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JP2017125949A - 高輝度偏光板およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

高輝度偏光板およびそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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JP2017125949A JP2016005060A JP2016005060A JP2017125949A JP 2017125949 A JP2017125949 A JP 2017125949A JP 2016005060 A JP2016005060 A JP 2016005060A JP 2016005060 A JP2016005060 A JP 2016005060A JP 2017125949 A JP2017125949 A JP 2017125949A
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寿和 松本
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Abstract

【課題】偏光度と透過率がともに高い偏光板を提供し、この偏光板を用いた液晶表示装置を提供する。【解決手段】偏光子10の両面に保護フィルム20,30が積層され、さらに輝度向上フィルム60が、接着層50を介して保護フィルム20,30のうち一方の保護フィルム20に積層されている偏光板100であって、一方の保護フィルム20は、下記式(1)〜(3)を満たすλ/2板であり、その遅相軸が偏光子10の透過軸に対して略45°または略135°となるように配置され、偏光子10の透過軸と輝度向上フィルム60の透過軸とが、略直交して配置されている偏光板100。(1)0.5<Rth(590)/Re(590)≦0.8、(2)0.85≦Re(450)/Re(550)<1.00、(3)1.00<Re(630)/Re(550)≦1.1【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板と輝度向上フィルムを積層した偏光板、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
近年、スマートフォンなどのモバイル端末の大型化に伴い、限られたバッテリー容量で長時間の駆動を実現するために輝度向上フィルムを用いて光の利用効率を上げる試みが行われている。
液晶表示装置に用いられる液晶パネルは、液晶セルと、この液晶セルを挟み、クロスニコル配置された2枚の偏光子とを備えている。このような偏光子は、通常、長手方向に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素や二色性染料等を吸着させてなるものである。そのため、偏光子はその長手方向の直線偏光を吸収するとともに、その幅方向の直線偏光を透過する性質を有している。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用できる光量を増加させることにより輝度を向上させるものである。
輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等参照。)。
特許文献5には、偏光板と輝度向上フィルムをロールツーロールで連続生産するために、斜め延伸した半波長板(以下、λ/2板という)を偏光板と輝度向上フィルムとの間に配置する方法が開示されている。しかし、例示されているフィルムでは、低波長領域や長波長領域の光に対する旋光性が低く、偏光板の透過率が低いという問題があった。
特開平11−248941号公報 特開平11−248942号公報 特開平11−64840号公報 特開平11−64841号公報 特開2010−204224号公報
本発明の目的は、偏光度と透過率がともに高い偏光板を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、この偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
[1]偏光子の両面に保護フィルムが積層され、さらに輝度向上フィルムが、接着層を介して前記保護フィルムのうち一方の保護フィルムに積層されている偏光板であって、
前記一方の保護フィルムは、下記式(1)〜(3)を満たすλ/2板であり、
その遅相軸が前記偏光子の透過軸に対して略45°または略135°となるように配置され、
前記偏光子の透過軸と前記輝度向上フィルムの透過軸とが、略直交して配置されている偏光板。

(1)0.5<Rth(590)/Re(590)≦0.8、
(2)0.85≦Re(450)/Re(550)<1.00、
(3)1.00<Re(630)/Re(550)≦1.1

〔式中、Re(590)、Re(450)、Re(550)、Re(630)はそれぞれ、測定波長590nm、450nm、550nm、630nmにおける面内位相差値を表し、Rth(590)は測定波長590nmにおける厚み方向位相差値を表す。〕
[2]前記偏光子と前記輝度向上フィルムの間に位置する保護フィルムが、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の偏光板。
[3]前記輝度向上フィルムが、異方性反射偏光子である請求項1または2に記載の偏光板。
[4]前記異方性反射偏光子が、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
[5]
前記偏光子の厚みが、15μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
[6]請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板が、液晶セルとバックライトとの間に、前記輝度向上フィルムがバックライト側になるように配置されている液晶表示装置。
偏光子と輝度向上フィルムの間に位置する保護フィルムに特定の波長分散特性を持つλ/2板を用いることで、偏光度と透過率がともに高い偏光板を製造できる。前記のように、本発明の偏光板は、液晶表示装置に好適である。
本発明の偏光板の好ましい構成を表す概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の好ましい構成を表す概略断面図である。
以下、本発明に係る偏光板について適宜図を用いて説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る偏光板における好ましい層構成の例の概略断面図を示したものである。図1を参照して、本発明の偏光板を説明する。図1に示す偏光板は、偏光子10の両面に保護フィルム20および保護フィルム30が積層された偏光板100に輝度向上フィルム60が接着層50を介して貼合されているものである。ここで、保護フィルム20はポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いることが好ましい。
[偏光板を構成する各部材]
<偏光子10>
本発明の偏光板に用いられる偏光子10は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタール等も用いることができる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度であり、1,500〜5,000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子10の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、特に制限されるものではないが、例えば、10μm〜150μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、1×10-3〜1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1〜15重量部程度であり、5〜12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒程度であり、150〜600秒程度が好ましく、200〜400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子10が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光子10の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光子10の可撓性が失われ、偏光子10がその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光子10の熱安定性に劣る場合がある。
以上のようにして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向した偏光子を製造することができる。
また、偏光子の製造工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、染色、ホウ酸処理、水洗工程、乾燥工程は、例えば、特開2012−159778号に記載されている方法に準じて行ってもよい。この文献記載の方法では、基材フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂のコーティングにより、偏光子となるポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法を用いることも有用である。
高温環境下における偏光子の収縮力を低く抑えるためには、偏光子の厚さを15μm以下とすることが好ましく、12μm以下とすることがより好ましい。良好な光学特性を付与できるという点で、偏光子の厚みは通常3μm以上である。
高温環境下における収縮力を抑えた偏光子を用いることで、偏光子の収縮に伴うλ/2板のゆがみによる位相差変化をも抑えることができ、液晶表示装置に用いたときに表示ムラの小さい偏光板とすることができる。
偏光フィルムは、80℃の温度で240分間保持したときの、その吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、2N以下であることが好ましい。この収縮力が、2Nより大きいと高温環境下での寸法変化量が大きくなり、且つ、偏光フィルムの収縮力が大きくなるために、λ/2板がゆがみやすく、さらには偏光フィルムに割れが発生しやすくなる傾向にある。偏光フィルムの収縮力は、延伸倍率を下げると、また偏光フィルムの厚さを薄くすると2N以下となる傾向にある。
<保護フィルム20>
本発明の偏光板に用いる保護フィルム20は、λ/2板であり、その面内位相差値は波長590nmにおいて240〜300nmであることが好ましく、その厚み方向位相差値は波長590nmにおいて−250〜250nmであることが好ましい。そして保護フィルム20は、下記式:

(1)0.5<Rth(590)/Re(590)≦0.8、
(2)0.85≦Re(450)/Re(550)<1.00、
(3)1.00<Re(630)/Re(550)≦1.1

を満たすフィルムである。式中、Re(590)、Re(450)、Re(550)、Re(630)はそれぞれ、測定波長590nm、450nm、550nm、630nmにおける面内位相差値を表し、Rth(590)は測定波長590nmにおける厚み方向位相差値を表す。これらの面内位相差値及び厚み方向位相差値は、温度23℃、相対湿度55%の環境下にて測定される。
保護フィルム20の面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rthは、面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、保護フィルム20の厚みをdとするとき、下記式:
e=(nx−ny)×d
th=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
で定義される。
本発明において、正面方向のレターデーションRが透過光の波長の約1/2であり、透過光の波長範囲は400〜700nmとすることができる。また、Reが透過光の約1/2波長であるとは、透過光の波長(波長をλとして)の、λ/2−65〜λ/2+65nm、好ましくはλ/2−30〜λ/2+30nm、より好ましくはλ/2−10〜λ/2+10nmの範囲であることをいう。Reを上記範囲とすることにより、偏光板の偏光度を好適に高めることができる。
偏光板の偏光度を高める観点から、式(1)におけるRth(590)/Re(590)は0.6〜0.75であることが好ましく、式(2)におけるRe(450)/Re(550)は0.86〜0.98であることが好ましく、式(3)におけるRe(630)/Re(550)は1.01〜1.06であることが好ましい。
保護フィルム20は、輝度向上フィルム60から保護フィルム20に向けて出射された直線偏光を90°回転させて出射する機能を有する1種の位相差フィルムであり、この機能を発現させるために、保護フィルム20は、その遅相軸と偏光子10の吸収軸とがなす角度θが略45°又は略135°となるように偏光子10上に積層される。角度θがこの範囲外である場合には、直線偏光を90°回転させて出射する機能が得られず、その結果、偏光板の偏光度が低下する。角度θは、好ましくは35〜55°又は125〜145°であり、より好ましくは40〜50°又は130〜140°である。
保護フィルム20は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂を含むフィルムであることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂等のセルロース系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。
中でも、上記式(1)〜(3)の位相差特性及び波長分散特性を付与しやすく、また、透湿度が比較的低いことから光学積層体の耐湿性や耐湿熱性を向上させることができるので、保護フィルム20は、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂若しくは(メタ)アクリル系樹脂又はこれらの2以上を含むことが好ましく、樹脂成分がこれらから選択される1又は2以上からなることがより好ましい。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
保護フィルム20は上記式(1)〜(3)を充足する限り層数は特に制限されないが、上記式(1)〜(3)を満たすために2枚以上のフィルムの積層体を用いることもでき、例えばλ/4板2枚からなる積層体を用いてもよい。この場合、それぞれのλ/4板は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。保護フィルム20を2枚以上のフィルムの積層体から形成する場合は、フィルム同士を後述の接着層を介して積層させればよい。
保護フィルム20の厚みdは上記式(1)〜(3)を充足する限り特に制限されないが、光学積層体の薄型化の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また保護フィルム20の取扱い性の観点から、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下である。
保護フィルム20は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
また、所望の光学特性又はその他の特徴を付与するために、保護フィルム20の外面にコーティング層(表面処理層)を設けることができる。コーティング層の具体例は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層を含む。コーティング層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
<保護フィルム30>
偏光子10の保護フィルム20が積層されている面とは反対の面に積層される保護フィルム30は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、およびポリイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、たとえば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
また、これらのフィルムに延伸/収縮加工を行い、液晶表示装置に好適な位相差値を付与したフィルムとすることも有用である。
保護フィルム30の厚みは、得に制限されるものではないが、通常、強度や取り扱い性等の観点から1〜500μm程度であり、5〜200μmが好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。この範囲内の厚みであれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
偏光子10と保護フィルム20及び偏光子10と保護フィルム30の接着には、水溶性接着剤が好ましく用いられる。この水溶性接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするものがある。水溶性接着剤は市販のものを用いてもよいし、市販の接着剤に溶剤や添加剤を混合したものを用いてもよい。水溶性接着剤となりうる市販のポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、株式会社クラレ製のKL−318等がある。
また、この水溶性接着剤は架橋剤を含有することができる。架橋剤の種類としては、アミン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、および多価金属塩等が好ましく、特にエポキシ化合物が好ましい。架橋剤の市販品としては、たとえば、グリオキザールや、田岡化学工業株式会社製のスミレーズレジン(登録商標)650(30)等がある。
また、もう1つの好ましい接着剤としては、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化する接着剤が挙げられ、中でもエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる接着剤が好ましい。
保護フィルム20および保護フィルム30と偏光子10との接着は、これらフィルム間に介在する接着剤の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、または加熱し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ樹脂を硬化させることにより行うことができる。本発明において活性エネルギー線の照射または熱によるエポキシ樹脂の硬化は、好ましくは、エポキシ樹脂のカチオン重合によるものである。なお、本発明においてエポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
本発明においては、耐候性、屈折率、カチオン重合性等の観点から、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂は、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂として、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が例示できる。
水素化エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂を触媒の存在下、加圧下で選択的に核水素化反応を行うことにより得ることができる。芳香族エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂; フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂; テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、およびエポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、水素化エポキシ樹脂として、水素化したビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
脂環式エポキシ樹脂とは、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ樹脂を意味する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、次式に示される構造における(CH2mから1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基である。次式中、mは2〜5の整数である。
Figure 2017125949
したがって、上記式における(CH2m中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が脂環式エポキシ樹脂となり得る。(CH2m中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ樹脂の中でも、オキサビシクロヘキサン環(上記式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上記式においてm=4のもの)を有するエポキシ樹脂は、優れた接着性を示すことから好ましく用いられる。以下に、本発明において好ましく用いられる脂環式エポキシ樹脂を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
(a)次式(I)で示されるエポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
Figure 2017125949
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(b)次式(II)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
Figure 2017125949
(式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、nは2〜20の整数を表す)。
(c)次式(III)で示されるジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル類:
Figure 2017125949
(式中、R5およびR6は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、pは2〜20の整数を表す)。
(d)次式(IV)で示されるポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
Figure 2017125949
(式中、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、qは2〜10の整数を表す)。
(e)次式(V)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
Figure 2017125949
(式中、R9およびR10は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、rは2〜20の整数を表す)。
(f)次式(VI)で示されるジエポキシトリスピロ化合物:
Figure 2017125949
(式中、R11およびR12は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(g)次式(VII)で示されるジエポキシモノスピロ化合物:
Figure 2017125949
(式中、R13およびR14は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(h)次式(VIII)で示されるビニルシクロヘキセンジエポキシド類:
Figure 2017125949
(式中、R15は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(i)次式(IX)で示されるエポキシシクロペンチルエーテル類:
Figure 2017125949
(式中、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(j)次式(X)で示されるジエポキシトリシクロデカン類:
Figure 2017125949
(式中、R18は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
上記例示した脂環式エポキシ樹脂の中でも、次の脂環式エポキシ樹脂は、市販されているか、またはその類似物であって、入手が比較的容易である等の理由から、より好ましく用いられる。
(A)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物[式(I)において、R1=R2=Hの化合物]、
(B)4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物[式(I)において、R1=4−CH3、R2=4−CH3の化合物]、
(C)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と1,2−エタンジオールとのエステル化物[式(II)において、R3=R4=H、n=2の化合物]、
(D)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物[式(III)において、R5=R6=H、p=4の化合物]、
(E)(4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物[式(III)において、R5=4−CH3、R6=4−CH3、p=4の化合物]、
(F)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールと1,2−エタンジオールとのエーテル化物[式(V)において、R9=R10=H、r=2の化合物]。
また、脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。より具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル; 1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル; グリセリンのトリグリシジルエーテル; トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル; ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル; プロピレングリコールのジグリシジルエーテル; エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。本発明で用いられるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常、30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲内である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の複合偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
本発明においては、反応性の観点から、エポキシ樹脂の硬化反応としてカチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射または加熱によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」といい、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「熱カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う方法は、常温での硬化が可能となり、偏光子の耐熱性または膨張による歪を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光子とを良好に接着できる点において有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ樹脂に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、およびベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート等が挙げられる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、およびジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロアンチモネート)、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、および4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、およびキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品は、容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド(登録商標) PCI−220」、「カヤラッド(登録商標) PCI−620」(以上、日本化薬株式会社製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー(登録商標) SP−150」、「アデカオプトマー(登録商標) SP−170」(以上、株式会社ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達株式会社製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学株式会社製)、「PI−2074」(ローディア社製)等を挙げることができる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や接着強度が低下する傾向にある。また、光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、20重量部を越えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性がある。
光カチオン重合開始剤を用いる場合、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、カチオン重合の反応性が向上し、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、および光還元性色素等が挙げられる。
光増感剤のより具体的な例を挙げれば、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体; ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体; 2−クロロチオキサントン、および2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体; 2−クロロアントラキノンおよび2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体; N−メチルアクリドンおよびN−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体; その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、およびハロゲン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの光光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。光増感剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部中、0.1〜20重量部の範囲内で含有されることが好ましい。
一方、熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、およびアミンイミド等を挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤は、市販品として容易に入手することが可能であり、たとえば、いずれも商品名で、「アデカオプトン(登録商標)CP77」、「アデカオプトン(登録商標)CP66」(以上、株式会社ADEKA製)、「CI−2639」、「CI−2624」(以上、日本曹達株式会社製)、「サンエイド(登録商標)SI−60L」、「サンエイド(登録商標)SI−80L」、「サンエイド(登録商標)SI−100L」(以上、三新化学工業株式会社製)等が挙げられる。
接着剤に含有されるエポキシ樹脂は、光カチオン重合または熱カチオン重合のいずれかにより硬化してもよいし、光カチオン重合および熱カチオン重合の双方により硬化してもよい。後者の場合、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とを併用することが好ましい。
また、硬化性エポキシ樹脂組成物は、オキセタン類やポリオール類等、カチオン重合を促進する化合物をさらに含有してもよい。
オキセタン類は、分子内に4員環エーテルを有する化合物であり、たとえば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、およびフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。これらのオキセタン類は、市販品として容易に入手することが可能であり、たとえば、いずれも商品名で、「アロンオキセタン(登録商標) OXT−101」、「アロンオキセタン(登録商標) OXT−121」、「アロンオキセタン(登録商標) OXT−211」、「アロンオキセタン(登録商標) OXT−221」、「アロンオキセタン(登録商標) OXT−212」(以上、東亞合成株式会社製)等を挙げることができる。これらのオキセタン類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、5〜95重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含有される。
ポリオール類としては、フェノール性水酸基以外の酸性基が存在しないものが好ましく、たとえば、水酸基以外の官能基を有しないポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸基を有するポリオール化合物、およびポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらのポリオール類の分子量は、通常、48以上、好ましくは62以上、さらに好ましくは100以上、また好ましくは1,000以下である。これらポリオール類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有される。
また接着剤は、ラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有する組成物であってもよい。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
この場合、接着剤は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
さらに、接着剤は、本発明の効果を損なわない限り、その他の添加剤、たとえば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、および消泡剤等を配合することができる。イオントラップ剤としては、たとえば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系およびこれらの混合系等の無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
以上のような接着剤を、偏光子10、保護フィルム20又は保護フィルム30の接着面、もしくはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で貼合し、活性エネルギー線を照射するかまたは加熱することにより、この未硬化の接着剤層に硬化させて、偏光子と透明保護フィルムとを接着剤層を介して貼合することができる。接着剤の塗工方法としては、得に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等、種々の塗工方式が採用される。
ここで、保護フィルム20および保護フィルム30と偏光子10との接着に用いる接着剤は、基本的には、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、偏光子の光学性能を低下させることなく、接着剤組成物を良好に溶解するものを用いることが好ましく、特に限定されるものではないが、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を挙げることができる。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う場合、用いられる光源は、特に限定されるものではないが、たとえば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度は、その組成物ごとに異なり得るが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および硬化性エポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、硬化性エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光子の劣化を生じる場合がある。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射時間は、その組成物ごとに制御されるものであって、やはり特に制限されるものではないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる場合がある。また、積算光量が5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利となる場合がある。
熱により接着剤の硬化を行う場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件等も特に制限されるものではないが、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行われ、具体的には、加熱温度は、たとえば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、偏光子の偏光度、透過率および色相、保護フィルムの透明性および位相差特性、ならびに偏光板の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。
いずれの接着剤を用いる場合にも、保護フィルム20および保護フィルム30は、接着剤で偏光子10と貼り合せる前に、ケン化処理、コロナ処理、およびプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
また、特に偏光子10と保護フィルム20との積層には、粘着剤層を使用することも好ましい。偏光子10と保護フィルム20との積層に使用することができる粘着剤層としては、後述の偏光板100と輝度向上フィルム60との積層に用いる粘着剤層を使用することができる。偏光子10と保護フィルム20との積層に粘着剤層を使用することにより、偏光子の収縮に伴うλ/2板のゆがみによる位相差変化をも抑えることができ、液晶表示装置に用いたときに表示ムラの小さい偏光板とすることができる。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルム60としては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光または散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光または散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
輝度向上フィルム60としては、たとえば、異方性反射偏光子があげられる。異方性反射偏光子としては、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜があげられる。異方性多重薄膜としては、たとえば、3M製のDBEFがあげられる(たとえば、特開平4−268505号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、コレステリック液晶層とλ/4板の複合体があげられる。かかる複合体としては、日東電工株式会社製のPCFがあげられる(特開平11−231130号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、反射グリッド偏光子があげられる。反射グリッド偏光子としては、金属に微細加工を施し可視光領域でも反射偏光を出すような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等参照。)、金属の微粒子を高分子マトリック中に入れて延伸したようなもの(特開平8−184701号公報等参照。)があげられる。
偏光板100と輝度向上フィルム60とを貼り合わせる接着層50には、偏光子10と保護フィルム20及び保護フィルム30との貼合に用いた接着剤と同じものが使用できる。もう一つの形態としては、偏光板100と輝度向上フィルム60とを貼り合わせる接着層50として粘着剤を用いることも好ましい。
輝度向上フィルムは、偏光子の透過軸と輝度向上フィルムの透過軸とが略直交するように配置される。略直交とは、例えば80〜100°であることを意味し、好ましくは85〜95°であり、より好ましくは89〜91°である。
上記のように輝度向上フィルム、保護フィルム(λ/2板)及び偏光子を配置することで、輝度向上フィルムから出射された偏光子の吸収軸に平行な偏光を、保護フィルム(λ/2)により偏光子の透過軸に平行な偏光とすることができる。一般に、長尺状の輝度向上フィルムは長尺方向に透過軸を有し、長尺状の偏光子は長尺方向に吸収軸を有する。したがって、上記構成を採用し、保護フィルム(λ/2板)の遅相軸を長尺方向に対して斜めにすることにより、長尺状の輝度向上フィルムと長尺状の保護フィルム(λ/2板)と長尺状の偏光子とをロール・トゥ・ロールで貼合することができ生産性に優れる。
[粘着剤層]
偏光板100と輝度向上フィルム60との積層に用いる粘着剤層は、光学的な透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性、接着性などを包含する粘着特性に優れるものであればよいが、さらに耐久性などに優れるものが好ましい。具体的には、粘着剤層を形成する粘着剤として、アクリル系樹脂を含有する粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。
アクリル系粘着剤に含有されるアクリル系樹脂は、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソオクチル、及びアクリル酸2−エチルヘキシルのようなアクリル酸アルキルエステルを主要なモノマーとする樹脂である。このアクリル系樹脂には通常、極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとは、重合性不飽和結合及び極性官能基を有する化合物であり、ここで重合性不飽和結合は、(メタ)アクリロイル基に由来するものとするのが一般的であり、また極性官能基は、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などでありうる。極性モノマーの具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどがある。
またアクリル系粘着剤には、通常、アクリル系樹脂とともに架橋剤が配合されている。架橋剤の代表例として、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有するイソシアネート化合物を挙げることができる。
粘着剤には、さらに各種の添加剤が配合されていてもよい。好適な添加剤として、シランカップリング剤や帯電防止剤などが挙げられる。シランカップリング剤は、ガラスとの接着力を高めるうえで有効である。帯電防止剤は、静電気の発生を低減又は防止するうえで有効である。
粘着剤層は、以上のような粘着剤成分が有機溶剤に溶解してなる粘着剤組成物を調製し、これを偏光板100上もしくは輝度向上フィルム60上に直接塗布し、溶剤を乾燥除去する方法によって、あるいは、離型処理が施された樹脂フィルムからなる基材フィルムの離型処理面に上記の粘着剤組成物を塗布し、溶剤を乾燥除去して粘着剤層とし、これを偏光板100上もしくは輝度向上フィルム60上に貼着し、粘着剤層を転写する方法によって、形成できる。前者の直接塗工法によって偏光板100上もしくは輝度向上フィルム60上に粘着剤層を形成した場合は、その表面に離型処理が施された樹脂フィルム(セパレータとも呼ばれる)を貼合し、使用時まで粘着剤層表面を仮着保護するのが通例である。有機溶剤溶液である粘着剤組成物の取扱い性の観点などから、後者の転写法が多く採用されており、この場合は、最初に粘着剤層の形成に用いる離型処理された基材フィルムが、偏光板に貼着した後そのままセパレータとなりうる点からも好都合である。
偏光板100と輝度向上フィルム60を接着剤や粘着剤を介して積層する前には、偏光板や粘着剤面および輝度向上フィルム面にあらかじめコロナ処理やプラズマ処理などを行うことも有用である。
本発明の液晶表示装置は、図1を参照して説明した偏光板を、液晶セル2のバックライト側の面に配置したものである(図2)。この際、保護フィルム30が液晶セル側となるように配置される。偏光板を液晶セル貼り合せる際には、保護フィルム30上の偏光子10とは反対の面に粘着剤層70を積層し液晶パネルを作製する。さらに液晶セルの視認側に偏光板200を貼り合せ、本発明の偏光板側にバックライトを配置することで本発明の液晶表示装置となる。粘着剤層70としては、偏光板100と輝度向上フィルム60との積層に用いる粘着剤層と同様のものを使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量および使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
(1)厚さの測定:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター“MH−15M”を用いて測定した。
(2)面内レターデーション及び厚み方向レターデーションの測定:
王子計測機器株式会社製の平行ニコル回転法を原理とする位相差計“KOBRA(登録商標)−WPR”を用い、23℃の温度において、波長590nmでの面内レターデーション及び厚み方向レターデーションを測定した。
(3)偏光板の偏光度及び単体透過率の測定:
積分球付き分光光度計〔日本分光株式会社製の「V7100」、2度視野;C光源〕を用いて測定した。
[製造例1]偏光子の作製
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ11μmの偏光子を得た。この偏光子を偏光子Aとする。
[製造例2]偏光子の作製
厚さ60μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ23μmの偏光子を得た。この偏光子を偏光子Bとする。
[製造例3]水系接着剤の作製
水100重量部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した商品名「KL−318」〕を3重量部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社から入手した商品名「スミレーズレジン(登録商標) 650(30)」、固形分濃度30重量%の水溶液〕を1.5重量部添加して、水系接着剤を調製した。
[粘着剤]
粘着剤A:厚み5μmのシート状粘着剤〔リンテック株式会社製の「NCF #L2」、80℃における貯蔵弾性率は、0.2MPa〕を準備した。
[保護フィルム]
以下の保護フィルムを用意した。
保護フィルムA:日本ゼオン株式会社製の環状ポリオレフィン系樹脂フィルム(厚み23μm、波長590nmでの面内位相差値=2.1nm、波長590nmでの厚み方向位相差値=2.8nm)、
保護フィルムB:日本ゼオン株式会社製の環状ポリオレフィン系樹脂フィルム:ZF45−フィルム#270(厚み54μm、波長590nmでの面内位相差値=266.7nm、波長590nmでの厚み方向位相差値=129.8nm、Rth(590)/Re(590)=0.49、Re(450)/Re(550)=1.00、Re(630)/Re(550)=1.00であった。)、
保護フィルムC:帝人化成株式会社製のポリカーボネートフィルム:ピュアエース(登録商標)RM(厚み53μm、波長590nmでの面内位相差値=147.7nm、波長590nmでの厚み方向位相差値=102.3nm)
[輝度向上フィルムA]
以下の輝度向上フィルムを用意した。
輝度向上フィルムA:26μm厚の輝度向上フィルム(3M製の商品名Advanced Polarized Film, Version 3)
[液晶セル]
Google Inc.製のNexus7の液晶パネルから背面側偏光板のみを剥離し、視認側偏光板付の液晶セルを得た。
(実施例1)
保護フィルムC2枚をその遅相軸が平行となるように粘着剤Aを用いて貼合しλ/2板を得た。得られたλ/2板は、Rth(590)/Re(590)=0.69、Re(450)/Re(550)=0.89、Re(630)/Re(550)=1.04であった。
偏光子Aを貼りあわせる面にコロナ処理した保護フィルムAと偏光子Aとを、水系接着剤を用いて貼合し、片面保護フィルム付き偏光板を得た。こうして得られた片面保護フィルム付き偏光板の偏光度は99.96%、単体透過率は43.2%であった。
片面保護フィルム付き偏光板の偏光子A側に粘着剤Aを用いてλ/2板を貼合し両面保護フィルム付き偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸とλ/2板の遅相軸とのなす角は45.2°であった。
こうして得られた両面保護フィルム付き偏光板のλ/2板側に粘着剤Aを用いて輝度向上フィルムAを貼合し偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸と輝度向上フィルムの透過軸とのなす角は90°であった。
得られた偏光板の偏光度は99.996%、単体透過率は41.8%であった。
こうして得られた偏光板を液晶セルの長辺に対して偏光子の吸収軸が平行になるように7インチサイズに裁断した。裁断した偏光板を粘着剤を介して液晶セルに貼りあわせ液晶パネルを作製した。
こうして作製した液晶パネルを85℃の環境下に240時間静置した後、バックライトを点灯させ表示ムラがないか確認したところ表示ムラはなく良好であった。
(比較例1)
偏光子Aを貼りあわせる面にコロナ処理した保護フィルムAと偏光子Aとを、水系接着剤を用いて貼合し、片面保護フィルム付き偏光板を得た。こうして得られた片面保護フィルム付き偏光板の偏光度は99.96%、単体透過率は43.2%であった。
片面保護フィルム付き偏光板の偏光子A側に粘着剤Aを用いて保護フィルムBを貼合し両面保護フィルム付き偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸と保護フィルムBの遅相軸とのなす角は44.7°であった。
こうして得られた両面保護フィルム付き偏光板の保護フィルムB側に粘着剤Aを用いて輝度向上フィルムAを貼合し偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸と輝度向上フィルムの透過軸とのなす角は90°であった。
得られた偏光板の偏光度は99.996%、単体透過率は41.4%であった。
こうして得られた偏光板を液晶セルの長辺に対して偏光子の吸収軸が平行になるように7インチサイズに裁断した。裁断した偏光板を粘着剤を介して液晶セルに貼りあわせ液晶パネルを作製した。
こうして作製した液晶パネルを85℃の環境下に240時間静置した後、バックライトを点灯させ表示ムラがないか確認したところ表示ムラはなく良好であった。
(実施例2)
偏光子Aを偏光子Bに変更した以外は実施例1と同様に片面保護フィルム付き偏光板を作製した。こうして得られた片面保護フィルム付き偏光板の偏光度は99.96%、単体透過率は43.2%であった。
片面保護フィルム付き偏光板の偏光子B側に粘着剤Aを用いてλ/2板を貼合し両面保護フィルム付き偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸とλ/2板の遅相軸とのなす角は45.1°であった。
こうして得られた両面保護フィルム付き偏光板のλ/2板側に粘着剤Aを用いて輝度向上フィルムAを貼合し偏光板を得た。この際、偏光子Aの透過軸と輝度向上フィルムの透過軸とのなす角は90°であった。
得られた偏光板の偏光度は99.996%、単体透過率は41.8%であった。
こうして得られた偏光板を液晶セルの長辺に対して偏光子の吸収軸が平行になるように7インチサイズに裁断した。裁断した偏光板を粘着剤を介して液晶セルに貼りあわせ液晶パネルを作製した。
こうして作製した液晶パネルを85℃の環境下に240時間静置した後、バックライトを点灯させ表示ムラがないか確認したところ、液晶パネルの4隅に光抜けがみられた。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2017125949
偏光子と輝度向上フィルムの間に位置する保護フィルムに特定の波長分散特性を持つλ/2板を用いることで、偏光度と透過率がともに高い偏光板を製造できるので有用である。
2 液晶セル
10 偏光子
20 保護フィルム
30 保護フィルム
50 接着層
60 輝度向上フィルム
70 粘着剤層
100 偏光板
200 視認側偏光板

Claims (6)

  1. 偏光子の両面に保護フィルムが積層され、さらに輝度向上フィルムが、接着層を介して前記保護フィルムのうち一方の保護フィルムに積層されている偏光板であって、
    前記一方の保護フィルムは、下記式(1)〜(3)を満たすλ/2板であり、
    その遅相軸が前記偏光子の透過軸に対して略45°または略135°となるように配置され、
    前記偏光子の透過軸と前記輝度向上フィルムの透過軸とが、略直交して配置されている偏光板。

    (1)0.5<Rth(590)/Re(590)≦0.8、
    (2)0.85≦Re(450)/Re(550)<1.00、
    (3)1.00<Re(630)/Re(550)≦1.1

    〔式中、Re(590)、Re(450)、Re(550)、Re(630)はそれぞれ、測定波長590nm、450nm、550nm、630nmにおける面内位相差値を表し、Rth(590)は測定波長590nmにおける厚み方向位相差値を表す。〕
  2. 前記偏光子と前記輝度向上フィルムの間に位置する保護フィルムが、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記輝度向上フィルムが、異方性反射偏光子である請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記異方性反射偏光子が、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記偏光子の厚みが、15μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板が、液晶セルとバックライトとの間に、前記輝度向上フィルムがバックライト側になるように配置されている液晶表示装置。
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