封止層16が形成されてなる。
かかる装置によれば、発光素子14から出射された光は封止材との境界面を通過した後、封止材内を通り、直接に、あるいは反射カップ12の壁面で反射されて外部に取り出される。
発光装置を構成する発光素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)及び半導体レーザを挙げることができる。ここで、発光ダイオードとしては、赤色光(例えば、波長640nmの光)を発光する赤色発光ダイオード、緑色光(例えば、波長530nmの光)を発光する緑色発光ダイオード、青色光(例えば、波長450nmの光)を発光する青色発光ダイオードを例示することができる。発光ダイオードは、いわゆるフェイスアップ構造を有していてもよいし、フリップチップ構造を有していてもよい。すなわち、発光ダイオードは、基板、及び、基板上に形成された発光層から構成されており、発光層から光が外部に出射される構造としてもよいし、発光層からの光が基板を通過して外部に出射される構造としてもよい。
より具体的には、発光ダイオードは、例えば、基板上に形成された第1導電型(例えばn型)を有する化合物半導体層からなる第1クラッド層、第1クラッド層上に形成された活性層、活性層上に形成された第2導電型(例えばp型)を有する化合物半導体層からなる第2クラッド層が積層された構造を有し、第1クラッド層に電気的に接続された第1電極、及び、第2クラッド層に電気的に接続された第2電極を備えている。発光ダイオードを構成する層は、発光波長に依存して、周知の化合物半導体材料から構成すればよい。
ここで、発光ダイオードの発光層の屈折率は、例えばGaAs系で3.5程度、GaP系で3.2程度、GaN系で2.5程度であり、また通常用いられるサファイア基板の屈折率は1.75程度であって、いずれの場合もかなり高い。しかしながら、従来用いられているシリコーン樹脂系やエポキシ樹脂系等の封止材の屈折率は高々1.4〜1.5程度であり、発光層と封止材間、あるいはサファイア基板と封止材間での屈折率差が大きいために、発光層からの光の大半がこれらの界面で全反射されて発光層内やサファイア基板内に閉じ込められてしまい、光の取り出し効率を高くすることができなかった。
本発明の光半導体発光装置においては、封止材の屈折率を高めることにより、発光層と封止材間、あるいはサファイア基板と封止材間において全反射する発光光量を低減させ、光の取り出し効率を高めることができる。この点からは、封止材の屈折率は1.54より高いことが好ましく、1.56以上であることがより好ましく、1.58以上であればさらに好ましく、1.6以上であれば最も好ましい。また、光路長0.5mmとした場合の波長450nmにおける透過率は40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る第2の態様(発光装置20)は、図2に示すように、第1の封止層16が発光素子14の表面を覆うように形成されてなり、その外側を本発明の光半導体素子封止組成物とは組成の異なる第2の封止層18が形成されてなる以外は、第1の態様と同様である。
組成の異なる第2封止層18の材料としては、メチルシリコーン、変性シリコーン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂又は樹脂複合体が挙げられる。第2の封止層18の屈折率は、第1の封止層16と第2の封止層18との界面反射をより少なくするとともに、第2の封止層18と外部の界面反射をもより少なくするために、第1の封止層16の屈折率以下かつ1(大気の屈折率)以上であることが好ましい。また、第2の封止層18の屈折率を調整する目的で、第2の封止層中に本発明に係る表面修飾金属酸化物粒子を含有してもよい。
また、本発明の光半導体発光装置は、発光素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体発光装置とすることもできる。本発明の光半導体発光装置によれば、光半導体素子に接する第1封止層が既述の本発明のシリコーン樹脂複合体であるが、この第1の封止層に、例えば、青色InGaN用のYAG蛍光体や紫外光用のRGB蛍光体等の蛍光体を含有させればよい。この蛍光体は、本発明の封止材であるシリコーン樹脂複合体を形成するためのシリコーン樹脂組成物中に予め含有させればよく、その方法としては、シリコーン樹脂組成物中に蛍光体を直接混合する方法、フェニルシリコーン樹脂形成成分やメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分中に蛍光体を混合する方法、蛍光体を有機溶剤等に分散させた分散液をシリコーン樹脂組成物に混合した後有機溶剤等を除去する方法、等を挙げることができる。
特に、コスト面で蛍光体の使用量を削減する場合や発光素子近傍に蛍光体を集中的に配置して光変換効率を高める場合を考慮すると、第2の態様における第1の封止層に蛍光体を含有させることが好ましい。蛍光体は、第1の封止層の質量に対して5〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。なお、第2の封止層にも蛍光体を含有させることができる。
このような、発光素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体発光装置としては、白色発光ダイオード(例えば、紫外または青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色光を出射する発光ダイオード)を例示することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例について、各種測定及び評価は下記のようにして行った。
(金属酸化物粒子の平均一次粒子径)
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、X線回折ピークの半値幅から計算によって得られるシェラー径とした。これは、一次粒子径がナノメートルサイズであれば、1粒子が複数個の結晶子で構成される可能性が低くなることで、平均一次粒子径とシェラー径とが実質的に同一となるからである。
(シリコーン樹脂複合体の透過率)
シリコーン樹脂複合体の透過率は、ガラス基材上に形成した実施例の複合体(0.5mm厚)を用い、分光光度計(積分球)を用いて測定した。シリコーン樹脂単体(比較例1)に対する波長450nmにおける透過率低減量が10%未満を「○」とし、10%以上を「×」とした。
(シリコーン樹脂複合体の耐熱性)
シリコーン樹脂複合体の耐熱性は、上記0.5mm厚の複合体(硬化体)に対し、電気炉にて150℃で500時間負荷を施した後、分光光度計(積分球)を用いて透過率を測定することにより評価した。熱負荷後の波長450nmにおける透過率が、初期値(熱負荷前)に比べて30%以上低下したものを「×」とし、低下量が30%未満であれば「○」とした。
(シリコーン樹脂複合体のガス透過性)
シリコーン樹脂複合体のガス透過性は、下記のようにして評価した。
まず、銀メッキ反射板を有するLEDパッケージにシリコーン樹脂組成物を封止し、シリコーン樹脂組成物を150℃で3時間加熱処理して硬化させ、実施例の複合体を得た。該パッケージを500mlの耐圧ガラス容器に0.3gの硫黄粉末とともに密封し、80℃に保持した。銀メッキ反射板の経時外観変化(硫黄ガスによる銀メッキの腐食(黒化変色))を目視で観察し、金属酸化物粒子を含有していないシリコーン樹脂(比較例1)より変色が遅く、同等の黒化を呈するのに要した時間が1.5倍以上のものをガス透過性が低いとして「○」とし、シリコーン樹脂よりは変色が遅いものの同等の黒化を呈する時間が1.5倍未満のものは「△」、シリコーン樹脂と同等に変色したものやより速く変色したものを「×」とした。
(シリコーン樹脂複合体からなる封止層の厚さ)
シリコーン樹脂複合体からなる封止層の厚さは、上記パッケージの断面をSEMで観察して測定した。
[実施例1]
(ジルコニア粒子の作製)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢で粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、平均一次粒子径4nmのジルコニア粒子を得た。
(ジルコニア粒子への表面修飾:表面修飾ジルコニア粒子の作製)
次いで、ジルコニア粒子10gに、トルエン82g、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン(信越化学工業社製、KR217)5gを加えて、混合し、ビーズミルで6時間、表面修飾処理を行った後、ビーズを除去した。次いで、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM1003)を3g添加し、130℃にて6時間環流下で表面修飾及び分散処理を行うことにより、フェニル基を有する表面修飾材料及びアルケニル基であるビニル基を有する表面修飾材料により表面修飾されたジルコニア粒子の透明分散液を調製した。
(シリコーン樹脂組成物の作製)
上記ジルコニア粒子の透明分散液50gを、フェニルシリコーン樹脂として商品名:OE−6520(東レ・ダウコーニング社製、屈折率1.54、A液/B液配合比=1/1)7.6g(A液3.8g、B液3.8g)を加え、撹拌した後、減圧乾燥によりトルエンを除去し、表面修飾ジルコニア粒子とフェニルシリコーン樹脂と反応触媒とを含有したシリコーン樹脂組成物(ジルコニア粒子含有量:30質量%)を得た。
なお、OE−6520については、NMR分析によりSi−H結合の存在を確認しており、シリコーン樹脂形成成分中にハイドロジェン基が含まれていることがわかっている。従って、OE−6520はジルコニア粒子を表面修飾しているビニルトリメトキシシランのビニル基(アルケニル基)と架橋反応することで一体化することができる。
また、OE−6520については、NMR分析によりアルケニル基であるC=C二重結合(ビニル基)が存在すること、また発光分析により白金が存在することを確認している。すなわち、OE−6520は付加反応(ヒドロシリル化反応)により重合硬化する、付加硬化型のシリコーン樹脂である。したがってOE−6520は、白金を触媒として、ジルコニア粒子表面修飾材料中のビニル基とOE−6520中のハイドロジェン基とが架橋反応により結合するとともに、OE−6520中のビニル基とハイドロジェン基とが付加反応することにより、ジルコニア粒子の分散状態を維持した状態でシリコーン樹脂形成成分が重合硬化すると判断できる。
(シリコーン樹脂複合体の作製)
上記シリコーン樹脂組成物を150℃で3時間加熱処理して硬化することで、シリコーン樹脂複合体を得た。
このシリコーン樹脂複合体を用いて既述の各種評価を行った。なお、ガス透過性の評価では、封止層の厚みを500μmとした。
[実施例2]
(ジルコニア粒子の作製)
実施例1と同様にしてジルコニア粒子を作製した。
(フェニル基とアルケニル基とを両方含有する表面修飾材料の作製)
表面修飾材料A:(CH=CH)(CHSiO(SiO(C45Si(OCの調製
窒素雰囲気下で60mlのテトラヒドロフラン(THF)溶媒中にジメチルビニルシラノール1.8gを溶解し、撹拌しながら温度0℃で、n−ヘキサンに溶解したn−ブチルリチウムを1.2g滴下して3時間反応させ、リチウムジメチルビニルシラノレートを得た(式(A)参照)。
次いで、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン160.5gをTHF溶媒に溶解した溶液を滴下し、温度0℃で12時間反応させ、リチウムフェニルビニルオルガノシラノレートを得た(式(B)参照)。
次いで、クロロトリエトキシシラン3.6gを加え、温度0℃で12時間反応させた(式(C)参照)。
次いで、n−ヘキサンを混合し、塩化リチウムの沈殿を生成させた後、塩化リチウムをろ過除去し、フェニル基とアルケニル基との両方を含有する表面修飾材料Aを得た。
得られた表面修飾材料は、1H−NMRによって構造を確認した。
ここで、フェニル基とアルケニル基との両方を含有する表面修飾材料の合成フローの概要を以下に示す。
(ジルコニア粒子への表面修飾:表面修飾ジルコニア粒子の作製)
次いで、ジルコニア粒子10gに、トルエン80g、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン(信越工業化学社製、KR217)5gを加えて、混合し、ビーズミルで6時間、表面修飾処理を行った後、ビーズを除去した。次いで、上記表面修飾材料Aを3g添加し、130℃にて6時間環流下で表面修飾及び分散処理を行うことにより、フェニル基を有する表面修飾材料及びフェニル基とアルケニル基(ビニル基)をともに有する表面修飾材料により表面修飾されたジルコニア粒子の透明分散液を調製した。
(シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体の作製)
上記メトキシ基含有フェニルシリコーンレジンと、表面修飾材料Aにより表面修飾されたジルコニア粒子の透明分散液とを使用した以外は実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[実施例3]
封止層の厚さを30μmとした以外は実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[実施例4]
(チタニア粒子の作製)
四塩化チタン242.1gと、塩化スズ(IV)5水和物111.9gとを、5℃の純水1.5L(リットル)に投入し、撹拌して混合溶液を作製した。
次いで、この混合溶液を加温して温度を25℃に調整し、この混合溶液に濃度が10質量%の炭酸アンモニウム水溶液を加えてpHを1.5に調整し、その後、25℃にて24時間熟成した後、限外濾過法により過剰の塩化物イオンを取り除いた。
次いで、エバポレータを用いて、塩化物イオン除去後の混合溶液から水分を除去し、その後乾燥させ、酸化チタン粒子を作製した。得られた酸化チタン粒子の平均一次粒子径は4nmであった。
当該チタニア粒子を用いた以外は実施例1と同様にして表面修飾し、チタニア透明分散液を作製し、次いでシリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[実施例5]
(シリカ粒子の作製)
メタノール80gに濃度24%アンモニア水20g、10N−NaOH0.8g、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名:エマルゲン707、花王社製)4gを混合した。そこへ、メタノールにて希釈したテトラエチルシリケート(商品名:エチルシリケート28、コルコート社製)を4g滴下した。その混合液を20℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、デカンテーションにより沈降物を分離し、メタノールへ再分散してデカンテーションする作業を繰り返し、残留イオンを除去した。
得られたウェット状のシリカ粒子を減圧乾燥にてメタノールを乾燥させ、生成したシリカ粒子を得た。得られたシリカ粒子の平均一次粒子径は4nmであった。
当該シリカ粒子を用いた以外は実施例1と同様にして表面修飾し、シリカ透明分散液を作製し、次いでシリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[比較例1]
実施例1で用いたシリコーン樹脂(但し、金属酸化物粒子無添加)について、実施例1と同様な各種評価を行った。なお、シリコーン樹脂複合体の透過率、シリコーン樹脂複合体の耐熱性、シリコーン樹脂複合体のガス透過性、の3点については、金属酸化物粒子を含まない本比較例1の値を基準値とした。
[比較例2]
ジルコニア粒子の作製における電気炉焼成温度を500℃から450℃にした以外は実施例1と同様にして平均一次粒子径が2nmのジルコニア粒子を作製した。当該ジルコニア粒子を用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[比較例3]
ジルコニア粒子の作製における電気炉焼成温度を500℃から600℃にした以外は実施例1と同様にして一次粒子径が15nmのジルコニア粒子を作製した。当該ジルコニア粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
[比較例4]
実施例1で使用した表面修飾材料を、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びイソプロピルトリメトキシシランそれぞれ6g及び2gに変更した以外は実施例1と同様にして表面修飾ジルコニア粒子を作製し、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
以上の各実施例、比較例におけるシリコーン樹脂複合体の詳細及び評価結果をまとめて第1表、第2表に示す。
実施例1〜5におけるシリコーン樹脂複合体の透過率は、基準となるシリコーン樹脂単体(比較例1)の値と同等であり、大幅な低下は見られなかった。また、シリコーン樹脂複合体の耐熱性についても、熱負荷後の透過率は初期値に比べて30%以上の低下は見られず、問題なかった。
実施例1、2、4、5のシリコーン樹脂複合体のガス透過性については、基準となるシリコーン樹脂単体(比較例1)に比べて同等の黒化を呈するのに要した時間が1.5倍以上であり、ガス透過性の低下、すなわちガスバリア性の明確な向上が確認された。また、実施例3においてもガス透過性の低下が確認されたが、その程度は他の実施例に比べて低かった。これは、封止層厚さが30μmと薄いためと考えられる。
一方、比較例2についてはガス透過性が高く、十分なガスバリア性が得られなかった。これは、金属酸化物の粒子径が小さくシリコーン樹脂組成物の粘度が高いために作業性が悪く、封止自体を十分に行えなかったためと考えられる。
また、比較例3については光の透過率が低下していた。これは、金属酸化物の粒子径が大きいために光の散乱が生じているためと考えられる。
また、比較例4については光の透過率、耐熱性とも低下していた。これは、表面修飾材料に起因するものと考えられる。すなわち、光の透過率低下は、本例の表面修飾材料がアルケニル基を含まないためにマトリックスシリコーン樹脂形成成分との結合性がなく、さらにフェニル基を含まないためにマトリックスシリコーン樹脂形成成分との親和性が低いために、シリコーン樹脂複合体形成時(シリコーン樹脂組成物の硬化時)に金属酸化物粒子が凝集をおこしたためと考えられ、また耐熱性の低下は、本例の表面修飾材料がフェニル基等を有さず耐熱性が低いためと考えられる。
本発明は、半導体発光素子(LED等)の封止材はもちろんのこと、これ以外の様々な工業分野において、材料や部材等として利用することができる。
10、20:発光装置
12:反射カップ
12A:凹部
14:発光素子
16:第1の封止層
18:第2の封止層

Claims (7)

  1. 平均一次粒子径が3nm以上10nm以下である金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基及びアルケニル基を有する表面修飾材料によって表面修飾を行った表面修飾金属酸化物粒子材料。
  2. 請求項1に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料を含む分散液。
  3. 請求項1に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分とを含み、該シリコーン樹脂形成成分がハイドロジェン基を有し、前記金属酸化物粒子が5質量%以上含有されてなるシリコーン樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させてなるシリコーン樹脂複合体。
  5. 半導体発光素子が封止材により封止されてなる光半導体発光装置であって、
    前記封止材が請求項4に記載のシリコーン樹脂複合体からなり、当該封止材からなる封止層の厚さが50μm以上である光半導体発光装置。
  6. 請求項5に記載の光半導体発光装置を備えてなる照明器具。
  7. 請求項5に記載の光半導体発光装置を備えてなる液晶画像装置。
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