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JP2017138136A - 寿命判定装置及び寿命判定方法 - Google Patents

寿命判定装置及び寿命判定方法 Download PDF

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JP2017138136A JP2016017673A JP2016017673A JP2017138136A JP 2017138136 A JP2017138136 A JP 2017138136A JP 2016017673 A JP2016017673 A JP 2016017673A JP 2016017673 A JP2016017673 A JP 2016017673A JP 2017138136 A JP2017138136 A JP 2017138136A
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拓也 永島
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Abstract

【課題】演算負荷を抑制して寿命判定を行うことができる寿命判定装置を提供する。【解決手段】寿命判定装置1は、所定時間毎に、ストレス因子についての計測値を取得する計測値取得部2と、第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、所定時間毎に取得する加速係数取得部3と、第1の加速係数の累積値及び所定時間の乗算値と、第2の寿命とを比較することにより寿命判定対象の装置の寿命の到来を判定する寿命判定部5とを有する。加速係数取得部3は、第1の加速係数の取得に際し、第2の加速係数を、所定値毎に格納したルックアップテーブル4を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は寿命判定装置及び寿命判定方法に関し、例えば寿命判定対象の装置のストレス因子についての計測値を用いて寿命を判定する寿命判定装置及び寿命判定方法に関する。
近年、例えば自動車内にあるデバイスなどに対し、故障が発生しやすい状況になったことを検知して、故障を未然に防ぐことが求められている。故障が発生しやすい状況になったことを検知する方法として、バスタブ曲線における摩耗故障期の劣化状態を監視する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、回転電機を駆動源とする車両の制御装置において、温度センサを用いて、所定の温度を基準としたコイルの熱履歴を積算し、アレニウスの式により寿命を求め、寿命が近づくとコイルにかかる負荷を減らすことについて開示している。また、特許文献2では、温度、電圧及び湿度をモニタし、それらを基にアイリングモデルにより寿命を判定することについて開示している。
特開2009−095143号公報 特開2013−092405号公報
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に示される寿命判定においては、寿命算出に際し、温度等のデータを用いて指数関数演算することが必要となる。このため、演算負荷が大きいという問題があった。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、寿命判定装置は、第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、ルックアップテーブルを用いて、所定時間毎に取得する加速係数取得部と、第1の加速係数の累積値及び所定時間の乗算値と、第2の寿命とを比較することにより寿命判定対象の装置の寿命の到来を判定する寿命判定部とを有するものである。
前記一実施の形態によれば、演算負荷を抑制して寿命判定を行うことができる。
実施の形態にかかる寿命判定装置の概要構成例を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる寿命判定装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる演算部の構成について示すブロック図である。 実施の形態1にかかるルックアップテーブルの構成を示す表である。 温度値域を等間隔で区分した場合の分割例について示すグラフである。 加速係数が等間隔となるように、温度値域を区分した場合の分割例について示すグラフである。 実施の形態1にかかる寿命判定装置の動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかるルックアップテーブルの構成を示した表である。 実施の形態3にかかる演算部の構成について示すブロック図である。 実施の形態3にかかる寿命判定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。また、音波又は超音波が通信に用いられてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
<実施の形態の概要>
実施の形態の詳細を説明する前に、まず、概要について説明する。図1は、実施の形態1に係る寿命判定装置1の概要構成例を示すブロック図である。寿命判定装置1は、寿命判定対象の装置の寿命の到来を判定する装置である。具体的には、寿命判定装置1は、図1に示されるように、計測値取得部2と、加速係数取得部3と、ルックアップテーブル4と、寿命判定部5とを有している。
計測値取得部2は、所定時間毎に、寿命判定対象の装置(以下、被判定装置という。)のストレス因子についての計測値を取得する。具体的には、計測値取得部2は、例えば、被判定装置についての温度及び電圧の計測値を取得する。なお、計測値取得部2は、ストレス因子についての計測値として、他のストレス因子の計測値を取得してもよい。例えば、計測値取得部2は、被判定装置についての湿度の計測値を取得してもよいし、被判定装置についての電流の計測値を取得してもよい。また、計測値取得部2は、複数種類のストレス因子のそれぞれの計測値を取得してもよいし、1種類のみのストレス因子の計測値を取得してもよい。温度及び電圧に加え、湿度又は電流についての計測値を、後述するアイリングモデルに適用することにより、より正確に被判定装置9の寿命を判定することができる。
加速係数取得部3は、第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、上記所定時間毎に取得する。ここで、第1の寿命は、ストレス因子についての値が計測値取得部2により取得された計測値のまま継続した場合の被判定装置の寿命である。また、第2の寿命は、ストレス因子についての値が所定の基準値のまま継続した場合の被判定装置の寿命である。加速係数取得部3は、第1の加速係数の取得に際し、ルックアップテーブル4を用いる。
ルックアップテーブル4は、第2の加速係数を格納したテーブルである。ここで、第2の加速係数は、被判定装置の前記ストレス因子についての値が所定値のまま継続した場合の被判定装置の寿命に対する上記第2の寿命である。ルックアップテーブル4は、第2の加速係数を、この所定値毎に格納している。加速係数取得部3は、計測値に対応する所定値についての、ルックアップテーブル4に格納された第2の加速係数を、上記第1の加速係数として取得する。
寿命判定部5は、加速係数取得部3により取得された第1の加速係数の累積値及び上述の所定時間の乗算値と、第2の寿命とを比較することにより被判定装置の寿命の到来を判定する。
寿命判定装置1によれば、加速係数取得部3はルックアップテーブル4から加速係数を取得する。このため、寿命判定装置1は、指数関数演算を逐次実行する必要がない。よって、寿命判定装置1によれば、演算負荷を抑制して寿命判定を行うことができる。
<実施の形態1>
以下、実施の形態1の詳細について説明する。図2は、実施の形態1にかかる寿命判定装置10の構成を示すブロック図である。寿命判定装置10は、被判定装置9についての温度及び電圧の計測値に基づいて、被判定装置9の寿命を判定する装置である。寿命判定装置10は、図2に示されるように、温度センサ11と、電圧センサ12と、タイマ13と、演算部14と、ルックアップテーブル記憶部15と、稼働情報記憶部16と、出力部17とを有する。
温度センサ11は、被判定装置9についての温度を計測するセンサであり、計測値を演算部14に出力する。例えば、温度センサ11は、サーミスタ等により構成されており、被判定装置9における所定の回路周辺の温度を計測し、計測値を演算部14に出力する。電圧センサ12は、被判定装置9についての電圧を計測するセンサであり、計測値を演算部14に出力する。例えば、電圧センサ12は、所定の回路の電圧(電源電圧など)を検出する。タイマ13は、時刻をカウントし、演算部14に出力する。
演算部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等で構成され、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することにより、後述する各種構成が実現される。演算部14は、ルックアップテーブル記憶部15に記憶されたルックアップテーブル4を用いて、被判定装置9の寿命についての演算を実施する。
ルックアップテーブル記憶部15は、上述のルックアップテーブル4を格納した記憶装置である。稼働情報記憶部16は、所定の時間毎に得られる加速係数の履歴を格納する記憶装置である。この履歴は、演算部14から被判定装置9の稼働情報として出力される。ルックアップテーブル記憶部15及び稼働情報記憶部16は、例えば、不揮発性メモリにより構成されている。なお、図2に示した構成例では、ルックアップテーブル記憶部15及び稼働情報記憶部16は、演算部14と別に設けられているが、両者又は一方が、演算部14内のメモリとして実現されてもよい。
出力部17は、他の装置に情報を出力するための出力インタフェースである。出力部17は、例えば、ディスプレイ等の表示装置、又は通信ネットワーク等と接続されている。
次に、演算部14の構成について説明する。図3は、演算部14の構成について示すブロック図である。演算部14は、計測値取得部141と、加速係数取得部142と、寿命判定部143と、警告・停止部144とを備えている。
計測値取得部141は、上述の計測値取得部2に相当し、タイマ13が時間間隔tを計時する毎に、温度センサ11により計測された温度と電圧センサ12により計測された電圧とを取得する。なお、本実施の形態では、計測値取得部141は、温度及び電圧の計測値を取得するが、上述の通り、計測値取得部141は、他のストレス因子の計測値について取得してもよい。この場合、寿命判定装置10は、他のストレス因子についての値を計測するためのセンサをさらに有する。
加速係数取得部142は、上述の加速係数取得部3に相当し、第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、ルックアップテーブル記憶部15に記憶されたルックアップテーブル4を参照して、タイマ13が時間間隔tを計時する毎に取得する。
寿命判定部143は、上述の寿命判定部5に相当し、加速係数取得部142により時間t毎に取得される加速係数の累積値と時間tとの乗算値が、寿命についての所定の閾値を超えるか否かを判定することにより、被判定装置9の寿命の到来を判定する。
なお、この加速係数の累積値と時間tとの乗算値は、基準環境下で被判定装置9を使用した場合の被判定装置9の累積使用時間に相当する値である。すなわち、この乗算値は、実際の累積使用時間を基準環境下での累積使用時間に換算した値である。ここで、基準環境とは、計測値取得部141による取得対象の各ストレス因子の値がそれぞれ所定の基準値である環境をいう。寿命判定部143は、基準環境下での累積使用時間に換算された累積使用時間が、所定の閾値を超えた場合、警告・停止部144に閾値を超えたことを示す信号を送信する。
警告・停止部144は、ユーザへの警告、又は被判定装置9の動作を停止させる制御を行う。例えば、警告・停止部144は、出力部17を介して、図示しないディスプレイ等に警告表示を行うよう制御する。また、警告・停止部144は、出力部17を介して、被判定装置9に対し動作を停止することを指示する停止信号を送信する。なお、警告・停止部144は、警告及び停止の両方を行ってもよい。
以下、上記構成による、被判定装置9の寿命を判定する方法について詳細を説明する。
一般に、寿命予測に関して、アイリングモデルが知られている。アイリングモデルは、下記式(1)のように表される。
Figure 2017138136
なお、式(1)において、Kは反応速度、a及びnは定数、hはプランク定数、Sは温度以外のストレス因子、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Eは活性化エネルギー(定数)を示す。また、本実施の形態では、Tは、温度センサ11による計測値と対応している。
ここで、寿命Lは反応速度Kに反比例の関係にあるため、式(1)において逆数をとると、下記の式(2)が導出される。
Figure 2017138136
なお、式(2)において、Lは寿命、A及びbは定数である。ここで、本実施の形態において、温度以外のストレス因子である電圧Vは、寿命Lに対して反比例の関係を有する。したがって、上記式(2)は、定数Bを用いて、下記式(3)のように変形される。ここで、本実施の形態では、Vは、電圧センサ12による計測値と対応している。
Figure 2017138136
ここで、定数A、B及びEは、温度条件及び電圧条件を変えて、異なる複数の条件で加速試験を行うことで、その試験結果から特定できる。このようにして各定数の値が定まると、基準環境下で被判定装置9が使用された場合の被判定装置9の寿命を式(3)から算出することができる。つまり、基準環境における温度すなわち基準温度をTtyp、基準環境における電圧すなわち基準電圧をVtypとすると、基準環境下で被判定装置9が使用され続けた場合の被判定装置9の寿命L(Ttyp,Vtyp)が式(3)から算出される。上述の第2の寿命は、この寿命L(Ttyp,Vtyp)に相当する。
同様に、温度がT、電圧がVの環境下で被判定装置9が使用され続けた場合の被判定装置9の寿命L(T,V)も式(3)から算出される。上述の第1の寿命は、この寿命L(T,V)に相当する。なお、基準環境下におけるストレス因子の値、すなわち本実施の形態においては温度及び電圧の値は、任意の値が採用される。例えば、基準温度Ttypは、被判定装置9の製品としての保証温度の下限値から上限値までの任意の値が用いられる。なお、基準温度Ttypが、保証温度の下限値以下、又は上限値以上であってもよい。同様に、例えば、基準電圧Vtypは、被判定装置9の製品としての保証電圧の下限値から上限値までの任意の値が用いられる。なお、基準電圧Vtypが、保証電圧の下限値以下、又は上限値以上であってもよい。
ここで、温度がT、電圧がVの環境下で使用され続けた場合の被判定装置9の寿命L(T,V)に対する、基準環境下で使用され続けた場合の被判定装置9の寿命L(Ttyp,Vtyp)である、加速係数Lac(T,V)は、下記式(4)のように示される。上述の第1の加速係数は、この加速係数Lac(T,V)に相当する。
Figure 2017138136
加速係数取得部142は、式(4)に示される値を取得する。式(4)で示される演算は、指数関数演算(exp)が含まれるため、加速係数取得部142が時間t毎に演算を行うと演算負荷が多くかかってしまう。そこで、本実施の形態では、加速係数取得部142は、ルックアップテーブル4に格納された加速係数を取得する。
ここで、本実施の形態にかかるルックアップテーブル4の構成について説明する。ルックアップテーブル4は、被判定装置9のストレス因子についての値が所定値のまま継続した場合の被判定装置9の寿命に対する上記第2の寿命として表される、加速係数を格納する。なお、ルックアップテーブル4が格納する加速係数について第2の加速係数と呼ばれることがある。
ルックアップテーブル4は、第2の加速係数を、所定値毎に格納している。具体的には、ルックアップテーブル4は、被判定装置9のストレス因子についての第1の値から第2の値までの値域を分割した分割値域毎に、当該分割値域に属する各値に対する第2の加速係数として、当該分割値域に属する所定値についての第2の加速係数を一つ格納している。このため、ルックアップテーブル4のサイズを抑制することができる。なお、本実施の形態では、第1の値は、被判定装置9の製品としての保証温度の下限値又は保障電圧の下限値であり、第2の値は、被判定装置9の製品としての保証温度の上限値又は保障電圧の上限値である。このように保証値の上限及び下限と、ルックアップテーブル4におけるストレス因子の値とを対応させることにより、ルックアップテーブル4におけるサイズを抑制しつつ、被判定装置9の保証を行うことができる。しかしながら、第1の値及び第2の値として、保証値の上限又は下限以外の値が採用されてもよい。
ルックアップテーブル4は、分割値域毎の加速係数として、当該分割値域に属する値についての加速係数の値のうちの最大値を格納する。つまり、ある分割値域が、値pからqまでを対象とした値域であった場合、値pよりも大きくかつ値q以下である任意の値rに対し、ルックアップテーブル4は一つの加速係数値を対応付けているが、この対応付けられた加速係数の値は、当該分割値域の任意の値に対し加速係数を演算した場合の演算結果のうち最大の値である。このようにルックアップテーブル4は、分割値域毎に最大の加速係数を格納しているため、被判定装置9の使用時間を過小評価することを防ぐことができる。このため、より安全に寿命を判定することができる。
図4は、本実施の形態にかかるルックアップテーブル4の構成を示す表である。図4に示されるように、温度は、保証温度の下限値Tminから保証温度の上限値Tmaxが、n個の値域に分割されている。また、電圧は、保証電圧の下限値Vminから保証電圧の上限値Vmaxが、m個の値域に分割されている。加速係数取得部142は、計測値取得部141が取得した温度の計測値及び電圧の計測値が、ルックアップテーブル4における分割された値域のいずれに属するかを特定し、特定された値域に対応付けられて格納されている加速係数を取得する。
ストレス因子の値の値域の分割は、図5に示されるように単純に値域を等分に分割することも考えられえるが、加速係数は指数関数的に数値が変化するため、等間隔で区切ると、計測値を式(4)に代入することにより得られる加速係数の値とルックアップテーブル4から取得される加速係数の値との誤差が、ストレス因子の値の増加に伴い増大してしまう。なお、図5は、温度値と加速係数との関係を示しているが、電圧値と加速係数との関係も同様である。図5に示される温度値域の分割例では、温度が増大するにつれて、対応する加速係数の区間幅が増大している。つまり、図5に示される分割方法を採用した場合、ルックアップテーブル4に格納される加速係数の量子化誤差は、計測されたストレス因子の値が大きいほど、大きくなる。
そこで、本実施の形態では、図6に示されるように、加速係数が等間隔となるように、ストレス因子の値域が分割されている。すなわち、ストレス因子の値域は、隣り合う分割値域の加速係数の差が一定になるように分割されている。なお、図6は、本実施の形態にかかる温度値域の分割例について示しているが、電圧値域の分割も同様に行われている。このような分割を行うことにより、ストレス因子の計測値に依存しない精度で加速係数を取得することができるため、被判定装置9の寿命判定においてストレス因子の値に依存しない精度を担保できる。
このような分割は、以下の式を解くことにより可能となる。なお、以下では、式(5)及び式(6)に示されるように、式(4)の一部をα及びβとする。
Figure 2017138136
Figure 2017138136
ここで、温度値域をn個の区間に分割した場合、値の小さい方からx番目の区間は下記式(7)を満たすこととなる。したがって、式(7)をTについて解くことにより、ルックアップテーブル4におけるx番目の区分領域の温度の上限の境界値が算出される。
Figure 2017138136
同様に、電圧値域をm個の区間に分割した場合、値の小さい方からy番目の区間は下記式(8)を満たすこととなる。したがって、式(8)をVについて解くことにより、ルックアップテーブル4におけるy番目の区分領域の電圧の上限の境界値が算出される。
Figure 2017138136
ルックアップテーブル記憶部15は、このようにして設定されたルックアップテーブル4を記憶しており、加速係数取得部142は、タイマ13が時間tをカウントする度に、計測値取得部141により取得された計測値に対応する加速係数Lac(T,V)を、ルックアップテーブル4を参照して取得する。
寿命判定部143は、加速係数取得部142により時間t毎に取得される加速係数の累積値と時間tとの乗算値L’acが、寿命L(Ttyp,Vtyp)を超えたか否かを判定することにより、被判定装置9の寿命の到来を判定する。すなわち、寿命判定部143は、下記式(9)を満たすか否かを判定し、式(9)を満たした場合、被判定装置9の寿命が到来したと判定する。本実施の形態では、寿命判定部143は、時間tごとに、ルックアップテーブル4に格納された加速係数Lac(T,V)の値を、時刻0から現時刻までの間にカウントされた回数J(T,V)だけ加算した総和を算出する。したがって、乗算値L’acは、下記式(10)のように示される。
Figure 2017138136
Figure 2017138136
なお、加速係数取得部142は、ルックアップテーブル4が格納する各加速係数に対し、現時刻までに加速係数取得部142により取得された回数J(T,V)を稼働情報記憶部16に記憶する。よって、本実施の形態では、寿命判定部143は、稼働情報記憶部16に記憶されたカウント回数を用いて、被判定装置9の寿命が到来したか否かを判定する。なお、処理負荷軽減の観点からは、回数J(T,V)の記憶はせずに、L’acのみを稼働情報記憶部16に格納するとし、演算のたびに格納されているL’acにLac(T,V)×tを加算して、稼働情報記憶部16に格納されているL’acに上書きすることの方が好ましい。
次に、寿命判定装置10の動作について説明する。図7は、本実施の形態にかかる寿命判定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図7に沿って、寿命判定装置10の動作例を説明する。
ステップ10(S10)において、タイマ13により時間tがカウントされたか否かが判定される。タイマ13が時間tをカウントした場合、処理は、ステップ11に移行する。タイマ13が時間tをカウントするまで、ステップ10が繰り返される。
ステップ11(S11)において、計測値取得部141は、温度センサ11から温度の計測値を取得し、電圧センサ12から電圧の計測値を取得する。
ステップ12(S12)において、加速係数取得部142は、ステップ11で取得された計測値に対応する加速係数を、ルックアップテーブル4を参照して取得する。そして、寿命判定部143は、被判定装置9の基準環境下における累積使用時間を算出する。具体的には、寿命判定部143は、上記式(10)により、被判定装置9の基準環境下における累積使用時間を算出する。
ステップ13(S13)において、寿命判定部143は、ステップ12で算出した基準環境下における累積使用時間が所定値を超えているか否かを判定する。すなわち、寿命判定部143は、上記式(9)に示される判定を行う。基準環境下における累積使用時間が所定値を超えている場合、処理はステップ14へ移行する。基準環境下における累積使用時間が所定値を超えていない場合、処理はステップ10へ戻る。
ステップ14(S14)において、警告・停止部144は、ユーザへの警告、又は被判定装置9の動作を停止させる制御を行う。
以上、本実施の形態にかかる寿命判定装置10について説明した。本実施の形態にかかる寿命判定装置10によれば、加速係数取得部142は、ルックアップテーブル4から加速係数を取得するだけであり、時間tごとに式(4)に示されるような演算を行う必要がない。このため、演算負荷が抑制される。
なお、上記の実施形態では、警告・停止部144は、寿命判定部143が被判定装置9の寿命が到来したと判定した場合、被判定装置9を停止している。しかしながら、突然の動作の停止は予期せぬ事態を招く恐れがあること、また、故障を未然に防ぐという観点などを考慮すると、警告・停止部144は、寿命が到来する任意の時間の前に、寿命の到来が近いことを警告して、部品等の交換を促すようにしてもよい。このため、警告・停止部144は、基準環境下における累積使用時間となるように換算された乗算値L’acが、寿命L(Ttyp,Vtyp)から所定の値だけ減じた閾値を超えた場合に、寿命の到来が近いことを警告してもよい。また、警告・停止部144は、動作の停止をしても安全であることの確認が取れるのを待って、動作を停止させるよう制御してもよい。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。温度センサ11、電圧センサ12などのセンサによる計測値は、完全に正確な値ではなく、少なからず実際の数値に対する誤差を含んでいる。したがって、実施の形態1に示した方法の場合、ストレス因子の値が実際の値より低く計測された場合、累積使用時間が過小評価されてしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態では、予め、各センサの精度保証分の値を組み込んだ加速係数値をルックアップテーブル4に設定する。実施の形態1にかかるルックアップテーブル4は、分割値域毎の加速係数として、当該分割値域に属する値についての加速係数の値のうちの最大値を格納したが、本実施の形態にかかるルックアップテーブル4は、分割値域毎の加速係数として、当該分割値域に属する値についての加速係数の値のうちの最大値よりも、計測誤差に相当する値だけ大きい値を格納する。つまり、実施の形態1にかかるルックアップテーブル4に比べて、本実施の形態にかかるルックアップテーブル4では格納される加速係数の値を増加させることで、センサの誤差による累積使用時間の過小評価を防ぐ。
温度センサ11による計測値の計測誤差が±TΔ、電圧センサ12による計測値の計測誤差が±VΔである場合、本実施の形態にかかるルックアップテーブル4は、図8のように示される。
このように、センサの誤差を考慮してルックアップテーブルを設定することにより、累積使用時間の過小評価を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、ルックアップテーブル4に格納される値を変更することにより、センサの誤差を考慮しているが、ルックアップテーブル4に格納する加速係数値は実施の形態1にかかるルックアップテーブル4と同様のままとし、ストレス因子の値の区分の境界を変更してもよい。すなわち、実施の形態1にかかるルックアップテーブル4に対し、区分の境界値を計測誤差だけ低くずらすよう変更したルックアップテーブルが用いられてもよい。つまり、ストレス因子についての値が計測値取得部141により取得された計測値に計測誤差に相当する値が付加された値のまま継続した場合の被判定装置9の寿命に対する、基準環境下での被判定装置9の寿命として表される加速係数を、加速係数取得部142が取得するよう構成してもよい。この場合も、実施の形態1にかかる加速係数取得部142が取得する加速係数値に比べ、誤差に相当する分だけ加速係数の値が増大しているため、センサの誤差による累積使用時間の過小評価を抑制することができる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態にかかる寿命判定装置は、被判定装置9の寿命が近付いた場合に、デバイスにかかる処理負荷を低減するよう制御する点で、上述の実施の形態と異なる。
図9は、演算部14の構成について示すブロック図である。本実施の形態にかかる寿命判定装置10は、演算部14が、演算部18に置き換えられている。演算部18は、上述の計測値取得部141、加速係数取得部142、及び警告・停止部144に加え、負荷制御部182を備えている。また、演算部18は、寿命判定部143が寿命判定部181に置き換えられている。
寿命判定部181は、寿命判定部143の上記動作に加え、さらに以下の動作を実行する。寿命判定部181は、時間t毎に取得される加速係数の累積値と時間tとの乗算値L’acと、寿命L(Ttyp,Vtyp)との差が所定値(マージン値)以下になったか否かを判定することにより、被判定装置9の寿命が近付いているか否かを判定する。寿命判定部181は、基準環境下における累積使用時間となるように換算された乗算値L’acと寿命L(Ttyp,Vtyp)との差が所定値以下になった場合、負荷制御部182に通知する。
負荷制御部182は、寿命判定部181から通知を受けた場合、被判定装置9の処理負荷を低減させるよう制御する。負荷制御部182は、例えば、被判定装置9の動作周波数を低減させる、又は被判定装置9の機能を縮退するなどの制御を行う。
図10は、実施の形態3にかかる寿命判定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図10に沿って、本実施の形態にかかる寿命判定装置10の動作例を説明する。なお、図10に示されるフローチャートは、ステップ12と13の間に、新たなステップ20及び21が追加されている点で、図7に示すフローチャートと異なる。したがって、図10に示されるフローチャートにおいて、図7に示されるフローチャートと重複する説明は省略する。
本実施の形態にかかる寿命判定装置10は、ステップ12の後、処理はステップ20へ移行する。ステップ20(S20)において、寿命判定部181は、ステップ12で算出した基準環境下における累積使用時間が、寿命を示す所定値に近づいているか否かを判定する。すなわち、寿命判定部181は、加速係数の累積値と時間tとの乗算値L’acと寿命L(Ttyp,Vtyp)との差がマージン値以下になったか否かを判定する。差がマージン値以下である場合、処理はステップ21へ移行する。差がマージン値より大きい場合、処理はステップ10へ戻る。
ステップ21(S21)において、負荷制御部182は、被判定装置9の処理負荷を低減させるよう制御する。その後、処理はステップ13へ移行する。以後、図7に示すフローチャートと同様の処理手順となる。
本実施の形態にかかる寿命判定装置10によれば、被判定装置9の寿命が近づいた際に被判定装置9にかかる処理負荷が低減される。このため、被判定装置9の故障のリスクを減らしつつ、実際に被判定装置9の寿命が到来するまでの実稼動時間を延ばすことができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
1 寿命判定装置
2、141 計測値取得部
3、142 加速係数取得部
4 ルックアップテーブル
5、143、181 寿命判定部
9 被判定装置
10 寿命判定装置
11 温度センサ
12 電圧センサ
13 タイマ
14、18 演算部
15 ルックアップテーブル記憶部
16 稼働情報記憶部
17 出力部
144 警告・停止部
182 負荷制御部

Claims (11)

  1. 所定時間毎に、寿命判定対象の装置のストレス因子についての計測値として、前記装置についての温度及び電圧の計測値を取得する計測値取得部と、
    第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、前記所定時間毎に取得する加速係数取得部と、
    前記加速係数取得部により取得された前記第1の加速係数の累積値及び前記所定時間の乗算値と、前記第2の寿命とを比較することにより前記寿命判定対象の装置の寿命の到来を判定する寿命判定部と
    を有し、
    前記第1の寿命は、前記ストレス因子についての値が前記計測値取得部により取得された前記計測値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命であり、
    前記第2の寿命は、前記ストレス因子についての値が基準値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命であり、
    前記加速係数取得部は、前記第1の加速係数の取得に際し、前記寿命判定対象の装置の前記ストレス因子についての値が所定値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命に対する前記第2の寿命である第2の加速係数を、前記所定値毎に格納したルックアップテーブルを用いる
    寿命判定装置。
  2. 前記ルックアップテーブルは、前記寿命判定対象の装置の前記ストレス因子についての第1の値から第2の値までの値域を分割した分割値域毎に、当該分割値域に属する各値に対する前記第2の加速係数を一つ格納する
    請求項1に記載の寿命判定装置。
  3. 前記値域は、隣り合う前記分割値域の前記第2の加速係数の差が一定になるように分割されている
    請求項2に記載の寿命判定装置。
  4. 前記ルックアップテーブルは、前記分割値域毎の前記第2の加速係数として、当該分割値域に属する値についての前記第2の加速係数の値のうちの最大値を格納する
    請求項2に記載の寿命判定装置。
  5. 前記第1の値は、前記寿命判定対象の装置についての保証値の下限値であり、前記第2の値は、前記寿命判定対象の装置についての保証値の上限値である
    請求項2に記載の寿命判定装置。
  6. 前記ルックアップテーブルは、前記分割値域毎の前記第2の加速係数として、当該分割値域に属する値についての前記第2の加速係数の値のうちの最大値よりも、前記計測値の計測誤差に相当する値だけ大きい値を格納する
    請求項2に記載の寿命判定装置。
  7. 前記第1の寿命が、前記ストレス因子についての値が前記計測値取得部により取得された前記計測値に計測誤差に相当する値が付加された値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命である
    請求項1に記載の寿命判定装置。
  8. 前記計測値取得部は、前記寿命判定対象の装置のストレス因子についての計測値として、さらに前記装置についての湿度又は電流の計測値を取得する
    請求項1に記載の寿命判定装置。
  9. 前記寿命判定部が前記乗算値と前記第2の寿命との差が所定以下になったと判定された場合に、前記寿命判定対象の装置の処理負荷を低減させるよう制御する負荷制御部
    をさらに有する請求項1に記載の寿命判定装置。
  10. 前記寿命判定対象の装置についての温度を計測する温度センサと、
    前記寿命判定対象の装置についての電圧を計測する電圧センサと、
    タイマと
    をさらに有し、
    前記計測値取得部は、前記タイマが所定の時間間隔を計時する毎に、前記寿命判定対象の装置のストレス因子についての計測値として前記温度センサ及び前記電圧センサから計測値を取得し、
    前記加速係数取得部は、前記第1の加速係数を前記タイマが所定の時間間隔を計時する毎に取得する
    請求項1に記載の寿命判定装置。
  11. 所定時間毎に、寿命判定対象の装置のストレス因子についての計測値として、前記装置についての温度及び電圧の計測値を取得する計測値取得ステップと、
    第1の寿命に対する第2の寿命である第1の加速係数を、前記所定時間毎に取得する加速係数取得ステップと、
    前記加速係数取得ステップで取得された前記第1の加速係数の累積値及び前記所定時間の乗算値と、前記第2の寿命とを比較することにより前記寿命判定対象の装置の寿命の到来を判定する寿命判定ステップと
    を含み、
    前記第1の寿命は、前記ストレス因子についての値が前記計測値取得ステップで取得された前記計測値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命であり、
    前記第2の寿命は、前記ストレス因子についての値が基準値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命であり、
    前記加速係数取得ステップでは、前記寿命判定対象の装置の前記ストレス因子についての値が所定値のまま継続した場合の前記寿命判定対象の装置の寿命に対する前記第2の寿命である第2の加速係数を前記所定値毎に格納したルックアップテーブルを用いて、前記第1の加速係数の取得する
    寿命判定方法。
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