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JP2017115043A - 軟質塩化ビニル樹脂組成物 - Google Patents

軟質塩化ビニル樹脂組成物 Download PDF

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JP2017115043A JP2015252738A JP2015252738A JP2017115043A JP 2017115043 A JP2017115043 A JP 2017115043A JP 2015252738 A JP2015252738 A JP 2015252738A JP 2015252738 A JP2015252738 A JP 2015252738A JP 2017115043 A JP2017115043 A JP 2017115043A
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博幸 西井
Hiroyuki Nishii
博幸 西井
光史 野殿
Mitsufumi Nodono
光史 野殿
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
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Abstract

【課題】非フタル酸系可塑剤を用いても、加工性、可塑剤の滲みだし性、成形品の機械特性が良好である軟質塩化ビニル樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリ塩化ビニル樹脂、非フタル酸系可塑剤、及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。さらには、前記非フタル酸系可塑剤がジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、及び/又はテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルである請求項1に記載の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は軟質塩化ビニル樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、非フタル酸系可塑剤を用いても可塑剤の滲みだし及び揮発が少なく、柔軟性、機械特性に優れる軟質塩化ビニル樹脂組成物に関する。
塩化ビニル樹脂は、耐薬品性・耐候性・難燃性・電気絶縁性等の優れた化学的・物理的性質を有し、かつ安価であることから、利用価値の高い汎用樹脂材料として広く用いられている。優れた性質を有することや、可塑剤添加により容易に柔軟性を付与できること等から、軟質塩化ビニル組成物も広く普及しており、被覆電線・床材・防水シートをはじめとしたシート類、テープ・農業用をはじめとしたフィルム類等、好適な用途は多岐に渡っている。
軟質塩化ビニル組成物には、多くの場合、フタル酸系可塑剤が用いられている。近年、プラスチックの添加剤に含まれる環境ホルモン物質(内分泌撹乱物質)が人体に悪影響があると言う疑いが指摘されている。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂に利用されているフタル酸系可塑剤である、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)は、その代表的物質である。これに代わる非フタル酸系可塑剤として、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、または、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルがある。
特許文献1には、塩化ビニル樹脂に可塑剤として、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートが用いられることが開示されているが、加工性、可塑剤の滲みだし性、成形品の機械特性について、更なる改善が求められている。
特開2011−231226号公報
本発明の課題は、非フタル酸系可塑剤を用いても、加工性、可塑剤の滲みだし性、成形品の機械特性が良好である軟質塩化ビニル樹脂組成物を提供することである。
本発明は以下の態様を有する。
[1]ポリ塩化ビニル樹脂、非フタル酸系可塑剤、及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
[2]前記非フタル酸系可塑剤がジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、及び/又はテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルである[1]に記載の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
[3][1]又は[2]に記載の軟質ポリ塩化ビニル組成物を成形してなる成形体。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂組成物によれば、非フタル酸系可塑剤を用いても、加工性、可塑剤の滲みだし性、成形品の機械特性が良好となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[塩化ビニル樹脂]
本発明で用いる塩化ビニル樹脂は、−CH−CHCl−で表される基を有する全ての重合体を指し、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル・マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・プロピレン共重合体、塩化ビニル・スチレン共重合体、塩化ビニル・イソブチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・スチレン・無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・イソプレン共重合体、塩化ビニル・塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル・各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーとの共重合体;後塩素化ビニル共重合体等の塩化ビニル単独重合体や塩化ビニル系共重合体を改質したもの;更には塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリオレフィンを包含する。これらの塩化ビニル樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度は、300〜5,000の範囲にあることが好ましく、500〜3,000のものがより好ましく、700~1,300のものがさらに好ましい。平均重合度を300以上とすることで、得られる成形体の機械特性が良好となる。また、平均重合度を5,000以下とすることで、ゲル化特性が良好となる。
本発明に用いる塩化ビニル樹脂(A)の製造方法は特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の種々の重合法で製造したものを使用することができる。
[非フタル酸系可塑剤]
本発明に用いる可塑剤としては、非フタル酸系であれば、特に制限されないが、トリメリット酸系化合物、リン酸系化合物、アジピン酸系化合物、クエン酸系化合物、エーテル系化合物、ポリエステル系化合物、大豆油系化合物、シクロヘキサンジカルボキシレート系化合物、テレフタル酸系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、例えば、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソノニル等のトリメリット酸エステル類;リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル等のリン酸エステル類;アジピン酸(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル類;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;ポリプロピレングリコール等のエーテル系化合物;ポリエステル系化合物;エポキシ化大豆油等の大豆油系化合物;ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレー
ト、ジエチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジn−ブチルシクロヘキサ
ン−1,2−ジカルボキシレート、ジ−2−エチルヘキシルシクロヘキサン−1,2−ジ
カルボキシレート、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジイソ
デシルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートなどのシクロヘキサンジカルボキシレート系化合物;ジテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのテレフタル酸系化合物を挙げることができる。中でも、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルが人体への安全性の面で好ましい。これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を組合せて併用することもできる。
非フタル酸系可塑剤の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10〜100質量部であることが好ましく、20〜95質量部がより好ましい。非フタル酸系可塑剤の添加量を10質量部以上とすることで柔軟性が良好となり、100質量部以下とすることで成形加工する際、べたつきが少なく成形性に優れる。
[(メタ)アクリル酸エステル共重合体]
(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、主に塩化ビニル樹脂の粒子間の摩擦力を増大させ、塩化ビニル樹脂の分子間の絡まりを促進することにより、特に塩化ビニル樹脂組成物の溶融粘度特性を改良せしめる働きがある。その結果、塩化ビニル樹脂組成物の加工性、可塑剤の滲みだし性、成形品の機械特性が向上する。また組成物を均一化することにより、得られる成形品の強度を均一化する。
本発明に用いる(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、メタクリル酸メチル単位10〜95質量%、好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは30〜85質量%と、その他のビニル単量体単位5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは15〜70質量%とを含有するものが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体のメタクリル酸メチル単位の含有量が、10質量%以上であると、溶融および混練の効率を高めることができ、外観が良好な成形体を得ることができる。また、95質量%以下とすることで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の粉体としての回収性が容易となる。
その他のビニル単量体単位の原料となるその他のビニル単量体としては、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル、シアン化ビニルを例示することができる。これらの中でも、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数2〜6のメタクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数1〜6のアクリル酸アルキルエステルがさらに好ましい。なお、炭素数が2〜6のメタクリル酸アルキルエステルおよび、炭素数1〜6のアクリル酸アルキルエステルを使用することによって、乳化重合の際の重合が容易となる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を製造する方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合が挙げられるが、好ましくは乳化重合である。さらに、単量体の一括添加、滴下、単量体の分割添加等いずれの方法も用いてもよく、またランダム共重合、ブロック共重合等の方法を用いてもよい。
乳化重合の際に用いることのできる乳化剤は、特に限定されるものではなく、各種乳化剤が使用できる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、またポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤、さらにはアルキルアミン塩等カチオン性界面活性剤を使用することができる。また、これらの乳化剤は単独で又は併用して使用することができる。
使用乳化剤の種類により重合系のpHがアルカリ側になるときは、メタクリル酸アルキルエステルの加水分解を防止するために適当なpH調節剤を使用することもできる。pH調節剤としては、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム、ホウ酸−塩化カリウム−炭酸カリウム、クエン酸−クエン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム−ホウ砂、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸等を使用することができる。
重合開始剤としては、水溶性、油溶性の単独系もしくはレドックス系のものでよく、例として通常の過硫酸塩等の無機開始剤を単独で用いるか、あるいは亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等と組み合わせてレドックス系開始剤として用いることもできる。さらにt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、アゾ化合物等を単独で用いるかあるいはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等と組み合わせてレドックス系開始剤として用いることもできるが、本発明はこれら具体例のみに限定されるものではない。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を粉体状で回収する方法は、特に制限されないが、例えば乳化重合法により製造する場合には、得られたメタクリル酸アルキルエステル系重合体ラテックスを冷却し、しかる後に、硫酸、塩酸、リン酸等の酸、又は塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酢酸カルシウム等の塩等の電解質により、酸凝固もしくは塩析させて重合体を沈澱せしめた後、さらに濾過、洗浄、乾燥して得ることができる。また、噴霧乾燥、凍結凝固などによっても粉体として回収できる。本発明において粉体回収性が良いとは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が一般的な粉体化条件において粗粉や極微粉とならず、粉体回収容易であることを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量に特に制限は無いが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、10万〜1000万が好ましく、15万〜700万であることがより好ましく、20万〜600万であることが更に好ましい。重量平均分子量(Mw)を10万以上とすることで、軟質塩化ビニル樹脂組成物加工時の加工性が向上する。また、1000万以下とすることで、加工時の溶融が早くなり(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分散性が向上する。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量の調整は、重合時の連鎖移動剤、開始剤の使用量の調節及び重合温度の調節等の常用の方法を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えばn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが挙げられる。連鎖移動剤の量は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の全単量体100質量部に対して、0〜2質量部であることが好ましく、0〜1質量部であることがより好ましく、0〜0.5質量部であることが更に好ましい。
また、本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。添加剤としては、無機塩、アエロジル等の粉体流動性改質剤が挙げられる。
本発明の軟質塩化ビニル系樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜15質量部であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の添加量を0.1質量部以上とすることで、ゲル化特性が充分となり成形外観改良効果が得られ、また可塑化効率向上効果が得られる。また、20質量部以下とすることで、成形機内での溶融粘度の著しい増加を防ぎ、良好な成形外観が得られ、また加工機のモーターへの過負荷を防ぐことができる。
本発明の軟質塩化ビニル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その目的に応じて、慣用の安定剤、充填材、難燃剤、滑剤、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
安定剤としては、例えば三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と2‐エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有してなる有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属基と2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった有機酸の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等といった金属系安定剤のほか、エポキシ樹脂、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、有機亜リン酸エステル等の非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
安定剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。1質量部以上とすることで、加工時の熱分解を抑制することができ、15質量部以下とすることで、成形体の機械物性の低下を防ぐことができる。
充填材としては、タルク、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質系のもののほか、ポリアミド等のような有機繊維も使用でき、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
充填材の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。1質量部以上とすることで、成形体に適度な剛性を付与することができ、150質量部以下とすることで、成形体の柔軟性の低下を防ぐことができる。
難燃剤としては、例えば金属水酸化物、臭素系化合物、トリアジン環含有化合物、亜鉛化合物、リン系化合物、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、イントメッセント系難燃剤、酸化アンチモン等が使用できる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
難燃剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。1質量部以上とすることで、成形体の難燃性を向上することができ、150質量部以下とすることで、成形体の柔軟性の低下を防ぐことができる。
滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤、ハロゲン化炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤のほか、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
滑剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。0.1質量部以上とすることで、樹脂組成物の成形機への付着を低減することができ、15質量部以下とすることで、加工性の低下を防ぐことができる。
耐衝撃性改質剤を配合する場合には、例えば塩素化ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン‐ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル‐スチレン‐ブタジエン共重合体ゴム、メタクリル酸メチル‐スチレン‐ブタジエン共重合体ゴム、アクリル酸エステル‐メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系コアシェル型ゴム、シリコーン‐アクリル酸エステル‐メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン‐アクリル酸エステル‐アクリロニトリル‐スチレン共重合体等のシリコーン系コアシェル型ゴム、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。EPDMのジエンとしては、1,4‐ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等が使用できる。これらの耐衝撃性改質剤は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
耐衝撃性改質剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。1質量部以上とすることで、成形体の衝撃強度を向上することができ、20質量部以下とすることで、成形外観の低下を防ぐことができる。
その他、離型剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤、発泡剤等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて任意に配合することができる。
本発明の軟質塩化ビニル系樹脂組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、一般公知の方法を用いることができ、例えば所定量の塩化ビニル樹脂と非フタル酸系可塑剤、(メタ)アクリル酸エステル共重合体とをヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、V型ミキサー、リボンブレンダー等で混合することで得られる。
得られた軟質塩化ビニル系樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押機等の混練押出機による押出成形の他、通常の公知の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、ロール加工等にも適用して各種所望の成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例、比較例中「部」とあるのは「質量部」を示し、評価は下記により行った。
(1)硬度
軟質塩化ビニル樹脂組成物の成形体シートをJISK7215に基づき、タイプAデュロメータ(高分子計器社製、「デジタルゴム硬度計DD2−A型」)を用い、4秒保持後の表面硬度を測定した。値が低いほど柔軟性が良好となる。評価用シートは1mm厚のものを4枚重ねて硬度を測定した。
(2)引張特性
軟質塩化ビニル樹脂組成物の成形体シート(1mm厚)をJISK6723に基づき、JIS2号ダンベルを打ち抜き、200mm/minにて引張試験を行い測定した。引張強度、引張伸び率が高いほど軟質塩化ビニル樹脂組成物の機械特性が良好となる。
(3)耐ブリード性
軟質塩化ビニル樹脂組成物の1mm厚の成形体シートを40mm角にカットし、スライドガラス上に設置後、140℃で4時間加熱処理しスライドガラスの曇価をHazeメーター(村上色彩研究所 HR−100)を用い評価した。スライドガラスのHazeが低いほど耐ブリード性が良好となる。
(4)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量
(メタ)アクリル酸エステル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定を行った。なお、本発明におけるMw、Mnは、標準ポリスチレンによる検量線を基に算出した。
装置 :東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:東ソー(株)製 TSKgel SuperHZM−M
(内径:4.6mm×長さ15cm、本数:4本、排除限界:4×10
溶離液:THF
流速 :0.35ml/分
温度 :40℃
サンプル濃度 :0.1%
サンプル注入量:10μl
検出器:RI(UV)
[製造例1](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−1)の製造
攪拌機及び環流冷却器つき反応容器にイオン交換水230部を仕込み、そこに乳化剤として、アルケニルコハク酸ジカリウムを1.1部、メタクリル酸メチル80部、アクリル酸‐n‐ブチル20部を加えて、撹拌下で容器内を窒素で置換した。その後、反応容器を45℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を仕込み重合反応を開始させた後、2時間加熱攪拌して重合を終了した。得られたエマルションを冷却後、イオン交換水600部、硫酸2部の希硫酸水溶液中に滴下し、凝析させ、スラリー温度を90℃、5分保持後に水洗工程及び乾燥工程を加え、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−1)を粉末として回収した。エマルションの固形分は30.3%であり、重量平均分子量(Mw)は310万であった。
[製造例2](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−2)の製造
攪拌機及び環流冷却器つき反応容器にイオン交換水300部を仕込み、そこに乳化剤として、アルケニルコハク酸ジカリウムを0.65部、メタクリル酸メチル80部、アクリル酸‐n‐ブチル20部を加えて、撹拌下で容器内を窒素で置換した。その後、反応容器を42℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を仕込み重合反応を開始させた後、2時間加熱攪拌して重合を終了した。得られたエマルションを冷却後、イオン交換水600部、硫酸2部の希硫酸水溶液中に滴下し、凝析させ、スラリー温度を90℃、5分保持後に水洗工程及び乾燥工程を加え、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−2)を粉末として回収した。エマルションの固形分は25.1%であり、重量平均分子量(Mw)は450万であった。
[製造例3](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−3)の製造
攪拌機および環流冷却器つき反応容器にイオン交換水180部を仕込み、そこに無水炭酸ナトリウム0.1部、メタクリル酸メチル68部、アクリル酸‐n‐ブチル3部、メタクリル酸‐n‐ブチル29部およびn‐オクチルメルカプタン0.004部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、ラウリル硫酸ナトリウム1.1部を加え、攪拌下で反応容器を45℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を仕込み重合反応を開始させた後、2時間加熱攪拌して重合を終了した。得られたエマルションを冷却後、入口温度160℃および出口温度70℃条件で噴霧乾燥を行い、粉末状の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−3)を得た。エマルションの固形分は35.5%であり、重量平均分子量(Mw)は220万であった。
[製造例4](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−4)の製造
攪拌機および環流冷却器つき反応容器にイオン交換水151部を仕込み、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸‐n‐ブチル50部およびn‐オクチルメルカプタン0.09部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、アルケニルコハク酸ジカリウム1.2部を加え、攪拌下で反応容器を45℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を仕込み重合反応を開始させた。重合発熱によるピーク温度到達後、内温が70℃となった時点で、メタクリル酸メチル20部、n‐オクチルメルカプタン0.05部からなる単量体混合物を40分かけて滴下し、滴下後に90分保持して重合を完結させた。得られたエマルションを冷却後、イオン交換水600部、硫酸2部の希硫酸水溶液中に滴下し、凝析させ、スラリー温度を90℃、5分保持後に水洗工程及び乾燥工程を加え、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−4)を粉末として回収した。エマルションの固形分は40.2%であり、重量平均分子量(Mw)は26万であった。
[製造例5](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−5)の製造
攪拌機および環流冷却器つき反応容器にイオン交換水260部を仕込み、メタクリル酸メチル67部、アクリル酸‐n‐ブチル1部およびn‐オクチルメルカプタン0.017部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、アルケニルコハク酸ジカリウム1.5部を加え、攪拌下で反応容器を43℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.15部を仕込み重合反応を開始させた。重合発熱によるピーク温度到達後、内温が68℃となった時点で、メタクリル酸メチル11部、アクリル酸‐n‐ブチル11部、n‐オクチルメルカプタン0.2部からなる単量体混合物を60分かけて滴下し、滴下後に60分保持。保持後、さらに、メタクリル酸メチル10部、n‐オクチルメルカプタン0.05部からなる単量体混合物を30分かけて滴下し、滴下後に90分の保持をもって重合を完結させた。得られたエマルションを冷却後、イオン交換水600部、硫酸2部の希硫酸水溶液中に滴下し、凝析させ、スラリー温度を90℃、5分保持後に水洗工程及び乾燥工程を加え、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−5)を粉末として回収した。エマルションの固形分は28.1%であり、重量平均分子量(Mw)は95万であった。
[製造例6](メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−6)の製造
攪拌機および環流冷却器つき反応容器にイオン交換水150部を仕込み、メタクリル酸メチル40部、アクリル酸‐n‐ブチル2部およびn‐オクチルメルカプタン0.004部を加えて、容器内を窒素で置換した。その後、アルケニルコハク酸ジカリウム1.05部を加え、攪拌下で反応容器を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.12部を仕込み重合反応を開始させた。重合発熱によるピーク温度到達後、内温が70℃となった時点で、メタクリル酸メチル44部、アクリル酸‐n‐ブチル14部からなる単量体混合物を90分かけて滴下し、滴下後に120分保持して重合を完結させた。得られたエマルションを冷却後、イオン交換水600部、硫酸2部の希硫酸水溶液中に滴下し、凝析させ、スラリー温度を90℃、5分保持後に水洗工程及び乾燥工程を加え、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−6)を粉末として回収した。エマルションの固形分は40.3%であり、重量平均分子量(Mw)は150万であった。
[参考例1]
塩化ビニル樹脂100部(TK−800 平均重合度800 信越化学工業製)、バリウム−亜鉛系安定剤2部、可塑剤としてジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(ヘキサモールDINCH BASF社製)90部をヘンシェルミキサーで内温が110℃になるまで2000回転で高速混合した。得られた軟質塩化ビニル樹脂組成物を8inch熱ロールで140℃、5分混練し軟質塩化ビニル樹脂組成物シートを成形した。得られた軟質塩化ビニル樹脂組成物シートを160℃の熱プレス機で1mm厚に成形し、各種評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例1]
参考例1において、軟質塩化ビニル樹脂組成物を得た後に、製造例1で作製した(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C−1)を5部配合し、8inch熱ロールで140℃、5分混練し軟質塩化ビニル樹脂組成物シートを成形した。得られた軟質塩化ビニル樹脂組成物シートを160℃の熱プレス機で1mm厚に成形し、各種評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
用いる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表1に示す。

表中の略号は以下の通りである。
DINCH:ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(ヘキサモールDINCH BASF社製)
[参考例2]
用いる可塑剤の種類をテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOTP 株式会社ジェイプラス製)に変更した以外は参考例1と同様にして各種評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7〜12]
用いる可塑剤の種類をテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOTP 株式会社ジェイプラス製)に変更した以外は実施例1〜6と同様にして各種評価を行った。結果を表2に示す。

表中の略号は以下の通りである。
DOTP:テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOTP 株式会社ジェイプラス製)
(メタ)アクリル酸エステル共重合体が配合されていない参考例1に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を配合した実施例1〜6は、引張強度、引張伸び率が向上し、耐ブリード性も良好であった。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体が配合されていない参考例2に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が配合された実施例7~12は、引張強度及び引張伸び率が向上し、耐ブリード性も良好な結果であった。

Claims (3)

  1. ポリ塩化ビニル樹脂、非フタル酸系可塑剤、及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
  2. 前記非フタル酸系可塑剤がジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、及び/又はテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシルである請求項1に記載の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の軟質ポリ塩化ビニル組成物を成形してなる成形体。
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