JP2017186405A - 接着性樹脂組成物、積層体及び延伸積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明は以下を要旨とする。
成分(A):ポリプロピレンに、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフトした変性ポリプロピレン
成分(B):分子内に分岐構造を有するプロピレン系重合体
成分(C):成分(A)及び成分(B)以外のポリプロピレン系樹脂
成分(D):エチレン・α−オレフィン共重合体
なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
成分(A)の原料となるポリプロピレン、成分(B)のプロピレン系重合体、成分(C)のポリプロピレン系樹脂、積層体のポリプロピレン系樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFRはJIS K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kg、19分の条件で測定される。
JIS K7112に従い、水中置換法で測定される。
成分(A)の変性ポリプロピレンのグラフト率(変性量)は、赤外分光測定装置で測定した際の、後述の原料ポリプロピレンにグラフトした不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(以下、「不飽和カルボン酸成分」と称す場合がある。)の含有率を意味する。例えば、変性ポリプロピレンを厚さ100μm程度のシート状にプレス成形したサンプル中の不飽和カルボン酸成分特有の吸収、具体的には1,900〜1,600cm−1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。グラフト率は、上記の方法で、予め作成した検量線から求めることもできる。
本発明の接着性樹脂組成物は、下記成分(A)〜(D)を含み、これらの合計量に対して成分(A)を1〜30重量%、成分(2)を3〜13重量%、成分(C)を95〜17重量%、成分(D)を1〜40重量%含むことを特徴とする。
成分(A):ポリプロピレンに、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(不飽和カルボン酸成分)をグラフトした変性ポリプロピレン
成分(B):分子内に分岐構造を有するプロピレン系重合体
成分(C):成分(A)及び成分(B)以外のポリプロピレン系樹脂
成分(D):エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明の接着性樹脂組成物に用いられる成分(A)である不飽和カルボン酸成分をグラフトした変性ポリプロピレンの原料となるポリプロピレン(以下「原料ポリプロピレン」と称す場合がある。)としては、プロピレンの単独重合体、或いはプロピレンを主成分とし、これと、エチレン又は1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物等のその他のビニルモノマーの1種又は2種以上との、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体を挙げることができる。
これらの不飽和カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更には、ビニルトリメトキシシランなどのいわゆるビニルシラン類などを不飽和カルボン酸成分とともに併用することもできる。
グラフト率が0.01重量%以上であると接着性が十分となる傾向にあり、10重量%以下であると、変性反応の副反応であるポリプロピレンの主鎖切断に起因する溶融粘度の低下、更には接着性の低下を抑制することができる。
成分(B)の分子内に分岐構造を有するプロピレン系重合体は、ポリプロピレン鎖が分岐した構造を有するものであれば特に制限されず、プロピレン鎖の架橋構造を含むものも分岐構造に含まれる。また、通常、このプロピレン系重合体は高溶融張力ポリプロピレンと呼称され、従来の直鎖状ポリプロピレンのレオロジー的特性を改良した材料であり、電子線照や、パーオキサイドと架橋モノマーの存在下、押出機内で変性する、もしくは特殊な触媒によって重合時に枝分かれ構造を付与するなどして、分子内に分岐構造(架橋構造を含む)を付与したポリプロピレン系樹脂である。
(ME)≧−0.26×log(MFR)+1.9 …(1)
(式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押出速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。)
成分(C)は成分(A)及び成分(B)以外のポリプロピレン系樹脂であり、一般的な熱可塑性ポリプロピレン系樹脂を用いることができる。成分(C)のポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンホモ重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。コモノマーとして用いるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のα−オレフィンなどが挙げられる。コモノマーとして用いるα−オレフィンは1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、本発明の接着性樹脂組成物に接着性、機械的強度を付与するための成分である。
成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレンとα−オレフィンとの共重合比率は、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%として、より好ましくは、エチレン含量70〜80重量%、α−オレフィン含量20〜30重量%である。
エチレン単位の含有量が上記範囲内であると、他の成分との親和性が良好となって樹脂組成物の微分散性が向上する傾向にある。
MFRが上記下限以上であるとその他の樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物の発生がなく、成形した際に外観良好な接着性樹脂組成物を得易く、また、上記上限以下であると、成分(D)が配向することなく微分散性が保たれるために好ましい。
成分(D)は、機械的強度や、ポリアミド樹脂等のガスバリア性の樹脂に対する接着性能を補強すると共に成形時の歪を緩和し、層間接着力を向上させる効果を発現する成分であるが、その含有量が少な過ぎると上記効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリプロピレン系樹脂組成物本来の特徴である耐熱性が損なわれ、樹脂組成物全体の耐熱性が低下してしまう。以上の観点から、成分(D)の含有量は、前述の成分(A)、成分(B)及び成分(C)と成分(D)との合計量に対して好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本発明の接着性樹脂組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の添加剤や樹脂等(以下、これらを「その他の成分」と称す。)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)と、必要に応じて添加されるその他の成分を用いて、本発明の接着性樹脂組成物を製造するための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
本発明の積層体は、本発明の接着性樹脂組成物からなる層を含むポリプロピレン系樹脂層とガスバリア層とを有し、好ましくは、本発明の接着性樹脂組成物からなる層とガスバリア層とが直接接しているものである。
本発明の積層体における本発明の接着性樹脂組成物からなる層は通常接着層であり、その厚みとしては限定されるものではなく、用途や被接着層の種類等に応じて適宜決定されるが、通常1〜100μmの範囲であることが好ましく、更には2〜50μmの範囲であることが好ましく、特に3〜20μmの範囲であることが好ましい。
本発明において、ガスバリア層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂層は、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層のみからなるものであってもよく、その他のポリプロピレン系樹脂層との積層構造であってもよい。
本発明の積層体は、更にその他の層が積層されていてもよい。
その他の層としては特に制限されることはない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂等からなる樹脂層や、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂などのその他の熱可塑性樹脂層などが挙げられる。
本発明の積層体としては、例えば、ガスバリア層の両面に本発明の接着性樹脂組成物層を介して前述のその他のポリプロピレン系樹脂層を積層してなる5層の積層体、即ち、ポリプロピレン系樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物層/ガスバリア層/本発明の接着性樹脂組成物層/ポリプロピレン系樹脂層の層構造を有するものが挙げられる。この場合、2つのポリプロピレン系樹脂層は同一のポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよく、異なるポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよい。また、これ以外に、層構成が非対称構成であってもよいし、ガスバリア層を複数層有していてもよい。
本発明の積層体が多層シートである場合、その総厚みは200〜5,000μmであることが好ましい。また、本発明の積層体が多層フィルムである場合、その総厚みは30〜200μmであることが好ましい。
本発明の積層体を製造する方法(以下、「一次加工」と称す場合がある。)としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出法によるインフレーション成形、T−ダイ成形によるフィルム成形もしくはシート成形を行う方法が挙げられる。さらに、単体又は他樹脂との共押出しにより得られた本発明の接着性樹脂組成物フィルムと被着材フィルムとの熱ラミネート、ヒートシール等による積層法を用いることもできる。
上記の各層を構成する組成物の原料を予め溶融混練若しくはドライブレンドによって調製し、単軸、2軸などの押出成形法により押出し、フィードブロック、マルチマニフォールドダイなどで合流し積層構造にし、所定の形状のダイから押出して、冷却後、フィルム形状の場合は巻き取り機で巻き取る。共押出成形法における押出し温度は、ガスバリア層の樹脂の特性によって適時選択されるが、一般的に300℃以下に抑制するのが好ましい。フィルムの引き取り速度(m/h)は所望の厚みに応じて適時設定し、押出機の基材原料の吐出量(g/h)は、用いる原料の種類、目的とするフィルムの各層厚み等により適宜選択することが好ましい。冷却方法は公知の方法を採用することができるが、例として、ロール上へのキャスト冷却、ないしはエアナイフによる冷却、丸ダイスから押出してブローアップによる冷却などの方法により冷却して、積層体を得る。
本発明の延伸積層体は、上記のようにして製造された本発明の積層体を延伸してなるものである。
本発明の接着性樹脂組成物は、ガスバリア性の樹脂に対して優れた接着強度特性を示し、延伸加工後においても高い層間接着強度を維持する。このため、このような本発明の接着性樹脂組成物を接着層とする本発明の積層体及び延伸積層体は、優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性及びガスバリア性等にも優れたものとすることができる。従って、本発明の積層体及びこの積層体から製造される延伸積層体は、ハム等の畜肉包装フィルムなどの一般食品包装用材料、意匠包装やラベル等に好適に使用することができる。
以下の諸例では次の原材料を使用した。
・A−1
以下の方法で製造した変性ポリプロピレンを成分(A)の変性ポリプロピレンA−1とした。
市販のポリプロピレン単独重合体(密度0.90g/cm3、MFR(230℃,荷重2.16kg)0.5g/10分)5kgに対し、無水マレイン酸100g及び有機化酸化物(日本油脂社製、パーブチルI)75gを加えて混合し、予め230℃に設定した二軸押出機に投入し、溶融混合してストランドカットによりペレット状の変性ポリプロピレンA−1を得た。この変性ポリプロピレンのA−1のグラフト率は1重量%である。
・B−1
架橋構造を有するプロピレン系重合体として、ボレアリス社のDaploy WB140HMS(MFR(230℃、荷重2.16kg)2.1g/10分)を用いた。
・B−2
長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体として、日本ポリプロ株式会社製のWAYMAX(登録商標) MFX3(MFR(230℃、荷重2.16kg)7g/10分)を用いた。
・C−1
ポリプロピレン系樹脂として、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)PP EG7F(MFR(230℃、荷重2.16kg)2g/10分、成分(A)及び成分(B)に該当しないもの)を用いた。
・D−1
エチレン・α−オレフィン共重合体として、DOW社のエンゲージ(登録商標)7467(エチレン・ブテン共重合体、エチレン単位含有量60重量%、MFR(190℃、荷重2.16kg)1.2g/10分 密度0.862g/cm3)を用いた。
上記に記載した原材料を、それぞれ表−1に記載の配合量にてドライブレンドして混合し、単軸押出機(IKG社製、PSM50−32(1V)、D=50mmφ、L/D=32)を用い、設定温度210℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の接着性樹脂組成物を得た。
上記で得られた接着性樹脂組成物を接着層とし、以下の製造方法により多層積層体を得た。
プラ技研社製多層押出フィルム成形機(各層の押出機:40mmφ,450mm幅マルチマニフォールドダイス、リップ開度:0.5mm)を用いて、3種5層多層フィルムを得た。層構成は、ポリプロピレン層/接着層/ナイロン層/接着層/ポリプロピレン層とし、各層厚みを35μm/10μm/10μm/10μm/35μmとし、多層フィルムの全厚みを100μmとした。ポリプロピレン層、ナイロン層には、以下のものを用いた。成形温度は280℃、成形速度は20m/分とし、冷却は、冷却ロール(温度30℃)を用いた後、エアナイフ冷却を行うことにより実施した。なお、上記のポリプロピレン層、ナイロン層には以下のものを用いた。
ポリプロピレン層:日本ポリプロ社製 ポリプロピレン系樹脂 ノバテック(登録商標)PP FL4
ナイロン層:DSM社製 ポリアミド樹脂 PA6 1040
上記で得られた多層フィルムをバッチ式延伸機にて二軸延伸加工を実施した。延伸温度は140℃、延伸倍率は3×3倍とした。
上記で得られた延伸加工前の多層フィルムと延伸加工後の多層延伸フィルムをそれぞれ押出方向(MD方向)に幅15mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃雰囲気下、速度300mm/minにて180°ピール剥離試験を行い、延伸加工前後の接着強度を測定した。また、延伸加工前の接着強度に対する延伸加工後の接着強度の割合(百分率)を接着強度維持率として算出した。ここで、接着強度は、ナイロン層と接着層との界面における接着強度である。
表−1に各実施例及び比較例の結果を示す。
Claims (5)
- 下記成分(A)〜(D)を含み、これらの合計量に対して成分(A)を1〜30重量%、成分(2)を3〜13重量%、成分(C)を17〜95重量%、成分(D)を1〜40重量%含む接着性樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレンに、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフトした変性ポリプロピレン
成分(B):分子内に分岐構造を有するプロピレン系重合体
成分(C):成分(A)及び成分(B)以外のポリプロピレン系樹脂
成分(D):エチレン・α−オレフィン共重合体 - 成分(B)のメルトフローレート(JIS K7210(230℃、荷重2.16kg))が1〜60g/10分である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物からなる層を含むポリプロピレン系樹脂層とガスバリア層とを有する積層体。
- 前記バリア層と前記接着性樹脂組成物からなる層とが接触している請求項3に記載の積層体。
- 請求項3又は4に記載の積層体を用いた延伸積層体。
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