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JP2017036842A - 給湯システム - Google Patents

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Abstract

【課題】余剰電力を用いて効率よく蓄熱を行うことができる給湯システムを提供する。【解決手段】制御装置90は、太陽光発電器70によって発電される発電電力から使用電力を除いた余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路30のうちのヒートポンプ10の出口側を通過する温水の温度が給湯設定温度Ts+5℃になるようにヒートポンプ10を運転させる低温貯湯運転を実行し、低温貯湯運転によって給湯設定温度Ts+5℃の温水がタンク20に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路30のうちのヒートポンプ10の出口側を通過する温水の温度が90℃以上になるようにヒートポンプ10を運転させる高温貯湯運転を実行する。【選択図】 図1

Description

本発明は、給湯システムに関する。
特許文献1には、外気から吸熱するヒートポンプと、ヒートポンプで加熱された熱媒を蓄えるタンクと、タンク内の熱を利用して温水を温水利用箇所に供給する供給手段と、制御装置とを備える給湯システムが開示されている。制御装置は、ヒートポンプによる加熱後の熱媒の温度が60℃より低くなるようにヒートポンプを運転させる低温貯湯運転を実行するとともに、特定の場合に、ヒートポンプによる加熱後の熱媒の温度が60℃以上になるようにヒートポンプを運転させる高温貯湯運転を実行する。
給湯システムのヒートポンプを運転する際には、加熱後の熱媒の温度を低くするほど、消費電力あたりの加熱能力(COP(Coefficient Of Performance。「成績係数」ともいう))が向上する。特許文献1の給湯システムでは、低温貯湯運転を行うことで効率良く熱媒を加熱することを図るとともに、特定の場合に高温貯湯運転を行うことで、温水利用箇所に供給される温水に含まれる可能性のある菌類(レジオネラ菌など)を滅菌することを図っている。
特開2015−38397号公報
特許文献1の技術では、ヒートポンプは商用電源から供給される電力を用いて運転される。これに対し、近年、給湯システムのヒートポンプを、太陽光発電器から供給される電力によって運転させる場合がある。太陽光発電器によって発電を行う場合、気象状況や使用電力量によっては余剰電力が生じる場合がある。
本明細書では、余剰電力を用いて効率よく蓄熱を行うことができる給湯システムを開示する。
本明細書が開示する給湯システムは、太陽光発電器と、太陽光発電器から供給される電力を用いて運転され、外気から吸熱して熱媒を加熱するヒートポンプと、熱を蓄えるタンクと、タンク内に蓄えられた熱を利用して温水を温水利用箇所に供給する供給手段と、ヒートポンプとタンクとの間で熱媒を循環させるタンク循環路と、制御装置とを備える。制御装置は、太陽光発電器によって発電される発電電力から使用電力を除いた余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を通過する熱媒の温度が60℃より低い低温目標温度となるようにヒートポンプを運転させる低温貯湯運転を実行し、低温貯湯運転によって、低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を通過する熱媒の温度が60℃以上である高温目標温度となるようにヒートポンプを運転させる高温貯湯運転を実行する。
上記の給湯システムでは、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて低温貯湯運転を実行する。これにより、余剰電力を有効に活用して蓄熱を行うとともに、その際に効率よく熱媒を加熱することができる。さらに、上記の給湯システムでは、低温貯湯運転によって低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて高温貯湯運転を実行する。これにより、低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、さらにその余剰電力を有効に活用して蓄熱を行うことができる。従って、上記の給湯システムによると、余剰電力を用いて効率よく蓄熱を行うことができる。
給湯システム2の構成を模式的に示す図。 第1実施例の給湯システム2が実行する通常蓄熱運転のフローチャート。 第1実施例の給湯システム2が実行する余剰電力蓄熱運転のフローチャート。 第2実施例の給湯システム2が実行する発電開始前運転のフローチャート。 第3実施例の給湯システム2が実行する発電開始前運転のフローチャート。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)ヒートポンプは、さらに、商用電源から供給される電力を用いても運転可能であることが好ましい。制御装置は、1日のうちの太陽光発電器が発電を開始する前のタイミングで、過去の第1期間における1日あたりの平均使用熱量と、過去の第1期間における1日あたりの平均余剰電力量の電力を用いてヒートポンプを運転させた場合に発生する予定発生熱量とを比較し、平均使用熱量が予定発生熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、平均使用熱量と予定発生熱量との差分である第1差分熱量の熱がタンクに蓄えられるように、ヒートポンプを運転する第1種の事前貯湯運転を実行し、平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合には、第1種の事前貯湯運転を実行しないことが好ましい。
上記の給湯システムにおいて、平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合には、余剰電力を用いてヒートポンプを運転すれば平均使用熱量を賄うことができることが予測される。上記の給湯システムは、そのような場合に、商用電源から供給される電力を用いた第1種の事前貯湯運転を実行しないようにすることができる。上記の給湯システムによると、余剰電力を有効に活用することができるとともに、商用電源を用いて無駄な貯湯運転が行われることを抑制することができる。
(特徴2)制御装置は、第1種の事前貯湯運転が実行されるべき場合において、さらに、第1差分熱量と、低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされる場合のタンク内の熱量である低温満蓄熱量とを比較し、第1差分熱量が低温満蓄熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、第2熱交換器の出口側の熱媒の温度が高温目標温度になるようにヒートポンプを運転させることによって第1差分熱量の熱をタンクに蓄える第1運転を実行し、第1差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合には、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を流れる熱媒の温度が低温目標温度となるようにヒートポンプを運転させることによって第1差分熱量の熱をタンクに蓄える第2運転を実行することが好ましい。
この構成によると、給湯システムは、第1差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合(即ち、第1差分熱量が比較的小さい場合)には、第1運転を実行することなく、第2運転を実行することにより、不要な蓄熱が行われることを抑制することができる。
(特徴3)制御装置は、太陽光発電器が発電を開始する前のタイミングで、過去の第2期間における1日あたりの平均日照時間と、当日の予測日照時間とを比較し、(A)予測日照時間が平均日照時間以上である場合、平均使用熱量が予定発生熱量より大きい場合には第1種の事前貯湯運転を実行し、平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合には第1種の事前貯湯運転を実行せず、(B)予測日照時間が平均日照時間より短い場合、予測日照時間の間に太陽光発電器が発電すると予測される予測発電量から、過去の第1期間における1日あたりの平均使用電力量を除いた予測余剰電力量を算出し、平均使用熱量と、予測余剰電力量の電力を用いてヒートポンプを運転させた場合に発生する予測発生熱量とを比較し、平均使用熱量が予測発生熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、平均使用熱量と予測発生熱量との差分である第2差分熱量の熱が熱媒に与えられるように、ヒートポンプを運転する第2種の事前貯湯運転を実行し、平均使用熱量が予測発生熱量以下である場合には第2種の事前貯湯運転を実行しないことが好ましい。
上記の構成によると、給湯システムは、予測日照時間が平均日照時間以上である場合、給湯システムは、平均使用熱量と予定発生熱量とを比較した結果に応じて、第1種の事前貯湯運転を実行するか否かを変える。一方、予測日照時間が平均日照時間より短い場合、給湯システムは、平均使用熱量と予測発生熱量とを比較した結果に応じて、第2種の事前貯湯運転を実行するか否かを変える。即ち、給湯システムは、予測日照時間に応じて運転内容を変えることができる。また、予測日照時間は当日の天気予報の内容に応じて変わり得る。そのため、上記の構成によると、給湯システムは、当日の天気予報の内容に応じて、平均使用熱量を賄うための適切な運転を実行することができる。
(特徴4)供給手段は、燃料を燃焼させて発生した熱を用いて、温水利用箇所に供給される温水を加熱する熱源機をさらに備えることが好ましい。
この構成によると、タンク内の熱を利用しても温水利用箇所で要求されている温度の温水を準備できない状況であっても、熱源機で温水を加熱することにより、要求されている温度の温水を温水利用箇所に供給することができる。
(第1実施例)
(システム構成;図1)
図1に示すように、本実施例の給湯システム2は、ヒートポンプ10と、タンク20と、タンク循環路30と、水道水導入路40と、供給路50と、バーナ加熱装置60と、太陽光発電器70と、商用電源供給路80と、制御装置90とを備える。
ヒートポンプ10は、外気から吸熱して、タンク循環路30を通過する水を加熱する熱源である。ヒートポンプ10は、太陽光発電器70から供給される電力を用いて運転可能であるとともに、商用電源供給路80を介して商用電源から供給される電力を用いて運転可能である。ヒートポンプ10は、図示しないが、冷媒(例えば自然冷媒R290、フロン系冷媒R32等)を循環させる冷媒循環路と、外気と冷媒との間で熱交換を行う蒸発器と、冷媒を圧縮して高温高圧にする圧縮機と、タンク循環路30を通過する水との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換を終えた後の冷媒を減圧させて低温低圧にする膨張弁とを備えている。
タンク20は、ヒートポンプ10によって加熱された温水を蓄える。タンク20は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク20には満水まで水が貯留されている。本実施例では、タンク20の容量は100Lである。タンク20には、サーミスタ22a、22b、22c、22dがタンク20の高さ方向に所定間隔で取り付けられている。各サーミスタ22a〜22dは、その取付位置の水の温度を測定する。例えば、各サーミスタ22a、22b、22c、22dは、それぞれ、タンクの上部から60L、40L、20L、5Lの位置の水の温度を測定する。
タンク循環路30は、上流端がタンク20の下部に接続されており、下流端がタンク20の上部に接続されている。タンク循環路30には、循環ポンプ36が介装されている。循環ポンプ36は、タンク循環路30内の水を上流側から下流側に送り出す。また、タンク循環路30は、ヒートポンプ10の熱交換器(図示省略)を通過している。そのため、ヒートポンプ10を運転させると、タンク循環路30内の水がヒートポンプ10の熱交換器で加熱される。従って、循環ポンプ36とヒートポンプ10とを運転させると、タンク20の下部の水がヒートポンプ10で加熱され、加熱された水がタンク20の上部に戻される。即ち、タンク循環路30は、タンク20に蓄熱するための水路である。また、タンク循環路30のうち、ヒートポンプ10の入口側(即ち上流側)と出口側(即ち下流側)には、それぞれ、サーミスタ32、34が介装されている。サーミスタ32は、タンク20の下部から導出され、ヒートポンプ10によって加熱される前の水の温度を測定する。サーミスタ34は、ヒートポンプ10によって加熱された後の温水の温度を測定する。
水道水導入路40は、上流端が水道水供給源42に接続されている。水道水導入路40の下流側は、第1導入路40aと第2導入路40bに分岐している。第1導入路40aの下流端は、タンク20の下部に接続されている。第2導入路40bの下流端は、後述の供給路50の途中に接続されている。第2導入路40bの下流端と供給路50との接続部分には、混合弁44が設けられている。混合弁44は、供給路50を流れる温水に、第2導入路40b内の水を混合させる量を調整する。
供給路50は、上流端がタンク20の上部に接続されている。上述したように、供給路50の途中には、水道水導入路40の第2導入路40bが接続されており、接続部分には混合弁44が設けられている。第2導入路40bとの接続部より下流側の供給路50には、バーナ加熱装置60が介装されている。また、バーナ加熱装置60より下流側の供給路50には、サーミスタ52が介装されている。サーミスタ52は、供給される温水の温度を測定する。バーナ加熱装置60は、サーミスタ52が測定する温水の温度が、給湯設定温度と一致するように、供給路50内の水を加熱する。供給路50の下流端は、温水利用箇所(例えば台所、浴槽等)に接続されている。
太陽光発電器70は、太陽光を受光することによって発電するための装置である。太陽光発電器70が発生させた電力は、制御装置90を介して、給湯システム2の各構成要素を含む様々な装置に供給される。例えば、太陽光発電器70が発生させた電力は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36の運転の他に、図示しない空調装置の運転等、様々な用途に利用される。
商用電源供給路80は、商用電源に接続して商用電源から電力の供給を受けるための電源コードである。商用電源供給路80を介して商用電源から供給された電力は、制御装置90を介して、給湯システム2の各構成要素を含む様々な装置に供給される。
制御装置90は、給湯システム2の上記各構成要素と電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。図1には示していないが、制御装置90には、使用者が様々な指示を入力可能な操作部と、様々な情報を表示可能な表示部とを有するリモコンが接続されている。また、制御装置90は、給湯システム2の各要素を運転させるための電力を、商用電源供給路80から供給するか、太陽光発電器70から供給するかを切り替えるための電力源切替手段も備えている。
次いで、本実施例の給湯システム2の動作について説明する。本実施例の給湯システム2は、蓄熱運転と給湯運転を実行することができる。給湯システム2が実行可能な蓄熱運転には、商用電源から供給される電力を用いて行う通常蓄熱運転(図2参照)と、太陽光発電器70が発電した電力の余剰電力を用いて行う余剰電力蓄熱運転(図3参照)と、の2種類の運転が存在する。以下、各運転について説明する。
(通常蓄熱運転;図2)
通常蓄熱運転は、商用電源供給路80を介して商用電源から供給された電力を用いてヒートポンプ10を運転し、ヒートポンプ10で生成した熱によってタンク20内の水を加熱する運転である。本実施例の給湯システム2の利用者は、リモコンの操作部を操作して、予め「通常蓄熱運転モード」と「余剰電力蓄熱運転モード」の2つの運転モードのうちの一方を選択することができる。制御装置90は、利用者によって通常蓄熱運転モードが選択されている場合に、図2の通常蓄熱運転を実行する。
S10では、制御装置90は、前回の高温貯湯運転の実行から72時間が経過したか否かを判断する。後で詳しく説明するが、高温貯湯運転は、ヒートポンプ10による加熱後の温水の目標温度Tb(即ち、サーミスタ34が検出する温度。以下、「目標出口温度Tb」と呼ぶ)が90℃になるように、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる運転である。S10の時点で、前回の高温貯湯運転の実行から72時間以上経過している場合、制御装置90は、S10でYESと判断し、S14に進む。一方、S10の時点で、前回の高温貯湯運転の実行から72時間未経過の場合、制御装置90は、S10でNOと判断し、S12に進む。
S12では、制御装置90は、目標出口温度Tbを、給湯設定温度Tsより5℃高い温度(Ts+5℃)に設定する。給湯設定温度Tsは、温水利用箇所に供給される温水の設定温度である。給湯システム2の利用者は、リモコンの操作部を操作して、給湯設定温度Tsを設定することができる。本実施例では、給湯設定温度Tsは、35℃〜45℃の間で設定することができる。S12を終えると、S16に進む。
S14では、制御装置90は、目標出口温度Tbを90℃に設定する。S14を終えると、S16に進む。
S16では、制御装置90は、サーミスタ22dが検出する温度(即ち、タンク20の上部に蓄えられている水の温度)が給湯設定温度Ts以下であるか否か判断する。サーミスタ22dが検出する温度が給湯設定温度Ts以下である場合、制御装置90は、S16でYESと判断し、S18に進む。S16でYESの場合は、この時点でタンク20内に給湯設定温度Tsの温水が蓄えられていないことを意味する。一方、サーミスタ12が検出する温度が給湯設定温度Tsより高い場合、制御装置90は、S16でNOと判断し、S10に戻る。S16でNOの場合は、この時点でタンク20内に給湯設定温度Tsより高温の温水が蓄えられていることを意味する。
S18では、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる。この際、制御装置90は、ヒートポンプ10の出口温度(即ちサーミスタ34の出口温度)が、S12又はS14で設定された目標出口温度Tb(Ts+5℃又は90℃)になるように、ヒートポンプ10を作動させる。より詳しく言うと、制御装置90は、ヒートポンプ10の出口温度が、S12又はS14で設定された目標出口温度Tbになるように、圧縮器のモータの回転数を調整する。
循環ポンプ36が作動すると、タンク循環路30内をタンク20内の水が循環する。即ち、タンク20の下部に存在する水がタンク循環路30内に導入され、導入された水がヒートポンプ10内の熱交換器を通過する際に、冷媒の熱によって、S12又はS14で設定された目標出口温度Tbまで加熱される。目標出口温度Tbまで加熱された水は、タンク20の上部に戻される。これにより、タンク20に目標出口温度Tbの水が貯められる。この結果、タンク20の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。
S18において、ヒートポンプ10の出口温度が、S12で設定された目標出口温度Tb(Ts+5℃)になるようにヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる場合の運転を、以下では、「低温貯湯運転」と呼ぶ。一方、S18において、ヒートポンプ10の出口温度が、S14で設定された目標出口温度Tb(90℃)になるようにヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる場合の運転を、以下では「高温貯湯運転」と呼ぶ。S18でヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させると、S20に進む。
S20では、制御装置90は、サーミスタ32が検出する温度(即ち、タンク20の下部から導出され、ヒートポンプ10に供給される水の温度)が、S12又はS14で設定された目標出口温度Tb以上となるかどうか監視する。上記S18でヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させ、低温貯湯運転又は高温貯湯運転を継続して行うことにより、タンク20の上部には目標出口温度Tbの温水(ヒートポンプ10の運転状況によっては目標出口温度Tbより高い温度の温水)が継続して貯められていく。タンク20下部まで目標出口温度Tb以上の温度の温水が蓄えられる(即ち、タンク20内が目標出口温度Tb以上の温度の温水によって満たされる)と、タンク20下部からタンク循環路30に目標出口温度Tb以上の温度の温水が導出される。この場合、制御装置90は、S20でYESと判断し、S22に進む。
S22では、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を停止する。これにより、低温貯湯運転又は高温貯湯運転が終了する。S22を終えると、制御装置90は、最初のステップに戻り、S10以降の処理を再び実行する。
上記の低温貯湯運転(目標出口温度Tb=Ts+5℃)を行う場合、高温貯湯運転を行う場合に比べて、消費電力当たりの加熱能力(COP)が高く、加熱効率も良い。そのため、低温貯湯運転を行うと、効率良く加熱を行うことができる。また、本発明者による検討により、温水の温度を60℃以上にすることにより、温水に含まれる可能性のある菌類(レジオネラ菌など)を滅菌できることが判明している。72時間ごとに上記の高温貯湯運転(目標出口温度Tb=90℃)を行うことにより、タンク20内の温水に含まれる可能性のある菌類を滅菌し、菌繁殖の可能性がある温水が温水利用箇所に供給されることを適切に防止することができる。
(余剰電力蓄熱運転;図3)
余剰電力蓄熱運転は、太陽光発電器70によって発電される発電電力から使用電力を除いた余剰電力を用いてヒートポンプ10を運転し、ヒートポンプ10で生成した熱によってタンク20内の水を加熱する運転である。制御装置90は、利用者によって余剰電力蓄熱運転モードが選択されている場合に、図3の余剰電力蓄熱運転を実行する。
S30では、制御装置90は、余剰電力が200W以上存在することを監視する。詳しく言うと、制御装置90は、余剰電力が200W以上存在している状態が所定期間(例えば2分間)継続しているか否かを判断する。上記の通り、余剰電力は、太陽光発電器70によって発電される発電電力から使用電力を除いた電力である。ここで、使用電力とは、例えば、図示しない空調装置の運転等、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36の運転以外の用途に使用されている電力である。余剰電力が200W以上存在している状態が所定期間継続している場合、制御装置90は、S30でYESと判断し、S32に進む。一方、余剰電力が200W以上存在していない場合(即ち、S30でNOの場合)には、余剰電力が200W以上存在している状態が所定期間継続するまで、制御装置90は、図2の通常蓄熱運転と同様の運転を実行する。
S32では、制御装置90は、サーミスタ22aが検出する温度(即ち、タンク20の下部に蓄えられている水の温度)が給湯設定温度Ts以下であるか否か判断する。サーミスタ22aが検出する温度が給湯設定温度Ts以下である場合、制御装置90は、S32でYESと判断し、S34に進む。一方、サーミスタ22aが検出する温度が給湯設定温度Tsより高い場合、制御装置90は、S32でNOと判断し、S30に戻る。
S34では、制御装置90は、余剰電力を用いて、目標出口温度Tbを給湯設定温度Ts+5℃に設定して、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる。即ち、S34では、制御装置90は、余剰電力を用いて低温貯湯運転を開始する。
続くS35及びS36では、制御装置90は、余剰電力が200W以上存在するか否かを監視するとともに、サーミスタ32が検出する温度(即ち、タンク20の下部から導出され、ヒートポンプ10に供給される水の温度)が、目標出口温度Tb(即ちTs+5℃)以上となるかどうか監視する。上記S34で開始させた低温貯湯運転を継続して行うことにより、タンク20の上部には目標出口温度Tb(即ちTs+5℃)以上の温度の温水が継続して貯められていく。タンク20下部まで出口温度Tb以上の温度の温水が蓄えられる(即ち、タンク20内が出口温度Tb以上の温度の温水によって満たされる)と、タンク20下部からタンク循環路30に出口温度Tb以上の温度の温水が導出される。この場合、制御装置90は、S36でYESと判断し、S38に進む。なお、S34で低温貯湯運転を開始した後、S36でYESと判断される前に、余剰電力が200Wを下回った場合(即ち、S35でNOと判断される場合)、その時点で、制御装置90は、S34で開始した余剰電力を用いた低温貯湯運転を停止するとともに、S30に戻り、S30以降の処理を再び実行する。この場合、制御装置90は、再びS30でYESと判断するまで、図2の通常蓄熱運転と同様の運転を行う。
S38では、制御装置90は、この時点でも余剰電力が200W以上存在しているか否かを判断する。余剰電力が200W以上存在している状態がこの時点でも所定期間継続している場合、制御装置90は、S38でYESと判断し、S40に進む。
S40では、制御装置90は、余剰電力を用いて、目標出口温度Tbを90℃に設定して、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる。この際、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を一旦停止しない。制御装置90は、S34で作動させたヒートポンプ10の圧縮機のモータの回転数を調整することによって、ヒートポンプ10の出口温度が90℃になるように調整する。即ち、S40では、制御装置90は、ヒートポンプ10を停止させることなく、余剰電力を用いた低温貯湯運転から余剰電力を用いた高温貯湯運転へと移行する。
続くS41及びS42では、制御装置90は、余剰電力が200W以上存在するか否かを監視するとともに、サーミスタ32が検出する温度(即ち、タンク20の下部から導出され、ヒートポンプ10に供給される水の温度)が、目標出口温度Tb(即ち90℃)以上となるかどうか監視する。上記S40で開始させた高温貯湯運転を継続して行うことにより、タンク20の上部には目標出口温度Tb(即ち90℃)以上の温度の温水が継続して貯められていく。タンク20下部まで出口温度Tb以上の温度の温水が蓄えられると、制御装置90は、S42でYESと判断し、S44に進む。なお、S40で高温貯湯運転に移行した後、S42でYESと判断される前に、余剰電力が200Wを下回った場合(即ち、S41でNOと判断される場合)、その時点で、制御装置90は、S40で開始した高温貯湯運転を停止するとともに、S30に戻り、S30以降の処理を再び実行する。この場合、制御装置90は、再びS30でYESと判断するまで、図2の通常蓄熱運転と同様の運転を行う。
S44では、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を停止する。これにより、高温貯湯運転が終了する。S44を終えると、制御装置90は、最初のステップに戻り、S30以降の処理を再び実行する。S44の終了時点では、余剰電力が200W以上存在する状態が継続している(S30でYES)可能性が高い。その場合、制御装置90は、再びS32でYESと判断されるまで、S30及びS32の監視を繰り返し行う。
(給湯運転)
給湯運転は、タンク20内の温水を温水利用箇所に供給する運転である。給湯運転は、上記の蓄熱運転中にも実行することができる。温水利用箇所の給湯栓が開かれると、水道水供給源42からの水圧によって、水道水導入路40(第1導入路40a)からタンク20の下部に水道水が流入する。同時に、タンク20上部の温水が、供給路50を介して温水利用箇所に供給される。
制御装置90は、タンク20から供給路50に供給される温水の温度(即ち、サーミスタ22dの測定温度)が、給湯設定温度Tsより高い場合には、混合弁44を開いて第2導入路40bから供給路50に水道水を導入する。この場合、タンク20から供給された温水と第2導入路40bから供給された水道水とが、供給路50内で混合される。制御装置90は、温水利用箇所に供給される温水の温度(即ち、サーミスタ52が計測する温水の温度)が、給湯設定温度Tsと一致するように、混合弁44の開度を調整する。一方、制御装置90は、タンク20から供給路50に供給される温水の温度が、給湯設定温度Tsより低い場合には、バーナ加熱装置60を作動させる。この場合、供給路50を通過する温水がバーナ加熱装置60によって加熱される。制御装置90は、温水利用箇所に供給される温水の温度が、給湯設定温度Tsと一致するように、バーナ加熱装置60の出力を制御する。
以上、本実施例の給湯システム2の構成及び運転内容について説明した。本実施例の給湯システム2は、余剰電力が200W以上存在する場合(図3のS30でYES)に、その余剰電力を用いてまず低温貯湯運転を実行する(S34)。これにより、余剰電力を有効に活用して蓄熱を行うとともに、その際に効率よく熱媒を加熱することができる。さらに、本実施例の給湯システム2では、低温貯湯運転の実行後に、サーミスタ32の検出温度(即ち、ヒートポンプ10の入口側の温水の温度)がTs+5℃に到達した時点で、余剰電力が200W以上存在する場合(S38でYES)に、その余剰電力を用いて高温貯湯運転を実行する(S40)。これにより、余剰電力を用いた低温貯湯運転によってタンク20内にTs+5℃の温水が貯められた時点で、さらに余剰電力が存在する場合に、高温貯湯運転を行い、その余剰電力を有効に活用して蓄熱を行うことができる。従って、本実施例の給湯システム2によると、余剰電力を用いて効率よく蓄熱を行うことができる。
また、本実施例では、供給路50にバーナ加熱装置60が設けられ、供給路50を通過する温水を加熱できるようにされている。そのため、タンク20から供給路50に導入された温水が温水利用箇所で要求されている温度に満たない状況であってもバーナ加熱装置60で温水を加熱することにより、要求されている温度の温水を温水利用箇所に供給することができる。
ここで、本実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。水が「熱媒」の一例である。給湯設定温度Ts+5℃が「低温目標温度」の一例である。また、90℃が「高温目標温度」の一例である。バーナ加熱装置60が「熱源機」の一例である。
(第2実施例)
第2実施例について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の給湯システム2も、その基本的な構成及び運転内容は第1実施例の給湯システム2(図1〜図3参照)と同様である。本実施例では、給湯システム2は、発電開始前運転(図4参照)をさらに行う点で第1実施例とは異なる。図4を参照して、本実施例の給湯システム2が実行する発電開始前運転について説明する。
(発電開始前運転;図4)
発電開始前運転は、1日のうち、太陽光発電器70が発電を開始する前のタイミングで行われる運転である。制御装置90は、利用者によって余剰電力蓄熱運転モードが選択されており、かつ、1日のうち、太陽光発電器70が発電を開始する前のタイミング(例えば毎日午前5時)が到来する場合に、図4の発電開始前運転を実行する。
S50では、まず、制御装置90は、過去の7日間に温水利用箇所に供給された温水の熱量(使用熱量)に基づいて、過去7日間の1日あたりの平均の使用熱量(以下「平均使用熱量」と呼ぶ)を算出する。そして、制御装置90は、過去7日間の1日あたりの平均の余剰電力量(以下「平均余剰電力量」と呼ぶ)を算出する。次いで、制御装置90は、上記の平均余剰電力量の電力を用いてヒートポンプ10を運転させた場合に発生される予定の熱量(以下「予定発生熱量」と呼ぶ)を算出する。
次いで、S52では、制御装置90は、平均使用熱量が予定発生熱量より大きいか否かを判断する。平均使用熱量が予定発生熱量より大きい場合、制御装置90は、S52でYESと判断し、S54に進む。S52でYESの場合とは、予定発生熱量では平均使用熱量を賄うことができない場合である。一方、平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合(即ち、予定発生熱量で平均使用熱量を賄い得る場合)、制御装置90は、S52でNOと判断する。この場合、制御装置90は発電開始前運転を終了する。
S54では、制御装置90は、平均使用熱量と予定発生熱量の差分である第1差分熱量を算出する。続くS56では、第1差分熱量が、タンク20に給湯設定温度Ts+5℃の温水が満たされる場合のタンク20内の熱量(以下「低温満蓄熱量」と呼ぶ)よりも大きいか否か判断する。第1差分熱量が低温満蓄熱量より大きい場合、制御装置90は、S56でYESと判断し、S60に進む。S56でYESの場合とは、低温満蓄熱量では第1差分熱量を賄うことができない場合である。一方、第1差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合(即ち、低温満蓄熱量で第1差分熱量を賄い得る場合)、制御装置90は、S56でNOと判断し、S58に進む。
S58では、制御装置90は、目標出口温度Tbを給湯設定温度Ts+5℃に設定する。S58を終えると、S62に進む。
S60では、制御装置90は、目標出口温度Tbを90℃に設定する。S60を終えると、S62に進む。
S62では、制御装置90は、第1差分熱量と、S58又はS60で設定された目標出口温度Tbとに基づいて、第1差分熱量を設定した目標出口温度Tbの温水で賄うために必要な温水量(以下「第1設定温水量」と呼ぶ)を算出する。
次いで、S64では、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる。この際、制御装置90は、ヒートポンプ10の出口温度が、S58又はS60で設定された目標出口温度Tb(Ts+5℃又は90℃)になるように、ヒートポンプ10を作動させる。即ち、S64では、制御装置90は、低温貯湯運転又は高温貯湯運転を実行する。
次いで、S66では、制御装置90は、S58又はS60で設定された目標出口温度Tbの温水が第1設定温水量だけタンク20に蓄えられたことを監視する。具体的には、S66では、各サーミスタ22a〜22dの検出温度を監視することにより、目標出口温度Tbの温水が第1設定温水量だけタンク20に蓄えられているか否かを監視する。目標出口温度Tbの温水が第1設定温水量だけタンク20に蓄えられた場合、制御装置90は、S66でYESと判断し、発電開始前運転を終了する。
以上、本実施例の給湯システム2の構成及び運転内容について説明した。本実施例の給湯システム2では、平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合(図4のS52でNO)には、余剰電力を用いてヒートポンプ10を運転すれば平均使用熱量を賄うことができることが予想される。本実施例では、そのような場合に、商用電源から供給される電力を用いた貯湯運転(即ち、図4のS64の貯湯運転)を実行しないようにすることができる。本実施例の給湯システム2によると、余剰電力を有効に活用することができるとともに、商用電源を用いて無駄な貯湯運転が行われることを抑制することができる。
さらに、本実施例では、給湯システム2は、第1差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合(即ち、第1差分熱量が比較的小さい場合。図4のS56でNOの場合)には、高温貯湯運転を行うことなく、低温貯湯運転(S58、S62、S64)を行うことにより、不要な蓄熱が行われることを抑制することができる。
本実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。過去7日間が「過去の第1期間」の一例である。S64で実行される高温貯湯運転又は低温貯湯運転が「第1種の事前蓄熱運転」の一例である。また、S64で実行される高温貯湯運転が「第1運転」の一例であり、S64で実行される低温貯湯運転が「第2運転」の一例である。
(第3実施例)
第3実施例は、第2実施例の変形例である。第3実施例について、第2実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の給湯システム2も、その基本的な構成及び運転内容は第2実施例の給湯システム2(図1〜図4参照)と同様である。ただし、本実施例では、制御装置90は、図示しないネットワークに接続されており、そのネットワークを介して、図示しないサーバに格納されている気象情報(例えば、天気予報、過去の日照時間等)を取得することができる点で第2実施例とは異なる。それに伴い、本実施例では、発電開始前運転の内容の一部が第2実施例とは異なる。また、図5を参照して、本実施例の給湯システム2が実行する発電開始前運転について説明する。
(発電開始前運転;図5)
本実施例でも、制御装置90は、利用者によって余剰電力蓄熱運転モードが選択されており、かつ、1日のうち、太陽光発電器70が発電を開始する前のタイミング(例えば毎日午前5時)が到来する場合に、図5の発電開始前運転を実行する。
S70では、まず、制御装置90は、過去の7日間の日照時間を用いて、過去の7日間の1日あたりの平均の日照時間(以下では「平均日照時間」と呼ぶ)を算出する。さらに、制御装置90は、当日の天気予報等に基づいて、当日予測される日照時間(以下「予測日照時間」と呼ぶ)を特定する。なお、S70では、制御装置90は、ネットワークを介してサーバ(図示しない)にアクセスすることによって、過去の7日間の日照時間及び当日の天気予報等を取得する。
続くS72では、制御装置90は、予測日照時間が平均日照時間より短いか否かを判断する。予測日照時間が平均日照時間より短い場合、制御装置90は、S72でYESと判断し、S74に進む。S72でYESの場合とは、当日の日照時間が、過去7日間の日照時間に比べて短い(即ち、比較的天気が悪い)と予想される場合である。一方、予測日照時間が平均日照時間以上である場合(即ち、比較的天気が良いと予想される場合)、制御装置90は、S72でNOと判断し、図4のS50に進む。この場合、制御装置90は、図4のS50〜S66の処理(即ち、第2実施例の発電開始前運転と同内容の処理)を実行する。図4のS50〜S66の処理については上述の通りであるため、詳しい説明を省略する。
S74では、まず、制御装置90は、平均使用熱量を算出する。平均使用熱量の算出手法は上述の通りである(図4のS50参照)。次に制御装置90は、予測日照時間の間に太陽光発電器70が発電すると予測される発電量(以下「予測発電量」と呼ぶ)を算出する。そして、制御装置90は、予測発電量から、過去の7日間における1日あたりの平均使用電力量を除いた電力量(以下「予測余剰電力量」と呼ぶ)を算出する。さらに、制御装置90は、予測余剰電力量の電力を用いてヒートポンプ10を運転させた場合に発生する熱量(以下「予測発生熱量」と呼ぶ)を算出する。
次いで、S76では、制御装置90は、平均使用熱量が予測発生熱量より大きいか否かを判断する。平均使用熱量が予測発生熱量より大きい場合、制御装置90は、S76でYESと判断し、S78に進む。S76でYESの場合とは、予測発生熱量では平均使用熱量を賄うことができない場合である。一方、平均使用熱量が予測発生熱量以下である場合(即ち、予測発生熱量で平均使用熱量を賄い得る場合)、制御装置90は、S76でNOと判断する。この場合、制御装置90は発電開始前運転を終了する。
S78では、制御装置90は、平均使用熱量と予測発生熱量の差分である第2差分熱量を算出する。続くS80では、制御装置90は、第2差分熱量が、低温満蓄熱量よりも大きいか否か判断する。第2差分熱量が低温満蓄熱量より大きい場合、制御装置90は、S80でYESと判断し、S84に進む。一方、第2差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合、制御装置90は、S80でNOと判断し、S82に進む。
S82では、制御装置90は、目標出口温度Tbを給湯設定温度Ts+5℃に設定する。S82を終えると、S86に進む。
S84では、制御装置90は、目標出口温度Tbを90℃に設定する。S84を終えると、S86に進む。
S86では、制御装置90は、第2差分熱量と、S82又はS84で設定された目標出口温度Tbとに基づいて、第2差分熱量を設定された目標出口温度Tbの温水で賄うために必要な温水量(以下「第2設定温水量」と呼ぶ)を算出する。
次いで、S88では、制御装置90は、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を作動させる。この際、制御装置90は、ヒートポンプ10の出口温度が、S82又はS84で設定された目標出口温度Tb(Ts+5℃又は90℃)になるように、ヒートポンプ10を作動させる。即ち、S88では、制御装置90は、低温貯湯運転又は高温貯湯運転を実行する。
次いで、S90では、制御装置90は、S82又はS84で設定された目標出口温度Tbの温水が第2設定温水量だけタンク20に蓄えられたことを監視する。具体的には、S90では、各サーミスタ22a〜22dの検出温度を監視することにより、目標出口温度Tbの温水が第2設定温水量だけタンク20に蓄えられているか否かを監視する。目標出口温度Tbの温水が第2設定温水量だけタンク20に蓄えられた場合、制御装置90は、S90でYESと判断し、発電開始前運転を終了する。
以上、本実施例の給湯システム2の構成及び運転内容について説明した。本実施例では、給湯システム2は、予測日照時間が平均日照時間以上である場合(図5のS72でNO)には、平均使用熱量と予定発生熱量とを比較(図4のS52)した結果に応じて、貯湯運転(即ち、高温貯湯運転又は低温貯湯運転(S64))を実行するか否かを変える。一方、予測日照時間が平均日照時間より短い場合(図5のS72でYES)、給湯システム2は、平均使用熱量と予測発生熱量とを比較(S76)した結果に応じて、貯湯運転(即ち、高温貯湯運転又は低温貯湯運転(S88))を実行するか否かを変える。即ち、本実施例では、給湯システム2は、予測日照時間に応じて運転内容を変えることができる。また、予測日照時間は当日の天気予報の内容に応じて変わり得る。そのため、本実施例によると、給湯システム2は、当日の天気予報の内容に応じて、平均使用熱量を賄うための適切な運転を実行することができる。
本実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。過去7日間が「過去の第2期間」の一例である。S88で実行される高温貯湯運転又は低温貯湯運転が「第2種の事前蓄熱運転」の一例である。
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(変形例1)第1実施例では、制御装置90は、低温貯湯運転の実行後(図3のS34)に、サーミスタ32の検出温度(即ち、ヒートポンプ10の入口側の温水の温度)が目標出口温度Tb(即ちTs+5℃)に到達した時点(S36でYES)で、余剰電力が200W以上存在する場合(S38でYES)に、ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を停止させることなく、余剰電力を用いた高温貯湯運転を実行する(S40)。これに限られず、制御装置90は、低温貯湯運転から高温貯湯運転に移行する間に一旦ヒートポンプ10及び循環ポンプ36を停止させてもよい。この変形例も、「低温貯湯運転によって低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を通過する熱媒の温度が60℃以上である高温目標温度となるようにヒートポンプを運転させる高温貯湯運転を実行する」の一例である。
(変形例2)第2実施例及び第3実施例では、制御装置90は、第1設定温水量を算出し(図4のS62)、第1設定温水量の温水がタンク20に蓄えられるまで貯湯運転(低温貯湯運転又は高温貯湯運転)を実行する。同様に、第3実施例では、制御装置90は、第2設定温水量を算出し(図5のS86)、第1設定温水量の温水がタンク20に蓄えられるまで貯湯運転を実行する。これに限られず、制御装置90は、発電開始前運転において、第1(第2)設定温水量を算出しなくてもよい。その場合、制御装置90は、発電開始前運転において、サーミスタ32の検出温度が目標出口温度Tb以上になるまで(即ち、タンク20内に目標出口温度Tb以上の温度の温水が満たされるまで)、蓄熱運転を実行するようにしてもよい。
(変形例3)第1実施例では、制御装置90は、余剰電力が200W以上存在する場合に(図3のS30でYES)、その余剰電力を用いて低温貯湯運転を開始する(S34)。これに限られず、制御装置90が余剰電力を用いて低温貯湯運転を開始するための閾値は、200Wに限られず、任意の閾値であればよい。
(変形例4)第2実施例及び第3実施例では、制御装置90は、過去の7日間の使用熱量及び余剰電力量に基づいて、平均使用熱量、平均余剰電力量、及び予定発生熱量を算出している(図4のS50)。第3実施例では、制御装置90は、過去の7日間の気象情報に基づいて、平均日照時間を算出している(図5のS70)。制御装置90が平均使用熱量、平均余剰電力量、及び予定発生熱量を算出するための過去の使用熱量及び余剰電力量は、過去の7日間分の使用熱量及び余剰電力量に限られず、過去の任意の期間分の使用熱量及び余剰電力量であればよい。同様に、制御装置90が平均日照時間を算出するための過去の気象情報は、過去の7日分の気象情報に限られず、過去の任意の期間分の気象情報であればよい。
(変形例5)制御装置90が低温貯湯運転を行う場合の目標出口温度Tbは、給湯設定温度Ts+5℃に限られず、60℃より低い温度であれば、任意の温度に設定することができる。また、制御装置90が低温貯湯運転を行う場合の目標出口温度Tbも、90℃に限られず、60℃以上の温度(即ち、タンク20内の温水に含まれる可能性のある菌類(レジオネラ菌など)を滅菌可能な温度)であれば、任意の温度に設定することができる。
(変形例6)第1実施例において、制御装置90が余剰電力を用いた低温貯湯運転(S34)を開始するための条件は、サーミスタ22aの検出温度が給湯設定温度Ts以下の温度になったことには限られない。余剰電力蓄熱運転では、制御装置90は、他の満蓄状態でないことを確認できる条件が満たされる場合に、余剰電力を用いた低温貯湯運転を開始するようにしてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:給湯システム
10:ヒートポンプ
12:サーミスタ
20:タンク
22a:サーミスタ
22b:サーミスタ
22c:サーミスタ
22d:サーミスタ
30:タンク循環路
32:サーミスタ
34:サーミスタ
36:循環ポンプ
40:水道水導入路
40a:第1導入路
40b:第2導入路
42:水道水供給源
44:混合弁
50:供給路
52:サーミスタ
60:バーナ加熱装置
70:太陽光発電器
80:商用電源供給路
90:制御装置

Claims (5)

  1. 太陽光発電器と、
    太陽光発電器から供給される電力を用いて運転され、外気から吸熱して熱媒を加熱するヒートポンプと、
    熱を蓄えるタンクと、
    タンク内に蓄えられた熱を利用して温水を温水利用箇所に供給する供給手段と、
    ヒートポンプとタンクとの間で熱媒を循環させるタンク循環路と、
    制御装置と、を備え、
    制御装置は、
    太陽光発電器によって発電される発電電力から使用電力を除いた余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を通過する熱媒の温度が60℃より低い低温目標温度となるようにヒートポンプを運転させる低温貯湯運転を実行し、
    低温貯湯運転によって低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされた後に、余剰電力が存在する場合に、その余剰電力を用いて、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を通過する熱媒の温度が60℃以上である高温目標温度となるようにヒートポンプを運転させる高温貯湯運転を実行する、
    給湯システム。
  2. ヒートポンプは、さらに、商用電源から供給される電力を用いても運転可能であり、
    制御装置は、
    1日のうちの太陽光発電器が発電を開始する前のタイミングで、過去の第1期間における1日あたりの平均使用熱量と、過去の第1期間における1日あたりの平均余剰電力量の電力を用いてヒートポンプを運転させた場合に発生する予定発生熱量とを比較し、
    平均使用熱量が予定発生熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、平均使用熱量と予定発生熱量との差分である第1差分熱量の熱がタンクに蓄えられるように、ヒートポンプを運転する第1種の事前貯湯運転を実行し、
    平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合には、第1種の事前貯湯運転を実行しない、
    請求項1に記載の給湯システム。
  3. 制御装置は、
    第1種の事前貯湯運転が実行されるべき場合において、さらに、第1差分熱量と、低温目標温度の熱媒がタンク内に満たされる場合のタンク内の熱量である低温満蓄熱量とを比較し、
    第1差分熱量が低温満蓄熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、第2熱交換器の出口側の熱媒の温度が高温目標温度になるようにヒートポンプを運転させることによって第1差分熱量の熱をタンクに蓄える第1運転を実行し、
    第1差分熱量が低温満蓄熱量以下である場合には、タンク循環路のうちのヒートポンプの出口側を流れる熱媒の温度が低温目標温度となるようにヒートポンプを運転させることによって第1差分熱量の熱をタンクに蓄える第2運転を実行する、
    請求項2に記載の給湯システム。
  4. 制御装置は、
    太陽光発電器が発電を開始する前のタイミングで、過去の第2期間における1日あたりの平均日照時間と、当日の予測日照時間とを比較し、
    (A)予測日照時間が平均日照時間以上である場合、
    平均使用熱量が予定発生熱量より大きい場合には第1種の事前貯湯運転を実行し、
    平均使用熱量が予定発生熱量以下である場合には第1種の事前貯湯運転を実行せず、
    (B)予測日照時間が平均日照時間より短い場合、
    予測日照時間の間に太陽光発電器が発電すると予測される予測発電量から、過去の第1期間における1日あたりの平均使用電力量を除いた予測余剰電力量を算出し、
    平均使用熱量と、予測余剰電力量の電力を用いてヒートポンプを運転させた場合に発生する予測発生熱量とを比較し、
    平均使用熱量が予測発生熱量より大きい場合には、商用電源から供給される電力を用いて、平均使用熱量と予測発生熱量との差分である第2差分熱量の熱が熱媒に与えられるように、ヒートポンプを運転する第2種の事前貯湯運転を実行し、
    平均使用熱量が予測発生熱量以下である場合には第2種の事前貯湯運転を実行しない、
    請求項2又は3に記載の給湯システム。
  5. 供給手段は、燃料を燃焼させて発生した熱を用いて、温水利用箇所に供給される温水を加熱する熱源機をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の給湯システム。
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