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JP2017187301A - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】大電流を検出する場合であってもシールド機能を維持でき、かつ渦電流による検出誤差を抑制することが可能な電流センサを提供する。【解決手段】測定対象となる電流が流れるバスバ2と、バスバ2を流れる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子3と、バスバ2をバスバ2の厚さ方向に挟み込むように配置されている磁性材料からなる一対のシールド板4と、を備え、シールド板4は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板4aと、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板4bと、からなり、導電性シールド板4aは、導電性シールド板4aを貫通しているスリット部4cを有し、磁気検出素子3は、厚さ方向においてスリット部4cと重なる位置で、かつ、厚さ方向において導電性シールド板4aと重ならない位置に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電流センサに関する。
従来、電流センサとして、測定対象となる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子を備えたものが知られている。
特許文献1では、測定対象となる電流が流れる被測定導体及び磁気検出素子の周囲をシールド板(磁気シールド部)で囲むことで、外部からの磁界が磁気検出素子の検出結果に影響を及ぼさないようにした電流センサが記載されている。
特開2013−11469号公報
しかしながら、シールド板を備えた電流センサでは、測定対象となる電流の周波数が大きくなると、シールド板に渦電流が発生し、当該渦電流により発生する磁界の影響により、検出誤差が発生してしまうという課題がある。
このような渦電流の影響は、例えばシールド板として非導電性磁性材料からなるものを用いることで抑制可能である。しかし、非導電性磁性材料は一般に導電性磁性材料と比較して飽和磁束密度が小さいため、測定対象となる電流が大きく当該電流により発生する磁界の強度が大きい場合には、非導電性磁性材料からなるシールド板が磁気飽和に達して外部からの磁界を遮蔽するシールド機能が失われてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、大電流を検出する場合であってもシールド機能を維持でき、かつ渦電流による検出誤差を抑制することが可能な電流センサを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、測定対象となる電流が流れるバスバと、前記バスバを流れる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子と、前記バスバを前記バスバの厚さ方向に挟み込むように配置されている磁性材料からなる一対のシールド板と、を備え、前記シールド板は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板と、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板と、からなり、前記導電性シールド板は、前記導電性シールド板を貫通しているスリット部を有し、前記磁気検出素子は、前記厚さ方向において前記スリット部と重なる位置で、かつ、前記厚さ方向において前記導電性シールド板と重ならない位置に配置されている、電流センサを提供する。
本発明によれば、大電流を検出する場合であってもシールド機能を維持でき、かつ渦電流による検出誤差を抑制することが可能な電流センサを提供できる。
本発明の一実施の形態に係る電流センサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はそのA−A線断面図である。 図1の電流センサにおけるスリット部、貫通孔、及び磁気検出素子の位置関係を説明する説明図である。 本発明の一変形例に係る電流センサにおいて、スリット部、貫通孔、及び磁気検出素子の位置関係を説明する説明図である。 測定対象となる電流の周波数と検出される磁束密度との関係を示すグラフ図である。 本発明の一変形例に係る電流センサを示す斜視図である。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る電流センサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はそのA−A線断面図である。
図1(a),(b)に示すように、電流センサ1は、測定対象となる電流が流れるバスバ2と、バスバ2を流れる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子3と、バスバ2をバスバ2の厚さ方向に挟み込むように配置されている磁性材料からなる一対のシールド板4と、を備えている。
バスバ2は、銅やアルミニウム等の電気良導体からなる板状の導体であり、電流を流す電流路となるものである。バスバ2は、例えば電気自動車やハイブリッド車におけるモータとインバータ間の電源ラインとして用いられるものである。バスバ2を流れる電流は、例えば、定常時で200A、異常時等の突入電流で最大800A程度であり、その周波数は、例えば最大100kHzである。本実施の形態では、バスバ2の長手方向に沿って電流が流れている。
磁気検出素子3は、検出軸Dに沿った方向の磁界の強度(磁束密度)に応じた電圧の出力信号を出力するように構成されている。本実施の形態では、磁気検出素子3として、高い感度を有するGMR(Giant Magneto Resistive effect)センサを用いた。
シールド板4は、外部からの磁界が磁気検出素子3の検出結果に影響を及ぼさないように、外部からの磁界を遮蔽するためのものである。シールド板4は、バスバ2を厚さ方向から挟み込むようにバスバ2と離間して配置されている。また、シールド板4は、その表面がバスバ2の表面に対して平行となるように(シールド板4の表面の法線方向がバスバ2の厚さ方向と一致するように)配置されている。シールド板4の詳細については後述する。
本実施の形態では、バスバ2には、貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、バスバ2を貫通するように形成されており、貫通孔5の周囲はバスバ2で囲まれている。つまり、貫通孔5は、その一部がバスバ2の側方に開口する切欠き状に形成されるものではない。貫通孔5を形成することで、貫通孔5の両側に電流路6が形成されることになる。
本実施の形態では、貫通孔5は、バスバ2の幅方向における中央部に形成されている。貫通孔5の両側に形成される電流路6は、同じ幅に形成されている。なお、本実施の形態では、バスバ2の幅方向における中央部に貫通孔5を形成したが、貫通孔5はバスバ2の幅方向における中央からずれた位置に形成されていてもよい。つまり、貫通孔5の両側の電流路6の幅が互いに異なっていてもよい。
貫通孔5内では、両電流路6で発生した磁界が互いに打ち消し合う。つまり、貫通孔5を形成することで、貫通孔5内や貫通孔5の近傍における磁界の強度を小さくすることができる。
本実施の形態では、磁気検出素子3は、バスバ2の厚さ方向において貫通孔5と重なる位置に配置されている。換言すれば、磁気検出素子3は、バスバ2の厚さ方向の一方から見た平面視において、貫通孔5と重なる位置に配置されている。なお、「磁気検出素子3はバスバ2の厚さ方向において貫通孔5と重なる位置に配置されている」とは、図1(b)における上方(または下方)から見た平面視において、磁気検出素子3の少なくとも一部が貫通孔5と重なる位置に配置されていることを意味しており、例えば磁気検出素子3の一部のみが平面視で貫通孔5と重なる位置に配置されている場合も含まれる。また、磁気検出素子3は、図1(b)の断面視において、その一部が貫通孔5内に配置されていてもよいし、磁気検出素子3の全体が貫通孔5の外部(貫通孔5の上下)に配置されていてもよい。なお、本実施の形態では、磁気検出素子3は、両シールド板4の間に、両シールド板4と離間して配置されている。
バスバ2に貫通孔5を形成し、かつ、バスバ2の厚さ方向において貫通孔5と重なる位置に磁気検出素子3を配置することによって、バスバ2に大電流が流れる場合であっても、磁気検出素子3で検出される磁界を小さくすることが可能になる。その結果、バスバ2に流れる電流が大電流である場合であっても、検出可能な磁界の強度の範囲が狭いGMRセンサ等を磁気検出素子3として用いることが可能となり、高精度な電流検出が可能となる。
磁気検出素子3は、基板7に搭載されている。磁気検出素子3は、基板7をバスバ2とシールド板4の間に挿し込むことで、平面視で貫通孔5と重なる位置に配置されている。基板7は、ガラスエポキシ等の樹脂から構成されている。
磁気検出素子3として用いるGMRセンサは、その検出軸Dが搭載される基板7の表面に沿った方向となる。そこで、本実施の形態では、磁気検出素子3は、その検出軸Dがバスバ2の幅方向に沿うように配置されている。なお、検出軸Dがバスバ2の厚さ方向に沿うように磁気検出素子3を配置してもよいが、この場合、基板7の先端部を90度折り曲げ、その折り曲げた部分に磁気検出素子3を搭載する必要が生じ、電流センサ1の構造が複雑になる。
図示していないが、両シールド板4の間には、モールド樹脂が充填され、両シールド板4と磁気検出素子3とバスバ2と基板7とが、モールド樹脂により一体に構成されている。モールド樹脂は、磁気検出素子3、バスバ2、および両シールド板4の位置関係を一定に保ち振動等による検出誤差を抑制する役割と、シールド板4間に異物が侵入することによる検出誤差を抑制する役割とを兼ねている。
さて、本実施の形態に係る電流センサ1では、両シールド板4は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板4aと、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板4bと、からなる。導電性シールド板4aに用いる導電性磁性材料としては、例えばケイ素鋼やパーマロイが挙げられる。非導電性シールド板4bに用いる非導電性磁性材料としては、例えばフェライトが挙げられる。
本実施の形態に係る電流センサ1では、導電性シールド板4aは、導電性シールド板4aを貫通しているスリット部4cを有しており、磁気検出素子3は、厚さ方向においてスリット部4cと重なる位置で、かつ、厚さ方向において導電性シールド板4aと重ならない位置に配置されている。
つまり、本実施の形態では、シールド板4が導電性シールド板4aと非導電性シールド板4bとを積層した積層構造となっており、磁気検出素子3と厚さ方向に重なる位置(磁気検出素子3の上下)の導電性シールド板4aにスリット部4cが形成されている。本実施の形態では、磁気検出素子3と厚さ方向に重なる位置(磁気検出素子3の上下)のシールド板4は、非導電性シールド板4bのみで構成されている。
非導電性シールド板4bは非導電性であるため、バスバ2に流れる電流の周波数が高い場合であっても渦電流が発生しない。しかし、非導電性シールド板4bは飽和磁束密度が小さいため、バスバ2に流れる電流が大きいと磁気飽和に達してシールド機能が失われてしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、非導電性シールド板4bに、飽和磁束密度が大きい導電性シールド板4aを重ね合わせることで、バスバ2に流れる電流が大電流である場合であっても、シールド機能を維持できるように構成している。
ただし、導電性シールド板4aは導電性であるため、バスバ2に流れる電流の周波数が高いと導電性シールド板4aには渦電流が発生してしまう。そこで、本実施の形態では、磁気検出素子3の上下の導電性シールド板4aにスリット部4cを形成することで、導電性シールド板4aと磁気検出素子3とを離間させ、導電性シールド板4aに発生する渦電流の影響を抑制している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態では、導電性シールド板4aに帯状のスリット部4cを形成しており、スリット部4cは、バスバ2の長さ方向(図2の左右方向)に導電性シールド板4aを2分割するように形成されている。
なお、これに限らず、図3に示すように、スリット部4cは、バスバ2の幅方向(図3の上下方向)に導電性シールド板4aを2分割するように形成されていてもよい。ただし、導電性シールド板4aに発生する渦電流は、図3に破線矢印で示されるようにバスバ2の長さ方向に沿った方向となるので、この場合、渦電流の影響を抑制するためには、スリット部4cの幅(図示上下方向の幅)を大きくして、磁気検出素子3から導電性シールド板4aをより離間させる必要が生じる。その結果、非導電性シールド板4bのみでシールド機能を維持する範囲が大きくなる。
これに対して、図2のように、導電性シールド板4aを長さ方向に2分割するようにスリット部4cを形成することで、スリット部4cにより渦電流が遮断されることになるため、スリット部4cの幅(図2における左右方向の幅)をより小さくして、導電性シールド板4aを磁気検出素子3により近接させても、渦電流の影響を抑制することが可能になる。その結果、非導電性シールド板4bのみでシールド機能を維持する範囲を小さくすることが可能になる。
非導電性シールド板4bのみでシールド機能を維持する範囲が大きいと、バスバ2を流れる電流の大きさによっては、非導電性シールド板4bが磁気飽和に達し、シールド機能を維持できなくなるおそれが生じる。よって、シールド機能を維持するという観点から、スリット部4cの幅をより小さくしても渦電流の影響を抑制することが可能な図2の構成とすること、すなわち、導電性シールド板4aを長さ方向に2分割するようにスリット部4cを形成することが、より望ましいといえる。
このように、渦電流の影響を抑制する観点からは、スリット部4cの幅をできるだけ大きくして、磁気検出素子3から導電性シールド板4aをなるべく離間させることが望ましいが、スリット部4cの幅を大きくし過ぎると、非導電性シールド板4bのみでシールド機能を維持する範囲が大きくなり、非導電性シールド板4bが磁気飽和に達しやすくなり、シールド機能を維持できなくなるおそれが生じる。
よって、バスバ2を流れる電流の大きさを考慮し、渦電流の影響を十分に抑制でき、かつ、非導電性シールド板4bの磁気飽和を抑制してシールド機能を十分に維持可能な適切な幅に、スリット部4cを形成することが望ましいといえる。なお、図2及び図3では、スリット部4cの位置関係を理解し易くするために、非導電性シールド板4bを省略して示している。
磁気検出素子3と導電性シールド板4aとを十分に離間させるために、スリット部4cは、平面視で貫通孔5の全体を覆うように(つまり導電性シールド板4aが平面視で貫通孔5と重ならないように)形成されることが望ましい。換言すれば、貫通孔5は、厚さ方向においてスリット部4cと重なる位置で、かつ、厚さ方向において導電性シールド板4aと重ならない位置に形成されることが望ましいといえる。
さらに、渦電流の影響は磁気検出素子3が導電性シールド板4aに近づくほど大きくなるので、磁気検出素子3は、その中心(幅方向及び長さ方向の中心)が、スリット部4cの幅方向(図2における左右方向、図3における上下方向)における中心に対して、厚さ方向に重なる位置に配置されること(つまり磁気検出素子3が平面視でスリット部4cの幅方向における中央に配置されること)が望ましいといえる。
本実施の形態では、バスバ2の上下に配置される導電性シールド板4aの両方に、同じ幅のスリット部4cを形成したが、両導電性シールド板4aに形成されるスリット部4cの幅は異なっていてもよい。
また、上述のように、非導電性シールド板4bは、導電性シールド板4aと比較して飽和磁束密度が小さいので、非導電性シールド板4bは、導電性シールド板4aよりもバスバ2から離れた位置に配置されることが望ましい。本実施の形態では、シールド板4のバスバ2側に導電性シールド板4aを配置し、バスバ2と反対側に非導電性シールド板4bを配置している。これにより、シールド機能をより維持し易くなる。
また、導電性シールド板4aと非導電性シールド板4bとは、磁気的に密接して配置されることが望ましい。これは、導電性シールド板4aと非導電性シールド板4bとが磁気的に密接して配置されていると、両シールド板4a,4bが全体として1つの磁性体として機能し、シールド機能をより向上することができるためである。なお、導電性シールド板4aと非導電性シールド板4bとが直接接触している必要はなく、例えば両シールド板4a,4b間に数μm程度の隙間があってもよい。また、例えば導電性シールド板4aの表面に樹脂コーティングがなされており、樹脂コーティングを介して両シールド板4a,4bが積層されていてもよい。
ここで、バスバ2を流れる電流(測定対象となる電流)の周波数と、磁気検出素子3で検出される磁束密度との関係を図4に示す。なお、図4では、周波数1Hz(0.001kHz)における磁束密度で規格化を行った磁束密度の値を縦軸として示している。また、各周波数での電流値は同じ値とした。
図4に示すように、磁気検出素子3で検出される磁束密度は、電流値が一定であっても周波数によって変化しており、周波数依存性を有している。この周波数依存性の原因としては、上述の渦電流の影響の他に、表皮効果による電流分布の変化等が挙げられる。
図4に実線で示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1では、渦電流の影響が抑制されているため、周波数が大きくなるほど検出される磁束密度が減少する単純減少の周波数特性を示す。このような単純減少の周波数特性は、後に容易に補正を行うことが可能である。
これに対して、図4に破線で示されるように、シールド板4を導電性シールド板4aのみで構成した比較例では、周波数10kHz程度で一旦検出される磁束密度が減少し、さらに周波数を高くすると渦電流の影響により検出される磁束密度が増加する、といった複雑な周波数特性を示す。このような複雑な周波数特性は、後に適切な補正を行うことが容易ではない。
このように、本実施の形態に係る電流センサ1によれば、渦電流の影響を抑制して単純減少の周波数特性を実現でき、磁気検出素子3で検出した磁束密度を、電流の周波数に応じて容易に補正することが可能になる。
本実施の形態では、電流の検出対象となるバスバ2が1本である場合を説明したが、電流の検出対象となるバスバ2が複数存在する場合にも、本発明は適用可能である。
例えば、図5に示す電流センサ51のように、電流の検出対象となるバスバ2が3本である場合、各バスバ2を同一平面上に整列配置した状態とし、各バスバ2を一括して挟み込むように共通のシールド板4(導電性シールド板4a及び非導電性シールド板4b)を設けるとよい。この際、平面視で各バスバ2の貫通孔5と重なる位置に、各バスバ2に対応した磁気検出素子3をそれぞれ配置する。各バスバ2の貫通孔5を幅方向に一直線状に整列して配置することで、共通の基板7に各バスバ2に対応した複数(ここでは3つ)の磁気検出素子3を搭載することが可能であり、簡単な構成で複数のバスバ2に流れる電流を検出することが可能になる。また、この場合、スリット部4cは、各磁気検出素子3および各貫通孔5の上下を通るように、導電性シールド板4aを長さ方向に2分割するように形成されるとよい。各バスバ2に流れる電流は、例えば、インバータとモータ間を伝送される三相交流であってもよい。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る電流センサ1では、シールド板4は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板4aと、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板4bと、からなり、導電性シールド板4aは、導電性シールド板4aを貫通しているスリット部4cを有し、磁気検出素子3は、厚さ方向においてスリット部4cと重なる位置で、かつ、厚さ方向において導電性シールド板4aと重ならない位置に配置されている。
このように構成することで、大電流を検出する場合であってもシールド板4の磁気飽和を回避し、静磁場外乱に対するシールド機能を維持でき、かつ渦電流による検出誤差を抑制することが可能になる。また、渦電流の影響を抑制することにより、磁気検出素子3で検出される磁束密度の周波数依存性(渦電流による磁束密度の急激な増加)を低減することが可能になり、磁気検出素子3で検出した磁束密度を、電流の周波数に応じて容易に補正することが可能になる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]測定対象となる電流が流れるバスバ(2)と、前記バスバ(2)を流れる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子(3)と、前記バスバ(2)を前記バスバ(2)の厚さ方向に挟み込むように配置されている磁性材料からなる一対のシールド板(4)と、を備え、前記シールド板(4)は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板(4a)と、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板(4b)と、からなり、前記導電性シールド板(4a)は、前記導電性シールド板(4a)を貫通しているスリット部(4c)を有し、前記磁気検出素子(3)は、前記厚さ方向において前記スリット部(4c)と重なる位置で、かつ、前記厚さ方向において前記導電性シールド板(4a)と重ならない位置に配置されている、電流センサ(1)。
[2]前記スリット部(4c)は、前記バスバ(2)の長さ方向に前記導電性シールド板(4a)を2分割するように形成されている、[1]に記載の電流センサ(1)。
[3]前記非導電性シールド板(4b)は、前記導電性シールド板(4a)よりも前記バスバ(2)から離れた位置に配置されている、[1]または[2]に記載の電流センサ(1)。
[4]前記導電性シールド板(4a)と前記非導電性シールド板(4b)とは、磁気的に密接して配置されている、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の電流センサ(1)。
[5]前記バスバ(2)には、前記バスバ(2)を貫通する貫通孔(5)が形成され前記貫通孔(5)の両側に電流路(6)が形成されており、前記貫通孔(5)は、前記厚さ方向において前記スリット部(4c)と重なる位置で、かつ、前記厚さ方向において前記導電性シールド板(4a)と重ならない位置に形成されており、前記磁気検出素子(3)は、前記厚さ方向において前記貫通孔(5)と重なる位置に配置されている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の電流センサ(1)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、バスバ2に貫通孔5を形成する場合を説明したが、これに限らず、貫通孔5を省略してもよい。貫通孔5を省略する場合、バスバ2の一方の表面と対向するようにバスバ2と一方のシールド板4との間に磁気検出素子3を配置するとよい。この場合、磁気検出素子3を配置する側と反対側に配置される他方のシールド板4で発生する渦電流の影響を受けにくくなるので、他方のシールド板4における導電性シールド板4aのスリット部4cを省略してもよく、また、他方のシールド板4を導電性シールド板4aのみで構成してもよい。
また、上記実施の形態では、導電性シールド板4aをバスバ2の長さ方向に2分割する場合について説明したが、磁気検出素子3が渦電流の影響を受けない程度に磁気検出素子3から十分に離れた位置において、導電性シールド板4aが長さ方向に連結されていてもよい。
さらに、上記実施の形態では、磁気検出素子3としてGMRセンサを用いる場合を説明したが、これに限らず、磁気検出素子3として、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)センサ、TMR(Tunneling Magneto Resistive)センサ、ホールIC等の他の素子を用いることも可能である。ただし、高精度な電流検出を実現するため、なるべく精度の高い磁気検出素子3を用いることが望ましいといえる。
さらにまた、上記実施の形態では、磁気検出素子3を1つ用いる場合を説明したが、これに限らず、平面視で貫通孔5と重なる位置に複数(例えば2つ)の磁気検出素子3を配置するなどして、複数の磁気検出素子3の出力を基に電流検出を行うようにしてもよい。
1…電流センサ
2…バスバ
3…磁気検出素子
4…シールド板
4a…導電性シールド板
4b…非導電性シールド板
4c…スリット部
5…貫通孔
6…電流路
7…基板

Claims (5)

  1. 測定対象となる電流が流れるバスバと、
    前記バスバを流れる電流により発生する磁界の強度を検出する磁気検出素子と、
    前記バスバを前記バスバの厚さ方向に挟み込むように配置されている磁性材料からなる一対のシールド板と、を備え、
    前記シールド板は、導電性磁性材料からなる導電性シールド板と、非導電性磁性材料からなる非導電性シールド板と、からなり、
    前記導電性シールド板は、前記導電性シールド板を貫通しているスリット部を有し、
    前記磁気検出素子は、前記厚さ方向において前記スリット部と重なる位置で、かつ、前記厚さ方向において前記導電性シールド板と重ならない位置に配置されている、
    電流センサ。
  2. 前記スリット部は、前記バスバの長さ方向に前記導電性シールド板を2分割するように形成されている、
    請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記非導電性シールド板は、前記導電性シールド板よりも前記バスバから離れた位置に配置されている、
    請求項1または2に記載の電流センサ。
  4. 前記導電性シールド板と前記非導電性シールド板とは、磁気的に密接して配置されている、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の電流センサ。
  5. 前記バスバには、前記バスバを貫通する貫通孔が形成され前記貫通孔の両側に電流路が形成されており、
    前記貫通孔は、前記厚さ方向において前記スリット部と重なる位置で、かつ、前記厚さ方向において前記導電性シールド板と重ならない位置に形成されており、
    前記磁気検出素子は、前記厚さ方向において前記貫通孔と重なる位置に配置されている、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の電流センサ。
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