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JP2017105377A - ハイブリッド車両の駆動制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の駆動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】バッテリの消費電力を抑制でき、車両の走行性能を向上させることができるハイブリッド車両の駆動制御装置を提供すること。【解決手段】ハイブリッド車両の駆動制御装置は、ギャップフィリング、停車IS、およびEV走行が許可される動作許可範囲をそれぞれ設定する動作許可範囲設定部10AをHCU10に備える。動作許可範囲設定部10Aは、ギャップフィリングの動作許可範囲を最も広く設定する。動作許可範囲設定部10Aは、第3蓄電装置33の充電状態に応じて、ギャップフィリング、停車IS、およびEV走行の動作許可範囲をそれぞれ設定する。動作許可範囲設定部10Aは、停車ISの動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも広く設定する。動作許可範囲設定部10Aは、アシスト走行の動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも狭く設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両の駆動制御装置に関する。
一般に、ハイブリッド車両は、エンジンと、バッテリから供給される電力で駆動する電動モータと、を備えており、発進時などに電動モータのみで走行し、加速時にはエンジンの駆動力に電動モータの駆動力を付与して走行する。
従来、この種のハイブリッド車両としては特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたものは、エンジンと変速機構との間に設けたクラッチをアクチュエータにより接続または切断している。特許文献1に記載のものは、変速動作時に電動モータの駆動力を駆動輪に付与することにより、変速時のクラッチの切断による減速感を低減し、車両の走行性能を向上させている。また、特許文献1に記載のものは、変速時だけでなく、車両の発進時や加速時の補助等にも電動モータの駆動力を駆動輪に付与している。
特許第3644207号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものは、発進時、加速時および変速時の全てで電動モータの駆動力を駆動輪に付与しているため、バッテリの消費電力が大きくなってしまうという問題がある。一方、バッテリの消費電力を低減させるために電動モータを駆動させる頻度を下げた場合、変速動作時の減速感を低減させることができなくなり、車両の走行性能が低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、バッテリの消費電力を抑制でき、車両の走行性能を向上させることができるハイブリッド車両の駆動制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するハイブリッド車両の発明の一態様は、エンジンと、クラッチの断続と変速段の変更を行うアクチュエータを有する自動変速機と、運転条件に応じて前記アクチュエータを駆動し前記自動変速機の変速動作を制御する変速制御部と、バッテリと、前記バッテリから供給される電力で駆動され、かつ前記自動変速機から駆動輪までの動力伝達経路に連結された電動モータと、前記エンジン、前記変速制御部、前記電動モータを制御する車両制御部と、を備え、前記車両制御部が、前記変速動作に伴う前記クラッチの切断時に、前記電動モータのモータトルクを前記駆動輪に付与する第1制御動作と、予め設定された自動停止条件が成立した場合に、前記エンジンを自動停止する第2制御動作と、前記電動モータを駆動源として走行する第3制御動作と、を動作許可時に実行するハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記第1制御動作、前記第2制御動作、および前記第3制御動作が許可される動作許可範囲をそれぞれ設定する動作許可範囲設定部を備え、前記動作許可範囲設定部は、前記第1制御動作の動作許可範囲を最も広く設定することを特徴とする。
本発明によれば、バッテリの消費電力を抑制でき、車両の走行性能を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、ハイブリッド車両の構成図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、ギャップフィリング機能、停車IS機能、EV走行機能およびアシスト走行機能の優先順位を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、HCUに記憶される動作点補正マップを示す図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、HCUに記憶されるアシスト量決定マップを示す図である。 図5は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、HCUにより実行される機能制限動作を説明するフローチャートである。 図6は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両を示す図であり、HCUの動作許可範囲設定部に設定される動作許可範囲を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態に係る駆動制御装置を搭載した車両について説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、内燃機関としてのエンジン2と、トランスミッション3と、モータジェネレータ4と、駆動輪5と、ハイブリッド車両1を総合的に制御する車両制御部としてのHCU(Hybrid Control Unit)10と、エンジン2を制御するECM(Engine Control Module)11と、トランスミッション3を制御するTCM(Transmission Control Module)12と、ISGCM(Integrated Starter Generator Control Module)13と、INVCM(Invertor Control Module)14と、低電圧BMS(Battery Management System)15と、高電圧BMS16とを含んで構成される。
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施形態において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行うように構成されている。
エンジン2には、ISG(Integrated Starter Generator)20と、スタータ21とが連結されている。ISG20は、ベルト22などを介してエンジン2のクランクシャフト18に連結されている。ISG20は、電力が供給されることにより回転することでエンジン2を始動させる電動機の機能と、クランクシャフト18から入力された回転力を電力に変換する発電機の機能とを有する。
本実施形態では、ISG20は、ISGCM13の制御により、電動機として機能することで、エンジン2をアイドリングストップ機能による停止状態から再始動させるようになっている。ISG20は、電動機として機能することで、ハイブリッド車両1の走行をアシストすることもできる。
スタータ21は、図示しないモータとピニオンギヤとを含んで構成されている。スタータ21は、モータを回転させることにより、クランクシャフト18を回転させて、エンジン2に始動時の回転力を与えるようになっている。このように、エンジン2は、スタータ21によって始動され、アイドリングストップ機能による停止状態からISG20によって再始動される。
トランスミッション3は、エンジン2から出力された回転を変速し、ドライブシャフト23を介して駆動輪5を駆動するようになっている。トランスミッション3は、平行軸歯車機構からなる常時噛合式の変速機構25と、乾式単板クラッチによって構成されるクラッチ26と、ディファレンシャル機構27と、アクチュエータとしてのクラッチアクチュエータ51およびシフトアクチュエータ52と、を備えている。
クラッチアクチュエータ51は、TCM12の制御によってクラッチ26の断続(切断と接続)を行うようになっている。シフトアクチュエータ52は、TCM12の制御によって変速機構25の図示しないシフトスリーブを移動して、変速段の切換を行うようになっている。以下、クラッチ26を切断して変速段の切換を行うことを変速という。
このように、トランスミッション3は、TCM12の制御により自動で変速を行うことが可能な、いわゆるAMT(Automated Manual Transmission)として構成されている。トランスミッション3は、本発明における自動変速機を構成している。ディファレンシャル機構27は、変速機構25によって出力された動力をドライブシャフト23に伝達するようになっている。
モータジェネレータ4は、ディファレンシャル機構27に対して、チェーン等の動力伝達機構28を介して連結されている。すなわち、モータジェネレータ4は、トランスミッション3から駆動輪5までの動力伝達経路に連結されている。
モータジェネレータ4は、電動機として機能し、第3蓄電装置33から供給される電力で駆動する。モータジェネレータ4は、本発明における電動モータを構成している。第3蓄電装置33は、本発明におけるバッテリを構成している。
このように、ハイブリッド車両1は、エンジン2とモータジェネレータ4を並列に連結したパラレルハイブリッドシステムを構成している。ハイブリッド車両1は、エンジン2及びモータジェネレータ4の少なくとも一方が発生する動力により走行する。
ハイブリッド車両1は、エンジン2が発生するエンジントルクのみによる走行と、モータジェネレータ4が発生するモータトルクのみによる走行(EV走行)と、モータジェネレータ4を力行運転してエンジン2のエンジントルクをアシストする走行(アシスト走行)と、が可能である。このように、ハイブリッド車両1は、EV走行機能とアシスト走行機能を備えている。
モータジェネレータ4は、発電機としても機能し、ハイブリッド車両1の走行によって発電を行うようになっている。なお、モータジェネレータ4は、トランスミッション3から駆動輪5までの動力伝達経路の何れかの箇所に動力伝達可能に連結されていればよく、必ずしもディファレンシャル機構27に連結される必要はない。
ハイブリッド車両1は、第1蓄電装置30と、第2蓄電装置31を含む低電圧パワーパック32と、第3蓄電装置33を含む高電圧パワーパック34と、高電圧ケーブル35と、低電圧ケーブル36とを備えている。
第1蓄電装置30、第2蓄電装置31及び第3蓄電装置33は、充電可能な二次電池から構成されている。第1蓄電装置30は鉛電池からなる。第2蓄電装置31は、第1蓄電装置30よりも高出力かつ高エネルギー密度な蓄電装置である。
第2蓄電装置31は、第1蓄電装置30と比較して短い時間で充電が可能である。本実施形態では、第2蓄電装置31はリチウムイオン電池からなる。なお、第2蓄電装置31はニッケル水素蓄電池であってもよい。
第1蓄電装置30及び第2蓄電装置31は、約12Vの出力電圧を発生するようにセルの個数等が設定された低電圧バッテリである。第3蓄電装置33は、例えば、ニッケル水素蓄電池からなる。
第3蓄電装置33は、第1蓄電装置30及び第2蓄電装置31より高電圧を発生するようにセルの個数等が設定された高電圧バッテリである。第3蓄電装置33の残容量などの状態は、高電圧BMS16によって管理される。
ハイブリッド車両1には、電気負荷としての一般負荷37及び被保護負荷38が設けられている。一般負荷37及び被保護負荷38は、スタータ21及びISG20以外の電気負荷である。
被保護負荷38は、常に安定した電力供給が要求される電気負荷である。この被保護負荷38は、車両の横滑りを防止するスタビリティ制御装置38A、操舵輪の操作力を電気的にアシストする電動パワーステアリング制御装置38B、及びヘッドライト38Cを含んでいる。なお、被保護負荷38は、図示しないインストルメントパネルのランプ類及びメータ類並びにカーナビゲーションシステムも含んでいる。
一般負荷37は、被保護負荷38と比較して安定した電力供給が要求されず、一時的に使用される電気負荷である。一般負荷37には、例えば、図示しないワイパー、及び、エンジン2に冷却風を送風する電動クーリングファンが含まれる。
低電圧パワーパック32は、第2蓄電装置31に加えて、スイッチ40、41を有している。第1蓄電装置30及び第2蓄電装置31は、低電圧ケーブル36を介して、スタータ21と、ISG20と、電気負荷としての一般負荷37及び被保護負荷38とに電力を供給可能に接続されている。被保護負荷38に対しては、第1蓄電装置30と第2蓄電装置31とが並列に電気的に接続されている。
スイッチ40は、第2蓄電装置31と被保護負荷38との間の低電圧ケーブル36に設けられている。スイッチ41は、第1蓄電装置30と被保護負荷38との間の低電圧ケーブル36に設けられている。
低電圧BMS15は、スイッチ40、41の開閉を制御することで、第2蓄電装置31の充放電及び被保護負荷38への電力供給を制御している。低電圧BMS15は、アイドリングストップによりエンジン2が停止しているときは、スイッチ40を閉じてスイッチ41を開くことで、高出力かつ高エネルギー密度な第2蓄電装置31から被保護負荷38に電力を供給するようになっている。
低電圧BMS15は、エンジン2をスタータ21によって始動するとき、及び、アイドリングストップ制御によって停止しているエンジン2をISG20によって再始動するときに、スイッチ40を閉じてスイッチ41を開くことで、第1蓄電装置30からスタータ21又はISG20に電力を供給するようになっている。スイッチ40を閉じてスイッチ41を開いた状態では、第1蓄電装置30から一般負荷37にも電力が供給される。
このように、第1蓄電装置30は、エンジン2を始動する始動装置としてのスタータ21及びISG20に少なくとも電力を供給するようになっている。第2蓄電装置31は、一般負荷37及び被保護負荷38に少なくとも電力を供給するようになっている。
第2蓄電装置31は、一般負荷37と被保護負荷38の両方に電力を供給可能に接続されているが、常に安定した電力供給が要求される被保護負荷38に優先的に電力を供給するようにスイッチ40、41が低電圧BMS15により制御される。
低電圧BMS15は、第1蓄電装置30及び第2蓄電装置31の充電状態(SOC:State Of Charge、充電残量、充電容量ともいう)、並びに、一般負荷37及び被保護負荷38への作動要求を考慮しつつ、被保護負荷38が安定して作動することを優先して、スイッチ40、41を上述した例と異なるように制御することがある。
高電圧パワーパック34は、第3蓄電装置33に加えて、インバータ45を有している。高電圧パワーパック34は、高電圧ケーブル35を介して、モータジェネレータ4に電力を供給可能に接続されている。
インバータ45は、INVCM14の制御により、高電圧ケーブル35にかかる交流電力と、第3蓄電装置33にかかる直流電力とを相互に変換するようになっている。例えば、INVCM14は、モータジェネレータ4を力行させるときには、第3蓄電装置33が放電した直流電力をインバータ45により交流電力に変換させてモータジェネレータ4に供給する。
INVCM14は、モータジェネレータ4を回生させるときには、モータジェネレータ4が発電した交流電力をインバータ45により直流電力に変換させて第3蓄電装置33に充電する。
HCU10、ECM11、TCM12、ISGCM13と、INVCM14、低電圧BMS15及び高電圧BMS16は、それぞれCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
これらのコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをHCU10、ECM11、TCM12、ISGCM13と、INVCM14、低電圧BMS15及び高電圧BMS16としてそれぞれ機能させるためのプログラムが格納されている。
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、これらのコンピュータユニットは、本実施形態におけるHCU10、ECM11、TCM12、ISGCM13と、INVCM14、低電圧BMS15及び高電圧BMS16としてそれぞれ機能する。
本実施形態において、ECM11は、アイドリングストップ制御を実行するようになっている。このアイドリングストップ制御において、ECM11は、所定の停止条件の成立時にエンジン2を停止させ、所定の再始動条件の成立時にISGCM13を介してISG20を駆動してエンジン2を再始動させるようになっている。このため、エンジン2の不要なアイドリングが行われなくなり、ハイブリッド車両1の燃費を向上させることができる。
本実施形態では、ECM11は、車両停止状態(車速がゼロである)であることを所定の停止条件としてエンジン2を停止させるようになっている。このように、ハイブリッド車両1は、車両停車時にアイドリングストップを行う停車IS(Idling Stop)機能を備えている。
ハイブリッド車両1には、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内LAN(Local Area Network)を形成するためのCAN通信線48、49が設けられている。
HCU10は、INVCM14及び高電圧BMS16にCAN通信線48によって接続されている。HCU10、INVCM14及び高電圧BMS16は、CAN通信線48を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行う。
HCU10は、ECM11、TCM12、ISGCM13及び低電圧BMS15にCAN通信線49によって接続されている。HCU10、ECM11、TCM12、ISGCM13及び低電圧BMS15は、CAN通信線49を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行う。HCU10は、制御信号等の信号の送受信によって、エンジン2、TCM12、モータジェネレータ4を制御する。
本実施形態では、TCM12は、運転条件に応じてクラッチアクチュエータ51およびシフトアクチュエータ52を駆動し、トランスミッション3の変速動作を制御する。
本実施形態のハイブリッド車両1は、ギャップフィリング機能を備えている。ギャップフィリング機能とは、トランスミッション3の変速中にモータジェネレータ4を駆動し、モータジェネレータ4のトルクを駆動輪5に付与する機能である。
HCU10は、ギャップフィリング制御動作を動作許可時に実行することで、ギャップフィリング機能を実現する。HCU10は、ギャップフィリング制御動作において、変速中に駆動輪5で伝達できない分のエンジントルクと等しいモータトルクをモータジェネレータ4に発生させる。このギャップフィリング機能により、変速中のクラッチ26の切断による減速感が抑制され、車両の走行性能を向上できる。
HCU10は、変速動作に伴うクラッチ26の切断時に、モータジェネレータ4のモータトルクを駆動輪5に付与するギャップフィリング制御動作を、動作許可時に実行する。また、HCU10は、予め設定された自動停止条件が成立した場合に、エンジン2を自動停止する停車IS制御動作を、動作許可時に実行する。
また、HCU10は、モータジェネレータ4を駆動源として走行するEV走行制御動作を、動作許可時に実行する。また、HCU10は、モータジェネレータ4を力行運転してエンジンのエンジントルクをアシストするアシスト走行制御動作を、動作許可時に実行する。
これらのギャップフィリング制御動作、停車IS制御動作、EV走行制御動作、アシスト走行制御動作は、それぞれ本発明における第1制御動作、第2制御動作、第3制御動作、第4制御動作に対応する。
図2に示すように、前述のギャップフィリング、停車IS、EV走行、およびアシスト走行の各制御動作には、第3蓄電装置33の充電状態に応じた優先順位が設定されている。図2において、優先順位が1のギャップフィリングが最も優先順位が高く、優先順位が2の停車ISが2番目に優先順位が高く、優先順位が3のEV走行が3番目に優先順位が高く、優先順位が4のアシスト走行が4番目に優先順位が高く設定されている。
これらの優先順位は、ギャップフィリング、停車IS、EV走行、アシスト走行の動作許可範囲をそれぞれ設定することにより実現されている。
HCU10は、動作許可範囲設定部10A(図1参照)を備えており、この動作許可範囲設定部10Aは、ギャップフィリング、停車IS、EV走行、アシスト走行の各制御動作の動作許可範囲をそれぞれ設定する。
HCU10のROMには、図3に示す動作点補正マップが記憶されている。この動作点補正マップにおいて、縦軸はエンジントルク[N・m]を示し、横軸はエンジン回転速度[rpm]を示している。HCU10は、アシスト走行時に、エンジントルクとエンジン回転速度の組み合わせからなる動作点を、この動作点補正マップを参照して補正する。
動作点補正マップには、曲線状の目標動作点ラインが設定されており、この目標動作点ラインは、最も熱効率の良い動作点でエンジン2を動作させるためのエンジントルクをエンジン回転速度毎に定めたものである。また、動作点補正マップには、楕円状の等効率ラインが設定されている。この等熱効率ラインは、目標動作点ライン上の動作点に対して熱効率の等しい点を結んでできるラインである。
HCU10は、エンジン2の発生するエンジントルクと、モータジェネレータ4が発生するモータトルクの和がドライバの要求トルクと等しくなるように、エンジン2およびモータジェネレータ4を制御する。
その際、HCU10は、車両加速時等で、ドライバの要求トルクが、目標動作点ライン上のP2より大きなP1である場合、エンジン2の動作点を目標動作点ライン上のP2に下げるように補正する。
そして、HCU10は、P1とP2の差分のトルク(エンジントルクの減少分)をアシストする(補う)ように、モータジェネレータ4にモータトルクを発生させる。
HCU10のROMには、図4に示すアシスト量決定マップが記憶されている。このアシスト量決定マップには、第3蓄電装置33の充電状態(図中、SOCと記す)とモータトルク(アシスト量)との相関が設定されている。
アシスト量決定マップにおいて、モータトルクは、充電状態が大きくなるに連れて大きくなるように設定されている。HCU10は、アシスト走行時に、このアシスト量決定マップを参照してモータトルクを決定する。
このように、HCU10は、アシスト走行の実行時に、第3蓄電装置33の充電状態に応じてモータジェネレータ4のモータトルクを設定している。なお、補正後の動作点は、必ずしも目標動作点ライン上に設定されるのではなく、目標動作点ラインの近傍の領域内で、第3蓄電装置33の充電状態に応じて変化する。
図6は、動作許可範囲設定部10A(図1参照)に設定される動作許可範囲を示している。なお、図6の縦軸は充電状態(図中、SOCと記す)を示し、上に行くに連れて充電状態が大きくなっている。
動作許可範囲設定部10Aは、第3蓄電装置33の充電状態に応じて、ギャップフィリング、停車IS、およびEV走行の動作許可範囲をそれぞれ設定している。
図6において、ギャップフィリングの動作許可範囲が最も広く設定され、停車ISの動作許可範囲が2番目に広く設定され、EV走行の動作許可範囲が3番目に広く設定され、アシスト走行の動作許可範囲が4番目に広く設定されている。
このように、動作許可範囲設定部10Aは、停車ISの動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも広く設定している。動作許可範囲設定部10Aは、アシスト走行の動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも狭く設定している。
以上のように構成されたハイブリッド車両の駆動制御装置において実行される機能制限動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
図5に示す機能制限動作において、まず、HCU10は、第3蓄電装置33の充電状態が第4の既定値以下であるか否かを判別する(ステップS1)。ステップS1で充電状態が第4の既定値より大きいと判別した場合(ステップS1でNO)、図6に示すように、アシスト走行、EV走行、停車ISおよびギャップフィリングの各動作許可範囲内に充電状態があるため、HCU10は、これらの全ての制御動作を許可する。
ステップS1で充電状態が第4の既定値以下であると判別した場合(ステップS1でYES)、HCU10は、第3蓄電装置33の充電状態が第3の既定値以下であるか否かを判別する(ステップS3)。第3の規定値は、第4の規定値より小さい値である。
ステップS3で充電状態が第3の既定値より大きいと判別した場合(ステップS3でNO)、図6に示すように、アシスト走行の動作許可範囲外に充電状態があるため、HCU10は、アシスト走行を制限し(ステップS4)、このフローチャートを終了する。
このように、充電状態が第4の規定値以下、かつ、第3の規定より大きい場合は、アシスト走行が制限される。
ステップS3で充電状態が第3の既定値以下であると判別した場合(ステップS3でYES)、HCU10は、充電状態が第2の既定値以下であるか否かを判別する(ステップS5)。第2の規定値は、第3の規定値よりも小さい値である。
ステップS5で充電状態が第2の既定値より大きいと判別した場合(ステップS5でNO)、図6に示すように、EV走行の動作許可範囲の外に充電状態があるため、HCU10は、EV走行を制限し(ステップS6)、このフローチャートを終了する。
このように、充電状態が第3の規定値以下、かつ、第2の既定値より大きい場合は、アシスト走行が制限され、EV走行が制限される。
ステップS5で充電状態が第2の既定値以下であると判別した場合(ステップS5でYES)、HCU10は、充電状態が第1の既定値以下であるか否かを判別する(ステップS7)。第1の規定値は、第2の規定値よりも小さい値である。
ステップS7で充電状態が第1の既定値より大きいと判別した場合(ステップS7でNO)、図6に示すように、停車ISの動作許可範囲の外に充電状態があるため、HCU10は、停車ISを禁止し(ステップS8)、このフローチャートを終了する。
このように、充電状態が第2の規定値以下、かつ、第1の既定値より大きい場合は、アシスト走行が制限され、EV走行が制限され、停車ISが禁止される。
ステップS7で充電状態が第1の既定値以下であると判別した場合(ステップS7でYES)、図6に示すように、ギャップフィリングの動作許可範囲の外に充電状態があるため、HCU10は、ギャップフィリングを制限し(ステップS9)、このフローチャートを終了する。ギャップフィリングの制限とは、ギャップフィリングのためのモータトルクをより小さい値に制限することである。
このように、充電状態が第1の規定値以下の場合は、アシスト走行が制限され、EV走行が制限され、停車ISが禁止され、ギャップフィリングが制限される。
以上のように説明した本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置は、ギャップフィリング、停車IS、およびEV走行が許可される動作許可範囲をそれぞれ設定する動作許可範囲設定部10AをHCU10に備えている。そして、動作許可範囲設定部10Aは、ギャップフィリングの動作許可範囲を最も広く設定している。
この構成により、停車ISが禁止され、かつEV走行が制限されている状態であっても、ギャップフィリングが許可される。停車ISが禁止され、かつ、EV走行が制限されると、第3蓄電装置33の消費電力を抑制できる。
また、第3蓄電装置33の消費電力を抑制できることにより、ギャップフィリングのために消費する電力を確保することができ、ギャップフィリングの実施によって車両の走行性能を向上させることができる。
この結果、第3蓄電装置33の消費電力を抑制でき、車両の走行性能を向上させることができる。
また、本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置において、動作許可範囲設定部10Aは、第3蓄電装置33の充電状態に応じて、ギャップフィリング、停車IS、およびEV走行の動作許可範囲をそれぞれ設定している。
この構成により、第3蓄電装置33の充電状態が第2の既定値以下のときは、停車ISが禁止され、EV走行が制限され、ギャップフィリングが許可される。このため、停車ISの禁止とEV走行の制限により第3蓄電装置33の消費電力を抑制できる。
また、本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置において、動作許可範囲設定部10Aは、停車ISの動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも広く設定している。
この構成により、第3蓄電装置33の充電状態が第3の規定値以下のときは、EV走行が制限され、停車ISが許可される。このため、EV走行の制限により第3蓄電装置33の消費電力を抑制できる。
また、本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置において、HCU10は、モータジェネレータ4を力行運転してエンジン2のエンジントルクをアシストするアシスト走行を動作許可時に実行する。また、動作許可範囲設定部10Aは、アシスト走行の動作許可範囲をEV走行の動作許可範囲よりも狭く設定している。
この構成により、第3蓄電装置33の充電状態が第4の既定値以下のときは、アシスト走行が制限されるため、アシスト走行の制限により第3蓄電装置33の消費電力を抑制できる。
また、本実施形態のハイブリッド車両の駆動制御装置において、HCU10は、アシスト走行の実行時に、第3蓄電装置33の充電状態に応じてモータジェネレータ4のモータトルクを設定している。
この構成により、アシスト走行のためのモータジェネレータ4のモータトルクを第3蓄電装置33の充電状態に応じて設定することで、第3蓄電装置33の充電状態が低いときにモータトルクを小さくできる。モータトルクを小さくすることで、第3蓄電装置33の消費電力を抑制でき、第3蓄電装置33の充電状態が適切な範囲を超えないようにすることができる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
3 トランスミッション(自動変速機)
4 モータジェネレータ(電動モータ)
5 駆動輪
10 HCU(車両制御部)
10A 動作許可範囲設定部
12 TCM(変速制御部)
26 クラッチ
33 第3蓄電装置(バッテリ)
51 クラッチアクチュエータ(アクチュエータ)
52 シフトアクチュエータ(アクチュエータ)

Claims (5)

  1. エンジンと、
    クラッチの断続と変速段の変更を行うアクチュエータを有する自動変速機と、
    運転条件に応じて前記アクチュエータを駆動し前記自動変速機の変速動作を制御する変速制御部と、
    バッテリと、
    前記バッテリから供給される電力で駆動され、かつ前記自動変速機から駆動輪までの動力伝達経路に連結された電動モータと、
    前記エンジン、前記変速制御部、前記電動モータを制御する車両制御部と、を備え、
    前記車両制御部が、
    前記変速動作に伴う前記クラッチの切断時に、前記電動モータのモータトルクを前記駆動輪に付与する第1制御動作と、
    予め設定された自動停止条件が成立した場合に、前記エンジンを自動停止する第2制御動作と、
    前記電動モータを駆動源として走行する第3制御動作と、を動作許可時に実行するハイブリッド車両の駆動制御装置において、
    前記第1制御動作、前記第2制御動作、および前記第3制御動作が許可される動作許可範囲をそれぞれ設定する動作許可範囲設定部を備え、
    前記動作許可範囲設定部は、前記第1制御動作の動作許可範囲を最も広く設定することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
  2. 前記動作許可範囲設定部は、前記第2制御動作の動作許可範囲を前記第3制御動作の動作許可範囲よりも広く設定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
  3. 前記車両制御部は、前記電動モータを力行運転して前記エンジンのエンジントルクをアシストする第4制御動作を動作許可時に実行し、
    前記動作許可範囲設定部は、前記第4制御動作の動作許可範囲を前記第3制御動作の動作許可範囲よりも狭く設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
  4. 前記動作許可範囲設定部は、前記バッテリの充電状態に応じて、前記第1制御動作、前記第2制御動作、前記第3制御動作、および前記第4制御動作の動作許可範囲をそれぞれ設定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
  5. 前記車両制御部は、前記第4制御動作の実行時に、前記バッテリの充電状態に応じて前記電動モータのモータトルクを設定することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
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