以下、実施形態に係る駆動装置について図面を参照して説明する。実施形態における駆動装置1は、便器2のケーシング3内に配置され、便座4や便蓋5を開閉駆動するものである。なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施形態)
まず、図1及び図2を用いて、駆動装置1を備える便器2の構成の概要を説明する。図1は、実施形態に係る駆動装置を備える便器の便座及び便蓋の開状態を示す側面図である。図2は、実施形態に係る駆動装置を備える便器の便座及び便蓋の閉状態を示す側面図である。図1に示すように、便器2は、基部6の上面側の一端部に設けたケーシング3に2つの駆動装置1を備える。2つの駆動装置1は、それぞれ便座4か便蓋5のいずれかを自動で開閉させる。
例えば、一の駆動装置1は、ケーシング3に取り付けられる便座4の回動軸の両端部のうちの一端部側に設けられ、後述するモータ10(図3参照)の駆動により便座4を自動で開閉させる。また、例えば、他の駆動装置1は、ケーシング3に取り付けられる便蓋5の回動軸の両端部のうちの一端部側に設けられ、モータ10の駆動により便蓋5を自動で開閉させる。なお、図1に示す例では、2つの駆動装置1が向きを揃えて設けられる場合を示すが、2つの駆動装置1は、それぞれ反対側の端部に設けられてもよい。
また、以下では、図1に示す便座4が開いた状態を便座4の開状態とし、図2に示す便座4が閉じた状態を便座4の閉状態と記載する場合がある。また、以下では、図1に示す便蓋5が開いた状態を便蓋5の開状態とし、図2に示す便蓋5が閉じた状態を便蓋5の閉状態と記載する場合がある。なお、図1に示す便蓋5の開状態についての詳細は後述する。
ここから、図3〜6を用いて、駆動装置1の構成の概要を説明する。図3〜6は、実施形態に係る駆動装置を示す斜視図である。また、図6は、実施形態に係る駆動装置1を示す要部斜視図である。具体的には、図3は、筐体部分を含む駆動装置1の斜視図である。また、図4は、図3における視点から見た場合の筐体部分を除いた駆動装置1の斜視図である。また、図5は、図4における視点の裏側から駆動装置1を見た場合の斜視図である。
本実施形態に係る駆動装置1は、筐体部分として、第1筐体部7と、第2筐体部8と、第3筐体部9とを有する。また、第1筐体部7、第2筐体部8、及び第3筐体部9は、内部空間が連通しており、駆動装置1は、第1筐体部7、第2筐体部8及び、第3筐体部9内に各種構成を収納する。なお、第1筐体部7、第2筐体部8及び、第3筐体部9を併せて筐体と記載する場合がある。
駆動装置1は、モータ10と、軸変換部20と、クラッチ部30と、第2ギア部40と、軸部50と、ばね部材60とを有する。例えば、駆動装置1は、軸部50の出力軸53を第1筐体部7から突出させて、軸変換部20、クラッチ部30、第2ギア部40、軸部50、及びばね部材60を筐体内に収納する。
モータ10は、駆動装置1が取り付けられる便座4や便蓋5を回動させる駆動源・動力源として機能する。なお、モータ10には、図示しないリード線を介して駆動信号が供給される。また、駆動信号の供給により、モータ10の出力回転軸が回転する。なお、モータ10は、DCモータ、DCブラシレスモータ、ステッピングモータなど、特に制限されない。
モータ10の出力回転軸の先端部には第1ウォーム11が装着されている。すなわち、第1ウォーム11は、駆動源であるモータ10の回転軸を中心に回転する。例えば、第1ウォーム11は、ウォームギアにおけるウォームである。第1ウォーム11は、円筒状に形成されたねじ状の歯車である。例えば、第1ウォーム11には、3条のウォームが用いられる。また、例えば、第1ウォーム11は、金属や樹脂等により形成されてもよい。なお、第1ウォーム11には、強度等の所定の条件を満たせばどのような材料が用いられてもよい。
軸変換部20は、第1ウォームホイール21と第2ウォーム22とを有する。第1ウォームホイール21と第2ウォーム22とは、軸棒23を中心に軸を揃えて回転する。図6に示すように、軸変換部20の第1ウォームホイール21は、第1ウォーム11と噛み合う。すなわち、軸変換部20の第1ウォームホイール21は、第1ウォーム11に対するウォームホイールとして機能する。なお、第1ウォーム11と第1ウォームホイール21との組み合わせを第1ウォームギアとする場合がある。
例えば、図4中において、モータ10の出力回転軸は、上下方向に延びる。一方、軸変換部20の軸棒23は、モータ10の出力回転軸に直交する平面に沿う。以下、回転軸に直交する平面を軸平面と記載する場合がある。例えば、モータ10の出力回転軸の軸平面は、軸変換部20の回転軸の軸平面に直交する。このように、第1ウォームギアにより、モータ10の駆動力を伝達する回転軸がモータ10の出力回転軸から軸変換部20の回転軸に変換される。
また、例えば、第2ウォーム22は、ウォームギアにおけるウォームである。第2ウォーム22は、円筒状に形成されたねじ状の歯車である。例えば、第2ウォーム22には、5条または6条のウォームが用いられる。また、例えば、第2ウォーム22は、金属や樹脂等により形成されてもよい。なお、第2ウォーム22には、強度等の所定の条件を満たせばどのような材料が用いられてもよい。
図4〜図9に示すように、クラッチ部30は、シャフト31と、第2ウォームホイール32と、第1の摩擦板33と、第2の摩擦板34と、第1ギア35と、ワッシャ36と、バネ37と、ナット38と、から構成される。また、バネ37とナット38の間には図示しないワッシャが存在する。シャフト31は、金属や樹脂等から形成され、クラッチ部30の回転中心となる。なお、クラッチ部30は、軸部50側からの外力により所定の閾値以上のトルクが加えられた場合に、トルクの駆動源側への伝達を抑制するが、トルクの伝達を抑制する機能の詳細は後述する。
クラッチ部30の第2ウォームホイール32は、シャフト31に固定され、モータ10により駆動される回転体である。図6に示すように、第2ウォームホイール32は、ギア部324により、第2ウォーム22と噛み合う。すなわち、クラッチ部30の第2ウォームホイール32は、第2ウォーム22に対するウォームホイールとして機能する。なお、第2ウォーム22と第2ウォームホイール32との組み合わせを第2ウォームギアとする場合がある。
ここで、第2ウォーム22(軸変換部20)の回転軸の軸平面は、第2ウォームホイール32(クラッチ部30)の回転軸の軸平面に直交する。このように、第2ウォームギアにより、モータ10の駆動力を伝達する回転軸が軸変換部20の回転軸からクラッチ部30の回転軸に変換される。例えば、図4中において、クラッチ部30の回転軸は、上下方向に延びる。すなわち、クラッチ部30の回転軸は、モータ10の出力回転軸に沿う。このように、第1ウォームギア及び第2ウォームギアにより、2回軸の向きを変換することにより、出力軸53により便座4や便蓋5にモータ10の駆動力を伝達する回転軸がモータ10の出力回転軸に沿う方向となる。また、クラッチ部30の第1ギア35は、ギア部351を有し、第2ウォームホイール32と軸を揃えて回転する。このように、駆動装置1は、第1ウォームギアや第2ウォームギアを駆動源であるモータ10側に配置することにより、駆動装置1が発する音を抑制することができる。すなわち、駆動装置1は、出力軸50側に比べて、回転数が多いモータ10側に第1ウォームギアや第2ウォームギアを配置することにより、消音化することが可能となる。なお、クラッチ部30の構成の詳細は、後述する。
第2ギア部40は、クラッチ部30を介してモータ10から伝達されたトルクを軸部50に伝達するための部材である。第2ギア部40は、金属や樹脂等から形成され、大径ギア41と、大径ギア41に同軸に固定された小径ギア42とを有する。大径ギア41は、クラッチ部30の第1ギア35と噛み合う。小径ギア42は、大径ギア41よりも小径に形成され、大径ギア41と軸を揃えて回転し、軸部50へモータ10から伝達されたトルクを出力軸50に伝達する。なお、第2ギア部40の大径ギア41と大径ギア41は一体に形成されていてもよい。
例えば、小径ギア42の回転角度は、小径ギア42と噛み合う検出歯車652により、角度検出部65により検出される。例えば、角度検出部65は、図示しないポテンショメータ等を有し、小径ギア42の回転角度を検出する。また、角度検出部65は、ハーネス651等により検出した小径ギア42の回転角度をコントローラ等の所定の制御部へ送信する。また、小径ギア42の回転角度を受信した制御部は、モータ10を制御する。例えば、制御部は、便座4の開状態から閉状態において便座4が回動するようにモータ10の出力を制御する。また、例えば、制御部は、便蓋5の開状態から閉状態において便蓋5が回動するようにモータ10の出力を制御する。
軸部50は、モータ10から伝達されたトルクを便座4や便蓋5に伝達するための部材である。例えば、軸部50は、駆動源であるモータ10によって回転し、便蓋5を所定の方向に回動させる。軸部50は、基部51と、ギア部52と、出力軸53と、係止部54と、突起部55とを有する。基部51は、細長い円柱状に形成され、軸方向の一端部にギア部52が形成され、軸方向の他端部に出力軸53が形成される。ギア部52は、基部51の周方向の一部に設けられ、小径ギア42と噛み合う。これにより、第2ギア部40から軸部50へトルクが伝達される。また、図4に示す例においては、ギア部52が設けられた一端部のギア部52以外の箇所には、ギア構造のない周面部521が形成される。したがって、第2ギア部40から軸部50へのトルクは、ギア部52が設けられた範囲(角度)内で伝達される。また、出力軸53は、先端部分を一部切り欠いた形状に形成される。また、便座4や便蓋5に設けられた出力軸53の先端部分を取り付ける機構により、出力軸53が便座4や便蓋5に取り付けられることにより、モータ10からのトルクが便座4や便蓋5に伝達され、便座4や便蓋5が回動する。なお、係止部54や突起部55による、軸部50の付勢方向や軸部50の回転角度の詳細は後述する。
ばね部材60は、コイル状に形成され、内部に軸部50の基部51が挿通される位置に配置される。例えば、ばね部材60は、いわゆるアシストばねであり、トーションばね(ねじりばね)が用いられる。なお、ばね部材60は、第1筐体部7及び軸部50との係合により、軸部50を回転方向の一方向に付勢するが、詳細は後述する。
ここから、図7〜図10Dを用いて、クラッチ部30の構成及び機能を詳細に説明する。
第2ウォームホイール32は、シャフト31に固定され、モータ10により駆動される回転体である。第2ウォームホイール32は、金属や樹脂等から形成され、図8に示すように、円盤状の底板321と、底板321上に一体に形成された外円筒部322と内円筒部323とを有する。なお、第2ウォームホイール32には、強度等の所定の条件を満たせばどのような材料が用いられてもよい。
図10Aに示すように、外円筒部322の内周面には、第1の摩擦板33の後述する突起部33aと係合する切欠部(被係合部)325が120°回転対称に形成されている。図10A、10B、10C、10Dにおいて、一点鎖線L1、L2は内円筒部323の外径を示し、一点鎖線L3、L4は外円筒部322の内径を示している。
内円筒部323は、底板321の中央部に一体に立設されており、シャフト31が嵌挿される軸孔326が形成されている。
第1の摩擦板33は、金属板や樹脂板等から形成され、図10Bに示すように、円環形状を有する。第1の摩擦板33の外径は、第2ウォームホイール32の外円筒部322の内径より若干小さく、その内径は、後述する第1ギア35に形成された立設部353の外径(一点鎖線L5、L6で示す)よりも若干大きく形成されている。第1の摩擦板33の外周縁には、第2ウォームホイール32の外円筒部322に形成された3つの切欠部325に係合する突起部(係合部)33aが形成されている。
第2の摩擦板34は、金属板や樹脂板等から形成され、図10Cに示すように、円環形状を有する。なお、摩擦板のエッジ部にバリが有るなど、摩擦板同士の接触面積が不十分となることを避けるため、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34を積層した際にそれぞれのエッジ部が重ならないよう、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34の内径と外径の寸法を設計してもよい。第2の摩擦板34の内周縁には、第1ギア35に形成された立設部353間の間隙354と係合する凸部(係合部)34aが120°回転対称に形成されている。
第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とは、図8及び図9に示すように、5枚ずつ交互に積層され、第2ウォームホイール32の中空部327に収容されている。このとき、第1の摩擦板33の突起部33aは、第2ウォームホイール32の外円筒部322に形成された切欠部325に挿入されている。なお、樹脂板よりも金属板で形成された摩擦板の方が、摩擦板自体のソリが少なく、強度も高いため、より高い信頼性を得ることができる。
第1ギア35は、シャフト31に回転可能に支持されている回転体である。第1ギア35は、樹脂等から形成され、ギア部351と、円盤部352と、立設部353と、から構成される。第1ギア35は、第2ウォームホイール32よりも小径に形成され、円盤部352の中心に立設され、その外周面にギアが形成され、第2ギア部40の大径ギア41と噛み合っている。
図10Dに示すように、円盤部352は、その外周が、第2ウォームホイール32の外円筒部322の内径(一点鎖線L3、L4で示す)よりも小さく形成されており、第2ウォームホイール32に収容されている第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを押さえる蓋としての機能を有する。また、第1ギア35と円盤部352の回転中心には、シャフト31の外径よりも径が大きい貫通孔355が設けられている。
立設部353は、円盤部352のギア部351が形成されている面と反対側の面に、回転軸方向に延在して設けられている。立設部353は、図8、図9、図10Dに示すように、120°回転対称に形成されており、全体としてほぼ円筒形状を形成する。立設部353が形成する円筒形状の外径は、第1の摩擦板33及び第2の摩擦板34の内径より小さく、その内径は、第2ウォームホイール32の内円筒部323の外径(一点鎖線L1、L2で示す)よりわずかに大きく形成されている。
また、立設部353間の3つの間隙(被係合部)354には、第2の摩擦板34の3つの凸部34aが係合している。これにより、第1ギア35と第2の摩擦板34とは一体に回転する。ギア部351と円盤部352と立設部353とは、例えば、金属や樹脂等で一体形成されている。なお、ギア部351、円盤部352、及び立設部353は、強度等の所定の条件を満たせばどのような材料が用いられてもよい。
ワッシャ36は、金属又は樹脂から形成され、図7及び図8に示すように、シャフト31が挿入され、第1ギア35上に載置されている。バネ37は、金属又は樹脂から形成され、図7及び図8に示すように、シャフト31が挿入され、第1ギア35を第2ウォームホイール32方向に付勢する。ナット38は、図7及び図8に示すように、シャフト31の先端部に形成されたネジ31aに螺合し、バネ37をシャフト31に固定すると共に、バネ37に圧縮力を付与する。ナット38の締め付けの程度により、バネ37が第1ギア35を介して第1の摩擦板33及び第2の摩擦板34を第2ウォームホイール32へ押圧する力が調整される。
次に、上記構成を有するクラッチ部30の組立方法を、図9を参照して説明する。まず、シャフト31を、第2ウォームホイール32の内円筒部323の軸孔326に嵌挿する。これにより、第2ウォームホイール32は、シャフト31に軸支されると共に固定され、一体となって回転する。
次に、第1ギア35に第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを交互に5枚ずつ位置合わせして積層し、シャフト31を通した第2ウォームホイール32を挿入して底板321と外円筒部322と内円筒部323とから構成される収容部(中空部327)に収容する。この際、第1の摩擦板33の突起部33aを第2ウォームホイール32の外円筒部322の切欠部325に係合させ、第2の摩擦板34の3つの凸部34aが第1ギア35の3つの立設部353の間隙354に係合するように嵌めこむ。また、必要に応じてグリスを充填する。なお、安定した摩擦力を得るために、グリス以外に第1の摩擦板33と第2の摩擦板34の間に樹脂シート等を挟んでもよい。
次に、ワッシャ36とバネ37とナット38とを、この順でシャフト31に嵌め込む。ナット38の締め付け度を調整して、バネ37が第1の摩擦板33と第2の摩擦板34に与える押圧力を調整する。
以上で、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34の摩擦により、モータ10が発生するトルクを第2ギア部40に伝達し、一方、外部から過大な過負荷がかかったときには、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との一方が他方に対してスリップすることにより、モータ10に加わるトルクを抑えるクラッチ部30が完成する。なお、以下では、駆動装置1による便蓋5の駆動を基に説明する。
次に、上記構成を有する駆動装置1の動作を説明する。便蓋5を開く場合、図示しないコントローラは、駆動信号を供給し、モータ10を一方向に回転させる。モータ10の回転により、出力回転軸に嵌装されている第1ウォーム11が回転し、第1ウォーム11に噛合している第1ウォームホイール21が回転する。また、第1ウォームホイール21の回転に伴い第2ウォーム22が回転し、第2ウォーム22に噛合している第2ウォームホイール32が回転する。
第2ウォームホイール32の回転に伴って、第2ウォームホイール32の切欠部325と係合する突起部33aを有する第1の摩擦板33も回転する。第1の摩擦板33の回転力は、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との静止摩擦力により、第2の摩擦板34に伝達され、第2の摩擦板34が回転する。第2の摩擦板34の回転により、第2の摩擦板34と係合している立設部353が回転し、立設部353の回転により、立設部353と一体に形成されている第1ギア35も回転する。第1ギア35の回転により、第2ギア部40の大径ギア41が回転し、大径ギア41の回転に伴って一体に形成されている小径ギア42が回転する。小径ギア42の回転が、便蓋5の回動軸に伝達され、便蓋5が開く。一方、便蓋5を閉じる場合には、コントローラは、モータ10を逆方向に回転させる。この場合、上述とは逆回転の回転力が便蓋5の回動軸に伝達され、便蓋5が閉じる。
ここで、使用者が、手で便蓋5を閉じたり・開けたりして、便蓋5に過負荷を加えた場合、便蓋5の回動軸の回動に伴って、第2ギア部40が回転し、第2ギア部40と噛合しているギア部351が回転する。さらに、ギア部351と一体に形成されている立設部353が回転し、立設部353と係合している第2の摩擦板34が回転する。
例えば、駆動装置1は、軸部50側からの外力により所定の方向の一方向に所定の閾値(以下、「スリップトルク値」ともいう)以上のトルクが加えられた場合、クラッチ部30により、駆動源であるモータ10側へのトルクの伝達を抑制する。例えば、便蓋5を開ける方向に使用者が便蓋5を押した場合に、クラッチ部30に0.25N・m以上の力、出力軸53においては1.9N・m以上の力が加わると、第1の摩擦板33に対して第2の摩擦板34はスリップし、モータ10側へのトルクの伝達が抑制される。これに対し、従来のラチェット機構においては、例えば出力軸において7.2N・m以上の力が加わるとトルクの伝達が抑制されるなど、本実施形態よりも高い閾値が設定されていた。
また、例えば、駆動装置1は、軸部50側からの外力により所定の方向の他方向に所定の閾値以上のトルクが加えられた場合、クラッチ部30により、駆動源であるモータ10側へのトルクの伝達を抑制する。例えば、便蓋5を閉める方向に使用者が便蓋5を押した場合に、クラッチ部30に1.9N・m以上の力が加わると、第1の摩擦板33に対して第2の摩擦板34はスリップし、モータ10側へのトルクの伝達が抑制される。なお、スリップトルク値は、1.9N・mに限らず、便蓋5のサイズや重量等に応じて種々の数値に設定されてもよい。例えば、スリップトルク値は、3N・mに設定されてもよい。
上述のように、便蓋5に加えられた過負荷がリミットトルクを越える場合、すなわち第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の最大静止摩擦力を上回っている場合、第1の摩擦板33に対して第2の摩擦板34はスリップし、第1ギア35の回転が第1の摩擦板33以降の第2ウォームホイール32及びモータ10に伝達されない。このようにして、便蓋5に加わった過負荷が第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の最大静止摩擦力を上回った場合には、モータ10や第2ウォーム22、第2ウォームホイール32を保護することが可能になる。ここでいう「便蓋5に加えられた過負荷がリミットトルクを越える」とは、例えば、モータ10のクラッチ部30にスリップトルク値以上のトルクが加えられることに相当する。
また、何らかの原因により、モータ10側からリミットトルクを越える過負荷が第2ウォームホイール32に伝達された場合には、第2の摩擦板34に対して第1の摩擦板33がスリップして、過負荷が第1ギア35に伝達されず、第1ギア35、第2ギア部40等を保護することができる。
なお、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の最大静止摩擦力は、バネ37の押圧力を調整することにより、調整可能である。従って、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の最大静止摩擦力が、モータ10による便蓋5の開閉に必要な回転力よりも大きく、一方、使用者が手等で便蓋5に力を加えた時に第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間に加わる回転力よりも小さくなるように、ナット38の締め具合を調整する。
このように、押圧部として機能するナット38の締め具合を調整することにより、駆動装置1は、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを押圧する力を調整可能である。これにより、便座4や便蓋5の重さに応じて、ナット38の締め具合を調整することにより、適宜の値にスリップトルク値を調整することが可能となる。また、駆動装置1は、従来よりも低いトルク値へ設定するのが容易なため、駆動装置1自体や便座4や便蓋5等への負荷を低減することが可能となる。また、駆動装置1は、バネ37を交換することにより、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを押圧する力を調整可能である。
また、ナット38の代用として、Uボルトなど他の固定具を用いてもよい。なお、バネ37の回転軸方向の長さによる押圧力が予め判明している場合はナット38による調整は不要となり、バネ37が規定の長さとなるようにE−RINGやブッシュでバネ37を固定してもよい。また、バネ37はナットやE−RING、ブッシュ等で回転軸方向の長さが規定されるため、押圧力のばらつきを小さくすることができ、結果的にリミットトルクのばらつきも抑えることが可能となる。加えて、長期間の使用によって第1の摩擦板33や第2の摩擦板34が摩耗した場合も、バネ37の回転軸方向の長さに対して第1の摩擦板33や第2の摩擦板34の厚みの変化は非常に小さいため、押圧力の変化としては小さく、リミットトルクの変動量も少なくて済むと期待できる。
上記構成によれば、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間でスリップを発生させることで過負荷トルク(例えば、所定の閾値以上のトルク)の伝達を遮断する機構のため、ラチェットのように機械音が発生することがなく、静音化できる。
さらに、機械音の発生を気にすることなく所定のトルクを自由に設定することが可能となる。よって、所定のトルクを低い値に設定すれば、各部品の強度も低く抑えることができ、金属製部品を樹脂製部品に置き換えたり、複数の金属製部品で構成されている部品を一体化された樹脂部品に置き換えたりすることなどにより、部品点数削減やコスト削減を期待できる。
また、第2ウォームホイール32と第1ギア35とを同一のシャフト31に軸支させたので、シャフトは1つであり、第2ウォームホイール32と第1ギア35とを別々のシャフトに軸支させた場合と比べ、製造コストを抑制できる。さらに、バネ37が第2ウォームホイール32と第1ギア35を同一方向に付勢するので、一方のギア部を介して第1の摩擦板33及び第2の摩擦板34を他方のギア部へ押圧できる。
また、バネ37が第2ウォームホイール32と第1ギア35を同一方向に付勢する力をナット38が調整するので、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の摩擦力を調整することが可能になる。さらに、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを、第2ウォームホイール32の外円筒部322に収容したので、これらの摩擦板を外円筒部322に収容しない場合と比べ、サイズを小さくできる。また、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との積層体が第1ギア35により押圧されているので、第2ウォームホイール32と第1ギア35のいずれか一方の回転により、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間に摩擦力が発生する。
また、突起部33aを切欠部325に係合させたので、第1の摩擦板33と第2ウォームホイール32とが一体となって回転できる。また、凸部34aを間隙354に係合させたので、第2の摩擦板34と第1ギア35とが一体となって回転できる。また、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とは重ねて配置されているので、一方の摩擦板の回転により、他方の摩擦板に摩擦力を与えることができる。さらに第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間の摩擦力を、摩擦板の枚数によって調整することが可能となる。
また、回転体として歯車(第2ウォームホイール32及び第1ギア35)を用いたので、ローラーチェーンを用いる等、歯車を用いなかった場合と比べ、滑りが少なくなる。さらに、回転体として歯車を用いることで、駆動装置1におけるモータ10及び第2ギア部40の配置の自由度が、歯車を用いなかった場合と比べ向上する。これにより、モータ10の出力回転軸及び第2ギア部40の回転軸のそれぞれの位置の調整が容易になる。さらに、摩擦体として、板状の摩擦体(第1の摩擦板33及び第2の摩擦板34)を用いたので、板状の摩擦体を用いない場合と比べ、サイズを小さくできる。このようにしてサイズを小さくできるので、駆動装置1におけるクラッチ部30の配置スペースが小さくてもよく、サイズの大きいトルクリミッタを用いた場合と比べて配置の自由度が向上する。
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、クラッチ部30の第2ウォームホイール32と軸変換部20の第2ウォーム22とが噛合する形態としたが、第1ギア35と第2ウォーム22とが噛合する形態とする等、回転力をクラッチ部30に伝達する手法は任意である。なお、第1ギア35と第2ウォーム22とが噛合する場合、第2ウォームホイール32は大径ギア41と噛合する。
また、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34との間に摩擦力を与えるために、バネ37で、第1ギア35を第2ウォームホイール32方向に付勢する構成を採用したが、付勢力を付与するためにはゴムなど任意の弾性体を使用できる。また、所定の摩擦力が得られるならば、弾性体を使用する必要もない。
また、第1の摩擦板33と第2ウォームホイール32とを3カ所で係合する例を示したが、係合箇所の数は任意である。同様に、第2の摩擦板34と第1ギア35とを3カ所で係合する例を示したが、係合箇所の数は任意である。さらに、第1の摩擦板33と第1ギア35とを係合させ、第2の摩擦板34と第2ウォームホイール32とを係合させる等、一方のギア(回転体)から他方のギア(回転体)に摩擦力を介して回転力を伝達できるならば、その係合の手法や係合数は任意である。
また、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34をそれぞれ5枚としたが、その枚数は任意である。第1の摩擦板33と第2の摩擦板34の間で生じる摩擦力は摩擦板の枚数によっても調整することが可能であり、また、摩擦板を増加させた分、弾性体による押圧力を低下させることができるため、バネ37の小型化につながる。
また、第1の摩擦板33と第2の摩擦板34の摩擦によりトルクを伝達したが、摩擦によるトルクの伝達が可能ならば、第1の摩擦板33及び第2の摩擦板34のような板状の摩擦体ではなく、例えば筒状の摩擦体など任意の形状の摩擦体を用いてよい。
また、軸部50は、ばね部材60により回転方向の一方向に付勢される。例えば、軸部50は、便座4または便蓋5を開ける向きにばね部材60により付勢される。すなわち、軸部50は、便座4または便蓋5を閉状態(閉じた状態)から開状態(開いた状態)へ移動させる方向にばね部材60により付勢される。これにより、モータ10は、便座4または便蓋5を開けるための駆動力を抑制することができる。以下、軸部50をばね部材60により回転方向の一方向に付勢する構成について具体的に説明する。
上述したように、ばね部材60は、内部に軸部50の基部51が挿通される位置に配置される。ばね部材60は、コイル状に形成され、両端部(一端部61、他端部62)がコイルの軸方向に沿って延びる。図4に示す例では、ばね部材60は、一端部61を軸部50のギア部52側へ向け、他端部62を軸部50の出力軸53側へ向けて配置される。また、ばね部材60の一端部61は、係止部54の所定の機構により、軸部50に対して位置固定される。例えば、ばね部材60の一端部61は、係止部54の挿入孔(図示せず)に嵌ることにより、軸部50に対して位置固定される。
また、ばね部材60の他端部62は、第1筐体部7に設けられた所定の機構により、第1筐体部7に対して位置固定される。この点について、図11を用いて説明する。図11は、実施形態に係る第1筐体部を示す底面図である。具体的には、図11は、第1筐体部7を第2筐体部8と連結される側から見た図である。
図11に示すように、第1筐体部7は、ボディ部70内に軸部50等の各種構成を収納する。第1筐体部7のボディ部70には、軸部50を挿通する貫通孔71が設けられ、軸部50の出力軸53が貫通孔71から筐体外部へ突出する。また、ボディ部70の貫通孔71の周縁には、挿入部72と、切欠部73とを有する。例えば、挿入部72や切欠部73は、ボディ部70の貫通孔71の周縁の他の部分よりも厚み方向が薄く形成される。これにより、挿入部72の貫通孔71の周方向の両端に側壁721、722が形成され、切欠部73の貫通孔71の周方向の両端に側壁731、732が形成される。
挿入部72は、ばね部材60の他端部62が挿入される形状に形成されており、ばね部材60の他端部62が挿入される。挿入部72に挿入されたばね部材60の他端部62が、挿入部72の側壁721、722により貫通孔71の周方向への移動が規制されることにより、ばね部材60の他端部62は、第1筐体部7に対して位置固定される。これにより、ばね部材60は、軸部50を回転方向の一方向に付勢する。
切欠部73は、貫通孔71の周縁を周方向に沿って所定の長さだけ切り欠いて形成される。例えば、軸部50の突起部55は細長い円柱状に形成され、基部51から基部51の周面に突出する。切欠部73内には、軸部50の突起部55が位置する。これにより、軸部50の突起部55は、切欠部73の周方向に側壁731、732との間で移動可能となる。これにより、軸部50は、突起部55が切欠部73内を移動可能な範囲で、回転角度が規制される。
例えば、駆動装置1を用いた便器2においては、開状態の便座4や便蓋5の位置を所望の位置にすることができる。例えば、便座4は、開状態(自立状態)における重心G1の位置(重心位置)が、駆動装置1の回転軸の位置よりも前方(図1中では左方)に位置する。図1では、便座4の駆動装置1の中心と重心G1を結ぶ仮想線IL2(「重心線IL2」ともいう)は、便座4の駆動装置1における水平線IL1と、水平線IL1に直交する鉛直線IL3との間に位置する。このように、駆動装置1が有する第1ウォームギアや第2ウォームギアやばね部材60によるトルク(以下、「ディテントトルク」ともいう)により、便座4は、水平線IL1と重心線IL2とのなす角θ1(「重心角度θ1」ともいう)が90°未満となる位置を自立する位置(「自立位置」ともいう)とすることができる。図1の例では、開状態(自立状態)における便座4は、図2中において基部6の当接面610に平行に位置する底面411が当接面610に対して鉛直に位置するため、便座4の開角度は90°となる。例えば、便座4は、閉状態において底面411が水平線IL1に沿って位置し、開状態において底面411が鉛直線IL3に沿って位置するため、便座4の開角度は90°となる。このように、重心角度と開角度とが異なってもよい。例えば、開角度が90°でも重心角度は88°であってもよい。また、開角度は90°未満であってもよい。上述のように、便座4は、前傾姿勢において自立することが可能となる。
なお、図1に示す例においては、重心角度と開角度とが異なる場合を示すが、重心角度と開角度とは一致してもよい。また、便蓋5は、開状態(自立状態)における重心G2の位置(重心位置)が、駆動装置1の回転軸の位置よりも前方(図1中では左方)に位置する。これにより、便蓋5は、平面511を便器2の設置面に直交する軸IL11から角度θ11だけ閉状態側の位置で自立することが可能となる。このように、駆動装置1は、第1ウォームギアや第2ウォームギアやばね部材60を用いることにより、便座4や便蓋5を滑らかに回動させ、便座4や便蓋5を所望の位置で自立させることができる。すなわち、駆動装置1は、従来のように自立保持機構を用いることなく、便座4や便蓋5を重心角度または開角度を90°未満で自立させることができる。
また、上述のように、駆動装置1は、便座4や便蓋5の自立位置を自由に設定することが可能であるので、駆動装置1を用いた便器2のデザインの自由度が高まる。例えば、図1に示すように、駆動装置1を用いた便器2では、開状態(自立状態)における便蓋5の重心G2の位置を前方に位置させることができるため、開状態(自立状態)における便蓋5の平面511を軸IL11に沿う位置よりも閉状態側に位置させることができる。そのため、図1に示す駆動装置1を用いた便器2では、基部6の取付部601における便蓋5の平面511との対向面611を、軸IL11に沿わせることができる。一方、便蓋5の重心G2が便蓋5の駆動装置1を超えた後方(図1中では右方)の位置、すなわち便蓋5が軸IL11を超えた位置で自立可能な場合、対向面611を便蓋5の回転角度に応じて軸IL11から後方(図1中では右方)に傾斜させることとなる。そのため、便蓋5が軸IL11を超えた位置で自立可能な場合、便器2のデザインの自由度が低下することとなる。一方、駆動装置1は、便蓋5が軸IL11より取付部601とは反対側の位置で自立することが可能であるので、駆動装置1を用いた便器2のデザインの自由度が高まる。
上述したように、実施形態によれば、軸部50側からの外力により回転方向のいずれの方向に所定の閾値(例えば1.9N・m)以上のトルクが加えられた場合であっても、トルクの駆動源であるモータ10側への伝達を抑制するクラッチ部30により、駆動装置1は、便座4または便蓋5を回動させる両方向に対して、適切に外力による影響を抑制することにより破損を抑制できる。
また、上述したように、実施形態によれば、クラッチ部30に第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを用いることにより、クラッチ部30が破損することを抑制することができる。
また、実施形態によれば、クラッチ部30が複数の第1の摩擦板33と、複数の第2の摩擦板34とが交互に重ねて設けられる多板式であることにより、適切にスリップトルク値を調節し、クラッチ部30が破損することを抑制することができる。また、実施形態によれば、クラッチ部30が複数の第1の摩擦板33と、第1の摩擦板33の厚みと、第2の摩擦板34の厚みとに基づく枚数の第1の摩擦板33と第2の摩擦板34とを有することにより、適切にスリップトルク値を調節し、クラッチ部30が破損することを抑制することができる。例えば、第1の摩擦板33や第2の摩擦板34の厚みを薄くし、第1の摩擦板33や第2の摩擦板34の枚数を増加させることにより、所定の閾値(スリップトルク値)を大きくしてもよい。また、例えば、第1の摩擦板33や第2の摩擦板34の厚みを厚くし、第1の摩擦板33や第2の摩擦板34の枚数を減少させることにより、所定の閾値(スリップトルク値)を小さくしてもよい。
また、上述したばね部材60の特性については、便器2の構成等に基づいて適宜設定されてもよい。例えば、ばね部材60の特性については、駆動装置1の出力トルク、便座4や便蓋5の重さ、便座4や便蓋5の開角度や重心角度等に基づいて適宜設定されてもよい。例えば、便座4や便蓋5が閉まっていなければならない状況において、ばね部材60のトルクが便座4や便蓋5の自重によるトルクよりも大きい場合、勝手に開いてしまう、すなわち自動的に閉状態から開状態へ便座4や便蓋5が移動する。一方、電動での閉動作時、便座4や便蓋5の自重によるトルクと駆動装置1の出力トルクとを合成したトルクよりもばね部材60のトルクが大きい場合、閉動作ができない、すなわち開状態から閉状態へ便座4や便蓋5を移動させることができない。そのため、ばね部材60の特性は以下のような条件(条件1〜4)を満たす。
なお、以下の条件におけるトルク等の各値を以下のように規定する。
・駆動対象(便座4または便蓋5)の自重によるトルク:A(N・m)
・アシストバネ(ばね部材60)のトルク:B(N・m)
・モータ(駆動装置1)の出力トルク:C(N・m)
・駆動対象(便座4または便蓋5)の開角度(重心角度):θ(°)
(条件1)θ=0の時、A>B
(条件2)0<θ≦90かつ−方向(閉状態)への移動時、A+C>B
(条件3)0<θ≦90かつ+方向(開状態)への移動時、B+C>A
(条件4)θ>90かつ−方向(閉状態)への移動時、A+B<C
なお、駆動対象(便座4または便蓋5)の開角度(重心角度)が90°を超えない場合、条件4は、ばね部材60の特性の条件に含まれなくてもよい。また、1つの駆動装置1で便座4及び便蓋5を駆動する場合、駆動対象は便座4及び便蓋5となり、駆動対象の自重は、便座4の自重及び便蓋5の自重の合成となる。
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、実施形態では、第2ウォームホイール32から第1ギア35に回転力を伝達し、第1ギア35から第2ウォームホイール32への過負荷トルク(例えば、スリップトルク値以上のトルク)の伝達を抑制するクラッチ部30を例示した。この発明はこれらに限定されず、任意の第1の回転体から任意の第2の回転体に回転力を伝え、いずれか一方の回転体に過大なトルクが加わったときに、他方への伝達を防止する構成に広く適用可能である。例えば、プーリの回転力を他のプーリやシャフトに伝達しつつ、過大なトルクの伝達は防止するという構成に適用可能である。