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JP2017032995A - 波長変換部材および発光装置 - Google Patents

波長変換部材および発光装置 Download PDF

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JP2017032995A JP2016151936A JP2016151936A JP2017032995A JP 2017032995 A JP2017032995 A JP 2017032995A JP 2016151936 A JP2016151936 A JP 2016151936A JP 2016151936 A JP2016151936 A JP 2016151936A JP 2017032995 A JP2017032995 A JP 2017032995A
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Tatsuya Ryowa
達也 両輪
まみ 森下
Mami Morishita
まみ 森下
師之 山角
Noriyuki YAMAZUMI
師之 山角
真 和泉
Makoto Izumi
真 和泉
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壯 河合
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Abstract

【課題】外部からの空気や水分などの影響から半導体ナノ粒子蛍光体を保護することができる発光装置、波長変換部材を提供する。【解決手段】半導体ナノ粒子蛍光体4が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂5中に分散された波長変換部材3であって、前記イオン性液体がX+Y−で示され、X+は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンであり、Y−は、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体を重合させて形成された樹脂中に分散された波長変換部材、ならびに、当該波長変換部材と励起光源とを備える発光装置に関する。
近年、次世代の発光装置として、半導体ナノ粒子蛍光体を用いた発光装置が開発されている。ナノサイズの粒子径を有する粒子を蛍光体に用いることにより、従来の蛍光体(従来型蛍光体)と比較して発光効率の向上および高演色性が期待される。さらに、半導体ナノ粒子蛍光体はその粒子径を変えることで、蛍光波長、すなわち蛍光色を容易に制御することができる。
このような半導体ナノ粒子蛍光体を発光装置の波長変換部に用いる場合、樹脂などの固体層に半導体ナノ粒子蛍光体を分散させる必要がある。しかしながら、樹脂中に分散された半導体ナノ粒子蛍光体は、外部の空気、水分などから保護されていないと、これらの影響によって半導体ナノ粒子蛍光体の効率が低下してしまう。
このため、たとえば特開2014−169421号公報(特許文献1)には、半導体ナノ粒子蛍光体をコア部とし、当該コア部の外側を被覆し及び/又はコア部の間隙を埋めるシェル部とを有する蛍光体が開示されている。特許文献1には、シェル部として好ましくはシリカ、より好ましくはアルコキシシランの縮合反応によって得られるシリカを用いることが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、半導体ナノ粒子蛍光体をシリカで被覆する工程において、半導体ナノ粒子蛍光体の効率低下が起こってしまっていた。
特開2014−169421号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、外部からの空気や水分などの影響から半導体ナノ粒子蛍光体を保護することができる、半導体ナノ粒子蛍光体を用いた発光装置、およびそれに用いられる波長変換部材を提供することである。
本発明は、半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
前記イオン性液体が、下記一般式(I)
(I)
で示され、一般式(I)中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンであり、Yはアニオンであることを特徴とする。
本発明は、半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
前記イオン性液体が、下記一般式(I)
(I)
で示され、一般式(I)中、Xはカチオンであり、Yは、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンであることを特徴とする。
本発明は、半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
前記イオン性液体が、下記一般式(I)
(I)
で示され、一般式(I)中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンであり、Yは、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンであることを特徴とする。
本発明の波長変換部材において、前記イオン性液体におけるカチオンが脂肪族四級アンモニウムイオンであることが好ましい。
本発明の波長変換部材において、前記イオン性液体におけるアニオンがビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオンであることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の波長変換部材と、波長変換部材とは別体として設けられた、波長変換部材に励起光を出射する励起光源とを備える発光装置についても提供する。
本発明の波長変換部材およびこれを用いた本発明の発光装置においては、半導体ナノ粒子蛍光体が重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散されていることで、半導体ナノ粒子蛍光体を当該樹脂により保護し、外部からの空気、水分などに起因する半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制することができる。
また本発明の発光装置では、波長変換部材と、当該波長変換部材とは別体の励起光源を備えるため、形状設計や放熱設計の自由度が高いという利点がある。特に、放熱については、波長変換部材、励起光源のそれぞれで放熱させることが可能であり、放熱能が高く、さらに、波長変換部材が熱を放出する励起光源とは別体であることで、励起光源からの熱が波長変換部材に伝わりにくく、波長変換部材の劣化を抑制することができるという利点もある。また、波長変換部材と励起光源とを別体とすることで歩留りを高くすることができ、さらに、故障時にはそれぞれを交換すれば容易に発光装置を修復することができる。
本発明の好ましい第1の実施態様の発光装置1を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施態様の発光装置11を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施態様の発光装置21を模式的に示す図である。 蛍光体として2種類の半導体ナノ粒子蛍光体(赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aおよび緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4b)を用い、光源として青色発光する光源を用いた場合の発光スペクトルの一例を模式的に示す図である。 その表面にイオン性表面修飾分子8が結合された場合の半導体ナノ粒子蛍光体4cを模式的に示す図である。 本発明の第4の実施態様の発光装置31を模式的に示す図である。 本発明の第5の実施態様の発光装置41を模式的に示す図である。 本発明の第6の実施態様の発光装置51を模式的に示す図である。 実施例9と比較例1の性能試験の結果を示すグラフである。
図1は、本発明の好ましい第1の実施態様の発光装置1を模式的に示す図である。本発明の発光装置1は、励起光源2と、当該励起光源2とは別体として設けられた波長変換部材3とを基本的に備える。ここで、「別体」とは、個別の部材同士であり、一体的に形成されていないことを指す。なお、本発明は、図1に示すような発光装置1全体についても提供するが、波長変換部材3自体(図1に示されているのは第1の実施形態の波長変換部材3)も発明として提供するものである。
ここで、図1の右側には、波長変換部材3を一部拡大して模式的に示している。本発明の波長変換部材3は、半導体ナノ粒子蛍光体4が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂(重合体)5中に分散されてなり、励起光を受けて蛍光を発するものである。本発明の波長変換部材においては、このように半導体ナノ粒子蛍光体が重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散されていることで、半導体ナノ粒子蛍光体を当該樹脂により保護し、外部からの空気、水分などに起因する半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制することができる。
また、本発明の発光装置では、波長変換部材と、当該波長変換部材とは別体の励起光源を備えることで、形状設計や放熱設計の自由度が高いという利点がある。特に、放熱については、波長変換部材、励起光源のそれぞれで放熱させることが可能であり、放熱能が高く、さらに、波長変換部材が熱を放出する励起光源とは別体であることで、励起光源からの熱が波長変換部材に伝わりにくく、波長変換部材の劣化を抑制することができるという利点もある。また、波長変換部材と励起光源とを別体とすることで歩留りを高くすることができ、さらに、故障時にはそれぞれを交換すれば容易に発光装置を修復することができる。
本発明に用いられる「イオン性液体」とは、常温(たとえば25℃)でも溶融状態の塩(常温溶融塩)であり、以下の一般式(I)
(I)
で示されるものが好ましい。
上記一般式(I)中、X(図1右側において○で囲まれた+で示された成分)は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンである。これらの中でも、大気中での空気および水分に対する安定性に優れるという理由から、脂肪族四級アンモニウムイオンが特に好ましいカチオンとして挙げられる。
また上記一般式(I)中、Y(図1右側において○で囲まれた−で示された成分)は、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである。これらの中でも、大気中での空気および水分に対する安定性に優れるという理由から、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオンが特に好ましいアニオンとして挙げられる。
本発明の波長変換部材3および発光装置1において用いられるイオン性液体は、重合性官能基を有する。重合性官能基を有するイオン性液体を用いることで、半導体ナノ粒子蛍光体の分散液として機能するイオン性液体を、重合性官能基によりそのまま重合させることができる。このように、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた状態で、重合性官能基を有するイオン性液体を重合し、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を形成することで、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた樹脂を固体化させる際に起こっていた凝集などを抑制することができる。また、上述のように、半導体ナノ粒子蛍光体を、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散させるようにすることで、半導体ナノ粒子蛍光体が静電的に安定化し、半導体ナノ粒子蛍光体を強固に保護することができ、これによって空気、水分から半導体ナノ粒子蛍光体の表面を保護することができ、発光効率の高い発光装置を実現することができる。
イオン性液体が有する重合性官能基としては、特に制限されないが、加熱や触媒反応によって重合することができるようになるため、半導体ナノ粒子蛍光体は安定に分散できている液体の状態からそのまま分散状態を維持して固体化することができることから、(メタ)アクリル酸エステル基((メタ)アクリロイルオキシ基)であることが好ましい。
このような(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体の好適な例としては、大気中での空気および水分に対する安定性に優れるという理由から、たとえば下記式
Figure 2017032995
で示される2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、下記式
Figure 2017032995
で示される1−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
上述のような重合性官能基を有するイオン性液体は、従来公知の適宜のイオン性液体に、従来公知の適宜の手法で重合性官能基を導入することによって得ることができるが、市販品を用いても勿論よい。
また、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた状態で、重合性官能基を有するイオン性液体を重合させるための温度、時間などの条件は、用いる重合性官能基を有するイオン性液体の種類、量などに応じて好適な条件が適宜選択され、特に制限されるものではない。たとえば、重合性官能基を有するイオン性液体として2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いる場合には、たとえば60〜100℃の温度で1〜10時間という条件で好適に重合させることができる。またたとえば重合性官能基を有するイオン性液体として1−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いる場合には、たとえば60〜150℃の温度で1〜10時間という条件で好適に重合させることができる。
なお、上記重合に触媒を用いる場合、用いる触媒は特に制限されるものではなく、従来公知のたとえばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)などを用いることができる。中でも、重合が速く進むという理由からは、アゾビスイソブチロニトリルを触媒として用いることが好ましい。
また、重合性官能基を有するイオン性液体の重合に際して、架橋剤を添加するようにしてもよい。架橋剤を添加することで、得られた重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂としてより強度の高いものを得ることができ、波長変換部の安定性が向上する、という利点がある。架橋剤としては、たとえばジエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチルオルプロパントリアクリレートなどが挙げられ、特に制限されるものではないが、中でも、架橋部位が多く強固に重合するという理由から、1,1,1−トリメチルオルプロパントリアクリレートを架橋剤として用いることが好ましい。
架橋剤を添加する場合、その添加量についても特に制限されないが、重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し1〜50重量部の範囲内であることが好ましく、10〜30重量部の範囲内であることがより好ましい。架橋剤の添加量が重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し1重量部未満である場合には、架橋構造が進まずに樹脂の強度が弱い傾向にあり、また、架橋剤の添加量が重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し50重量部を超える場合には、半導体ナノ粒子蛍光体が安定に分散しないという傾向にあるためである。
本発明の波長変換部材3および発光装置1における半導体ナノ粒子蛍光体4としては、従来公知の適宜の半導体ナノ粒子蛍光体を特に制限なく用いることができる。半導体ナノ粒子蛍光体を用いることで、組成制御による発光波長の制御を精密に行なうことができるという利点がある。
本発明の波長変換部材3および発光装置1に用いられる半導体ナノ粒子蛍光体4は、一般照明や液晶バックライトの光源としても用いるために、波長380〜780nmの可視光を発光するものであることが好ましい。波長380nm未満の光を発光する半導体ナノ粒子蛍光体を用いた場合には、紫外線であり一般照明や液晶バックライトの光源では使用できないためであり、また、波長780nmを超える光を発光する半導体ナノ粒子蛍光体を用いた場合には、近赤外および赤外線であり一般照明や液晶バックライトの光源では使用できないためである。
半導体ナノ粒子蛍光体の原料としては、特に制限されるものではなく、半導体ナノ粒子蛍光体として従来より用いられるInP、InN、InAs、InSb、InBi、ZnO、In、Ga、ZrO、In、Ga、InSe、GaSe、InTe、GaTe、CdSe、CdTe、CdS、ZnO、CuInS、CuInSe、CuInTeからなる群から選ばれる少なくともいずれか一種の材料を含む。中でも、可視発光特性および安定性がよいという理由からは、InP、InN、InAs、InSb、InBi、ZnO、In、Ga、ZrO、In、Ga、InSe、GaSe、InTe、GaTe、CdSe、CdTeおよびCdSからなる群から選ばれる少なくともいずれか一種の材料を含むことが好ましく、CdSe、CdTeおよびInPから選ばれる少なくともいずれか一種の材料を含むことが特に好ましい。
半導体ナノ粒子蛍光体は、その形状については特に制限されないが、球状、ロッド状、ワイヤ状など従来公知の適宜の形状の半導体ナノ粒子蛍光体を特に制限なく用いることができる。特に、形状制御による発光特性の制御の容易さという観点からは、球状の半導体ナノ粒子蛍光体を用いることが好ましい。
半導体ナノ粒子蛍光体の粒子径は、原料および所望の発光波長に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、1〜20nmの範囲内であることが好ましく、2〜5nmの範囲内であることがより好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体の粒子径が1nm未満である場合には、体積に対する表面積の割合が増えることにより、表面欠陥が支配的となり効果が低下する傾向にあるためであり、また、半導体ナノ粒子蛍光体の粒子径が20nmを超える場合には、分散状態が低下し、凝集・沈降が生じる傾向にあるためである。ここで、半導体ナノ粒子蛍光体の形状が球状である場合には、粒子径は、たとえば粒度分布測定装置により測定された平均粒径もしくは電子顕微鏡により観察された粒子の大きさを指す。また半導体ナノ粒子蛍光体の形状がロッド状である場合には、粒子径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。さらに、半導体ナノ粒子蛍光体の形状がワイヤ状である場合には、粒子径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。
半導体ナノ粒子蛍光体の含有量(後述するように2種以上の半導体ナノ粒子蛍光体を用いる場合には総量)は、特に制限されないが、重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し0.001〜50重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体の含有量が、重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し0.001重量部未満である場合には、半導体ナノ粒子蛍光体からの発光が弱すぎる傾向にあるためであり、また、半導体ナノ粒子蛍光体の含有量が、重合性官能基を有するイオン性液体100重量部に対し50重量部を超える場合には、重合性官能基を有するイオン性液体中で均一に分散することが困難となる傾向にあるためである。
ここで、図2は、本発明の第2の実施態様の発光装置11を模式的に示す図である。図2には、第2の実施態様の波長変換部材3’を備える場合の発光装置11が示されている。図1に示した例では、1種類のみの半導体ナノ粒子蛍光体を用いた例を示したが、本発明の波長変換部材は、図2に示す例のように、半導体ナノ粒子蛍光体が、赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体および緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体を含んでいてもよい。図2には、一例として、2種類の半導体ナノ粒子蛍光体(赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aおよび緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4b)を含む場合の波長変換部材3’と、当該波長変換部材3’とは別体の励起光源2とを備える場合の発光装置11が模式的に示されている。
また図3は、本発明の第3の実施態様の発光装置21を模式的に示す図である。図3には、第3の実施態様の波長変換部材を備える場合の発光装置21が示されている。本発明の波長変換部材は、励起光を受ける側から順に第1の波長変換層と、第2の波長変換層とを備え、第1の波長変換層および第2の波長変換層のいずれか一方が赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体を含み、いずれか他方が緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体を含むように実現されてもよい。中でも、図3に示す例のように、第1の波長変換層3aが赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aを含み、前記第2の波長変換層3bが緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4bを含むことが特に好ましい。
ここで、図4は、上述のように、蛍光体として2種類の半導体ナノ粒子蛍光体(赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aおよび緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4b)を用い、励起光源2として青色発光する光源を用いた場合の発光スペクトルの一例を模式的に示す。図4において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(a.u.)を示している。このように青色発光する励起光源2を用い、かつ、図2、図3に示した例のように、赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体と緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体とを組み合わせて用いることにより、白色発光する発光装置を実現することが可能となる。また、特に、図3に示した例のように、励起光を受ける側の第1の波長変換層3aが赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aを含み、第2の波長変換層3bが緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4bを含むことで、励起光源から出射した青色光をまずは第1の波長変換層3aに含まれる赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aが吸収して赤色発光し、第2の波長変換層3bには光源2からの青色発光と第1の半導体ナノ粒子蛍光体4aから発せられる赤色光が通過することになるが、第2の波長変換層3bに含まれる緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体4bは赤色を吸収しないため、蛍光体間での再吸収を抑制でき、発光効率が向上され、所望の色バランスを容易に得ることができるという効果が奏される。
図2、図3に示した例にように、赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体と緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体との含有する場合の比率は、1層中に混在している場合、2層それぞれに含有される場合のいずれでも、重量比で、第1の半導体ナノ粒子蛍光体を1とした場合に、第2の半導体ナノ粒子蛍光体が0.1〜10の範囲内であることが好ましく、0.2〜5の範囲内であることが好ましい。第1の半導体ナノ粒子蛍光体を1とした場合の第2の半導体ナノ粒子蛍光体の重量比が0.1未満である場合には、赤色と緑色の発光強度の差により白色から大きくずれ、赤色に偏った発光色になる傾向にあるためであり、また、第1の半導体ナノ粒子蛍光体を1とした場合の第2の半導体ナノ粒子蛍光体の重量比が10を超える場合には、赤色と緑色の発光強度の差により白色から大きくずれ、緑色に偏った発光色になる傾向にあるためである。
本発明の発光装置1,11,21に用いられる励起光源2は、特に制限されないが、上述のように赤色発光する第1の半導体ナノ粒子蛍光体と緑色発光する第2の半導体ナノ粒子蛍光体とを組み合わせて用いる場合には、色再現性の高い白色発光を呈する発光装置を得ることができることから、青色発光する発光ダイオード(LED)、青色発光するレーザダイオード(LD)などを好適に用いることができる。
図5は、その表面にイオン性表面修飾分子8が結合された場合の半導体ナノ粒子蛍光体4cを模式的に示す図である。本発明における半導体ナノ粒子蛍光体は、図5に示す例のように、その表面にイオン性表面修飾分子8が結合されたものであってもよい。このように、半導体ナノ粒子蛍光体を、イオン性表面修飾分子に結合させ、さらに、重合性官能基を有するイオン性液体に分散させ、これを重合させて重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を得ることで、樹脂中に半導体ナノ粒子蛍光体を静電的に安定化させた状態で強固に保護することができる。これによって、熱によって表面修飾分子が剥れる現象を抑制することができ、結果として半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制できるという利点がある。
このようなイオン性表面修飾分子としては、従来公知の適宜のものを特に制限なく用いることができ、たとえば、2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、チオグリコール酸塩、チオコリンブロミドなどを例示することができる。これらの中でも、より安定的に結合できるカチオン性の表面修飾剤であるという観点からは、2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミドおよびチオコリンブロミドからなる群から選ばれるいずれかをイオン性表面修飾分子として用いることが好ましい。
イオン性表面修飾分子を用いる場合、半導体ナノ粒子蛍光体に結合される方法としては、たとえばイオン性表面修飾分子として2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩を用いる場合には、半導体ナノ粒子蛍光体の作製時に表面修飾剤として2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩を混合する方法、半導体ナノ粒子蛍光体の作製後に後から混合する方法などが挙げられる。
イオン性表面修飾分子の添加量についても特に制限されないが、半導体ナノ粒子蛍光体100重量部に対し0.1〜100重量部の範囲内であることが好ましく、1〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。イオン性表面修飾分子の添加量が半導体ナノ粒子蛍光体100重量部に対し0.1重量部未満である場合には、表面修飾を充分にできない傾向にあるためであり、また、イオン性表面修飾分子の添加量が半導体ナノ粒子蛍光体100重量部に対し100重量部を超える場合には、過剰の表面修飾分子により凝集が起こる傾向にあるためである。
また図6は、本発明の第4の実施態様の発光装置31を模式的に示す図である。図6には、第4の実施態様の波長変換部材3’’を備える場合の発光装置31が示されている。本発明においては、図6に示す例のように、波長変換部材3’’が、半導体ナノ粒子蛍光体4以外の従来の蛍光体(従来型蛍光体)32をさらに含んでいてもよい。このような従来型蛍光体32としては、たとえば、CaAlSiN赤色蛍光体、YAG:Ce黄色蛍光体などを挙げることができる。このような従来型蛍光体32は粒子径がμmオーダーであるため、光源および蛍光体からの蛍光を散乱する、このため、発光装置の発光が散乱によってより均一な発光を実現できるという利点がある(半導体ナノ粒子蛍光体は、等方的に蛍光を発するが、ナノメートルオーダーなので散乱はしない)。従来型蛍光体32の中でも、安定性および発光特性が高いという理由からは、CaAlSiN赤色蛍光体およびYAG:Ce黄色蛍光体の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
図6に示した例のように従来型蛍光体32を用いる場合、その含有量は、半導体ナノ粒子蛍光体(上述のように2種類以上の半導体ナノ粒子蛍光体を用いる場合にはその総量)100重量部に対し1〜1000重量部の範囲内であることが好ましく、10〜100重量部の範囲内であることがより好ましい。従来型蛍光体32の含有量が半導体ナノ粒子蛍光体100重量部に対し1重量部未満である場合には、散乱の効果が少ないという傾向にあり、また、従来型蛍光体32の含有量が半導体ナノ粒子蛍光体100重量部に対し1000重量部を超える場合には、半導体ナノ粒子蛍光体からの発光が少ないという傾向にあるためである。
図7は、本発明の第5の実施態様の発光装置41を模式的に示す図である。図7には、第5の実施態様の波長変換部材3’’’を備える場合の発光装置41が示されている。本発明の波長変換部材3’’’は、透光性を有するガスバリア層42をさらに備えてもよい。波長変換部材において、その最表面は空気に直接触れていることになるが、図7に示す例のように最表面にガスバリア層42が設けられることで、波長変換部材3’’’の内部は、空気中に存在する酸素、水分などからガスバリア層42により遮蔽されることになる。これにより、半導体ナノ粒子蛍光体を含む波長変換部を、酸素、水分などの起因する劣化から保護することができ、信頼性の向上した発光装置が提供される。
また図8は、本発明の第6の実施態様の発光装置51を模式的に示す図である。図8には、図7に示したのと同様の波長変換部材3’’’を備える場合の発光装置51が示されている。波長変換部材3’’’は、2つの対向する主面3’’’aを有するシート状であり、この2つの主面3’’’aを覆うようにガスバリア層42’が形成され、かつ、その側部3’’’bが露出するように構成されている。このように側部にはガスバリア層が設けられないことにより、波長変換部材3’’’の一方側の主面(たとえば図8の紙面に関して上側に位置する主面である上面)を発光の照射面とした場合、側部まで発光させることができる。すなわち、波長変換部材3’’’の側部にバリア層がないことで、その部分の非発光部分がなく(額縁がなく)、発光効率を上げることができる。本発明においては、上述のように、半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散されていることにより、シート状の波長変換部材の側部を露出させたとしても劣化しにくいため、このような構成を採ることができる。
ガスバリア層42は、透光性を有し、かつ、ガス透過性が酸素透過度で1cc/(m・day/atm)以下および水蒸気透過度で1g/m・day以下(日本工業規格に準拠したガス透過率測定装置を使用して測定)であるものであれば特に制限されないが、ガラス、シリコーン樹脂、アクリル樹脂からなる群から選ばれるいずれかの材料を主成分として形成されたガスバリア層が好適である。ガスバリア層42は、その厚みは特に制限されないが、1〜5000μmの範囲内であることが好ましく、10〜1000μmの範囲内であることがより好ましい。ガスバリア層42の厚みが1μm未満である場合には、充分にガスバリア性能が維持できないという傾向にあるためであり、また、ガスバリア層42の厚みが5000μmを超える場合には、光の取り出し効率を低下させるという傾向にあるためである。
またガスバリア層42には、無機材料からなる散乱剤が分散されていることが好ましい。このように散乱剤が分散されていることで、散乱剤を含まない場合のガスバリア層と比較して、空気中の酸素や水分などのガス透過性が抑制され、より波長変換部が保護できる。また、光源および波長変換部からの発光が散乱され均一な発光を実現できるという利点がある。
散乱剤となる無機材料についても特に制限されるものではなく、従来公知のたとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、チタン酸バリウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化亜鉛などが例示される。これらの中でも、作製および取扱い性が容易であるという理由からは、酸化シリコンを散乱剤として用いることが好ましい。散乱剤の添加量も特に制限されないが、上述した散乱剤の効果を好適に発揮できるためには、ガスバリア層を構成する主成分となる材料100重量部に対し0.1〜100重量部の範囲内であることが好ましく、1〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。
なお、図8に示す形態では波長変換部材はシート状であることが好ましいが、それ以外の場合には、波長変換部材の形状については特に制限されるものではなく、シート状の他、バー状、キャピラリー状などの形状であってもよい。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
(半導体ナノ粒子蛍光体の製造)
以下の手順で、CdSe/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を製造した。
まず、3mLのトリオクチルホスフィン(TOP)に1mmolのセレン化トリオクチルホスフィン(TOPSe)、および1mmolのジメチルカドミウムを不活性雰囲気中で混合した。次に、5gの酸化トリオクチルホスフィン(TOPO)を350℃の窒素の下で加熱した溶液に注入した。温度は直ちに約260℃まで下がり、このまま70分間反応させて、反応を停止し、反応溶液を直ちに室温まで冷却し、CdSeからなる半導体ナノ粒子(CdSeコア)を調製した。
続いて、上記の手法により調製したCdSeコアを含む溶液に、シェル層の原料である3mmolの酢酸亜鉛および3mmolの硫黄を含む3mLのTOP溶液を加えて150℃で2時間反応させて、室温まで冷却し、ZnSシェル層を形成した。このようにして、CdSe/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を得た。
(波長変換部材の製造)
次に、(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液1mLに上述のCdSe/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液0.1mLを混合することにより、CdSe/ZnS分散イオン性液体を形成した。このCdSe/ZnS分散イオン性液体に、重合開始の触媒としてアゾビスイソブチロニトリル2mgを混合し、80℃で1時間加熱することにより樹脂化して、図1に示したような構造を備える波長変換部材を作製した。
<実施例2>
CdSeの反応時間を、緑色については50分間、赤色については100分間とすること以外は実施例1のCdSeの反応と同様にして、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体をそれぞれ含む分散液を作製した。
これらを(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液1mLにそれぞれ0.05mL混合し、樹脂化して、図2に示したような構造を備える波長変換部材を作製した。この波長変換部材を発光ピーク波長445nmの青色LED(励起光源)と組み合わせ、図2に示した発光装置を得た。得られた発光装置の発光スペクトルは図4に示したとおりであった。
<実施例3>
実施例2と同様にして、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体をそれぞれ含む分散液を作製した。実施例3では、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を個別に重合性官能基を有するイオン性液体に分散させ、励起光を受ける側から順に、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体(第1の半導体ナノ粒子蛍光体)を含む層(第1の波長変換層)、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体(第2の半導体ナノ粒子蛍光体)を含む層(第2の波長変換層)の順となるように配置した。
まず、(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液0.5mLに、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を0.05mL混合して、樹脂化して、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む層を形成した。
次に、(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液0.5mLに、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を0.05mL混合して、樹脂化し、上述の赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む層に、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む層を形成した。このようにして図3に示したような構造を備える波長変換部材を作製した。
<実施例4>
実施例2と同様にして、緑色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体、赤色発光するCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体をそれぞれ含む分散液を作製し、その後、それぞれの半導体ナノ粒子蛍光体の表面にイオン性表面修飾分子を結合させた。
まず、3mLのTOPに1mmolのTOPSeおよび1mmolのジメチルカドミウムを不活性雰囲気中で混合した。次に、5gのTOPOを350℃の窒素の下で加熱した溶液に注入した。温度は直ちに約260℃まで下がり、このまま70分間反応させた後に反応を停止し、反応溶液を直ちに室温まで冷却し、CdSeからなる半導体ナノ粒子(CdSeコア)を調製した。
続いて、上記の手法により調製したCdSeコアを含む溶液に、シェル層の原料である3mmolの酢酸亜鉛および3mmolの硫黄を含む3mLのTOP溶液を加えて150℃で2時間反応させて、室温まで冷却し、ZnSシェル層を形成した。このようにして、CdSe/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を得た。
これに、イオン性表面修飾分子として、2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩50mgを混合した水1mLを混合攪拌することで、CdSe/ZnSの表面に2−(ジエチルアミノ)エタンチオールが結合した半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を得た。
これを(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液1mLに混合し、約8時間攪拌後に2時間減圧乾燥し、樹脂化し、中に存在している半導体ナノ粒子蛍光体は図5に示したような構造となっている、図1に示したような構造を備える波長変換部材を得た。
<実施例5>
(半導体ナノ粒子蛍光体の製造)
以下の手順で、InP/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を作製した。
ミリスチン酸インジウム(1mmol)にヘキサデカンチオール(1mmol)とトリメチルシリルホスフィン(TMS)P(3mmol)と1−オクタデセン20mlとを加え、約180℃で50分間加熱した。これにより、InP半導体ナノ粒子蛍光体(InPコア)を含む分散液を調製した。
続いて、上述の方法で調製したInPコアを含む分散液に、シェル層の原料である3mmolの酢酸亜鉛および3mmolの硫黄を含む3mLのTOP溶液を加えて150℃で32時間反応させた後、室温まで冷却した。このようにして、InP/ZnSからなる半導体ナノ粒子蛍光体を得た。その後は実施例1と同様にして、図1に示したような構造を備える波長変換部材を得た。
<実施例6>
赤色発光する半導体ナノ粒子蛍光体の代わりに、市販のCaAlSiN赤色蛍光体を用いたこと以外は実施例2と同様にした。まず、緑色発光するCdSe半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた、(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体である2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの溶液に、CaAlSiN赤色蛍光体0.05gを混合して、図6に示したような構造を備える波長変換部材を得た。
<実施例7>
実施例3で得た波長変換部材の全面にガスバリア層を設け、図7に示したような構造を備える波長変換部材を得た。ガスバリア層は、シリコーン樹脂(信越化学社製:KER−2500)を波長変換部材の全面に塗布し、80℃で30分間、120℃で1時間加熱することにより形成した。
<実施例8>
シート状の波長変換部材(実施例3で得た波長変換部材)の2つの主面にガスバリア層を設け、かつ、側部を露出させた、図8に示したような構造を備える波長変換部材を得た。ガスバリア層は、シリコーン樹脂(信越化学社製:KER−2500)を波長変換部材の2つの主面に塗布し、80℃で30分間、120℃で1時間加熱することにより形成した。
<実施例9>
実施例1で得た波長変換部材を励起する励起光源として、青色LEDを別体として設け、図1に示した発光装置を得た。
<実施例10>
実施例3で得た2層構造の波長変換部材に、励起光源として青色LEDを赤色発光する半導体ナノ粒子蛍光体を含む側(第1の波長変換層側)に別体として設け、図3に示した発光装置を得た。
<比較例1>
CdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体をPMMA樹脂に分散させたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。まず、実施例1と同様にしてCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液を調製し、PMMA樹脂1gのアセトン溶液5mLに上述のCdSe/ZnS半導体ナノ粒子蛍光体を含む分散液0.1mLを混合し、80℃で1時間加熱し、波長変換部材を作製した。得られた波長変換部材を励起する励起光源として、青色LEDを別体として設け、発光装置を得た。
〔性能評価〕
実施例9、比較例1で得られた発光装置について、それぞれ発光強度を測定し、初期の発光強度を100%として、日本工業規格における高温試験の規定に準拠した加熱信頼性試験(85℃)を行ない、それぞれの発光装置における波長変換部の発光強度の変化を発光効率として算出した。結果を図9に示す。
1,11,21,31,41 発光装置、2 光源、3 波長変換部、3a 第1の波長変換層、3b 第2の波長変換層、4,4c 半導体ナノ粒子蛍光体、4a 第1の半導体ナノ粒子蛍光体、4b 第2の半導体ナノ粒子蛍光体、5 重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂、8 イオン性表面修飾分子、32 従来型蛍光体、42 ガスバリア層。

Claims (6)

  1. 半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
    前記イオン性液体が、下記一般式(I)
    (I)
    で示され、一般式(I)中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンであり、Yはアニオンである、波長変換部材。
  2. 半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
    前記イオン性液体が、下記一般式(I)
    (I)
    で示され、一般式(I)中、Xはカチオンであり、Yは、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである、波長変換部材。
  3. 半導体ナノ粒子蛍光体が、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された、励起光を受けて蛍光を発する波長変換部材であって、
    前記イオン性液体が、下記一般式(I)
    (I)
    で示され、一般式(I)中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンであり、Yは、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである、波長変換部材。
  4. 前記イオン性液体におけるカチオンが脂肪族四級アンモニウムイオンである、請求項3に記載の波長変換部材。
  5. 前記イオン性液体におけるアニオンがビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオンである、請求項3または4に記載の波長変換部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の波長変換部材と、波長変換部材とは別体として設けられた、波長変換部材に励起光を出射する励起光源とを備える発光装置。
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