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JP2017128528A - (s)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

(s)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の製造方法 Download PDF

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JP2017128528A JP2016008387A JP2016008387A JP2017128528A JP 2017128528 A JP2017128528 A JP 2017128528A JP 2016008387 A JP2016008387 A JP 2016008387A JP 2016008387 A JP2016008387 A JP 2016008387A JP 2017128528 A JP2017128528 A JP 2017128528A
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克昭 天笠
Katsuaki Amagasa
克昭 天笠
利彦 大波
Toshihiko Onami
利彦 大波
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Abstract

【課題】工業的有利に光学純度の高い(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体及びアンブリセンタンを製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩する方法で式(1a)で表される(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を製造する方法。
Figure 2017128528

Figure 2017128528

【選択図】なし

Description

本発明は、光学純度の高い(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の工業的に有利な製造方法及びこれを用いたアンブリセンタンの製造方法に関する。
肺動脈性肺高血圧症は、様々な血管作動性物質の不均衡により肺血管収縮及び細胞増殖が惹起され、肺血管機能障害が起こる病気である。肺動脈の血流悪化から日常生活に支障をきたす息切れ、呼吸困難、疲労、運動能力低下などの症状があらわれる。また、進行すると心不全を引き起こし、患者の予後を低下させる。
エンドセリンは強力な血管収縮及び細胞増殖促進作用を有するペプチドであり、エンドセリン受容体との結合を阻害する化合物は肺動脈性肺高血圧症の治療薬となり得る。エンドセリン受容体にはエンドセリンA受容体とエンドセリンB受容体の2つのサブタイプがあり、このうちエンドセリンA受容体は肺動脈性肺高血圧症の病態に深く関与すると考えられている。
アンブリセンタン[(2S)−2−[(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)オキシ]−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸]は選択的にエンドセリンA受容体を阻害する肺動脈性肺高血圧症の治療薬として開発された。臨床試験において予後改善の指標になると考えられる運動耐容能が向上し、効果を裏付ける結果が得られており、現在、肺動脈性肺高血圧症の治療に用いられている。
アンブリセンタンは例えば次のような方法により製造することができる。
ベンゾフェノンとクロロ酢酸メチルから(RS)−2,3−エポキシプロペン酸メチル誘導体を合成する。その後、エポキシドを開環し、(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸メチル誘導体を合成する。加水分解を行い、(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を合成する。その後、光学分割を行い、(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体とした後、4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンと反応させてアンブリセンタンを得る。
Figure 2017128528
アンブリセンタンの薬理活性は光学純度と関連することから、(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の光学分割において、光学純度の高い(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を得ることが重要である。
(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の光学分割において光学純度の高い(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を得る方法として、(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン等の光学分割剤を用いたジアステレオマー塩法が知られている(特許文献1から5参照)。上記光学分割剤は、いずれもベンゼン環が1又は2置換された1−フェニルエチルアミン誘導体であるが、置換基の種類や置換位置、置換数が、光学純度や反応の収率に大きく影響することが明らかとなっている。一般にベンゼン環上への置換基導入は置換基種により配向性や反応性が異なり、高度に制御することは困難であることが知られており(非特許文献1参照)、1−フェニルエチルアミン誘導体の光学分割剤についても製造や入手が困難であることから、アンブリセンタンの工業的な製造において、コストが大きくなる要因となっている。
ところで、近年、世界的な少子高齢化が進行しており、増大する医療費、薬剤費の抑制が課題となっている。このため安価で安定的な医薬品の提供が求められている。
アンブリセンタンについても安価な医薬品の提供が期待されるところ、上記1−フェニルエチルアミン誘導体の光学分割剤を用いる既知のアンブリセンタン製造法は、安価な医薬品の製造方法としては採用しがたい。
特表平10−507190号公報 特表2002−528524号公報 特表2012−532863号公報 国際公開第2012/017441号 国際公開第2011/114338号
John McMurry,"Fundamentals of ORGANIC CHEMISTRY",米国,Seventh Edition,Cengage Learning,2010,p.166−177
本発明は、低コストかつ安定供給が可能なアンブリセンタンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々の光学分割剤について鋭意検討した結果、意外なことに(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを用いることで、光学純度の高い(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を得ることができ、これに4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンを反応させれば光学純度の高いアンブリセンタンが工業的に有利に製造できることを見出した。
すなわち、本発明は次の〔1〕及び〔2〕を提供するものである。
〔1〕式(1)
Figure 2017128528
で表される(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩することを特徴とする式(1a)
Figure 2017128528
で表される(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の製造方法。
〔2〕式(1)
Figure 2017128528
で表される(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩して式(1a)
Figure 2017128528
で表される(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を得、得られた化合物に塩基の存在下、4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンを反応させることを特徴とするアンブリセンタンの製造方法。
本発明は、低コストかつ高い光学純度にて(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を製造することを可能とし、アンブリセンタンの安価かつ安定に供給する手段として優れている。
本発明の製造方法を反応式で示せば、次のとおりである。
Figure 2017128528
式(1)の(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩することにより式(1a)の(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を製造する。
すなわち、先ず(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1)と(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(光学分割剤)とを溶媒に溶解させた溶液を加熱下、又は室温下で一定時間撹拌し反応させることで(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)と光学分割剤のジアステレオマー塩を形成させる。次いで析出した結晶を固液分離により得て容器中で水に溶解させた後、有機溶媒と無機酸を加え、脱塩する。液液分離により有機層と水層を分離し、得られた有機層から溶媒を減圧下、留去することで(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)を得る。得られた(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)は一定時間、有機溶媒中で加熱下、懸濁状態で撹拌することで光学純度を向上させることができる。
ジアステレオマー塩を形成する工程において、(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは、(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1)と共に容器内に予め入れておいてから溶媒を加え、溶解してもよい。また、(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1)を溶媒に溶かしてから加えてもよい。後者の場合、(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは溶媒に溶かして加えてもよいし、溶かさずに加えてもよい。光学分割剤の量としては(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1)に対して0.1〜1等量が好ましく、0.3〜0.7等量がより好ましく、0.4〜0.6等量がさらに好ましい。溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルメチルエーテル又はその混液が好ましく、2−プロパノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルメチルエーテル又はアセトンとtert−ブチルメチルエーテルの混液がより好ましい。(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1)の濃度としては0.1〜1mоl/Lが好ましく、0.1〜0.5mоl/Lがより好ましい。(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)と光学分割剤のジアステレオマー塩の結晶は反応中に溶媒から析出するか、または反応後の冷却中に溶媒から析出する。反応温度としては室温から加熱還流の温度範囲で行うことが好ましい。反応時間としては5分〜5時間が好ましい。冷却温度としては0℃〜室温が好ましい。冷却時間としては1〜24時間が好ましい。
次に(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)と光学分割剤のジアステレオマー塩を脱塩する工程に用いる有機溶媒としては、水と液液分離が可能な一般的な有機溶媒を用いることができる。例えばtert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン等及びその混液が挙げられる。また、脱塩に用いる無機酸としては塩酸、硫酸、りん酸、硝酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸等が挙げられ、塩酸がより好ましい。
脱塩後の(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)の懸濁撹拌に用いる有機溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、トルエン、ヘプタン等及びその混液が挙げられ、tert−ブチルメチルエーテルとヘプタンの混液がより好ましい。懸濁攪拌における加熱温度としては室温から加熱還流の範囲が好ましく、撹拌時間としては30分〜24時間が好ましい。
本発明の方法で用いる(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは、化学合成で得られる光学分割剤であるが、ベンゼン環に置換基を有しないことから、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン誘導体から容易に合成できる。
(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは、安価で安定的に入手が可能であり、例えばシグマ アルドリッチ(登録商標)社等の一般的な試薬販売会社から購入することができる。
(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは既知の光学分割剤であるが、本発明のごときα−ヒドロキシカルボン酸の光学分割に用いられた事例はない。
得られた(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)を用いて、既知の方法に従い、アンブリセンタンを得ることができる。例えば、特許文献4の記載に基づき、塩基の存在下、4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンと反応させる方法が挙げられる。
Figure 2017128528
この反応に用いられる塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が挙げられる。このうち、水素化ナトリウムが好ましい。
この反応は、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体(1a)に対し、1〜2等量、より好ましくは1.3〜1.5等量の4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンを反応させるのが好ましい。反応温度は0℃〜室温が好ましく、反応時間は1〜24時間で十分である。
反応混合物からアンブリセンタンの単離は、液液分離及び結晶化により容易に行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
参考例1((RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸メチルの合成)
ベンゾフェノン500g(2.74mol)をトルエン1200mLに溶解させた。窒素置換した後、ナトリウムメトキシド267g(4.94mol)を加え、懸濁撹拌した。懸濁液を冷却し、−8〜4℃を維持しながら、クロロ酢酸メチル410mL(4.68mol)のトルエン(300mL)溶液を90分間かけてゆっくりと滴下した後、−3〜4℃にて1時間撹拌した。水1000mLを加え、15分間撹拌した後、液液分離により得られた有機層を水1000mLで洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣((RS)−3,3−ジフェニル−2,3−エポキシプロペン酸メチル)をメタノール1200mLに溶解させ、0℃にて冷却し、p−トルエンスルホン酸一水和物15g(0.08mol)のメタノール(150mL)溶液を30分間かけてゆっくりと滴下した。0℃にて1.5時間撹拌し、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を酢酸エチル2500mLにて溶解し、5%炭酸ナトリウム水溶液1000mLにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣にヘキサン1000mLを加え、室温にて1.5時間懸濁撹拌した後、0℃にて1時間撹拌した。結晶をろ取し、60℃にて5時間減圧乾燥し、(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸メチル659g(収率84%)を得た。
1H−NMR(CDCl3):3.15(3H,s),3.62(3H,s),5.17(1H,d,J=8.5Hz),7.30〜7.42(10H,m).
参考例2(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸の合成
(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸メチル500g(1.75mol)を水1000mLに懸濁撹拌し、2mol/L水酸化ナトリウム950mL(1.90mol)を加え、100℃にて1時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、tert−ブチルメチルエーテル1500mLを加えた後、10%塩酸700mLを加え、20分間撹拌し、析出した固体を溶解した。液液分離後、有機層を水1000mLで洗浄した。ヘプタン1200mLを加え、40℃にて溶媒を減圧(200mmHg)留去し、結晶を析出させた。ヘプタン1000mLを加え、0℃にて1時間撹拌した。結晶をろ取し、40℃にて7時間減圧乾燥し、(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸431g(収率91%)を得た。
1H−NMR(CDCl3):3.16(3H,s),5.08(1H,d,J=4.0Hz),7.36〜7.45(10H,m).
実施例1
(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸500mg(1.84mmol)を2−プロパノール8mLに溶解させ、(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン135mg(0.92mmol)を加えた。加熱還流下で1時間撹拌した後、室温に冷却し、2時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、2−プロパノールで洗浄した後、減圧乾燥した。
実施例2〜7
表1の溶媒を用いて実施例1と同様の操作を行った。
比較例1〜10
(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸0.5又は1g(1.84又は3.68mmol)を有機溶媒(表1)0.2〜0.3mol/L(12〜16mL/g)に溶解させ、光学分割剤(表1)0.5等量(0.92又は1.84mmol)を加えた。加熱還流下で1時間撹拌した後、室温に冷却し、2〜5時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、有機溶媒(表1)で洗浄した後、減圧乾燥した。
試験例1(光学純度測定)
HPLC分析条件
HPLC:D−7000型 HPLCシステム(日立ハイテク社製)
検出器:紫外吸光光度計
検出波長:220nm
カラム:CHIRALPAK(登録商標) AD−H(内径4.6mm,長さ250mm,粒子径5μm)ダイセル社製
カラム温度:35℃
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸ヘキサン溶液/0.1%トリフルオロ酢酸2−プロパノール溶液=95/5
デガッサー:オフ
Figure 2017128528
実施例8:((S)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸の合成)
(RS)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸200g(734mmol)をアセトン1500mLに溶解させ、tert−ブチルメチルエーテル1500mLを加え、さらに(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン54.1g(367mmol)を加えた。加熱還流下、1時間撹拌した後、室温にて16時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、tert−ブチルメチルエーテル45mLで2回洗浄した。得られた結晶に水360mL及びtert−ブチルメチルエーテル500mLを加え、懸濁撹拌しながら、10%塩酸140mLを滴下した。室温にて1時間撹拌し、結晶を溶解させた後、液液分離を行い、水層をtert−ブチルメチルエーテル500mLにて抽出した。有機層を水500mLで洗浄した後、ヘプタン500mLを加え、40℃にて溶媒を減圧(200mmHg)留去し、結晶を析出させた。ヘプタン500mLを加え、室温にて45分間、0℃にて1.5時間撹拌した。結晶をろ取した後、tert−ブチルメチルエーテル138mL、へプタン322mLを加え、40℃にて1時間撹拌した。その後、室温にて1時間撹拌した後、0℃にて1時間撹拌した。結晶をろ取し、40℃にて4時間減圧乾燥し、(S)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸65.9g(収率66%、光学純度99.9%)を得た。
融点:124〜126℃
1H−NMR(CDCl3):3.16(3H,s),5.08(1H,d,J=4.0Hz),7.36〜7.45(10H,m).
実施例9(アンブリセンタンの合成)
(S)−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−3,3−ジフェニルプロパン酸10g(36.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド80mLに溶解させた。窒素置換した後、室温にて60%水素化ナトリウム6.3g(157mmol)を1時間30分かけてゆっくり加えた。1時間撹拌した後、4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジン9.56g(51.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液を室温にて1時間かけてゆっくりと滴下し、15時間撹拌した。0℃に冷却し、メタノール10mLを20分間かけてゆっくりと滴下した後、冷水100mLを加えた。10%塩酸75mLを加えた後、酢酸エチル100mLで2回抽出した。有機層を1N水酸化ナトリウム50mLで3回抽出した。さらに水層に10%塩酸60mLをゆっくり加え、1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、水25mLで2回洗浄した。得られた結晶を60℃にて5時間減圧乾燥し、アンブリセンタン13.1g(収率95%、光学純度98.6%)を得た。
融点:175℃
1H−NMR(DMSO−d6):2.33(6H,s),3.36(3H,s),6.12(1H,s),6.94(1H,s),7.19〜7.33(10H,m).
IR(νmax)(KBr):2965,1752,1597,1560,1446,1406,1380,1194,1175,1116,749,701cm-1
(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンは先行技術の光学分割剤と異なり、化学合成にてベンゼン環に位置選択的な置換基導入を行わなくてよいことから入手容易性の高い光学分割剤であり、アンブリセンタンのコストダウンや安定供給に優れている。

Claims (2)

  1. 式(1)
    Figure 2017128528
    で表される(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩することを特徴とする式(1a)
    Figure 2017128528
    で表される(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体の製造方法。
  2. 式(1)
    Figure 2017128528
    で表される(RS)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体に(S)−(+)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンを反応させてジアステレオマー塩とし、次いで脱塩して式(1a)
    Figure 2017128528
    で表される(S)−2−ヒドロキシプロパン酸誘導体を得、得られた化合物に塩基の存在下、4,6−ジメチル−2−(メチルスルホニル)ピリミジンを反応させることを特徴とするアンブリセンタンの製造方法。
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