JP2010209186A - 光学材料と無機微粒子分散液及び光学材料の製造方法並びに発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の光学材料は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であり、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の有機ケイ素化合物からなる表面処理材にて修飾されている。
【選択図】なし
Description
このように、従来の樹脂材料では透明性と高屈折率を両立させることができず、これらを両立させることができる樹脂材料が求められていた。
そこで、微粒子の大きさを光散乱のない程度に小さくした平均粒子径が50nm以下の酸化チタン微粒子を、光硬化性樹脂に混入した光学材料が提案されている(特許文献1参照)。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の光学材料は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であって、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されている。
ここで、分散粒子径を50nm以下としたのは、レイリー散乱が生じるのは分散粒子径が20nm〜200nmの範囲であり、特に分散粒子径が50nmを越えると、レイリー散乱による透過光の損失が無視できなくなるため、分散粒子径を50nm以下とすることで、レイリー散乱による透過光の損失を最小限に抑えることができるからである。
このように、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の範囲であれば、表面処理材の量を無機微粒子に対して1質量%から20質量%の間に制御することで、表面処理材の使用量を抑えつつ、樹脂に対して良好な親和性を得ることが可能となる。
このような無機微粒子としては、Zr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb、Znの群から選択される1種または2種以上を含有してなる金属酸化物が好ましく、屈折率と経済効果を併せて考慮すると、酸化チタンや酸化ジルコニウムが特に好ましい。
この表面処理材としては、有機ケイ素化合物であることが好ましく、この有機ケイ素化合物としては、シリコン系カップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
これらのシリコン系カップリング剤やシリコーンオイルは、1種のみを用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
一方、表面処理剤を20質量%を越えて使用した場合、表面処理剤が無機微粒子の表面を十分に覆うことができるので、無機微粒子の樹脂に対する分散性には問題が無いが、無機微粒子に比べて屈折率が低い表面処理材の相対量が増加することにより、高屈折率の無機微粒子を添加する効果を相殺してしまうので、好ましくない。
このような硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。特に、シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れ、さらに無機微粒子の表面処理剤との親和性も高いので好ましい。
また、後述するように、本実施形態の光学材料を発光素子の封止用材料として用いることが有用である。
また、本実施形態の光学材料の形状は、バルク状、フィルム状、シート状等、用途に応じて適宜選択可能である。
このように、無機微粒子と樹脂との比率は、光学材料の屈折率を1.6以上とする比率であればよく、概ね、光学材料中に含まれる無機微粒子の含有率は40質量%程度以上とすることが好ましい。
本実施形態の無機微粒子分散液は、無機微粒子を分散媒中に分散してなる無機微粒子分散液であって、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されている。
このように、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の範囲であれば、表面処理材の量を無機微粒子に対して1質量%から20質量%の間に制御することで、表面処理材の使用量を抑えつつ、樹脂に対して良好な親和性を得ることが可能となる。
これは、この分散液、及びこの分散液を用いて得られる本実施形態の光学材料を高屈折率化させるために必要であり、このような無機微粒子としては、Zr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb、Znの群から選択される1種または2種以上を含有してなる金属酸化物が好ましく、屈折率と経済効果を併せて考慮すると、酸化チタンや酸化ジルコニウムが特に好ましい。
このような未硬化の樹脂に対して相溶性が高い分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられ、これらの溶媒のうち1種のみ、または2種以上を混合して用いることができる。
無機微粒子の含有率が1質量%未満では、分散液としてもほとんど屈折率の上昇効果が認められず、また、この分散液を樹脂中へ分散させて本実施形態の光学材料を得ようとする場合においても添加量が多くなり、ハンドリング性が悪化する等の不具合が生じるからである。
また、含有率が80質量%を超えると、分散液の分散安定性が悪化し、無機微粒子の凝集が生じ易くなり、分散粒子径が50nmを超えてしまうという不具合が生じる虞があるので、好ましくない。
この有機ケイ素化合物としては、シリコン系カップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
これらのシリコン系カップリング剤やシリコーンオイルは、1種のみを用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
本実施形態の光学材料の製造方法は、上述した無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化する方法である。
以下、この光学材料の製造方法について詳細に説明する。
この無機微粒子分散液と未硬化の樹脂との混合比は、使用する無機微粒子と樹脂の屈折率に因るので一概には言えないが、光学材料の屈折率を1.6以上とするためには、概ね、光学材料中の無機微粒子の含有率を40重量%程度以上とすることが好ましい。
硬化の方法は、使用する樹脂に合わせればよく、熱硬化性樹脂であれば、加熱炉等を用いて、所定の温度にて所定時間、加熱すればよい。また、光(電磁波)硬化性樹脂であれば、可視光線や紫外線や赤外線等を所定の強度にて所定時間、照射すればよい。また、電子線硬化性樹脂であれば、電子線を所定の強度にて所定時間、照射すればよい。また、熱可塑性樹脂であれば、予め加熱軟化させた樹脂と上述した無機微粒子分散液を混合し、この分散液中の分散媒を除去後、冷却・硬化させればよい。
なお、いずれの場合においても、急激な硬化は透明性の低下を招くので好ましくない。
本実施形態の発光素子は、上述した光学材料を、少なくとも光透過領域の封止材(封止用材料)として用いたものである。
図1は、本発明の一実施形態の発光ダイオード(LED:発光素子)を示す断面図である。
図において、1はIII−V族化合物半導体からなるLEDチップ、2はLEDチップ1が搭載されるリードフレーム、3はリードフレーム2から外部へ引き出される外部端子、4はLEDチップ1およびリードフレーム2を封止する保護機能およびレンズ機能を兼ねた封止材、5はLEDチップ1およびリードフレーム2を収納するメタルケース、6は外部端子3を絶縁するための絶縁体、7はメタルケース5に形成された開口部である。
LEDチップ1は、サファイア等の結晶基板上にIII−V族化合物半導体、例えば、GaN、GaAlN、InGaN、InAlGaN等の窒化ガリウム系化合物半導体を積層したチップである。
封止材4は、上述した光学材料であり、ここでは、光透過領域8を含むLEDチップ1の前面及び側面を覆うように形成されている。
蛍光体粒子の種類としては、特に制限するものではないが、例えば、白色LED用としては、下記に挙げるような蛍光体が好適に用いられる。
例えば、黄色蛍光体としては、(Y,Gd)3Al5O12;Ce、Tb3Al5O12;Ce、CaGa2S;Eu、Sr2SiO4;Eu等が挙げられる。
緑色蛍光体としては、Y3(Al,Ga)5O12;Ce、SrGa2S4;Eu、Ca3Sc2Si3O12;Ce、Sr−SiON;Eu、ZnS;Cu,Al、BaMgAl10O17;Eu,Mn、SrAl12O4;Eu等が挙げられる。
青色蛍光体としては、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2;Eu、(Ba,Sr)MgAl10O17;Eu、(Sr,Ba)3MgSi2O8;Eu等が挙げられる。
さらに、この封止材4は、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下の範囲に厳密に制御したので、無機微粒子の分散に起因する反射光を十分に抑制することができる。したがって、光透過領域8を含むLEDチップ1の前面及び側面を覆うように形成することにより、発光素子の光取り出し効率をより改善することができ、その結果、発光輝度を著しく向上させることができる。
「実施例1」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化ジルコニウム前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンの酸化ジルコニウム換算値に対して30質量%であった。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、600℃にて2時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム微粒子(Z1)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD1)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。測定結果を図2に示す。
図2から明らかなように、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は25nm以上かつ45nm以下の範囲内であった。
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−503(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行った。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD2)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD2)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.9g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を0.1g加えて混合し、その後分散処理を行った。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD3)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD3)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
4塩化チタン1540gに純水40L(リットル)をゆっくりと加えてチタン塩溶液を調製し、更に28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化チタン前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、チタン塩溶液中のチタンイオンの酸化チタン換算値に対して30質量%であった。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、600℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化チタン微粒子(T1)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD1)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−303(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の酸化チタン分散液(TD2)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD2)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.9g、表面処理材としてメチルハイドロジェンシリコーンオイルKF−99(信越化学(株)社製)を0.1g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化チタン分散液(TD3)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD3)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを85g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD4)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD4)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は25nm以上かつ45nm以下の範囲内であった。
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化ジルコニウム前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンの酸化ジルコニウム換算値に対して30質量%であった。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム微粒子(Z2)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD5)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は3nm以上かつ10nm以下の範囲内であった。
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.92g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を0.08g加えて混合し、その後分散処理を行い、酸化ジルコニウム分散液(ZD6)を作製した。ここでは、分散粒子径を調整するためのフィルタ処理は行わなかった。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD6)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は30nm以上かつ100nm以下の範囲内であった。
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.92g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−303(信越化学(株)社製)を0.08g加えて混合し、その後分散処理を行い、酸化チタン分散液(TD4)を作製した。ここでは、分散粒子径を調整するためのフィルタ処理は行わなかった。
得られた酸化チタン分散液(TD4)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は30nm以上かつ100nm以下の範囲内であった。
実施例1〜6及び比較例1〜4各々の無機微粒子分散液の可視光線透過率を、分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。
ここでは、無機微粒子分散液中の無機微粒子の含有率をMEKを用いて5質量%に調製した試料を石英セル(10mm×10mm幅)に入れ、この試料の光路長を10mmとしたときの可視光線透過率を測定し、可視光線透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
「実施例7」
実施例1の酸化ジルコニウム分散液(ZD1)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例7の樹脂組成物(ZP1)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP1)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例7のLED(ZL1)を作製した。
実施例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD2)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例8の樹脂組成物(ZP2)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP2)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例8のLED(ZL2)を作製した。
実施例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD2)35gに、樹脂成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3.3g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.6g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート1.3g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3gを加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例9の樹脂組成物(ZP3)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP3)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、120℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例9のLED(ZL3)を作製した。
実施例3の酸化ジルコニウム分散液(ZD3)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例10の樹脂組成物(ZP4)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP4)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例10のLED(ZL4)を作製した。
実施例4の酸化チタン分散液(TD1)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例11の樹脂組成物(TP1)を作製した。
また、この樹脂組成物(TP1)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例11のLED(TL1)を作製した。
実施例5の酸化チタン分散液(TD2)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例12の樹脂組成物(TP2)を作製した。
また、この樹脂組成物(TP2)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例12のLED(TL2)を作製した。
実施例5の酸化チタン分散液(TD2)35gに、樹脂成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3.3g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.6g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート1.3g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3gを加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例13の樹脂組成物(TP3)を作製した。
また、この樹脂組成物(TP3)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、120℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例13のLED(TL3)を作製した。
実施例6の酸化チタン分散液(TD3)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100重量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例14の樹脂組成物(TP4)を作製した。
また、この樹脂組成物(TP4)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例14のLED(TL4)を作製した。
比較例1の酸化ジルコニウム分散液(ZD4)23gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)7.7gを加え、さらに塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例5の樹脂組成物(ZP5)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP5)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例5のLED(ZL5)を作製した。
比較例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD5)23gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を5.4gおよび硬化剤としてエピキュア3080を2.3g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例6の樹脂組成物(ZP6)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP6)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例6のLED(ZL6)を作製した。
比較例3の酸化ジルコニウム分散液(ZD6)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例7の樹脂組成物(ZP7)を作製した。
また、この樹脂組成物(ZP7)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例7のLED(ZL7)を作製した。
比較例4の酸化チタン分散液(TD4)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例8の樹脂組成物(TP5)を作製した。
また、この樹脂組成物(TP5)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例8のLED(TL5)を作製した。
実施例7〜14及び比較例5〜8各々の光学材料について、下記の装置または方法により可視光線透過率および屈折率の評価を行った。
分光光度計(日本分光社製)を用いて可視光線の透過率を測定した。
試料は100mm×100mm×1mmの大きさのバルク体とし、その厚み方向の可視光線透過率を測定し、可視光線透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
(2)屈折率
日本工業規格JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計により測定した。
ここでは、無機微粒子を添加していない樹脂単体を基準として、屈折率が0.05以上向上した場合を「○」、屈折率が0.05未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
実施例7〜14及び比較例5〜8各々のLEDについて、室温にて順方向に電流を20mA通電した際の光出力を測定した。
ここでは、無機微粒子を含有しない樹脂のみで封止したLEDの光出力を基準とし、光出力が10%以上向上した場合を「○」、10%未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
また、実施例7〜14及び比較例5〜8各々の光学材料及びLEDの製造条件及び評価結果を表2に示す。
比較例3、4の分散液では、表面修飾材の量が不足しているために、無機微粒子が凝集して、その分散粒子径が30nm〜100nmと大きくなっており、その結果、この無機微粒子による光の散乱が発生し、可視光線透過性が低下していた。
また、比較例5、6のLEDでは、封止用に用いた光学材料の屈折率が低く、したがって光透過領域の屈折率を十分高くすることができず、光出力は5%未満しか向上しなかった。
また、比較例7、8のLEDでは、封止用に用いた光学材料における光散乱のために、光透過領域での散乱光が多く、光出力の向上はほとんど認められなかった。
1a 発光領域
2 リードフレーム
3 外部端子
4 封止材
5 メタルケース
6 絶縁体
7 開口部
8 光透過領域
Claims (6)
- 無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であって、
前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、
前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする光学材料。 - 前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1記載の光学材料。
- 無機微粒子を分散媒中に分散してなる無機微粒子分散液であって、
前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、
前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする無機微粒子分散液。 - 前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項3記載の無機微粒子分散液。
- 請求項3または4記載の無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化することを特徴とする光学材料の製造方法。
- 請求項1または2記載の光学材料を光透過領域に用いたことを特徴とする発光素子。
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